VTR1000F(SC36後期)-since 2001-

SC36後期

「心震わすスーパーVツイン」

VTR1000Fの後期モデル。

後期モデルで燃料タンクが2L増えてハンドルの垂れ角も見直され若干ツアラー寄りになりました。HISSも新たに装備。

ファイヤーストーム後期

最初にこのFモデルこそVTR1000だと言ったんですが、それは構造だけでなく欧州が求めた”味”の部分まで非常に良く出来てるから。

ツインならでは細身やトルク感はもちろんのこと、ピボットレスフレームのおかげで程よいダルさ。

上手い人が乗ると圧倒的にSPモデルの方が速く走れるだろうけど、恐らく大半の人はこのVTR1000Fの方が速く楽しく走れる。

ファイヤーストーム

車名にFコンセプト(オールマイティ)の意味を表すFが付いてるだけの事はあるってことです。

VFやVFRなど数々の大型バイクを手がけてきた開発リーダーの齋藤さんも

「公道で最大に楽しめて2乗りも出来る究極のFを目指した」

と仰っています。

でも残念なことにキャブモデルだったのが災いし、排出ガス規制強化により2007年モデルをもって生産終了となってしまいました。

バラデロ

同じエンジンを積んだXL1000バラテロはFI化して2013年まで売られたんですが・・・。

まあVツインスポーツのメイン市場である欧州ではやっぱりドゥカティが強いし、日本勢はSVが快進撃を繰り広げてましたからね。

肝心の日本も四気筒がステータスでVツイン市場は無いに等しいから。

ファイヤーストームカタログ写真

ただこの件にしては開発チームも既定路線というか分かっていたみたいです。

エンジン設計をされた角さんがまだ絶賛発売中だった当時の時点でこう仰っていました。

「VTR1000Fの出発点は四気筒と二気筒に乗る人は人種が違うということ。だからいくら今売れているからといっても二気筒は二気筒・・・VTR1000Fがメジャーになることは無いと思います。でもそれでいいと思うんですよ。二気筒は四気筒に飽きた人が、四気筒にはないアクセルの開けやすさと低域の不安定さを楽しむ為のマニアックな乗り物。」

SC36カタログ写真

「そしてVTR1000Fはそういう人の為のバイクなんです。」

主要諸元
全長/幅/高 2050/720/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1430mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率 25.1km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 93ps/8500rpm
最高トルク 8.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後180/55-17
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EVX9
推奨オイル ウルトラG2/G3(10W-40)
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク102
車体価格 920,000円(税別)
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

VTR1000F(SC36前期)-since 1997-

SC36

「BIG V-TWIN SPORT」

プロトタイプの紆余曲折があって遂に形になったVTR1000F/SC36型。

長く掛けすぎたせいで実は発売時に一つアクシデントが発生します。それはこのVTR1000Fが出る数ヶ月前にスズキからTL1000Sというモロ被りバイクが登場した事。

これはホンダも寝耳に水だったらしく、慌ててプレスリリース日を(TL1000Rの約二ヶ月後に)一ヶ月ほど早めた経緯があったりします。

ちなみに下の写真のモデルは北米向けのSUPERHAWK996。

スーパーホーク996

まあそれよりVTR1000の話ですが、VTR1000というとどうしても話題になるのは後述するSPモデルの方ですが、個人的にはこのFモデルこそVTR1000だと思っています。

VTR1000Fの特徴といえばアルミピボットレスフレームとサイドラジエーター。

ピボットレスっていうのはスイングアームをフレームに繋ぐのではなくエンジンに直接つける手法。

VTR1000以外にもCBR954RRやVFRに使われた技術でしなやかさを生むわけですが、VTR1000Fの場合はホイールベースを縮めるという狙いが強くあります。

これについては・・・少しVツインについて説明。

90度Vツイン

まずVTR1000FのVツインエンジンは挟み角が理想とされる90°なわけです。

90°にすれば互いが互いの運動の振動を打ち消し合って振動を0にできる。

振動が0なら振動を打ち消すバランサーが要らない。そしてバランサーが要らないという事はエンジンを軽く出来るし、馬力を稼げる。

ピストン

更にVツインは直列型と違いシリンダーを横に並べずに済むのでとってもスリムに出来る。

つまり90度Vツインはまさにバイクにうってつけの理想的なエンジン・・・と思いきや実は問題もあります。

挟み角

90度っていうのはつまり直角。

直角になるとそれだけエンジンの全長が長くなってしまう。

エンジンの全長が長くなればそれだけバイクの全長、ホイールベースも比例して長くなって(鈍重になって)しまう。

VTR1000Fのディメンション

それをなんとかするためのピボットレスフレームというわけ。

ただしVツインにはもう一つ問題がある。

それは前輪に干渉しないよう後ろの方に積む必要があること。

エンジンという重要物を後ろに持っていくと、前後の荷重分布が後輪寄りになってしまいハンドリングの安定性が確保できないという問題が出る。

エンジンを前に持っていくには・・・前にある物をどかせばいい。前にあるものそれはラジエーター。

デュアルサイドラジエーター

量販車初となるサイドラジエーターを採用した狙いはソコにある。

VTR1000FというバイクはVツインのデメリットをピボットレスフレームとサイドラジエーターで解消したバイク。

「創意工夫でなんとかする」

というホンダの信念を体現しているバイクなんです。

しかしラジエーターが横向きで本当に冷えるのか疑問に思う人もいるでしょう。

VTR1000透視図

実際のところVTR1000Fを始めとしたサイドラジエーター式は冷却性能があまりよろしくないです。

二個もラジエーターを付けたのもその為ですし、カウルで覆っているのも単に保護するためだけでなく気圧差や整流効果を出すため。

ちゃんと意味あるんですよこのカウル。

主要諸元
全長/幅/高 2050/710/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1430mm
車体重量 215kg(装)
燃料消費率 22.1km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 93ps/8500rpm
[110ps/9000rpm]
最高トルク 8.7kg-m/7000rpm
[9.9kg-m/8500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後180/55-17
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EVX9
[DPR9EVX9]
推奨オイル ウルトラG2/G3(10W-40)
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク102
車体価格 870,000円(税別)
※[]内はUS仕様
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

VTR1000Prototype-since 1986-

VTR1000プロトタイプ

VTR1000Fが誕生するキッカケとなったのは・・・なんと発売の10年前となる1986年の事。

欧州ホンダがVT1100の狭角エンジンを利用したものを造り

「これ(Vツインスポーツ)を出してくれ」

と提案してきたのが始まり。

ただし、この頃はまだVツインのイメージがホンダにはないとしてお蔵入り。

それから時は流れて1994年。

今度は北米ホンダから同じ様に

VR980

「これ(Vツインスポーツ)を出してくれ」

と、ブロス650のフレームにロングストローク化したアフリカツインのエンジン。

そして足回りはCBR900RRというサンコイチ車VR980を造り、日本に提案だけでなく車体ごと送りつけてきた。

「欧州も北米もVツインスポーツを欲してる」

と理解したホンダはプロジェクトをスタート。

この様に始まり方が普通じゃなかった為に、企画の進め方も普通じゃありませんでした。

というのも

「欧州も北米も欲しているのは分かったが方向性が全然違う」

という問題があったから。

そこでとった方法は日欧米対抗のVツインコンペ大会でした。

第一回は

「各々が思うVツインスポーツ」

第一回コンペ大会

日欧米のVツインスポーツに対する考えが鮮明に出ていて面白いですね。

スポーツとは”味”だと考える欧州、スポーツとは”過激さ”だと考える北米、その間中を取り持つような日本。

更に数ヶ月に行われた第二回は、前回のコンペを見た開発チームからの要望

「スポーツ走行可能な剛性を持たせる」

という条件を設けられました。

第二回コンペ大会

味を捨てたくない欧州は最低限のツインチューブとなり、過激にしたい北米はbimotaかと思うほどドストレートなツインチューブに。

そして日本は相変わらず両者の間中というかバランスを取った形に。

そして第三回は上記に加え

「バンク角90°の水冷Vツイン」

という条件が追加。

第三回コンペ大会

意思疎通が出来つつも小ぶりなハーフカウルで魅せる事を大事にしている欧州に対し、北米は全く譲らず・・・後に紹介するSPが北米で人気だった理由がわかった気がしますね。

そして相変わらず両者の間中を取り持つ日本。

最終の第四回。

「ピボットレスフレーム」

が更に追加。

最終コンペEU案

欧州の最終案は第三回とほぼ変わらず。

ちなみにTHUNDER998という名前でした・・・もしかしたら一年先に出たサンダーエースとサンダーキャットに名前を取られた形なのかな。

話を戻して次は北米。

最終コンペUS案

ツインチューブこそ諦めたものの相変わらず直線基調の高剛性フレームを堅持し、またフレームとVツインをアピールするハーフカウル。

エキゾーストパイプがクロスさせ、真上にカチ上げる事で過激さをアピール。

そして最後は日本。

最終コンペEU案

エンジンをスッポリと覆い隠すようなフレームと、大きく長いハーフカウルが付いているのが特徴的。そして何故かBrembo。

三案とも左右のマフラーの高さを揃えていないのが面白いですね。

これらの案をチーフエンジニアの齋藤さんを始めとした開発メンバーが技術的な検証をし、擦り合わせて一本化したのがこれ。

最終コンペ

これを元に開発に取り掛かる事となりました。

VTR1000Fはデザインだけで実に一年も掛けたわけですね。

主要諸元

※プロトタイプのため不明

系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

RVF(NC35) -since 1994-

NC35

「美しい、フォース。」

ミドルV4の最後を飾るRVF/NC35型。

エンジンこそ先代VFR400R(NC30)をベースにしているものの、ファクトリーレーサーであるRVFの名を冠するだけあり倒立フォークやそれに合わせた新設計フレーム、そして前後17インチ化によるハンドリングの向上など余念のない改良が施されています。

カタログ写真

ヘッドライトもそれまでの丸目からツインフォーカスヘッドライトに変更。

先代NC30が兄貴分のRC30のレプリカだったのに対し、NC35とRC45は共同開発(RVF DIRECT BROTHER)だったからそこまで似せなくてもいいという判断だったんでしょうね。アッチはRC30をそのまま大きくしたような丸目二眼です。

RVFレプリカの流れ

他にもブレーキやら何やら書ききれないほどの変更が入っていますが、それよりも書くべきことがあります。

このRVF/NC35はワークス直系でヘッドライトが暗いことを除けば文句なしのV4レーサーレプリカで78万円(当時)でした。これは決して高すぎる値段とは言えないどころか兄貴分のRVF750/RC45が200万円という事を考えれば破格の値段・・・でも売れなかった。

RVFジャケット写真

これが出た1994年にはレーサーレプリカブームがとっくに去っていたから。53馬力という自主規制もそれに拍車をかけたのもあると思います。

そしてTT-F3という400レプリカ競争を加熱させた400レースも人気低迷から91年に廃止。つまり世界選手権を睨んで作られたRVF750/RC45と違ってこのNC35は出れるレースが既に無かった状況だったんです。

RVFレプリカ

レースでも市場でも需要のないバイクを一体どういう意図でホンダが出したのか正確な回答はありませんが、恐らくTT-F3で培ったレース技術の市販車へのフィードバックというNR750から続くV4のコンセプトを忠実に遂行したんだと思われます。

そしてコレが最後のミドルV4レーサーになることも分かっていたから”RVF”というワークスの冠も付けたんじゃないかと。

RVF NC35

「RVF、この名がすべてだ。」

もう誰も見ていなかった4st400ccレーサーレプリカという舞台において、最後のウイニング・ランを飾ったのは間違いなくこのRVF/NC35。

主要諸元
全長/幅/高 1985/685/1065mm
シート高 765mm
車軸距離 1335mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 30.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/12500rpm
最高トルク 3.7kgf-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-17(66H)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER9EH/ER10EH
または
Y27FER/Y31FER
推奨オイル ウルトラU(SAE10W-30)
または
ウルトラGP(SAE20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ525|リンク102
車体価格 780,000円(税別)
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC30) -since 1989-

NC30

「Vの本領」

VFR400Rとしては最後のモデルであり、歴代で最も息が長く最も売れたモデルでもあります。

あのVFR750R(RC30)にかなり近いデザインという事も人気を呼んだ理由の一つ。

NC30とRC30

実際NC30は”レーサーRVF400″ではなく”RC30″のレプリカ。

奇遇なことに型式まで同じ30なサンマル兄弟・・・いや、あんまりそんな呼ばれ方してませんけどね。

先代からの変更点としてはホイールベースの短縮やフロントホイールの17インチ化。リアはこの時まだ18インチでこれがマフラーが左出しに纏められた事と並んでNC30の特徴です。

NC30リア

もちろん他にもバックトルクリミッター付きクラッチや、どうしても後ろ二気筒が熱で苦しくなってしまうV4の課題を解決するためデュアルラジエーターなど、ポジションも含め完全にレーサー路線。

翌年にはリアサスペンションがリザーバータンク別体式の物に変更されています。

ただNC30で語るべきはやはりエンジン。

VFR400

ホンダは先々代NC21でクランク角を180度(90度、270度ともいう)に変更したんですが、NC30で再び360度に変更しています。

これがまあ難しい問題でして・・・

一般的にV4(90度バンクV型四気筒)には180度クランク角と360度クランクの二種類があります。

V4は開いたシリンダーの角度を表すバンク角と、クランクピンの角度を表すクランク角という2つの角度を表す表記があるから分かりにくいですね。

※もしクランク角がよくわからないという人は「バイク豆知識:二気筒エンジンが七変化した理由」を先に読んでもらえると助かります。

NC30エンジン

一応このページでは混乱しないようにバンク角の話は置いといてクランクの角度を

“180/360度クランク”

という形で説明していきます。

で、どう違うのかというと360度クランクの場合の燃焼間隔は0-270-360-630-720(0)。

180度クランクの場合は0-270-450-540-720(0)となります。

V4クランクアングル

360度クランクだと一つが点火したらすぐに(90度)次の気筒が点火してしばらく(270度)おやすみ。でまたボンボンと立て続けに点火してまたおやすみ。

ボボン・・・ボボン・・・ボボンといわゆるVツインを2つ並べた点火時期。

対して180度クランクはちょっと長め(270度)に空く時間が一つ出来るのでボボン・・・ボン・ボンという感じ。YZF-R1のクロスプレーンもこうです。

そしてNC30が360度クランクにしたのは

“速く走らせるなら360度クランクの方が有利”

だからです。

これは「バイク豆知識:クロスプレーンだと何が良いのか」のメリットで書いたとおり、タイヤを落ち着かせる270度という間隔が360度クランクの場合は2回転する間に2度もあるから。

V4クランク270度

対して180度クランクの場合は2回転に1度しかない。

だからトラクション性は360度の方が上回っている。速く走るなら360度なのはこれが主な理由。

じゃあなんで先々代NC21が180度クランクにしたのかというと、初代のVF400F(360度クランク)があまりにも極端な点火タイミング故に、排気音が濁っていると不評だったから。

これは本当に好みが別れるところなんですけどね。

透き通った音が好評な180度クランク直列4気筒も並べてもう一度燃焼間隔を見てみましょう。

V4クランクアングル

V型四気筒の180度クランクと360度クランクのどちらが直列4気筒に近いかと言えば180度クランクの方ですよね。

つまり180度クランクV4は(YZF-R1のクロスプレーンでも言われていますが)高回転まで回すと直列4気筒(180度クランク)とほぼ変わらないサウンドになります。

先代NC21が180度クランクを取ったのはこういった理由が大きいんです。

でもだからといって180度クランクのメリットは音だけなのかというとそうではないですよ。

現存している大型のV4(VFR800)のクランク角は180度クランクです。※VFR1200は位相で全く違う

NC30カタログジャケット

これはサウンド云々の問題ではなく180度クランクV4は360度に比べ二次振動(微振動)を限りなく0に出来るというメリットがあるから採用してるんです。

トラクション性が(あくまでも360度V4に比べ)劣るぶん振動を限りなく0に出来る最もスムーズな四気筒なのが180度クランクV4。だからNC21-24はエンジンに合わせてポジションなどが少し優しかったわけ。

VFR400Rカタログ写真

反対に同じV4でもレース色の強いVFR750R/RVF750(RC30/RC45)やRC213V-Sは360度クランクになっています。これはサーキット走行がメイン、つまりトラクション性が何よりも大事だから。

同じV4でもクランク角によって一長一短あるという事です。

VFR400Rスペシャルカラー

そしてVFR400R/NC30はピュアレーサーのようなVFR750R/RC30のレプリカである事、そしてTT-F3を始めとしたレースに勝つ事に重きを置いたマシンだったから360度を取ったという話。

主要諸元
全長/幅/高 1985/705/1075mm
シート高 755mm
車軸距離 1345mm
車体重量 182kg(装)
[185]kg(装)
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-18(67H)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH/ER9EH(標準)/ER10EH
または
Y24FER/Y27FER(標準)/Y31FER
推奨オイル ウルトラU(SAE10W-30)
または
ウルトラGP(SAE20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ525|リンク104
車体価格 749,000円(税別)
※[]内は90年以降モデル
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC24) -since 1987-

NC24

「新・戦力」

わずか一年ちょっとでモデルチェンジされたVFR400R(NC24)。

大きな変更点としてスイングアームが片持ち(プロアーム)になったこと。ホンダのV4といえばプロアームという人も居るでしょう。

エルフモト

このプロアームはもともとNS500で戦っていたフランスの企業でオイルなどでお馴染みELFというメーカーのレースチームELF MOTOが開発した物でホンダはどちらかというと協力者。

そしてELF MOTOが撤退となったことを機にホンダが特許を買い取りホンダの物になったというわけ。

ホンダのレーサーレプリカといえばプロアームという考える人は多いと思いますが、プロアームのメリットを答える人はどれくらい居るでしょう。

プロアーム

ホンダの当時の謳い文句をそのまま書くと

・タイヤ交換時間の短縮

・剛性値を両持ちより稼げる

・それによってバネ下荷重の軽減

・ブレーキという重量物をセンターに出来る

などなど。

NC24壁紙

でも現代のホンダのレーサーマシンを見ると分かる通り両持ちですよね。

あくまでもレースでの話ですが、これは結局両持ちのほうが軽く出来る(剛性値)を稼げる事が分かった事と、片持ち故に左右でコーナリングの挙動が違うというネガな部分があったから。タイヤ交換も技術の進歩であんまり変わらない。

じゃあプロアームの良いところは無いのかというとそんな事はありません。今でもVFRなどに採用されているのを見れば分かるようにプロアームの良いところはちゃんとあります。

NC24カタログ写真

カッコいい事です。

主要諸元
全長/幅/高 2010/690/1125mm
シート高 770mm
車軸距離 1375mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER8EH
または
Y24FER
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 679,000円(税別)
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR400R(NC21) -since 1986-

NC21

「ウイニング・テクノロジー」

待ってましたと言わんばかりの登場となったレーサーレプリカ、RモデルのVFR400R。

TT-F3

キャッチコピーにもあるようにこのバイクはTT-F3(400cc国内レース)で1985~86年の優勝マシンRVF400のレプリカモデル。

そのマシンに習い、高剛性のアルミツインチューブフレーム、カムギアトレイン、クランク角を360度から180度へ変更などなどHRC(HONDA RACING CORPORATION)テクノロジー満載のバイク。

NC21線図

ただダブルシートなのを見ても分かる通りこの頃はまだカリカリというわけではなく、速さは持っていたけどポジションは優しかったから改めて見ると、とっても速いV4レプリカツアラーという感じ。

そして合わせて登場したのが一部の人しか知らないけど、知ってる人は絶対に忘れないVFR400Z。

VFR400Z
(NC21)
-since 1986-

VFR400Z

VFR400Rのカウルレスネイキッドモデルで丸目二眼が特徴的。

知らないのも無理もない話でV4の400としては最初で最後のネイキッドモデル。Rモデルが一年後にモデルチェンジするんだけどコッチはコッチでマイナーチェンジをし、しばらくは併売していました。

じゃあ知ってる人は絶対に忘れない理由が何かというと、これは教習車としても広く採用されたから。

VFR400Z教習車

80年代後半から90年代にかけてCB400SFに置き換えられてるまで教習車といえばコレ(もしくはCBR400K)が多かったんです。

デチューンされているとはいえV4カムギアトレーンの教習車・・・HRCテクノロジーのありがたみが薄れますね。

NC21佐藤浩市

ちなみに佐藤浩市さんが起用されていた事はあまり知られていない。

主要諸元
全長/幅/高 2010/705/1125mm
[2010/705/1010mm]
シート高 765mm
車軸距離 1375mm
車体重量 182kg(装)
[178kg(装)]
燃料消費率 44.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 3.7kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FB9L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8EH-9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.1L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 659,000円(税別)
[629,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VF400F/INTEGRA(NC13) -since 1982-

NC13

「ハイテック・スーパー・ミドル」

同年デビューの打倒2stことVT250Fと瓜二つな見た目で登場した400ccのV4バイクの始まりとなるVF400F(NC14)。

NC13カタログ写真

遂に400でもV4が登場したと(まだ大型二輪が限定解除で難しかった事もあって)話題になり、また裏切らない速さを持っていたことから14000台以上を売るヒットを飛ばし翌1983年にはCBX400Fを抑え年間販売台数トップを獲得。

NC13E

後継モデルの影響か現代ではCBX400Fほど話題にはなりませんが、当時は非常に人気でした。

当時を知らない人の為に補足するとホンダはこの頃からストリートはCB/CBR系、レースはVF/VFR系とツートップ戦略に近いラインナップをしていたんです。

NC13インテグラ

そして1984年からはフルカバータイプのINTEGRAも登場。

これはカウルに対する国土交通省の規制が緩和された事が大きな理由。ノーマルのFの方もどう見てもビキニカウルなんだけど、それじゃ国土交通省の認可が下りない(型式を取れない)事から

VF400F

「これはカウルじゃなくてメーターバイザー」

っていう屁理屈みたいな言い訳で押し通した歴史があるんです。

主要諸元
全長/幅/高 2060/750/1160mm
[2055/730/1195mm]
シート高 780mm
車軸距離 1415mm
[1405mm]
車体重量 191kg(装)
[195kg(装)]
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11500rpm
最高トルク 3.5kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP7EA-9/DP8EA-9/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラGP(SAE10W-40/20W-50)
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 528,000円(税別)
[589,000円(税別)]
系譜図
NC131982年
VF400F/INTEGRA
(NC13)
NC211986年
VFR400R/Z
(NC21)
NC241987年
VFR400R
(NC24)
NC301989年
VFR400R
(NC30)
RVF4001994年
RVF
(NC35)

VFR800F(RC79) -since 2014-

VFR800F

「大人のスポーツバイク 〜Elegant Sport〜」

2013年の東京モーターショーでお披露目となったVFR(RC46)の後継モデルにあたるVFR800F(RC79)。VFR1200Fが登場したことから車名に再び800Fと入りました。

基本的には先代のブラッシュアップモデル。中身の方をいうとシートフレームとプロアームを作り直し剛性を最適化。さらにサイドだったラジエーターを再び前に持ってきました。やっぱりサイドじゃ苦しかったのかな。

新旧VFR

その他にもマフラーが右の一本出しになったのを見て分かる通り吸排気が見直され全体で4kgの軽量化。ちなみにフロントフォークは正立のままだけど無段階ダンパーアジャスター付きなのに加えてアウターチューブはアルミ削り出しにアルマイト加工してる錆知らずな物。ラジアルマウントキャリパーにもされていますね。

右一本出しになった事については賛否両論あったし、確かにダイキャスト製の凄いホイールがちょっと隠れちゃうのは残念だけどテーマは「大人のエレガント」なのでセンターアップマフラーは子供っぽいという判断なんでしょうね。

VFR800Fスケッチ

まあセンターアップマフラーにしちゃうと荷物も積み辛い。SSならそれでもいいんだろうけどVFRはオールマイティに使えないといけないわけですから。

他にもトラクションコントロールシステムやABS、車輪速で判断するハイテクウィンカーオートキャンセラーなど利便性を高めた改良が加わってます・・・・が、一番力を入れたであろう部分はどう見てもデザイン。

LEDフェイス

大人ということでV4ハイテクマシンである事を猛烈アピールというよりは、然りげなく主張。スーツの隙間から高級時計がチラ見えする感じ。

誤魔化しの効かない単色カラーしか用意しない点もデザイナーの自信の現れでしょう。VFR1200もそうだけど画像で見るとノッペリして見えるのが玉にキズかな。

そういえばラルフローレンのお店に展示した事でちょっと話題になりましたね。

VFR800Fラルフローレン

こうやって見ると”大人”という狙いがハッキリ分かりますね・・・いや分かりすぎて逆に用途や走る道を選ぶ気もしますが。

大人過ぎてVTECという童心をくすぐる要素を忘れてしまうくらい。

VFR800X
(RC80)
-since 2014-

RC80

「Jump & Go !」

ちょっと息切れしてきたので合わせて紹介で申し訳ないけどVFR800Fの足を伸ばしクロスオーバータイプにしたVFR800X(RC80)。

VFR800X

VFR1200Xでも言ったけど、VFRのクロスオーバータイプが用意されるようになったのは成功し人気のあった欧州市場でクロスオーバータイプの需要が伸びてきたから。

「万能=クロスオーバー」

という認識が広まり元祖万能のVFRは窮地に立ってしまった。そこで万能車として定評のあったVFRを万能感あふれるクロスオーバーとして、万能車の万能モデルといった感じで作られたのがXモデル。

だから向こうのホームページとか見たら分かるけどFよりこのXモデルの方を大々的にアピールしてます。

2017VFR800F/X

2017年にVFR800Fはフレームを始めとした細部をブラックアウト化しアクセサリーソケットを標準装備。VFR800Xの方も細部のブラックアウト化と可変式スクリーン、アクセサリーソケットを標準装備するモデルチェンジが入ってます。あと何故か書かれていないけど馬力とトルクが少しアップ。

さて、最後に・・・リピート率が高い事から一度乗ると病み付きになると言われるV4に既に病み付きになってるオーナーの方には申し訳ないのですが、日本においてVFRというバイクはホンダの大型バイクの中では比較的影が薄い方かと。

それは

「GOLDWINGの持つ存在感」

「RRの持つ速さ」

「CBの持つ所有感」

など消費者にとって分かりやすい物をVFRは持っていないから。なんでも器用にできる事から大成しない”器用貧乏”という言葉がこれ程似合うバイクは無いんじゃないかと。

ただホンダにとってVFRというバイクは大成し人気を呼んだそれら主要モデルと同じくらい大事なバイクなんです。その証拠がタンクに貼られているプレミアムバッチ。

プレミアムバッチ

2010年頃から貼られ始めたこのタンクバッチは何のバイクにでも付けられる物ではありません。ホンダの中でも限られたバイクにしか付けられない物。

今このバッチを付ける事を許されているのは、GOLDWING系、RR、CB1300/1100、CRF1200、NT1100・・・

VFRプレミアムバッチ

・・・そしてVFRだけ。

主要諸元
全長/幅/高 2140/750/1210mm
[2190/870/1360mm]
シート高 789~809mm
[815~835mm]
車軸距離 1460mm
[1475mm]
車体重量 242kg(装)
[244kg(装)]
※17年以降は+1kg
燃料消費率 18.9km/L
※WMTCモード値
燃料容量 21.0L
[20.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 781cc
最高出力 105ps/10250rpm
{107ps/10250rpm}
最高トルク 7.6kg-m/8500rpm
{7.9kg-m/8500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
[前120/70R17(58V)
後180/55R17(73V)]
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9D-9H
または
VNH27ZB
推奨オイル ホンダ純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.9L
交換時2.9L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 1,250,000円(税別)
[1,280,000円(税別)]
※[]内はVFR800X
※{}内は17年以降モデル
系譜図
VF750S/M1982年
VF750
SABRE/MAGNA
(RC07/RC09)
VF750F1982年
VF750F
(RC15)
VF1000R1984年
VF1000F/R
(SC16)
750F1986年
VFR750F
(RC24)
750R1987年
VFR750R
(RC30)
RC361990年
VFR750F
(RC36)
RVF1994年
RVF
(RC45)
前期1998年
VFR
(RC46前期)
8002002年
VFR
(RC46後期)
1200F2010年
VFR1200F
(SC63)
1200X2012年
VFR1200X
(SC70)
800F2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)

VFR1200X(SC70) -since 2012-

VFR1200X

「Adventure starts here.」

VFR1200Fのクロスオーバーモデル。最初は無限仕様(VFR1200X、DCTモデルはXD)として100台限定で発売し、2014年からDCTモデルのみ国内正規取り扱いとなりました。

車もバイクもそうですが、DCTって一般的なATやCVTと違ってあんまり批判されないというかMT至上主義者にも認められる印象を受けますね。それは恐らくMTと変わらないダイレクト感があるからでしょう。

じゃあどういう仕組なのかって話ですが、DCTというのはデュアル・クラッチ・トランスミッションといってザックリ言ってクラッチを二つ付けているという文字通りの仕組み。

SC63E DCT

まず一般的なミッションの仕組みを知らないと分からないと思うので説明すると、一般的なバイクは常時噛み合い式というミッションです。車の選択摺動式とも違います。

常時噛合式というのはこれまた文字通り、ローからトップまで全てのギアが常に噛み合って回っている状態。

常時噛合式トランスミッション

じゃあどうやって変速してるのかというと常時噛み合ってはいるけど全部が空回りしている状態なんです。

常時噛合式トランスミッション

なかなか酷い塗り絵ですが、赤く塗られたギアはシャフトに繋がっていてシャフトと一緒に回るギア、青く塗られたギアはシャフトに繋がっておらず空回りするギアになっている。分かりやすいようにメインとカウンターを離しています。

色分けを見てもらうとわかる通りキッチリ青の反対側は赤、赤の反対側は青と別れており、全部が空回りする状態なのが分かるかと。ちなみにこれはニュートラルの状態です。

じゃあ発進する時はどうなってるのかというと左下の緑枠の部分に注目。

常時噛合式トランスミッション

シフトペダルでカコンと一速に入れると、カウンターシャフトに直結している空回りしない赤い五速カウンターの黄色の部分が、空回りする青い一速カウンターに連結されます。

すると空回りしていた青い一速のカウンター側の回転につられて五速のカウンターが回り、結果カウンターシャフトが回る(動力が伝わる)というわけ。

ここから二速に入れようとしたら繋がっている五速カウンターがまた中央に戻り、今度は六速のカウンターが二速のカウンターに連結する・・・分かりますかね。

シフトチェンジで蹴られたりするのはこの黄色の部分が上手く入れなかったりするからです。

SC70エンジン

んで本題のDCTですが常時噛合式の仕組みが分かれば簡単です。

DCTはクラッチが二つあるわけですが、担当しているギアが違います。一つは1-3-5速でこれは二重構造になっているシャフトの内側(奥側)に付いてる、もう一つは2-4-6速でこれはシャフトの外側(手前側)と交互に担当するように付いている。

DCTの仕組み

もうお分かりだと思いますが、こうすることで二つのギアを繋げた状態に出来る。

1速を連結させて走っている時でも、二速も連結させクラッチを切って動力を伝えない状態で走る事が可能なわけです。そして二速にシフトアップする時は一速担当のクラッチを切りつつ二速担当のクラッチを繋ぐだけ。

マニュアルとDCT

回転数の落ち込みが低いのはこうやって次のギアが既に繋がっておりクラッチを切り替えるだけだから。そしてダイレクト感がMTと変わらないのは基本的にMTと同じ構造だからというわけです。

なんかVFR1200Xの話ではなくDCTの話になって申し訳ないです。

SC70

ただVFR1200XにはDCTが本当によく合ってると思います。

道をあまり選ばないとはいえ流石にこのクラスを道を選ばずに振り回せる人なんてほとんど居ない。どちらかというとおっかなびっくりは人がほとんどでしょう。

そういう状況で一番起こるのが恐れすぎてエンストを起こし転けてしまう事。DCTならそれが防げるわけですから。

再編に伴いページがどっかに消えちゃったのでここに追記しておくと、一応800(RC46)ベースの方もXモデルとしてCrossrunner(RC60)がありました。

VFR1200X

コチラは正規販売されることなく無限が逆輸入しVFR800X Crossrunnerという名前で200台用意したのみ・・・ついでの紹介で申し訳ないです。

主要諸元
全長/幅/高 2280/915/1320mm
シート高 810mm
車軸距離 1590mm
車体重量 288kg(装)
燃料消費率 16.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC4気筒
総排気量 1236cc
最高出力 106ps/6000rpm
最高トルク 12.7kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR8E-9HES
または
VUH24ES
推奨オイル ホンダ純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.6L
フィルター交換時3.9L
フィルター&クラッチ交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,750,000円(税別)
系譜図
VF750S/M1982年
VF750
SABRE/MAGNA
(RC07/RC09)
VF750F1982年
VF750F
(RC15)
VF1000R1984年
VF1000F/R
(SC16)
750F1986年
VFR750F
(RC24)
750R1987年
VFR750R
(RC30)
RC361990年
VFR750F
(RC36)
RVF1994年
RVF
(RC45)
前期1998年
VFR
(RC46前期)
8002002年
VFR
(RC46後期)
1200F2010年
VFR1200F
(SC63)
1200X2012年
VFR1200X
(SC70)
800F2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)