CBX750F/ボルドール/ホライゾン(RC17/18) -since 1983-

CBX750F

「EXTRA」

CB750Fの後継として登場したCBX750FのRC17型。

背面ジェネレーターに油圧式バルブクリアランス、更にはこの時代にバックトルクリミッターまで採用した新設計エンジンを搭載しています。

・・・が、こう言ってはなんですがこのバイクを知らない人や覚えていない人は多いのではないかと思います。

理由は大きく分けて二つあります。

一つは名前と見た目のギャップ。

CBX750Fカタログ

「これCBXか」

と今でも思うように、当時もこれをCBXと呼ぶことに抵抗がある人が多かった。

ただ仕方のはない話で、この頃というのはカウルが解禁された事で

「大型=高性能=カウル付き」

という定石みたいなもので市場が固まっていたんです。

そしてもう一つはホンダの方針転換。

ホンダはCBX750Fを出す一年前にもう一つナナハンを出しました。

VF750F

FORCEの始まりであるVF750です。

そしてそれと同時にホンダは

「レースはV4、ストリートは直四」

という方針に変更。

そのためこのCBX750Fもスーパースポーツと言ってきたそれまでのCBからストリート重視のモデルになりました。

派生として登場した大きなカウルを付けたボルドール/RC17や、シャフトドライブでローシートのホライゾン/RC17なども完全なストリート。

CBX750Fホライゾン&ボルドール

要するにもうCBがレーサーでは無くなってしまった。

決してCBXが悪いわけでも、遅いわけでもないですよ・・・ただホンダの中でのポジションが変わってしまっただけ。

CBX750Fボルドール

でもそれはナナハンに乗る人にとっては非常に大きなウェイトだったんです。

主要諸元
全長/幅/高 2145/740/1240mm
シート高 795mm
車軸距離 1465mm
車体重量 238kg(装)
燃料消費率 36.0km/L
※定置走行テスト値
燃料容量 22L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 747cc
最高出力 77ps/9500rpm
最高トルク 6.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/90-16 59H
後130/80-18 66H
バッテリー FB14-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
X24ES-U
推奨オイル 不明
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
不明
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 698,000円(税別)
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

CB1100R/F(SC05/SC08/SC11) -since 1981-

CB1100R

「コードMA3」

今やCBシリーズ定番となっている赤/白カラーの元ネタでもあるCB1100R。

ちなみにこの色が何処から来ているのかと言うとF1のナショナルカラー。

RA271

つまりこれ日の丸カラーなんです。

ベースとなっているのは先代で目覚ましい活躍を見せたファクトリーCB750F、早い話がRS1000(写真下)の公道仕様モデル。

RS1000

混乱している人が居ると思うので纏めると

CB750FOUR

RCB(FOURのファクトリーチューン)

CB750/900F(RCBレプリカ)

RS1000(Fのファクトリーチューン)

CB1100R(RS1000レプリカ)

という形。

ワークスチューニングが最初から施されている豪華装備でしかも全てが手組という事もあり、お値段はCB750Fが四台買えてしまう250万円。

CB1100RC

そもそも何故CB1100Rが造られたのかというとRS1000のトップクラスとは別のプロダクションレース(改造範囲が狭い)クラス、今でいうスーパーバイクがキッカケ。

トップレースでRS1000が快勝していた反面、プロダクションクラスではCBの900という排気量のハンデが大きく結果を残せていなかった。(当時は排気量無制限)

そんな状況を打破するために

「そのままでも勝てるマシン」

をコンセプトに開発。

集まったメンバーは山中さんはもちろん仙波さんや浅野さんなど無敵艦隊HERTのメンバーだった錚々たる面々。

CB1100Rデザイン

ちなみにプロジェクト始動時の目標は

『8ヶ月後のレースに間に合わせること』

つまり実質的な開発期間は半年足らずという非常識な短さ。だからもうとにかく各々がRS1000で培ったノウハウを元に、考える前に行動な日々。

何故これほどの急ピッチかつ突貫的な開発になったのかというと皆の根底に

「CBが負ける状況を一刻も早く何とかしたい」

という忸怩たる思いがあったから。

そんなこんなで当初の目標から一ヶ月遅れたものの完成し、カストロール6時間耐久に出場。

しかし実はこれも間に合わないとして走行性能だけ完成させカウルなどの造形物は後回しという苦肉の策で間に合わせたCBR1100RB1という急造品。

CB1100RB1

だから耐久レースなのに何故かホンダだけ時代に逆行したネイキッドという異様な光景でした。

しかしソコはさすがHERT製と言うべきか、性能は申し分なく堂々のデビュートゥウィン。

CB1100RB2

そして少し遅れて何とかカウルまで造られた『CBR1100R/SC05(RB2)』を限定1050台で正式に販売となったわけです。

ただ開発チームも満足していなかったのか、二年目のCBR1100RC/SC08(限定1500台)ではカウルをFRPとカーボンのフルカウルにし、ホイールも新設計の18インチコムスターホイールに変更。

CB1100RC

エンジンも120馬力にまで上がったのですが、何よりシートがシングルからタンデム可能なカバータイプに変更された事が好評でした。

そして最終となるのが83年のCBR1100RD/SC08後期型。

CB1100RD

カウルがアクスルより前に出してはいけないというレギュレーション変更に合わせ少しカットしてあるのが特徴。

他にもスイングアームを現代的なボックスタイプに変更し、サスペンションも可変ダンパーとアルミリザーブタンクを装備。

キャンディカラーで質感が高く1500台限定でした。

それともう一つ紹介しておきたいのが晩年の1978年に発売されたCB1100F/SC11型。

CB1100F

これはいわゆるスペシャルマシンだったCB1100Rのネイキッド版レプリカとして一般向けに販売されたモデル。

あくまでもレプリカな上に、時代の不運にも見舞われ僅か一年のみの販売でした。

ホンダとしては60年代以来となる市販レーサーとして登場したCB1100Rは性能の凄さ、そしてそのド派手なカラーリングで多くの者を惹きつけました。

CB1100RD

皮肉なことに惹き付け過ぎてレースで勝つために造ったのにコレクションとして大事に保管してしまう人が続出してしまったんだそう。

主要諸元
全長/幅/高 2115/770/1340mm
シート高 795mm
車軸距離 1490mm
車体重量 233kg(乾)
燃料消費率 不明
燃料容量 26L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1062cc
最高出力 120ps/9000rpm
最高トルク 10.0kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後4.00H18-4PR
バッテリー YB12ALA2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D9EA
推奨オイル 不明
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
不明
スプロケ 不明
チェーン 不明
車体価格 約250万円
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

CB750K/F(RC01/RC04)CB900F(SC01-09)-since 1979-

CB750F

「スーパー・スパルタン・スポーツ」

ホンダ初のDOHC4バルブ直列4気筒車となるCB750FとCB900F。

この頃になるとCB750FOURの登場によってスポーツバイクのハードルは大きく上がると同時に、強力なライバル達が次々と登場していました。

するとCB750は当然ながら苦戦、セールス面でも苦汁を飲まされる展開となっていたわけです。

特に顕著だったのが欧州で、デカくて重い(北米好みの)バイクばかりになっていたホンダはシェアを落としていった。

そこで久米専務(後の三代目社長)は

『ノルマンディ上陸作戦』

という方針を打ち立て、入念な情報収集と新機種の発売を計画しCB750FとCB900Fを発売・・・となるわけですが、その前に紹介しておきたいのがCB750K/RC01と呼ばれるモデル。

CB750FOUR-K

CB750FOUR-IIの後継として開発された新設計のDOHCエンジンを積んだモデル。

CB-Fというのは、この既定路線だったCB750Kがベースになります。

まずデザイナーの森岡さんがヨーロッパに籠もってヨーロッパで通用するデザインをスケッチ。

CBラフスケッチ

そしてこのデザインを元にCB750Kベースで造られたのがCB-Fなんです。

ただ事はそう単純でなく、CB-Fを造るために招集されたのが何を隠そうブラックバードで有名な山中さん。

山中さんは当時HERT(Honda Endurance Racing Team)という耐久レースチームに在籍していました。

hert

当時ホンダは一線から退いていたのですが、イギリスやフランスなどの法人が耐久レースで苦戦していた。

そこで川島副社長がWGP監督も務めた秋鹿さんに

「勝て」

とだけ命じ、結成されたチーム。

RCB1000

そうして1976年に造られたのがRCB1000。

CB750FOURをベースにDOHC化に加え、排気量も915cc(最終的に997cc)まで拡大された耐久レーサー。

RCB1000エンジン

当時はレギュレーションも緩かったので原型を留めていないので実質別マシン。

そんなRCB1000はデビュー年の1976年は8戦中7勝、翌年には9戦全勝という圧倒的な速さを誇り『無敵艦隊』と呼ばれるまでに。

そんなRCB1000の車体設計者だった山中さんをCB900F/CB750Fのプロジェクトリーダーとして呼び寄せた。

RC04カタログ

そう、つまり狙いはRCBの様な走行性能を持たせること、RCBレプリカを造ることだったんです。

CB750Kのフレームと森岡さんのデザインが前提という縛りの中でRCBみたいな走りのCBを造れという無理難題。

しかもヨーロッパ向けCB900Fと日米向けCB750Fの掛け持ち。そこでCB900Fを先行して開発しスケールダウンしてCB750Fを造ることに。

まず兎にも角にもパワーだということで限界ギリギリとなる901ccまで拡大し、負けないようにフレームも強化。

他にもチェックバルブ付きのFVQダンパー、ジュラルミン製セパハンやトリプルディスクブレーキなど装備も充実しRCBの技術を色濃く反映。

CB900Fリア

ただ一番話題になったのは何と言っても長いタンクとテールまで繋がっているストリームラインと少しインに曲がっているサイレンサー。

ちなみにこのストリームラインはデザイナーが死守したものなんですが、曲がっているサイレンサーは実は山中さんの独断。

こうして発売されたCB900Fは欧州がメインターゲットだった事もありトップクラスの性能も唯一無二のスタイリングも絶賛。そして少し遅れて日本でもCB750F/RC04が発売されました。

ホンダCB750F/RC04

「ホンダが本気を出した」

と世界中で話題になり狙い取り爆発的なヒットに。

もちろん日本も例外ではなく、今ほど大型二輪がメジャーではない時代だったにも関わらず400に負けない販売台数(80年7747台、81年11841台)を記録。

CB750Fカタログ

ただコレだけで終わらないのがCB-F。

ここでも手を緩めること無く、CB750FOURに倣ってまたもやレースへ参戦。

既にRCBレプリカとして人気を博していたわけですが、一方で北米では最初に言った通りデカいが正義の国。

対してどちらかと言うと欧州向けのスーパースポーツだったCB-Fはライバルがリッターだったのに750でした。

「なぜ北米向けがCB900FではなくCB750Fなのか」

というと、当時750の市販車レースが人気でその需要があったから。

これがキッカケでAMAスーパーバイクも750になるわけですが、まあそれは置いといて750を北米でも売るためにホンダはアメリカのデイトナレースに参戦。

AHM CB750F

ベースはもちろんCB750F。

ただぶっちゃげるとコレはCB750FにスペシャルKITとスペシャルチューンの実質RS1000(当時のファクトリーレーサー)のような物。

要するにレプリカを通り越して本物だったわけで、当然のように圧倒的な速さでデイトナ100で表彰台を独占。

スペンサーカラーの元ネタとして(というかスペンサーが)有名かと思いますが、こうやって北米でもレースで活躍したことで

「CB750Fは凄い」

という評価を獲得し、日欧米すべての国で大成功を収める事となったわけです。

補足しておくと日本向けだったCB750Fは発売後も各部の見直しが毎年行われています。

【CB750FZ】

・初期型

【CB750FA】

・ハロゲンライト

・鍛造ステップ

・スイングアームピボット見直し

【CB750FB】

・圧縮比を変更し70馬力に

・フロントセミエアサス

・2ポットキャリパー

【CB750FC】

・フロント18インチ化

・リザーブ付きリアサス

・アンチノーズダイブフォーク

などの改良が入っています。

※900はCB900FC型からSC09

そしてCB-Fシリーズでもう一つ特徴的なのが多彩なバリーエーション。

CB750Fインテグラ

これは大型カウルを纏ったのがCB750FCインテグラ。

このモデルは海外向けであった『CB900F2 BOL D’OR』というモデルの国内仕様になります。

CB900F BOL D'OR

一応国内向けCB750Fでもボルドールというモデルはインテグラの前からあったのですが、大型カウルが付いていない状態でした。

CB900F BOL D'OR

これはまだ国がカウルを認めていなかったからで、後付OPとして用意する事で回避していたわけです。それが規制緩和でOKになったので翌年にインテグラとして発売したというのが経緯。

CBが持つ伝家の宝刀である赤フレームCBの始まりはここ。

ボルドール

そしてホンダがなぜCBにボルドールなんて名前を付けたかもこれで納得かと思います。

耐久レースの一つ(ボルドール24時間耐久レース)を三年連続優勝したRCBのレプリカだからですね。

それにしても何故これほど様々なバリーエーションを出したのかというと『ノルマンディ上陸作戦』は単純に新モデルで反撃というのが狙いではなく、バリエーション展開による採算性の向上も狙いの一つだったから。

CB750カスタム

だからCB750Kをベースに750/900が造られ、アメリカンタイプのCB750カスタムやCB750エクスクルーシブとかいう方向性が少し違うCB(全てRC04)が登場したんです。

しかしそんなノルマンディ上陸作戦も旗艦だったCBX1000がそうだったようにお世辞にも名車続出とはなりませんでした・・・というかまあハッキリ言ってしまえばCB-F以外がパッとしなかった。

ただ一方でCB-Fはそれを補って有り余るほどの大ヒットとなり作戦は成功。

・RCBカラー

・スペンサーカラー

・赤フレーム

・ボルドール

当時を知らない人ですら知っている要素を始めたCBがこのCB750F。

スーパースポーツCB750F

これだけでCB750Fが如何に凄いCBだったか、如何にCB史に影響を与えた名車だったかが分かるかと思います。

主要諸元
全長/幅/高 2190/795/1125mm
シート高 不明
車軸距離 1495mm
車体重量 228kg(乾)
[232kg](乾)
※[]内はCB900F
燃料消費率 32.0km/L
※定置走行テスト値
燃料容量 20L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 748cc
[901cc]
最高出力 70ps/9000rpm
[95ps/8000rpm]
最高トルク 6.0kg-m/7500rpm
[7.9kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後4.00H18-4PR
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D7EA/D8EA
X22ES-U/X24ES-U
推奨オイル 不明
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
不明
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格 538,000円(税別)
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

ドリームCB750FOUR-II/AERA-since 1975-

CB750F2

「SUPER SPORTS」

年次改良を続けていたCB750FOURでしたが、発売から6年が経って初めてモデルチェンジとも言える変貌を遂げました。

何が変わったのかといえばリアのディスク化もそうですが、何より一本出しマフラーになった事。

CB750Fスーパースポーツ

これは主要市場であるアメリカで集合管ブームが巻き起こった事が大きな要因。

その発端はヨシムラなんですが、まあ詳しい経緯は

『集合管マフラーは生みの親のヨシムラにとっても謎パーツだった|バイク豆知識』

をどうぞ。

そんな集合管に合わせてタンクやテールカウルも細くなっているので元からスリムだったのが非常にスリムになった・・・んですが、残念なことにあまり好評とは言えなかった。

ホンダとしては出来るだけ軽く細くすることで性能を磨いたわけですが

「ナナハンの割には迫力に欠ける」

と捉えられてしまったわけです。

CB750FOUR-Ⅱ

そこで2年後の1977年にはコムスターホイールを履かせてスポーツ性能に更に磨きを掛けたFOUR-IIとは別に、初代を彷彿とさせる四本出しマフラーとスポークホイールのKタイプを発売。

ドリーム
CB750FOUR-K
-since 1977-

CB750K7

「これでこそFOURよ」

と思う人がこの頃から既に多かったのかこっちは人気でした・・・が、実は同年にもう一台出ているんですよね。

EARA CB750A
-since 1977-

CB750EARA

なんとクラッチレスのATバージョンになるエアラ。

ホンダマチック(またはスターマチック)といって、シフトは下からN-Lと来て一番上は今でいうDにあたる☆マーク。

エアラカタログ写真

クラッチのある部分に今もメジャーなトルクコンバーターを突っ込んでAT化しています。

何故かドリームとはつかず『EARA CB750A』で、もちろん人気は出ませんでした。

一般的にCB750FOURと呼ばれる世代はここまでになります。

CB750FOUR-Kカタログ写真

フォアの始まりとして今も語られるCB750FOURですが、じゃあ皆さんCB750FOURの何処が凄いのかご存知でしょうか。

CB750FOURの凄い所は

『市販車初の直四だった事』

です・・・と言うと在り来たりに聞こえますが違います。

CB750FOUR-Kのエンジン

実はCB750FOURの四気筒というのは特段なにか凄い技術で造られたわけではありません。本当に二気筒の延長線上にある形だからコレと言って取り上げる部分は実は無いんです。

初代のテクニカルイラストレーションを用意されなかったのもそのためなんですが、でもこれもCB750FOURのコンセプトの一つ。

そのコンセプトを象徴するのが本田宗一郎がCB750FOURに対して行った指摘。

当初CB750FOURのオイルフィルター口は従来の場所ではなくエンジンの後方上部に付ける予定でした。

オイルフィルターの場所

しかし横目でそれを見ていた宗一郎が

「そんな所に付けたら交換し難いし汚れるだろ下側につけろ」

と指摘したことでエキゾーストパイプの裏になった。

直四に乗ってる人ならご存知の様に、今では当たり前の位置にあるオイルフィルターの始まりは宗一郎の指摘によって改善されたこのCB750FOURが最初なんです。

絶対に自分で一度組まないと気が済まない本田宗一郎だからこそ気付けた指摘ですね。

K0

そしてこれがCB750FOURのコンセプトであり凄い所。

前例や常識や配慮などが全く無かった時代にありながら、ただ目新しさや速さだけを追求したのではなく

『頑張れば買えて、乗れて、整備も出来る量販車初の直四バイク』

として登場したのがCB750FOURの凄い所なんです。

主要諸元
全長/幅/高 2215/860/1185mm
シート高 不明
車軸距離 1475mm
車体重量 244kg(装)
燃料消費率 不明
燃料容量 17L
エンジン 空冷4サイクルSOHC2バルブ並列4気筒
総排気量 736cc
最高出力 67ps/8500rpm
最高トルク 6.1kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後4.00H18-4PR
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル 不明
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
不明
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ630|リンク90
車体価格 498,000円(税別)
※スペックはCB750FOUR-II-
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

ドリームCB750FOUR -since 1969-

CB750FOUR K0

「The 750 Four.」

まだ二気筒650ccが最大級のビッグバイクだった時代に四気筒736ccというエンジンを引き下げて登場したCB750FOUR。

それはそれは誰もが度肝を抜かれました。

『ナナハン』

という言葉を生み出した元祖のバイクでもあります。

これは元々ホンダ社内での呼称。CB750FOURはホンダにとっては起死回生の一打となりうる秘蔵のプロジェクトだったため

「ホンダが750を作ろうとしている」

っていうのがバレないようにナナハンと言っていたわけです。

K0カタログ

「何が起死回生なの」

って話ですが、キッカケは北米市場にあります。

ホンダは当時、北米向けにフラッグシップとしてCB450(二気筒444cc)を発売していました。

CB450

444ccながらボンネビルT120R(二気筒649cc)などの上のクラスより速いライトウェイトスポーツです。

しかしそんな性能とは裏腹に北米では人気が伸びなかった。

何故なのか調べたらアメリカは

「デカいことが正義」

だったからです。

そこで立ち上がったのがナナハン計画。

CB750FOURカタログ

原田義郎さんが開発責任者となり開発がスタート。

しかし最初に言ったようにこの頃というのは二気筒650ccが最大排気量だったから社員も

「本当に直列4気筒の市販車なんて造れるのか・・・」

と半信半疑だったそう。

ちなみに四気筒750にした理由は北米で人気だった名門トライアンフが三気筒750cc(トライデント)を開発中という情報が入ったから。

CB750FOUR壁紙

ただ幸いにもホンダは既にマン島TTレースで多気筒のノウハウは持っていたのでエンジン自体は問題なく完成し、ブレーキもエンジンに合わせて量販車初の強力なディスクブレーキに。

しかしいざ形にして走らせてみるとチェーンが耐えきれず切れたり、タイヤが耐えきれずバーストを起こす問題が出た。

CB750FOURメーター

要するにエンジンに消耗品などが追いついていなかったんですね。

そのためパワーを少し落とし、チェーンには自動給油システムを搭載。

更にタイヤもCB750FOUR専用タイヤをダンロップがわざわざ造ることで何とか解決した歴史があります。

そんなこんなで発売にこぎつけたCB750FOURですが・・・そりゃもう大反響。

ナナハンフォア

それまで一部のレーサーだけだった四気筒のバイクが買えて公道で乗れるわけですから当たり前な話。

ただしCB750FOURが世界的な反響を生み大ヒットとなったのには、もう一つ要素があります・・・それはレース。

ホンダはCB750FOURは発売を前後してレースにも出場しているんです。

狙いはもちろん

AHM CB750FOUR

『CB750FOURが如何に凄いか』

をアピールするため。

参戦結果がどうだったのかというと

・日本の鈴鹿10耐(八耐の前身)

・フランスのルマン耐久

・アメリカのデイトナ200

日欧米全てのメジャーレースで優勝。

圧倒的な速さ、そして圧倒的な信頼性をレースで証明したんです。

CB750レーサー

「ホンダがとんでもないバイクを造った」

と業界も市場もレース界も大騒ぎ。

もちろんいま紹介したように市販車の段階ですら消耗品が持たない問題が数多くあったのに、更にチューニングしてレースをやったんだから問題が更に顕著化していました。

輝かしい成績の裏では綱渡り状態でアレやコレやと耐久性の問題から悲鳴を上げるバイクを何とか誤魔化しながら走らせていた苦労があります。

そんな苦労したかいあってメジャータイトルを総ナメしたCB750FOURですが、その反響はホンダの想像を上回るものでした。

CB750FOURカタログ

初年度の注文時点で生産が追いつかない状態になったんです。

というのも実はこの頃のホンダというのは車の方に力(予算)を入れており、バイクの方は設備投資があまりされていなかった。

だからこう見えてCB750FOURは必要最低限の生産設備で造られていた・・・だから生産がパンクした。

中でも問題となったのがクランクケースで、当初は一つ造る度に型を壊して取り出す砂型という製法でクランクケースを造っていました。

しかし全く生産が追いつかないとして大量生産が可能な金型に変更され、カブ工場こと鈴鹿製作所に生産を移転し生産設備を増強。

CB750FOURスペックシート

この大きめのサイドカバーと専用エンブレムが付いたのが砂型の初期モデル(通称K0)で、今では超プレミア価格なCBマニアなら垂涎モノ。

そんなCB750FOURですが、初めて完成車を見た本田宗一郎の第一声は

「こんなの誰が乗るんだ」

だったそう。

CB750FOURポスター

本人も開発中はノリノリで色々と口を出してきたのにそれでも完成車を前に度肝を抜かれてしまったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2160/885/1120mm
シート高 不明
車軸距離 1455mm
車体重量 244kg(装)
燃料消費率 不明
燃料容量 19L
エンジン 空冷4サイクルSOHC2バルブ並列4気筒
総排気量 736cc
最高出力 67ps/8000rpm
最高トルク 6.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後4.00H18-4PR
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル 不明
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
不明
スプロケ 不明
チェーン 不明
車体価格 385,000円(税別)
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

CB1000R(SC80)-since 2018-

CB1000R SC80

「NEO SPORTS CAFE」

Rモデルとして紹介したCB1000Rの二代目となるSC80型。

皆さんご存知なよう、このモデルからは国産に戻され正規販売(グローバルモデル)となりました。

先代CB1000R/SC60のエンジンをベースに鍛造ピストン化と高圧縮化、さらにスロットルボディの大径化により145馬力までアップ。

SC80E

他にも見た目は勿論、サイドドラフト化や軽量化など大幅な改良をした為、RRのお下がりエンジンというよりもはやCB1000R専用エンジンに。

そこに最新の電子制御デバイスである

・ABS

・スロットルバイワイヤ

・走行モード切替

・トラクションコントロール

・スリッパークラッチ

・クイックシフター

などを装備。

CB1000Rリア

見た目の方も先代のストファイ路線から180度変わり、いま最も熱いネオレトロ系になりました。

・フルLED灯火

・フランジ(継ぎ手)レスタンク

・ヘアライン加工のアルミシュラウド

・バフ加工されたホイールハブ

・大型液晶メーター

などで質感も十二分。なにげにグリップヒーターまで付いています。

これだけ専用設計だらけで質感も拘ったらそりゃ163万円にもなるよって話。

キャンディクロモスフィアレッド

ちなみに上の写真は更にアルミフェンダーやシングルシートカウル、メーターバイザーを装備した海外向け限定のCB1000R+というモデル。

CB1000Rはお金を掛けただけあり、質感とデザイン性の高さが大きく話題になっています・・・が、言いたいことがあります。

CB1000Rコンセプトスケッチ

「見た目に惑わされるな」

という事です。

冷静になって考えてみてください。

このCB1000R/SC80は馬力が145馬力もある。これは一昔前のFireBladeを始めとするスーパースポーツ並の馬力です。

そして重要なのはそれを支えている更に軽く細くなった骨格。

2018CB1000R

先代SC60と同じデザイン性や足つき性に優れるスリムなバックボーンフレームながら、材質をアルミからスチールに変更した新設計品になりました。

そしてリアサスペンションも先代で解説した通り、奥で踏ん張るリンク式ではなくダイレクト主義のリンクレス。

CB1000Rディメンション

簡単な話CB1000Rは145馬力を使って速く走らせるような骨格ではない。

先代のコンセプト

「ストリートで最高に楽しめるスーパースポーツネイキッド」

を更にHOTにした形です。

ホンダらしからぬ思い切りの良さですが、これは電子スロットルを始めとした電子制御で誰でも乗れるよう調教出来たから成せた事でしょうね。

キャンディクロモスフィアレッド

CBR1000RRで味わえる高揚感を普段使いのストリートで味わえるCB1000R。

そんな公式の狙いが現れているのが、この145馬力エンジンの為ではなく乗り手の為にある骨格という話。

一言で表すなら

2018CB1000R

「サーキットへの未練を完全に断ち切ったネオレトロ系ストリートファイター」

それがCB1000R/SC80型です。

主要諸元
全長/幅/高 2120/790/1090mm
シート高 830mm
車軸距離 1455mm
車体重量 212kg(装)
燃料消費率 16.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/10500rpm
最高トルク 10.6kgf-m/8250rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9E-9HES
または
VUH27ES
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,519,000円(税別)
系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

CBF1000F/A/GT(SC64)-since 2010-

CBF1000F/SC64

「Real-world thrills」

CBF1000の後継にあたるCBF1000F/SC64型。

CBR1000RR/SC57型をそのままハーフカウルにしたようなデザインになりました。

構造的なものは基本的に先代からキャリーオーバーしているものの、エンジンを少し高回転寄りにし107馬力となり、車重もフレームを始めとした各部の見直しとマフラーの一本化で5kg減。

CBF1000F

要するにスポーツ性が少しアップしたわけですが、とはいうもののCBF1000はあくまでもオールラウンダーRRなので最大の狙いと改良点は

・燃費の改善

・タンク容量1Lアップ(20L化)

・前後連動C-ABS(Aのみ)

・ジェネレーターの改良

など更に使い勝手を向上させた事。

CBF1000F GT

もちろん例に漏れずフルパニアのGTモデルも登場。

ただ排ガス規制EURO4に対応していなかった事から2017年モデルをもって生産終了となりました。

最後に・・・とある欧州ジャーナリストのCBF1000Fに対する評価を書いて〆とします。

CBF1000Fカタログ写真

「CBF1000FはFirebladeの様に身を焦がすほどの炎は纏っていない。そのかわり貴方のバイク人生の95%を明るく照らしてくれる炎を纏っている。」

向こうの人は上手いこと言うもんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2156/781/1138mm
シート高 795mm(±15mm)
車軸距離 1480mm
車体重量 242kg(装)
燃料消費率 不明
燃料容量 20L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 107ps/8000rpm
最高トルク 9.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
または
U24FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格

1,360,000円(税込)
※日本未発売
※価格はパッセージより

系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

CB1000R(SC60)-since 2008-

CB1000R/SC60

「PURE POWER,PURE PERFORMANCE」

先に紹介した欧州のキングオブCBことCBF1000のRバージョンになるCB1000R/SC60型。

Fよりピークパワーを重視した125馬力を発生させる正にFとRRの中間のようなエンジンを、CB600F HORNETのアルミバックボーンフレームに突っ込んだモデル。

CB1000Rフレーム

だから外見も中身もまんま欧州ホーネットなんだけど、何故かHORNETという名前は付きません。

CB1000Rフレーム

あくまでもキングオブCBのRモデルという事なんでしょうね。

そんなCB1000Rで面白いのがコレ。

CB1000Rフレーム

嫌らしいほど見せつけてるプロアームと手裏剣ホイール・・・じゃないですよ。

いやまあ確かにこれがSC60の最大の特徴なんだけど、それより注目してほしいのはリアサスペンションです。

CB1000Rフレームと言っても見えないので説明すると、このCB1000Rは俗に言うストリートファイター系ながらスイングアームとフレームを直接繋ぐリンクレスのダイレクトマウントになっている。

CB1000Rフレーム

これがリンクなんですが、これの狙いはテコの原理を応用したもので簡単に言うと奥で踏ん張るストロークにする狙いがあります。

サスペンションのストローク

オフロードから生まれた画期的な構造でスポーツバイクでは必須とも言える装備。だからCBF1000にも付いています。

しかしそれがCBF1000よりスポーツ寄りなCB1000Rではオミットされている。

何故か・・・それはCB1000Rの主戦場がストリートだからです。

サスペンションのダイレクト感

確かにリンク式にすると奥で踏ん張るサスにはなるけど、代わりに下の方ではあまりストロークせず、スイングアームの動きに対しズレが生じダイレクト感が損なわれてしまう。

これを嫌って”敢えて”ダイレクトマウントにしてあるんです。

CB1000R/SC60パンフレット

これはバネ下重量の軽減というメリットもあります。

これのおかげでCB1000R/SC60型はストリートを楽しめるハンドリングを持つバイクとして非常に高く評価されました。

主要諸元
全長/幅/高 2105/805/1095mm
シート高 828mm
車軸距離 1445mm
車体重量 217kg(乾)
燃料消費率 18.3km/L
※定地走行燃費
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 125ps/10000rpm
最高トルク 10.1kg-m/7750rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/50ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9E-9HES
または
VUH27ES
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,519,000円(税別)
系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)
系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

CBF1000/A/GT(SC58)-since 2006-

CBF1000/SC58

「Sports Winner Every Time」

見た目こそホーネットとは大きく違うものの、基本コンセプトは通じているCBF1000のSC58型。

というのも、このバイクもホーネットと同じ様にスーパースポーツであるCBR1000RR/SC57型のエンジンを低速寄りに再セッティングし、スリムなバックボーンフレームに搭載したバイクだから。

CBF1000リア

ただ大きなフェアリングや、可変式スクリーン、落ち着いた二本出しマフラーなどを見ても分かる通り、長距離も熟せるツアラー要素が強く含まれています。

目に見えない部分としてはシート高を795mmから±15mmの変更が効く三段階の可変式な事と、何を積んでも大丈夫なよう屈強なシートフレーム。

CBF1000前期

しかし悲しかな、恐らくこのCBF1000を知っている人は少ない。せっかく知ってるのにCB1000Fと車名を間違えて覚えている人もいる始末。

この理由の一つは

『Honda Italia Industriale S.p.A.』

要するにイタリア製造(正確に言うとイタリア組立)のバイクで、日本には正規販売されなかったという事があります。

CBF1000壁紙

一応ホンダの逆輸入車を取り扱うパッセージが販売していたので手に入らなかったわけではないんですけどね。

では何故これほど知名度がないかと言えば

「日本人には理解出来ないから」

でしょう。

CBF1000各部

せっかくのSSエンジンなのに中低速重視のチューニングに、ステータス性も特に無い足回り。リアタイヤなんて160というリッターにあるまじき細さ。

「これ買うくらいならCB1300買うよ」

って人が圧倒的でしょう。

CBF1000カタログ写真

じゃあコレ何処の人がこれを買っているのかと言えば欧州の人で、公式のメインターゲットは欧州の30代以降のライダー。

恐らく他のページでも言っていますが、欧州人はビッグバイクを当たり前のように日常の足から週末のレジャーまでマルチに使う文化があります。

そうなった時にこの中低速重視で街乗りでも扱いやすく、かつ長距離クルージングも難なく熟せるCBF1000は非常に魅力的に映るわけです。

だから正確に言うとCBF1000は日本で理解されないバイクというよりも

「欧州人にしか理解出来ない」

と言った方が正しいですね。

向こうの人がCB1300を見たら、巨漢な上に二本サスだから

「これ買うくらいならCBF1000買うよ」

という人が圧倒的に多い。

ホンダCBF1000

これはどちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではなく、文化の違い。

要するに日本のキングオブCBがCB1300なら、このCBF1000は欧州のキングオブCBというわけです。一応向こうでもCB1300SB(欧州名CB1300S)を売ってるんですけどね。

その文化の違いが分かりやすく現れているのがボックスを標準装備したCBF1000GTというグレード。

CBF1000GT

「ボックス装備=カッコ悪い」

という風潮がある日本では考えられないグレードである一方、向こうでは当たり前なグレード。

主要諸元
全長/幅/高 2155/780/1240mm
シート高 795mm(±15mm)
車軸距離 1480mm
車体重量 250kg(装)
燃料消費率 不明
燃料容量 19L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 98ps/8000rpm
最高トルク 9.5kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
または
U24FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格

1,470,000円(税込)
※日本未発売
※価格はパッセージより

系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

CB900 HORNET(SC48)-since 2003-

ホーネット900/SC48

「Naked Innovation」

250でお馴染みホーネットシリーズの長男坊であるCB900 HORNETのSC48型。

250や600と同じバックボーンフレームにCBR900RRの最終型であるSC33のエンジンを積んだモデル。

パワーカーブ

といってもエンジンヘッドもホーネット900専用となっている上にFI化されたもので、潔いほどピークパワーを捨て中低速に振ってあります。

いくら元がコンパクトなエンジンといえ排気量が排気量なだけに、ホーネットシリーズとしてはエンジンの存在感が強烈。

ホンダHORNET900

600よりもフレームは厚みやサスペンション口径を上げてあるんですが、このエンジンを無理矢理突っ込んでる感がまた良いですね。

ただまあそんな御託よりも900最大の魅力と言えばなんといってもシリーズとして唯一の二本出しである事でしょう。

ホーネット900のフレーム

デュアルショットガンサイレンサーという少し時代を感じさせるネーミングですが、900のみ許された装備。

非常にカッコ良いワケですが、これデザインだけではなく中低速での排気の図太さを音でもアピールする狙いも込められているんです。

ホーネット900のフレーム

それにしても

・ビッグバイクのエッセンスを持った250

・絶妙なエッセンスを持った600

・250のエッセンスを持った900

ホーネットシリーズ

ホーネットシリーズって本当に良く出来てるというか、綺麗にクラスを跨いだ数少ないバイクですね。

ちなみにホーネット900は欧州が主要ターゲットだったんですが『HONDA 919』という名で2007年まで北米でも発売されていました。

そして意外な事にジャパニーズネイキッドがあまり人気とは言えない地域なのに好評だった。

CB919

理由は色々あると思います。

北米の人には気軽なサイズとパワーだろうし、開発において重要視された下から湧き出す図太いトルクフィールが良かったのもあるでしょう。

HORNET900カタログ写真

でもやっぱり一番の理由は日本と同じ様に、オールドルックな中でひと際目を引くアグレッシブにカチ上がった二本出しマフラーかと。

主要諸元
全長/幅/高 2125/750/1085mm
シート高 795mm
車軸距離 1450mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行燃費
燃料容量 19L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 918cc
最高出力 88ps/9000rpm
最高トルク 8.6kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.4L
交換時3.5L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 820,000円(税別)
系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)