Bandit1250/S(GW72A)-since 2007-

2007年式バンディット1250

「フルバンクで行く週末」

先代と入れ替わる様に登場した新世代のバンディットことbandit1250のGW72A型。

最大の特徴は何と言っても水冷になったこと。

バンディット1250エンジン

わざわざバンディットの為だけに造った専用開発エンジン。

先代よりもストロークが5mm長く、シリンダーもメッキ化し圧縮比もアップ。

そして微振動を打ち消すバランサーを搭載していながら『10.9kg-m/3500rpm』という太いトルクを発生。

GW72Aエンジン

もちろんFI化とデュアルスロットルバルブSDTV(Suzuki Dual Throttle Valve)という新技術搭載で非常に調教されたスムーズさ。

見た目はほとんど同じなんだけど先代までの1200とこの1250は本当に別物です。

先代が古き良きゴリゴリ感があったのに対し、このモデルは本当にスムーズでヒュンヒュン回る。皆さんが漠然と思う油冷(空冷)と水冷のイメージをそのまま研ぎ澄ましたような形。

Bandit1250とBandit1250S

ちなみにみんな丸目バンディットを見たことが無い事からも分かるように人気はSに集中し、丸目モデルは発売から二年ほどでラインナップから消えました。

と思ったら2011年からイメチェンして再登場。

2011年式Bandit1250

グラディウスっぽいヘッドライドに新デザインのフレームネックカバー。

更にブラックアウトエンジン(※以降の全モデル)やクリアレンズに専用テールなど色々と手が加えられましたが・・・反対に人気を呼んだのが同時期に発売されたFモデル。

Bandit1250F

GSX-Rかと見紛うルックスのフルカウルモデルです。ちなみに北米などでは名前もGSX1250F。

こちらはバーハンの楽ちんGSX-R1250の様なものなのでコンスタントに1000台/年ほどの人気を獲得。

無印ネイキッドには申し訳ないけど、この偏り方バンディットのコンセプトと人気の理由をよく表していますよね。

Bandit1250S

「ビッグネイキッドに必要なのは優れたオールラウンド性」

っていう。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1095mm
[2130/790/1235mm]
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 250kg(装)
[252kg(装)]
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 950,000円(税別)
[980,000円(税別)]
{1,040,000円(税別)]
※[]内はバンディット1250S
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

KLX125(LX125C) -since 2009-

KLX125

「Fun to ride」

80年代にあれだけ流行っていた林道ブームが完全に去ってしまった事と、排気ガス規制により死滅状態になってしまった市場に登場したKLX125。

それまでのフルサイズと違い75%くらいのミニモトサイズ。タイを中心に発売されているKLX150をベースがベースです。

KLX150

スチール製ペリメターフレームや5速ミッション、フルデジタルメーターなど125としては結構上等な装備をつけています。更にISC(アイドルスピードコントロール)付きのFIとセルも装備。

125オフが実質KLX125一択だったこともあり初動は良かったようです。

D-TRACKER125
(LX125D) 
-since 2009-

D-TRACKER125

「easy to ride」

こちらはモタードモデルのD-TRACKER125(LX125D)。KLXとの違いは倒立フォークと前後14インチのホイールを履いている事。ミラーなどの細部も変更されていたりします。一部では小虎という愛称で親しまれていますね。

LX125C/LX125D

2012年にレギュレーターやシートが改良され、2014年にはサスペンションの変更が入っています。

残念ながらD-TRACKER125の方は2015年、KLX125の方は2016年モデルをもって生産終了(店頭在庫のみ)となりました。後継が控えてるとは思いますが。

LX125D

さて・・・4st空冷2バルブエンジンで10.2馬力という点を見てもらうと分かる通り、KLX125/D-TRACKER125はお世辞にも速いとはいえない125です。場合によっては昨今のスクーターより遅いです。今時の125MTにしては走る方ですけどね。

それは4stになったという事が大きいわけですが、ご存知の通り2stと4stでは抗えないほどの差があります。馬力で比べるとKDX125SRの22馬力から10馬力と半減。加えて言うとオフロード車というのは軽さも非常に大事なわけで、これも4st/2stではエンジンの構造上どうして重量差がある。

排ガス規制の煽りを一番受けているクラスはこの125オフでしょう。2stの頃は250に負けない性能が当たり前だったわけですから。

KLX125/D-TRACKER125

ただ悪いことばかりではありません。カワサキもパワーを出せないなら出せないなりに考えています。

まず分かりやすいのが最初に言ったフルではなくミニモトな車体サイズ。このおかげで足つきも小回りも良い上に車重もそれなりに抑えられている。D-TRACKERなら14インチホイールだから更に良くなります。

そしてFI採用による正確な燃焼により空冷ながら40km/Lが当たり前という恐るべき低燃費性能。パワーが2st時代の半分になったぶん燃費が二倍に伸びてるわけです。

マフラーからオイルも吹かないし、FIということでキャブのように神経質になる必要もない。更には125だから維持費も安い・・・と考えるとオフ/モタというより通勤通学に非常に使えるMTバイク。

サスペンションなどが柔めに設定されていることを見ても、カワサキもそこら辺を狙ったんだろうと思います。原付二種の需要が日に日に高まっていた中でカワサキはスクーター持っていませんからね。

LX125C

ただ通勤通学に打ってつけの125MTとはいえ腐ってもオフ/モタです。特化したモデルほどの走破性は持ち合わせていないけどそれなりのものは持っている。行こうと思えば道を選ばずに行けるわけです。

毎日の通勤通学で気にも止めていなかったあぜ道、誰も通らないガレた道、そういった道と認識していなかった道を

「通れるのかな。何処に繋がっているのかな。」

と足つきの良さと、小ささと、大人しいエンジンで両足をペタペタと付きながら走ってみる事が出来る。そうすれば全て知っているつもりだった地元の知らなかった新しい一面や遊び場を発見出来る。

D-TRACKER125/KLX125

皆が一分一秒を争う通勤通学レースに勤しむ中、トコトコとコースアウトしてあらぬ場所に出てしまうという楽しいタイムロスができる道草バイク。

主要諸元
全長/幅/高 1980/770/1090mm
[1900/770/1060mm]
シート高 830mm
[805mm]
車軸距離 1285mm
[1255mm]
車体重量 112kg(装)
[113kg(装)]
燃料消費率 46.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 7.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 10.2ps/8000rpm
最高トルク 1.0kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前70/100-19(42P)
後90/100-16(51P)
[前100/80-14(48P)
後120/80-14(58P)]
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7HSA
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
交換時0.9L
フィルター交換時1.0L
スプロケ 前14|後47
[前14|後44]
チェーン サイズ428|リンク124
[サイズ428|リンク122]
車体価格 339,000円(税込)
[359,000円(税込)]
※[]内はD-TRACKER125
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

KDX125SR(DX125A) -since 1990-

KDX125

「Welcome to Woody World」

KMX125の後継モデルとなるKDX125SR。

最大の特徴はクラス初の倒立フォークもそうなんだけどペリメターフレームを採用したこと。ペリメターフレームというのはツインスパーのカワサキ呼称で太いトップチューブが二本あるフレームの事。

ペリメターフレーム

KMX125を見ると分かる通り従来のフレームは一本の太いフレームが通っていたタイプでした。

何故ここに来てフレームが大きく変わったのかというと、先に紹介したユニトラックサスやディスクブレーキといった大幅な走行性能の向上(速度の上昇)によってフレームの剛性を上げる必要性が出てきたから。フロントフォークが倒立になったものステム周りの剛性を上げるためです。

KDX125SR

そしてこのフレーム変更には剛性以外にもう一つメリットがあります。それはキャブを始めとした吸気系レイアウトの自由度が増すこと。

従来のフレームだとセンターに太いフレームがあったから高さの制約が大きかった。それが横を通るタイプのフレームになった事で高さの制約が緩和され、吸気からキャブ、キャブから燃焼室までを積み木のようにダウンドラフトキャブ(垂直キャブ)など直線で結ぶ事が可能になったというわけ。

ただし、じゃあKDX125がストレート構造になっているかというと・・・なっていません。

KDX125SRカタログ写真

吸気ラインを直線で結ぶということは吸気系を後ろ側に持っていかないといけない。エンジンの吸気は後ろ側ですからね。

そうするとリンク構造の付いた優れたユニトラックサスのスペースと被ってしまうわけです。サスペンション担当は当然ながらそんな事は絶対に許さない。でもエンジン担当も吸気ラインをストレートにすればもっとパワーを出せるとこれまた譲らない。

二者択一な状況になってしまうわけだけど、先代で言った通り”速く走るためには馬力ではなくサスペンション”という考えからユニトラックサスが優先されたというわけ。エンジンよりもサスペンション優先な作りということです。

KDX125A

KDX125は2st125オフロードとしては最後のモデルで、今まで挙げてきたユニトラックサス・ディスクブレーキ・ペリメターフレームとモトクロッサーKX125をそのまま公道仕様にしたモデルということもあり非常に人気で、2000年に排気ガス規制で生産終了となるまで大きく変更されることもなく長く発売されました。

一応1991年モデル(A2型)で電装系の改良とディスクブレーキカバーの装着、94年(A5型)でリアサスのリザーバータンクが別体式にされる改良が入っています。

主要諸元
全長/幅/高 2115/855/1190mm
シート高
車軸距離 1395mm
車体重量 104kg(乾)
燃料消費率 56.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.0L
エンジン 水冷2サイクル単気筒
総排気量 124cc
最高出力 22ps/9500rpm
最高トルク 1.9kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前70/100-21(44P)
後4.10-18(4PR)
バッテリー YB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
スプロケ 前15|後52
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 335,000円(税別)
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

KMX125(MX250A) -since 1986-

KMX125R

「2-STROKE INCENTIVE PERFORMANCE」

KE125以来11年ぶりの登場となったKMX125。モトクロッサーKX125がベースとなっています。

KX125

排気デバイスKIPSの採用で22馬力に上がったパワーも目を引くけど、最大の売りはクラス初採用となったディスクブレーキ。

この頃はまだまだドラムブレーキが主流でディスクはタブーに近かった。泥や石といったゴミがキャリパーに入ってきてトラブルを招く恐れがあったからですね。サスペンションのストローク量が多い事からブレーキラインの取り回しの大変さもあります。

しかしドラムブレーキは重くなる上に効きがコントローラブルじゃない。そんな中でカワサキはライバルに打ち勝つ為にタブーとされていたディスクブレーキを採用したモトクロッサーでレースに挑み、トライアンドエラーを繰り返すことで実用化にこぎつけたわけです。始まりはZ400FXのリアキャリパーの流用からだったそうです。

KMX

そして1982年の市販モトクロッサーKX125にて標準採用され、市販車KMX125にも下りてきたというわけ。

このカワサキが形にしたオフロード車でのディスクブレーキは制動力が一気に上がった革新的な装備で、モトクロスレースの走り方を一変させました。

ただもう一つ忘れてはならない革新がユニトラックサスです。今ではスポーツバイクでは欠かせない装備となっているリンク式モノサス(一本サス)ですね。

ユニトラックサスペンション

これは初期の物で現在の物(ボトムリンク式)とは少し違うので違和感があるかもしれませんが、これがリンク式モノサスペンションの原型。

こうすると何が良いのかというのを簡単に言うと、スイングアームが直接サスペンションを動かすわけではないので、ホイールトラベル(ホイールの上下の動きの幅)を大きく取れ、初期沈みは柔らかく吸収し路面を追従する一方で沈み込みが深くなると踏ん張る(簡単に底打ちしない)プログレッシブ(二次曲線)な特性を得られる。

これが出るまでのいわゆる二本サスというのは衝撃を受けたら受けた分だけ比例してサスペンションが縮んでいた。それで問題となるのは底打ちした時。ドッタンバッタンと動くオフロードでサスペンションが底打ちをすると吸収しきれなかった分の衝撃がライダーに来るので吹っ飛んでしまう。

だからとっても硬いサスペンションにして底打ちさせないようにしていたんだけど、そうすると今度は簡単なギャップを全く吸収せず弾くようになるからポンポン跳ねるようになりスピードを出すのが難しい状況だった。

そんなデメリットを解消したユニトラックサスは上で紹介したディスクブレーキ以上に革新的なサスペンションで、始めて装備したモトクロッサーKX125は圧倒的な速さを誇り、ライバルメーカーも後を追うようにリンク式サスペンションへと変わっていきました。

ただ面白い事にこのユニトラックサスを最初に考えたのはモトクロッサーKX125の開発メンバーではありません。これを実現させようと開発していたのは同じ設計室で進められていたKR350/250というロードレーサーのチーム。

カワサキKR

先に挙げたサスの問題を抱えていたKXの増田さんがその構造を見て

「これはオフロードにこそ必要だ」

という事で拝借のような応用。それが正しい判断で大成功に繋がったというわけ。

KMX

このユニトラックサスペンションによる大変貌&快進撃によりカワサキは

“速く走る為に大事なのは馬力ではなくサスペンション”

とそれまでの考えを改める事になりました。

主要諸元
全長/幅/高 1988/840/1165mm
シート高 845mm
車軸距離 1375mm
車体重量 96kg(乾)
燃料消費率 44.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.0L
エンジン 水冷2サイクル単気筒
総排気量 124cc
最高出力 22ps/9000rpm
最高トルク 1.7kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(4PR)
後4.10-18(4PR)
バッテリー YB4L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.2L
スプロケ 前14|後48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 282,000円(税別)
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

KE125(KE125A) -since 1975-

KE125

「駆ける、翔ぶ―目的は2つ。」

低速寄りに変更され13馬力となったエンジンと、クラス初となる六速ミッションを装備したKE125。実質125TRの最終モデルなバイクです。

KE125後期

二本サスながらホイールサイズもフロントを21インチに上げることで走破性がアップなど手堅いモデルチェンジと80年にタンクが角タンクへと変更されたくらいで先代から数えて12年あまりのロングセラーとなった125最速トレールでした。

KE125赤タンク

ちなみに上の写真を見ると分かる通りこの頃のカワサキといえば”緑”というよりかは”赤”でした。

これが何故かと言うと、カワサキが一番初めにレースで成果を上げたのが1963年のモトクロス選手権だったんですが、この時のバイクが赤タンクだったんです。

その事からしばらくはロードレースなども”赤タンク”をセールスで広く採用。

赤タンク

「カワサキ=赤タンク」

というイメージで押していました。じゃあどうして赤を止めて緑にしたのかというと・・・

「赤=ホンダ」

が既に広く定着し被ってしまったから。

主要諸元
全長/幅/高 2075/870/1075mm
シート高
車軸距離 1350mm
車体重量 115kg(装)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.7L
エンジン 水冷2サイクル単気筒
総排気量 124cc
最高出力 13ps/6500rpm
最高トルク 1.5kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21-4PR
後3.50-18-4PR
バッテリー 6N6-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8HS
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.3L
スプロケ 前14|後50
チェーン サイズ428|リンク126
車体価格 185,000円(税別)
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

125TR(F6/F6B) -since 1970-

125TR

「躍動マシン BOBCAT」

カワサキのトレール四兄弟の三男坊として登場した125TR。このTRシリーズには動物の名前も一緒に付けられていて、この125は山猫(ボブキャット)でした。

ちなみに全部を並べると

カワサキトレールシリーズ

350TR=BIGHORN(オオツノヒツジ)、250TR=BISON(バイソン)、125TR=BOBCAT(ボブキャット)、90TR=TRAIL BOSS(牛または牛追い)

です。バイソンは商標登録の関係ですぐ無くなりましたが。

モトクロッサーMX125をベースにしつつ、前後18インチ(後に21インチ)や二本サスなことからも分かる通りガチガチのオフロードバイクというよりオフロードバイクへ寄っていっている途中のスクランブラー的なバイク。

カワサキトレールシリーズ

とはいうもののエンジンはロングストロークエンジンながら15馬力とクラストップの速さを持ち合わせていました。

ちなみに125-TRはマイナーチェンジや海外向けモデルで125MSとなったりKS125に変わったりと名前が結構コロコロ変わっています。

カワサキは1960年代からオフロードレースや市販車に参入し始めたのですが、この(とにかく馬力な)TRシリーズが市場で功を奏した事からパワー路線を全面に押し出す方向性で波に乗っていきます。

主要諸元
全長/幅/高 2000/850/975mm
シート高
車軸距離 1315mm
車体重量 115kg(装)
燃料消費率 49.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.0L
エンジン 水冷2サイクル単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/7500rpm
最高トルク 1.4kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-18-4PR
後3.25-18-4PR
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
B8HS
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
スプロケ
チェーン
車体価格 153,000円(税別)
系譜図
125TR

1970年
125TR
(F6)

KE125

1975年
KE125
(KE125A)

KMX125

1986年
KMX125
(MX125A)

KDX125SR

1990年
KDX125SR
(DX125A)

KLX125

2009年
KLX/D-TRACER125
(LX125C/D)

Address125(DT11A)-since 2017-

2017年式アドレス125

「Stylish Scooter」

V125の後釜として登場したアドレス125。若干大柄になりVの文字が無くなりました。

Vがどういう意味だったのかスズキから正確なアナウンスはありませんが、系譜から見るに上位グレードを表す意味だったのかと。

そんなアドレス125の装備面を見ると目立った変更点といえば次世代低燃費エンジンSEPと前後アルミホイールを装備したこと。

2017年式ADDRESS125

その代わりV125Sに付いていたデジタル時計も省略と少し寂しい変更もあるんだけど、税込みで221,400円という安さを考えるに文句は言えませんね。

V125ベーシックより20,000円以上安く、ADDRESS110と16,200円しか変わらないんですよ・・・こうなるともう110買う人は居ないのではなかろうか。

ただまあ正直に言うと

2017年式アドレス黒

「アジア臭が強い」

という印象・・・を持たれた方が多いかと思います。

しかし注意して見てみると、(失礼ながら)こう見えてかなり国内偏重と取れる箇所が節々にあります。

一つはホイールサイズ。

アドレス125サイド

ホイールが鉄からアルミにグレードアップされたわけですが、サイズが

フロント:90/90-12|リア:100/90-10

と昨今のアジアスクーターとしては非常に小さい。リアに至ってはV125から変わらず。

フロントホイール

ホイールサイズが小さいと荒れた路面が苦手になります。だから路面の舗装がまだ行き届いていないアジアでは最低でも14インチが基本。欧州もこの傾向。

なのにアドレス125は12/10インチとかなり小さいサイズ。これは荒れた路面への対応を捨て、小さい事のメリットである小回りや取り回しの良さを取ってるから。

つまりこのアドレス125は完全に中国や台湾、それに日本といった極東がメインの原付二種ということ。

アドレス

110がインドネシア生産なのに対し、125は中国なのもその為かと。

もう一つ。

これが意外で驚いたんですが、スペックシートを見るとアドレス125は中国や台湾向けモデル、インドで売っている同型エンジンモデルよりも圧縮比が上げられているんです。

2017年式ADDRESS125

向こうはSEPエンジンでも9.6/1程。ちなみに先代V125も同じ程度。

圧縮比を上げると簡単に言うと仕事量が増える。だから上で言った同型よりも0.7馬力ほど高い。

圧縮比

しかし大事なのは圧縮比を上げたにも関わらず、馬力が思ったほど上がっていない(先代比-0.5馬力)という事。

これは厳しくなった排ガス規制に対応する面もありますが、実用域トルクを取った面もあるかと思います。スズキは最近クルマの方で圧縮比を上げて実用トルクを稼ぐモデルチェンジが多いんですよ。

日本はオクタン価管理が行き届いているからなのか理由は定かではありませんが、日本モデルだけわざわざ圧縮比を上げる調整をスズキはしているわけです。

ちなみに圧縮比は上げすぎると熱くなって自然発火(ノッキング)を起こしてしまうのですが、ここまで上げる事ができたのは勿論SEPエンジンだったから。

2017年式ADDRESS125

公式では類似エンジン(110のエンジン)と書かれていますが、恐らくほぼ形は同じ。そして注目してほしいのはガソリンを吹くインジェクターの位置(赤丸)です。

このSEPエンジンはインジェクターがシリンダーに直付けされギリギリまで吸気バルブに近い位置に置かれてる。

FIの位置

いわゆるポート噴射というやつで、吹いた燃料を壁に付着させる事なく燃焼室まで届ける事が出来る。

ちゃんと届くということは燃料の無駄を無くす事はもちろん、ガソリンによる冷却効果も上がるし、ギリギリまで混合しないことで空気の流入量も増えるので圧縮比や燃焼効率を上げられるという話。

また車の話になりますが最近スズキのCMで

「デュアルジェットエンジン」

デュアルジェットエンジン

って言ってるの聞いたことありませんか。アレと同じ仕組みです。

ただ車の場合は4バルブ(吸気2バルブ)でそれぞれのポートにFIが付いてる形。

2017年式DT11A

だからアドレスのエンジンは差し詰め”シングルジェットエンジン”といった所でしょうか。

いやSEP(SUZUKI ECO PERFORMANCE)なんですけどね。

【関連車種】
PCXの系譜LEADの系譜CYGNUSの系譜TRICITYの系譜

主要諸元
全長/幅/高 1900/685/1135mm
シート高 745mm
[760mm]
車軸距離 1285mm
車体重量 109kg(装)
燃料消費率 51.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 6.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 9.4ps/7000rpm
最高トルク 1.0kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前90/90-12(44J)
後100/90-10(56J)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル スズキ純正オイル
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.65L
ベルト 27601-10K00
車体価格 205,000円(税別)
[210,000円(税別)]
※[]内はフラットシート
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

Addres110(CE47A)-since 2015-

2015年式アドレス110

実に12年ぶりに復活を遂げたアドレス110

2st時代はアドレスの上位モデル的な立ち位置だったけど今回は逆で廉価版アドレスといった立ち位置。

だからアドレスV125とは併売。スズキは併売を多用しますね。

まあV125は台湾製で中国や台湾や日本向けで、110はインドネシア製でインドをメインとしたASEANがメイン市場なんですけども。

でも廉価版と言ってもスズキ初となる新設計エコエンジンのSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)でカタログ燃費は50km超という低燃費っぷり。

アドレス110カタログ

これは同クラスで猛威を奮っているPCXとほぼ互角の燃費。

ライバル車達と違って110はアイドリングストップ機能を持っていないのにこの燃費は驚異的。

2015年式アドレス110メットイン

更にアドレスの弱点の一つだったメットイン容量の少なさも110では改善され大容量に。

V125の弱点を潰したようなアドレスですね。

主要諸元
全長/幅/高 1845/665/1095mm
シート高 755mm
車軸距離 1235mm
車体重量 99kg(装)
燃料消費率 53.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 5.2L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 112cc
最高出力 9.1ps/8000rpm
最高トルク 0.88kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前80/90-14(40P)
後90/90-14(46P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.65L
フィルター交換時0.7L
ベルト 27601-16F12
車体価格 198,000円(税別)
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

Address V125/BASIC/S/SS(CF4EA L0~)-since 2010-

アドレスV125S

エンジンや足回りの装備はそのままでヘッドライトやウィンカーレンズを始めとするルックスが一新され新しくなったV125S

V100と110の時のように無印も旧型もスタンダードとして併売されてます。

V125スタンダード

実はこのテコ入れには理由がある。
不落だった原二王者のV125なんだけど維持費や燃費などで世間から再注目され各社の競争が激化した。
アドレスより安いモデル、アドレスより速いモデル、アドレスより低燃費なモデルなど多種多様・・・もはやアドレスの武器となるのはコンパクトな車体と車重だけに。(あとOPセットなんかのコストパフォーマンスもか)

結果として新車種(PCXやシグナスX)に次々と販売台数を抜かれてしまった。まあニューモデル相手に10年以上前の設計で善戦してると見れば凄い事だけどね。

スズキにとってアドレスV125はHAYABUSA1300、Bandit1250に並ぶ(失礼ながら)数少ない看板車種であり売れ筋の人気モデル。大げさかもしれませんが個人的にはその中でもV125はスズキだから生み出せた一番スズキらしいバイクだとも思います(良い意味で)

だから当然スズキはこの面白くない状況をいつまでも黙って見てはいないでしょう。

Address125

※写真のモデルはポルトガルやギリシャなどで売られていたAddress125でV125とは関係ありません。紛らわしいことしてすいません125系の写真が無かったもので・・・

主要諸元
全長/幅/高 1780/635/1030mm
シート高 745mm
車軸距離 1235mm
車体重量 101kg(装)
燃料消費率 42.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 6.3L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 9.9ps/7500rpm
最高トルク 1.0kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前90/90-10(50J)
後100/90-10(56J)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6HSA
推奨オイル スズキ純正オイル
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
交換時0.95L
フィルター交換時1.0L
ベルト 27601-33G00
車体価格 249,000円(税別)
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

Address V125G/LTD(CF4EA K9~)-since 2009-

アドレスV125後期

2008年の排ガス規制で数多くのバイクがバタバタと倒れゆく中でもV125は健在でした。既にインジェクションだったからね。

このモデルからは暫くはV125Gに一本化されたんですが、勿論そのままというわけではなくO2センサーやマッピングの変更などで規制前モデルと比べて1.5馬力ほどパワーダウン。

これが50馬力も100馬力もある大排気量バイクならそれくらい誤差の範囲なんだけど小排気量にとっては結構致命的で「通勤特急」の異名も少し薄れてしまった。とはいうもののそれは規制前と比べた時の話。遅くなったと言われる規制後のV125でも他の原二と比べると速い方。

もちろんただパワーダウンしただけでなく細部に調整が入って乗り心地や安定性が増してる。
しかもアドレス最大の武器である「安い・コンパクト・速い」は変わらなかったので売れ行きに影響はなく原二王者の地位は不落だった。

主要諸元
全長/幅/高 1750/635/1030mm
[1750/720/1030mm]
シート高 740mm
[750mm]
車軸距離 1235mm
車体重量 98kg(装)
[100kg(乾)]
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 9.9ps/7500rpm
最高トルク 1.0kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前90/90-10(50J)
後100/90-10(56J)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6HSA
推奨オイル スズキ純正オイル
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
交換時0.95L
フィルター交換時1.0L
ベルト 27601-33G00
車体価格 245,950円(税別)
[265,000円(税別)]
※[]内はLTD
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)