XT200(23J/47J) -since 1982-

1982XT200

「LIGHT WEIGHT TRAIL」

セローのご先祖様というか元ネタにあたるXT200/23J型。

当時ヤマハは2stのDTシリーズ、4stのXTシリーズのダブルトレールを展開していました。

23J

そしてこのXT200は兄貴分だったXT250Tのスケールダウン・・・ではなくXT125をそのまま196ccまでアップしたモデル。

だから車重も125と変わらず乾燥重量98kgという圧倒的な軽さを誇っていました。

ヤマハXT200

足回りも21インチの中空アルミリムにDTで培ったカンチレバー式モノクロスサスペンションなどで本格仕様。

二年後の後期モデル47J型ではスロットルバルブを絞りセッティングを見直した他、フォークブーツやデコンプを装備しマフラーへもメッキ加工が施されました。

カタログ写真

なかなかのスポーツトレールで今なら大ヒットだろうなと思うわけですが、当時はまだ2stが全盛だったのでDTの足元にも及ばない人気で鳴かず飛ばずでした。

XT200

そのため僅か三年余りのモデルライフだったわけですが、このXT200を誰より高く評価していたのはDT開発チーム。

そしてそれがあったからセローが生まれる事が出来たわけです。

AG200

ちなみにこれは1985年に出た派生モデルのAG200/1FE型。

フルガード&キャリア付きのヘビーデューティートレール・・・まず誰も覚えていない。

主要諸元
全長/幅/高 2115/845/1155mm
シート高 835mm
車軸距離 1330mm
車体重量 98kg(乾)
燃料消費率 60km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.3L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 196cc
最高出力 18ps/8500rpm
最高トルク 1.6kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21
後4.10-18
バッテリー 6N4A-4D
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.3L
スプロケ 前15|リア45
チェーン サイズ428|リンク116
車体価格 265,000円(税別)
系譜図
XT2001982年
XT200
(23J/47J)
セロー225-1kh/1rf/2ln1985年
XT225SEROW
(1KH/1RF/2LN)
セロー2253RW1~41989年
XT225SEROW
(3RW)
セロー225-3RW5/4JG1~41993年
SEROW225W
(4JG)
セロー225-5MP2000年
SEROW225WE
(5MP)
セロー250-DG112005年
SEROW250
(DG11J)
セロー250-DG172008年
SEROW250
(DG17J)
セロー250-DG312018年
SEROW250
(DG31J)

FZR250(3LN最終)-since 1993-

FZR250Rファイナル

FZR250Rの最終モデルとなる93年~の3LN(3LN6)型。

40馬力規制に対応したZEALのエンジンをベースにしつつもヘッド周りなどを規制前の前期モデルに戻したような構成になってる。だからZEALに対してピークが2000rpmほど高い。

しかしまあ・・・こうやって見ると本当にGENESISの塊ですね。

1989FZR250Rカタログ

ただもうこの頃になると本当にレーサーレプリカブームは去っててみんなネイキッドやクルーザーに夢中。そしてレーサーレプリカ層も40馬力というネックがあったから買い替え需要も起きない。

60万円という車体価格の高さもあったと思います。今60万円で出たらバカ売れでしょうけどね。

こうやってレーサーレプリカがバタバタと倒れていったわけですが、FZR250Rはどちらかというと早い段階(94年)で生産終了となりました。これは売れなくなった事とヤマハがラインナップの再編というかモデル整理を始めた事がキッカケ。

3LN5カラー

旧体制を脱し生まれ変わった事を象徴づけたFZ250PHAZER。

更なるニーズの先読みで爆発的なヒットを飛ばしたFZR250。

採算性の問題から短命に終わったFZR250R。

FZR250R最終カタログ

こうして振り返ってみるとFZR250Rの系譜はヤマハ再興の系譜とも言えますね。

主要諸元
全長/幅/高 1990/685/1100mm
シート高 735mm
車軸距離 1375mm
車体重量 146kg(乾)
燃料消費率 51.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/14000rpm
最高トルク 2.6kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17
後130/70-17
バッテリー YB10L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

【関連車種】
CBR250RR/CB250の系譜Bandit250の系譜ZXR250/BALIUSの系譜

FZX250 ZEAL(3NL)-since 1991-

ヤマハZEAL

「HUMAN ORIENTED SPORTS」

FZR250Rのネイキッド版にあたるZEAL。バーハンドルに変更しキレ角を上げ、ダイヤモンド型式の楕円パイプフレームに変更。フィット感はさることながらシート高735mmで足付きが更に良くなりました。

エンジンの方もバルブタイミングの変更、吸排気管の延長、キャブの見直しなどで中低速寄りに変更されています。

ZEALの販促写真

このバイクが誕生した背景として先にもチョロっと言ったけど40馬力規制によるレーサーレプリカブームの失速と、ゼファーを皮切りに始まったネイキッドブームの台頭があります。ホンダのJADE/HORNET、スズキのCOBRA、カワサキのBALIUSなどと同じ生い立ちですね。

言ってしまえばレーサーレプリカを使い回して台数を稼ごうという事なんだけど、そんな中でもヤマハのジールはかなり力を入れていた印象があります。

ジールラフデザイン

見紛う事のない車体デザインはご存知GKデザインが手がけたものなんですが

「新たな価値観を持つデザイン」

がデザインコンセプト。

イメージしたのは「ジャンプするイルカ」だそうです。独創的ですね。

ジールカタログ

販促の方でもジールのイメージに合うと爽やかイケメンの加勢大周を起用し、カタログのみならず青山ベルコモンズのポスターや映画「シャイなあんちくしょう」でのタイアップ宣伝までしました。

ジール広告

翌年にハンドルホルダー変更やマフラーのメッキ化などの年次改良をしたものの鳴かず飛ばずで生産終了。

4st250レプリカのネイキッド版としては一番力の篭ったバイクと思ったんですけど・・・ちなみにマフラーは2本出しのように見えますが実は繋がっています。

主要諸元
全長/幅/高 1990/715/1045mm
シート高 735mm
車軸距離 1370mm
車体重量 145kg(乾)
燃料消費率 51.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/12000rpm
最高トルク 2.7kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E/CR8E/CR9E
または
U22ESR-N/U24ESR-N/U27ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア57
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 539,000円(税別)
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

FZR250R(3LN)-since 1989-

三代目FZR250

三代目FZR250と言っていいのか、初代FZR250Rと言っていいのか、最後のFZR250の前期モデルと言っていいのか・・・・とにかくFZR250としては最後のフルモデルチェンジとなった3LNの前期型。

カウルが兄貴分である400や750と同じデザインになった事からも分かる通り準ずる造りとなり性能が大幅にアップ。

具体的に言うと最も大きな変更点はアルミデルタボックスを始めとした骨格の大幅な変更。

1989FZR250Rカタログ

これによってフレーム剛性が大幅に上がったわけですが、形状の工夫でシート高は更にダウン。そしてもう一つ挙げておきたいのは当然エンジン。

1989FZR250Rカタログ

バルブやバルブスプリングといった動弁系を中心とした軽量化、吸排気管長の短縮による高回転時の効率アップなどで18000rpmまでピークが伸びました。

1989FZR250R青

その他の変更点としてはフロントフォークの大径化に異型4POTキャリパー、ガソリンタンク容量のアップなど。ちなみに上の青は新しくなったTECH21カラーを連想させる限定色のリミテッドモデル。

そして合わせて紹介で申し訳ないんだけどこのFZR250Rはわずか一年でマイナーチェンジが行われてました。

1990FZR250R

一つ上のFZR400RRと足並みをそろえて同じデザインに。

変更点としてはフレームのアルマイト処理、プロジェクターヘッドライト、キャブレーター、バルブスプリングなどなど。簡単にいうと中低速レスポンスの向上が狙いです。オイルエレメントがカートリッジ式になったのが一番恩恵ありそうだけど。

しかしながら・・・FZR250Rで最も人気が出て最も売れたのは先代の2KRで、この3LN型は先代程売れませんでした。というのもこれはFZR250が悪いというより単にレーサーレプリカブームが去ったから。

1990FZR250R

ヤマハもなんとか売ろうと試行錯誤。当時のカタログを見ると分かるんだけどそれまでのレーサーアピールからポップなイメージに路線変更。

しかしながら20000rpmまで無駄に回るフルカウルのレーサーレプリカがポップなわけもなく・・・時代はネイキッドに移っていったわけです。

主要諸元
全長/幅/高 1990/675/1120mm
シート高 735mm
車軸距離 1375mm
車体重量 141kg(乾)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/16000rpm
最高トルク 2.5kg-m/12000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後130/70-17(61H)
バッテリー YB10L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E/CR9E
または
U24ESR-N/U27ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

FZR250(3HX)-since 1988-

二代目FZR250

FZR250の二代目にあたる3HX型。

一番の変更点はヤマハの十八番として有名なEXUPを採用したこと。

二代目FZR250

EXUP(エグザップ)というのは可変排気システムの事で、簡単にいうと回転数に応じて排気の抜け(圧)を変えて排気脈動をコントロールするというもの。

えーっと確かGSX-R1000の方でも説明をサボっていたのでいい加減説明すると、排気というのはエンジンから出てきてエキゾーストパイプ内を通ってマフラーへ向かうのはご存知と思いますが、この時”排気圧力波”というものも生まれます。

そしてこの排気圧力波というのは正と負という2つの性質があります。

排気の仕組み

エンジンから出てきた正の排圧波はサイレンサーまで来ると今度は負の排圧波となってエキゾーストパイプ内を逆走します。これが次の燃焼で出てきた正の排圧波と当たると排気ガスをエンジンから引っ張り出してくれる(排気を助ける)働きとなり、次のサイクルでも真っさらな状態で混合気を吸えパワー(トルク)を稼げる。

しかし負の排圧波としてエンジンまで戻ってきても正の排気が出てきていない、つまり排気バルブが閉まっていていると再び反転してサイレンサーまで向かう。そしてサイレンサーにたどり着くと今度はまた正の排圧波へとなりエンジンに向かいます。

問題になるのは、排気つまり回転数というのはバラバラで排圧波が巡るタイミングが一定じゃないということ。

正とぶつかる事ができなかった負の排圧波が再びサイレンサーに戻ってきて正に変わり、またエンジンに向かって正と正でぶつかると排気を助けるどころか妨げてしまうタイミング(吹き返し)が生まれてしまう。これはオーバーラップといってバルブを長く開ける必要性がある高回転型エンジンの低回転時に顕著になる問題です。

それを防ぐには吹き返しが起こるタイミングの時だけ排圧波のタイミングや流れを変えたり無くしたりすれば良いんですが、エキゾーストパイプの長さや太さを回転数に応じて変形させるなんて不可能。

EXUPの仕組み

「だったらマフラーまで行ってひっくり返る前に排圧波を反射させてタイミングをズラしたりサイレンサーへの通路を絞って弱めたりする可変式の壁を作れば良い」

というのがEXUPというわけです。

半円状になっていてサイレンサーからの排圧波をエキパイに戻さないようにブロック。排気脈動(負を利用した排気補助)が使える回転数まで上がると90度回って何も無い状態にする。凄く簡単に言ってますが。

二代目FZR250

だからこの3HXも微調整に近い足回りの変更とEXUPを採用しただけなんだけど、そのEXUP採用によって5000~10000rpm域におけるパワーが目に見えて向上しています。

主要諸元
全長/幅/高 2010/680/1120mm
シート高 750mm
車軸距離 1375mm
車体重量 140kg(乾)
燃料消費率 51.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/14500rpm
最高トルク 2.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後120/80-17(61H)
バッテリー YB10L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E/CR9E
または
U24ESR-N/U27ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア55
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

FZR250(2KR)-since 1986-

初代FZR250

初代FZR250の2KR。

言ってしまえばPHAZERベースのレーサーレプリカ。

先代にあたるPHAZERはどちらかというとアンチレーサーレプリカなバイクだったんだけど僅か2年も経たない内にレーサーレプリカへフルモデルチェンジする事になりました。

これが何でかって言うと単純にレーサーレプリカブームを狙っての事で4st250レーサーレプリカでは一番早く出たモデルでもあります。

PHAZERベースとはいえ色んな部分が改良されています。

点火システムをデジタル式フルトランジスタ化、新鮮な風をキャブへ送るF.A.I(フレッシュエアインテーク)、フロントブレーキはクラス最大となる320mmローターに対向4POTキャリパー、他にも見て分かるようにセパハン化やフレーム見直し、サス再設計などなど。

catalog写真

初の4st250レーサーレプリカという事からも爆発的な人気を誇り、2年で3万台以上のセールスを達成。

2stのTZR250、4stのFZR250という80年代ヤマハの250レーサーレプリカを代表する二大看板が出来上がったわけです。

FZR250は人気が出たのはライバル不在だったこともが大きいですがそれだけでなく足付きの良さから女性層も大きく取り込めた事もあります。45ps/14500rpmが女性に人気ってのも変な話ですが・・・まあそういう時代だったんです。

1987年にはフロントフォークの調節機能が付いた限定モデル(2RG)も登場しました。

そして忘れちゃいけないのがTECH-21カラー。

catalog写真

※写真はレーサーFZR750:OW74(FZR250R TECH21の写真は用意できませんでしたスイマセン)

当時を知る人には説明不要だと思いますが、これはスポンサーといえばタバコメーカーが当たり前だった時代にSHISEIDOというまさかの化粧品メーカーがスポンサーとなり、しかも全身淡いバイオレット。異質ながらも当時のヤマハ8耐を象徴するカラーでした。

更に当時バイク界のプリンスと言われていたYZF750ライダーの平忠彦さんを男性向け化粧品として売り出したそのTECH21のCMに起用。

テック21

バイク乗りならTECH21のムースでリーゼント決めるのが当たり前みたいな状況でした。TECH-21関係の懸賞とかもあったしね。

主要諸元
全長/幅/高 2010/680/1120mm
シート高 750mm
車軸距離 1375mm
車体重量 140kg(乾)
燃料消費率 51.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/14500rpm
最高トルク 2.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後120/80-17(61H)
バッテリー YB10L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8E/C9E
または
U24ES-N/U27ES-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア52
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 539,000円(税別)
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

FZ250PHAZER(1HX/1KG) -since 1985-

FZ250フェーザー

「インテリジェント ファイター」

250ccマルチシリンダースポーツの火付け役として有名なFZ250PHAZER・・・フェザーじゃなくてフェーザーですよ。

この頃250でスポーツといえば2stが当たり前で4stは実用バイクという認識が一般的だった。それは1980年に出た2stスポーツを復権させたと言われるRZ250、つまり他ならぬヤマハによるもの。だからスポーツといえば2stという事に加えヤマハといえば2stという認識も強かった。

そんな中でホンダから打倒2stとして出された4stスポーツのVT250Fが年間販売台数2万台を超えるトップセールスを記録。それを見たヤマハは250の需要の高さを再確認し2stに負けない4st250の開発に乗り出したわけです。

FZ250PHAZER

改めて言いますがFZシリーズというのは今もYZFなどに採用されているヤマハGENESIS思想の始まり・・・なんですが一つ知らなかった事がありました。

それはこのGENESIS思想はヤマハのエンジニア達の中でも若手が集まり導き出した設計思想だということ。

この頃のヤマハはHY戦争敗戦(200億の赤字)の影響で社員は大幅な減給をされていたそうなんですが、若手エンジニア達そんなの関係なく三度の飯よりだったのでしょうね。

FZ250カタログ

でもこの敗戦があったからこそGENESIS思想が生まれる事が出来たんです。

それは経営の立て直し、生まれ変わる事がヤマハの課題だった事から。アンチホンダでしかなかった旧体制を脱するためにも新しい考えを持った若い世代に色々やらせようという社風が生まれていた。

だからFZ250のプロジェクトが始まった当初は

「Vツインのハイスペック250スポーツ」

という要望、つまりまんまVT250Fの追っかけを出すよう上から言われたものの現場がこれを拒否。平均年齢29歳という若さを持ったプロジェクトチームはヤマハ初となる直列四気筒250ccで行くと決めたわけです。

FZ250PHAZERエンジン

そして出来上がったエンジンは前傾45度と大きく傾け吸気ラインをストレート化したエンジンに四連キャブ、直径で50mm足らずのシリンダーに合わせるようバルブもプラグもヤマハとしては最小径となる特別なものを積んだ贅沢なもの。

これだけでも凄いのですが、こだわりはエンジンだけでなくエンジンを積むフレームにも工夫が凝らされていて、冷却水が中を通るちょっと変わったダブルクレードルフレームとなっています。

FZ250PHAZERボディ

これは簡単にいうとフレームをラジエーター代わりに使って冷却性能を上げるのが目的。効果は結構大きくこれのおかげでラジエーターサイズを大きく取らなくて済んだ。

他にも大容量エアクリーナーに球面クランクケースなどなど・・・そしてそれを覆うカウルもこれまた個性的。

フェーザーカタログ2

ライトからタンクまでスクリーンやウィンカーを含め一体としたエアロフォルム。

意向を無視された上へのプレゼンもこの近未来的なフォルムと18000rpmのジェットサウンドを聞かせたら一発OKだったそうで。

明らかにそれまでの250ともレーサーレプリカとも違う異質な存在感と官能的なサウンドで市場でも同様に好評でした。

フェーザー青

マフラーとリアディスクブレーキの変更があったYSPモデルや翌年1986年の後期モデル(1KG)を含めると約2万5000台を超える大ヒット。

フェーザー250YSP

FZ250PHAZERはヤマハのこれからを担う若手エンジニア達だけ作り上げた250スポーツバイク。

1985FZ250PHAZER

そして新生ヤマハを象徴するバイクでもありました。

主要諸元
全長/幅/高 1950/690/1060mm
シート高 750mm
車軸距離 1350mm
車体重量 138kg(乾)
[138kg(乾) ]
燃料消費率 51.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/14500rpm
最高トルク 2.5kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-16(50S)
後120/80-16(60S)
バッテリー YB10L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C7E/C8E/C9E
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前17|リア52
チェーン サイズ428|リンク124
車体価格 499,000円(税別)
[535,000円(税別)]
※[]内はYSPモデル
系譜図
FZ250フェーザー 1985年
FZ250PHAZER
(1HX/1KG)
1986FZR250 1986年
FZR250
(2KR/2RG)
3HX 1988年
FZR250
(3HX)
3LN 1989年
FZR250R
(3LN)
1KT 1991年
ZEAL
(3YX)
3MA 1993年
FZR250R
(3LN最終)

FZR400RR/SP(3TJ) -since 1989-

FZR400RR

三代目でありFZR400シリーズの最後を飾るモデルでもある3TJ型。

車名にRがもう一つ追加されFZR400RRとなったのを見ても分かる通り大幅なモデルチェンジとなりました。

FZR400RRフレーム

あらゆる部品を見直した事でコンパクトにすることが出来たエンジン。

ダウンチューブを完全撤廃し軽量高剛性になった新設計デルタボックスフレーム。

FZR1000と同サイズとなる極太フロントフォーク。

などなどで中身はほぼ別物。

FZR400RRカタログ写真

外見のほうも市販車初となるプロジェクター式ヘッドライトに、ファクトリーマシンYZR750と同タイプのテールライトなどで同じ系譜のバイクとは思えないほど雰囲気が一新。

ここまでの大変貌を遂げた理由はこれまでと違いYZRチームが開発に大きく関わったから。

ちなみにこのモデルでSPモデルが再び設定されました。

FZR400RR・SP

上記FZR400RRに加え、大型ラジエーターに6速クロスミッション、強化クラッチに伸・圧調節機能付きサス、シングルシート仕様など。

お値段は相変わらず89万円。

そんなFZR400RRは1994年まで発売されたのですが、92年にSPモデルのみFCRへ換装した(3TJ6型)のが最後のモデルチェンジ。

1992FZR400RR-SP

これはレーサーレプリカブームが去り、TT-F3クラスも廃止になっていたから。

ラストモデルに当たるのは1994年に専用グラフィックを施したSPモデル(3TJ7)で500台限定でした。

1994FZR400RR-SP

メモリアル的な意味合いが強いモデルです。それにしてもオシャレなシートアルミフレームですね。

さて・・・最後になりますがFZR400で開発者達が一番大事にしていたことをご存知でしょうか。

それは

「安定・安心」

です。

FZR400RRカタログ写真

こんなカリカリのスーパースポーツで安全なんて意味がわからないと思うでしょう。

FZR400はTZR250と同様にYZRのレーサーレプリカであり

「レースで勝てる速いマシン」

が至上命題でした。でも見て分かるようにTZR250とは作りが大きく違う。

これはFZR400開発において散々議論した結果

「安心こそ速さに繋がる」

という別の結論に至ったから。

FZR400RRアクセサリー

その狙いが現れているのが

「FZR400はハンドリングが重い」

と巷でよく言われた事。

これは開発者がレーサーやライバル車に乗った際に感じたクイックなハンドリングを疑問に思ったのが始まり。

確かにクイックなハンドリングだと、凄くスポーティに、そしてまるで自分が上手くなった様な”錯覚に近い気分”を味わえる。

でもそれはヤマハの考えるマン・マシンの一体とは違う。

FZR400RRファイナル

だからFZR400はそんな味付けを廃したんです。

どんな速度でも、どんなコーナーでも、マシンを信じ、安心して安全に曲がっていける。

乗り手のアクションに

「いつ如何なる時も忠であり続ける事」

これこそが本当の速さに繋がる。

FZR400RRチラシ

「信頼関係を築けるレーサーレプリカ」

忠犬として名高いドーベルマンをカタログに用いた意味もそこにあるんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 1975/705/1090mm
シート高 760mm
車軸距離 1370mm
[1365mm]
車体重量 160kg(乾)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 4.0kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L
[全容量3.5L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L]
スプロケ 前19|リア55
[前19|リア52]
チェーン サイズ428|リンク130
[サイズ428|リンク128]
車体価格 739,000円(税別)
[839,000円(税別)]
※[]内はFZR400RR/SP
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FZR400/R(3EN) -since 1988-

3EN

二代目FZR400の3EN型。

新設計ピストンやクロモリ鋼製コンロッド&カムシャフト、更に吸排気の見直しでフレッシュエアを導入するFAIやEXUPを標準装備。

1988FZR400

更にスイングアームもアルミ製へと変更されたわけですが、留まる所を知らないとは事のことで、翌1989年には更に改良が入りFZR400Rへと改名。

3EN2

3EN2型(3EN二型)でスラントノーズ化やマフラー形状の真円化に加え、フロントフォークを大径化。

3EN2車体

フレームも見直され、リアスイングアームを補強レスのアルミデルタボックスタイプに変更などなど結構大掛かりな変更が加わっています。

3EN2コックピット

熟成に近いモデルチェンジで評判も上々だったものの、残念なことにレプリカ戦国時代だった事もあり半年ほどしか発売されず。

その為FZR400シリーズでは一番数が少ないモデルです。

3EN1カタログ写真

少し遡りますがFZR400の特徴として挙げられる一つが140/60というリアタイヤです。

110/90が当たり前だった時代に140/60という超扁平のワイドタイヤ。

3EN2フレーム

これはまだ主流では無かったラジアルタイヤのグリップ性能をフルで活かすため。

今こそ珍しくもなんともないサイズですが、当時はこのサイズにするとリム幅の関係でタイヤの選択肢がほぼ無くなる状況だったんです。

だからこれまでのラジアルタイヤは簡単に言うとバイアスタイヤに合わせたラジアルタイヤだった。

3ENカラーリング

しかしそれではラジアルの本領を発揮できないとして、前々から考えていたラジアル前提のホイールと超偏平のラジアルタイヤ化を決断。

3EN2カタログ写真

今ではメジャーなサイズとなっている140/60という扁平率は、このFZR400が最初に踏み出したから進んでいったというわけ。

何が何でも超偏平を高次元で実現させるとして開発にも一番時間を掛けたんだとか。

主要諸元
全長/幅/高 2025/685/1160mm
[2020/685/1130mm]
シート高 760mm
[770mm]
車軸距離 1400mm
車体重量 165kg(乾)
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB12AL-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前19|リア55
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 719,000円(税別)
[729,000円(税別)]
※[]内はFZR400R
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)

FZR400/R(1WG/2TK) -since 1986-

1WG

「最強・最速の400」

明け渡してしまったF3チャンピオンの称号を取り返すために作られたワークスマシンYZF400との共同開発という形で誕生した初代FZR400の1WG型。

1WGイラスト

アルミデルタボックスフレームや45度傾斜エンジン&ダウンドラフト吸気システムといったGENESIS思想の塊となり正真正銘レーサーレプリカに。

ワークスクオリティFZR400R

「遂にヤマハが400でも本気を出した」

と非常に話題となりました。

ところが本気はこれで終わりじゃなかった。

翌1987年にはレース前提車両ともいうべきFZR400Rを限定生産で発売。

ヤマハFZR400R

標準モデルに加え

・冷却用オイルジェット&オイルクーラー

・EXUP(市販車初)

・F3モデルと同じクロスミッション

・リアフレーム等のアルミ化

・シングルシート仕様

・対向4ポットブレーキキャリパー

等などを装備しお値段89万円(税別)。

レーサーレプリカ時代によく出ていたSPグレードを最初に設けたのはこのFZ400Rです。

少し補足をすると、最初に言った共同開発のワークスマシンYZF400というのは、国内400ccレースのトップであるTT-F3(国際A級)という言わば改造何でもありでワークスが犇めき合うトップのクラスのレース。

YZR400

一方で改造範囲が狭い事から人気だったのがSP400というレース。

ほぼノーマルで戦う為に腕がモノを言う登竜門の様なクラスだったわけです。

FZR400R内部

FZR400Rを始めレーサーレプリカ時代に大量に出てきたSPモデルというのは単にワークスベースの為ではなく、そういったレーサー(アマチュア・ノービス)に向けて出された意味合いが強い車両というわけ。

これを買えば弄らずともレースに出れると当然レーサーたちは飛んで喜びました。

主要諸元
全長/幅/高 2040/690/1125mm
シート高 785mm
車軸距離 1400mm
車体重量 157kg(乾)
[162kg(乾) ]
燃料消費率 53.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB12AL-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8E
または
U24ES-N
[CR8E/CR9E
または
U24ESR-N/U27ESR-N]
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
[全容量3.1L
交換時2.3L
フィルター交換時2.6L]
スプロケ 前15|リア44
チェーン サイズ525|リンク104
[サイズ520|リンク104]
車体価格 698,000円(税別)
[890,000円(税別)]
※[]内はFZR400R(2TK)
系譜図
FZ400R1984年
FZ400R/N
(46X/2EL/3CD/1FK)
1wg/2TK1986年
FZR400/R
(1WG/2TK)
3EN1988年
FZR400/R
(3EN)
3TJ1990年
FZR400RR/SP
(3TJ)