GLADIUS400(VK58A)-since 2009-

グラディウス400

「美しさの中に宿る、鼓動。」

GLADIUS400も先代同様SFV650(GLADIUS650)の兄弟モデルとして登場。名前の由来はファミコンのグラディウスではなく古代ローマの短剣グラディウスから。

これぞスズキと言わんばかりの流麗を通り越して粘りが出たような凄いデザイン。

サイドビュー

ピボット&シートフレームと重なる後半分部分からシートフレームまでカバーが掛かったオシャレなトラスフレームに、一枚物の剣と思しきステップのヒールガード、更にその流れを止めないマフラー。

他にもSFV650 GLADIUS(VP55A)の系譜で書いた通りクランクケースカバーのロゴの向きやボルトレイアウトまで考えられている非常にこだわりが感じ取れるデザイン。

VK58Aカタログ写真

ちなみに日本車離れしたデザインである事からも分かる通りGLADIUSは欧州(独や仏)をメインターゲットにしたもの。

しかしコレが意外なことに日本の女性にもウケたようで、広報の方いわく購入者の三割は女性だったそう。

VK58A

スズキとしては貴重な女性ウケの良いバイクだったんですね。

そう考えると生産終了は勿体無い気が・・・

そんなGLADIUS400ですが少し深読みすると

「SV400の教訓が本当に生きてるな」

と感じます。

というのも『53馬力/4.2kg-m』と先代SV400並の侮れないパワーは相変わらず持ち合わせているんですが、それが嘘のようにジェントル。

良くも悪くもVツインであることを忘れるくらいスムーズなんです。

グラディウス400リアビュー

これは厳しくなった騒音規制が要因なんですが、それを逆手に取った面も強いかと。

日本ではヒュイーンというモーターの様に回る直四フィーリングを好む人が多く、ドコドコという不等間隔のパルス感を嫌う人が400でも多いという事がSV400でわかった。

グラディウス透視図

GLADIUS400がいわゆるVツイン感を大きく抑えてあるのはそこを打開するため。

だから正直に言うといわゆるVツイン好きがGLADIUS400に乗ってもピンと来ない人が多いと思います。

ただ逆にVツインに興味が無い人やVツインがあまり好きじゃない人が乗ると

「意外とスムーズだな」

と絶対に思う・・・GLADIUS400の狙いはソコ。

Vツインの魅力というと

『パルス感・鼓動感』

といった強い味がよく上げられますが本当はそれだけでなく

『寝かし込みの軽さやトラクション感』

といった分かり辛いけど確かに感じる味もあり、その味を伝えるために強い味であるパルス感や鼓動感を抑えてる面がある。

グラディウスキャラバン

『グラディウスキャラバン』

と称し全国津々浦々グラディウスの試乗会をスズキ主催のニューモデル試乗会とは別に開いて回ったのもそれを知って欲しかったからでしょう。

つまりGLADIUS400は従来のVツイン層ではなく、SV400で振り向いてくれなかったアンチVツイン層に向けている面が強いVツインスポーツ。

GLADIUS400

グラディウスキャラバンは既に全日程を終えているのでGLADIUS400に試乗する機会はあまり無いかもしれませんが、もし機会があったらVツインを食わず嫌いしている人ほど率先して乗ってみることです。

「意外とスムーズだな」

と思ってしまうこと間違いなし。

主要諸元
全長/幅/高 2130/760/1090mm
シート高 785mm
車軸距離 1430mm
[1415mm]
車体重量 206kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 55ps/11000rpm
最高トルク 4.1kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EIA-9
または
IU24D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 770,000円(税別)
系譜図
SV400/S 1998年
SV400/S(VK53A)
2009年
GLADIUS400(VK58A)

【関連車種】
CB400の系譜XJR400Rの系譜GSR400の系譜ZRX/ZZR400の系譜

GLADIUS(VP55A)-since 2009-

SFV650グラディウス

「It All Comes Down to Fun」

SVの後継といっていいのか、違う派生車と言ったほうがいいのか微妙な立ち位置にいるSFV650 GLADIUS/VP55A型。

ここまで気合の入ったトラスフレームは海外勢を入れても無いのではなかろうか。

グラディウス400

デザインに強弱が付いてるトラスフレームでステップやマフラーまで流れを止めず流してるデザイン。

そしてクランクケースにも一工夫されているんですが分かりますか。

クランクケース

車名や造形を敢えて斜めにし、ボルトも奥に追いやるという非常に凝った形状。

『エレガント&スポーティ』

と言うだけあってデザインにお金を掛けてる意欲的な造り。

ちなみにこれはドイツやフランスがメインターゲットなんだそう。

ただこれは『エレガント&スポーティ』のエレガント部。スポーティの方も手抜きなし。

SDTV(デュアルスロットルバルブ)化。そしてSVシリーズでは初となるメッキシリンダーで馬力が更に上がって72馬力になりました。

グラディウス

要するにSVよりもルックスを磨き、よりVツイン感を味わえるようにエンジンも手が加えられるのがグラディウスなんです。

しかし残念なことに国内外問わず思った程の評価は得られませんでした・・・その最もたる理由は車体価格。

イギリスで表すとSV650が£4999(ポンド)だったのに対してSFV650は£5499と10万円弱も高かった。

これはグラディウスがお金を掛けたから当たり前な話なんですが、SV650のコストパフォーマンスが良すぎた事が仇となってしまったわけですね。

イギリス仕様

「SVは間違った方向に進んでしまった」

と人気だった欧州でも言われる始末。

しかしコレも難しいんですよね。

確かにSV650はロングセラー車でしたが、いくら人気の車種といえど10年以上売ってれば当たり前ですが晩年は販売台数も落ち込みライバル車にリードを許す展開となっていました。

欧州においてSV650の弱点、SVを選ばない理由は

「安っぽい(実際安いんだけど)」

とか

「腐るほど見るから」

という理由。

グラディウス650

つまりグラディウスはそんな声に応える為に生まれた豪華絢爛版SV650なわけですけど、そんなグラディウスを見て

「グラディウスは割高」とか「こんなのSVじゃない」

とか言われたらどうしようも無いですよね。

SV650とグラディウス

「じゃあSV買ってよ・・・」

って話ですよスズキからしたら。

グラディウスカタログ

これは国内でも言えることで、グラディウス400で検索してみると

「SVベースで80万超えは高すぎる」

という意見が多い。

コスパのSVを安っぽいとして選択肢から外す人たちの為にグラディウスを作ったら、今度はコスパが悪いとして選択肢から外された。

スズキ グラディウス650

スズキは少しくらい怒ってもいいかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2130/760/1090mm
シート高 785mm
車軸距離 1445mm
車体重量 202kg(装)
[205kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 14.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 72ps/9000rpm
最高トルク 6.4kg-m/7600rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EIA-9
または
U24 IU24D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 840,000円(税別)
[890,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

SV650/S/SF/SA(VP52A後期)-since 2003-

SV650S後期

「PURE SPORT PERFORMANCE. PURE V-TWIN POWER.」

SV650のヒットのおかげで誕生する事となった長男SV1000と足並みを揃えた登場となった二代目のSV650/S。

FI化に加え先代のクラス初アルミオーバルトラスフレームから質実剛健なアルミダイキャストトラスフレーム。それに一目見ただけでSVと分かるテールライトが特徴的ですね。

SV650

実は成功した先代モデルの数少ない小さい問題点として

「高速道路やタンデム時にあまりにも優しすぎる(柔らかすぎる)」

という声がありました。

もともとSV650は街乗りを重視したモデルだったのでそれで正解だったんですが、あまりの人気で多目的に使われる様になったことからお金をかけてフレームを作り直し、剛性を上げる事で対応。

VP52A

ちなみにこの二代目は欧州では2014年まで売られるという本当に息の長かったモデルです。

大排気量主義な日本ではモトマップ扱いだった事もあり鳴かず飛ばずで知らない人も多いと思いますが、欧州ではスズキを代表すると言っても過言じゃないほどのロングセラー。

その人気は凄まじくライバルが不在どころか2008年に登場した身内のSFV650(グラディウス650)までも食ってしまうほど。

SV650ネイキッドモデル

普通は初代が成功するとハードルが上がるので期待に答えられず不人気車となってしまう事が多いのに、SV650は初代が大成功して二代目までも大成功したんだから凄いの一言。

長いモデルライフな上に晩年では日本で売らなったから少しマイチェンがややこしいんだけど、2007年モデルからはABSモデルの追加に伴ってラジエーターの幅を縮小、ブレーキ周りの見直し、フェンダーなどの各部修正などが入りました。

SV650SF

そして翌2008年モデルからはハーフフェアリングだったSモデルがフルフェアリングのSV650SFと+ABSのSAに置き換え。

シートも見直されて既に良かった足付きが更に良くなってます。

SV650SF

コレはコレでネイキッドに抵抗がある層から人気が出た。

ところでSVといえば(先代もそうですが)何とも言えない表情が特徴的ですよね。

日本ではアクが強いとかいう意見が多いですが、欧州人にはこれがとってもセクシーに見えるそうです。

SV650

このSV650の優れた特性とデザインを気に入ってる人は感性が欧州に近いんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2130/730/1175mm
シート高 800mm
車軸距離 1430mm
車体重量 171kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 72ps/9000rpm
最高トルク 6.3kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.1L
交換時2.3L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 790,000円(税別)
※スペックはSモデル
※モトマップ価格
※SV650/Fは正規販売なし
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

V-STROM650(VP54A)-since 2004-

ブイスト650前期

「Nothing To Stop You」

欧州を中心に大ヒットを飛ばしていたVツインネイキッドであるSV650のエンジンを使って作られたV-STROM650。

欧州で人気の旅の出来る『快適アドベンチャーツアラー』でStromとはドイツ語で風の流れを意味する言葉。

DL650アッパー

ただでさえ優しいと評判だったSV650をベースに更にシートを下げてハンドルも上げて、そのうえウインドプロテクションに優れたアッパーカウルとスクリーンを付けたんだから、優しくないわけがないわけが、そして何より不評なわけが無い。

既に成功を収めライバル不在と言わしめるほどだったSV650をあっという間に上回る人気車となり”アルペンマスター”と呼ばれるまでになりました。

何でもDL1000と合わせるとこのモデルだけで10万台以上売りさばいたとか・・・日本では考えられませんよね。

ブイスト650カタログ写真

ちなみに北米では1000の方が人気だからV-STROMといえば1000、かたや欧州でV-STROMといえば650、日本でV-STROMといえばブイストームと名前すら正しく覚えられていないレベル・・・バイク先進国同士でこれだけ違うって面白い。

主要諸元
全長/幅/高 2290/840/1390mm
シート高 820mm
車軸距離 1540mm
車体重量 189kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 66ps/8800rpm
最高トルク 6.1kg-m/6400rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(56H)
後150/70R17(69H)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.1L
交換時2.3L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|後47
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 830,000円(税別)
系譜図
DL650 2004年
V-STROM650
(VP54A)

Vストロム650ABS 2013年
V-STROM650/XT
(VP56A)
2017S 2017年
V-STROM650/XT
(C733A)

スカイウェイブ250S/SS/M/LTD(CJ46A/CJ45A) -since 2008-

CJ46A

現行スカブにあたるCJ46A型とCJ45A型。

少しややこしいんですが、

・標準モデルのスカイウェイブSベーシック

・グリップヒーターやロングスクリーンやナックルバイザーといった防寒装備のリミテッド

・エアロマスクやメッキハンドルなどを装備したカスタムのSS

この三種類がCJ46Aで、電子制御式CVT(変速モード)を付けたMモデルがCJ45Aとなってます。

どっちもマイナーチェンジが入ってるので合わせて紹介します。

まず電子制御CVTのMモデルは2007年に出てわずか一年でモード追加とスロットルシフト機能が搭載。

そしてノーマルタイプの方も旧型のままだったSSが現行ベースにモデルチェンジ。

スカイウェイブSS

つまりSS、タイプS、リミテッドがCJ46型でMがCJ45型。

そんなスカイウェイブは販売台数においてフォルツァやマジェスティに勝る事はないものの、250ビッグスクーター御三家と言われるだけあって食らいついて行くほどの人気はありました。

しかし、まあ知っての通りビッグスクーターブームが去ってしまった今となってはもう見る影もないほどの人気となっています。スカイウェイブに限った話ではないけどね。

更にバーグマンっていう新しいスクーターを出しました。そちらはソコソコ売れているようです。

BURGMAN200 -Since2014-

バーグマン200

これはタイ産の別のバイクになるんだけど、もともとバーグマンって言う名前はスカイウェイブの海外名だったわけです。ビッグスクーターと言うよりはイタスクに近いかな。

バイクのグローバル化が進む中で日本だけのガラパゴスバイクというは厳しい物があります。バーグマンという海外名を新型に取られた事からも察せます。

スカイウェイブ250はどうなるんでしょうね。長男坊の650は海外で通用している事もあってか比較的安泰なんだけど、250ビッグスクーターってのは日本特有だから逃げ道が無いんですよね。

主要諸元
全長/幅/高 2270/760/1225mm
シート高 710mm
車軸距離 1585mm
車体重量 214kg(装)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
{MTモード付きVベルト}
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 599,000円(税別)
[619,000円(税別)]
{670,000円(税別)}
※[]内はTypeS
※{}内はTypeM
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

ジェンマ(CJ47A) -since 2008-

CJ47A

「FULL FLAT 2-SEATER」

フォルツァ・マジェスティに対するスカイウェイブ、そしてマグザムやフュージョンに対するジェンマ。

2008年に登場(厳密に言うと現行スカブ250より数ヶ月あとに出てる)にも関わらず既に生産終了となった短命ビッグスクーター。

ところでジェンマと言っても今の人はこの250しか知らないと思うのでちょっと補足。

一番最初にジェンマというバイクが出たのはこの250が出るずっと前の1982年ジェンマ125が始まり。

ジェンマ125
(CF41A)-Since 1982-

CF41A

1982年と言えばアレですね、HY戦争まっただ中。つまりジェンマもホンダのリードやタクト、ヤマハのキャロット、リリックマリック三兄弟(って言っても分かんないか)と同じHY戦争の申し子なんです。

ちなみにこの125は空冷4stだったんですが、後から出てきた50と80、そして最後のジェンマクエスト90は2stでした。今のジェンマとは似ても似つかない形ですね。

ジェンマ50

話をジェンマ250に戻して・・・

ローロングで非常にヌメヌメしたボディデザインのジェンマ250は本当に好き嫌いがハッキリ別れるでしょう。

ジェンマ250カタログ

これはカタナやハヤブサが社内アンケートで意見が真っ二つに別れた事と同じで、スズキは社内で意見が両極端になったデザインこそイケるデザインという捉え方をしています。ジェンマもまさにその類のデザイン。

「ナメクジみたいで気持ち悪い」

という人もいれば

「アキラバイクみたいでカッコいい!」

という人もいる。まあ人気の無さからいって前者が多かったのは言うまでもないんだろうけど意欲的なバイクだったのは間違いない。

ジェンマリア

それにジェンマが出た2008年後半には既にビッグスクーターブームが去りつつあったことと、あと造形にこだわり過ぎてカスタムメーカーを振り落とした事も要因かな。

でもまあ一番はやっぱり値段ね。68万円は同年デビューのスカイウェイブSS(次で紹介)とほぼ同じ値段。良いなと思ってもここで二の足踏んだ人が多いと思う。

フュージョンが再販して売れたように、ジェンマもあと3年早く出てたらもう少し違った結果になったんじゃないかな。

ジェンマ壁紙

ジェンマが面白いのは見た目だけじゃありません。

フォルツァかなんかの系譜で言ったけどスクーターにおいてローにするということは即ちメットインスペースを削るということになるわけです。

マグザムメットインスペース

写真はマグザムのものなんですがビッグスクーターらしからぬメットインスペースの少なさですね。でもこれでもかなり頑張ってて良い方なんですよ。フュージョンに至っては右のリアトランクだけなんですから。

じゃあジェンマ場合。

リア周りは絞ってるので一見するとメットインスペースは何処にも無いように見えますが、ちゃんとあります。さて何処でしょう?

ジェンマ東京モーターショー

正解は・・・

ジェンマメットインスペース

足元のトンネルでした。

乗ったまま使えるというありそうでなかった利便性を兼ね備えています・・・がフルフェイスは厳しい物があります。そのためかリアにはメットホルダーが標準装備。でもそのリアも形に拘ったシートとグラブバーが仇となりバッグや荷物を積むのは難しいっていう。

でも、ですね、そうしてまでこだわったジェンマのデザインを褒めてあげてください。気持ち悪いって。

その典型と言えるのがヘッドライト。ジェンマはデザインにおいてタブーに近いアシンメトリーを採用しています。

ヘッドライト

人間はアシンメトリーなものを見ると不安感や嫌悪感を抱くように出来てるんです。だからジェンマを見てそういう気持ちを抱くのはまさにデザイナーの思惑、そしてスズキの罠に掛かっている証拠。

ジェンマ250

見てくださいこのアピールの仕方が斜めすぎて売る気が無いんじゃないのかと思えるほどの表紙を。

もうこんなスクーターは二度と出ないでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2280/810/1085mm
シート高 660mm
車軸距離 1690mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 22ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー FTZ9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 670,950円(税別)
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

スカイウェイブS/LTD/M/M LTD(CJ44A/CJ45A) -since 2006-

CJ45A

デザインからフレームからエンジンに至るまでほぼ全てが見直され大変貌を遂げたCJ44A型。

ちなみに写真の黄色は翌年に発売された変速モード付き電子制御式CVTを積んだMモデル(CJ45A)です。

車格が一段と大きくなって少し重くなったんだけど、その分エンジンがDOHC化され26馬力と更にパワーアップ。250のビッグスクーターでこの馬力はクラストップです。ビッグスクーターにおいてまでDOHC化による高回転化でパワー稼ぐって考えがいかにもスズキ。

他にもキーレスシステムやメットイン容量の拡大などで使い勝手も向上。グリップヒーター、ナックルガードを付けたリミテッドモデルも登場しました。

SV1000

スズキの二眼といえばちょっとクセのあるデザインなのが定説でこのスカイウェイブも例に漏れず少しクセのある顔になってますよね。

CJ44AタイプS

これでもかってくらいライトレンズがデカい。でもみんな実車を見たことあるからわかると思うけど横から見ると意外と良いんだよね。

角度によって表情が変わるデザインは良いデザインと言われるけどスズキとして珍しいんじゃないかな。正面から見ると”ああスズキだ”ってなりますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2270/760/1385mm
シート高 710mm
車軸距離 1585mm
車体重量 193kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
{MTモード付きVベルト}
タイヤサイズ 前120/80-14(58S)
後150/70-13(64S)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
Vベルト 27601-06H00
車体価格 589,000円(税別)
[599,000円(税別)]
{660,000円(税別)}
※[]内はTypeS
※{}内はTypeM
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

スカイウェイブ250/SS(CJ43A) -since 2002-

CJ43A

二代目に当たるスカブ250のCJ43A。

初代を更にスタイリッシュな現代風にリファインしたデザインに生まれ変わりました。

構造的な事で言うとヘッドライトがデュアル化、シガソケ搭載に、FI化で燃費が向上。

驚きなのがモデルチェンジな上にFI化されたにも関わらずお値段据え置きということ。普通FI化されると5万円前後の値上げになっちゃうんだけど価格はそのままとかスズキは庶民の味方ですね。

少し遅れてショートスクリーンやメッキハンドルやスモークテールレンズなど装備、いわゆるカスタムモデルであるSSが発売。

この頃から若者を中心とした第二次スクーターブームが巻き起こりだしたのは記憶に新しいと思います。

ビッグスクーターブーム

その中でも”走りのスカイウェイブ”と言わてた所以は馬力もそうなんですが、それよりもスイングユニット式でありながらリンク式モノサスを採用している点にあります。

これは先代もそうだった上にスズキがわかりやすく解説してるのでわざわざ言うまでもないんですが・・・

リンク式モノサス

こうすることで図右にあるように荷重に応じたプログレッシブな特性を持ったサスペンションに出来るというわけ。これライジングレート効果っていいます。スポーツ系では当たり前になったサスペンション形式ですね。

まあ要するにショックの大きさに応じてショックが的確に吸収してるってことで、地面への追従性が上がるわけ。

スカブのサスペンション

デメリットがあるとするならばモノサスに使われるショックアブソーバーは二本サスより良い物(正確な物)を使わないといけないし、フレームの剛性も高くないといけない。そうしないとフレームが負けちゃうから。

つまりコストが掛かるわけですが、それでもスカイウェイブはリンク式モノサスにこだわったというわけですね。というかスズキはほんとモノサスにこだわりますよね。

当然このモデルにもカワサキのエプシロン250もありましたがコレが最後です。

エプシロン250

OEMのくだりは初代で話したけどエプシロン(スカブ)とか250SB(Dトラ)とかを全く見ない辺りバイクのOEMはメリットが薄いのかもね。車と違って二輪は嗜好性が高い分、こだわりを持ってる人が多いからOEMは受け付けないという人が多いのかも。

まあカワサキはJ300っていうキムコのOEMを続けてますけどね。

マジェスティ

あとあんまり関係ないけど、このスカイウェイブをデザインされた仲村さんはこの後ヤマハのエルムデザインに行かれてマジェスティのデザインを手がけていたりします。

主要諸元
全長/幅/高 2260/760/1375mm
シート高 695mm
車軸距離 1590mm
車体重量 166kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 23ps/7500rpm
最高トルク 2.5kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前110/90-13(55P)
後130/70-13(57P)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.3L
交換時1.9L
フィルター交換時2.0L
Vベルト 27601-14F11
車体価格 549,000円(税別)
[569,000円(税別)]
※[]内はTypeS
系譜図
初代1998年
SKYWAVE type1/2(CJ41A/CJ42A)
二代目2002年
SKYWAVE/SS(CJ43A)
三代目2006年
SKYWAVE S/LTD/M(CJ44A/CJ45A)
ジェンマ2008年
gemma(CJ47A)
四代2008年
SKYWAVE S/SS/LTD/M(CJ46A/CJ45A)

ST250E(NJ4CA)グラストラッカー(NJ4DA)-since 2008-

ST250E

現行にあたるST250Eとグラストラッカー。

恐らくこのシリーズとして一番大掛かりなモデルチェンジ。そうです、排ガス規制強化に伴ったFI化です。

普通のバイクなら「FI化されました~」で流すような内容なんだけどこれまではコストを抑えるためにも比較的小規模な変更ばかりだった。

それに比べればFI化はとんでもないくらいのコスト増のモデルチェンジ。前代未聞なほど。

2015ST250E

このモデルチェンジを機にEタイプのみの販売に変わりました。

質感向上やFI化や排気ガスの触媒などで値段が449,000円まで上がったのはちょっと残念だけどね。

グラストラッカー

当然ながら兄弟車であるグラストラッカーもモデルチェンジしてFI化。

変更点はST250と同じでFI化に伴いキックが無くなり、燃料タンクが6Lから8Lへ容量アップ。

グラストラッカー10周年

GN250から始まったこのフレームとエンジンもなんだかんだで30年を超えました。

排気ガス強化でバタバタと空冷が倒れていく中でも、しっかりちゃっかり存続してるST250とグラストラッカー。

もうここまで来たらこのエンジンとフレームで何処まで行けるのか見届けてみたいものです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
[2050/900/1130mm]
<2200/910/1145mm>
シート高 770mm
[750mm]
<790mm>
車軸距離 1375mm
[<1405>]
車体重量 146kg(装)
[136kg(装)]
<139kg(装)>
燃料消費率 48.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
[<8.0L>]
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 19ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
[前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)]
<前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)>
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後43
[前15|後41]
<前15|後43>
チェーン サイズ520|リンク108
[サイズ520|リンク100]
<サイズ520|リンク108>
車体価格 429,000円(税別)
[399,000円(税別)]
<429,000円(税別)>
※[]内はグラストラッカー
※<>内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

ST250/E(NJ4AA) -since 2003-

ST250カタログ

人気を博したボルティーの後継として登場したST250。

人気だったボルティーの基本コンセプトをそのまま引き継いでいるだけあって、相変わらず人気は上々。

またまたこれもしつこいですがエンジンフレーム、足廻り共にGN250から続くもの・・・なんだけど実はシリンダーがメッキタイプに変更されていて燃費とパワーが向上。

ST250

さらにホイールも前後18インチの物に変更されてる。

このモデルからシンプルベーシックなST250とメッキパーツなどの装飾が施されキックスターターが付いたTypeEの二本立てになった。

そう、勘の良い人はピンとくるだろうこのキックスターター。これはグラストラッカーのビッグボーイでも使われてるやつ。ST250Eにも付けてコスト下げようっていうコストパフォーマンス魂の現れ。

主要諸元
全長/幅/高 2070/750/1075mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 127kg(乾)
[129kg(乾)]
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51S)
後110/90-18(61S)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.5L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 349,000円(税別)
[379,000円(税別)]
※[]内はE Type
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)