GSX-R600(K4/K5)-since 2004-

2004年式GSX-R600

K1から不動の速さを持っていたGSXシリーズだが、2004年に更なるモデルチェンジを行う。

遂に兄と同じ念願の倒立フォークになり、キャリパーをラジアルマウント化、ラムエアダクトの拡大で隼っぽい顔に、更に2kgの軽量化を施してきた。タダでさえクラス最速だったマシンが更に磨きがかかり、敵なしの状態が続く事になる。

GSX-R600カタログ写真

R1000やR750も同じでSS版ハヤブサと言っていい二代目K4/K5だが、何故かハヤブサ程の人気は出なかった。
ただ北米だけは例外で、「GSXシリーズこそが本物のSS」という風潮がある。どう転んでもCBRの一人勝ち状態である日本とは大違いで、20周年モデルも発売された。

20周年記念モデル

日本にもR750の20周年モデルは入ってきたがR600の方は正規では入ってきていないので先ずお目にかかる事はないと思う。カラーリングの参考となったモデルは勿論20年前の1985年に華々しいデビューを飾った初代R750

初代R750

限定モデルだがカラーリングだけじゃないのはさすがスズキ。オーナメント以外にも
・スリットの入った専用ブレーキローター
・フレームスライダー
・スモークスクリーン
・アルマイト処理したチェーンアジャスター
・スペシャルマフラー
・さらにシートがブルー
・さらにさらにチェーンまでブルーなどなど。

主要諸元
全長/幅/高 2055/715/1150mm
シート高 825mm
車軸距離 1400mm
車体重量 161kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 599cc
最高出力 126ps/13000rpm
最高トルク 7.1kg-m/10800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 980,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
98GSX-R600 1997年
GSX-R600
(W/X/Y)
01GSX-R750 2001年
GSX-R600
(K1/K2/K3)
04GSX-R600 2004年
GSX-R600
(K4/K5)
06GSX-R600 2006年
GSX-R600
(K6/K7)
08GSX-R600 2008年
GSX-R600
(K8/K9/L0)
11GSX-R600 2011年
GSX-R600
(L1~)

GSX-R600(K1/K2/K3)-since 2001-

2001年式GSX-R600

このモデルを見るとピンと来る人も多いだろう。それもそのはず顔が1000-750-600と統一されたから。
当時R1の影響で流行っていた二眼を採用せず、それどころか1000から600まで統一させてアイデンティティを確立したのは凄い。HAYABUSAの成功も相まって今や一眼のヒール顔はスズキの代名詞にもなった。

いやでもちょっと似せすぎというか区別が・・・正立フォークなのが600なんだけど顔だけ見ると・・・

GSXシリーズ

もしこの顔だけ見て区別が付いた方はGSXマニアですね。ちなみに正解は左から600-750-1000です。

99年のYZF-R6の登場により600ccクラスが激化。R1の方がリッターなせいかよく語られるけど600の方が熾烈だったかもしれない。それでもスズキはあくまで750主体の開発に拘った。

GSX-R600カタログ写真

84年から始まり長年に渡って様々な排気量のSSを作り続けたスズキに一日の長があったのは誰の目にも明らかでした。

主要諸元
全長/幅/高 2040/715/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1410mm
車体重量 163kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 599cc
最高出力 115ps/13000rpm
最高トルク 7.0kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格
系譜図
98GSX-R600 1997年
GSX-R600
(W/X/Y)
01GSX-R750 2001年
GSX-R600
(K1/K2/K3)
04GSX-R600 2004年
GSX-R600
(K4/K5)
06GSX-R600 2006年
GSX-R600
(K6/K7)
08GSX-R600 2008年
GSX-R600
(K8/K9/L0)
11GSX-R600 2011年
GSX-R600
(L1~)

GSX-R600(W/X/Y)-since 1997-

1998年式GSX-R600

GSX-R750がフルモデルチェンジしたのを機に投入された初代GSX-R600。

当時600ccは俗にいうナナハンやリッターオーバーの廉価版で当然このR600もR750から色々とスポイルされている。

1998年式GSX-R600カタログ

750が倒立フォークなのに対し600は正立フォーク、FIなのに対しキャブとちょこちょこ変更されています。

主要諸元
全長/幅/高 2100/720/1165mm
シート高 830mm
車軸距離 1385mm
車体重量 175kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 600cc
最高出力 106ps/12000rpm
最高トルク 6.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前16|後46
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格
系譜図
98GSX-R600 1997年
GSX-R600
(W/X/Y)
01GSX-R750 2001年
GSX-R600
(K1/K2/K3)
04GSX-R600 2004年
GSX-R600
(K4/K5)
06GSX-R600 2006年
GSX-R600
(K6/K7)
08GSX-R600 2008年
GSX-R600
(K8/K9/L0)
11GSX-R600 2011年
GSX-R600
(L1~)

Ninja400(EX400G)-Since2018-

2018NINJA400

250と共有することで先代比-37kgと大幅な減量がされたNinja400のEX400G型。

キャスターも立てられツアラーからライトウェイトスポーツへと大変貌。650がモデルチェンジされても音沙汰なしだったのはこのためだったんですね。

2018NINJA400

従来の面白構造から打って変わり、新設計のダイヤモンドトラスフレームに新型エンジンという王道な作り。ただメインフレームがピボットレス構造になっていますね。

ちなみにABSやアシストスリッパークラッチも当然ながら標準装備。

NINJA400LEDヘッドライト

他にもトップブリッジの肉抜きやギアポジションインジケーター付きのデジタルメーター等など、カワサキは250や400だからといってとデザインをケチるような事を全くしなくなりましたね。

ちなみに最近流行している逆スラントになったわけですが・・・

NINJA400LEDヘッドライト

「なんでこうも逆スラントが増えているんだろう」

と思って調べてみたところ、どうも流行だけではなくLEDヘッドライトが関係している様。

従来の(中央にバルブがある)スラントノーズ系マルチリフレクターとLEDは相性が良くないそうです。

NINJA400LEDヘッドライト

言われてみれば確かに綺麗に別れている。技術的な話はもう少し調べてから書きたいと思います。

話をNINJA400に戻すと・・・そもそもなんで好評だったツアラー路線からスーパースポーツ路線に変えたのかという話ですが、これは世界的にライトウェイトミドルの人気が高まりだしたら。

NINJA400リアビュー

つまりこのモデルからは日本専売ではなく世界で売られるワールドモデルに昇格となったわけです。

面白いことに先代の頃から既にイタリアのコミュニティなどで日本向けの400モデルを取り上げ

「コッチのほうが回せて面白そう」

と紹介されたりもしていました。

根気強く国内のために出し続けていた400に、日本ではなく海外が振り向くっていう。

そしてもう一つ大事なこと。

市場の人気が高まるということは・・・レースが始まるんですね。これも理由の1つ。

スーパースポーツ300

ZX-10Rなどでお馴染みのWSB(市販車世界レース)において

「SUPERSPORT300」

という新しいクラスが2017年から始まりました。

300と銘打たれていますがレギュレーションは排気量ではなくA2免許クラス(47馬力以下)で協会が認めた車両。初年度はCBR500R、NINJA300、YZF-R3の三つ巴で優勝車両はYZF-R3でした。

2018年式ニンジャ400

つまり2018年からこのNINJA400でZX-10Rの様に勝ちを取りに来たというわけ。さすがSBKに社運を賭けてるメーカー。

もちろんあくまでも市販ロードスポーツとしてがメインなのでポジションもそれほどキツいわけではないんですが、ダブルディスクという見栄を捨てて軽さのシングルディスクを選んだのを見ても、スポーツを意識しているのが伺えます。

2018年式黒

色々言われていますがこのシングルディスク化は本当に英断。

見栄えするダブルディスクの方が良いと思う気持ちも痛いほど分かります。でも新しいNINJA400の魅力はライトウェイトです。

2018年式エンジン

250と共有なんだけど基本的にエンジンクランクやフレームといった主要部は250をベースにしたから167kgと軽く出来た。

だから本当にそれで大丈夫なのかと思う細身のフレームもそうですが、共有というよりNINJA250をどうにかこうにかして400cc化したようなバイク。

2018年式サイドビュー

このシングルディスクブレーキというのはそれを無駄にしない為のシングルディスク。

ライトウェイトスポーツの証という事です。

主要諸元
全長/幅/高 1990/710/1120mm
シート高 785mm
車軸距離 1370mm
車体重量 167kg(装)
燃料消費率 24.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 48ps/10000rpm
最高トルク 3.9kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ LMAR9G
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.3L
交換時1.6L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 663,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

Ninja400(EX400E/F) -Since2014-

Ninja400

兄貴分のER-6がNinja650へフルモデルチェンジし、遅れること二年後にモデルチェンジされNinja400と改名されたEX400E型とABS装備のF型。

先代が思わぬ好調なセールスだったから引っ張ったんでしょうかね。ただ残念ながらネイキッドタイプのER-4nはモデルチェンジされることなく・・・。

作りは基本的にNinja650に順従するもので、斬新で面白いダブルぺリメターフレームの形も同じ。

足つき性

シートフレームも途中から別れるセミダブルクレードルの様な形にして足つき性が大幅に改善。

カウルも大型の650と共有するだけあって本当に凄い。400もここまで来たかというような形状と塗り分け。

EX400E

ZX-14Rの流れを汲む、刺さっているようなサイドフェアリングですが、なんでもカウル形状は排熱がライダーの膝へ直撃しない狙いがあるんだとか。

EX400F

少し話が反れますがKawasakiのNinja650のページで

「レースで認められたパフォーマンス」

と言われていたのを見逃してました。

兄貴分の650は欧州ではカワサキを代表するNinjaとして多くの人に親しまれているため、Ninja650のワンメイクレースが盛ん。

ただカワサキが言いたいレースパフォーマンスはどうも別で

「AMAフラットトラックレーシング」

というアメリカではメジャーなダートレースの「GNCツインズ」の事。

GNCツインズ

“550cc~700ccの車両にはリストリクター(吸入規制)、重量規定なし”
“701cc~1000ccの車両にはリストリクター(吸入規制)及び重量規定”

日本でいうオートレースのダート版ですね。さすがオフ大国アメリカ。

でカワサキのninja650の車両がこれ。

6モンスター

原型を留めてない・・・というか使われているのはほぼエンジンだけ。

昔からハーレーの一強だったカテゴリで一矢報いた事から誇っているわけですね。

ガチャピンエンジン

まさかNinja400/650の一部でガチャピンと親しまれる形のエンジンがアメリカのダートで活躍してるなんて誰が想像できるだろう・・・

主要諸元
全長/幅/高 2110/770/1180mm
シート高 805mm
車軸距離 1410mm
車体重量 209kg(装)
[211kg(装)]
燃料消費率 24.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 44ps/9500rpm
最高トルク 3.8kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.6L
フィルター交換時1.8L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 668,520円(税込)
740,880円(税込)
※[]内はABSモデル(EX400F)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

Ninja400R(EX400C/D) -since 2010-

Ninja400R

「FULLFAIRING SPORT」

タイカワサキに生産を移設されたER-6をベースに400cc化したNINJA400R。

Ninja400Rキャンペーンポスター

十数年ぶりな上にNINJAということで見た目はかなり戦闘的なスタイリングに。

特に顔には拘ったようで、ビルドインウィンカーやヘッドライトのバルブカバーを装着するほどのこだわり。

ヘッドライトバルブカバー

このバルブカバーは後にNINJA1000にも採用されました。機会があったら覗いてみましょう。

NINJA400Rは完全新設計の新しいモデルなんですが、順当なスポーツツアラーで正に21世紀のEX-4といえるバイク。

ボディも大型の650と共通なだけあり新設計トラスフレームやサスなどなかなか良いものというか面白いものを持ってる。

レイダウンサスペンション

中でも特徴的なのがレイダウンサスペンション。

これはリンク無しでもプログレッシブな(二次曲線的な)働きをさせるためのレイアウト。

要はネイキッドの二本サスを一本にして思いっきり寝かせた様なものなんですが、丸見えで良いアクセントになっていますね。

ER-4n
(ER400B/C)
-since 2010-

ER-4n

コチラはヨーロピアンテイストを取り入れたネイキッドモデルにあたるER-4n。

ガンダム顔なNinja400Rとは対照的にコチラはザク顔ですね。新しいバイクなのに走っているところを先ず見ない。

このNinja400R/ER-4nはGPZ400SやEX-4の不人気さが嘘のように人気を呼び、2012年度には年間販売二位を記録しました。

この要因は正直に言うとカワサキの四気筒が既に死滅していた事が大きいかと。もしも同じようなルックスでZZR400なんかがまだあったらソッチを選んでた人が多いと思います。

それが無かったから(言葉が悪いですが)仕方なしにNinja400R/ER-4nが見られるようになった。

Ninja400Rスペシャルエディション

しかしいざ見てみると意外とスポーツが出来て、何より使い勝手が良いという今まで気付かなかったパラツインの魅力を知る事に。

要するにセールスが好調だったのは低い期待値を裏切る感動があったから。執念深く続けてきたパラツイン400という訴えがやっと認められたわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/760/1200mm
[2100/760/1100mm]
シート高 790mm
[785mm]
車軸距離 1410mm
[1405mm]
車体重量 203kg(装)
[199kg(装) ]
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 44ps/9500rpm
最高トルク 3.8kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.7L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 649,000円(税込)
[629,000円(税込)]
※[]内はER-4n
※ABS(EX400D/ER400C)は+4kg/7万円
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

EX-4(EX400B) -since 1994-

EX400B

「Shake the City」

実質的にGPZ400Sの後継モデルとなるEX-4/EX400B型。海外ではNinjaという名前が与えられていましたが国内モデルにはつかず。

変更点としては

・カウルデザインの変更

・アンダーカウルの装着

・ホイールを17インチ化

・キャスター角の変更

などなどで、ロードスポーツという立ち位置は変わらず。

EX-4とXELVIS

よくホンダのゼルビスと間違われたりするモデルですが、EX-4の場合ツアラーとしてはZZR400があったしスーパースポーツとしてはZXR400があった。

ソコソコ好評だった海外向け500はまだしも、なんでわざわざ国内400に合わせての出したのかって話ですがRiders Club239によると、スポーツモデルにあたるZX-4~ZXR400が尖りすぎてGPZ400Sのコンセプトから大きく離れてしまったのが理由との事。

EX-4

街乗りからサーキットまでオールマイティに使える正にスポーツと呼べるGPZ400Sで形にしたコンセプトこそが正しいという考えがあったわけですね。

実際このEX-4は突出したものは持っていなかったものの、下から上までストレスなくパワーが出る絶妙なスポーツモデルとしてオーナーからの評価は良かった。

EX-4カタログ写真

1998年に生産終了となった後にジワジワと再評価され、人気が高くなったのが何よりの証拠かと。

主要諸元
全長/幅/高 2085/710/1165mm
シート高 775mm
車軸距離 1435mm
車体重量 177kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 50ps/10,500rpm
最高トルク 3.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後130/70-17(62H)
バッテリー YB14L-A2
プラグ DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 499,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

GPZ400S(EX400A) -since 1986-

GPZ400S

「昨日が都市派!」

元祖ハーフニンジャことGPZ400S。

二気筒ながら50馬力という侮れないスペックを発生する新設計のスポーツバイクですが、果たしてこのバイクを覚えている人がどれくらい居るでしょうか。

このバイクがハーフニンジャと言われていたのは名前からだけではありません。エンジンが元祖ニンジャとして登場したGPZ900Rのエンジンを半分にしたエンジンだったからです。正確に言うとピストンなどを流用。

EX400A

そのためツインとは思えないビュンビュン系のツイン・・・なんだけど、既にこの時GPZ400Rというカワサキの400史を代表するほどの四気筒の名車が既に居た。

GPZ400R|59馬力
GPZ400S|50馬力

どっちを選ぶかと言われたら四気筒を選ぶのが普通ですよね。

そのため僅か三年余りでカタログ落ちしました。通年で1000台も出なかった模様。

なぜ四気筒が既にあったのに出したのかと

「ミドルは二気筒が最適解」

という考えをカワサキはこの時から既に持っていたからです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/675/1165mm
シート高 770mm
車軸距離 1440mm
車体重量 174kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 50ps/10500rpm
最高トルク 3.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後120/90-16(63H)
バッテリー FB14L-A2
プラグ DR8ES
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 459,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

VTR1000SP-2(SC45後期)-since 2003-

SC45後期

「THE REAL-WORLD SUPERBIKE」

VTR1000SP/SC45の後期モデルとなる通称SP-2。

・ツインインジェクション化
・スクリーンの高さを30mm延長
・ステム/キャスター&トレール角の変更
・スイングアームピボット変更
・スロットルボディ径の拡大
・6kgの軽量化
・フレームの全般的な見直し

などなど書ききれない程の数々の変更が加えられていますが、SP-2における最大の狙いはフレーム剛性を少し柔らかく(捻じれやすく)見直してハンドリングを向上させたこと。

SC45後期

これによって乗りやすくなったんですが、乗りやすくなったといってもそれは街乗りとかそういうレベルではなく・・・なんでって結局はこれらの変更もHRCがレースしながら改良してきたワークスマシンのフィードバックだから。

市場を考慮してモデルチェンジしたわけではなくHRCが

「こうしたほうが勝てるマシンになるよね」

っていう改良を市販車の段階から実装させたモデル。

SP-2/SC54カタログ

どんだけHRC(レース)しか見てないんだって話。

このSP-2が出るまでの2002年時点でVTR1000SPは

・WSB
・鈴鹿8耐(4連覇)
・ルマン24時間
・マン島TT
・デイトナ200マイル

などなど名だたるレースで勝利をあげタイトル総ナメに近い状態。にも関わらず更なる改良SP-2で鬼に金棒と化した・・・わけですが不運が訪れます。

レース協会がWSBで使うタイヤをピレリのワンメイクにすると発表したんです。

ブラックフレームSP2

レースでミシュランを好んで使っていたホンダはこれに猛反対。

どうもVTR1000SPWはタイヤとのマッチングにシビアな面があったようなので飲むわけにはいかなかったんでしょう。

そしてもう一つの要素がこれまで
『四気筒750cc、二気筒1000cc』
という二気筒優遇だったレギュレーションが
『四気筒1000cc、二気筒1200cc』
へと改定され二気筒1000ccの優位性が無くなるどころか使い物にならなくなった事。

SP2とSPW

まるでVTR1000SPをレースから追い出すような環境に急変したわけです。

これらによりホンダは怒ってワークス撤退を表明。CBR1000RRがこの後を担うようになるわけですが、よっぽど腹が立ったのかワークス参戦はずっとしませんでした。

つまり話を戻すとSP2は登場と同時に余命一年の宣告を受けたという話。

SP2の顔

なんとも悲しい運命・・・かと思いきや実はそうとも言い切れなかったりする。

というのもこのSP2なんと北米では2006年までRVT1000/RC51(SP3~SP6)として非常に人気だったんです。

なぜ北米で人気だったのかというと一つは『デイトナ200マイル』というアメリカで一番人気のある伝統レースで2002年にポールトゥウィンという完璧な勝利をあげ、全米シーズンチャンピオンにも輝いたから。

VTR1000SPとニッキー・ヘイデン

ちなみにその時のライダーは後にMotoGP王者となるニッキー・ヘイデンです。

そしてもう一つはVTR1000Fプロトタイプのくだりを読まれているならおわかりかと思います。

VTR1000SPとニッキー・ヘイデン

「自分たちが欲したVツインスポーツだったから」

ですね。

アメリカン人ライダーがデイトナ200を完勝し性能を証明した自分たち好みのバイク

『名実ともに完璧なVツインスポーツ』

となればそりゃ人気も出ますよね。

VTR1000SPとニッキー・ヘイデン

ただ一方で日本は直4が好まれる上に空前のSSブームが起こっていたので消えたことすら話題になりませんでした・・・まあ広告もほとんど打たずカタログもペライチだった事から見ても、ホンダも数を売るつもりは無かったみたいですから仕方のない話なんですけどね。

そんな登場からわずか4年足らずで消える事となったVTR1000SPですが、このバイクが登場しレースで猛威を奮えば奮うほど界隈からは

「ホンダ大人げないぞ」

という声が聞かれました。

VTR1000SP-2センター

理由は最初に話した通り、二気筒の優遇が顕著になった事でそれまで培ってきたV4を捨ててV2にしたから。要するにプライドは無いのかって話なんですがVTR1000SPWのエンジン設計PLだった野村さんいわく

「抵抗はあったがそれよりも勝ちたかった」

との事・・・SP-1でも言いましたがVTR1000SPって結局これなんですよね。

VTR1000SPはワークス技術を多くの人に提供する意味合いが強かったRVF/V4と違い、自分たちが勝つためのマシンとして造られた意味合いが非常に強い。レースでも今のホンダからは想像がつかないほど貪欲に勝利を取りに行くワークス体勢だった。

ホンダVTR1000SP-2ブローシャ―

当時のホンダは本当に勝利に飢えてたんだと思います。

だからこのVTR1000SPというバイクは多くの人に夢を与え続けてきたホンダが

「自分達も夢を見たい」

とマーケットもブランドもフィロソフィーも、優等生キャラもかなぐり捨て自身の飢えを満たす為だけに造り上げた

『わがままボディのスーパーバイク』

と言えるんじゃないかと。

VTR1000SP-2カタログ

だってVTR1000SP関係の資料をどれだけ調べても勝つ為のこだわりや苦労だけでセールストークが一切見当たらないんですよ。

「いやあ大変でした」

ってニコニコしながら言ってる話しかない。

参考文献:RACERS41

主要諸元
全長/幅/高 2060/725/1145mm
シート高 825mm
車軸距離 1420mm
車体重量 194kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 999cc
最高出力 136ps/9500rpm
最高トルク 10.7kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後190/50-17(73W)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IFR9H11(標準)/IFR8H11
または
VK27PRZ11(標準)/VK24PRZ11
推奨オイル ウルトラGP(10W-40)
オイル容量 全容量4.3L
交換時3.5L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

【関連車種】
VFRの系譜YZF-R1の系譜GSX-R750の系譜ZX-10Rの系譜

VTR1000SP-1(SC45前期)-since 2000-

SP1サイド

「The V-Twin superbike supreme」

ホンダが出してきたホモロゲーションモデルの中でも異彩を放つVTR1000SP/SC45型。北米ではRC51という非常にややこしい名前も持っていたりします。

まずもってこのバイクが何故誕生したのかというとバイクレースの中でMotoGPとは別に

『WSB(ワールドスーパーバイク)』

という市販車いわゆるスーパースポーツで行われるレースが行われており、この頃は

『四気筒750cc|二気筒1000cc』

というレギュレーション(ルール)でした。

VFR750R/RC30やRVF/RC45が750ccだったのもこれが理由なんですが、90年代後半になると排気量と最低重量の関係で二気筒が非常に有利になった。

そのためいくらRVF/RC45が凄いバイクだったとはいえホンダも苦戦しチャンピオンを逃す年が続いていた。

VTR1000SP-1コンセプトスケッチ

そこでVFR750R/RC45に代わるマシンとして開発されたのがVTR1000SP/SC45というわけ。

元々VTR1000Fというバイクが先に登場していたのでVツインのレーサーも出るだろうと巷で噂されていました・・・が一向に出ず、実際に出たのはVTR1000Fから約3年後となる2000年とかなり遅かった。

この原因は

「VTR1000がSPありきじゃなかったから」

という理由が一つ。

SP1リア

もともとVTR1000F/SC36が開発されていた段階ではまだSPは開発の話すらされていなかったんですね。

じゃあ開発のキッカケは何かというと朝霞研究所(二輪開発部門)がVTR1000Fと同時進行でレーサー仕様をHRC(レース部門)に持ち込んで開発を始めた事。

これにHRC側が目をつけたもののストリート重視でピボットレスだったVTR1000Fベースでは剛性が足りず世界レースで戦うのは難しい(WSBはフレームの変更が禁止)という事から独自にVツインエンジンのプロトタイプワークスマシンを開発。

それを元に擦り合わせるように市販車レベルに落とし込んだ

『HRCスペシャルマシンの市販版』

がVTR1000SP/SC45というわけ。

VTR1000SP-1カタログ写真

「VTR1000Fと同じ部品はウィンカーくらい」

というジョークになってないジョークが生まれるほど全く別物になった事にはこういう背景があった。

ちなみに朝霞研究所はレース開発を取られた気がしないでもないですが、VTR1000Fレーサーもお蔵入りさせるのが勿体なかったのかモリワキの手に渡りVTR1000SPより早い1997年つまりVTR1000F登場と同時にレース出場しています。

モリワキワークスVTR1000F

これ朝霞チューンがベースだったんですね。

ただ発売が遅くなったもう理由はもう一つありました。それは開発の難航。

RC51

Vツインだろうが唯一無二のカムギアトレーンで133馬力(KITで172馬力、ワークスは180馬力以上)というHRCらしいエンジンになっているんですが、難航したのはエンジンではなくフレームの方。

SP1のフレーム

世界レースにも耐えうる剛性を確保するため様々なパターンのフレームが造られたものの、Vツインという未知の領域への挑戦だった為なかなか満足のいくものが出来ず試行錯誤の連続で最終的に50以上ものフレームを製作する事になったんだそう。

これらのため本来ならば1999年からの予定だったのが1年遅れて2000年からの発売&ワークス参戦となりました。

HRC_RC51

ちなみにVTR1000SPがエキスパート向けと呼ばれる部分もここにあります。

VTR1000SPは”一応”市販車でRVFの様な限定でも超高額マシンでもなかったから比較的誰でも買うことが出来ました。しかし同時に決して誰でも乗れるのようなバイクでもなかった。

・Vツイン特有の瞬発力ゆえ繊細さを求められるアクセルワーク
・非常に硬いサスペンション
・強力過ぎるブレーキ
・低速ではすぐにオーバーヒート

などなど色々あるんですが、やっぱり一番はフレームの想定域が高すぎて生半可な走りを受け付けないほど硬派というか硬かった事。

SC57

レースを視野に開発されたホモロゲーションモデルが乗りにくいのは珍しい事じゃないんだけど、それを考慮しても完全に割り切ってるとしか思えないほどだった。

じゃあレースではどうだったのかというと2000年に市販車世界レースWSBにVTR1000SPWでワークス参戦するやいなやコーリン・エドワード(写真左#2)がチャンピオンを獲得。

2000年VTR1000SPW

デビューイヤーでいきなり目的を達成したわけですが、それだけじゃないのがこのバイクの凄いところ。

同年の鈴鹿8耐でも宇川徹&加藤大治郎コンビがコースレコードを更新するほどの速さで優勝。

8耐VTR1000SPW

ちなみに翌2001年も皆さんご存知バレンティーノロッシが勝利しV2を達成しています。

更には二気筒としては史上初となるルマン24時間耐久レースの優勝。そしてそしてマン島TTでも2000年にミスターマン島ことジョイ・ダンロップの最多勝利数にも貢献。

8耐VTR1000SPW

なんと銅像まで建てられました。

結局これがSPがどういうバイクかを如実に表していますよね。

市場からの評価は決して良いとは言えなかったけど、一方レースではこれ以上無いほどの戦果を上げた。

これが何故かといえばVTR1000SP/SC45はユーザーに最高だと思ってもらう為に開発されたバイクじゃないから。

VTR1000SP-1

「HRCを始めレースで戦う者にとって最高だと思える為に造ったVツインだったから」

ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2060/725/1120mm
シート高 815mm
車軸距離 1410mm
車体重量 200kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 999cc
最高出力 133ps/9500rpm
最高トルク 10.7kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後190/50-17(73W)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
FR9BI-11(標準)/FR8BI-11
または
IK27C11(標準)/IK24C11
推奨オイル ウルトラGP(10W-40)
オイル容量 全容量4.3L
交換時3.5L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)