グラストラッカー(NJ47A/NJ4BA) -since 2000-

グラストラッカー

90年代中頃に起こったトラッカーブームに合わせて登場したグラストラッカー。

もちろんエンジンからフレーム、足廻りに至るまでボルティーと一緒。正に七変化。

ただグラストラッカーはセルに付け加えてキックも付いてる。

これは車名となっているグラストラッカーが1970年代にアメリカで流行った草レースの事でキックが付いたのはそのため。(万が一用)

グラストラッカーもボルティーほど安くは無かったんだけど出ると同時にブームの波に乗って人気が出るというスズキとしては珍しくスタートダッシュが決まったバイク。

そして一年遅れで今も続く派生モデルのビッグボーイが発売。

グラストラッカービッグボーイ

これはフロントフォークとスイングアームを延長してワンサイズ大きいタイヤを履いたモデル。

ファッショナブルな無印に比べて未舗装路での走行性を向上させたモデル。

だからBIGBOYの方がよりグラストラッカー(オフ寄り)と言えなくもない。

主要諸元
全長/幅/高 1995/900/1130mm
[2135/910/1145mm]
シート高 745mm
[785mm]
車軸距離 1325mm
[1405mm]
車体重量 124kg(乾)
[127kg(乾)]
燃料消費率 54.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.4.L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18(47S)
後120/80-17(61S)
[前100/90-19(57P)
後130/80-18(66P)]
バッテリー YB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.7L
交換時1.3L
フィルター1.4L
スプロケ 前15|後41
[前15|後43]
チェーン サイズ520|リンク100
[サイズ520|リンク108]
車体価格 384,000円(税別)
[394,000円(税別)]
※[]内はBIGBOY
系譜図
DR250S 1982年
DR250S
(SJ41A)
GN250E 1982年
GN250E
(NJ41A)
ボルティー 1994年
ボルティー
(NJ47A)
マローダー250 1998年
マローダ250
(NJ48A)
グラストラッカー 2000年
グラストラッカー/ビッグボーイ
(NJ47A/NJ4BA)
ST250 2003年
ST250/E
(NJ4AA)
ST250E 2008年
ST250E/グラストラッカー/ビックボーイ
(NJ4CA/NJ4DA)

バンバン200(NH42A) -since 2008-

バンバン200前期

「As I Am -自分らしく-」

排出ガス規制に通すためにFI化とオイルクーラーを装備した新型バンバン200。

さっきも言ったけどエンジンはもともとDJEBEL200に使われていた物、つまり1985年に出たSX200R(更に言うなら1982年のGN125E)。フレームの方も1982年のGN250Eまでたどり着く。

つまり(ST250Eもそうだけど)こう見えてかなりご長寿なバンバン200。

よく排出ガス規制に通ったなと思うんですが、残念なことに値段が上がりました。まあこれは仕方のない話か。

このバンバンの系譜はリクエストされて書いてるわけですが

もし誰かに

「バンバン200と言えば?」

と聞かれたら

「バンバン!」

と答えると思います。

いやまあバルーンタイヤだから砂浜とか悪路をソコソコ走れちゃう走行性能ではあるんですけど、やっぱり”バンバン”なわけですよ。

バンバン125

(写真のバンバンは国外向けのVanVan125)

「バンバン(VanVan)」

っていうのは何か最初に言った気がするけど

“どこでもバンバン走ることができる”

っていう所から取った何とも珍妙なネーミングセンスなわけですが意外と耳に残りますよね。車名を間違って覚えてる人を見たこと無いし。

スズキ バンバン200

バンバンはハッキリ言って”スズキのTW”と呼ばれても致し方無いレベルです。

でも

「バンバン?なにそれ?」

とか

「バンバン?あースズキのTWね。」

とか言われませんよね?

バンバンはあくまでもバンバン。

成功して認知された今でこそ何も言われないどころか違和感すら無く話題にも上がらないバイクですが、皆さん冷静になってよく考えてみてください。

バンバン

「バンバン」

こんなふざけたネーミングの、パンチの効いてる(効き過ぎてる)ネーミングのバイクはそうそうないですよ。

一部では愛くるしいとまで言われる様になってるし。

主要諸元
全長/幅/高 2140/865/1125mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 128kg(装)
燃料消費率 51.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.5L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 199cc
最高出力 16ps/8000rpm
最高トルク 1.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/80-18(66P)
後180/80-14(78P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X24ESR-U
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時0.95L
フィルター交換時1.05L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 397,950円(税別)
系譜図
バンバン50 1972年
VanVan
RVシリーズ
SX200R 1985年
SX200R
(SH41A)
djebel200 1993年
DJEBEL200/DF200E
(SH42A)
先代バンバン200 2002年
VanVan200
(NH41A)
バンバン200 2007年
VanVan200
(NH42A)

バンバン200(NH41A) -since 2002-

バンバン200前期

「ババンバ、バンバン、イエーイ♪」

今でもお馴染みのバンバン200が最初に出たのは2002年のこと。

最初に紹介したレジャーミニバイクであるバンバンRVのテイストを入れたレジャー兼トラッカーバイクで、ST250のフレームにDJEBEL200にも使われたエンジンを積んでる・・・まあぶっちゃげるとTW200の追っかけ。

キムタクさんのドラマで起死回生の特大ヒットとなったTW200を見たスズキが既にグラストラッカーというトラッカーを出していたにも関わらず、たまたまSX200から続く200ccエンジンが余ってたので出した。

まあこれはスズキに限らずホンダのFTRやカワサキの250TRなんかもそうなんだけど、バンバンの場合は排気量のみならずタイヤサイズまでTWと一緒っていう。

バンバン

バンバンがライバル車に対して優っている所は何処かといえばやっぱり価格で(当時)329,000円は同クラス最安。

これは価格破壊と言われたVolty(現ST250)のフレームとDJEBEL200のエンジンがあってこそ成し得た価格ですね。

余談ですがバンバンやボルディと同じという事は・・・ニコイチやサンコイチがDIYでも比較的簡単に出来ちゃうわけです。バンバンにジェベルのビッグタンクを積んだり、ボルティーの側を付けたり。

流用と聞くと悪いイメージを持つ人がいるかもしれませんが、こういった遊べる余白と考えれば全然アリですね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/855/1120mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 128kg(装)
燃料消費率 49.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.5L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 199cc
最高出力 16ps/8000rpm
最高トルク 1.5kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/80-18(66P)
後180/80-14(78P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X24ESR-U
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
交換時0.8L
フィルター交換時0.9L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 329,000円(税別)
系譜図
バンバン50 1972年
VanVan
RVシリーズ
SX200R 1985年
SX200R
(SH41A)
djebel200 1993年
DJEBEL200/DF200E
(SH42A)
先代バンバン200 2002年
VanVan200
(NH41A)
バンバン200 2007年
VanVan200
(NH42A)

DJEBEL200|DF200E(SH42A) -since 1993-

ジェベル200

SX200Rを元に作られたDJEBELの200ccバージョン。だから250が油冷なのに対して200は空冷。

「ふーん、どうせ売れなかったんだろ」

と思ったら大間違い。このクラスの割には結構売れた。

何故かといえば足つきの良さや大型ハロゲンライトといったDJEBELの代名詞であるハード志向もあったんだけど、一番はズバリ安かったから。

当時DJEBEL250が約44万円、セロー225が約37万円、それに対しDJEBEL200は何と33万円と他のどんなオフ車より安かった。これは安い。

だからセローやシェルパを買いに行ったつもりが、安さに釣られて気がついたらDJEBEL200を買ってた・・・とか何とか(多分)

1997年には派生モデルとして更にハード志向となったDF200Eが出ました。

DF200E

これはもともとアメリカなどの農業者や牧場者向けのアギ(AGI)バージョンってやつ。

大型リアキャリアにクリッパー付きライトガード、それにアンダーガード、果てはサイドスタンドが右にも付いている。

日本仕様はリアキャリアと右側サイドスタンドは付いてませんが、それでもお値段35万円は安い・・・安すぎる。

ちなみにDJEBEL200、そして先に紹介したSX200Rは何とアメリカでまだ売られていたりします。

DR200SE(和名DJEBEL200)

北米ジェベル200

そしてこっちが

DR200S(和名SX200R)

DR200S

当然ながらエンジンやフレームのベースはバンバンと一緒。

ST250シリーズも含めるととんでもない数の流用、流用のスズキここにありですね。

車体価格の安さは単純にコストカットしてるわけではなく流用による生産数のカサ増しという企業努力から来ているんですねえ。

主要諸元
全長/幅/高 2150/805/1150mm
シート高 810mm
車軸距離 14055mm
車体重量 108kg(乾)
燃料消費率 53.4km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 199cc
最高出力 20ps/8500rpm
最高トルク 1.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前70/100-21(44P)
後100/90-18(56P)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X24ESR-U
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
交換時0.8L
フィルター交換時0.9L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 354,000円(税別)
※スペックはDJEBEL200
系譜図
バンバン50 1972年
VanVan
RVシリーズ
SX200R 1985年
SX200R
(SH41A)
djebel200 1993年
DJEBEL200/DF200E
(SH42A)
先代バンバン200 2002年
VanVan200
(NH41A)
バンバン200 2007年
VanVan200
(NH42A)

SX200R(SH41A) -since 1985-

SX200R

多分知ってる人ほとんど居ないのではなかろうかと思われるSX200R。

スズキのオフと言えばDRかDJEBELだもんね。

このSX200Rは1985年に出た空冷のDR250Sのエンジンを改良して200ccにしたものを積んでるオフ・・・と思っていましたが間違いでした。大変スイマセン。

このバイクのエンジンはDR250Sからの物ではなく、1982年に発売されたGN125Eから来るものでした。

GN125

これを200ccにまで拡大して載せたのがSX200R。

125の方は125の方でSX125Rやジェベル125といった方へ伸びてくことになります。

そしてこのSX200Rは空冷200ccなだけあってパワーはそこそこしかないんだけど、その分燃費も良くて軽くてタンク容量も15Lっていう使い勝手に特化したエントリー向けオフ車。

このSX200Rがバンバン200の始祖的な存在です。

主要諸元
全長/幅/高 2145/850/1195mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 118kg(装)
燃料消費率 60km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 199cc
最高出力 20ps/8500rpm
最高トルク 1.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/80-21(45P)
後110/80-18(58P)
バッテリー FB4L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
[DR8EA※88以降]
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 294,000円(税別)
系譜図
バンバン50 1972年
VanVan
RVシリーズ
SX200R 1985年
SX200R
(SH41A)
djebel200 1993年
DJEBEL200/DF200E
(SH42A)
先代バンバン200 2002年
VanVan200
(NH41A)
バンバン200 2007年
VanVan200
(NH42A)

GSX1100S KATANAFINAL EDITION(SY)-since 2000-

2000年式GSX1100SY

ファイナルモデルになるGSX1100S FINAL EDITIONことSY型。

排ガス・騒音規制が厳しくなった事と、設備の整理でエンジン部品が製造出来なくなる事を機に発売されました。

エンジン

排気量にちなんで1100台限定で発売。

ソニックシルバーメタリックという特別なシルバーなので、他のカタナと並べても一発で分かると思います。SUZUKIという赤文字もヘアライン調になっています。

限定装備としては
・アッパーブラケットと書類カバーにシリアルナンバー入りプレート
・エンジン黒色塗装
・シリンダーヘッドフィンの削り加工
・アッパーブラケットの削り加工
・チェーン、ローター、サスダンパーのゴールド化
・車体色に専用のソニックシルバーメタリック

ファイナルエディションシリアルナンバー

さらに性能面では
・前輪ブレーキの対向4ポット化
・フレームの剛性強化
・チューブレスタイヤへの変更
・プッシュキャンセルターンシグナルスイッチ&ハザードスイッチを追加

先代のSR型を更に近代化させる形のモデルチェンジ。

2000年式GSX1100SY

もちろんあっという間に完売して今じゃ倍出してもまともな車体は手に入らない・・・メーカーの人は1100台も売れるか不安だったみたいですけどね。

ちなみに1100台のうちの5台はヨシムラに渡り1135Rへと化け、シリアルナンバー1100番はスズキの歴史博物館に飾られています。

【長い余談】

「スズキは何故KATANAを再販しないのか」

とよく言われていますよね。

「復刻が望まれるバイクTOP10」でも絶版名車を抑え一位に輝いています。巷の声を見てもカタナ再販を望む人が多く居ます。

当時を知らない人もカタナといえば

「大ヒットしたバイク」

と思ってるでしょう・・・でも実はGSX1100S KATANAはそれほど売れてないんです。20年近く売った割には2万台と意外と少なく、しかも半数が初期SZ型。

これは

・デビュー時は200万円越えで買えなかった

・限定解除が難しかった

・買える頃には旧世代化していた

等の理由があったから。

結果としてKATANAは84年に一時的な生産終了、そして87年には完全に生産終了となりました。

しかし高まるKATANA再販の声に応える形で1990年に再販し1000台を超えるヒットを飛ばした・・・んですが、1000台を超えたのはその年とファイナルエディションだけなんです。

ファイナルエディション前のSR型も販売台数は200台ほど。

ファイナルエディションが本当に捌けるのかメーカーですら半信半疑だったのもこのため。

だからもし仮にいまKATANAが再販されたとしたら大型二輪が比較的簡単に取れる事もあって

「待ってました」

とSLの時と同じか、それ以上にドカッと売れると思います・・・でも恐らくそれは一年目だけ。

二年目以降、そういった需要を満たした後は嘘のように販売台数は落ち込む。

これは

「カタナがいい」

という人は一定数は居ても

「カタナでもいい」

という人が居ないから。

つまりKATANAが出ないのは

「長く売れないバイク」

という部分が強いから。もちろん当時のまま出す(製造する)事が難しいというのが大前提ですが。

『ケルンの衝撃』

というKATANAが引き起こしたインパクトは多くの人をカタナ依存症にしましたが、それと同事に多くの人を吹き飛ばすほどの衝撃だったということ。

まあこれがスズキの得意とする所ですけどね、HAYABUSAもそうですし。

だからもしも生産終了してから20年以上経った今もケルンの衝撃が忘れられず、再販を夢見る人が居るとするならば選択肢は一つしかない。

スズキ・カタナ

今からでもいいから、中古でもいいから、250でも400でも750でも1100でもいいからKATANAを買うことです。それ以外に道はない。

ケルンの衝撃に当てられた以上、もうKATANAを超えるバイクは一生出ません。

出たとしても何かが違うと思うでしょう。

ファイナルエディションカタログ写真

アニバやファイナルエディションといった限定モデルはもちろんの事、通常モデルすらあまり在庫が無く流動性が乏しいのはオーナーもそれを分かってるから。

一生KATANAの再販を望む人生より、一生KATANAに乗り続ける人生の方が絶対に楽しいですよ・・・と思ったら19年ぶりに復活しました。

主要諸元
全長/幅/高 2250/740/1195mm
シート高 775mm
車軸距離 1515mm
車体重量 232kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1075cc
最高出力 95ps/8500rpm
最高トルク 8.6kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19(57V)
後4.50-17(67V)
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.2L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格 990,0000円(税別)
系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

GSX-R1000(K9/L0/L1)-since 2009-

K9

「揺るぎないコンセプトの、GSX-R」

遂にGSX-R750ベースを完全に脱した五代目のGSX-R1000/K9~L1型。

最大の変更点は完全専用設計となったエンジンで、主要三軸を三角形(メインシャフトを持ち上げる形)にすることで全長を更にコンパクト化。

これに同じく新設計フレームを合わせることでホイールベースを10mm短くしつつもスイングアームを33mmも延長させコーナリング性能を向上。

K9エンジンレイアウト

ちなみにマフラーは変わらずチタンの二本出しなんですが、5kgの軽量化に加えマスの集中化とバンク角の確保を更に突き詰めた事で湾曲化。

これ凄くお金がかかってるんだとか。

L0正面

他にもメーカー最速でのBPF(ビッグピストンフォーク)採用と相変わらず出し惜しみの無い造りというか、750の方で書いた通りサプライヤーの熱が伝わってくる内容なんですが、少し厳しいことを言わせてもらうと当時は少し落胆する声が見られたもの事実。

K9エンジン

というものGSX-R1000はこれまでずっと馬力トップを塗り替え続けてきた歴史があったから、現実味が出てきた200馬力超えをするのはスズキのGSX-R1000だと期待する人が非常に多かった。

しかし蓋を開けてみたら185馬力で据え置きだった事に落胆する人が居た・・・でもそうじゃない。

これだけは覚えておいて欲しいんですが、GSX-R1000のコンセプトは最高馬力をマークする事ではないんです。

2009GSx-R1000

GSX-R1000はそれまでGSX-R750から継がれたエンジンを改良し、それに合わせて車体を作る手法でした。

それが今回のフルモデルチェンジで遂にエンジンを新設計、つまりほぼ真っ白な状態から開発する事になった。

K9テール

そうした時にスズキは

『どんな状況下でも走る、曲がる、止まるの基本性能No.1』

を掲げエンジンありきではなく車体全体のバランスを考えで新たに作り直し、トラクション性能やコーナリング性能やハンドリングなどが大幅に向上しました。

K9ディメンション

じゃあ合わせるように造られた完全新設計エンジンはどういう感じなのかといえば、相変わらずSSとしては異例のロングストロークなんです。

なんでって初代でも話しましたが、それこそがGSX-R1000の本当のコンセプトであり幅広い人に認めてもらえた部分でもあるから。

それをカタログスペック競争が最高潮に達していた時代にも関わらず全くブレずに貫き通した。

カタログ写真

『揺るぎないコンセプト』

その言葉の真意はここにある。

主要諸元
全長/幅/高 2045/720/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1405mm
車体重量 205kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 185ps/11500rpm
最高トルク 11.9kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,500,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

GSX-R1000(K7/K8)-since 2007-

K7

「Own The Racetrack」

重ねあわせたようなカウルが有機的なデザインへと進化した四代目GSX-R1000にあたるK7/K8型。

最初に変更点を上げると

・新設計オールダイキャストフレーム
・旧排気ポートの拡大
・新設計ピストン
・スロットルボディ&FIの変更
・7馬力アップの185馬力
・ダブルアジャスター付きフロントフォーク
・電子制御ステアリングダンパー
・油圧クラッチ
・S-DMS(出力モード切替)
・アジャスタブルフットペグ
・プロジェクターヘッドライト

などなど目立つ部分だけでもかなり大掛かりな変更となっているんですが、一方で車重が+6kgとなった理由はこれ。

07R1000車幅

『SAES(Suzuki Advanced Exhaust System)』

頑なにセンターアップマフラーを採用しないと思ったらまさかの左右二本出しマフラーで、キャタライザー(腹下の弁当箱)も含めると約13kgと結構な重量。

これのせいで重くなっている・・・んだけど、あくまでもこれは実数値の話で乗ると更に軽くなった様に感じること間違いなし。

K7フレーム

何故ならこのマフラーは騒音規制に対応するための容量確保とマスの集中化を高めるために生まれたGSX-R1000では定番の

『正論の形』

だからです。

実際このK7/K8はプロジェクターリーダーの飯尾さんいわく世界中で高評価を獲得しでセールスでも歴代最高なんだとか。

K7カタログ

具体的にどう評価されていたのかと言うと、何でも遠慮なしに(特に日本車を味噌糞に言う)Motorcyle.comが

「シャーシとサスペンションとホイールベースのバランスが完璧でハンドリングが素晴らしい」

と褒めて2008年BESTモーターサイクルの第六位にするほど。

それを裏付けるようにレースでも

・世界耐久選手権優勝
・AMAスーパーバイク優勝
・JSB1000優勝
・鈴鹿8耐優勝(ヨシムラ27年ぶり)

などなど輝かしい戦績を残しました。

ただそれより知ってほしいK7/K8の素晴らしい所は

『上級者の為だけのモデルじゃない』

という事。

例えばこのモデルから出力モード切り替え機能S-DMS(Suzuki Drive Mode Selector)が付きました。

2008GSX-R1000

当時まだ珍しかったこの機能が付いたキッカケは先代の開発中にコーナーフィーリングについてテストライダーから意見を聞いたところ

「もっとアグレッシブなフィーリングが欲しい」

と言うテストライダーと

「もっとコントローラブルなフィーリングが欲しい」

と言うテストライダーで意見が真っ二つに割れた事。

この結果を見た規格の鈴木さんが次のモデルでは両方味わえるようにしようと提案し、セカンダリースロットルバルブ(ライダーのアクセルワークを補助する見えないアクセル)を活用する形で

・アグレッシブなA
・中間に位置するノーマルのB
・コントローラブルのC

という3つのモードを付けたというわけ。

簡単に言っていますが3つのモードを付けるということは開発の負担が3倍になる。しかも当時はほとんどのメーカーがやってない状況だったものあり大反対にあったものの、プロジェクターリーダーだった飯尾さんが推す形で採用。

そしてもう一つピックアップしたいのが上下前後14mmの範囲でポジションを変更できる可変式ステップ。

可変式ステップ

本来なら一番下のステップ位置が窮屈にならず調度いいものの、レーシングタイヤを履いてサーキットをフルバンクさせるようなトラック派は擦ってしまう恐れがあった。

しかし上げてしまうと下半身が窮屈になりサーキット以外での使い勝手が悪くなってしまうという事で、モード切替と同じく先駆けるように採用した。

コスト的にかなり厳しくなるにも関わらず何故これらを率先して採用したのかといえばGSX-R1000は初代からずっとトラック志向な人だけではなく

「どんなライダーの要望にも応えられるSSにする」

という信念ともいえる考えあったから。

K7壁紙

それが現れているのがこれらの変更を率先してやった事であり、また変えなかったシート高810mmでもあり、比較的優しいポジションだったりするんです。

主要諸元
全長/幅/高 2045/720/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 172kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 185ps/12000rpm
最高トルク 11.9kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後43
チェーン サイズ530|リンク112
車体価格 1,390,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

GSX-R1000(K5/K6)-since 2005-

05r1000

「Redefining Total Performance」

フルモデルチェンジされ三代目となったGSX-R1000のK5とK6。

先に述べた通りスーパーバイク(市販車レース)における四気筒レギュレーションが750から1000に変わり、リッターSSがレースベースとなった事で2004年から各社とも競争が激化していました。

2004年を境に各社からそれまでのSSとは一線を画するモデルが次々と出てきたことは皆さんもご存知のことと思います。

K5サイド

そんな中で追われる立場だったGSX-R1000なんですが、まず見て分かるようにデザインが物凄く凝ったものに変更されました。プロジェクトリーダーの飯尾さん曰くこのモデルからデザインにも大きく予算を割くようになったからだとか。

ただK5/K6はそのデザインに負けずとも劣らないほど中身の改良も凄かった。

・ボアを0.4mm拡大し998cc化

・チタンバルブ化

・圧縮比を0.5アップ

・上記により164馬力から178馬力へアップ

・フレームを目の字から日の字にしてコンパクト化

・逆三角形チタンサイレンサーなどで2kg減の166kg

・スリッパークラッチの採用

などなど期待を裏切らない大幅な性能向上。

K5/K6ディメンション

ただし先代に引き続きこのモデルも真の魅力というか真の凄さはそこではなくコンパクトな所にあります。

というのもこのモデルは

「数値以上に感じられる小ささをライダーに」

という考えのもと開発された経緯がある。

K5face

これがどういう事かというと、全体の寸法を小さくしたのはもちろんのこと、ステアリングを6mm手前に持ってくることでハンドルとシート(ライダー)に近づけるなど、跨ってみると明らかに数値以上の小ささに思える変更が行われているんです。

加えてべた褒めされたのがシート。

K5/K6リコール

なんとただでさえ低かったシート高がさらに20mmも下げられて810mmになった。

しかも数値以上の小ささを実現させるため車体を極限までスリム化させシートも三角形に近いほど抉られてるから驚くほど足付きが良好。他のモデルなら片足がせいぜいな人でも両足がベッタリ付くほど。

これがK5/K6が好評というか今でも名前が上がるほどの評価を得た理由。

圧倒的な速さを持ちつつも車体は非常にコンパクトでハンドルも近く足付きも良い。

K5サイド

『最大パワーの最小リッターSS』

だった事が今でも名前が上がるほど物凄く評価されたんです。

ちなみに当時SS界ではセンターアップマフラーが流行っていたんですがスズキは採用せず右一本出しでした。

K5純正マフラー

これはエンジン設計の山田さん曰く

「これが正論の形だったから(操安を取ったから)」

ヘッドライトに続きここでも正論を押し通した形。GSX-Rというバイクは正論のみで造られているSSという事ですね。

補足ですがK5/K6はフレームに関するリコールが行われています。

海外動画等でよく見るウイリーという行為をするとフレームにクラックが入るとの事。

K5/K6リコール

フレームを軽くしすぎたのが原因ですが・・・ドッタンバッタンとウイリーするのが悪いのではなかろうか。

あまりにコンパクトで振り回せるサイズ感にした事が災いした形と言える。

主要諸元
全長/幅/高 2030/710/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1405mm
車体重量 166kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 999cc
最高出力 178ps/11000rpm
最高トルク 12.0kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 1,300,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

GSX-R1000(K3/K4)-since 2003-

K3

「Are you one of the chosen?」

初のモデルチェンジとなった二代目GSX-R1000のK3/K4型。

・リブ持ちピボット可変式フレーム

・ダイヤモンドライクカーボンコートフロントフォーク

・ラジアルマウント4POTキャリパー

・ラムエア変更で4馬力アップ

・LEDテールランプ

・2kgの軽量化

などなどデビューするやいなや敵なし状態だったのが更に敵なし状態へ進化。

K3フレーム

更に追い風となったのが市販車レースのレギュレーション(ルール)変更。

それまで四気筒は750ccまでとなっていたのが1000ccまで拡大されることになりました。

つまり988ccという若干寸足らずながら圧倒的な速さを持っていた規格外のGSX-R1000が規格内のモデルになった。

2003color

そうなったらそりゃもうますます

「勝ちたいならGSX-R1000の一択」

という状況になり、プロダクションレースにおいてはR1000のワンメイク状態になってしまう事態を招きました。

ただし実はこのGSX-R1000のK3/K4で最も力を入れた部分は別の所にある・・・それは低域での扱いやすさなんです。

このモデルに置ける変更点で重要なのは最初に上げた見える部分ではなく、ECMの32bit化とマルチホールFIによるレスポンスの向上なんです。

K3フレーム

しかもそれは高回転域ではなくGSX-R1000の強みである低回転域を良くするためという渋いけど恩恵は絶大な部分。 

もう一つあげると顔がハヤブサに通ずる縦目二眼になったのもこのモデルからなんですが、これは別にハヤブサを真似たりブランド化したりするのが狙いがあったわけじゃない・・・これ大反対にあったんです。

2003GSX-R1000カタログ写真

これまではハヤブサと同じ様にライダーをスッポリと包み込むようなアッパーカウルが最良だと考えていたものの、空力を煮詰めていくとアッパーカウルはライダーを覆いきれないギリギリまで絞った方が良い事が分かった。

ただしそこで問題となるのがラムエアの吸気口。吸気口は可能な限り前方に置くのが圧が掛かるので良い。

K3フェイスデザイン

そうして導き出されたのがこのスリムなアッパーカウルに収められた縦目二眼と頬の様に大きく開けられた吸気口というわけ。

どうしてこれが反対されたのかと言うと当時はツリ目二眼がブームだったから。

「何故ツリ目二眼にしないんだ」

「GSX-Rの顔じゃない」

と社内はもちろん現地の代理店も反対。

しかしツリ目二眼によるセンター吸気口にしてしまうとアッパーカウルのスリムさが失われてしまう。何が何でもこの縦目二眼を採用するため企画の鈴木さんは

『世界中の代理店を説得して回る』

という気が遠くなる手段に。

何故そうまでして採用したかったのかといえばスズキの鈴木さんいわく

K3カタログ写真

「コレが正論の形だから」

今ではすっかりGSX-Rのアイデンティティになりましたね。

主要諸元
全長/幅/高 2070/715/1145mm
シート高 830mm
車軸距離 1410mm
車体重量 168kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 988cc
最高出力 164ps/10800rpm
最高トルク 11.3kg-m/8400rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 1,270,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)