SR400(RH16J)-since 2018-

RH16J

「SRで、あり続ける。」

再び規制によって生産終了を迎えつつも復活してきた七代目にあたるRH16J/B9F型。

こちらは40周年を記念して出されたSRの十八番である40周年モデルで、SRではお馴染みとなるサンバースト塗装と真鍮エンブレムになっています。

40周年モデル

昭和53年に生まれから40年、つまり平成の世を横断して令和になっても存続という偉業を達成した事になります。

最初にこの七代目モデルの変更点を上げると

・キャタライザーの改良

・キャニスターの装着

・電装/灯火系

・新設計マフラー

・新型ECU

などなど平成28年度(ユーロ4)排ガス規制への対応がメインとなっています。見分ける際に分かりやすいのがキャニスターですね。

キャニスター

これは蒸発ガスを大気放出させず吸収するためのもの。

キャニスターについてはトリッカーの方でしたので省きますが、この七代目SR400はセローと同じく2018年10月からのABS義務化に該当しないよう9月に滑り込むようにリリースされたモデルなので最長でも2021年9月までの販売になると思われます。

SR400の規制

要するに2年程度のモデルライフである事がほぼ確定しているわけですね。

だからもしも

「リアがディスクブレーキになるのは嫌だ」

と思ってるのならこのモデルがラストモデルになるのでお急ぎを。

もちろんそう思ってない人にもSRが欲しいなら間違いなく”買い”といえます・・・何故なら規制を逆手に取って激変した部分があるからです。

2018年式RH16J

SRに興味のある方ならこの2018年型に対してこういう意見を耳にした事があると思います。

「新型は音が凄く良い」

これは騒音規制の測定方式が(欧州準拠に)変わったことで実質的に少し緩和された事が理由の一つにあります。

それに伴い七代目SRはマフラーの内部構造が変更され排気口も先代よりも一回り大きくなっています。

2018年式SR400のマフラー

こうして抜けが良いマフラーにした事で音が格段に良くなった・・・という単純な話ではないのがクラフトマンシップ溢れるSRらしいところ。

前モデルにこの新型マフラーを付けたら同じ音になるのかというと残念ながらならないんです。というのも今回のモデルチェンジにおける最も大きい変更点はマフラーだけではなくバイクの脳にあたるECUにあります。

RH16JのECU

今回の排ガス規制ではOBD1(異常を知らせる機能)を装着する必要があり、そのためECUを処理能力の高いモデルに変更する必要があった。

これによりそのままでは入らないほどの大きさとなりレイアウトとシートサイドカバーを相変わらず変わっていない様に変えているんですが、同時にエンジンをこれまで以上に事細かに制御出来る様になったわけです。

そのおかげでこの七代目は中回転域にあったトルクの谷を解消する事が可能になったと同時に、高い演算能力と各種センサーを活用して”意図的な制御”を仕込むことが出来た。

2018年式SR400のエンジン

「僅かに燃料を多く吹いて僅かに点火時期を遅らせる」

という制御です。

燃料が余る状態で点火時期を遅らせるとまだ燃焼中だったり燃焼されず排気されるガスが出てきます。これは暖気中などに近い状態。

そしてそのまま排気されたガスはエキゾースト内で燃焼するんですが、燃焼するということは音や振動が出る。

RH16Jのマフラー

そう、これが良い音の正体なんです。

規制で必須となった高性能なECUを活用する形で『鼓動感』を出している。

「昔のバイクの方が音が良かったな」

という声を聞く事があると思いますが、この七代目は精密な制御によってそんな

『ちょっと燃調がファジーだったキャブ時代』

に限りなく近い音を出す様に出来たんです。

SR400キック

「精密な曖昧さで奏でる鼓動と音色」

これが七代目最大の変更点であり評判を呼んでいる魅力です。

主要諸元
全長/幅/高 2085/750/1100mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 175kg(装)
燃料消費率 29.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
最高出力 24ps/6500rpm
最高トルク 2.9kg-m/3000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/100-18(54S)
後110/90-18(61S)
バッテリー GT4B-5
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR6ES
推奨オイル ヤマハルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前19|後56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 530,000円(税別)
※40thは+110,000円
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

【関連車種】
GB250CLUBMANの系譜ST250の系譜ESTRELLAの系譜

SR400(RH03J)-since 2010-

RH03J

「日本の、スタンダードです。」

2008年に実施された厳しい排ガス規制で

『空冷×単気筒×400』

という三大要素を全て兼ね備えていた為にカタログ落ちとなってしまったものの、およそ2年の歳月の後に復活した六代目SR400のRH03J型。

SR400wallpaper

ここでも型式は変わらず3HTのままで3HTRから3HTXまでと、2017年モデルから新コードのB0Hとなっています。

大きな変更点としてはキャブからFI(電子制御燃料噴射装置)になった事。

それだけかと思うかも知れませんが、これSRにとっては死活問題。

SR400フューエルポンプ

FIということは燃料を加圧する必要があるので、拳ほどの大きさもある燃料ポンプが必要になる。

スリムなSRにとってこれは非常に重荷。これをもしそのまま燃料タンクに突っ込むとタンクが盛り上がってしまうから。

SR400インジェクション

だからSRはわざわざ電装系の配置を全て見直し、なんとかサイドカバー部にスペースを設けてそこに押し込むことでサイドカバーを左右10mm高くするだけで済ませてある。

排ガスをクリーンにするために欠かせないマフラーもそう。このモデルから触媒とO2センサーを付けたものになり重量が変わりました。

SR400

だから取り付け位置を変える必要が生まれた。

でも単純に変えただけでは”変わってしまう”のでガードを付けたりしてそれを感じさせない様にしている。

しかしここまで電子制御化してもなおキックだけという潔さ。セルも検討したそうですが結局キックだけ。現存する市販車でキックだけってもうSR400だけじゃないかな。

今や伝統化して『儀式』と呼ばれるまでになりました。

キックスタート

ちなみにSRが欲しいけどキックが不安だと思ってる人に断っておきますが、SR400はデコンプ(キックを軽くするレバー)とキックインジケーター(キック位置の目印)が付いているのでかなり簡単です。

慣れると座ったまま3秒で掛けられるくらい簡単。

話を戻しますが、2年もの月日が空いてしまったのはこれら排ガス規制による変更だけでなく、製造ラインの問題も大きく関わっています。

というのも2008年規制で多くのモデルが販売不可になってしまった事を機にヤマハは製造ラインを集約したんですが、SRをそのラインに入れることが出来なかった。

これが何故かというと簡単な話で

B0H

「ハンドメイド過ぎるから」

です。

例えば今どき珍しいクリア塗装のクランクケースは三工程も掛けて手で磨く必要がある。スペシャルエディションになると八工程にもなる。

クランクは組立式だし、マフラーも仕上げは手溶接。そして何より組立に必要な治具もほとんどが昔からの古い専用品。

もっと細かい事を言うと、プロジェクトリーダーの山本さんが悩んだというのがピボットに付いているグリスニップルという今どき考えられない部品。

グリースニップル

グリスニップルというのはグリス注入口が付いたボルトの事なんですが

「これ要るんだろうか・・・」

と悩まれたそう。

これは錆びによる固着(ピボットシャフトが抜けなくなるのを)防止するのが狙いで1983年モデルから付けられたもの。

あくまでも当時の話であって品質が上がった今となっては無くても大丈夫なんでしょうが、悩んだ結果

「変える必要がないならそのままにしよう」

という事で結局そのまま。

35周年

こういう細かいながらも変えていない部分が非常に多いから今どきのバイクと一緒に造るのが難しかった。

それが仇となってしまったわけですが、じゃあどうやったのかというとゴルフカートの製造ラインにねじ込んだんです。

ヤマハのゴルフカート

幸運な事にゴルフカートが4st化に伴い製造ラインが見直されていた。そこで全く部署が違うにも関わらず何とかお願いしてSRも一緒に造ってもらえるように根回し。

復活に少し時間が掛かってしまったのはこれが理由。

最後に。

系譜を読まれて初めてSRが意外と手を加えられている事を知った人も多いかと思います。

ただそう思うのも当たり前な話。

1978と2018

『変えずに変える』

SRはこの難題に四半世紀以上も向き合い、どんなに厳しい時代になろうと逃げずに磨き上げて来たからです。

SINCE1978

今やその歴史の長さから

『ヤマハを体現したバイク』

と言われるまでになったわけですが・・・なんかちょっと安直で伝わり難いですよね。

それより

2018SR400

『ヤマハのクラフトマンシップを体現したバイク』

と言ったほうがしっくり来るかと。

主要諸元
全長/幅/高 2085/750/1110mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 174kg(装)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
最高出力 26ps/6500rpm
最高トルク 2.9kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/100-18(54S)
後110/90-18(61S)
バッテリー GT4B-5
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR6ES
または
W20EPR
推奨オイル ヤマハルーブ
プレミアム/スポーツ/ベーシック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前19|後56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 550,000円(税別)
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400(RH01J) -since 2001-

RH01J

「シンプルであること」

五代目SR400ことRH01J型。このRH01Jというのは車検証やフレームに刻印されている車体型式で、これまで言っていた2H6や1JRといったモデルコードではありません。

というのも何故かこのモデルではモデルコードが変わらず先代同様3HTのままだから。(正確には3HTC~3HTS型)

主な変更点としてはキャブレターのセッティングの変更とエアインジェクションによる排ガス規制対応、更にドラムだったブレーキは再びディスクになりました。

初代とは反対の右側に付いてるのが特徴です。

RH01Jカタログ写真

2003年にはイモビアラーム、スロットルポジションセンサー、マフラー構造の変更などのマイナーチェンジが入っています。

少し残念な事にSR400は続いたものの、SR500は21世紀を迎えること無くカタログ落ちとなりました。

SR500最終モデル

ここでちょっとSR500の話をすると、排気量から見ても分かる通り日本の免許制度が変わった後は主に輸出向けとして展開していました。

最初は北米に向けて出していたんですが・・・

「なんだこのバイクは」

と全く理解されず数年でカタログ落ち。

しかしその一方で欧州では保険料の兼ね合いもあり

「気軽に楽しめるファンバイクだ」

として好評でした。

SR500ドイツ

中でもドイツで非常に人気を呼び、なんと意外な事に一時期は日本より売れていました。

ただその欧州向けも1999年モデルを最後に生産終了。

後にSR400が輸出されるようになるんですが、向こうの人からしたら

「なんで400なんだ」

と思っているでしょうね。

あともう一つ話しておかないといけない事があります・・・

SRミヤビ

SRは排ガス規制強化によりこのモデルで一度生産終了を迎える事になるのですが、実はこのRH01J型が誕生する少し前の1995年に一度生産終了しているんです。

理由はエンジンの金型が老朽化して使えなくなってしまったから。

SRのエンジン

もう四半世紀以上に渡って造り続けた故の問題。

金型というのは用意するのにはお金が、所有するのには税金が掛かる物。ロングセラー車の生産終了や部品欠品が相次ぐのはこれが理由です。

でもヤマハはわざわざ新たに金型を用意した・・・それもダメになった四半世紀前の金型と同じものを。

SR400三十周年

これはもう製造ではなくクラフトの域ですよね。

主要諸元
全長/幅/高 2085/750/1105mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 168kg(装)
燃料消費率 48.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
最高出力 27ps/7000rpm
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/100-18(54S)
後110/90-18(61S)
バッテリー GT4B-5
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR6ES
または
W20EPR
推奨オイル ヤマハ純正オイル
エフェロSJ/SG/SF
10W-40から20W-40まで
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前19|後56
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 450,000円(税別)
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400(1JR/3HT)SR500(1JN/3GW)-since 1985-

四代目SR400

「深化。」

SR史上最大のヒットとなった四代目のSR400/1JRとSR500/1JN型。

主な変更としては、エンジンが再び見直されガスケットのメタル化とカムチェーンのアルミ化でオイルにじみを改善。

1JR

ロッカーアームに焼結チップを採用し、カムにもバーコリューブライトという表面処理をすることで耐摩耗性を更に向上。

ガソリンタンクも2Lアップの14Lとなり、ポリッシュからアルマイト加工の中空アルミリムの前後18インチに変更、サイドスタンドも鍛造になり信頼性と質感を向上。

しかし・・・一番は何と言ってもディスクブレーキからドラムブレーキへの変更ですね。

1JRカタログ写真

おまけにフロントフォークブーツを装着し、ポジションもバックステップ&ハンドル化で前傾気味に。

もはや回帰を通り越して退化と呼べるような変更で一気にトラディショナル感溢れるモデルへとなりました。

ドラム化しても制動距離がディスク時代から変わっていない事にメーカーの意地を感じますが、こうなった事には賛否両論ありました。

1984SR400

今と違ってSRを軽快な街乗りトラッカーとして評価している人たちや、自分たちでトラディショナルにしたいと考えていた人たちが居たからです。

しかし、こうなってほしいと願ったのもまた同じSRユーザー。

1992SR400スペシャルエディション

その声に応えた形となったこの1JR/1JN型は順調に販売台数を増やしていきました。

その人気は目を見張るものがあったため、遂に競合車が現れる様になりトラディショナル(カスタム)ブームが到来。

SR500/1JN

このトラディショナル(カスタム)ブームは本当にSRを救ったと言えるでしょう。

SRはもともとSRXにバトンタッチして終わる予定だったものの、社内から残すべきだという声が多かった事から存続する事になった経緯があるからです。

じゃあそんなブームが訪れた中でSRが生き抜くために何をやったかというと

【1988年(3HT1/3GW1)】

・カムを4度遅らせてマイルドに

・キャブを強制開閉式から負圧式に

・エアクリーナーボックスを拡大

・チェーンを428へダウンし騒音規制に対応

【1991年(3HT3/3GW3)】

・タンクを多重クリアのミラクリエイト塗装に

【1993年(3HT5/3GW4)】

・MFバッテリー化

・CDIや点火コイルの改良

【1994年(3HT6/3GW5)】

・セミエアフォーク廃止

・タンデムベルト廃止

・ACジェネレーターの改良

などなどブームが来ているジャンルとは思えないほどの小変更だけ。それでも1996年には約9000台とSRとしては最大の販売台数を記録。

SR20周年

時代が来よう来まいと、売れようと売れまいとSRはずっとSRのまま。

ヤマハのSRに対するぶれない姿勢はこのモデルで固まったと言えるんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2085/735/1080mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 153kg(乾)
[153kg(乾)]
燃料消費率 47.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
『12.0L』
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50S18
後4.00S18
バッテリー YB7L-B
<GT4B-5>
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
{BPR6ES}
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
{前19|後56}
チェーン サイズ530|リンク106
{サイズ428|リンク130}
車体価格 399,000円(税別)
[430,000円(税別)]
※スペックは1JR
※[]内はSR500(1JN)
※{}内は88年以降
※<>内は93以降
※『』内は96以降
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400/SP(34F/34E)SR500/SP(34A/33Y)-since 1983-

三代目SR400

「伝統のビッグシングル」

スポークホイールモデルとキャストホイールモデルを併売する形となった三代目のSR400/SP(34F/34E)とSR500/SP(34A/33Y)型。

併売と言ってもキャストホイールのSPモデルは初年度だけ(一ロッドだけ)で生産終了。

どんだけ人気無いんだよって話ですが、それよりもSRとしては初めて大きく手が加えられたモデルで

・フロントフォークのセミエア化

・シールチェーン

・ハロゲンヘッドライト

・ラバーマウントウィンカー

・オイルライン/フローの見直し

・ピストンとヘッドバルブの変更

などの改良。

SR400/34F

そんな中でも大きいのがオイルラインの見直しで、それまでインテーク側からだったオイルをエキゾースト側へ優先的に送るオイルパイプを新造し偏摩耗対策を強化。

合わせてピストンリングやカムチェーン等にも手が加えられ、大幅に信頼性が向上しました。

そしてもう一つ紹介しておかないといけないのが7周年を記念して出された限定カラーのSR400LTDというモデル。

7周年記念モデル

ギター等によく使われるサンバースト塗装(グラデーションぼかし)が施されているのが特徴。

このれが非常に好評でこの後も

「SRの限定カラーと言えばこれ」

と言われる程の代名詞カラーになりました。

「そんな人気カラーなら常備させればいいのに」

と思うかも知れませんが、これが限定であることには意味があるんです。

SR400S

このサンバースト塗装というのは職人がマスキングから塗装まで一つ一つ手作業で仕上げているから大量に造ることが出来ない。

だから限定カラーというわけ。限定のための限定ではなく、数を出せないから限定なんです。

SR400LTD

ちなみにSR400として初めて音叉マークを付けたモデルでもあるんですが、実はこれヤマハのバイク全体で見ても1965年のYA-6(旧音叉マーク)以来の事。

今でこそ珍しくない音叉マークですが、タンクエンブレムとして復活させたのはSRだったりします。

ただし実はSRはこの頃もう売れ行きがあまりよろしくなかったようで、後継の話が進んでいました・・・そうして開発されたのがSRXというモデル。

「決して多くない人たちへSRX-6(1JK~)SRX-4(1JL~)|系譜の外側」

SRXについては上記のページをどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2105/750/1110mm
[2105/845/1095mm]
シート高 810mm
車軸距離 1410mm
車体重量 158kg(乾)
[161kg(乾) ]
燃料消費率 44.0km/L
[45.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50S19
後4.00S18
[前3.25S19
後4.00S18]
バッテリー YB7L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格 310,000円(税別)
[365,000円(税別)]
※[]内はSP
※SR500は+31,000円
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400/SP(3X7/3X6)SR500SP(3X4)-since 1979-

SR400SP

「逞しきビッグシングル」

SRをよく知らない人でもひと目で違いがわかるキャストホイールが特徴の二代目SR400SP/3X6とSR500SP/3X4型。

SPというのはキャストホイール仕様という意味なんですが、これまでキャストホイールはカウルと同じく国内では不認可でした。

ヤマハキャストホイール

それが認可されるようになった事で各メーカーともキャストホイールを付加価値として付けるようになり、またそれが流行っていたわけです。

だからヤマハもわざわざSPなんて記号を設けてアピールし、SRもその一環でキャストホイール&ロードタイヤ化で時流に乗った・・・んですが、これが思わぬ不評を買いました。

SR400キャストホイール

「なんて事をしてくれたんだ」

とイメージが変わってしまった事を残念がられ販売台数は約1500台まで減少。

+4kgという重量増による軽快感の損失も痛手でした。

コレについては社内からも疑問視する声が出たようで、三年後の82年に『スポークホイール&キャラメルタイヤ』という先祖返りしたSR400/3X7型(400のみ)を限定発売。

3X7

待ってましたと言わんばかりの人気でキャストホイールあっさりと抜く3200台を販売。

もうこの頃から今と変わらない立ち位置だったわけですね。

しかし実はこれ、この失敗があったからこそ今のSRがあると言っても過言じゃないなんです。

SR500SP

キャストホイール化によって

「ダサくなってしまった」

とか

「先代が恋しい」

とか言われる様になった事から

「ダサいSRを自分でカッコよくしよう」

という流れが生まれ、スポークホイールを筆頭に初代のようにするカスタムパーツ、BSAに近づけるカスタムパーツ、スクランブラースタイルにするカスタムパーツ。

数々のカスタムメーカーがイメージが変わってしまったSRに困り果てている人をターゲットにした。

SR400SPカタログ写真

結果としてカスタム文化がまだそれほどでもなかった時代に『弄れるバイク』という新しさで評判を呼びました。

カスタムブームの始まり、そして今も続くSRの武器の一つであるカスタムの豊富さはここ。

『流行に乗ってしまった失敗』

が全ての始まりなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/775/1130mm
[2105/845/1095mm]
シート高 805mm
車軸距離 1410mm
車体重量 161kg(乾)
燃料消費率 44.0km/L
[45.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25S19-4PR
後4.00S18-4PR
バッテリー YB7L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格 330,000円(税別)
[3,000円(税別)]
※[]内はSR500SP
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400(2H6)SR500(2J3)-since 1978-

SR400

「開発コード583」

XT500の登場から約2年後に登場したXT500のオンロード版『Single Roadsports』として登場した初代SR400/2H6型とSR500/2J3型。

SRは元々の企画段階ではBSAのゴールドスターを参考にスクランブラー~トラッカーとして登場する方針でした。

SR400

我々が思うSRとはだいぶ離れている印象を受けると思いますが、これはXT500同様に一番売らないといけない主要市場だったアメリカから

「XT500の(マッスルな)ダートトラッカーを造って」

という要望があったから。アメリカの人気レースであるフラットトラックでXT500のエンジンを積んだマシンが活躍したから背景があったからだと思います。

しかし更に転機となったのが1977年。

日本のバイク誌であるモトライダーが4月号にて

ロードボンバー

「ヤマハからロードボンバーが発売」

というエイプリルフールネタをやったんです。

これは本当はXT500のページでも紹介した通り鈴鹿六耐用に開発されていたレーサー。このマシンに一枚噛んでいたモトライダーがそれを隠して市販化という飛ばし記事みたいな事をやったわけです。

そしたらこれを真に受けてハートを射抜かれる人が続出し、バイク屋やヤマハ本社へロードボンバーに対する問い合わせや予約が殺到という想定外の反応に。

この反響の大きさを受けてヤマハはSRを更にオンロード寄りな形に軌道修正。

SR500エンジン

とはいうもののエンジンなどは基本的にXT500のまま

・吸気バルブの拡大

・冷却フィンの大型化

・フライホイールマスを12.5%増加

などの変更を加え、四点リジッドで振動を軽減させた新設計のオイルタンクインフレームに搭載。

SR400初代プレス写真

ちなみに日本とフランス向けだった400はストローク量を縮めることで399cc化・・・というか本当にそれだけで、キャブを覗けば500とほぼ一緒。

というのも400は法的にやむを得ず造った面が強いモデルだったから。しかしいざ造ってみるとショートストローク化による歯切れの良いレスポンスが好評っていう。

そのことが現れているのが500と400の相違点。初代モデルは色々と特徴があります。

初代SR400カラーリング

まず500はテールカウルが無く、400はテールカウルはあるけどある代わりにグラブバーが無い。

ポジションも500はアップライトハンドルなのに対し、400がコンチネンタルハンドル。

オジサマ向けの500なのに対して400はショートストロークで機敏な事からスポーツ寄りにされてる。

そんな発動場となったSRは、もともとXT500をオンロード仕様にする人がチラホラ居たことから400は約2000台、500も約1300台とそれなりに人気を呼びました。これも海外ではアメリカ向けに造ったけど、結局売れたのはドイツだったとか。

初代SR400

ただ経緯が経緯なだけに初期型はオンロードモデルなのにブロックタイヤなど立ち位置がまだハッキリしていなかった事もあり、わずか一年ほどですぐにモデルチェンジする事になりました。

まさかこのモデルが40年以上も続くモデルになるとはこの時は誰も思っていなかったでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2105/765/1135mm
[2105/845/1155mm]
シート高 810mm
車軸距離 1410mm
車体重量 158kg(乾)
燃料消費率 44.0km/L
[45.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50S19
後4.00S18
バッテリー YB7L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格 310,000円(税別)
[350,000円(税別)]
※スペックは2HR
※[]内はSR500(2J3)
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

MT-25/MT-03 (B4W/B6W)  -since 2020-

2020年式MT-25

「意のままを、遊ぼう。」

兄弟車であるYZF-R25/R3から少し遅れる形でモデルチェンジしたMT-25/B4W型とMT-03/B6W型。

最初に主な変更点を上げると

・車体デザインの変更

・灯火のフルLED化

・倒立フォークの採用

・フル液晶メーター(燃費、水温、ギアポジ表示付き)

・更にアップされたハンドル

・ハザードランプ

などなど比較的マイナーチェンジに近い内容。

新型ポジション

跨ってみると更にハンドルが上がり直立に近いポジションになったことに気づくんですが、それ以上に激変したと言えるのがやはり顔。

MT-25

従来のハロゲンでは絶対に作れないLEDだからこそ可能なフェイスデザインで、ビームを発射しそうな口の部分がメインのヘッドライト、上に見える目のような部分がポジションランプになっています。

ちなみにヘッドライトといえばハロゲンとLEDの間にHIDというのが車の方で流行ったのを知っている方も多いと思いますが、なんでバイクはHIDを採用せずにすっ飛ばしてLEDになったのかというと理由の一つとして

「HIDを装着する場合はライトワイパーかウォッシャーが必須」

という義務が欧州などで課せられていたから。当然バイクにそんなもの付けるわけにはいかないのでHIDを採用できなかったという話。

制約についてはこれ以外にも色々とあるんですがそれはまた別の機会にして話を戻すと、2020年にモデルチェンジした部分としてもう一つ上げたいのがタンクとタンクカバー。

MT-25サイド

レイヤードカウルっぽい形に変わったんですが、それより印象的なのがかなりワイドになった事。

先代がシートカウルとほぼ同幅だったのに対し、このモデルは明らかにはみ出す大きさで250(320)とは思えないボリューム感。07や09よりたくましい張り出しになっています。

MT-25

気になって調べてみたら51mmワイドにしたとの事ですが、小顔効果もあってか数値以上の迫力。

MT-25/MT-03は他のモデルと違ってエントリーユーザーに人気のモデルだからボリュームを出すことで所有感を増す狙いかと最初は思ったんですが、おそらく配慮の形でもあるんじゃないかと。

なんの配慮かといえばMT-25/MT-03に新たに取り付けられたこれ。

MT-25サイド

転倒時にLEDウィンカーに強いテンションを掛けて壊さないようにするためじゃないかと。LEDウィンカーってカッコいいんですが、そのぶん壊すと高いですからね。実際このMT-25/MT-03も部品だけで一個7029円もします。

一方で張り出しが大きくなったタンクカバーは相変わらず安い。

MT-25

部品が細かく別れたことで更に一個あたりの値段が安くなったので着せ替えも捗るようになった。

他のMTシリーズと同系統のヤンチャなデザインを持ちつつも、明らかに他より優しさというか買ってから泣きを見ないような配慮が見て取れるエントリーにうってつけなのがMT-25/MT-03の魅力ですね。

カタログ壁紙

ところで

「MT-25とMT-03ってどれくらい売れているんだ」

って話。というのも販売台数がYZF-R25/R3と合算でハッキリしないのでモヤモヤしてる人も多いかと思います。

>>年間販売台数TOP10

正確には分からないんですがヤマハの年間販売計画を見るとYZF-R25/3とMT-25/03の割合はザックリ言って『2:1』という感じ。ただショップ等に聞いてみると『3:1』という感じで、実際のところ見る頻度から言ってもそれくらいじゃないかと。

ちなみに2020年の販売台数はYZF-R25/3とMT-25/03合算で4921台。つまり1500台強じゃないかと思われます。

カタログ写真

最後に繰り返しとなりますが、この顔・・・これは後世語り継がれるレベルではなかろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2090/755/1070mm
シート高 780mm
車軸距離 1380mm
車体重量 169kg(装)
燃料消費率 27.6km/L

※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 249cc

[320cc]
最高出力 35ps/12000rpm

[42ps/10750rpm]
最高トルク 2.3kg-m/10000rpm

[3.0kg-m/9000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54S)

後140/70-17(66S)

[前110/70-17(54H)

後140/70-17(66H)]
バッテリー GTZ8V
プラグ

※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8A-9
推奨オイル ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダード

または

SAE 10W-30から20W-50
オイル容量

※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L

交換時1.8L

フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 565,000円(税別)

[595,000円(税別)]

※[]内はMT-03
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

【関連車種】
CBR250/CB250の系譜GSX250R/GSR250の系譜Ninja250/Z250の系譜

MT-25/MT-03(B04/B05) -since 2015-

MT-25

「大都会のチーター」

市街地での軽快性、日常での使い勝手、俊敏なスタイリングを調和させた新しいネイキッド。

MT-25デザインスケッチ

簡単に言ってしまうとYZF-R2/R3のネイキッド版となる2モデルで、エンジンや足回りなどに変更点はありません。

MT-25|MT-03

決定的に違うのはハンドルがバーハンドルになってポジションになっている事ですね。

ポジション比較

回してナンボなエンジンでありながらも上半身をフリーにすることでアグレッシブな視点移動を楽にしつつ、後輪に荷重を残せることで中低速での扱いやすさを向上。

MT-25バーハンドル

『大都会のチーター』

というコンセプトはこれから来ているんでしょう。

あと外装についてなんですが・・・

MT-25フェイス

なにげにインパクトある顔というかポジションランプなのもそうなんですが、何より取り上げたいのがタンクです。

MT-25タンク造形

YZF-Rもそうなんですが燃料タンクにプラスチックのカバーを被せる形になっているのでプレスでは到底成しえない凝った形状をしています。

プラスチックカバーというとマイナスなイメージを持たれるかもしれませんが、実はこれかなりメリットが大きい。

というのもプラスチックカバーということはつまり安いという事。3ピース構造で一枚あたり3000円もしない。

だから万が一立ちごけしたりして傷つけても簡単に新品に変えられるし、ちょっとしたカスタムならぬ衣替えも簡単に出来る。

日本のMT

これはプラスチックカバーだから出来ること。

違うカラーのタンクにしてもいいし、3ピースを活かしてバラバラな色気にも出来る・・・これ何気に凄い特権ではなかろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2090/745/1035mm
シート高 780mm
車軸距離 1380mm
車体重量 165kg(装)
燃料消費率 24.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 249cc
[320cc]
最高出力 36ps/12000rpm
[42ps/10750rpm]
最高トルク 2.3kg-m/10000rpm
[3.0kg-m/9000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
[前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)]
バッテリー GTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
[CR8E]
{LMAR8A-9}
推奨オイル SAE 10W-30から20W-50
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 485,000円(税別)
[515,000円(税別)]
※[]内はMT-03
※{}内は2018年モデル(B1E/B0B)
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

MT-09/SP(B7N/BAM)-since 2021-

2021MT-09

「The Roadeo Master」

公式では初のフルモデルチェンジとなったMT-09のB7N型とSPのBAM型。

まず最初に変更点を上げると

・デザインの大幅な刷新
・ストロークを伸ばし890cc(+43cc/+4ps)になった新設計エンジン
・サウンドデザインされた給排気系
・2.3kg軽量化された新設計アルミフレーム
・フロントラジアルマスターシリンダー
・スピンフォージドホイール
・軽量フロントサスペンション
・YCC-T(電子制御スロットル)
・6軸IMUとそれに伴う電子制御(トラクション、リフト、スライド、ブレーキ制御)
・フルカラーTFTメーター
・LEDウインカー
・可変式フットレスト
・アップダウン対応クイックシフター

2021MT-09SP

※以下SPの変更点
・塗り分けされた専用カラー
・スモーク処理されたブレーキリザーブタンク
・黒塗装ドリブンスプロケット
・KTB左右独立減衰力調整構造フォークにDLCを追加
・バフ&クリア塗装のスイングアーム
・クルーズコントロール(4速50km/h以上)

などなどフルモデルチェンジと謳うだけあり、ほぼすべてに手が加えれた形となりました。変わっていないのはブレーキキャリパーくらいですね。

MT-09フューチャーマップ

その中でも何が一番大きく変わったかといえば6軸IMU(慣性計測装置)とAPSG(電子制御スロットル)による制御の完全電脳化なんですが、見た目もマスの集中化とそれを視覚化させる事が狙いというだけありギュッと詰まったデザインになりました。

具体的にはメインフレームのヘッド(ステム)パイプを30mm下げると同時にヘッドライトユニットを極限までコンパクトにしつつステムに近づけるなどの改良が加えられています。

サイドビュー

小型に出来るLEDのメリットを存分に活かした形ですね。ちなみにホイールベースも10mm短縮。

ただ中身の方も結構変わっていて、要であるエンジンの方はFIからピストンやコンロッドさらにはクランクシャフトまで新設計すると同時に排気量を43cc上げて888ccに。

もう少し厳密に言うとストローク量を6.1mm上げ、低中速トルクを底上げした形でエンジンブロックには新色のガンメタに近い明るい塗装が採用されています。

しかしそれよりもこの代で最も紹介すべき新アイテムは間違いなく量販車初となるコレ。

ヤマハスピンフォージドホイール

『SPINFORGED WHEEL』

直訳すると回転鍛造ホイールなんですが、これの凄さを100%共感してもらうために鋳造ホイールと鍛造ホイールの違いについてからおさらいを兼ねて説明。

鋳造ホイールはデロデロに溶かしたアルミを型に流し込んで成形する製法。極端な話ですが型に流し込めば良いのでコストは安く複雑な構造も得意。

鋳造ホイール

ただし溶かして冷やすという製法の問題から鋳巣という強度を損なう空洞が出来やすく、また溶かしたアルミを隅々までキレイに流れるような型にしないと行けないので薄く(軽く)出来ない。

純正ホイールは一部を除きほぼ鋳造ホイールです。

対して鍛造ホイールというのはアルミをプレス機でバチーンと打って造られている製法。圧力で成形するので組織が密になるので強度が出る。

鍛造と鋳造

しかし肝心のプレス機が非常に高価なため大量生産には向かず、また複雑な形状を造るのも難しい問題もある。削り出しという工程を加えることでデザイン性を上げることが出来ますが、ただでさえ高いコストがなおのこと高くなる。

鍛造ホイール

鍛造ホイールといえばマルケジーニなどが有名ですね。

ホイールというのはいわゆるバネ下で一番重いものなので軽量化において最も効果的な箇所といえるものの、コストや量産の問題があるから鍛造ホイールは一部の超高級車にしか採用されない。

そこでヤマハが取り組んだのがこのスピンフォージドホイール。

スピンフォージドホイール

これはまず基本となるホイール(ディスク)部分を鋳造で精製した後に、回転する台に載せて金属のローラーで陶芸の”ろくろ”のようにリム端の部分に圧力をかけて成形する。

正式には

『フローフォーミング加工』

と言って、要するに鋳造で造ってからリムの部分を鍛造化する技術。これによりリムの厚みが従来の半分になり重量も前後で700gの軽量化に成功。

フローフォーミング加工

これ四輪の方でも一部のスポーツモデルなどに採用が進んでるんですが二輪の場合

・触れてはいけないリム中央部と端の幅が非常に狭く加工がシビア

・左右どちらのリムも外装を担っていることから跡などが見えてはいけない

・前後でホイールの形状が違う(量産効果が得られない)

など四輪とは比べ物にならないほどハードルが高かったために今まで実現されなかった。

では何故ヤマハがこれを実現出来たのかといえばそれはCFダイキャストなどからも分かる通りヤマハがアルミのプロフェッショナルであると同時に

「ホイールまで内製しているメーカーだから」

という話。

だからこそ実現出来たことですが、そんなヤマハですら企画の始まりを含めると実に5年がかりで、原材料の添加物配合率をコンマ%単位でオリジナルブレンドしてやっと実現出来たもの。

そして完成した第一弾となるのがこのMT-09に採用されたホイール。

鍛造と鋳造の良いところ取り

費用対効果を考えると量販ホイールはこれがもう完成形じゃないかと思います。

最後にまとめというか何というか。

2021年からのMT-09/SP(B7N/BAM)は、6軸IMUとそれに伴う電子制御の高度化、さらにアップ/ダウン対応クイックシフターに今お話した新時代ホイールことスピンフォージドホイール。

どう考えてもフラッグシップといえるフル装備なんですが、さらに驚きなのがこれで税別1,150,000円と破格な事。

2021MT-09カタログ

これは相当戦略的な価格というか・・・以下ちょっと主観なんですが、MT-09はこの代で少し立ち位置が変わった印象があります。

というのも元々MT-09は

「ネイキッドとモタードを掛け合わせた形」

というのは皆さんご存知かと思いますが、先代まで(特に初代)は明らかにモタード要素が強いモデルでした。まさにコンセプトにもあるロデオそのもので車体が水平をキープする事が殆どないようなハッチャ系。

それを今回は少し抑えた・・・というのもちょっと語弊がある。ここが絶妙なところで例えるなら今まで1から10までロデオ(モタード)だったのに対し、フル電脳化に伴って1から5まではライトウェイトなネイキッドで6から10まではモタードという感じ。

ロングストローク化でトルクを底上げしたエンジンからも分かる通り、トルクを楽しむ『マスターオブトルク』というコンセプトにさらに忠実に習った形にしたとも言えるわけですが、さらにその狙いを現しているのが純正オプションの拡充。

オプション

このモデルからスクリーンはもちろんトップケースまでボルトオンで簡単に脱着出来るよう考慮されて開発されています。

車体設計の段階から考えられている事の何が強みかといえば

「容易に脱着出来る」

という事。これがこの代のMT-09をよく現している要素と言えるかと。

ロデオマスターMT-09

「その日の気分でモタードにもネイキッドにもなれるヤマハ流ビッグスタンダード」

という感じですね。

主要諸元
全長/幅/高 2090/795/1190mm
シート高 825mm
車軸距離 1430mm
車体重量 189kg(装)
[190kg(装)]
燃料消費率 20.4m/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC三気筒
総排気量 888cc
最高出力 120ps/10000rpm
最高トルク 9.5kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9A-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前16|リア45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 1,100,000円(税別)
[1,150,000円(税別)]
※[]内はMT-09SP/BAM
系譜図
MT-09 2014年
MT-09/A
(1RC/2DR)
mt-09トレーサー 2015年
MT-09TRACER
(2SC)
XSR900 2016年
XSR900
(B09)
2017MT-09 2017年
MT-09/SP
(BS2/B6C)
TRACER900 2018年
TRACER/GT
(B5C/B1J)
2021mt-09 2021年
MT-09/SP
(B7N/BAM)
TRACER9GT 2021年
TRACER9GT
(BAP)