CB250シリーズ(CB250) -since 1962-

CB250

REBELの系譜と追っていくと最初期(二番目)のCBであるCB72にまで遡ることができるんですが、あまりにもREBELとかけ離れてるので旧REBEL(MC16)につながるモデルを触りだけ紹介させてもらいます・・・。

CB72

というのもCB72はホンダの源流でありホンダが大事にしてきたOHC空冷二気筒エンジンなので、掘り下げるとバリーエーションや後継が本当に星の数ほどあるんです。すいません。

CB250カタログ

そんな中で最初に紹介するのはCB72の後継として登場したドリームCB250というバイク。

CB250
(CB250)
-since 1968-

CB250Catalog

マン島レースで世界に示した並列二気筒エンジンの流れを汲んでます。いま見るとオシャレなクラシックに見えるけど、当時としては250のフラッグシップモデル。

そこから1970年に細部のデザインをCB750FOURに近づけたデラックス版、1972年にはフロントディスクブレーキを採用した豪華バージョンとなるCB250セニアなどが追加。

CB250セニア

「CB750FOUR(38万円)は絶対無理だけど250T(18万円)なら頑張れば買える」

という感じでCB250は若者に非常に人気でした。

「なんで750と250を比べてるのか」

と思われるかもしれませんが、当時の二輪免許というのは今の普通・大型ではなく、自動二輪免許だけだったから。

当時の二輪免許

ヘルメット義務化もまだ先の時代です。

話をCB250に戻すと・・・1973年にはエンジンを再設計&六速ミッションを採用し両モデルを一本化したCB250Tが出ました。

CB250T
(CB250T)
-since 1973-

CB250t

フル装備のCB250だったのですが、この頃になると2stのほうが軽くて速いという認識が広まりだしセールス面で苦戦。

そこでさらなるスポーツモデルとして打ち出されたのがHAWKというペットネームが与えられたホークシリーズ。

HAWK CB250T
(250T)
-since 1977-

CB250Catalog

強制開閉式CV型キャブに3バルブの超ショートストロークエンジン。

ただ400ベースだった事と4stでは分が悪かったので思うようなセールスを残せず。競争が激化していったため伝統の空冷二気筒は別の道に進むようになります。

主要諸元
全長/幅/高 2090/775/1075mm
シート高
車軸距離
車体重量 164kg(装)
燃料消費率 45.0m/L
※定地走行テスト値
燃料容量
エンジン 空冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 249cc
最高出力 27ps/10000rpm
最高トルク 2.0kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18-4PR
後3.25-18-4PR
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格 189,000円(税別)
※スペックはCB250エクスポート
系譜図
CB2501968年
CB250シリーズ
(CB250)
MC041980年
CM250T
(MC04)
MC061981年
250T Master/LA Custom
(MC06/MC07)
MC131985年
REBEL
(MC13)
MC261991年
NIGHT HAWK250
(MC26)
MC492017年
REBEL250
(MC49)

PCX/e:HEV/160(JK05/JK06/KF47)-since 2020-

PCX JK05

「Personal Comfort Saloonとしての更なる進化」

わずか三年ほどでフルモデルチェンジされ早くも五代目となったPCX/JK05とe:HEV/JK06とPCX160/KF47。

最初に変更点をあげると

・4バルブの新型エンジンesp+を搭載
・スロットルボディ径をΦ26から28へ拡大
・吸/排気系を新設計
・上記改良によりにより0.27馬力UP
・プーリーサイズの拡大およびクラッチ形状の見直し
・ヘッドパイプの剛性を高めつつ760g軽量化した新設計フレーム
・ハンドルをラバーマウント化
・リアのディスクブレーキ化とABSを標準化
・トラクションコントロールシステムの搭載
・ラゲッジボックスを2.4L拡大し30.4Lへ
・グローブボックスに3AのUSB Type-Cソケット
・前後タイヤサイズをアップ&リアを13インチにダウン
・リアアスクルのストローク量を10mm増加
・ABSを標準化しコンビブレーキは廃止
・全体的なデザインの刷新
・反転型デジタル液晶メーター

JK06

以下PCX e:HEV/JK06
・名称をHYBRIDからe:HEVに変更
・ラゲッジボックスを23.0Lから24.0Lへ拡大

KF47

以下PCX160/KF47
・排気量を7cc上げて156cc/15.8馬力に

などとなっています。

このモデル最大の特徴としてはまず何と言っても新型エンジンeps+かと。

esp+エンジン

ボア径を大きくして面積を広げて4バルブ化した形で、ピストン裏にオイルを噴射して冷却効率を上げる事で圧縮比も向上。

125:ボアΦ52.4,mm→53.5mm、ストローク57.9→55.5mm、圧縮比11.0→11.5

160:ボアΦ57.3,mm→60.0mm、ストローク57.9→55.5mm、圧縮比10.6→12.0

この改良の狙いは単純に出力を稼ぐためではなく、燃費と出力それに静粛性など全てを向上させるのが狙い。

esp+ピストン

そのためにクランク新造とクランクベアリングをボールベアリングからローラーベアリングに変更する事で高剛性化。さらにカムチェーンテンショナーも追従性に優れる油圧式に変更するなどして騒音や振動を低減させる改良が加えられています。

その意匠は車体の方にも現れていて、分かりやすいのがステム周り。

ステム周り

不快な振動を抑えるためにハンドルホルダーがラバーマウントに変更されました。しかしラバーマウントにはハンドリングのダイレクト感が少し損なわれてしまうデメリットもある。そこでPCXはその分メインフレームのヘッドパイプの剛性を上げる改良を加えて捻じれを抑える事でダイレクト感を損なわないようにしている。

ホイールもインチダウンさせてリアのストローク量を稼ぐことで底付きを防ぎつつ、減ったエアボリュームによる乗り心地の悪化はワイドタイヤにすることでクリアしている。

JK05

この様にとにかくネガな部分を潰して全性能、コンフォートサルーン性能を向上させる改良がアチコチに見て取れるのが五代目PCXというわけです。

しかしながら

「いくら何でもモデルチェンジ早すぎるのでは」

とも感じてる人も多いかと。先代から3年弱しか経ってないんですから。

コンセプトデザイン

これについてはどうもアジア(特にインドネシア等)の方で、永遠のライバルが出したブルーコアエンジンのモデルの攻勢が凄くて、熾烈な争いが起こっているんだとか。当たり前のように半年納車待ちとかなってる日本からすると信じられない話ですね。

以下ちょっと余計な余談ですが、車やバイクのキャッチコピーで

「クラスを超越」

なんて表現が使われているのをよく目にしますが、このPCXは本当にその言葉がピッタリなモデルだなと思います。

というのもPCXは当然ながらコミューターと呼ばれるクラスなんですが、これをコミューターとして使うにはそれなりの覚悟が必要になるから。

KF47アクセサリー

PCXはいま説明してきた通り、フルスペックという言葉ですら足りないほどの性能に加え、見て分かる通り非常に高く洗練されているデザインと質感を兼ね備えているから、狭いところを走って擦ってしまう事はもちろん、雑に乗ろうとして外装を蹴ってしまった時の精神的ダメージは他のコミューターの追随を許さないほどのモノがある。

ついでに言うなら盗難の心配もする必要がある。

JK05

だからコミューターつまり下駄として使うにはそれなりの勇気と覚悟が必要というのはそういう事からなのですが、どうしてそんなネガな事を言うのかといえば、それこそがクラスを超越している証だから。

そんな気遣いをしてしまうというのは、言い換えればそれだけ所有欲を満たしてくれるとも言える。メットイン機能付きの小型コミューターでそうなってしまうモデルなんてそうそう無い。

JK05メーター周り

ただ、クラスを超越していると思う根拠はそんな見た目だけではなく運転している時の感覚もそう。

PCXは決して大きくはないのだけど小さくもない車体とフロント14インチと整ったエアロダイナミクスによって、操安性がクラスにあるまじき高さを持っており、さらに150や160は当然のことながら125でも超低燃費エンジンとは思えないほどパワフルに走る。

JK05サイド

加えてステップスルーではなく跨って乗るタイプだから、運転すると少し大きい原二スクーターというよりも

『小さいビッグスクーター』

という表現が適切のような感覚を覚える。

だから普通ならちょっとキツいと感じたり、止めておこうと考える距離でも楽に走れてしまうモノを持っており、休日もこれで済ませてしまう恐れすらある。

JK05カタログ写真

パーソナルコンフォートサルーンというコンセプトは伊達じゃない。

PCXがクラスを超越していると思える理由でした・・・例えるなら上のクラスを食っちゃうバイク版N-BOXですかね。

【関連車種】

LEADの系譜CYGNUSの系譜TRICITYの系譜Addressの系譜

主要諸元
全長/幅/高 1935/740/1105mm
シート高 764mm
車軸距離 1315mm
車体重量 132kg(装)
{136kg(装)}
[132kg(装)]
燃料消費率 47.4km/L
[51.2km/L]
[45.2km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 8.1L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
[156cc]
最高出力 12.5ps/8750rpm
+{1.9ps/3000rpm}
[15.8ps/8500rpm]
最高トルク 1.2kg-m/6500rpm
+{0.44kg-m/3000rpm}
[1.5kg-m/8500rpm]
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前110/70-14(50P)
後130/70-13(63P)
バッテリー GTZ8V
{GTZ6V}
[WTZ8VIS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8L-9
推奨オイル
(トランスミッション含む)
Honda純正ウルトラE1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
トランスミッションオイル容量 全容量0.14L
交換時0.12L
Vベルト 23100-K1Y-J11
[23100-K1Z-J11]
車体価格 357,000円(税別)
{448,800円(税別)}
[407,000円(税別)]
※{}内はe:HEV(JK06)
※[]内はPCX160(KF47)
系譜図
2010年
PCX
(JF28)
1502012年
PCX/150
(JF28後期/KF12)
20142014年
PCX/150
(JF56/KF18)
20182018年
PCX/HYBRID/150
(JF81/JF84/KF30)
20202020年
PCX/e:HEV/160
(JK05/JK06/KF47)

PCX/HYBRID/150(JF81/JF84/KF30)-since 2018-

PCX JF81

「Personal Comfort Saloon」

三代目となったPCXもコンセプトは変わらず・・・ながらコレまた大きく変わった部分があります。

PCXコンセプトスケッチ

デザインじゃないですよ・・・確かに更に四眼みたいなヘッドライトのインパクトは凄いですが。

何が大きく変わったのかというとフレームです。

PCXのフレーム

従来モデルはコレで一般的なスクーターと同じアンダーボーンフレームだったんですが、このモデルからフォルツァに近いダブルクレードルフレームに。

2018年型PCXのフレーム

アンダーボーンタイプの一般的な原二に乗ってる人は分かると思うのですが、アンダーボーン(ましてエンジンがラバーマウントのスクーター)というのはどうしても剛性が低くなりがちで、スピードを上げたりフロントブレーキを強く掛けたりするとフレームが負ける事が多々ある。

今回それがダブルクレードルフレームによる剛性アップで大きく改善されたというわけ。

リアサス

これに合わせてリアサスもマウント位置やバネレートを始めとした見直しが入り、ストローク量15mmアップで突き上げを軽減しています。

ついでにタイヤも100/80R14と120/70R14と一回りワイドなりました。細いのが嫌だと言っていた人もコレでイチコロですね。

パワーカーブ

エンジンの方もスロットルボディの大径化を始めとした給排気系、ラジエーター周りの新設計で冷却系などの変更し、上が伸びる様になっています。

キーレス

まあ一番ありがたいの変更はキーレスですけどね。

ただ恐らく皆が一番注目しているのはHYBRIDモデルの方じゃないかと。

PCXハイブリット

これね・・・実は最初のPCX/JF28が出た時にも言われていたんですよ。

初代モデルで説明しましたが、PCXはセルモーターがなくジェネレーターがモーターを兼ねるACGになっています。

要するに回って発電はもちろん、電力でクランクを回す事も出来るわけです・・・という事は

ハイブリットシステム

「余分な電力を蓄えるバッテリーを設ければHYBRIDになるのでは」

って話になりますよね。

このツッコミに対し、当時は

「費用対効果が・・・」

という旨の返答をされていました。

それから10年弱・・・ハイブリット普及でコストが下がった為かPCXから始まった高級125普及の為か分かりませんが、遂に登場となったわけです。

マイルド

ちなみに電気の力だけで走るのではなく発進時や加速時に最大3秒間トルクをアシストする形。

いわゆるマイルドハイブリッドってやつです。

まあただ率直に言うと費用対効果があるかというと微妙なラインで、受注生産扱いなのを見てもホンダも数が出るとは思っていないようです。

そもそもPCXってアシストが必要になるほど遅くないどころか125ではかなり速い方ですからね。

2018年式PCX

じゃあどういう人にHYBRIDがオススメかと言えばシグナルGPで絶対に負けたくない人。

同じPCXのガソリンモデルを含む有象無象な125はもちろん、250ビッグスクーターにすら勝てる加速を持っているわけですから。

最後にちょっと小ネタ。

恐らく歴代PCXユーザーの多くが抱えているであろう疑問・・・それはホーンとウィンカーの位置。

2018年式PCX

PCXは通常ならばウィンカーがある位置にホーンがデカデカとあってウィンカーはその下にあります。

「明らかに逆だろう」

と思うんですが、実はそう思ってるのは日本だけ。海外(特にアジア)ではホーンを活用するのでとっても好評。

文化や国民性の違いというやつですね。ちなみにリードやディオも同じです。

主要諸元
全長/幅/高 1925/745/1105mm
シート高 764mm
車軸距離 1315mm
車体重量 130kg(装)
{135kg(装)}
[131kg(装)]
燃料消費率 50.7km/L
[51.9km/L]
[46.0km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 8.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
[149cc]
最高出力 12ps/8500rpm
+{1.9ps/3000rpm}
[15ps/8500rpm]
最高トルク 1.2kg-m/5000rpm
+{0.44kg-m/3000rpm}
[1.4kg-m/6500rpm]
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前100/80-14(48P)
後120/70-14(55P)
バッテリー GTZ8V
{GTZ6V}
[GTZ8V]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8K-9
推奨オイル
(トランスミッション含む)
Honda純正ウルトラE1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
トランスミッションオイル容量 全容量0.14L
交換時0.12L
Vベルト 23100-K96-V01
[23100-K97-T01]
車体価格 317,000円(税別)
{346,000円(税別)}
[366,000円(税別)]
※{}内はHYBRID(JF84)
※[]内はPCX150(KF30)
系譜図
2010年
PCX
(JF28)
1502012年
PCX/150
(JF28後期/KF12)
20142014年
PCX/150
(JF56/KF18)
20182018年
PCX/HYBRID/150
(JF81/JF84/KF30)
20202020年
PCX/e:HEV/160
(JK05/JK06/KF47)

PCX/PCX150(JF56/KF18)-since 2014-

2014PCX150

「Personal Comfort Saloon」

キープコンセプトとなった二代目のPCX/JF56型とPCX150/KF18型。

このモデルチェンジはホンダのグローバル車用工場の新造が関係しています。

ホンダはもともと日本向けや北米向けPCXはタイで作っていました。しかし新たに出来たベトナム工場へ移管する事になったんです。

ベトナム工場

スクーター等のコミューターモデルはベトナム工場(Boon Siew Honda)で、グロムやCBR250R等のスポーツバイクはタイ工場(Thai Honda Manufacturing)で生産・・・という分担を行ったわけです。

これは簡単に言うとタイの技術/設備レベルが上がってきたからタイにはもう少し難しいスポーツバイクを造らせようって話。

と言ってもタイでも引き続きPCXは生産されていますし、さらに言うとマレーシアやイタリアなんかでも造られています。

ホンダマレーシア工場

知らない人はビックリするかもしれませんが、PCXは普通に欧州(特にイタリア)でもヒットしてるんですよ。

ただ実は欧州ではPCXを押しのける程の人気なホンダの125スクーターがあります。しかもそれは日本でも販売された事があるモデル。

ホンダSHモード

Sh mode(Shシリーズ)です。

これがピアジオとヤマハの牙城を崩すほどの大ヒット。恐らく16インチが石畳や荒れた路面での使い勝手の良さがハートを掴んだものと思われます。

日本では考えられないですね。

話が反れましたスイマセン。

話をPCXに戻して・・・何が変わったのかという事ですよね。

2014PCXカタログ

外見が新しくなったと共に灯火系をフルLED化という125には贅沢すぎる装備。

売れれば売れただけお金が掛けられるという典型ですね。まあPCXの場合はACGスターターなので電力にシビアなのもあるんでしょうけど。

あと地味ですがエンジンもグローバル仕様になりました。

プーリーケース

先代までは日本向けは日本独自仕様。

これは非常に厳しい騒音規制が問題で、そのために専用のプーリーやトルクカムで回避していました。それが無くなったわけです。

あと挙げるとするならタンク容量が一気に2.1L上がって8Lになり、航続距離が400kmを突破。

PCX

3万円ほど値段が上がったにも関わらず相変わらず人気であっという間に125界No.1になったPCX。

まあ速いし燃費良いし質感高いから当然ですかね。

LEDライト

でもやっぱり一番はLEDライトですよね。本当に嫌らしいくらい明るい。

PCXの登場で

「原付二種はライトが暗くて当たり前」

なんて言われなくなりましたね。

主要諸元
全長/幅/高 1930/740/1100mm
シート高 760mm
車軸距離 1315mm
車体重量 130kg(装)
[131kg(装)]
燃料消費率 50.6km/L
[45.6km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 8.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
[152cc]
最高出力 12ps/8500rpm
[14ps/8500rpm]
最高トルク 1.2kg-m/5000rpm
[1.4kg-m/5000rpm]
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前90/90-14(46P)
後100/90-14(51P)
バッテリー GTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
[CPR7EA-9]
推奨オイル
(トランスミッション含む)
Honda純正ウルトラE1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
トランスミッションオイル容量 全容量0.14L
交換時0.12L
Vベルト 23100-K35-V01
[23100-K36-J01]
車体価格 305,000円(税別)
[334,000円(税別)]
※[]内はPCX150(KF18)
系譜図
2010年
PCX
(JF28)
1502012年
PCX/150
(JF28後期/KF12)
20142014年
PCX/150
(JF56/KF18)
20182018年
PCX/HYBRID/150
(JF81/JF84/KF30)
20202020年
PCX/e:HEV/160
(JK05/JK06/KF47)

PCX/150(JF28後期/KF12)-since 2012-

PCX150

「ゆとりと上質を愉しむ日常へ。」

二代目というより年次改良されたJF28の後期モデルと、合わせて追加販売された152ccのPCX150。

一番の変更点はホンダの次世代小型スクーター用低燃費エンジンであるeSP

enhanced:強化された

Smart:洗練された、精密で高感度な

Power:動力、エンジン

になった事。

eSPエンジン

具体的にどう変わったのかというと

・ローラーロッカーアーム

・オフセットシリンダー

この二点があげられます。

ローラーロッカーアームについては『CBR250Rの系譜』で話したのでそちらを読んでもらうとして、主流になりつつあるオフセットシリンダーについて。

オフセットシリンダーというのは文字通りシリンダーがオフセットされているエンジンの事。

オフセットシリンダー

これ何のためにしてるのかっていうと、もちろんローラーロッカーアーム同様フリクションロスのため。

簡単に話すと、燃焼/膨張によって真下に下がろうとするピストンに対してコンロッドは回ろうとするので角度差が生まれる。

するとコンロッドから角度のついた反力が生まれ、ピストンをシリンダー側面に押し付けるような力が働くわけです。もちろんフリクションロスです。

オフセットシリンダー2

そこでシリンダーをオフセットすることでコンロッドとの角度差を無くし、横方向へ力が働かないようにしてフリクションロスを減らすというわけ。

このオフセットシリンダー最近では車の方でも採用が増えている様ですね。

espメカニズム

もちろんその他もろもろフリクションロス低減の改良があちこちに。

まあ53.2km/Lと先代から0.2km/Lしか伸びていないんですけどね。

正直エンジン型式も変わってないので先代もeSPで仕切り直しなのでは・・・というのも、どうもホンダは最初PCXが国内でここまでヒットするとは思ってなかったような感じ。

初代の頃の年間販売計画台数は8,000台と一般的な125よりちょっと少ないくらいでした。対して細部の改良で見た目がほぼ変わっていないこの後期モデルからは19,000台と倍以上に。

PCX150

更には欧州向けがメインだったはずの150も追加。

日本は125ccまでが原付二種で維持費も安いので125がメインなわけでネットじゃ

「150ccなんて誰が買うんだ・・・」

なんて言われていたんですが、税制なんてどこ吹く風で毎年5000台強を売り上げるほどの人気に。

PCXカタログ

昨今の原付二種ブーム、そしてオーバー125クラスの需要を生んだのは間違いなくこのPCXでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 1915/740/1090mm
シート高 760mm
車軸距離 1315mm
車体重量 128kg(装)
[129kg(装)]
燃料消費率 53.2km/L
[49.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 5.9L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
[152cc]
最高出力 12ps/8500rpm
[13ps/8500rpm]
最高トルク 1.2kg-m/6500rpm
[1.4kg-m/5500rpm]
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前90/90-14(46P)
後100/90-14(51P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
[CPR7EA-9]
推奨オイル
(トランスミッション含む)
Honda純正ウルトラE1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
トランスミッションオイル容量 全容量0.14L
交換時0.12L
Vベルト 23100-KWN-901
[23100-KZY-701]
車体価格 285,000円(税別)
[314,000円(税別)]
※[]内はPCX150(KF12)
系譜図
2010年
PCX
(JF28)
1502012年
PCX/150
(JF28後期/KF12)
20142014年
PCX/150
(JF56/KF18)
20182018年
PCX/HYBRID/150
(JF81/JF84/KF30)
20202020年
PCX/e:HEV/160
(JK05/JK06/KF47)

PCX(JF28)-since 2010-

PCX125

「Personal Comfort Saloon」

もう見ない日は無いと言ってもいい程の大ヒットだったホンダのグローバル戦略車の新世代スクーターのPCX。

「クラスを超えた先進デザイン」

「ゆとりの動力性能と高い環境性能」

「快適で便利な使い勝手」

がテーマ。

PCXのネーミングの由来は「PersonalComfortScooter」から。

PCXデザインスケッチ

頭文字だけ取ってPCX・・・って何でPCSじゃなくてPCXなんだって話なんですが、通例でいくとホンダにとって”X”というのは究極という意味なので

『究極のパーソナルコンフォートコミューター』

という事でしょう。

カタログ燃費53.0km/Lに加え、原付二種とは思えない上質さが話題となりましたが、そんな中でも面白いのがクラス初となるアイドリングストップ機能搭載だったこと。

このアイドリングストップの為にPCXはちょっと変わったエンジン始動をします。

一般的な始動方法は皆さんご存知セルフスターター通称セル方式。

セルフスターター

セルボタンを押すセルモーターがエンジン(クランク)を回転させ始動するわけです。ちなみにこれを人力で回して始動させるのがキックスタート。

それに対しアイドリングストップ機能があるPCXはセルモーターが付いていません。ACG式スターター(ACGスターター)を使って始動します。

ACG式

左側がそのセルモーター式の始動方式で、右側がPCXに積まれているACG式の始動方式・・・って図を見ても分からない。

バイクはガソリンが必要不可欠ですが、同時に点火やライトなどが色々あるので電力も必要不可欠ですよね。

だからバイクにはジェネレーターというコイルを巻いたものが積まれていて、これがエンジンと一緒に回ることで発電しているわけです。

ACGスターター

PCXが変わっているのはそんなジェネレーターにスターターを組み込んだ形だから。

一般的にセルダイナモまたはモータジェネレーターと呼ばれているもので、トドのつまり電力をジェネレーターに送ってクランクを回すことで始動しているわけです。

ただしセルモーターに比べて力が弱いので始動を手助けするスイングバック機能が付いています。スイングバックというのはピストンの位置を少し巻き戻す機能。

スイングバック

何故わざわざ巻き戻す必要があるのかというと、エンジンというのは切ってもすぐに止まらず少し回る。じゃあいつ止まるかというと山なりに負荷が大きくなる圧縮行程の途中で止まる。

つまりそこからエンジンを掛けようとするといきなり最大負荷で大変。だから負荷が少ない状態まで巻き戻してから勢いよく回す事で始動性を良くしようというのがスイングバック。

PCXの場合は更にバルブを遅閉じする事で圧縮による負荷を軽減するデコンプ機能も付いています。

JF28リア

これらの機能のおかげでPCXは恐ろしく静かに軽やかに始動します。

デカいバッテリー積んでセルモーターを酷使するなんちゃってアイドリングストップとはワケが違うという事です。

ただ実はこのACGの始まりはPCXよりずっと前、2001年のクレアスクーピーにあります。

クレアスクーピー

ちなみにラジエーター一体型のコンパクトな水冷ビルドインエンジンも初出はここ。

PCXとクレアスクーピーの意外な接点でした。

ビルトイン水冷エンジン

話を戻すとフロント14インチという大径サイズを履いているのを見れば変わる通り、グローバル戦略車といえど東南アジアがメイン市場。

でも125スクーターにしては結構いいお値段がしますよね。※当時299,250円(税込)

2011年式PCX

「こんないい値段がする125がアジアで売れるのか」

って思いますが、なんでも東南アジアも経済成長によって所得が上がってきた。するとコスパ最優先の125に不満を覚える人が増えてきた。

2011年式PCX

その声に応える125を造ろうとなったのがパーソナルコンフォートサルーンPCXの始まり。

そしてそう考えていたのは日本も同じだったから大ヒットに繋がったという話。

主要諸元
全長/幅/高 1915/740/1090mm
シート高 760mm
車軸距離 1305mm
車体重量 126kg(装)
燃料消費率 53.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.1L
[5.9L]
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 12ps/8500rpm
最高トルク 1.2kg-m/6000rpm
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前90/90-14(46P)
後100/90-14(51P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラE1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.9L
交換時0.8L
ギアオイル 全容量0.18L
交換時0.16L
Vベルト 23100-KWN-901
車体価格 285,000円(税別)
系譜図
2010年
PCX
(JF28)
1502012年
PCX/150
(JF28後期/KF12)
20142014年
PCX/150
(JF56/KF18)
20182018年
PCX/HYBRID/150
(JF81/JF84/KF30)
20202020年
PCX/e:HEV/160
(JK05/JK06/KF47)

NS-1(AC12)-since 1991-

NS-1

「フルサイズ50スポーツ」

NS50Fの後継としてNSR50/80と併売する形で登場したNS-1/AC12型。

先に登場し紹介したNSR50と同じくツインチューブフレームなものの、前後17インチホイールを履きギア比もクロス気味に設定されたフルサイズのスポーツモデル。

NS-1最大の特徴は何と言っても原付初となるこれ。

メットイン

バコッと開いてフルフェイスヘルメットが入るか入らないかくらいのメットインスペース。ヘルメットの義務化に合わせた配慮。

ちなみに燃料タンクはシート下です。

速いだけでなく大容量の物入れまである正にオールマイティに使える原付スポーツとして非常に人気が出ました。

発売から四年後の1995年にはマイナーチェンジ。

1995NS-1

RVFルックのデュアルヘッドライトに変更され、電装系も改良。

更に97年モデルからはフレームとホイールをブラックアウト化。

1997NS-1

NS-1は車体価格がかなり高かった(約30万円)にも関わらず非常に人気がありました。

それは上のクラスに負けない車格と性能を持った”原付”という敷居の低さがあったから。

NS-1価格

NS-1はとっても偉大な原付です。

それは性能が良かったからでも敷居が低かったからでもなく、その敷居の低さを武器に若者を魅了したから。

1997NS-1カタログ写真

NS-1でバイクデビューした人は間違いなく多いでしょう。

やたらとこの頃の原付(ABCピストンや載せ替え等)に詳しく、またうるさい人が多いのを見れば疑いの余地はないかと。

昨今『若者のバイク離れ』という見出しをよく見ます。

250でも免許代を入れたら安く見積もっても50万円を超える。そんな大金を若者が出せるわけがない。離れていくのも当たり前な話。

そう考える度に、多くの若者にバイクで走る楽しさと弄る楽しさを教えた原付免許で乗れるNS-1を思い出し・・・

NS-1カタログ写真

そしてもうNS-1も、NS-1のようなスポーツバイクも存在していない事を思い知らされる。

※1999年モデルをもって生産終了

主要諸元
全長/幅/高 1905/670/1080mm
シート高 752mm
車軸距離 1295mm
車体重量 101kg(装)
燃料消費率 54.3km/L
[55.3km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.2ps/10000rpm
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/80-17(46P)
後100/80-17(52P)
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR7ES
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.2L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ420|リンク128
車体価格 279,000円(税別)
[299,000円(税別)]
※[]内は95以降モデル
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

NS50F(AC08)-since 1987-

NS50F/AC08

「グランプリ・ムーブメント」

先代にあたるMBXの後継として登場したのがHURRICANE系デザインのNS50F/AC08型。

前後17インチのアルミ製キャストホイールや小物入れ内蔵のシートカウル、そして明るいハロゲンヘッドライトなどを装備。

NS50F諸元

50ccスポーツにおける一つの集大成の様なモデルで、ストリート・サーキット問わず非常に高い評価でした。

1988年にはエンジンのマウントと給排気が見直され中低速での使い勝手を向上。更に翌1989年にはレンズ一体型のデュアルヘッドライトで光量アップ。

NS50F/AC16

ディスクローターも現代的な多孔タイプに変更されました。

NS50Fは『ゴエフ』と呼ばれ親しまれていたんですが、いかんせん需要低迷期だった事と後継の人気が爆発したことで影に埋もれがちというか何というか。

NS50Fエアロ

ただ実はこのNS50Fは生産終了後も別の形でバイク文化に多大な貢献をした偉大なバイクでもあります。

それが何かというと『レースベース』です。

市販状態からレースなどに不要な保安部品を最初から付けないことで少し安くなっているモデル。

NS50R

スーパースポーツなどでご存知の方も多いと思いますが、そのレースベースという車両を一番最初に始めたのは実はこのNS50F/NS50R。

企画したのは二輪事業の小澤さんという偉いお方。

キッカケはレーサーレプリカブームの終焉により人気が落ち込んでいくレース事情と同時に

「前後17インチの原付レーサーを」

という声がショップから上がってきた事から。

どうして17インチなのかというと大型クラスと同じサイズだからステップアップに打って付けなんですね。

という事でNS50Fが生産終了となった1996年に混合給油に変更したNS50RをHRCから発売。

NS50Rカタログ

これがRSなど高価な市販レーサーとも、余計なものや制約が付いている量販車とも違う

『レースベース車』

と呼ばれる文化の始まりなんです。

今でこそ規格化され当たり前の様に販売されていますがそんな文化が無かった当時

『完成した量販車から保安部品を取って安価に販売』

なんていうのは到底理解されるものではないんだけど

「未来のレーサーやメカニックを育てるため」

という大義の為に何とかよ用意されたのが実情。

当然ながら宣伝の予算もなく個々のショップでコピー出来る諸元表だけでカタログも無しの完全予約制の受注生産。

NS50R諸元

だから最初は存在を知らずに逃してしまう人が多かったものの、ベースとなっているNS50Fが元々レース界で評判が良かった事やその存在が口コミで広まり雪だるま式に注文が入った事から何度も追加生産が行われました。

AC08カタログ

これはNS50Fにも言えることだけど、この17インチのNS50F/Rで腕を磨いた人は間違いなく多い。

もしかしたら一番レーサーを育てたバイクと言えるかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 1855/630/1065mm
シート高 760mm
車軸距離 1260mm
車体重量 92kg(装)
燃料消費率 68.4km/L
[61.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.2ps/8000rpm
[7.2ps/10000rpm]
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-17-4PR
後3.00-17-4PR
バッテリー FB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.1L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ420|リンク116
車体価格 209,000円(税別)
[225,000円(税別)]
※[]内は89以降モデル
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

NSR50/80(AC10/HC06)-since 1987-

NSR50前期

「×3/4WORKS」

ホンダのGPマシンNSR500のミニチュアの様な佇まいでお馴染みNチビことNSR50/AC10と、Nパチでお馴染みNSR80/HC06型。

NSR500VとNSR50

後ろに見えるのが元ネタ2st水冷V型四気筒500ccの化物マシンNSR500です・・・本当にソックリで可愛いですね。

しかし可愛いのは見た目だけの話で、中身は大真面目なもの。

車体構成

エンジンこそNS50Fの物を持ってきているものの、トラック重視のクロスレシオに専用のスチール製のツインチューブで剛性アップ。

オマケに12インチで前後ディスクブレーキまで採用してる完全なコーナリングスポーツ原付。

そもそもなんでこんなユニークなミニバイクを造ったのかと言うと理由は二つほどあります。

一つは当時レーサーレプリカ原付というかレーサーレプリカパロディ原付の人気が出ていた事。

NSR50アクセサリーカタログ

「原付免許さえあれば誰でもスペンサーやガードナーに」

という狙い。

そしてもう一つは原付クラスのアマチュアレース人気が出ていた事。

車体価格

そんなレースを視野に入れて・・・というか明らかにそれを狙って出されたバイク。

だからこのバイクの登場を飛び跳ねて喜んだのは、未来ある人生を送っている若者というより草レースに人生捧げたような人達。

NSR500とNSR50

車体価格もちょっと高かったしね。

ただ高いだけあって本当にこのNSR50/80は飛び抜けていました。しかもそれはNSRという名の通り、決して気難しくない安心かつ絶対的な速さで卑怯者呼ばわりされるほど・・・。

なんですが、NSR50/80はそんな空気を微塵も読むこと無くキッチリ改良を積み重ねるという更に卑怯な行為に出ました。

NSR50二型

これは二年後の1989年に出された二型モデル。

アップタイプに変更されたチャンバーとカウルのスラント化が分かりやすい変更点ですが、一番大きいのは前後サスの強化。

これによってコーナリング性能がさらに向上。ギア比も少し中低速寄りに変更されています。

この時点で向かうところ敵なしだったんですが、それでも止まらず1993年には三型にモデルチェンジ。

NSR50三型

ホイールが6本スポークのものになり、排気ポート見直しで更に高回転化。

ヘッドライトが常時点灯式なのもこのモデルから。

そしてトドメとなる1995年の四型。

NSR50三型

シートカウル、ステム周り、フレーム、スイングアーム、電装系、すべてを刷新した最終型です。

なんちゃってではなく完全にレーサーレプリカの系譜ですね。

NSR50パンフレット

少し小言を話すと、レーサーレプリカブームっていうのはすでに30年以上前の話。

だから昨今ではレーサーレプリカに生きた人と、レーサーレプリカを知らない世代が口論しているのをよく見ます。

NSR50パンフレット

まあ当時を知らないのに

「2stレーサーレプリカの魅力を分かれ」

なんて無理な話。もうタマも無いですからね。

でも、そんなスペンサーやガードナーを知らない世代の人でもこのレーサーレプリカNSR50/80だけは分かるでしょう。

NSR50カタログ写真

軽く100km/h以上出る公道を走れるチビレーサー・・・楽しくない訳がない。

ちなみにこのNSR50も先に紹介したNS50F同様にレースベース車両なるものが初めて用意されたバイクでもあります。

NSRミニ

『NSR Mini』

前後サスとチャンバーとECUを専用品に変えた物で、NSR50/80の生産終了と同時に登場し2009年まで発売されていました。

主要諸元
全長/幅/高 1580/625/935mm
シート高 665mm
車軸距離 1085mm
車体重量 86kg(装)
[87kg(装)]
燃料消費率 58.7km/L
[41.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 7.5L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
[79cc]
最高出力 7.2ps/10000rpm
[12ps/10000rpm]
最高トルク 0.65kg-m/7500rpm
[0.97kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-12(48J)
後120/80-12(54J)
バッテリー 6N2-21A-8
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8HS
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.1L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ420|リンク106
車体価格 230,000円(税別)
[250,000円(税別)]
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)

MCX50(AC04) -since 1982-

MCX50/AC04

「スーパーシティ・カスタム」

ラクーンの実質後継モデルとしてMBX50とほぼ同時期に登場したMCX50/AC04型。

シティバイクだったラクーンよりもアメリカン寄りになりました。

MCX50とRACOON

馬力もMBと同じ7馬力になったので甲高い音を立てながらカッ飛んでいくという有りそうでなかなか無い原付アメリカン。

ところで前のページのMBX50で話した通り原付事故の増加で60km/h規制諸々が敷かれ、需要の落ち込みからMCX50もあっという間に消えてしまったわけですが、諸々の理由というのはそれだけではありません。

AC04

今の人からしたら信じられない話だけど、当時の原付(一種)は二段階右折も無かったし、何よりノーヘルでよかった。

ノーヘルで二段階右折もせず時速80km/h出る乗り物なんてそりゃ危ないわって話ですよね。

1984年:60km/h規制
1985年:二段階右折導入
1986年:原付一種のヘルメット着用義務化

という立て続けな原付規制によってゼロハンブームは終息したわけです。

中でもヘルメット着用の義務化は原付ユーザーにとっては致命的だったらしく、ファミバイを含めた原付需要減少の最大の理由はこれだと言われています。

MCX50カタログ写真

今でこそ当たり前なヘルメット着用ですが、当時の原付ユーザーからすると結構イヤだったんでしょう。

ところでいま自転車で同じ様にヘルメット着用義務化の議論が巻き起こってますね。もし自転車もヘルメット着用が義務化されたら次は何処に流れるんでしょう。まあ余計なお世話ですが。

主要諸元
全長/幅/高 1885/720/1110mm
シート高 750mm
車軸距離 1220mm
車体重量 86kg(装)
燃料消費率 68.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.5L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.0ps/8000rpm
最高トルク 0.65kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前70/90-19(40P)
後100/90-16(54P)
バッテリー YB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B7ES/B8ES/B9ES
または
W22ES-U/W24ES-U/W27ES-U
推奨オイル Honda純正ウルトラ2スーパー
オイル容量 1.2L
推奨トランスミッションオイル ウルトラU(10W-30)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
スプロケ 前13|後43
チェーン サイズ420|リンク112
車体価格 169,000円(税別)
系譜図
MB501979年
MB50/MB-8
(AC01/HC01)
ラクーン1980年
RACCOON
(AD02)
MBX501982年
MBX50/80
(AC03/HC04)
MCX501982年
MCX50
(AC04)
NS50F1987年
NS50F
(AC08)
NSR501987年
NSR50/80
(AC10/HC06)
MC181991年
NS-1
(AC12)