S1000RR (0507) -since 2009-

2009S1000RR

「Welcome to planet power.」

BMW初のスーパースポーツとなるS1000RR/0507型がデビューしたのは2009年のこと。

デビューと言っても最初は市販車としてではなくWSB(市販車レース)という順番が逆のような鮮烈デビュー。

S1000RR

市販予定車という名目で出場したわけですが、そりゃもう世界中が大注目しました。

BMWのバイクと言えば

・水平対向エンジン

・独特なサスペンション構造

・シャフトドライブ

というロードレースには向かないバイクが主力で、BMW自身もずっと

「ロードレースに興味なし。それはウチ(BMW Motorrad)だけじゃなくファンもそうだろう。」

と言い続けてきたわけですから。

しかしスーパースポーツのあまりの加熱っぷりに遂に重い腰をあげたというわけ。

S1000RRラフスケッチ

コンセプトデザインの日付が最もスーパースポーツ人気が高まっていた2006となっている事から見ても疑いようが無いかと。

そう考えると2010年の市販化は少し遅い様な・・・リーマンショックの影響ですかね。

ちなみにデザイナーはスウェーデンの人でイメージはシャークカウルを見れば分かる通りサメです。

まあそんな事より車体ですが

S1000RRネイキッド

・アルミツインスパーフレーム

・三軸三角レイアウト直四エンジン

・マフラーを避ける湾曲スイングアーム

・テレスコピック&リンクサス

・チェーンドライブ

などなどエンブレムがなかったからBMWとは分からない、言ってしまえば日本のスーパースポーツそのものな造り。

S1000RR_wall

実際これを開発する際にCBR1000RRとGSX-R1000を参考にしたんだそう。

ただ流石BMWというべきか、処女作なのにとてつもないスペックで世間を賑わせました。

可変ファンネルやスロットルバイワイヤ(電スロ)でクラストップとなる193馬力を叩き出すエンジンに、初っ端からでトラクションコントロールシステムやABSなどを装備。

(※TCS/ABSはプレミアムラインのみなものの日本はプレミアムラインのみ)

2009S1000RRカタログ写真

「まあウチが本気出せばこんなもんよ」

と言わんばかりなスペック。

ではもっと具体的に何が凄いのかと少しご紹介。

S1000RRの凄い所その1

「クラス1のショートストロークエンジン」

エンジン

S1000RRのボアストロークは80mm×49.7mm。

これはリッター四気筒の中では最もビッグボアな超ショートストロークエンジン。

エンジンイラスト

この技術にはF1や、2000年代半ばにMotoGP参戦を目論み開発していたマシンの技術が使わているそう。

当時のスポーツバイクとしては珍しいロッカーアーム式を採用している事がちょっと話題になりましたね。

S1000RRの凄い所その2

「クラス1のフロントフォーク径」

フロントフォーク

一般的なリッターSSがΦ43なのに対しΦ46というこれまたクラストップとなる極太フロントフォーク。

どんなスピードでも負けない高剛性で正確にストロークさせるという完全にサーキットしか見てない足。

S1000RRの凄い所その3

「クラス1の軽さ」

最軽量

マグネシウムヘッドカバー、アルミ製のタンクやステップ周り、専用ホイールにチタンサイレンサーなどで当時としては最軽量となる装備重量204kgという軽さ。

S1000RR日本仕様

ちなみに日本では規制の関係からアクラポビッチのロングサイレンサーが標準装備という嬉しい変更でした。

そのぶん馬力は153馬力と落とされてるんだけどカプラ一つでゴニョゴニョ。

そんな多数のクラスナンバーワン要素を引き下げて登場したS1000RRだったんですが・・・一番話題になったのはやっぱりコレ。

アシンメトリー

左右非対称、アシンメトリーな顔ですね。

ある意味もっともBMWらしい部分。

そんなS1000RRは改造範囲が狭いスーパーストック1000というクラスにおいて、フル参戦初年度にあたる2009年に10戦中9勝という文句なしの成績で優勝。

スーパーストック1000仕様

「WSB(ワールドスーパーバイク)に黒船がやってきた」

とユーザーだけでなく、レース業界にも一石を投じる結果となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1432mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア44
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,690,000円(税込)
[1,990,000円(税込)]
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

RSV4 Ver.4  -since 2015-

RSV4

そして2015年モデルからまた変わったRSV4。

2015年モデル最大の特徴は遂に大台の200馬力を突破し201馬力になったこと。まあお高いRRモデルとRFモデルだけだけどね。

2015RSV4RF

これらは見た目はほとんど変わらないんだけど、バルブからカムシャフトに至るまでほとんどの部品が全くの別物。これはより高精度な新しい設備を入れたから可能になったことなんだと。

なんか書くことが無くなってきたというか紹介に飽きてきたのでちょっと個人的な話。

RSV4は今では「史上最も成功したV4」と言われています。

日本の人からすると「V4と言えばホンダ」「V4と言えばVFR」「V4といえばRVF」と思っている人が多いと思います。まあアプリリアはそれほどシェアを持った会社では無いですしね。特に日本では。

さてじゃあここで何故ホンダのV4と違いアプリリアのV4は受け入れられたのか考えてみようと思います。

まず第一の理由としてホンダのV4は最初に話した通り挟角90度というお手本のようなV4エンジンだった事。VFRの系譜を読んでもらえると分かるのですが、ホンダも最初はスーパースポーツはV4で行く路線でした。

V4

良く言えばシルキー、悪く言えば盛り上がりに欠けるのが特徴だった360度クランクのエンジンサウンド。それがユーザーに受け入れられなかった。

だからホンダも途中で180度クランク角に変えたりしたんだけど今ひとつでVFR750R(RC30)やRVF750(RC45)といった販売台数を絞れてレース特化な造りに出来るホモロゲに変更していったんだと思います。

もちろん勝つためのホモロゲでもあったわけで実際勝ってたわけですが。

アプリリアRSV4エンジン

もう何度も言っていますがそれに対しRSV4の最大の武器は挟角65度という異例の狭さにあります。

誤解されないように言っておきますが、ホンダの90度V4が劣っているわけでは決してありません。

90度というのは一次振動を理論上ゼロに出来るVツインやV4にとっては言わば黄金比みたいなものなんです。

「じゃあ何でホンダはV4スーパースポーツを辞めたんだ!作らないんだ!」

ってそれは皆がVFRを買わなかったからであってホンダに文句を言うのはお門違いです。ホンダは今でもV4が一番だと思ってます。実際RCVはV4だしこの前出たRCV-SもV4だし。

・・・話が反れました。

2015RSV4チラシ

アプリリアがV4で成功を収めたのはそんな黄金比を”敢えて”外したからなわけですね。

ミレの方でも言ったけど90度というのはエンジンだけで見ると理想的な反面、それだけ開くわけなので長さが前後の長さが出てくるわけです。

そうすると車体全体の長さに影響しスイングアームを長く取れない。説明は省きますがスイングアームの長さとコーナリング性能は比例して伸びるんです。>>バイク豆知識:アンチスクワット

ヤマハのYZF-R1がコーナリングマシンまたは猫足と言われたのはクランクを寄せ上げて直四ながらエンジンの前後幅を縮めた事でライバル車に比べ大きくスイングアーム長を取れたから。

アプリリアV4

アプリリアの65度V4もそうです。

一次振動ゼロを捨て、その代わりにシリンダーを起こし前後幅を縮めた事でV4ながらスイングアームを長く取ることが出来たおかげで、速さを手に入れSBKで優勝出来るレベルのSSが仕上がったというわけです。

賞賛されているV4らしからぬサウンドは言ってしまえば嬉しい誤算。

RSV4RF

つまりRSV4はV4スーパースポーツなんだけど、皆が想像するようなV4スーパースポーツじゃない。

ただ悲しいかなレース結果とは裏腹に販売台数はどうも伸び悩んでるみたい。アプリリアは大型クラスの需要が弱いみたいなんですよね。

言い忘れていた事がありました。

国内に入っているRSV4は例に漏れず上を切った特別デチューンモデルです。しかしディーラーに持っていけば簡単にフルパワー仕様にしてもらえるとのことです。

(ディーラーが簡単にそんな事をしていいのかとも思いますが)

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.3  -since 2013-

RSV4SBK記念車

次に大幅な変更があったのは2013年モデル。上の写真はSBK優勝記念車。

このモデルからABSが標準化されました。メーカーは(安心の?)ボッシュ製で段階設定付き。

他にもエンジンやスイングアームピボットが6mm程下げられる等の細かい変更が入っている。

ファクトリーモデルは更に変更が加えられてて馬力も3馬力アップの183psに。

そして2014年に再びSBKのチャンピオンとなります。

2014アプリリアレーシング

めっちゃ嬉しそう。なんかこの写真を見るといかにもアプリリアだなーって感じですね。

アプリリアって”レースに命を賭けてる”というより”レースが大好き”って感じなんですよね。

でもそれを許してるピアジオも凄い。アプリリアは良いところに拾われたなあ。

あとアプリリアって宣伝もちょっと変わってるんですよね。

RSV4

素直に宣伝しないと言うか、なんでも捻っちゃうっていうか。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.2  -since 2011-

RSV4

RSV4は見た目がほとんど変わってないからずっと一緒と思ってる人も居るかもしれませんがちょこちょこモデルチェンジしてます。

本当は毎年変更入ってるから分けるべきなんだろうけど途方も無い数になるので大まかに分けてご紹介。

最初に大きな変更が入ったのは2年後の2011年。

説明が遅れちゃったんだけどRSV4は2009年に初代RSV4Rが、同年にオーリンズを装着した上位グレードのRSV4FACTORYが発売されました。2010年もこのまま。

そして2011年になるとRSV4R APRCとRSV4FACTORY APRCという名前に。

APRC

APRCってなんぞ?って話ですが

APRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)の略で

aTC(アプリリア トラクション コントロール): 全域においてスリップコントロールするシステム

aWC(アプリリア ウイリー コントロール): ウィリーを抑制するシステム

aLC(アプリリア ローンチ コントロール): スタートダッシュをアシストするシステム

aQS(アプリリア クイック シフト):クイックシフター。

という要するにフル電子制御システムの事です。しかもこのAPRCの凄い所は学習能力が付いているということ。ちゃんと学ぶしライダーの好きなようにチューニングすることも可能なんです。

2010RSV4

本当はエンジン周りにもカムチェーンやシャフトといった大幅な見直しが入ってるんだけど、挙げだすとキリがないのでこの辺で。

あと2012年にはマフラー形状とリアのタイヤサイズが190から200に変更されました。

余談だけどRSV4は本当にSBKしか見てないんだよねこのバイク。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
184ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV4 Ver.1  -since 2009-

RSV4

2009年にアプリリアが

「これでSBKにまた参戦する!」

と言って出してきたのがRSV4。

SBKのレギュレーションを睨みそれまでのVツインを捨てV4へと生まれ変わったRSV。

アプリリアSBK復帰

正しく言うならRSV4Rなんですが、そのRSV4最大の特徴は何と言ってもそのエンジン。

V4だから?いえいえそれだけではありません。先代までのVツインが挟角60度と異例の狭さだったのに対してRSV4のV4エンジンも65度と非常に狭いこと。

同じV4を作っているホンダのVFRは800が90度で1200が75度。MotoGP車両のRCVでも最も狭い時期でも同じく75度。ドゥカティに至ってはずっと90度。

RSV4エンジン

こう書けば65度がいかに狭いか分かってもらえるかな。 ちなみに爆発間隔は0°→180°→425°→605°

だからV4なんだけどVツインのようなワイルドなドコドコ感。スンゴイ回るハーレーエンジン的な。

RSV4フェイス

顔の方も今ではもう三眼といえばアプリリアと言われるほど定着したものになりましたね。

しかしそれより何よりRSV4と言えばワークス参戦2年目の2010年に念願だったSBK総合優勝を果たしました。

しかもライダーとマニファクチャラーズのダブルタイトルという快挙。

アプリリア2010

イタリアのバイクメーカーがイタリアのライダー(ビアッジ)でダブルタイトル獲得なんだからそりゃもうイタリアは歓喜の渦ですよ。

このおかげで海外では既に

「V4=アプリリア」

という調査結果が出されるまでに。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV1000R  -since 2004-

RSV1000R

RSVシリーズとしては初めてのフルモデルチェンジ。

車名もRSV1000Rとそれまで特別仕様のみの使用されていたRモデルが標準化。

RSV1000Rエンジン

アプリリアはこのRSV1000Rでも総合優勝を果たすことが出来ず、経営がどんどん悪化して窮地に陥っていた。

でも、それでもアプリリアは諦めなかった。それが次に紹介するRSV4で遂に実るわけですね。

RSV1000R

「レース大好きなアプリリアならきっとSBKに返ってくる!」とか「アプリリアお願いだから帰ってきて」と彼方此方で言われてました。

しかし二気筒優遇措置が無くなったためか、RSV4に集中していたからか結局この1000RでSBKに参戦することはありませんでした。他のレースでは色々走ってたりしますが。

ちなみに2006年にマイナーチェンジが入って更に乗りやすくなりました。

そうそうRSV1000Rと言えばこの人ですね。

Samuela De Nardi

サムウェラ・デ・ナルディ(Samuela De Nardi)

美人すぎると日本でも話題になったイタリアの女性ライダー。しかもこの人ルックスだけじゃなくて欧州の女性選手権で表彰台に上がるレベルの速さ。

アプリリアと契約しレーサー&テストライダー&イメージキャラを努めていました。

サムウェラ・デ・ナルディ

ちなみに写真のバイクはRSV1000RのストファイバージョンのTuonoという派生バイク。

別にサムウェラを紹介したかったという下心ではないです・・・それにしても美人さんだな。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
139ps/9500rpm
最大トルク:
10.9kg-m/7500rpm
車両重量:216kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV MILLE (RP型) -since 2001-

RSV MILLE後期

ほぼフルモデルチェンジといえるようなモデルチェンジをしたミレの後期。

エンジンレイアウトの変更、吸気バルブの改良などで2馬力UP・2kgDOWNとスペックが向上。

でも一番の変更点は荒削りだった前期モデルからの細部が改良され完成度が高まったこと。

RSVも豪華版としてRモデルが存在していました。

定番とも言えるオーリンズサスとブレンボキャリパーを装着したモデル。

ちなみにワイルド・スピードのバイク版映画である「トルク」で主人公が乗っていたバイクはこれです。

レースの方でも2002年は芳賀さんの乗るPlaystation2-FGFチームで善戦。

芳賀アプリリア

これまた年間成績三位という好成績を収めました。

が、アプリリアはここでSBKから撤退しMotoGPの方へと注力することに。

ちなみにこのミレも次のRSV1000Rも今どき珍しくドライサンプ方式を採用しています。

ウェットサンプとドライサンプが何か分からない人に説明すると

ウェットサンプというのはエンジン下がそのままオイルタンク(オイルパン)になっていてオイルはそこに溜まるのに対し、ドライサンプはオイルタンクがエンジンの外にあるタイプ。

ドライサンプの方がオイルによる抵抗が少ないのでパワーが出ますが、構造が複雑になるという欠点があります。

こういった所がアプリリアRSVの特徴だったりするわけですね。

60度という極端なVバンク角もそうですが、アプリリアがライバルに勝つためにしたことを一言で表すなら

”効率を捨てる事”

だったわけです。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
128ps/9500rpm
最大トルク:
10.5kg-m/7250pm
車両重量:215kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV mille (ME型) -since 1998-

RSV MILLE前期

アプリリア初の大型バイクのRSV mille

キッカケはWSB(ワールドスーパーバイク)のレギュレーション改定。VTR1000SPの方でも言ったけどVツインが有利になった。

これを見たアプリリアがチャンスと見て作り上げたバイク。つまりこれもVTR1000SPやTL1000Rと同じくVツイン。

ただし、RSVはそれら二車種と決定的に違う所がある。それはVバンク角。

VTRやTLがVツインの理想と言われる90度角(ついでに言うならドカも90度)になってる。

VTR1000SPの系譜の方でも言ったから説明は省くけど、簡単に言うとVバンク角が90度だとバランサーが要らないので軽く作れる。

じゃあミレは何度なのかと言えば60度と滅茶苦茶狭い。

MILLEエンジン

どうして90度ではなく60度なんて挟角ツインにしたのかというと、エンジンの前後幅を抑えるため。

ホンダがサイドラジエータで前後の長さを抑えたのに対し、アプリリアはVツインのバンク角を狭める事で前後の長さを抑えたってわけだね。

でも実はこのエンジン、アプリリアが一から作ったエンジンではなかったりします。

この60度Vツインエンジンを作ったのはロータックスというオーストリアのエンジンメーカー。V990というエンジンをRSV用にチューニングしたもの。
というかもともとアプリリアはロータックス社製のエンジンというかロータックス社と良好な関係を築いていた。

V990

ちなみにこのロータックス社は他にもビューエルなどにもエンジン提供していました。

そしてこのミレがどうだったかというと、優勝こそ出来なかったものの5つのレースで勝ち、ホンダヤマハに次ぐ年間三位という好成績を収めました。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
128ps/9500rpm
最大トルク:
10.5kg-m/7250rpm
車両重量:220kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

アプリリアの歴史  -since 1968-

アプリリア

「アプリリア(Aprilia)」

ドゥカティ程メジャーではないもののメーカー名くらいは聞いた事がある人は多いでしょう。

欧州メーカーとしては唯一のフルラインナップメーカーだった時期があります。

創業者はバリエ・アルベルト・バッジオという人。

ただこの人は第二次世界大戦後の1945年頃から自転車業を始めた人で、オートバイへ参入したのはその息子であるイバノ・バッジオによってで1968年から。

ランチアアプリリア

ちなみにアプリリアという社名は自動車のLANCIA APRILIAが由来。創業者のバリエが当時この車に憧れていたから。ちなみに許可は取っておらず勝手に名乗ったらしい。

息子のバッジオはもともとバイク好き&バイクレース大好きという典型的なイタリアっ子だったので、社長就任と同時にバイクを手がけようとしたんだけど創業者の父に猛反対されたそう。それでもゴリ押しでバイクを始めた。今振り返ってみるとそれは正解だったようですね。

手探り状態だったので当然ながら最初はモペットから作り始めました。

カリブリ

カリブリ(Colibri 和名ミドリハチドリ)、他にもダニエラやパッキというバイクも発売。

そんなアプリリアを有名にしたのが1977年に出たスカラベオというバイク。

今でもこのバイクの名前のスクーターがアプリリアから出ていますが、当初はモトクロッサーでした。

スカラベオ50

というか今では想像つかない話かもしれないけどアプリリアは最初はモトクロッサーメーカーでした。

このスカラベオで成功を収めたアプリリアは勢いそのままにモトクロッサーを中心に活躍する事になります。

RC125

その結果、まだイタリア内だけだったマーケットがアメリカでも展開されるようになり急成長を遂げます。

しかし1980年頃になると状況が一変。オフロード車の市場が縮小の一途を辿り、オンロード車の市場がどんどん急成長してきました。

アプリリアも当然ながら黙ってみているわけではなくオンロードバイクも手掛けるようになります。

一番最初に手がけたオンロードバイクがこれ。

ST125

1983年に発売されたST125。

そして1985年からは更にレースに出場することに。(イタリア国内のロードレースでは既にタイトルを獲得済み)

ちなみにロッシが初めて世界レースで優勝したのもアプリリアででした。

アプリリアロッシ

若い・・・アプリリアも

「ロッシを育てたのはウチだ!」

と言い放ってます。

そんなこんなで時代の荒波に飲まれること無く着実に力を付けつつあったアプリリアでしたが、2000年に経営で大きな失敗を犯します。それはMOTO GUZZIとLAVERDAの買収。

モトグッツィとラベルダの買収

当時既にイタリアのメーカーとしては第二位につけていたアプリリアでしたが、販路やラインナップの拡充を目論んだ超大型買収。ミラノ・ベネチア大軍団となったのですが上手く行かずに首がまわらない状況に。

そして2004年にイタリア最大手であるピアジオに救済されることになり、アプリリアはピアジオグループの一員となることになりました。

この結果、ピアジオグループ(ピアッジオ・アプリリア・デルビ・ジレラ・モト・グッツィ・ベスパ・リジェ)は世界第3位のオートバイメーカーになりました。

あれ?

アプリリアの話だったんだけどな・・・

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

徐行でバランスを崩す人と崩さない人の違い

低速域でのバランス取り

時速10km以下の低速走行でフラフラっとしてしまい立ちごけ・・・という初心者はもちろんベテランでも珍しくないバイクあるある。

そんな悩みを抱える人に向けたページなんですが、そもそもバイクがどうして倒れるのかといえば自立しない乗り物だからですね。

「じゃあどうして倒れず真っ直ぐ走れるのか」

というと一つはキャスター角と言って要するに前に引っ張る力が働くから。そしてもう一つはコマが強く回っている間は倒れないのと同じジャイロ効果(ジャイロモーメント)が働くから。

しかし時速10km以下など低速走行になるとそれらの働きが弱くなるのでフラフラしてしまうという話・・・なのに上手い人達はそんな極低速でもバランスを崩さないから格好良い。

低速域でのバランス取り

教習所の一本橋などで

「とにかくニーグリップして遠くを見ろ」

というアバウトなアドバイスをもらった人も多いと思うのですが、敵を知り己を知れば百戦殆うからずと言われるよう具体的に

「徐行でバランスを崩す人と崩さない人は何が違うのか」

という事を人間工学の視点から数値化し検証した

『低速走行におけるライダーの挙動』
(著者:横井元治、青木和夫、堀内邦雄)

という面白い研究論文があったので勝手ながら内容を非常にザックリ、その道のプロによる安全運転大会(ホンダ)の写真と共に紹介したいと思います。

一本橋

実験に使われたのはいま話した一本橋。

車両も多くの教習生を(主にクラッチ操作で)泣かせたであろう教習車としてお馴染みCB750教習車仕様に各種センサーを付けたもの。

CB750教習車仕様

これを使って一本橋の成績を参考に初心者グループと熟練者グループに分けて比較したところ大きく異なっている要素が2つほどあった。

初心者と熟練者の違い1
『転舵角の差』

徐行

転舵角というのは早い話がハンドルをどれだけ切って走ったかという事で、初心者に対し熟練者はハンドルを積極的に動かし大きく切りながら走行している事が検証で分かった。

「ハンドルをインに入れるとバイクが起きる」

という話は初心者の人も聞いたことがあると思いますが、これは進む方向(前輪の向き)に対してハンドル以降のライダーや車体は真っ直ぐだから。

点火プラグ

だから車体がアウト側に行って起きるという話で熟練者はこれを積極的に活用していたという事。

もちろんこれは蛇行する事でタイムや距離を稼ぐ狙いもあるわけですが、それだけではなく

『前後輪を直線上に並ばせない様にしている』

という狙いもある。

前後輪を直線上に並ばせないようにすると基底面といってバランスを取れる有効面積が広がるんですね。

バイクの基底面積

両足の間隔を広げた方がバランスを取りやすいのと一緒。

熟練者はこれらを利用するためにハンドルを大きく振りまわしながら走っており、反対に初心者は利用していなかったという話。

初心者と熟練者の違い2
『ハンドル荷重の差』

ハンドルへの荷重

車体が傾く時にハンドルに荷重を掛けるのは初心者も熟練者も同じだったんですが面白いことに

「荷重を掛ける方向が真逆」

という結果だった。

熟練者は車体が倒れていくイン側とは逆方向の荷重を掛けていた。これは1つ目で紹介したようにハンドルを切って起こそう(踏ん張ろう)とするから。

一方で初心者はそういう動作をしていないにも関わらず別の動作によって”倒れていく方向へ”荷重を掛けていた。

初心者がいったい何の動作によってハンドル荷重をかけていたのかというと

『頭部の動き』

です。

初心者は車体が傾くと頭部も合わせて傾け、倒れようとする車体を更に押すように荷重を掛けていたんです。

この原因は熟練者が上半身をハンドルでも支えていたのに対し、初心者はニーグリップだけで支えていたから。

低速域でのポジション

「初心者の方が正しいポジションでは」

と思えるんですが、頭というのは重心から大きく離れた場所にある重量物なので支えるのは非常に大変。だから熟練者はハンドルも使って全身で支えていた。

しかし初心者は下半身(ニーグリップ)だけなので車体が傾き始めると頭を支えきれず車体につられるように傾けていた。

それが結果として倒れようとする車体の運動を加速させてしまいバランスを取るのを難しくしていたという話。

【要約】

最初にも言ったようにアクセルを開けて加速すれば前に引っ張る力とジャイロでバランスを保てる。これは初心者の人でも体感で分かっていることだと思います。

しかし徐行の必要があるシーンというのは一時停止からの交差点侵入や、渋滞などで加速できない場合が多い。

一時停止などによる徐行

そうなった時に徐行が苦手な人はハンドルをあまり動かさず、また頭もバイクと一緒に傾けてしまうからバランスを崩してしまうというわけ。

つまりもし徐行など極低速時のバランス取りに苦労している人が居るならニーグリップと遠くを見ることはもちろんですが、このページ的に言うと

正しい例

「傾けるのはハンドルだけ(頭や車体は傾けない)」

という事を心がければ幾分は改善するかと思われます。

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