ZXR400/R(ZX400H/J) -since1989-

ZX400H

「Racing Super Weapon」

何処からどう見てもZXRレプリカにしか見えない姿に変貌し車名も同じZXRとなったZXR400。奇しくもレーサーレプリカブームを止めたゼファーと同年(一ヶ月先)デビューです。

ZXR400に限った話ではないんだけどアンチレーサーレプリカを貫いていた事もあってカワサキはレーサーレプリカに乗り出すのが一番遅かった。

90ZXR400

もうこの頃になると各社ともモデルチェンジや年次改良を何代も重ねてきて最終型に近い形になっていた状況。当たり前だけど分が悪いにきまっている話。

ZX400Hカタログ

ところが要らぬ心配と言いますが後出しというハードルをクリアするどころか楽々と飛び越える性能と装備で登場したわけです。

ZXRのトレードマークでもあるフレッシュエアをエンジンヘッドに吹き付ける為アッパーからチューブが伸びているK-CASはもちろんの事、250と並んでクラス初となる倒立フロントフォークを標準で採用。レースで拝む事しかできなかったフロントフォークを最初から付けてきたわけです。 ZXR400カタログ

先代ZX-4には付いていたハザードや燃料計といった速く走ることに必要のないものも全て撤去。今までのアンチレーサーレプリカ路線は何だったのかと言えるモデル。

翌年の年次改良でもカム・バルブ・ピストン、スイングアームやサスペンション、バックトルクリミッター(K-BATL)と留まることを知らない改良。

少し遅れて出たプロダクション(レース)モデルのZXR400R(ZX400J)もこれまた凄くて、ハイカム、クロスミッション、シングルシートリアカウルを標準装備。

ZXR400R/ZX400J

翌90年には加速ポンプ付きFCRキャブレーターにフルアジャスタブル倒立フロントフォーク&別体リザーバー付きリアサスペンションなどなど本当に限度を知らない年次改良。

そのおかげかレースの方も全日本選手権F3(4st400部門)でカワサキとしては初となる優勝を90年に果たしました。ちなみにこの時のライダー鶴田さん(TEAM GREEN)は後のトリックスターレーシング創設メンバーで代表でもあります。

主要諸元
全長/幅/高 2035/705/1125mm
シート高 765mm
車軸距離 1395mm
車体重量 162kg(乾)
[159kg(乾)]
燃料消費率 45.5km/L
[46.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YB12A-AK
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.6L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
[サイズ520|リンク108※89及びR]
車体価格 686,000円(税別)
[723,000円(税別)]
※[]内はRモデル
系譜図
ZX400G1988年
ZX-4
(ZX400G)
ZX400H1989年
ZXR400
(ZX400H/J)
ZX400L

1991年
ZXR400
(ZX400L/M)

ZXR400最終

1993年
ZXR400
(ZX400L/M最終)

ZX-4(ZX400G) -since1988-

ZX400G

「時代に流されない魅力」

性能ではなくコンセプトの関係からカワサキ初の400レーサーレプリカと言っていいのか微妙な立ち位置だったZX-4。

これは既にあったGPZ400R(ZZR400/ZRX400の系譜)の派生ではなく全く別の400プラットフォームで作られたバイク。つまり当時カワサキは別々の四気筒400ccフルカウルバイクを2つもラインナップしていたということ。

ZX-4の最大の特徴はクラストップの車重。乾燥重量152kgは84年に出たGSX-R(400)と並んで今もなお破られていない軽さ。

ZX400G

これはE-BOXフレームというアルミツインスパーフレームなのと、GPZ400系のセンターカムチェーンと違いサイドカムチェーン方式を取り入れた新設計エンジンによるもの。

たしかGSX-R750の方でも言ったけどサイドカムチェーンだと何が良いのかというとまず吸気の流れがストレートになることで吸気効率が上がる事。そしてもう一つはコンパクト、つまり軽く出来るという事。

センターカムチェーンとサイドカムチェーン

センターカムチェーンの場合シリンダーとシリンダーの間に敷居を設けトンネルを開けてやらないといけないんですが、サイドカムチェーンだとその壁が一枚で済む。結果として幅と軸受を減らせてコンパクト軽量化に繋がるというわけです。

チームグリーンZX-4

これらによって59ps/152kgという驚異的な軽さと速さを持っていたことからZX-4ベースのワークス車両ZXR-4は鈴鹿四時間耐久レース(当時は600ではなく400)で見事優勝。

名実ともに誇れるレーサーレプリカ・・・になるはずだったのですが、不人気さから僅か1年ほどでZXR400へとモデルチェンジし生産終了となりました。

チームグリーンZX-4レプリカ

最新の造り、クラストップの軽さ、レースで優勝、これだけの要素を持っていながらも売れなかったのは正直デザインかな。

4st400ccのレーサーレプリカといえば今で言えば600ccのスーパースポーツ的な立ち位置。そんなカリカリのスーパースポーツ市場でこの良く言えば落ち着いたデザイン、悪く言えば野暮ったいデザインはとても軽そうにも速そうには見えなかった。

ZX-4とGPX400

同時期にラインナップしていたスポーツツアラーのGPX400Rと同系なデザインだった事もあると思います。

最初のキャッチコピーもあるようにアンチレーサーレプリカという信念とレーサーレプリカを作りたい開発のズレが生んだバイクなのかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2035/715/1130mm
シート高 765mm
車軸距離 1395mm
車体重量 152kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
バッテリー YB12A-AK
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.6L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 698,000円(税別)
系譜図
ZX400G1988年
ZX-4
(ZX400G)
ZX400H1989年
ZXR400
(ZX400H/J)
ZX400L

1991年
ZXR400
(ZX400L/M)

ZXR400最終

1993年
ZXR400
(ZX400L/M最終)

ZX-14R(ZX1400E/F/G/H)-since2012-

ZX-14Rフロント

「King of Motorcycle」

2012年からのZX-14R/ZX1400E型とABSモデルのZX1400F型。

ZX-12R以来となるNinjaそしてZX-Rというネームの復活にいろんな人が湧きましたね。

今までと違い発売前から思わせぶりな宣伝を打ってきたことから相当な自信があるのだろうと思ってたら、やっぱり出てきたのは緑色な怪物でした。

ZX-14R

目立つ変更点としてはトラクションコントロールシステム。

仕組みについては1400GTRで話したので割愛しますが、ZX-14Rの場合は強弱に加えて切ることも可能な3モードタイプ。オマケというとアレだけど合わせて2つの出力特性を選べるパワーモードとスリッパークラッチも付いて安全性とスポーツ性が向上。

ZX-14Rface

見た目の方も大きなカバーレンズで覆われZX-Rに合わせた二眼のような四眼に変更されました。

エンジンはストローク量を上げるだけでなく、合わせてヘッド周りは削り出しに変更されピストンやバルブも刷新し圧縮比を向上させ全域でパワフル化。

ZX-14Rエンジン

これによって遂に非加給(ラムエア無しで)200馬力を達成。

ちなみに2016年モデルからはEURO4(排ガス規制)に対応するためキャタライザーが増設され、日本に入ってくるアジア仕様はハンドルも上げられて少し優しくなっています。

2016年ZX-14Rカタログ

写真はブレンボオーリンズ装着のハイグレードモデル。

ただZX-14Rで一番注目してほしいのは実はカタログスペックに載らない部分にあります。

ZX-14Rフレーム

一見すると変わっていないように思えるフレームは剛性が大きく見直され、それに合わせて足回りも

・サスペンションの再セッティング

・軽量化されたホイール

・10mm延長されたスイングアーム

・軽量なスリードチェーン

などなど変わっていないようで大きく変更されてある。

ZX-14Rチェーン

ZX-14Rのモデルチェンジのミソな部分は実はここ。

一見すると地味とも言えるこの変更点の狙いは何かと言うと

「軽快感を出すため」

にあるんですが、この軽快感というのがZX-14Rの裏コンセプトに繋がるんです。

メガスポーツというと世界最速が至上命題にあるわけですがZX-14Rにはもう一つ別の狙いがありました。

それは

『ZZRを造る』

という事です・・・これだけ言うとちょっと混乱しますよね。

2017年式ZZR1400

「いやいや先代や欧州名はZZR1400じゃん」

って。

でもこの場合のZZRという言葉が指す意味はそれじゃない。この場合が指すZZRの意味はこれ。

ZZR1100/D型

この系譜でもご紹介しているZZRの始まりでありZX-14Rの先祖様でもあるZZR1100です。※写真は後期モデル

ZZR1100はカワサキが考える独創的なスーパースポーツの形として登場し一時代を築いた名車。現代風にいえば最高速だけじゃない軽快になんでも熟せる万能スーパースポーツ。

ZX-14Rはこれを現代の技術で造るという裏コンセプトがあったんです。

GPZ900RとZX-14R

というのもZX-12RかZZR1200でも話したと思うですがカワサキ社内にはZやGPZ900Rこそがカワサキの象徴だと考える人がいる一方で

「ZZR1100こそがカワサキの象徴だ」

という人たちも数多くいる。

ZZRの事になると口を出さずにいられない

『ZZR信者』

という厄介な存在がいるわけです。

そして何を隠そうこのZX-14Rの開発リーダーを努めた大島さんもその一人で、もちろんZZR1100(D)のオーナー。

そんな大島さんはZZR1400の後継を任された際にこう考えた。

2017ZX-14R

「ZZR1100オーナーが満足するZZRを造ろう」

と。

そのために自身の価値観や経験はもちろんZZR1100オーナーの話を聞き回ったりオーナーのブログを漁ったりして

『ZZR1100が絶大な支持を得るに至った理由』

を徹底的に検証しZX-14Rに反映させた・・・軽快感を出すためにフレームまでをも見直した理由はここにあるわけです。

(ZZR1100は車格を感じさせない軽快なハンドリングが高い評価を得ていた)

それ以外にもメットホルダーの標準装備や収納式荷掛けフックなんかもZZR1100譲りですね。

2016ZX-14R

「じゃあなんでZZR1400からZX-14Rに改名したのか」

っていうとこれは新しくなった事をアピールするためマーケティング側の要望から。そんなもんだからインタビューなんかで

「名前はZX-14Rだけど造ったのはZZRです」

的なマーケティングを無視した発言をしてしまう始末。

ZX-14Rカタログ

ただ豪華にしたわけじゃない、ただ速さだけを取ったわけじゃない。

ZZR1100が持っていた

『何でも軽快に熟せる万能スーパースポーツ』

という要素を現代の技術で造ったのがこのZX-14Rなんです。

そんなZX-14Rも残念な事に規制の問題から2019年にブライト取扱が終了となりました。

ZX-14Rブライトファイナルモデル

『ZX-14Rという名の新世代型ZZR1100』

という狭義過ぎる為にマーケティングの観点から伏せられていたこの事実をどれだけのZZRファンが感じ取ってくれたのかは分からない。

もしも開発者達に負けないくらいZZR1100が大好きでまだこのZX-14Rを知らない人がいたら是非とも見て乗って体感して欲しいと思います。

ブライトカタログ

『ZZRこそがカワサキのフラッグシップ』

今でもそう信じ疑わず愛してやまない人たちが、同じように信じ疑わず愛してやまない人たちの為に造ったその想いを感じてほしいと切に願います。

主要諸元
全長/幅/高 2170/780/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1480mm
車体重量 265kg(装)
[268kg(装)]
{269kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1441cc
最高出力 200ps/10000rpm
最高トルク 16.6kg-m/7500rpm
{16.1kg-m/7500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,566,000円(税込)
[1,632,000円(税込)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400F)
※{}内はG/H型
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜FJR1300の系譜HAYABUSAの系譜世界最速の系

1400GTR(ZG1400C/D/E) -since2010-

2013コンコース14

モデルチェンジされZG1400C型(CONCOURS14はD型)となった二代目1400GTR。

一番の大きな変更点はKTRC(カワサキ トラクション コントロール)を採用したこと。実はカワサキで一番最初にトラクションコントロールシステムを採用したのはこの1400GTRだったりします。

1400GTRトラコン

前後のホイールに元々備え付けられていたABSセンサーで回転速度のズレを監視し大幅にズレた場合、燃料をカットしてリアタイヤを落ち着かせるというシステム。

ABSもコレを機に進化してK-ACT(Kawasaki Advanced Coactive-braking Technology)に。これはホンダの前後連動式C-ABSに近い仕組みで前後どちらかのABSが作動した場合バランスを崩さないようにロックしていない方のブレーキを自動で掛ける仕組み。ソレが今回から配分を変えられる様になりました。

面白いのがフューエルエコノミーアシスタントモードという機能。

1400GTRトラコン

6000rpm以下、スロットル開度30%以下、160km/h以下のみで使用可能な低燃費走行モードでバイクでは1400GTRにしか付いていません。

これはマッピングを希薄燃焼に切り替える事で燃費を向上させる機能。大陸横断スーパースポーツならではの機能ですね。

2015年にはマイナーチェンジのが入って1400GTRもCONCOURS14も型式をZG1400Eに統一。

ZG1400E

シート形状など細部の見直しが入っているんですが、一番大きいのは電動スクリーンに通風口が付いたこと。

あんまり目立たないんですがグランドツアラーとして見た場合、これが有ると無しでは大違いなんです。

ZG1400Eスクリーン

FJRの系譜でも話したので詳しい説明は省きますが、スクリーンというのは防風性を取れば取るほどメーターとライダーの間に負圧が発生してしまう。

負圧が発生するということはライダーが気づかぬ内に身体を前方に引っ張られてしまう。短距離ならそうでもないけど何日も掛けて長距離を走る場合これが結構疲労に繋がる。だから通風口を付けスクリーンからも空気を取り入れる事でその負圧を消しているというわけ。

2015年式1400GTR

そしてもう一つ副産物的なメリットがあります。それは風が入ってくるこということ。

風を防ぐためのスクリーンなのに風が入ってるなんて本末転倒のように聞こえますが、防風性が非常に高いバイクだと話が変わってくるんです。

防風性が高いということは、それだけ風を浴びることが無いので停車している時と近い状態になる。これで困るのが夏。走り出しても風を浴びれないので炎天下の元に座ってる状態になり下手をすると熱中症になる。

バイクの場合はヘルメットを被るのでまだ良いですがそれでも暑いものは暑い。ヘルメットのシールドを開けてもジャケットのチャックを開いても防風性が高すぎてそれほど風を浴びれない。

ZG1400Eスクリーン開放

だからこうやって敢えて正面から風を吹き込ませることが出来る通風口があるというのは負圧もそうですが非常にありがたい装備だったりするんです。

余談ですが、1400GTR(CONCOURS14)は白バイとしてカリフォルニア州などアメリカを中心に世界で採用されていたります。こんなバイクに追われたら逃げる気も失せますね。

カリフォルニア州の白バイ

写真はそのカリフォルニア州で話題のトランプ大統領を警護するシーン。1400GTR(CONCOURS14)もメイドインジャパンなんですけどね・・・。

主要諸元
全長/幅/高 2230/790/1345~1465mm
シート高 815mm
車軸距離 1520mm
車体重量 304kg(装)
[305kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8000rpm
[155ps/8800rpm]
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内は2016以降のABSモデル(ZG1400E)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

1400GTR(ZG1400A/B) -since2008-

1400GTR

「TRANSCONTINENTAL SUPERSPORT」

ZX-12RとZZR1200の一本化をしたかと思ったら出てきた1400GTR。ZX-14Rと分けようか迷ったのですが合わせて紹介しないと多分誰も読まないのでここに。

言ってしまえばZZR1400から更に中低速域におけるパワーの厚みを増したツアラー特化のようなモデル・・・なんだけど、まあこれが大人しい見た目に反して結構意欲的な造りをしてたりするので興味のない人も少しお付き合いを。

一応紹介しておかないといけないのですが1400GTRにもご先祖様が居ます。

コンコース1000

それは1986年にGPZ1000RXのツアラーバージョンとして出た1000GTR。

CONCOURS(コンコース)という名前は北米名。日本や欧州では1000GTR。この流れは今も変わらず、この1400GTRも北米ではCONCOURS14(ZG1400B)という名前。

上のカタログ写真を見ると、見るからに古いバイク感がありますが実はこれ最終にあたる2004年モデル。86年から大きく形を変えることなく続いたモデルだったりします。

そんな1000GTRの後継として3年ぶりに登場した1400GTRですが、ZZR1400と違う所として先ず挙げられるのが可変バルブタイミング機構を備えてる事。

1400GTR可変バルブタイミング

油圧によって吸気バルブのタイミングを変更する機能の事で、低回転時には速く、高回転時には遅く閉じるようになっています。車では非常にメジャーなので知ってる人も多いと思います。

なんで吸気のタイミングを変えた方がいいのか簡単に説明すると、回転数の高さというのはピストンスピードでもあるわけです。つまりピストンスピードの速さ・強さで負圧(空気を吸う力)も変わってくる。

そして一番効率(体積効率)を良く吸える開口時間(吸気バルブタイミング)というのはその吸う力によって違う。吸う力が弱い低回転でいつまでも空いていたら漏れるし、吸う力が強いのにすぐ閉まっちゃったら全然吸えない。

だから低回転と高回転でバルブタイミングを変えようとなって出来たのが可変バルブタイミング。どっかでも説明したかな。

1400GTR

1400GTRが可変バルブタイミングを取り入れた理由はボア・ストローク比をZZR1400から変える事なく中低速に厚みを持たせるためでしょうね。圧縮比も落とされて厚みを持たせるだけでなくマイルドな出力特性になっています。

そしてもう一つ。どちらかというとコチラの方が1400GTRを最も表す部分かな。

1400GTR

1400GTRはシャフトドライブ駆動なんだけど、シャフトドライブなのにテトラレバーリヤサスペンションといって両持ちでリンクロッドが4本も伸びてる凄い形をしてる。

これはシャフトドライブの宿命である加減速時に起こる反トルクから来るサスペンションの上下運動を可能な限り抑えるため。BMWのパラレバーが有名ですね。

1400GTR

シャフトドライブのスーパースポーツが少ないのはこの反トルクによる挙動のブレがあるからなんですが、カワサキはそんな反トルク対策のロッドを4本も付けてシャフトドライブ特有の挙動を徹底的に消し、チェーン駆動と変わらない挙動にしているわけです。だからリアアーム周りがシャフトドライブにあるまじきマッチョさを持ってる。

初代1400GTR

GTではなくGTRとしているのは、メンテンスフリーなシャフトドライブ駆動ながらも、時にはチェーン駆動であるZZR1400の様にスポーツ走行も出来る特性を持たせたからでしょう。

2009CONCOURS14カタログ写真

もちろんキーレス、パニアケース、DC電源ソケット、電動スクリーン、空気圧メーターといったグランドツアラーとしての装備はちゃんと備えられてますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 815mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8800rpm
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZG1400B)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1400(ZX1400C/D) -since2008-

ZX1400C

規制強化に伴いマイナーチェンジされたC型とD(ABS)型。

外見上の変更ほぼ無いものの、EURO3規制に対応するためにエンジンに手が入りました。

O2センサー(欧州仕様)の追加、キャタライザーの増設などで排ガス規制をクリア。凄いのは規制に対応させただけじゃなくて吸気ポートやピストンやインジェクターの改良で従来モデルよりも3psアップしてること。

しかも単に馬力を上げただけでなく出力特性をマイルドにし、中低速域を更に改善しています。その分お値段と車重がちょっと上がっちゃったけどね。

ZZR1400/ZX-14はフラッグシップモデルとして2011年まで5年間ほど販売されていた事もあって多彩なカラーリング設定がありました。

ZZR1400C

上の写真はその一例である2009年SEカラーなんですが、ZZR1400のカラーリングでちょっと意外だったのがライムグリーンが出たこと。

カワサキと言えば誰もがライムグリーンを思い浮かべると思うのですが、ZZR1400で正規逆輸入車(アジア仕様 ※実質日本向け)でライムグリーンの設定があったのは最終年度となる2011年モデルだけ。

ZZR1400C

というか実は歴代ZZRでライムグリーンの設定は(記憶が確かなら)一度も無かった。カワサキとしてはZZRとZ・Ninjaは違うという意志表示だったのかもしれないですね。

それが最後の最後でどういう心境の変化があったのか分かりませんがライムグリーンのZZRが出たというわけです。後継がNinjaになったのもそういう事なんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 190ps/9000rpm
最高トルク 15.7kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,420,000円(税別)
[1,480,000円(税別)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400D)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1400(ZX1400A/B)-since2006-

ZZR1400

「FLAGSHIP MEGA SPORTS」

再び一本化して登場したZZR1400のA型とABS付きのB型。

バックボーン式モノコックフレームなのを見ると分かる通りどちらかといえばZX-12R色が強くなっています。

ZZR1400カウルレス

エンジンもZX-12Rの物をベースに排気量を153ccも上げた物ですが、ロングストローク化やスロットルボディの小径化などZZR1200が持っていた低域での扱いやすさも重視した改良内容。

それでも車重は12Rとほぼ同等という見た目からは想像が付かない軽さを持っています。

ZZR1400質実剛健

しかし改めて見ると本当に面白いフレームですよね。

エアクリーナーボックス兼バッテリー兼フレームで、サブフレーム(シートフレーム)もありえないほど下の方から伸びている。

06zzr1400

これのおかげでシート高も12Rから10mm下がって800mmになっています。

でも一番話題になったのはやっぱりミラーに写ると思わず道を譲りたくなってしまうインパクトのある顔。

zx14face

デザインされたのはマツダの初代ロードスターなどを担当された田中俊治さんなんですが、とにかく一度見たら忘れられない魑魅魍魎さを出すことがコンセプトだったそう。

ZZR1400コンセプトスケッチ

それまで培ってきた自動車デザインよりも面白いと言い切っちゃってる辺りZZR1400のデザインは相当刺激的でエキサイトメントだったんでしょうね。

ZZR1400金剛力士

もちろんベースとなっているのは徹底的に追い求めたエアロダイナミクスによるもの。

1352ccで乾燥重量215kgで190馬力

全域最速パワーと一度見たら忘れない顔。ただそれだけでなく扱いやすさも兼ね備えていた事から非常に人気となりました。

zzr1400/zx1400a

最強ZZR1200と最速ZX-12Rを一本化した事で最強最速となったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1460mm
車体重量 215kg(乾)
[218kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 180ps/9000rpm
最高トルク 15.0kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400B)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZRX400/2(ZR400E/F) -since 1994-

ZX400K

ゼファーでブイブイ言わせてたカワサキが出したもう一つのネイキッドであるZRX。

ZZR400の水冷エンジンを積んだモデルで見た目から分かる通りローソンレプリカでお馴染みZ1000Rをイメージしたネイキッド。ローソンのZ1000Rというのは簡単に言うとアメリカのレースにおいて憎きホンダを打ち負かしチャンピオンに輝いたマシンです。

KZ1000R

フルカウルのZZR、ネイキッドのZRXという住み分けですね。ちなみに兄貴分はZRX1100/1200/DAEGといい、”ZRX”だけだとこの400の事を指します。

弟分であることから勘違いされがちですがこう見えて兄貴分であるZRX1100より2年も先に出ています。

ZRX1100

上が1100で下が400。

ZR400E

ただ同じZ1000Rがデザインベースながらも比較的スポーツルックなデザインにリファインしたZRX1100に対してZRXはお尻の跳ね上げなどもせず非常に渋いZに通ずるデザイン。

マシンの特性も見た目通りで、クラスとしては小柄で俊敏な1100に対して400は大きくドッシリ系のバイク。

ZRX-2

一年遅れでビキニカウルを外して砲弾型メッキメーターやメッキホイールを採用したオーソドックスなZRX-2も発売。

多分ZRXシリーズで混乱してる人も多いと思うのでまとめると

400はビキニカウルが付いた1と丸目の2

1100もビキニカウルが付いた1と丸目の2

1200はビキニカウルのRと大型のハーフフェアリングを付けたSで丸目なし

DAEGはビキニカウルのRのみで丸目もハーフフェアリングもなし

という事になってる。ややこしいね。

ZRX-II

まあ要するに丸目ZRXは400と1100だけですが、結局ビキニカウルの付いた無印やRしか売れなかったから1200以降では無くなったわけですね。大した防風性もないビキニカウルの方が売れるネイキッドって珍しいですよね。

ZRXスーパーブラック

これがZの神通力というやつでしょうか。

今さらアレコレ言うバイクじゃないので書くことがない・・・のでエキセントリックカラーの話をしましょう。ZRXといえばコレでしょう。

ZRXフレーム

ZRXシリーズの特徴であるエキセントリックカラー。

ZZR1100やゼファー等にも採用された歴史があり、新型のZ1000(D型から)にも採用されてますけど、ZRXがDAEGまで採用されていた事と丸パイプスイングアームに似合ってることからZRXのイメージが強い人も多いのではないでしょうか・・・そうでもない?

構わずに話を勧めると、これはまあ見て分かる通りチェーンアジャスターなわけですが一般的なのはこんなのですよね。

チェーンアジャスター

アクスルシャフトを緩めて、アジャストナットを回して左右のズレと張りを見ながら調整してアクスルシャフトを絞めて完了。やったことある人は分かると思いますが非常に面倒くさいです。

ところがこれがエキセントリックカラーならとっても簡単。

エキセントリックチェーンアジャスター

スイングアームの先端に付いているクランプボルトを緩めてエキセントリックの穴に六角を突っ込んで回して調整しクランプボルトを絞めるだけ。左右両方やる必要もアクスルシャフトを緩める必要もなし。なんてお手軽エキセントリック。

更にエキセントリック使い(?)の間では有名なんですが、このカラーは真円つまり360度回るので、カラーを反転させる事も出来るわけです。

エキセントリックカラー反転

こうすると何が変わるのかというと車高が変わります。

下に向ければ車高が上がり、上を向ければ足付きが良くなる面白い構造・・・なんだけど、このエキセントリックがメジャーにならない理由はここにあるわけです。

要するにチェーンの張り調整次第で車高まで変わってしまうんですね。そうすると挙動も大きく変わってしまうので面白いと思う人がいる一方で、違和感を覚える人も非常に多いというわけ。

ZRX400

最後にZRXに話を戻しましょう。

ZRXはZZRと併売されていたんですが、96年にはラジエーターマウント位置の変更とリアサスリザーバータンクデザインの変更といった少変更が入ってますが、大きく変わったのは1998年モデルから。

ZRXモデルチェンジ

K-TRICキャブ(KAWSAKI Throttle Responsive Ignition Control)、サイレンサー別体式マフラー、そしてクラス初となる6POTキャリパーなど。

K-TRICっていうのは要するにイグナイターの点火タイミングを遅らせてノッキングを起こさせない様にするシステム。なんでそうなるのかっていう話まで始めると途方も無い長さになってしまうのでそのうち豆知識にでも書きます。

ZR400E後期

そしてローソンカラーが出たのもこの98年モデルから。ZRXシリーズってDAEG含めて全部そうなんだけど、ローソンカラーは絶対後出しなんだよね。消費者の心理をわかってるというか商売上手というか・・・

一応この後も02年にはギア比の変更、04年にはイモビの採用といった少変更が加わってますが、大きく前期後期と分けるなら~97と98~でしょうね。

結局ZRXはZZRよりも一年長い2008まで販売が継続されました。

ZRX火の玉カラー

カワサキの400ネイキッドといえばゼファーってみんな答えるけど、Zの流れを見たらZRXの方がZに近いネイキッドかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2095/745/1130mm
[2095/745/1080mm]
<2075/745/1115[1065]mm>
シート高 770mm
車軸距離 1450mm
車体重量 185kg(乾)
[195kg(乾)]
燃料消費率 36.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 3.8kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R17(57H)
後150/70R18(70H)
<前110/70R17(54H)
後150/70R18(70H)>
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前15|後43
<前15|後42>
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 659,000円(税別)
[679,000円(税別)]
※[]内はZRX-II(ZR400F)
※<>内は98年以降
系譜図
zx400d1985年
GPZ400R/FX400R
(ZX400D/E)
zl400a1986年
エリミネーター400/SE/LX
(ZL400A/B/C/D)
zx400f1987年
GPX400R
(ZX400F)
Zx400k/n1990年
ZZR400
(ZX400K/N)
ZR400E1994年
ZRX/2
(ZR400E/F)

【関連車種】
CB400の系譜XJR400Rの系譜GSR400の系譜

ZZR400(ZX400K/N) -since 1990-

ZX400K

ZZRシリーズの三男坊として登場したZZR400。カワサキの400においてゼファーとゼファーχの合算を除けば一番ロングセラーとなったモデルです。なんと17年も続きました。

GPXの反省からか、ちゃんとアルミのアルクロスフレーム(新設計)を採用しています。前年に出たZZR1100の流れを組むカウルデザインで600と共有なので相変わらずデカイけど、このGPZ400Rから続く層においては外せないポイントだということがカワサキも分かってるんでしょうね。

いわゆる「ZZRブランド」の始まりになるんだけど、GPXブランドが失敗が非常に活かされててて、ZZRブランド(1100・600・400・250)の住み分けは本当に考えられていた。

長男の1100は今ではメガスポーツのパイオニアと言われているように徹底的にスポーツ性能、最速を念頭に置いたバイク。そしてZZR600もそれに準ずるカリカリなライトウェイトスポーツツアラー。

ZZR400

それに対してZZR400は堅実過ぎてアクビが出るほど王道なスポーツツアラー。

当時としては群を抜くような速さも軽さも持ってなかった。エンジンは新設計なんだけどイタズラに速さを追うわけでなく中低速を考えた故の事。

これはZX-4そしてZXR400というレーサーレプリカ系(ZX400GE系)が居たから可能だった事かもしれないけど、とにかくZZR1100や600とZZR400は名前こそ同じZZRであり同じファミリーなんだけどコンセプトが全く違う。夢想家の1100、実際家400といった感じ。

ZX400N

93年にはエンジンフレーム共に見直しが入り、他にもMFバッテリーやハザードなど日常生活での恩恵があるこれまた堅実な変更。カウルデザインも流線的に改められたんですが、一番はラムエアですよ。

ZZR1100によって大きく広まったラムエアシステム。これは走行風を積極的にエアクリーナーに送り込んで空気を圧縮するという慣性ターボみたいな仕組みのことなんですが、まさか400でラムエアを取り入れてくるとは・・・

繋がってない飾りとかZXRに付いてるK-CAS(空気をシリンダーヘッドに当てて冷やす)と思ってる人が多いですが違います。ちゃんとラムエアでエアクリーナーに繋がってます。

ZX1100CD

しかも長男の1100がC型ひょっとこ、D型ブタ鼻というちょっとアレ(今見ると味があるけど)なダクトデザインだったのに対し、400は比較的まとまったデザイン。

04ZZR400

これは効果よりデザインを優先したんでしょうね。ラムエアって時速200km超えるような状況じゃないと効果は・・・でも飾りじゃないですよ。ちゃんと繋がってます。

最初に言った通りカワサキはアンチレーサーレプリカを掲げてて、結局ブームに負けてZXR400という吹っ切れたレーサーレプリカを出してきたんだけど長くは続かないと踏んでいて、次に来るのはスポーツツアラーと読んでいた。

ZZR400N

他のメーカーは「ツアラーは日本では非常にニッチなクラス」という認識だった(実際人気は無かった)から何処も力を入れてなかった。

結局他のメーカーの読み通りスポーツツアラーブームが来ることはなくカワサキの読みは大外れしたんだけど、レプリカやネイキッドほどではないにしろ一定の需要があった。そしてその需要にGPZ400Rの頃からGPXで躓こうとも応え続けていた結果、奪い合うには小さすぎるパイはZZR400の独占状態になってたというわけですね。(途中スズキから何か出てたけど)

ZZR250

これは250もそう、というかこれは250の方がそうかな。鳩サブレと馬鹿にされようと続けていた結果、ZZR250という名車が生まれ、更にはもはや説明不要なNinja250Rまでもが生まれた。売れないと言われたカテゴリで。

バイクも

「名車は一代にして成らず」

ですね。

結局ZZR400は2006年モデルを最後に生産終了となり、少し間を開けてNinja400にバトンタッチしました。

ZZR400カタログ写真

17年にも及んだ400ツアラーという大役を終えた小さい需要の大きなバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2075/695/1175mm
[2070/695/1175mm]
シート高 780mm
車軸距離 1440mm
[1430mm]
車体重量 193kg(乾)
[195kg(乾)]
燃料消費率 35.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 58ps/12000rpm
[53ps/11000rpm]
最高トルク 3.7kg-m/10000rpm
[3.8kg-m/9000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YB12A-AK
[YTX12-BS]
プラグ CR9E
または
U27ESR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|後49
[前15|後52]
{前17|後46}
チェーン サイズ530|リンク112
[サイズ530|リンク114]
{サイズ530|リンク112}
車体価格 659,000円(税別)
[679,000円(税別)]
※[]内はZX400N
※{}内は2001年以降モデル(ZX400N8)
系譜図
zx400d1985年
GPZ400R/FX400R
(ZX400D/E)
zl400a1986年
エリミネーター400/SE/LX
(ZL400A/B/C/D)
zx400f1987年
GPX400R
(ZX400F)
Zx400k/n1990年
ZZR400
(ZX400K/N)
ZR400E1994年
ZRX/2
(ZR400E/F)

GPX400R(ZX400F) -since 1987-

GPX400R

「Xの思想」として出されたGPX400R。

GPZ400Rのエンジンをベースにフリクションロスと重量を減らす改良を施し、フレームもFASTフレームなる新しく設計しなおしたもの。

・・・GPZ400Rでチョロっと話した通り売れませんでした。

GPX400R

先ず先代ではアルミだったフレーム(アルクロス)からスチール丸パイプフレームへとなったこと、デザインが保守的で代わり映えしないこと、そして何よりレーサーレプリカ全盛期だったこと、が挙げられると思います。

カワサキも余りの売れ無さに最終的にはアルミフレームのGPX400Rに改良されたGPX400Rのエンジンを積みNinjaの名を冠したGPZ400R改を売る形を取りGPXは捨て去られました。

話を少し戻して「Xの思想」について少し。

カワサキがGP”Z”をやめてGP”X”を始めたのはXという新たなブランドを展開するため。

Xというのはザックリ解釈していうと「究極のZ」に対して「身近なX」という感じ。もともとGPZもアンチレーサーレプリカで控えめな前傾とシート高が特徴の言わばスポーツツアラー的な存在だったんだけど、何でもかんでもZにするのはやめようということで、速さを求めたモデルであるZと、スポーツモデルながら扱いやすく身近に感じるXと分けようとしたんだね。

このGPX400Rを見ると分かるように、シートが更に少し下げられ、荷物を載せられる様にグラブバーが付けられ、視認性に優れるイエローハロゲンにされてる。

非常にユーザーの事を考えて作られてたんけど、レーサーレプリカブーム真っ只中だったもんだから出鼻を挫かれGPXという車名自体が無くなってしました。

GPX250R

Ninja250の方で書いてるんだけどGPX250Rは成功したんですけどね。

GPZの頃は400が大成功で250は鳴かず飛ばず、GPXでは400が鳴かず飛ばずで250が大成功。

やっぱり250も400も両方成功させるのは松竹梅商法になってしまうから難しいか。

というか今では当たり前だけどZX-4とかZXRとかZRXとかZとXがコラボしだして、意味が四気筒になってと、もはやXの法則というか意味がよく分からん事になってますね。

一応今のところXは車名型式共にカウルが付いているスポーツモデルの意味(ZXRやZX-10Rなど)となってます。

主要諸元
全長/幅/高 2105/690/1155mm
シート高 755mm
車軸距離 1415mm
車体重量 174kg(乾)
燃料消費率 40km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.6kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後130/90-16(67H)
バッテリー YB12A-AK
プラグ D9EA
または
X27ES-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.6L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後40
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 659,000円(税別)
系譜図
zx400d1985年
GPZ400R/FX400R
(ZX400D/E)
zl400a1986年
エリミネーター400/SE/LX
(ZL400A/B/C/D)
zx400f1987年
GPX400R
(ZX400F)
Zx400k/n1990年
ZZR400
(ZX400K/N)
ZR400E1994年
ZRX/2
(ZR400E/F)