「Confidence inspiring performance」
ZX-9Rの二代目ZX900C/D型ことCタマとDタマ。
ちなみにD型はドイツとスイス向けに造られた触媒(KLEEN)装備モデルで、日本には入ってきていません。
ZZRとZXRのイイトコ取りとして登場した先代でしたが
「サーキットからツーリングまで幅広く使えるスーパースポーツ」
という狙いが理解されある程度の評価は獲得したものの、文句なしというわけではなく
「あとは車重が軽くなれば完璧」
という声が多かった。
もともとZX-9RはZXR750というもZZR寄りで、実用性や所有感を重視していたから重めだったんだけど、GSX-R750そしてCBR900RRの登場で時代は一気に軽量コンパクトに流れていたわけです。
そこでカワサキも開発メンバーをスーパースポーツを手がけてきた人達を集め大幅な軽量化を断行。
ただし単に軽量化するだけでなく、馬力を上げる事も目標に加えられました。
これは
「馬力を更に上げてパフォーマンスを磨く事がカワサキのポリシー」
とプロジェクトリーダーの高田さんが考えていたからです。
普通は軽量化となった場合、強度や剛性の問題があるので馬力を上げることは難しくなる。
この二律背反のような目標を達成するためにされた事としては、まずエンジンがあります。
せっかくほぼ新設計と言えるほどだった先代エンジンを惜しむことなく捨て、新たに一から作り直した正真正銘の完全新設計エンジンに。
具体的にはバルブ駆動をロッカーアーム式から直押式に変更しショートストローク化したことで5馬力UP。
そしてクランクやジェネレーター果てはイグニッションコイルに至るまでグラム単位で見直され6.4kgの軽量化となり76.6kgに。
次はフレームですが、まず前後長を短縮してコンパクト化。
更にダウンチューブも廃止し、エンジンを積極的に剛性メンバーとすることで5kg軽量化し12.5kgに。
そして極めつけはマフラー。
なんとこれ当時としては非常に珍しい中も外もチタンなフルチタンマフラー。
これのおかげで2.1kgの軽量化で9.1kgに。
これが許されたのは企画の谷さんがダメ元でチタンマフラーを直訴したところ
「やっぱりマフラーといえばチタンだよな」
と上司が大のチタン好きだった事が幸いして了承を得た経緯があります。
「リプレイスしなくてもいいと言えるマフラーが出来た」
と喜びも一入。
とにかく馬力を上げつつ何もかも軽量化した事で
『先代比-32kgの183kg』
というダイエットというよりもはや別物と化したC/D型。
だたそんな中でもZX-9Rが譲らなかった装備としてグラブバーがあります。
両方で1kg近くもある。
なんで軽量化が至上命題なのに取らなかったのかと言えば、ZX-9Rはただ速いだけのレプリカではなくオールラウンダーなスーパースポーツだからです。
奇しくもライバル車であるCBR900RRのヒンジ付きリアシートに通ずるところがありますね。
「ユーザーに我慢を強いる事を良しとしない」
この頃のスーパースポーツというのはレースと無縁な事もあり、ユーザー第一な考えが当たり前だったんでしょうね。
主要諸元
全長/幅/高 | 2050/720/1155mm |
シート高 | 810mm |
車軸距離 | 1415mm |
車体重量 | 183kg(乾) |
燃料消費率 | – |
燃料容量 | 19.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 899cc |
最高出力 | 143ps/11000rpm |
最高トルク | 10.3kg-m/9000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後180/55ZR17(73W) |
バッテリー | YTX9-BS |
プラグ | CR9EK または U27ETR |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.8L 交換時3.1L フィルター交換時3.3L |
スプロケ | 前16|後41 |
チェーン | サイズ530|リンク110 |
車体価格 | ※スペックはEU仕様 |