「Own The Racetrack」
重ねあわせたようなカウルが有機的なデザインへと進化した四代目GSX-R1000にあたるK7/K8型。
最初に変更点を上げると
・新設計オールダイキャストフレーム
・旧排気ポートの拡大
・新設計ピストン
・スロットルボディ&FIの変更
・7馬力アップの185馬力
・ダブルアジャスター付きフロントフォーク
・電子制御ステアリングダンパー
・油圧クラッチ
・S-DMS(出力モード切替)
・アジャスタブルフットペグ
・プロジェクターヘッドライト
などなど目立つ部分だけでもかなり大掛かりな変更となっているんですが、一方で車重が+6kgとなった理由はこれ。
『SAES(Suzuki Advanced Exhaust System)』
頑なにセンターアップマフラーを採用しないと思ったらまさかの左右二本出しマフラーで、キャタライザー(腹下の弁当箱)も含めると約13kgと結構な重量。
これのせいで重くなっている・・・んだけど、あくまでもこれは実数値の話で乗ると更に軽くなった様に感じること間違いなし。
何故ならこのマフラーは騒音規制に対応するための容量確保とマスの集中化を高めるために生まれたGSX-R1000では定番の
『正論の形』
だからです。
実際このK7/K8はプロジェクターリーダーの飯尾さんいわく世界中で高評価を獲得しでセールスでも歴代最高なんだとか。
具体的にどう評価されていたのかと言うと、何でも遠慮なしに(特に日本車を味噌糞に言う)Motorcyle.comが
「シャーシとサスペンションとホイールベースのバランスが完璧でハンドリングが素晴らしい」
と褒めて2008年BESTモーターサイクルの第六位にするほど。
それを裏付けるようにレースでも
・世界耐久選手権優勝
・AMAスーパーバイク優勝
・JSB1000優勝
・鈴鹿8耐優勝(ヨシムラ27年ぶり)
などなど輝かしい戦績を残しました。
ただそれより知ってほしいK7/K8の素晴らしい所は
『上級者の為だけのモデルじゃない』
という事。
例えばこのモデルから出力モード切り替え機能S-DMS(Suzuki Drive Mode Selector)が付きました。
当時まだ珍しかったこの機能が付いたキッカケは先代の開発中にコーナーフィーリングについてテストライダーから意見を聞いたところ
「もっとアグレッシブなフィーリングが欲しい」
と言うテストライダーと
「もっとコントローラブルなフィーリングが欲しい」
と言うテストライダーで意見が真っ二つに割れた事。
この結果を見た規格の鈴木さんが次のモデルでは両方味わえるようにしようと提案し、セカンダリースロットルバルブ(ライダーのアクセルワークを補助する見えないアクセル)を活用する形で
・アグレッシブなA
・中間に位置するノーマルのB
・コントローラブルのC
という3つのモードを付けたというわけ。
簡単に言っていますが3つのモードを付けるということは開発の負担が3倍になる。しかも当時はほとんどのメーカーがやってない状況だったものあり大反対にあったものの、プロジェクターリーダーだった飯尾さんが推す形で採用。
そしてもう一つピックアップしたいのが上下前後14mmの範囲でポジションを変更できる可変式ステップ。
本来なら一番下のステップ位置が窮屈にならず調度いいものの、レーシングタイヤを履いてサーキットをフルバンクさせるようなトラック派は擦ってしまう恐れがあった。
しかし上げてしまうと下半身が窮屈になりサーキット以外での使い勝手が悪くなってしまうという事で、モード切替と同じく先駆けるように採用した。
コスト的にかなり厳しくなるにも関わらず何故これらを率先して採用したのかといえばGSX-R1000は初代からずっとトラック志向な人だけではなく
「どんなライダーの要望にも応えられるSSにする」
という信念ともいえる考えあったから。
それが現れているのがこれらの変更を率先してやった事であり、また変えなかったシート高810mmでもあり、比較的優しいポジションだったりするんです。
主要諸元
全長/幅/高 |
2045/720/1130mm |
シート高 |
810mm |
車軸距離 |
1415mm |
車体重量 |
172kg(乾) |
燃料消費率 |
– |
燃料容量 |
17.5L |
エンジン |
水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 |
998cc |
最高出力 |
185ps/12000rpm |
最高トルク |
11.9kg-m/10000rpm |
変速機 |
常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ |
前120/70ZR17(58W) 後190/50ZR17(73W) |
バッテリー |
YT12A-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR9EIA-9 または IU27D |
推奨オイル |
SAE 10W-40 |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量3.6L 交換時3.0L フィルター交換時3.3L |
スプロケ |
前17|後43 |
チェーン |
サイズ530|リンク112 |
車体価格 |
1,390,000円(税別) ※モトマップ価格 |
系譜図