AddressV50/Vチューン(CA1FA)-since 1990-

アドレスV50TUNE

不評だったゴツゴツ顔をやめてスタイリッシュになり車名にVが付いたアドレスV50

(厳密に言うと無印と併売された派生モデルがVの始まり)

V50といえば今でも続いてるけど初代は4stではなく2stのこのモデル。
今回はV125の系譜だからV50はちょっと省略させてもらうけど、V50はここからずっと今でも続いています。

そしてV125の系譜はこのモデルがスタートと言えると思う。
V50に一本化された後にVチューンというスポーツモデルが出たんだけど、ソッチばっかり売れるもんだから派生だったはずのVチューンのみの販売になっちゃった。

もともとアドレス50は50ccにしては車体が少し大きかった。振り返ってみるとこの50を作った87年の時点で「50の車体に100を積む」という荒業を考えていたんだね。

主要諸元
全長/幅/高 1730/635/1000mm
シート高
車軸距離 1205mm
車体重量 73kg(装)
燃料消費率
燃料容量 4.8L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.2ps/7000rpm
最高トルク 0.75kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前80/90-10
後90/90-10
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR5HS
推奨オイル スズキ純正オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.7L
ベルト 27601-25E00
車体価格 156,000円(税別)
※スペックはVチューン
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

Address50/チューン/EX/WAY(CA1CA/B)-since 1987-

アドレス50

スズキ初のメットインスクーターとなるAddress50
キャッチコピーは「僕らのアドレス」

Addressという名前の由来は「Address(住所)」そのままの意味じゃなくて「add(加える)」と「dress(ドレス)」でアドレス。(スズキにしては遊び心がある洒落た名前だね)

この頃は既にホンダTACTやヤマハのJOGという王道スクーターが居たんだけど、それでもアドレスも負けず劣らずなヒットを飛ばした。
その理由はタクト5.8馬力、ジョグ6馬力に対し6.5馬力というクラストップのスペックを持ってたから。

アドレスTUNE

更に一年後にはアドレスチューンという7馬力にまでチューニングされたスポーツモデルまで発売。
当時、大手二社のスクーターに比べお世辞にもカッコイイとはいえないスクーターと不評だったけど速さはピカイチだった。

スクーターという実用性重視のバイクにおいてですら何よりも速さに重点を置いたのはスズキらしいね。

ちなみにEXはノーマルの上位グレードでWAYはローシートモデル。

主要諸元
全長/幅/高 1675/635/1015mm
シート高
車軸距離 1190mm
車体重量 69kg(装)
燃料消費率
燃料容量 3.7L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.0ps/7000rpm
最高トルク 0.75kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前80/90-10
後90/90-10
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR5HS
推奨オイル スズキ純正オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
ベルト 27601-25E00
車体価格
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

タクト/ベーシック(AF75/AF79)-since 2015-

AF75

「賢い選択『みんなの原付』」

13年ぶりに復活を遂げた八代目タクトことAF75型。最大の特徴はそれまでとは違い、アイビー以来の4stエンジンを積んだ事にあります。

一足先に出ていたDUNKと同じく新開発の50cc版espエンジンを搭載しておりフレームもベースは同じなんですが、ホンダの50ccスクーターを代表するモデルな事もあり

「遂にタクトも水冷4stエンジンの時代か」

と思われた方も多いのではないかと。水冷による温度管理をしないともはや原付すら排ガスを通せない時代になりましたからね。

しかし面白い事にこの50cc版espエンジン、実は一般的な水冷ではなく『部分水冷』という冷却方式だったりします。

部分水冷

エンジンをよく見てみると水冷なのにシリンダーブロック(シリンダーの壁面)にウォータージャケット(水路)が無いのが分かるかと。

何故こんな事をしているのか説明すると、水冷というのは水が張り巡らされている形になるので冷却が得意だけど同時に暖気が空冷よりも苦手。そうすると、ガソリンが上手く気化しなかったりして燃費や排ガスが悪化する。ピストンの隙間から漏れてエンジンオイルと混じりオイルを悪くする事にも繋がります。

暖気無しでの短期走行が当たり前という非常にシビアな使われ方をする50ccでは、空冷ですらこの問題が付きまとっているわけで、そのまま水冷にしてしまうと更に酷い事になる・・・しかし空冷だと燃焼が安定しないので排ガス規制やパワーを出すのが難しい。

AF75

そこで考えられたのがこの形で、一番熱くなるヘッドは水冷でしっかり冷やしつつ、シリンダー壁面は早く温まるように水路も放熱フィンも設けない無冷のような形で暖気問題をクリアしている。

ちなみにシリンダー壁面の冷却はしない事で

・壁面のウォータージャケット(水路)が不要
・水温低下によるラジエーター負荷の低減

などから空冷並みのコンパクトさを実現するという非常に考えられたエンジンになっているんです。

新旧水冷50cc

タクトがクラストップの燃費なのに加え、非常にコンパクトに見えるのはデザインだけでなく、こういうポイントがあるからなんですね。

話を戻すと今回もノーマルグレードとは別に『ベーシック』というグレードがあるのですが、ローシート仕様&アイドリングストップシステムをオミットしたグレードになります。

AF75

残念ながら自動スタンドアップは機能そのものが廃止。

ちなみにこのタクトは2016年に施行された新排ガス規制に2017年モデルで対応し生産を国内に移した関係でAF75からAF79へと形式が変わったのですが、最大トルク発生回転数が上がった以外は基本的にスペックに変更はありません。

最後に・・・ここに来てホンダがタクトという名前を復活させた理由について。

ホンダは2015年にタクトを復活させるまでにもトゥデイやディオ、ジョルノやズーマーなど数々の原付をラインナップし、好評を得ていました。

しかしそれは若年層や新規ユーザーなどがメインで、従来から原付に慣れ親しんでいる原付ユーザーにとってはあまりにもファッショナブル、またはセンセーショナルで抵抗がある事が分かった。

そこで

「安心感をもって使える原付を造ろう」

となり開発がスタート。

AF75コンセプト

「取っつきやすいようコンパクトな車体にしよう」
「押し引きしやすいよう高めのハンドルにしよう」
「前かごを使いやすくするためフロントカウルを立てよう」
「前輪の操舵角が分かりやすいようフロントフェンダーは別体式にしよう」

など、とにかく安心感そして高い利便性を実現するためのスタイリングを造り上げていった所・・・

AF75コンセプトデザイン

「あれ、これってタクトだよね」

となり、結果的にタクトという名前が復活したのが経緯。※Technical Review Vol1より

なんとも感慨深いというか何というか・・・

ご存知の方も多いと思いますが、排ガス規制の強化(OBD義務化)と市場の急縮で既に限界が来ている原付一種市場。タクトが生まれた1980年には年間250万台生産されていた市場が、今や年間生産台数は12万台と1/20以下で保有台数も右肩下がり。

原付一種は現在の排ガス規制を猶予する特例を受けており、ホンダも踏ん張っていますが、恐らくそれも猶予期限の2025年までで、それ移行はEVになる。

ホンダEV原付の計画

つまり

「ホンダが最後に造った50ccスクーターがこのタクトになる可能性が非常に高い」

ということ。

ホンダが庶民の足として最初に造った50ccの内燃機関スクーターが、45年後の最後まで造り続けた50ccの内燃機関スクーターになる・・・一見するとただの偶然のように思えるけど、そうとも言えない。

AF79タクト

何故ならいま話したようにタクトというモデルは、どれだけ市場が小さくなろうと絶対にゼロにはならない、バイクでもクルマでも自転車でもなく原付一種という乗り物が欠かせない人達の為にあるモデルだから。

そう考えるとタクトは

「技術で人を豊かにする」

というホンダのフィロソフィーを一番体現し、かつ一番多くの人へ届けた非常に偉大なモデルと言えるかと。

【関連車種】
DIOの系譜JOGの系譜Addressの系譜原付一種が30km/hの理由|バイク豆知識

主要諸元
全長/幅/高 1675/670/1035mm
シート高 720mm
[705mm]
車軸距離 1180mm
車体重量

79kg(装)
[78kg(装)]

燃料消費率 56.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 4.5L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.5ps/8000rpm
最高トルク 0.42g-m/7500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後80/100-10(46J)
バッテリー YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR4HSA
推奨オイル 10W-30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.7L
交換時0.65L
Vベルト 23100-GZ5-013
車体価格 160,000円(税別)
[148,000円(税別)
※[]内はベーシック
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクト/スタンドアップ(AF51)-since 1998-

AF51

「きれいを、はじめよう。」

フロントディスクブレーキとコンビブレーキが標準になった六代目タクトことAF51型。 コンビブレーキというのは左(リア)ブレーキを握るとフロントも自動で気持ちブレーキをかけてくれるホンダのスクーターではお馴染みの機能。

そんなAF51型ですが、先代のリアスポイラー問題でタクトに求められるモノが利便性や親切設計である事を再確認した為か、再び別体式フェンダーで丸みのある優しいデザインへと刷新。

ステップフロアもフラット形状の広い形に変更され、それまでのディオ系からどちらかというとリード系に寄った形となったのが特徴になります。リアランプもリードそっくりですしね。

AF51リア

また、AF51は98年から強化される排ガス/騒音規制に対応するため、キャタライザーも標準装備。 ちなみにグレードはノーマルとスタンドアップの二種類。

さすがにもうあまり見なくなりましたが、走っているイメージを連想していただけるとお分かりの通りAF51型は保守的な見た目から、先代までは弄られるやんちゃ坊主にもそれなりに需要があったものの、この代からは完全無欠な原付コミューターとなりました。

AF51

さて、ホンダのファミリースクーターの祖であり最年長モデルでもあったタクトですが、2002年にこのモデルをもって一度生産終了となります・・・理由はもちろん2stだったから。
厳しくなる排ガス規制に対し、オイルを燃やす2stが不利なのは言うまでも無い話。ただ、まだまだ対応する事は可能な範疇でした。では何故辞めたのかというと、環境保全を最重要課題ととらえCVCCエンジンまで開発した歴史を持つホンダとして

「よりクリーンな4stに全面的に切り替えていく」

という方針は必然で、それはホンダ製ファミリースクーターの祖であるタクトでも例外ではなかったという話。

主要諸元
全長/幅/高 1665/625/1020mm
シート高 695mm
車軸距離 1170mm
車体重量

70kg(乾)
[76kg(乾)]

燃料消費率 50.0km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 6.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.2ps/6000rpm
最高トルク 0.59g-m/6000rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
バッテリー YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR4HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.15L
Vベルト 23100-GZ5-003
車体価格 159,000円(税別)
[175,000円(税別)
※[]内はスタンドアップ
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクト/スタンドアップ/S(AF30/AF31)-since 1993-

AF30

「ライフアップ・タクト」

更に鋭くなり、ますますディオに近いデザインとなった六代目にあたるタクト・タクトスタンドアップ/AF30型とタクトS/AF31型。

カタログのキャッチコピーに倣ってライフアップタクトやライフタクトという愛称で呼ばれていたりします。

そんなライフアップタクトですが

・燃料容量を5Lへ拡大 ※スタンドアップモデルは除く
・フロントサスにアンチダイブ機構を追加
・足つきを改善したシート形状
・エンジンを見直し+0.1馬力
・リアキャリアに樹脂カバーを装着
・プッシュキャンセルウィンカー
・MFバッテリー

などなど現代的な改良となっており、更にこの代ではSというグレードが投入されました。

AF31

特徴はフロントをディスクブレーキにし、走りをかなり意識したモデルになっていること。

ますますディオに寄ったモデルとなった印象なんですが、ホンダとしてはやはりタクトはちょっと大人向けという立ち位置。それを表しているのが樹脂プレートキャリアという一風変わったリアキャリア。

樹脂プレートキャリア

ディオZXのようにリアをスポイラーにすると荷物が詰めずタクトの武器である利便性というコンセプトが損なわれてします。かといって従来のパイプキャリアにすると今度は品位が損なわれ大人向けというコンセプトが破綻してしまう。

そこで考え出されえたのがこのスポイラー風キャリア。これで利便性とデザイン性どちらも取るという面白い形・・・だったんですが、翌年に素グレードは従来のパイプキャリアに変更。

AF30

余り好評ではなかったようですね。

ちなみに走りを意識したグレードだったSもこの一代限りで終了。タクト史の中でもかなりレアなグレードとなってしまいました。

主要諸元
全長/幅/高 1675/615/1025mm
{1675/625/1025mm}
シート高 720mm
車軸距離 1175mm
車体重量

66kg(乾)
[69kg(乾)]
{68kg(乾)}

燃料消費率 49.0km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 5.0L
[4.5L]
{5.0L}
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.1ps/7000rpm
最高トルク 0.65g-m/6500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-42J
バッテリー YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR4HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.2L
Vベルト 23100-GZ5-003
車体価格 159,000円(税別)
[175,000円(税別)
{169,000円(税別)}
※[]内はベーシック
※{}内はS
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクト/ベーシック(AF24)-since 1989-

AF24

「standup」

五代目となるタクト/AF24型。この代からはスーパーもフルマークも付かず再び”タクト”というシンプルなネームに変更されました。

メットインを備えた事で高い人気を死守したタクトが次の一手として打ち出したのが・・・

スタンドアップタクト

『自動スタンド機能』

キーを一番右(ON)にした状態から更に押し込みつつ右に回すと、腹下に備えられた専用モーターがキュイーンと作動し自動でセンタースタンドをかけてくれる機能でした。

ただまあ正直にいうと不要と捉える人が多かったのか、半年後には自動スタンド機能を省いたベーシックモデルを追加販売。スタンドアップタクトより1.2万円安くなった事もあり、体感ですがほぼこっちが売れたのではないかと思うほどで、スタンドアップタクトは結構レアでした。

AF24タクト

AF24型というと、そんなスタンドアップ機能につい目が行ってしまいがちなんですが、エンジンも5ポートシリンダーに改良されなんと6馬力を叩き出すというタクト史の中でも12を争う速さを持っていたりします。

とはいえ当時ディオは更に上を行く6.4馬力。そうなると若者はやはりディオ・・・かと思いきや、敢えてタクトを買う若者も居た。

カタログ写真

理由はカタログやテレビCMに起用されたのが、当時トップアイドルとして人気絶頂だったキョンキョンこと小泉今日子さんだったからです。

主要諸元
全長/幅/高 1655/640/995mm
シート高 725mm
車軸距離 1170mm
車体重量

66kg(乾)
[63kg(乾)]

燃料消費率 53.1km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 4.8L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 6.0ps/6500rpm
最高トルク 0.70g-m/6000rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-4PR
バッテリー YT4L-12B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR7HS
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GZ5-003
車体価格 154,000円(税別)
[142,000円(税別)
※[]内はベーシック
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクトフルマーク(AF16)-since 1987-

AF16

「メットイン・タクト」

タクトの系譜において大きな転換期となった1987年1月登場の四代目タクトことAF16型。

転換期と言える理由の一つはシート下収納という機能を設けたから。俗にいうメットイン機能ですね。

AF16メットイン機能

これは前年の1986年に原付もヘルメット装着が義務化された事が要因。

今では信じられない話ですが、当時はヘルメットの煩わしさを嫌う人が続出して原付市場が急激に縮小していました。そこで生まれたのがシート下にヘルメットを収納するスペースを設けるメットイン機能。

AF16カタログ写真

今やスクーターといえば備わっていて当たり前の装備ですが、こういう規制が敷かれたからこそ生み出された技術だったりする。

ピンチをチャンスに変えるとは正にこの事ですね。このためグレードも収納力を意味していたフルマークのみに統合されました。

そして転換期となったもう一つの理由は先代で紹介したアイビーと同様にフェンダー一体型のデザインに変更されたこと。

AF09

これは一体成形によるコスト抑制もあるんですが、一番は原付にもスタイル性が強く求められるようになってきたから。

そしてこのメットインタクトが素晴らしかったのは、いま見ても何の違和感も無い事からも分かる通り

『メットインスクーター黎明期×新世代スクーターデザイン黎明期』

両方を綺麗に纏め上げたデザインをしていた事。これによりメットインタクトは新規開拓に成功するとともに、メットイン機能を持たない原付ユーザーの買い替え需要にも応える形となり、大ヒットを飛ばしました。

主要諸元
全長/幅/高 1655/650/1010mm
シート高
車軸距離 1160mm
車体重量

60kg(乾)

燃料消費率 75.3km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 4.6L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.8ps/6500rpm
最高トルク 0.66g-m/6000rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後3.00-10-4PR
バッテリー YT4L-12B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GS7-003
車体価格 139,000円
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクト/フルマーク/フルマークS(AF09)-since 1984-

AF09

「スーパー・タクト」

初のフルモデルチェンジとなった三代目タクトことAF09型。キャッチコピーでスーパーと言っていた事からスーパータクト、略してスパタクという愛称で呼ばれています。

今回のモデルチェンジは騒音や排ガス規制を機にしたモデルチェンジになるんですが、ホンダを代表するスクーターなだけあり規制対応させつつ馬力を更に1馬力上げて5.0馬力と、走りが更に軽快になりました。

AF09

ちなみに鍵付きグローブボックスを標準装備したのもこの代から。

グレードは当初タクトとタクトフルマーク(上の写真)の2グレード展開でしたが、半年後にはこれも追加で再登場。

AF09赤クレージュ

そう、先代に引き続き再登場となったクレージュ・タクト。

先代で爆発的な人気が出たことから今回は限定ではなく通常販売モデル。

AF09青クレージュ

しかもピンクとブルーの2バージョン展開しつつ、晩年の1985年にはオシャレなシートまで加わったツートンまで販売。

1985クレージュ

補足をするとスパタクシリーズはこの時に吸排気見直しで馬力を更に0.4馬力上げて5.4馬力とするマイナーチェンジを行っており、この2トンカラーのクレージュもそのマイチェン後のモデルになります。

そんな女性から非常に高い人気があるクレージュ・タクトをレギュラー化した影響で、素のスパタクはイメージが少し変わりました。

それまでタクトは女性をメインにしつつも中性的なイメージ戦略だったんですが、素のスパタクでは俳優の根津甚八さんを起用し、かなりダンディズムあふれるイメージに。

AF09

カタログを見れば一目瞭然ですね。

ちなみにこの代のタクトには、もう少し紹介しないといけないモデルがあります。一つはスパタクがマイチェンした翌年の1986年に出たトラッドエディションと呼ばれるモデル。

AF09トラッドエディション

チェック柄シートでオシャレになったタクト。ちなみに写真はありませんが、紺色バージョンもありました。

そしてもう一つが同年に実質的な後継として出たタクトフルマークS。

AF09

前後大型キャリアと専用メーター、さらにワイドタイヤを履いたヘビーデューティ志向ながら純白を纏っているモデルになります。

ここまでは全てAF09型になるんですが、一方でそれらと同年のデビューでも型式が違うのはタクトアイビーと呼ばれるモデル。

タクトアイビー

このモデルだけ型式はAF13で、厳密にいうとアイビーはタクト亜種みたいなモデル。というのもこれ4stなんです。

ホンダはボーカル/AF04型とタクティ/AB19型というイタリアン系4stスクーターをタクトとは別に出していたんですが、それの後継としてタクトのプラットフォームを流用しつつ、スタイリッシュなデザインで登場したのが4st版タクトことタクトアイビー。

恐らく1983年に終戦となったHY戦争で膨れ上がった資産を整理する一環なのと、フェンダーまで一体となったスラントノーズタイプが若者の間で人気となっていた事から造られたモデルだったと思われます。

主要諸元
全長/幅/高 1585/625/965mm
[1959/625/965mm]
{1600/625/950mm}
シート高
車軸距離 1130mm
{1135mm}
車体重量

52kg(乾)
[53kg(乾)]
{57kg(乾)}

燃料消費率 90.0km/L
{78.3km/L}
※30km/h走行テスト値
燃料容量 4.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.0ps/6000rpm
(5.4ps/6500rpm)
[5.4ps/6500rpm]
最高トルク 0.62g-m/5500rpm
[フルマークS:0.62kgm/6000rpm]
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後2.75-10-2PR
{フルマークS:80/90-10-34J}
バッテリー YT4L-12
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HSA
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.8L
Vベルト 23100-GA7-701
車体価格 125,000円
(129,000円)
[135,000円]
{145,000円}
※()内は85年モデル以降
※[]内はフルマーク
※{}内はフルマークS
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム(AB07後期)-since 1982-

AB07後期

「シャープに一新した。ザ・スクーター」

直線基調でキリッとなった二代目タクトことAB07後期モデル。カタログなどで『新タクト』と表記していた事からニュータクトという愛称で呼ばれたりしています。

ニュータクト

そんなニュータクトの変更点としては、エンジンの見直しとトルクセンサー付きVマチックに改良する事で、3.2馬力から4馬力にパワーアップしつつ燃費は100km/Lと走行性能を大きく向上した事。

また、当時増加傾向にあった原付事故を鑑みてウィンカーをビルトインタイプの大型なものに変更し上品にすると同時に、視認性の向上などの改良も行われました・・・が、ニュータクトのアイコンといえばやっぱりこれ。

AB07後期

『WING VISOR』

車体前方に備えられたプラスチックの板で、開くとなんとステップへの雨風の巻き込みを防ぐサイドバイザーになる機能。

AB07後期カタログ

そんな心ときめくギミックが付いているのが二代目タクト/AB07後期ことニュータクトの特徴になります。ちなみにウィングバイザーは耐久性の問題からかこの代限りだったりします。

話を戻すとモデルというかグレードも再編され
・タクトDX(セル付き/キック式)
・タクトフルマーク(サイドトランク付き)
・タクトフルマークカスタム(上記に加えグローブボックス付き)
の3ラインナップとなりました。

AB07後期モデル

そしてニュータクトで絶対に忘れてはいけないのが、二年目に登場したこれ。

AB07後期クレージュ

『タクト・クレージュ仕様(通称クレタク)』

もはや説明不要かと思いますが当時を知らない人のために解説すると、このモデルはミニスカートの生みの親であるアンドレクレージュというフランスの有名デザイナーが手がけた特別色モデル。

今でこそずいぶんと派手なカラーリングだと思いますが、当時はこのアンドレクレージュが手がけたものがものすごく流行っていた。

AB07後期クレージュ

四輪の方でもこんなホイールを出して大流行するレベル。

そんな流行の最先端を取り入れたスクーターだったためスケバン(死語)というか女性に人気爆発。

フルマーク仕様も含め一万台の限定生産だったものの、あまりの人気に

『ニュータク=クレタク』

という勘違いまで生む事態となりました。

主要諸元
全長/幅/高 1555/630/960mm
シート高
車軸距離
車体重量

47kg(乾)
[セル付き:49kg(乾)]
※フルマークは+1kg

燃料消費率 100.0km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 3.2L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.0ps/6000rpm
最高トルク 0.50kg-m/5000rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後2.75-10-2PR
バッテリー YB4L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6HS
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.9L
Vベルト 23100-GA7-701
車体価格 109,000円
[セル付き:123,000円]
{フルマーク:133,000円}
『フルマークカスタム:141,000円』
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)

タクトDX/フルマーク(AB07)-since 1980-

初代タクト

「ザ・スクーター」

1980年に発売されたタクトDX/AB07型。ホンダ初のファミリースクーターであり、今なお続くタクトの初代モデルになります。

ちなみに音楽で指揮者が持っている『指揮棒(タクト)』が名前の由来。自分の思うように操れるというコンセプトからそう名付けられました。

初代タクトコンセプトデザイン

この頃のホンダはまだまだスーパーカブがイケイケだったわけですが、かの有名なHY戦争(ホンダとヤマハのシェア争い)によりタクトは生まれる事になりました。

というのも、ホンダはもともと1976年にロードパルという漕ぐ必要がないエンジン付き自転車みたいな簡易原付、俗に言うソフトバイクを発売し、主婦層など潜在需要の掘り起こしに成功し大ヒットしていました。

この流れでスカートでも乗れるATバイクであるファミリースクーターがライバルメーカーから出ると更なる大ヒット。女性を中心に人気が出ていたことからホンダとしても出そうとなり、開発されたのがタクトの経緯になります。

初代タクト

タクトはそんなホンダ版ファミリースクーターの急先鋒モデルだった事もあり、小柄なボディとステップスルーというスクーターのツボを抑えていた事はもちろん、初代にして非常に豪華な造りとなっていました。

具体的にいうとパワートレインは完全新設計2st強制空冷エンジンとVマチックを兼ね備えたパワートレインで、当時何より求められていたセル付きグレードも用意。さらにオートチョーク/コック機能も付けて始動性を向上させるなど、非常に親切な設計。

初代タクトの解説

ただ何より好評だったのは、原付にも関わらずボトムリンク式フロントサスと油圧リアダンパーを備えた上にクッション性の優れる分厚いシートで非常に乗り心地が良かった事にあります。

このおかげでタクトは市場から非常に評価され、初代にして大ヒットのモデルとなりました。

ただ大ヒットの要因はもう一つあります。

それは翌1981年に追加販売されたセル付きタクトをベースにしたタクトフルマークというモデル。

初代タクトフルマーク

フルマークはボディ右側に鍵付きサイドトランクを備えたモデル。

当時のスクーターはシート下にはエンジンが鎮座しておりシートメットインなどという概念が無い時代。そんな中で荷物を収納できるだけでなくシャレオツな見た目という事で、それはそれは人気となりました・・・というか無印よりフルマークの方が人気だったのではないかと思うくらい。

さらに当時はHY戦争という仁義なき戦いの最中という事もあり、フルマーク発売後すぐに手を緩めることなく豪華な装備を施した特別仕様

『スーパーカスタム』『スポーツ』『フルバック』

と追加ならぬ追撃モデルを販売。

スポーツ・スーパーカスタム・フルバック

・フロントにボックスを備えたスポーツ
・収納特化のフルバック
・スクリーンやボックスを付けた豪華なスーパーカスタム

となかなか個性的な特別仕様となっています。面白いのがスーパーカスタムで、原付ながらディッシュホイールを履きつつフェンダーにフードクレストマークを付けるという豪華っぷり。

タクトのフードクレストマーク

「原付でそこまでやる必要があるのか」

とも思うんですが、それだけ当時はライバルより一歩でも秀でる事に必死だったというわけですね。初代にしてDXという名前が付けられている事からもそれが読み取れます。

ただ特別仕様でもう一つ話しておかないといけないのが、フルバックと呼ばれるモデル。

初代タクトフルバック

フルマークと一緒にされがちなんですが、フルバックはサイドトランクを右側だけでなく左側にも備えたモデル。インナーラックとステップカバーも付いているのも特徴で、フルマークと同様に人気となりました。

これらの確かな造りと親切心の塊のようなモデル展開により、初代タクトは結果としてわずか二年間で72万台もの販売台数を記録するメガヒット。

初代タクトのカタログ

ホンダがHY戦争において販売シェア一位を死守出来たのは間違いなくこのタクトのおかげ。

ちなみに上のカタログ写真でもチラチラ出ていますが、ホンダはこのタクトにイージーライダー(Born To Be Wild)の主人公役で有名なピーターフォンダ氏を起用していました。なんとも贅沢な話ですが・・・ターゲット層が違う気がしないでもない。

主要諸元
全長/幅/高 1520/360/960mm
シート高
車軸距離 mm
車体重量

49kg(乾)
[セル付:51kg]

燃料消費率 76.0km/L
※30km/h走行テスト値
燃料容量 3.2L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 3.2ps/6000rpm
最高トルク 0.44kg-m/4500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前後2.75-10
バッテリー YB4L
[セル付:YB4L-B]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP5HS
推奨オイル ウルトラ2スーパー
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
0.9L
Vベルト 23100-GA7-701
車体価格 108,000円
[セル付:118,000円]
系譜図
AB071980年
タクトDX/フルマーク
(AB07)
AB07後期1982年
タクトDX/フルマーク/フルマークカスタム
(AB07後期)
af091984年
タクト/フルマーク/フルマークS
(AF09)
af161987年
タクトフルマーク
(AF16)
af241989年
タクト/ベーシック
(AF24)
af30-af311993年
タクト/スタンドアップ/S
(AF30/AF31)
AF511998年
タクト/スタンドアップ
(AF51)
af75-af792015年
タクト/ベーシック
(AF75/AF79)