
「いちばん乗りは、誰だ。」
ディオには派生モデルが色々あるんですが、その中でも紹介しておきたいのがディオが生まれた翌年に登場したこのG’(ジーダッシュ)/AF23型。
先に紹介した初代ディオで話した通りメットイン機能が原付スクーターにとっては必要不可欠な時代になったわけですが、それにも関わらずこのG’は鬼のメットインレスでキャリアやインナーラックすら備えていない。

「欲しいなら自分で付けろ」
という時代にあるまじき割り切り。
じゃあメットイン等の利便性を捨ててまで何を取ったのかというと”走り”です。
例えばエンジンはディオと同じかと思いきや超ハイギヤードの専用チューニングが施された上にハイパーマフラーなどの専用部品まで装備。
車体の方も固めの油圧サスにホイールベースもホンダとしては非常に短い1140mmでクイック。そして燃費悪いのにタンク容量も僅か3.5Lしか確保されていないから軽い。

「なにを思ってホンダはこんな原付を」
という話ですが、これはレースが関係しています。
80年代後半になるとレーサーレプリカブームが起こり各地方のサーキットで熱戦が繰り広げられていたんですが、素人が50万円も60万円もする上にとても手に負えない性能だった250や400でレースをするのは人生を捧げない限り難しい面が少なからずあった。
そこで代わりに人気となったのが負担の少ないNSR50などのミニバイクレース。しかしこれも50といえどオートバイというかレーサーレプリカなのでそれなりにお金が掛かる。
「もっと誰でも参加できるポピュラーなバイクはないのか」
という事で始まり人気が高まっていったのがスクーターレース。他のクラスと同じ様に無改造クラスやら無差別クラスやらで盛り上がっていました。
もうわかりますよね・・・そう。

明らかに実用性を考慮しておらず他の原付スクーターより速いG’はスクーターレースの為に造られた意味合いが強い原付なんです。
何故ホンダはそうまでしてこれを造ったのかといえばそれもレーサーレプリカと同じ。
「DJ-1やDIOより速いスクーターが居たから」
です。

G’は潔すぎる割り切り設計で頭一つ抜きん出た速さを持っていたためスクーターレース界隈から称賛されたというか
「G’じゃないと勝てない」
という事態にまでなり、スクーターレースはG’のワンメイク状態に陥りました。
主要諸元
| 全長/幅/高 | 1585/650/1005mm | 
| シート高 | 715mm | 
| 車軸距離 | 1140mm | 
| 車体重量 | 63kg(装) | 
| 燃料消費率 | 50.0km/L ※定地走行テスト値  | 
| 燃料容量 | 3.6L | 
| エンジン | 空冷2サイクル単気筒 | 
| 総排気量 | 49cc | 
| 最高出力 | 6.8ps/7000rpm | 
| 最高トルク | 0.73kg-m/6500rpm | 
| 変速機 | 無段階変速機(Vマチック) | 
| タイヤサイズ | 前後80/90-10(34J) | 
| バッテリー | YT4L-BS | 
| プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価  | 
BR8HS | 
| 推奨オイル | ウルトラ2スーパー | 
| オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに  | 
0.8L | 
| Vベルト | 23100-GR1-753 | 
| 車体価格 | 143,000円 | 
	








	





	







	



















	









	










	








	











	




	







