TMAX530SX/DX(BX3/BC3) -since 2017-

六代目TMAX

「Master of Scooter」

先代でTMAXモデルチェンジが早すぎるなんて言ってたら熱も冷めぬ内にまたモデルチェンジとなった六代目のTMAX530SX/BX3型とDX/BC3型。

最初に変更点を上げると

・デザインを一新
・ABSを標準化
・YCC-T(電子制御スロットル化)
・D-MODE(2モード出力切り替え)
・トラクションコントロール
・新設計アルミフレーム
・新設計アルミロングリアアーム
・新設計二連アナログ&TFTメーター
・可変スクリーン(二段階55mm差)
・プーリーとベルトの再設計
・マフラーの再設計
・リアホイールのリムを0.50縮めバネ下軽量化

という感じで電子制御だけでなく車体の方も大きく見直されました。

TMAX530SX/TMAX530DX

DXは上記に加え更に
・グリップヒーター(SXも別売で用意)
・シートヒーター(SXも別売で用意)
・クルーズコントロールシステム
・プリロード&伸側減衰力アジャスター付きリアサス
・電動スクリーン(無段階135mm差)
・+3kg

が装備された上位版になります。

特筆すべき変更点としてはまずフレームが新しく作り直された事。

2017TMAXフレーム

青いほうが2017年式の方なのですが肉を削ぎ落として9kgの軽量化。

更にベルトやホイールのリム幅をワンサイズ細く(タイヤサイズは変わらず)し合計で10kgの軽量化。

リアまわり

フレームを短くしてホイールベースが短くなった分、スイングアームを一気に40mm伸ばし脚長モデルへと変貌。コレにともなってリアサスペンションもリセッティングされています。

更に電子スロットル化も恩恵が大きく、電子制御はもちろんのこと挙動もかなり調教されたものに。

2017年式TMAXメーター

ところで日本は関係ないんですが欧州ではこのモデルから

『My TMAX Connect』

『D-Air』

への対応も追加されました。

My TMAX Connectというのは日本にとっては懐かしいボーダフォンとヤマハの提携サービスで、データロガーはもちろん追跡はもちろん遠隔でホーンを鳴らしたりウインカーを付けたり出来る早い話が監視サービス。

My TMAX Connect

そしてもう一つのD-Airはダイネーゼというイタリアのバイク用ウェアを中心に作っているスポーツウェアメーカーが10年掛けて開発したエアバッグシステムの事で凄いのはワイヤレスだという点。

エアバッグシステム自体は前からあるしレースなんかではもう常識なんですが、一般用途においてはランニングマシンのように作動用コードでバイクと繋ぐ必要性があったりする煩わしさがあった。

それをダイネーゼはセンサーをジャケット(背中プロテクター)に内蔵する事でワイヤレス化に成功したというわけ。

2017年式TMAX

1秒につき約800回ライダーの動きを収集し、転倒と判断したら僅か0.045秒という速さで展開するエアバッグシステム。これは自動車のエアバッグと同等の速さ。

そしてTMAX530はそんなD-Airシステムの正確性を更に増すため、TMAXからも作動信号を送れるコントローラーを内蔵出来るようした(コントローラーはオプション)というわけ。

2017年式TMAX

当然ながらタンデムの事も考えて2名までコントロール出来るようになってます。

イタリアで絶大な人気を誇る車種らしい装備って感じですね。日本のウェアメーカーも早く追い付いて欲しい物です。

ちなみにMy TMAX Connectも向こうの人にとっては保険のクラスが下がるから非常にありがたい装備。

2017年式TMAX SX

向こうは車種によって保険料が違うのでバイク選びに保険が直結するんですが、今回のモデル分けでそのアプリ機能が付かない無印は今までのTMAX同様にA2ライセンス(日本でいう普通二輪扱い)。

それに対しMy TMAX Connectによる速度警告機能やGPSによる追跡といった機能と、Aライセンス(日本でいう大型)扱いのおかげで保険が更に下げられる事になっています・・・まあつまり日本で乗る分にはあまり重要ではないです。

ちなみに向こうでは先代も名前をTMAX LUX MAXと変えて併売しました。

2017年式TMAX DX

これはEURO4(規制)の猶予が現行車の場合1年あるから。写真に載ってる通りイタリアなどでは低金利キャンペーンをやってるみたいです。

先代もそうだけどTMAXが凄いのは新型が出てもこういったキャンペーンで型落ちだろうが同じくらい売れる事。日用品としての広く認知されている事の証ですね。

ちなみにこのモデル大きく変更したためかヤマハも主戦場であるイタリアのEICMAモーターショー2016で特別に別の会場を用意する力の入れっぷりでした。

EICMA-TMAX

会場の駐輪場は案の定TMAXだらけに・・・。

最後にちょっと余談ですがTMAXで外せない要素なのに書き損ねた事があるので書かせてもらいます。

2017年式TMAX顔

みなさん

「TMAXは実は三気筒」

というのをご存知でしょうか。これは初代から一貫してです。

諸元をみてもらうと分かる通りスペック上はパラツイン(並列二気筒)と書かれている。

一体どういうことかというとTMAXは面白い事にパラツインでも稀な360度クランクを採用しています。

※補足:二気筒エンジンが七変化した理由-クランク角について-

つまり本来ならシングル顔負けの振動を起こすわけですがTMAXは振動は起こりません。それは当然ながらバランサーがあるから。

バランサーというのはその名の通り振動を相殺してくれる重りの付いた棒でバランサーシャフトとも言われています。下の写真は同じ360度ツインエンジンを搭載しているW800のエンジン。

バランサーシャフト

これが振動を消してくれる事で振動を抑えているわけです・・・が、ではここでTMAXのエンジンを改めて見てみるとバランサーが見当たらない。

バランサーシャフト

それもそのハズTMAXにバランサーシャフトは付いておらず代わりにもう一つシリンダー(赤い矢印の部分)が付いている。

『往復式ピストンバランサー』

と呼ばれる方法で、プラグやバルブといった内燃機関は持っておらずバランサーとして前の二気筒と反対のストローク運動をして振動を消しているというわけ。

バランサーピストン

360度で等間隔だから等間隔に二気筒分のカウンターを当ててやれば綺麗に消せるという事。

これは自動車の水平対向四気筒エンジン等と同じ思想。

だからTMAXのエンジンは

「水平対向と同じ特性を持つ水平対向三気筒・・・のような横型並列二気筒」

という実に面白い形なんですね。非常にややこしい言い回しですが。

リアスタイル

「そもそも何故そうまでして360度に拘ったのか、180度じゃ駄目なのか」

って話になりますよね。

スポーツバイクは基本的に180度クランク。それに対し360度クランクは振動面(重量やスペース)で不利なのでノスタルジックなモデルに採用されるエンジン。

それなのにスポーツスクーターのTMAXは何故360度なのかって・・・これは360度という等間隔燃焼による穏やかなトルク変動がコミューターには必須だと判断されたから。

しかしエンジンの高さは抑えないとシート高が更に高くなったり、メットインスペースを犠牲にする問題が出てくる。しかし振動を嫌ってラバーマウントにしてしまうと剛性が落ちてしまう。

TMAX三気筒

そこで考えられたのがピストンを水平に寝かせつつ反対側にバランサーピストンを仕込むことで高さを抑えた世にも奇妙なエンジンというわけ。

これ本当に面白い話でTMAXは

「電動と思わせるほどエンジンの存在感を消す事」

というのがコンセプトにあるんですが、何度も言うように360度クランクっていうのはどちらかというとエンジンの存在感を出す際に採用される主張の強いタイプ。

それを隠れピストンで完全に取り除き、360度本来の武器であるトルク変動の少ない等間隔燃焼という特性だけを残した。

2017tmax壁紙

つまりTMAXというのはスポーツコミューターであると同時にノスタルジックの対極に居る

「フューチャリスティック360度ツインスポーツ」

なんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/765/1420~1475mm
[2200/765/1420~1555mm]
シート高 800mm
車軸距離 1575mm
車体重量 215kg(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 20.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 46ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,150,000円(税別)
[1,250,000円(税別)]
※スペックはSX(BX3)
※[]内はDX(BC3)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530(2PW)-since 2015-

五代目TMAX

「上質を、堪能しよう。」

熱も冷めぬ内にマイナーとはいえモデルチェンジされ五代目となったTMAX/2PW型。調べてみたら先代が日本では2013年の6月発売、そしてこの後期モデルの2PWは2015年1月でなんと2年も経ってない。

変更点を上げると

・LEDヘッドライト
・倒立フォーク
・ラジアルマウントキャリパー
・インテリジェントキー(スマートキー)

などなど。

五代目TMAX

ドレスアップの意味合いが強い変更となったわけですが、やはり目につくのは倒立フォーク。しかもYZF-R1の初期モデルと同径の太いタイプでラジアルマウントキャリパーまで装備。

倒立サス

「コミューターなんだから正立の方が切れ角とか稼げるし良いのでは」

と思うんですが、これは主戦場である欧州のTMAXユーザーに対し

「変更するならどこを変更して欲しいか」

というアンケートを取ったところ

「倒立フォーク、LEDヘッドライト、インテリジェントキー」

という結果が出たことから搭載されることになったという話。やはりコミューターとして人気なのでそこら辺の声には敏感なんですね。

イタリアモデル

それに初代で説明した通り気持ちはYZF-R5でもあるのでまあ倒立フォークも不思議なことでもないのか。

ただTMAX界隈に一番衝撃を与えたのは倒立フロントフォークでもラジアルマウントキャリパーでもない・・・LEDヘッドライトです。

LEDヘッドライト

「そんなことが衝撃なのか」

と思うかも知れませんがLEDになってTMAXは大きく変わった事があるんです・・・それは

LED点灯

『両眼点灯』

になったことです。

TMAXはこれまで歴代全部片眼点灯でした。

片眼点灯の理由についてネットでは

「両眼点灯だと眼の間隔が狭いため、距離が遠いと勘違いされて事故が起こるから」

などが言われてますが、少なくともTMAXは難解な理由じゃない・・・その理由とはズバリ

「欧州では片眼点灯が流行ってるから(ヤマハ談)」

至極単純ですね。

2015TMAX顔

これは欧州で大人気の耐久レース影響。向こうでは片眼点灯がスポーツの証みたいなイメージがあるから、ただのビッグスクーターではなくビッグスクーターの皮を被ったスポーツバイクみたいなTMAXも採用されていたという話。

しかし一方で日本ではあまり耐久レース文化が根付いていない事もあってか

「球切れみたいで見窄らしい」

という意見が多く自分で両眼点灯に改造したり。まあこれはTMAX530に限った話ではないですが。

2015TMAX530

それが今回LED化に伴い高級感を出すためか欧州での流行りが終わったのか定かではありませんが、両眼点灯に生まれ変わったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/775/1420mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 222kg(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 21.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 48ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 980,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530(59C)-since 2013-

四代目TMAX

「Try the Maximum」

四代目になったTMAXの59C型。このモデルからは正確に言うとTMAX530という名前になりました。

ちなみにグッドデザイン賞に続いてこのモデルでは権威あるドイツのレッドドット・デザインアワードで見事

『プロダクトデザイン2012』

を受賞しました。確かに格好良いですもんね。

話を戻して最初に変更点を上げると

・ボアを2mm拡大し530ccに
・合わせて吸気バルブも1mm拡大
・アルミ鍛造ピストン
・バランサーにアルミスリーブ追加
・メインフレームの見直し
・新設計アルミスイングアーム
・チェーンドライブからベルトドライブに
・282mmの大径リアブレーキ
・プロジェクターヘッドライト
・LEDテールライト
・アルミサイドスタンド
・ABSモデルの追加

などとなっています。

四代目TMAXカタログ写真

このモデルで特筆すべき点はエンジンを530ccまで上げ加速性能を向上させた事もそうなんですが、TMAXの特徴の一つであった2段掛けチェーン駆動がベルト駆動になった事。

ベルトドライブ

これは騒音規制への対応とバネ下のさらなる軽量化(-3.5kg)、そして遊びが少ないことによるリニアな反応が狙い。

そんなTMAX530なんですが先行発売していた欧州でどうだったかと言えば2012年には販売台数一位(約16000台)を記録したようです。販売台数一位というのは125cc等の原付も含めた数。

もう凄いとしか言いようがないですね。10年4代で人気が全く落ちない。

XP530

書き忘れましたがこのTMAXは逆輸入モデルより国内仕様のほうがカタログスペックが上という珍しいバイクだったりします。

これは2013年から国内の騒音規制が欧州に順従する形となった事と、元々TMAXの開発コンセプトにエンジンの存在を消すという目的があった事。

そしてベルトドライブになった事などが挙げられ国内用マッピングに合わせた際に変わった物かと。

TMAX_giro

あとイタリアの一番有名な自転車レース『ジロ・デ・イタリア』では伴走車として活躍したりしました。

ピンクも意外と合いますね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/775/1425~1475mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 217kg(装)
[221kg(装)]
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 48ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 920,000円(税別)
[970,00円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(4B5)-since 2008-

三代目TMAX

「スポーツコミューターの進化」

初めてのフルモデルチェンジとなった三代目のTMAX/4B5型。

最初に変更点を上げると

・アルミフレーム
・モノブロックMOSキャリパー
・エンジンのリセッティング
・新設計アルミホイール
・フロントも15インチへ
・キャスター角やホイールベースの見直し
・燃料タンクを+1Lで15Lに

などとなっていますが、何より特筆すべきはフレーム。

SJ08J

なんとフレームがアルミのしかもダイキャスト製というスクーターにあるまじき豪華なものになりスポーツ性が更に向上。

加えてブレーキキャリパーもR1と同じ住友のMOSキャリパーを奢られ、もう本当に

「お前はスーパースポーツか」

と突っ込みたくなるような構造に。

2008TMAX

ヤマハの資料によるとこの頃は欧州だけで20000台/年という更にありえないほどの売れっぷり。当時の欧州ビッグスクーター市場は50000台前後なので約半数をTMAXが占めてる事になる。どんだけ・・・ちなみにメインはイタリアやフランス。

向こうのヤマハ販売店は一店舗でTMAXを年間300台売ることも珍しくないんだとか。

TMAX WGPカラー

念の為に言っておきますが向こうでも決して安い乗り物ではないです。日本と変わらない値段。

じゃあなんで売れるのかっていうとA2免許(日本でいう普通二輪)という事もあるんでしょうが、一番はスクーターに対する認識の違いでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2195/775/1445mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 222kg(装)
燃料消費率 25.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7000rpm
最高トルク 4.5kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 900,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(5UV)-since 2004-

二代目TMAX

「より高いライディングプレジャー」

僅か三年足らずでモデルチェンジとなった二代目のTMAX/5UV型。

最初に変更点を上げると

・フロントフォークのインナーチューブ径アップ
・5本スポークホイール
・リアホイールを14インチから15インチへアップ
・フロントWディスクブレーキ化
・前後ラジアルタイヤ化
・FI化と圧縮比の向上
・三元触媒の採用
・新設計デジタルメーター
・パーキングブレーキ

などとなっています。

二代目TMAXカラーバリエーション

この頃もう既にTMAXによって欧州でもビッグスクーターブームが起きててライバル車が数多く出ていたんですが、一番人気キングオブスクーターの座はパイオニアだったTMAXで変わらず。

理由はもちろん初代でも話した通りビッグスクーターの延長線上にいるスポーツモデルではなく、スポーツバイクの延長に居るようなビッグスクーターだったから。

SJ04J

結果としてTMAX人気は留まるところを知らず発売から僅か三年で4万台を超える販売台数を記録。その後も一万台以上/年をコンスタントに売り上げ欧州ヤマハの顔にまで成長しました。

売れるから開発費が掛けられる、開発費が掛けられるから良いモデルが造れるという正のスパイラルに突入したわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2235/775/1235mm
シート高 795mm
車軸距離 1575mm
車体重量 225kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7500rpm
最高トルク 4.6kg-m/4500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-14(55H)
後160/60-15(67H)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 809,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(5GJ)-since 2001-

初代TMAX

「ニュー・オートマチック・スポーツ」

キングオブスクーターことTMAXの初代モデルである5GJ型。

当時のヤマハとしてはTMAXはビッグスクーターじゃないという旨の事を言っていて、公式サイトでもスクーターカテゴリじゃなくスポーツバイクカテゴリに入れていました。

その根拠は何かって話ですが、それは構造にあります。

初代TMAX

確かにTMAXはオートマチックに加え33Lのトランクスペースというビッグスクーターの武器を備えているんですが、ビッグスクーターらしさがあるのはほぼそれだけ。

まず第一にビッグスクーターといえばフレームはネイキッドのフレームを押し下げたアンダーボーンやダブルクレードルフレームが一般的なんですが、TMAXは水平に寝かせた並列二気筒エンジンを剛性メンバーとして積極的に使うダイヤモンドフレームに積んでいる。

TMAX500内部

そしてフロントフォークもブラケットで懸架されたオートバイタイプ。

さらに駆動方式もスイングアームとエンジンが一体になっているスイングユニット式が一般的なのに対し、リアアームが分かれているスイングアーム式で最終駆動もチェーン。

これはスイングユニット式だとエンジンをダイレクトマウントして剛性メンバーとして使うことが出来なくなる上に、バネ下重量が激増してしまい路面追従性が悪くなってしまうから。

チェーン式無段階変速機

つまり簡単にいうとTMAXっていうのは見た目はスクーターのなんだけど造りは完全にスポーツバイクなんですね。

これがTMAXがスクーターじゃないと言われる所以で開発者は

『YZF-R5』

を目指して造ったとの事。

XP500

「そもそも何故こんなモデルを造ろうと思ったのか」

という話ですが、これはヤマハが1995年に出したビッグスクーターの代表格としてお馴染みマジェスティにあります。元々マジェスティは日本向けに出した面が強かったんですが欧州でも販売したところ

「荷物も詰めてソコソコ機敏に走れる楽ちんバイク」

として予想外のヒットとなった。

しかし向こうの人は体格の大きくスポーツ性にもうるさいのでソコを狙って開発されたのが

「テクノロジーをマックスで詰め込んだTMAX(Tech MAX)」

というわけ。

2003TMAXブラックエディション

その狙いは見事に的中し、初年度の欧州だけで9000台も販売。キングオブスクーターとして大好評となりました。

ちなみに日本のグッドデザイン賞を受賞したバイクでもあるんですが、その中でも金賞を獲得したのは国産バイクではこのTMAXだけだったりします。

主要諸元
全長/幅/高 2235/775/1235mm
シート高 795mm
車軸距離 1575mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率 30.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7000rpm
最高トルク 4.5kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-14(55S)
後150/70-14(66S)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 740,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TRICITY155(BB8)-since 2017-

トリシティ155

「Leaning Multi Wheel 第二弾」

高速道路も乗れてしまうTRICITYの155ccモデル。

「これで高速はちょっと・・・」

と思う人もいるかもしれませんが、高速道路を乗ったことがある人なら誰もが経験する横風による煽りも反対側のタイヤで踏ん張るので強かったりします。

というかトリシティというと前二輪でコケないというアピールとイメージが強すぎて、”横風に強い”とか”実質Wディスクで制動性に優れる”とか”乗り心地が凄く良い”というその他のメリットが全くもって伝わってないですよね。

トリシティ155UK仕様

まあコレばっかりは乗らないと分からないから仕方ないか。ちなみにブレーキもちょっと変わってて、本来ならリアブレーキの役割を担う左レバーが前後を担う前後ブレーキとなっています。

さて155はただ125の排気量アップかなと思ったらコチラのモデルはブルーコアエンジンなんですね。

ブルーコア

ブルーコアエンジンというのはヤマハが社内のエンジニアを総動員して作ったとされる新世代の低フリクション(低燃費)エンジン。

ブルーコアエンジンにもバリエーションが幾つかあるんですが、TRICITY155に積まれている物はNMAXの物と同様ブルーコアエンジンの中でも最上位の水冷モデル。

ブルーコアエンジン

燃焼時にピストンとコンロッドが一直線上になるオフセットシリンダー、冷却性に富んだオールアルミのDiASil(ダイアジル)シリンダー、エンジン横に設けられたコンパクトなラジエーター、低中速域と高速域での燃焼効率を両立する可変バルブVVAなどなど。

ブルーコアエンジン

最近可変バルブを取り上げる機会が多いですね。ちなみにこれもCBのVTECやBanditのVCとも動きは違います。

可変するのは吸気側のみで、BanditのVCエンジンのように中低速用と高速用のカムとロッカーアームの両方を備えており6000rpmを超えると中低速用のロッカーアームと高速用のロッカーアームを連結させる事で高速用に切り替えてる。

ヤマハVVAシステム

車の方では一昔前までメジャーだった方法。

これらの装備により従来モデルに比べ燃焼効率が50%も伸びたそう。MotoGPのエンジニアも呼び寄せたと言うだけの事はありますね。

既存の5種類以上ある小排気量エンジンを3種類のブルーコアエンジンに集約する為、1基辺りにお金かかってる事もありますが。

tricity155白

まあそんなメカニズムの話ばかりしても面白くないのでちょっと蛇足。TRICITYに対する声で多いのが

「屋根つけろ」

という意見。

確かにこれに屋根をつければ車代わりになれそうな気がしないでもない。

法律でも全長は車体長以内、高さは2m以内なら認められています・・・では何故メーカーは屋根を用意しないのかですが、恐らく2つ理由あると思います。

理由その1:車体価格が高くなってしまう

非常にシンプルかつ有力な理由。

屋根付きバイクとして現存している国産車にホンダの商用原付GYROがあります。ピザ屋でおなじみですね。

ジャイロ

ジャイロは屋根のついていないジャイロXが358,050円なのに対し、屋根付きのジャイロキャノピーは523,950円。その差16万円ほど。装備が若干異なっていますが基本的に同じバイクです。

これをTRICITYに当てはめると50万円を超える。50万円を超える125/155を買う人は125最速のYZF-R125/MT-125の売れ行きを見てもほぼ居ない。

理由その2:転んだ時に危ない

バイクというのは転倒する危険性があります。それは三輪のTRICITYでも可能性は既存のバイクよりも低いけどある。

プロであるバイクレーサーの転倒シーンを思い浮かべてもらうとわかりますが、転倒した時には必ずバイクから手を離しリリースしています。これはバイクに巻き込まれる事が一番危ないことを知っているから。

転倒

もし屋根があったら横になった屋根と車体に閉じ込められてシェイクされてしまう危険性が非常に高くなるわけです。バイクメーカーはちゃんと転倒時の事も考えて作ってるんですよ。

だから社会的責任を伴う規模の大きい日本メーカーとしては

「屋根が欲しいなら自分で付けて」

というスタンスで屋根付きを出さないのではないかと思います。

そういう事に一番うるさいホンダがGYROで出してるのは30km/hしか出せない商用の原付だからかと。

余談ですがイタリアのADVIA(アディバ)というメーカーが電動開閉機能の付いたバイクを出しています。

ジャイロ

電動開閉のオープンカーならぬオープンバイク。世界で特許を取得済み。

ただ当然ながらお高く、125でも50万円を超えます。しかも重い。

あと屋根をつけろと言ってる人に言っておきたいのが、屋根をつけても普通に濡れます。濡れないのは上半身だけで肩から手、下半身への浸水は防げません。大人しく合羽着るのが安くて確実です。

トリシティに関係ない話ばかりですね。

MW155

でも恐らくバイクに乗られてる方はTRICITYに興味のない、または一度乗ってみただけの興味本位の人、ぶっちゃげると

「これ買うくらいならNMAX買う」

って人が多いかと思います。

でもそれはヤマハも狙い通りというか織り込み済みで、このバイクは新規需要掘り起こしを狙って作られた側面が強いバイク。国内新車販売台数100万台という目標に向けてヤマハが出したバイクでもあります。

というのもヤマハが過去に行った調査でバイクに乗らない人の乗らない理由を聞いたところ

「転倒が怖い」

という意見が大多数を占めていた。

つまりトリシティというのはそういった声を聞いて作られたバイクなんです。自立しないので前二輪であろうとコケる時はコケる。でも前にタイヤが2つあるから”転倒しなさそう”というイメージが湧いて転倒の怖さを軽減してる。後ろに乗る人も前が二輪だと安心でしょう。

二人乗り

芸能人の多用など普通では見ないような方法で宣伝をしている事を見ても、ターゲットが我々バイク乗りでは無いことは明白ですね。

そういった層がメインターゲットだからトリシティ(125)は原二クラスの中でも年間8000台前後と新型原二としては今ひとつな販売台数なんだけど、新規(またはリターン)ライダーの割合は恐らくトップかと思われます。

欧州モデル

トリシティでリーンというバイクでしか味わえない面白さを安全に知り、バイクに目覚めている人が増えているのは間違いない。

そう考えるとトリシティが市場に与える影響というのは”販売台数”という数字だけで片付けられる簡単な物ではないでしょう。

余談:トリシティに興味のない既存のバイク乗りへ

関係のない話ばかりしてきたのはあんまり興味が無かったからなのですが、密かにブームの兆しを見せている遊びを見て改めました。

それはトリシティによるオフ路走行。発端はタンデムスタイルさん(参照)かな?

トリシティオフ走行

もともと石畳やギャップを物ともしない走りが武器だから、多少の悪路はそつなくこなせる走破性を持ってる。

最低地上高が低いから岩だらけのガレ場とかの極端な場所は流石に無理だけど、多少の悪路なら写真のようなブロックタイヤを履かずとも難なく走れるしチェーンを巻けば雪道でも走れるATV(四輪バギー)のようなバイクに早変わり。

デュアルパーパス顔負けな走りが出来るかもしれない。

でも元々そういう走行を前提にしているわけではないので、走行した場合は汚れ(特に砂など)をちゃんと落とすようにしましょう。

主要諸元
全長/幅/高 1980/750/1210mm
シート高 780mm
車軸距離 1350mm
車体重量 165kg(装)
燃料消費率 41.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 7.2L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 155cc
最高出力 15ps/8000rpm
最高トルク 1.4kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前90/80-14(43P)
後130/70-13(57P)
バッテリー YTZ7V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト BB8-E7641-00
車体価格 420,000円(税別)
系譜図
トリシティ125 2014年
TRICITY125/A
(2CM)
トリシティ155 2017年
TRICITY155
(BB8)

【関連車種】
PCXの系譜LEADの系譜CYGNUSの系譜Addressの系譜

TRICITY125/A(2CM)-since 2014-

トリシティ125

「Leaning Multi Wheel」

2013年の東京モーターショーで発表され話題になった前二輪の三輪車。でも一応原付二種というバイク扱いなので小型二輪以上の免許が入ります。これくらいなら自動車免許でも良いような気も・・・。

知らない人の為に補足しておくと、この前二輪のバイクを一番最初に出したのはイタリア最大手のPIAGGIO(傘下にVespa・aprilia・MOTO GUZZI)というバイクメーカーから出たMP3というバイクが初出。

PIAGGIO MP3

2007年に発売され、欧州でヒットを飛ばしました。

向こうでは国によっては車の免許で乗れたり、数時間の講習を受けるだけで乗れたりする事もヒットの要因だったりします。フランスが正にそれで、2015年時点で70000台も売れるほどの大ヒット。

という事でフランスのメーカーでスクーターを作ってたプジョーからもMETROPOLISという同じタイプのバイクをトリシティが出る2年前の2012年から発売。

プジョー メトロポリス

つまりトリシティは遅い登場だったわけですが、ヨーロッパでの評価やシェアが高いヤマハとプジョーに市場を奪われたピアジオが怒って2015年に特許侵害で訴訟。判決は探しても見つからなかったのですが、今でも普通にヤマハもプジョーも売っているので敗訴か和解をしたんでしょう。

というかそれが特許侵害になるとテレスコピックサスペンション(一般的なフロントフォーク)を採用しているバイクは全部BMWの特許侵害になっちゃいますし。※テレスコピックサスペンションはBMWが発祥

ヤマハとしてはトリシティの元になっているのは実は34年前に作っていたパッソル。

三輪パッソル

HY戦争でもっと台数を稼ぐために考えた案の一つにコレがあった。もしもHY戦争が長引いてたり勝ったりしてたらもっと前に出てたかもしれませんね。

ちなみに三輪の初出は1974年にダイハツが造った

『ハロー』

というモデル。

ダイハツハロー

今でこそピザ屋やヤクルトで多少は見慣れている形ですが当時は異端車でした。

って、いい加減トリシティの話をしろと怒られそうなのでトリシティに話を戻しましょう。

トリシティで語ることと言ったらLMW(Leaning Multi Wheel)つまり前輪が2つあることですね。

LMW

これは片持テレスコピックサスペンションとそれを支えるハンガー状のパラレログラムリンクというレイアウトになっており、バイクのようでバイクじゃない様なフロントまわりをしてる。

一つのホイールにつき二本を付けてるのでなかなか迫力のある足回りですが、片側二本のうち前の方はガイドのみの役割でサスペンションとしての仕事は後ろのフォークが担っているとの事。

LMWメカニズム

片持ちだからタイヤ交換が凄く楽そうに見えるけどキャリパーも内側だから逆に大変なのかな。恐らくタイヤライフも荷重が二分するのでタイヤ交換の機会は減りそうですが。

どうしてパラレログラムリンクなんていう仕組みになってるのかというと、左右のタイヤを車体と同様に左右を狂いなくリーン(傾け)させて曲がるため。大島優子さんが”り~ん”と言って手を傾けていたのが記憶に新しいと思います。

大島優子トリシティ

ちなみに当時トリシティに試乗したら大島優子さんのクリアファイルがもらえるっていうキャンペーンがあったんですが、バイク屋に在庫の電凸する人や、(免許を持っていない事から)クリアファイルだけクレと交渉しに来る人などで溢れかえり一部のバイク屋は大変だったとか・・・AKBの力恐るべしですね。

さっきから脱線してばかりですね。スイマセン。

じゃあこのパラレログラムリンクがどういう仕組みなのかって事ですが、前にタイヤが二輪もあるからといって左右のタイヤの動きがバラバラだったり、片方が接地しなくなる事があると安定せずに危ない。

トリシティ車体構成

両方同じように傾き、同じように設置する必要がある。つまり今まで一輪で100担っていた仕事量を左右で綺麗に50:50にしないといけないわけです。その為のパラレログラムリンク・・・って言っても分からないですよね。

まあとにかくこうしたのは何度も言いますがリーンするため。

トリシティハンドリング

「トリシティってどんなハンドリングなんだろう?」

と考えている方も多いと思いますが、若干安定性重視ながら基本的にバイクと一緒。それはパラレログラムリンクによって一般的なバイクと同じようにリーンで曲がるからです。

主要諸元
全長/幅/高 1905/735/1215mm
シート高 780mm
車軸距離 1310mm
車体重量 152kg(装)
[156kg(装)]
燃料消費率 38.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 6.6L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/9000rpm
最高トルク 1.0kg-m/9000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前90/80-14(43P)
後130/70-13(57P)
バッテリー YTZ7V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ
Vベルト 2CM-E7641-00
[BB8-E7641-00※18以降]
車体価格 330,000円(税別)
系譜図
トリシティ125 2014年
TRICITY125/A
(2CM)
トリシティ155 2017年
TRICITY155
(BB8)

JOG CEH50/D(B3K)-since 2018-

CEH50

「NEW JOG」

九代目にあたるCEH50/B3K型。

ニュースでも大々的に取り上げられたのでご存知の方も多いと思いますが、このモデルからJOGはホンダ生産となりました。

タクトとジョグ

ハッキリ言ってしまえばタクトと共有。CEH50の”H”はホンダのHなんでしょうね。

だから基本的にはタクトと同じでエンジンも新世代のeSPエンジンです。

ESPエンジン

ホンダ一押しのコンビブレーキ(後輪ブレーキで前輪もかかる)や後輪ロックレバー(ブレーキ固定)も付いています。

ただアイデンティティであるフェンダーボディと鋭いヘッドライトはキープし、どう見てもJOGにしか見えないのは凄い。

カタログ写真

グレードは二つに絞られ、豪華版のデラックスはアイドリングストップ機能やステッチシートなどを装備。

デラックスとの違い

一方でノーマルは705mmとシート高を15mm抑えたモデルで先代のプチ的なモデルですね。

しかしながら80年代に正面衝突したホンダとヤマハが、タクトとジョグがまさか手を取り合う事になると誰が予想したでしょう。

当時そんな予言をしたら鼻で笑われるどころか病院に連れて行かれるレベルですよ。

ちなみにこうなった原因は数が出ること前提だったから安く販売できていた原付市場の大幅な縮小にあります。

もともと原付一種(以下:原付)は80年をピークに右肩下がりでした。それはHY戦争による飽和やヘルメットの義務化などもありますが、大きいのは有名な『3ない運動』ですね。

原付需要の低下

原付に乗ってるだけで不良の様な扱いを受けてしまう社会になってしまい2000年には1/4まで縮小。

メーカーも低価格を維持するために中国や台湾など海外生産に切り替えることでコストを抑えていたんですが、更に追い打ちをかける様な市場への冷や水があり限界を迎えた。

50cc市場

2006年からの駐禁取り締まりです。

これによりシティコミューターという地位を完全に剥奪され市場規模は全盛期の1/10にまで縮小。

そして2020年にはさらなる排ガス規制強化というコスト増要因が控えてる。

そんな首が回らない状況になったからホンダとヤマハが業務提携する事になったんです。

タクトとジョグ

これはもう本当に仕方がない。

自分達で造っても高くなるヤマハ、ヤマハの分も造れば更に安くできるホンダ。

両社の思惑が合致する形となったわけですが、これは結局ホンダもヤマハも原付に対する考えが一緒だったから提携が出来た話。

原付提携

「原付はもっとも身近な車」

という考えです。

一日一万円で免許が取れて、月収で買える行動範囲を大きく広げる乗り物なのが原付。

そんな原付を重宝している人、もっと言うと

「原付がないと生活できない人」

というのがどんなに市場が縮小しようと少なからず居る。

そういう人たちの為にも安価で高品質な原付を提供し続けるという『社会的責任』を果たす必要があると両社が考えていたから業務提携できた。

要するに撤退は有り得ないんです。

2018JOG

そしてそんな中でも

「下駄車といえど少しでもカッコイイのが良い」

という声に応えるように誕生し、いまも続いているのがジョグ。

ヤマハジョグ

だからジョグというのはヤマハの社会に対する責任感を示しているバイクでもあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 1675/670/1040mm
シート高 705mm
[720mm]
車軸距離 1115mm
[1125mm]
車体重量 78kg(装)
[79kg(装)]
燃料消費率 58.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 4.5L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.5ps/8000rpm
最高トルク 0.42kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後80/100-10(46J)
バッテリー GTZ5VS
[GTZ6V]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ レッドバージョンフォースクーター
MB規格10W-30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.7L
交換時0.65L
スプロケ
Vベルト 2JA-17641-00
車体価格 109,000円(税別)
[129,000円(税別)]
※[]内はジョグDX
系譜図
27V 1983年
CE50E/ES
(27V/48F/1KX/1RN/2EX)

CG50 1987年
CG50E/ED/ES/Z
(2JA/2TA/2TE/3CP)
CY50 1989年
CY50/D/H/HS/Z
(3KJ/3RY)
YG50 1991年
YG50/D/Z/ZS/EX
(3YJ/3YK)
YJ50 1994年
APRIO
YJ50/EX/S/R
(4JP/4LV/5AU)
YV50 1997年
YV50/C/Z/H
(5BM/5EM/5GD)
CV50 2001年
CV50/A/R/ZR
(5KN/5PT/5SU/5SW)
CE50 2007年
CE50/D/P/ZR
(3P3)
CEH50 2018年
CEH50/D
(B3K)

JOG CE50/D/P/ZR(3P3)-since 2007-

CE50

「ニューフレンドリーJOG」

4st化とFI化その両方を一気にやってきた八代目のCE50/3P3型。

まだまだ記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。

カタログ写真

こっちはキャストホイールとディスクブレーキを装備したデラックス/CE50D型。

もちろん一番人気のZRもモデルチェンジ。少し上品になったリアスポイラーと赤いキャリパーやクリアレンズが特徴です。

4st ZR

エンジンなどのスペックはノーマルと同じです。

さて、このJOGは最初にも言ったように、そして巷でも言われている通り環境規制による4st化で遅くなりました。

行程が二倍になって重くなるから仕方がない話なんですが、少しでも良くしようと考えられたのがヒシヒシと伝わってくる。

分かりやすいのが圧縮比で、このJOGは【12.0:1】と圧縮比がべらぼうに高い。これはYZF-R1/R6に次ぐ高さ。

モビスターカラー

狙いはもちろんわずか栄養ドリンク一本分しかない燃焼室で少しでもパワーを稼ぐため。そこに2バルブではなく3バルブを組み込んで充填効率を上げつつ、水冷化で圧縮比も上げてパワーを稼いでいる。

CE50ラインナップ

そのおかげで4stジョグは遅いと言われる4st50の中では速い方です。

更に2015年にはわずか0.3馬力上げるために排気系を見直して4.5馬力になった・・・んですが2017年にはまた排ガス規制で-0.2馬力の4.3馬力っていう。

泣けてきますね。

そんな八代目の4st JOGですが、晩年の2016年に初代ことペリカンジョグの復刻カラーが限定1500台で販売されました。

ジョグスペシャル

何故ここに来て復刻カラーを出したのか・・・その理由は次のモデルで分かります。

※CE50P/3P3|JOG プチ(ローシート仕様)

※CE50D/3P3|JOG デラックス(キャスト&ディスク)

※CE50ZR/3P3|JOG ZR(上位サスやスポイラー等)

主要諸元
全長/幅/高 1685/650/1035mm
シート高 725mm
車軸距離 1160mm
車体重量 78kg(乾)
燃料消費率 66.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 4.4L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.2ps/8500rpm
最高トルク 0.40kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後90/90-10(41J)
バッテリー GTX5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ エフェロ4ミニスクーター
MB規格10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.78L
スプロケ
Vベルト 5ST-E7641-00
車体価格 138,000円(税別)
※スペックはノーマルジョグ
系譜図
27V 1983年
CE50E/ES
(27V/48F/1KX/1RN/2EX)

CG50 1987年
CG50E/ED/ES/Z
(2JA/2TA/2TE/3CP)
CY50 1989年
CY50/D/H/HS/Z
(3KJ/3RY)
YG50 1991年
YG50/D/Z/ZS/EX
(3YJ/3YK)
YJ50 1994年
APRIO
YJ50/EX/S/R
(4JP/4LV/5AU)
YV50 1997年
YV50/C/Z/H
(5BM/5EM/5GD)
CV50 2001年
CV50/A/R/ZR
(5KN/5PT/5SU/5SW)
CE50 2007年
CE50/D/P/ZR
(3P3)
CEH50 2018年
CEH50/D
(B3K)
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