GSX-R1000(K1/K2)-since 2001-

K1

「Own The Racetrack」
2001年に登場した初代GSX-R1000ことK1/K2型。

160馬力に乾燥重量170kgという圧倒的なスペックを引き提げて登場し世間を大きく賑わせました。

2001年GSX-Rシリーズ

このモデルは2000年式GSX-R750がベース(というか三兄弟)なんですが意外な事にGSX-R750をベースに更に上のクラスを開発するとなった際に、GSX-R1000でいくかもう少しスケールアップさせてGSX-R1100で行くかで意見が割れたとの事。

これが何故かというと当時の量販車レースは四気筒750ccでそれ以上は全て規格外だったから。

しかしプロジェクトリーダーだった寺田さんが

「絶対的なパワーよりもウェイトレシオを取るべき」

として1000に決定した背景があります。※BikersStation362

そうして造られたGSX-R1000はGSX-R750がベースで幅に制限があるのでボア拡大は1mmに抑え、ストロークを13mm伸ばすというSSらしからぬ超ロングストローク型に。

K1フレーム

厳密に言うとクランクウェイトやバランサーなどの手が加わっているのですが基本は同じ。

フレームの方も0.5mm肉厚にされているくらいであとはカウルからシリンダーヘッドに至るまで同じ構成。目立つ違いはフロントキャリパーが6potになっている事とフロントのインナーチューブがチタンコーティングされている事くらい。

どうしてここまで共有化に拘ったのかというとこれが実にスズキらしい所で、共通することでスケールメリット(部品辺りの単価を抑える効果)が得られるから。

K1メーターまわり

部品単価を抑える使い回しというと安物という誤解を招きがちなんですが、工業製品は生産数でコストが決まると言っても過言じゃないほど生産数が重要。

だから

マルチプラットフォーム化

部品コストが抑えられる

同一のコストで良いものが作れる

良いものを安く提供

といったメリットがあり、それを最大限活用するのがスズキのポリシーなんですが、これのおかげでGSX-R1000は160馬力/173kgという化け物スペックながらライバルより安く、日本のみならず世界中から

K1カタログ写真

「ジクサー(GSX-Rの愛称)はコストパフォーマンスが抜群」

と言われました。特にサーキットやレースで使い倒す人達から。

泣いて喜ばれた理由はこれだけではなくもう一つある。

GSX-R1000が更に凄かったのは単純に速いだけでなく、そのままレースに出れるほどの耐久性を始めとしたパッケージが完成していたこと。

K1カタログ

だからプロはもちろんアマチュアの間でもこれ一択となり、ロードレースのレベルを数段上げる結果にもなりました。それくらい圧倒的だったんです。

その証拠となるのがGSX-R1000がデビューと同時に勝ち取ったレースの数々。

2001年タイトル

・英スーパーストック優勝

・欧州スーパーストック優勝

・豪スーパーバイク優勝

・世界耐久プロダクション優勝

などなど改造範囲が狭く1000ccが出場できるレースでは敵なし状態だった。ついでに最王手バイクメディアであるMCNから2001年最優秀バイクとしても選ばれています。

一方でGSX-R1000はそういったレースやサーキットとは無縁な層からも非常に支持されました。

その要因は最初にも話したロングストロークエンジン。

K1エンジン

これのおかげで本来SSならば捨て置くはずの低域でもトルクがモリモリだった。

スズキ/GSX-Rはもともと

「低速トルクこそが速さに繋がる」

という考えを持っていたからなんですが、この恩恵を一番受けたのが他ならぬ一般ライダー。回転数を引っ張る事が難しく低回転域がメインなシチュエーションでもグングン加速してくれる性能だったからです。

そんなもんだからSS比較などの企画でGSX-R1000はサーキット用途はもちろん

初代GSX-R1000カタログ

「ツーリングにも使うならGSX-R1000」

とまで言われてたんですよ当時。

主要諸元
全長/幅/高 2045/715/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1410mm
車体重量 170kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 988cc
最高出力 160ps/10800rpm
最高トルク 11.2kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

HAYABUSA1300(GX72A前期) -since 2008-

SUZUKI GSX1300R HAYABUSA

「A Performance Legend」

99年に登場して実に9年経って遂にフルモデルチェンジをしたHAYABUSA1300のGX72A型。

最初の頃はGSX1300R HAYABUSAと言われていたんだけど、2005年頃からHAYABUSA1300に切り替わりました。

言い忘れていましたがハヤブサは文字通り(300km/hで獲物を狩る)鳥類の隼からです。漢字が当たり前の日本で見るとそうでもないけど、何故か漢字大好きなヨーロッパ人はこれに心を打たれた人が多かったようです。

デザインテーマは「鎧兜」

新しいデザインで行くか従来のデザインで行くか迷われたそうなんですが、選んだのはやっぱり何処か不気味さがある先代の流れを汲んだ物となりました。

新旧隼

もちろんこれも更に空力を考えた形状になっているわけですがヌメヌメ感が増しましたね。

ちなみにこのロゴも若干変更されています。上が旧、下が新です。

新旧ハヤブサロゴ

さて問題の中身ですが、エンジンのストローク量を2mm上げて41ccアップ、更にエンジンバルブをより軽いチタンバルブに変更。

結果として1340cc/197馬力とアルティメットさに磨きが掛かりました。フレームも作り直され剛性が15%アップしています。

2008ハヤブサエンジン

他にはフロントキャリパーのラジアルマウント化、リアキャリパーを上付け化、スリッパークラッチの採用、デュアルインジェクター(SDTV)化、それに伴い出力特性を選べるS-DMSも装備・・・等など痒い部分に手を届けたようなモデルチェンジ。

S-DMS

まあしかし変更点やスペックを言ったところで何が違うのか伝わらないと思います。先代と何が違うのかと簡単に言うと非常に調教されたハヤブサになりました。

ハヤブサ(というかメガスポ)はSSとツアラーの良いとこ取りな立ち位置にいるわけですが、先代はどちらかといえばSS寄りなモデル。

白ブサ

それが今回のモデルでカウリングのワイド化やスクリーン高の15mmアップ、そして高さを抑えられたタンクなどから見ても分かる通り、どちらかと言うとツアラーの方に少しだけ寄りました。あくまでも先代比なのでアルティメットスポーツなのは変わりませんが。

まあでもそんな事よりも戦闘機の物を意識したと言われる五連メーターでしょうね。

メーター

このメーターにヤラれた人は多いかと。

B-KINGは「B-KING|系譜の外側」で書いたので割愛させてもらいます。

主要諸元
全長/幅/高 2190/735/1165mm
シート高 805mm
車軸距離 1480mm
車体重量 220kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1340cc
最高出力 197ps/9500rpm
最高トルク 15.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,490,000円(税別)
※K8モトマップ価格
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R750(K8/K9/L0)-since 2008-

08GSX-R750

「More than sportbike」

顔が突然変異した十代目GSX-R750のK8/K9/L0型。

GSX-Rのトレードマークとも言える縦二眼から横三眼(中央プロジェクターLOW/左右マルチリフレクターHIGH)に。

K8

この大変貌を遂げた時の反応が両極端だったを非常に覚えています。

伝統となりつつあった縦目二眼のヒール顔がアイデンティティだと思ってる人には不評でした。

でも一方でスズキとしては珍しいイケメン顔に心打たれた人も多かった。

正に意見が真っ二つ。スズキはそういうデザインが得意ですよね。

2010GSX-R750

中身の方は出力モードが選べるS-DMSが追加され、更に電子制御ステアリングダンパーも追加と順当な進化。

そしてこれは25周年記念モデル。

25周年

レギュレーションから外れようとも絶対に止めない。

その事を表す意志表示みたいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2040/715/1125mm
シート高 810mm
車軸距離 1405mm
車体重量 167kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 150ps/12200rpm
最高トルク 8.8kg-m/10600rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,270,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(K6/K7)-since 2006-

06R750

「No Competition」

残念ながら国内には入ってこなかった九代目GSX-R750のK6/K7型。

第三世代としては初のフルモデルチェンジ。

新設計エンジン&フレームで恐ろしいほどコンパクト化されたわけですが、これはGSX-R600をベースに750を造るようになった事が大きな要因。

こう聞くとGSX-R750は

”ついでに出されたGSX-R”

と思いがちですがそれは全然違います。

GSX-R750はレースというレギュレーションから解き放たれた事で大きく生まれ変わりました。

その象徴となるのがバランサーの装着です。

バランサー

バランサーというのは簡単に言うとエンジンの振動を消す錘。

これを組み込むと目に見えて振動が減ります・・・が、同時にクランクのエネルギーを削ぐ事にもなるので馬力が少し落ちる。

これこそがGSX-R750が生まれ変わった証。

バランサー付きって簡単に言いますがギチギチ設計なうえにオイルを叩いて撹拌しないようにするために複雑化して大きなコスト増になるし、単純な速さだけを求めるならば要らない装備。

K6壁紙

じゃあなんで入れたのかって言えばGSX-R750が

「No Competition(規格外)」

になったから。

とにかく速さだった状況から、粗のない上質なエンジンフィールと加速を持つSSに生まれ変わらせるため。

本当に面白いですよね。

これによってレースをするならGSX-R750と言われていたのが、レースに使わないならGSX-R750となったんですから。

主要諸元
全長/幅/高 2040/715/1125mm
シート高 810mm
車軸距離 1400mm
車体重量 163kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 16.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 150ps/13200rpm
最高トルク 8.8kg-m/11200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格
※国内販売なし
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(K4/K5)-since 2004-

04R750

「The Winning Balance」

八代目GSX-R750のK4/K5型。

GSX-R750が復活すると誰が予想したでしょう。

それもフロントラジアルマウントキャリパーにチタンバルブの採用で148馬力と全力のモデルチェンジ。

1985年からという老舗のプライドがそうさせたとしか思えませんね。

ところで皆さんGSXというと

「GSXは海外で大人気」

とか

「スズキはアメリカで人気」

とか聞いたことありませんか。

GSX-R750カタログ写真

残念ながらスズキやGSXが海外で大人気かと言われればそうとも言えません。基本的に国内シェアと似たり寄ったりな状況。

じゃあ嘘なのかと言えばそうでもない。

GSX-R750が絶大な一部で人気を誇っていたのは本当なんです・・・それはアメリカのプライベーターやアマチュアレーサーという人たちに。

アメリカンモーターサイクルアソシエーション

アメリカのバイクレースと言えばAMAが有名ですが、それ以外にも色んなアマチュアレースが各地で行われています。

アマチュアレースは日本でもそれほど珍しくはないのですが、アメリカの素晴らしい所はアマチュアレースといえど企業がガッチリ協賛している事。

つまり優勝したら賞金が出るんです。規模にもよりますが、優勝したら1000ドル前後ほど貰える。

しかもアマチュアレースなので国際レースなどと違い何十周もしないので、場合によっては1時間もかからずに1000ドル稼げたりする。

レギュレーションは後軸馬力で定められていたりもしますが、基本的にAMAと同じ四気筒750cc(当時)まで。

そんなレースでベストなバイクは何かといえばGSX-R750だったわけです。

2004R750

各メーカーが高価なホモロゲモデルというアマチュアを振り落とす様な手段に出たのに対し、スズキだけは誰でも買えるスーパースポーツとしてGSX-R750を出していた。

だからアメリカのレーサーにおいてGSX-R750というのは

「速くて安くて壊れない上に、人気があるから売る時も高い」

という完璧なバイクだった。

このため系列の垣根が無いチームはほぼ全てといっていいほどGSX-R750でした。

GSX-R750というのはアマチュアレーサーの夢を支えるスーパースポーツだったわけです。

ケビン・シュワンツ

レジェンドであるケビン・シュワンツ

MotoGP王者に輝いたニッキー・へイデン

AMAで何度も優勝したベン・スピーズ

歴史に名を刻んだアメリカ出身のライダー達は例外がないと言っていいほど皆GSX-R750で勝った事で成り上がった人たち。

勝てるバイク、アメリカンドリームを掴むためのバイクだったGSX-R750。

そんなもんだからレースでも何処のバイクが勝ったかなんて聞かれない。

アメリカのレース

「今日は誰が勝ったんだ?」

たったこれだけで全てが分かるんです。

主要諸元
全長/幅/高 2055/715/1150mm
シート高 825mm
車軸距離 1400mm
車体重量 163kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 148ps/12800rpm
最高トルク 8.8kg-m/10800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前17|後43
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 1,130,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(Y)-since 2000-

00R750

「Racer Replica Redefined」

第三世代となった七代目GSX-R750のY型。

長男坊として登場したGSX-R1000とほぼ同じ形だから見覚えのある人も多いのではないかと。

これからしばらくGSX-Rシリーズは1000・750・600とデザイン(開発チーム)統一して行くことになります。

GSX-R750Y

さてこの七代目ですが、141馬力の166kgと期待を裏切らないどこか腰が抜けるほどの性能を引き下げ、JSB(全日本ロードレース選手権)で、も当たり前のように優勝。

”サーキットといえばGSX-R750”

という勇姿を誇示したわけです・・・

2000GSXR750

・・・わけですが、残念なことに数年後からレース規格が四気筒1000ccに拡大する事が決定。

つまりこのGSX-R750は完全に要らない子になってしまった。

この事から巷でも

「GSX-R750はお役御免」

という声が殆どを占めました。

そして悲しいことに名残を惜しまれるどころか

GSX-R1000

「ナナハンなんて時代遅れ」

とみんなGSX-R1000の方に夢中に。

もうレースにも市場にも居場所が無くなってしまったわけですね。

サイド

ただそれでもスズキはGSX-R750を止めませんでした。

主要諸元
全長/幅/高 2040/715/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1135mm
車体重量 166kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 141ps/12500rpm
最高トルク 8.4kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

Bandit1250/S(GW72A)-since 2007-

2007年式バンディット1250

「フルバンクで行く週末」

先代と入れ替わる様に登場した新世代のバンディットことbandit1250のGW72A型。

最大の特徴は何と言っても水冷になったこと。

バンディット1250エンジン

わざわざバンディットの為だけに造った専用開発エンジン。

先代よりもストロークが5mm長く、シリンダーもメッキ化し圧縮比もアップ。

そして微振動を打ち消すバランサーを搭載していながら『10.9kg-m/3500rpm』という太いトルクを発生。

GW72Aエンジン

もちろんFI化とデュアルスロットルバルブSDTV(Suzuki Dual Throttle Valve)という新技術搭載で非常に調教されたスムーズさ。

見た目はほとんど同じなんだけど先代までの1200とこの1250は本当に別物です。

先代が古き良きゴリゴリ感があったのに対し、このモデルは本当にスムーズでヒュンヒュン回る。皆さんが漠然と思う油冷(空冷)と水冷のイメージをそのまま研ぎ澄ましたような形。

Bandit1250とBandit1250S

ちなみにみんな丸目バンディットを見たことが無い事からも分かるように人気はSに集中し、丸目モデルは発売から二年ほどでラインナップから消えました。

と思ったら2011年からイメチェンして再登場。

2011年式Bandit1250

グラディウスっぽいヘッドライドに新デザインのフレームネックカバー。

更にブラックアウトエンジン(※以降の全モデル)やクリアレンズに専用テールなど色々と手が加えられましたが・・・反対に人気を呼んだのが同時期に発売されたFモデル。

Bandit1250F

GSX-Rかと見紛うルックスのフルカウルモデルです。ちなみに北米などでは名前もGSX1250F。

こちらはバーハンの楽ちんGSX-R1250の様なものなのでコンスタントに1000台/年ほどの人気を獲得。

無印ネイキッドには申し訳ないけど、この偏り方バンディットのコンセプトと人気の理由をよく表していますよね。

Bandit1250S

「ビッグネイキッドに必要なのは優れたオールラウンド性」

っていう。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1095mm
[2130/790/1235mm]
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 250kg(装)
[252kg(装)]
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 950,000円(税別)
[980,000円(税別)]
{1,040,000円(税別)]
※[]内はバンディット1250S
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit1200/S(GV79A)-since 2006-

2006年式Bandit1200

「パフォーマンスネイキッド」

バンディットとしては二代目であり・・・油冷ファイナルでもあるbandit1200のGV79A型。

主な変更点はスイングアームを45mmも伸ばしてホイールベースを1480mmまで延長し安定性を向上させた事や、シート高を770~790mmの二段階調節式にした事など。

Bandit1200S

ネイキッドの方はメーターとライトの間に気持ち程度の風防カウルが付いてるのが特徴的で、ハーフカウルのSバージョンはシェイプアップされたものになりました。

ただ残念なことにこのモデルは規制強化に伴い、このモデルはわずか二年のみの販売。

Bandit1200ファイナルエディション

登場して一年後にはファイナルエディションが出てしまうという短命さ。

ちなみにファイナルエディションにはタンクに油冷ステッカーが付いています。

Bandit1200ファイナルエディション

ただしちょっと覚えておいて欲しいのは、このエンジンが凄いのは油冷システムだけじゃない事。

このエンジンのルーツは1985年の初代GSX-R750にあるんですが、何が素晴らしいってその頃に生まれた油冷というシステムだけでなく造形までも守り続けた事。

Bandit1200エンジン

こんな細かい冷却フィンを持ったエンジンは他には無い。

もともとこれは冷却性を上げようとGSX-R750でやった事。つまりレースで勝つために行ったコストよりも性能な改良。なのにレースとは無縁なネイキッドになろうが続けたんです。

ライバル社の凄い所を言い合う雑誌(失念)の企画でヤマハの人がこの造形は真似ができない(コスト上許されない)と讃えていました。

油冷ファイナル

こうやって画像で見ると間隔が狭すぎてハレーションを起こしてるほど。

このエンジンを積んだ最後のモデルが二年しか売ることが出来ないにも関わらずモデルチェンジのされたこのBandit1200のGV79型。

スズキが如何に油冷に対して誇りを持っていたかが分かるモデルです。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1095mm
[2130/790/1235mm]
シート高 770~790mm
車軸距離 1480mm
車体重量 212kg(乾)
[215kg(乾)]
燃料消費率 26.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 9.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 828,000円(税別)
[858,000円(税別)]
※[]内はバンディット1200S
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit1200/S(GV77A)-since 2000-

2000年式GSF1200

「軽量・コンパクト・スポーティ」

GSF1200の後継モデルとして登場した初代バンディットことBandit1200のGV77A型。

GSF1200のトレードマークであった薄いタンクはそのままに直線基調となったダブルクレードルフレームが特徴。

2000年式GSF1200

驚きなことにあの超ショートホイールベースだったGSF1200から更にホイールベースが縮められ1430mmになりました。

相変わらず引っくり返るのかと思うかもしれませんが、スロットルポジションセンサーによる点火タイミングとキャブ変更によりトルクピークを少し上げて元気さは持ちつつも扱いやすい特性に・・・それでもかなり過激な方ですが。

そしてバンディットといえばコレとも言えるSモデルもカウル造形がシャレた物に。

Bandit1200S/GV77A

油冷ビッグネイキッドというスズキの道を邁進したわけですが、ここでちょっとした豆知識。

詳しい説明はGSX-R750の系譜で書いたので割愛しますが油冷というのは

『走行風に加えてオイルでも冷却』

という空冷の発展形といえる形なので空冷と見分けが付きにくい・・・そう思っている人も多いかと。でも油冷エンジンである事を象徴している分かりやすい部分はちゃんとあるんです。

それはエンジンヘッドとクランクを結んでいるこの太いホース。

油冷エンジン

これはエンジンヘッドからクランクへオイルを戻す為のバイパス。

油冷というのは空冷と違いシリンダーヘッドへオイルをジェットで勢いよく大量に吹くのでオイルの回収が大変。

空冷と同じ様にカムチェーントンネルから戻そうとすると間に合わず、フリクションロスや撹拌による性能低下を招いてしまう。

しかしだからといって専用の通路をブロックに設けてはせっかくのスリムさが台無しに・・・そこでGPマシンにも関わっていた岡本さんは閃きました。

「中を通すこと無理なら外を通せばいいじゃない」

SACS

そうやって生まれたのがこの太いバイパスなんです。

Bandit1200Sジャケット写真

つまりこのバイパスこそ油冷の証であり、油冷の命綱でもあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2140/765/1100mm
[2070/765/1220mm]
シート高 775mm
車軸距離 1430mm
車体重量 214km(乾)
[218kg(乾)]
燃料消費率 26.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 9.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 819,000円(税別)
[848,000円(税別)]
※[]内はバンディット1200S
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

ZX-10R(ZX1000E)-since 2008-

08年式

「究極のスーパースポーツ」

これまたガラッと雰囲気が変わった三代目ZX-10RのE型。

前モデルまでの丸みを帯びたデザインから一転し角々したものへ変わりました。

2008ZX-10R

なんでも自前の設備で空力学を突き詰めたところ、前面投影面積を減らすこの角ばったデザインの方が有利なんだとか。

ちなみにそれに一役買ってるのが変なところに付いてるウィンカーなんですが、このASSY(一式)をミラー屋に造らせるかウィンカー屋に造らせるかでモメたんだとか。

そして何よりセンターアップも始めたと思ったらあっさり止めたわけです・・・が、まあこれにも先代に引き続き切実な理由があるんですよ。

2008ZX-10Rカタログ写真

先代D型でカワサキはユーザーに歩み寄りました。

とっても素直になったわけですが・・・

「カワサキのSSは上級者向け」

というイメージというか先入観を払拭するには至らなかった。

zx1000e

「じゃあもういいよ」

と言ったかは定かじゃないけど、そうなったと思わせるのが

「プロダクションタイヤ前提の開発」

という、いくらSSといえどやり過ぎなほど割り切ったというか開き直った開発。

08ZX-10Rネイキッド

それが分かりやすく出ているのがダイヤモンドコーティングされたフロントフォークを始めとしたサスペンション。

日常使いを全く考えていない外車かと思うほど高荷重前提で、とてつもなく硬い。

08ZX10R

エンジンもデュアルFI化で馬力が更に13馬力も向上しているんですが、あくまでも高回転での出力向上がメインで低回転は潔いほど捨てています。

他にもスイングアームをプレス成型ビームによる新設計にして剛性を18%もアップしてガッチガチ。

もう本当にトラックユース、またはキッチリ走れる人の事しか考えていない。

08ZX10R_JSB1000

「乗れるもんなら乗ってみろ」

という初代へ原点回帰というより、初代を更に研ぎ澄ませたようなスーパースポーツ。

主要諸元
全長/幅/高 2110/710/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1415mm
車体重量 179kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 162ps/10000rpm
最高トルク 11.5kg-m/8700rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YT12B-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.7L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 1,320,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)