Z250FT(KZ250A) -since 1979-

1979Z250FT

「走り鮮烈!」

Z400FXの弟分として登場したZ250FT。今もNinja250として続いている250パラツイン(並列二気筒)の始まり。

Z250FTカタログ写真

この当時250といえば400ベースにスケールダウンさせた250エンジンを積むのが一般的だった事もあり

「250は400のお下がり、400の廉価版」

というのが当たり前でした。

そんな中で出たZ250FTは専用設計で従来の車重負けとは無縁なスポーツ性、そして何より手抜きのない角Zデザインでそんな常識を打ち破った事わけです。

Z400FXとZ250FT

この専用設計250であるZ250FTの登場によって4st250ccロードスポーツは加熱し、いつしか専用設計が当たり前の時代に突入しました。

Z250FT後期

上の写真は後期モデルにあたる角目バージョンです。

主要諸元
全長/幅/高 2020/760/1085mm
シート高
車軸距離 1340mm
車体重量 153kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.6L
エンジン 空冷4サイクルOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 27ps/10000rpm
最高トルク 2.1kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00S18-4PR
後3.50S18-4PR
バッテリー YB10L-A2
プラグ D8EA
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前15|後35
チェーン サイズ530|リンク98
車体価格 318,000円(税別)
系譜図
Z250FT1979年
Z250FT
(KZ250A)
GPZ250BeltDrive1983年
GPz250BeltDrive
(EX250C)
GPZ250R1986年
GPZ250R
(EX250E)
gpx250r

1988年
GPX250R/R2
(EX250F/G)

ZZR250前期1990年

ZZR250
(EX250H前期)

ZZR250後期

2002年
ZZR250
(EX250H後期)

Ninja250R

2008年
Ninja250R
(EX250K)

2013Ninja250

2013年
Ninja250
(EX250L/M)

Z250

2013年
Z250
(ER250C/D)

2018Ninja2502018年
Ninja250
(EX250P)

エストレヤ(BJ250L) -since 2014-

エストレヤBJ250L

「カワサキのエストレヤが2013年で生産終了らしい」

そういう噂が広まり右往左往した人も多いのではないでしょうか。

蓋を開けてみたら生産終了なのは250TRでエストレヤはモデルチェンジというオチ。いやまあ250TRは残念ですが。

んで無事にFI化の流れを乗り切ったエストレヤが2014年モデルで何をしたかと言えばシート形状やマッピングの見直し、ヒートガードの装備、立体エンブレムなど・・・などっていうかこれくらい。

エストレヤシート

メインはモデルチェンジじゃなくてバリエーションの追加。エンジンガードやパニアケースなどオプションパーツが多数用意されるようになりました。

快適装備を全部載せた状態がコレ。

エストレヤツーリングスタイル

その名もエストレヤツーリングスタイル。うーん実にオッサン臭い(良い意味で)

しかしです。

これはこれで良いんですが、エストレヤというのは脚付きの良さから女性にも人気のある数少ないカワサキ車だったりするわけで、こんなオッサン臭い仕様がレディーにウケるわけないだろと思ってたらもう一つあるんですね。

エストレヤカフェスタイル

エストレヤのカフェスタイルです。

おお、何か不二子チャンが乗ってそう。不二子ちゃんの愛車はソフティルですが。って何かWLAになってるし・・・どうなってるんだ。

話が反れました。

エストレヤ

エストレヤの歴史を振り返ると2013年に20周年を迎えた非常にロングセラーなバイクなわけですが、人気があるバイクかと言われれば微妙なラインだったりします。

最初はエンジン新造までしたのにサッパリでした。

ゼファーで調子に乗ったカワサキがやらかしたとか言われる程。しかし数年でそのメグロジュニアを髣髴とさせるレトロなルックスや取り回しの良さから徐々に人気が出てきたわけで、販売台数は20年で5万台を超えています。

恐らくこの販売台数を聞いて驚かれている方が多いと思います。

エストレヤのロゴ

何故かといえば(失礼ながら)エストレヤというバイクは20年以上売っていますけど影がちょっと薄いですもんね。販売台数で見てもそれが見て取れてて、爆発的に売れた年というのが無いんです。

ただチョコチョコ売れる。今でもコンスタントに毎月100台ちょっと売れてる。んで気付いたら20年越えてたって感じ。

チョコチョコとか軽い感じで言いましたが凄いことなんですよ。名車というのはそういう持続的な売れ方をするもので、そんな売れ方をしているバイクは全社入れても数えるほどしかありませんし、商業的に言っても新型で一発ドカンと売れるより大成功なわけです。

開発者の三宅さんも最初コケた時はどうしたものかと思ったそうですが、年月を重ねてもコンスタントに売れ続けるのを見てエストレヤは間違っていなかったと確信したそうです。

エストレヤ

そんなエストレヤなんですが・・・実はバイク歴が浅い、若しくはバイクに乗ったこともない学生の声を多く取り入れて造られ、改良されてきた歴史があります。

つまり、よく若者が初バイクの選択肢として安いわけでもないエストレヤをチョイスするのにはこういうちゃんとした裏打ちがあるからなんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2075/755/1055mm
シート高 735mm
車軸距離 1400mm
車体重量 146kg(乾)
燃料消費率 31.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 18ps/7500rpm
最高トルク 2.0kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 518,700円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

エストレヤ(BJ250J) -since 2007-

エストレヤBJ250J

250TRと同じようにFI化されたエストレヤのFIモデル。モデルの一本化で実質的にRSの一択になりました。厳密に言うと先代エストレヤの生産終了から少しだけブランクがありました。

さて、SR400やST250EもそうですがクラシックにとってFIというのは最大の敵というかハードルなわけです。何故ならFI化するということはバイクを電脳化しないといけないから。

そしてもう一つ、それは振動。

空冷シングルというのは(Vツインなんかもそうだけど)振動も大事な要素なわけです。

本当はメーカーもドコドコ言わせたい。でも五月蝿いと規制に通らない。そういったジレンマというか難問も抱えてるわけです。

2011年式エストレヤ

幸い、エストレヤは今時珍しいバーチカル(垂直)エンジンなのでかなり残せてる方です。

ルックスの方もシリンダー周りが少し変わったものの全体的なシルエットは変えなかった。キャブトンマフラーもそのまま。

この”変えずに変える”ってのが難しいんだよねえ。評価も注目もされないし。

2014年モデルメーター

細かいことを言うとメーターがタコメーターまで付いた二眼タイプになり、ウィンカースイッチがプッシュキャンセル式に。さらにイラズラ防止機能付きイグニッションスイッチにシート形状も見直されて座り心地が向上しました。

主要諸元
全長/幅/高 2075/755/1030mm
シート高 735mm
車軸距離 1400mm
車体重量 146kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/8000rpm
最高トルク 2.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 518,000円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

250TR(BJ250K) -since 2007-

エストレヤBJ250J

2008年の排ガス規制に対応するためにFI化された250TR。

他にもハンドル幅を少し狭めて乗りやすさを向上。燃費が改善したぶん燃料タンクの容量が0.5Lほど減りました。

でも残念ながら250TRはこのモデルを最後に2013年で生産終了となってしまいました。

250TRカタログ

ストリートブームが去って専用のスポークホイールやフレームが重荷になっちゃったのかな。

再販を望む声も結構聞こえるんだけどね。

250TRの十八番だったブラックアウト化がエストレヤに引き継がれたのが唯一の救い・・・か?

主要諸元
全長/幅/高 2100/840/1095mm
シート高 775mm
車軸距離 1420mm
車体重量 136kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.6L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 19ps/7500rpm
最高トルク 1.9kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-19(52P)
後110/90-18(61P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 388,000円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

250TR(BJ250F) -since 2002-

250TRキャブモデル

コンセプトは「フリースタイル」

高まるストリートブームに応える形で出たスクランブラーエストレヤこと250TR。いや復刻と言ったほうが正しいか。

知らない人も多いだろうけど250TRというバイクはずっと昔に存在してました。

その名は250TRバイソン

250TRバイソン

1970年に登場した2stオフローダー。

当時クラス最高の23馬力を発揮する凄いバイクだったんだけど、”バイソン”という名前が既に他の自動車メーカーに使われていた為に一年限りでバイソンというペットネームを取り上げられちゃったっていう可哀想なやつ。

ちなみにこの新世代の250TRはエストレヤのエンジンを使ってるわけだけど、スタイリングを際立たせるためにエンジンのメッキをやめてブラックアウト化。

更に実はホイールもインチアップした専用品にこれまた専用設計のキャラメルブロックタイヤを履かせてるっていう、実はこれまた結構お金とコダワリが入ってるモデルだったりする。

主要諸元
全長/幅/高 2100/870/1095mm
シート高 775mm
車軸距離 1420mm
車体重量 134kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 19ps/7500rpm
最高トルク 1.8kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-19(52P)
後110/90-18(61P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 349,000円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

エストレヤカスタム/RSカスタム (BJ250C/D/E/G/H) -since 1995-

エストレヤBJ250D

二代目にあたるエストレヤ。

グレード分けが少しややこしくて、ノーマルとRSというグレード、そしてそれぞれにカスタムモデルが随時追加された。見た目の違いとしてはリアサスのリザーバータンクが無くなってよりシンプル化。

そしてRSモデルというのは簡単に言うとハンドルを少し下げてタンデムシートまで一体になったモデル。

思ってたより売れない事に対するテコ入れだったわけですが、これが成功しました。いやというか取り回しの良さやクオリティがジワジワと評価されて人気が出たのもあるんですけどね。

エストレヤRSカスタム

起死回生となったのは上のRSモデルで採用されたタンデムシートまで一体化されたロングシートが出たから。更に翌年の96年にはフォークブーツとドラムブレーキを採用したカスタムモデルがノーマルとRSどちらにも設定されたって更に人気が出たってわけ。

ディスクブレーキからドラムブレーキに退化といえばSRの専売特許だと思ってたけどエストレヤも同じ手法を使ってたんだね。

エストレヤカスタム

でもロングシートよりセパレートタイプの方が味があって良いと思うんだけど・・・無くなったって事は人気なかったんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2075/765/1035mm
[2075/755/1030mm]
{2075/775/1030mm}
シート高 770mm
車軸距離 1400mm
車体重量 142kg(乾)
[{148kg(乾)}]
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 450,000円(税別)
※[]内はRS
※{}内はカスタム

エストレヤ (BJ250B) -since 1992-

初代エストレヤBJ250B

「ベーシックで、気軽で、楽しいモーターサイクル」

正にメグロジュニアの再来と言っていいエストレヤの初代モデル。見た目が明らかにメグロジュニアシリーズをお手本にしているようなデザイン。

もちろんただジュニア風にしているだけなくてクラシカルをよく勉強した配慮が各所にありますがやっぱり凄いのはエンジン。

流石にOHVとはいかずOHCになってるけど、90年代に突入していた時代に既存のエンジンを改良するのではなく、60年代にあったようなロングストロークのバーチカルエンジンを新たに新設計とか気でも狂ったかと言えるレベル。しかもクランクケースはアルミというクラシックらしからぬお金のかけよう。

エストレヤ

更にエストレヤと言えば何と言ってもメッキです。これただのメッキじゃありません。カワサキの中でも最高級のバフ研磨仕上げだとか。

アルミクランクケースカバーもそうだしキャブトンマフラーもそう。

エストレアは今も昔も結構値段が高い方です。知らない人は何でこんなにするんだと口を揃えて言うんですが、こういう所にお金がかかってるからなんですね。

エストレヤ

様々なクラシカルな要素を取り入れ、妥協なく作ったクオーターネオクラシックのエストレアはカワサキの読み通り見事にヒット・・・・とはなりませんでした。

主要諸元
全長/幅/高 2075/765/1035mm
シート高 770mm
車軸距離 1400mm
車体重量 142kg(乾)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SF級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 450,000円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

メグロ ジュニアシリーズ -since 1950-

メグロジュニアS3

日本車初となる250ccのオートバイだったのがメグロのジュニアシリーズ。

リジッドのJから始まり、J2、S1~8/SGと続いた目黒製作所にとって500に次ぐ成功を収めたモデル。今でこそ250と言えばエントリークラスや小排気量クラスと言われるけど当時は250でも十分に大排気量のビッグバイクでした。ちなみに上の写真はジュニアシリーズの中でも人気が高かった1956年からのS3モデル。三年間で販売台数3万台を記録するベストセラーモデルでした。

kawasaki

そんな目黒製作所だったのですが、ホンダやヤマハやスズキなどの新興メーカーの快進撃により経営が傾き、ビッグバイクのノウハウを欲しがっていたカワサキに買収され傘下となったわけです。

しかしカワサキもこの250シリーズは大事に思っていたようで、最後にメグロと名前を付けられたバイクもこの250SGでした。見て分かる通りエストレヤのデザインベースですね。

更に少しメグロジュニアの話をすると、ジュニアSシリーズの中でも特にSGTと呼ばれるモデルはクラシカル路線だったメグロらしからぬスポーツルックモデルでした。

メグロ250SGT

どうしてそれまでのクラシックスタイルを捨て、スポーツモデルにしたというとコレもホンダを始めとした後発メーカーがスポーツモデルを打ち出しヒットしていたからです。

カワサキもメグロもあの手この手で色々やったんだけど結局人気が回復することはなく、カワサキに完全に吸収される形で名前も無くなりました。

まあライバルに比べ価格が高かったってのも大きかったかな。

主要諸元
全長/幅/高 2115/880/1035mm
シート高
車軸距離 1380mm
車体重量 182kg(乾)
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量
エンジン 空冷4サイクルOHV単気筒
総排気量 248cc
最高出力 12.5ps/5400rpm
最高トルク 1.85kg-m/4000rpm
変速機 4段変速
タイヤサイズ 前3.00-18
後3.25-18
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格
※スペックはジュニアS8
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

Z H2/SE(ZR1000K/L)-since 2020-

ZH2

「THE NEW Z」

新たなフラッグシップZとして登場したスーパーチャージャー付きのZ H2/ZR1000K型。

ベースとなっているのはスーパースポーツ系のH2ではなくバランス型のH2SXですが、SXを剥いただけかというと全く違います。
・アップライトのファットハンドル
・フレームマウントのヘッドライト
・剛性を下げしなやかにした専用フレーム
・バルブタイミングと燃調を中低速寄りに変更
・FI口径の小径化
・二次減速比をショート化
・両持ちスイングアーム
・触媒内蔵サイレンサー
・クイックシフター
・SHOWA製SSF-BF
・ホイールを星型から6本スポークに
・ブレンボM4.32モノブロックキャリパー
・フルカラーTFTメーター
・インテグレーテッドライディングモード
(トラコンや出力モードの包括的な切替機能)
・RIDEOLOGYアプリに対応
・Kawasaki Care+

などなどSXよりちょっと豪華になっているんですが、決定的に違う部分としてZ H2はストリートファイターというかネイキッドでポジションが起き気味なことと装備重量もSX比マイナス20kgの240kgと軽量化がされていること。

ZH2のデザイン

デザインの方も

『SUGOMI&Minimalist』

というコンセプトに沿って外装も最小限にはなっているんですが、スーパーチャージャーのエアインテークダクトを前に出さないといけない事もありネイキッドとしてはフロントが大きめで低めのハーフカウルが付いているような形。

更に翌2021年4月には豪華版となるZ H2 SE/ZR1000L型も登場。

ZH2SE

・KECS(電子制御サス)
・スカイフックEERA(電子制御アジャスト)
・ブレンボStylema(上位ブレンボキャリパー)
・ブレンボマスターシリンダー
・スーパーチャージャーエアインテークの銀鏡塗装
・スーパーチャージャーの赤刻印

などとなっているんですが、Z H2が発売されて何が一番衝撃だったかというとH2シリーズにしては凄くお買い得な価格設定だったこと。

H2 Carbon3,300,000円
H2SX SE+2,570,000円
H2SX SE2,220,000円
Z H2 SE1,980,000円
Z H21,720,000円

なんとH2CARBON一台でこれを二台買えちゃうほど安い。スカイフックテクノロジーを搭載した電子制御サスEERA(イーラ)を装備したSEモデルですら税別で200万円を切る安さ。

ちなみにスカイフックテクノロジーというのは簡単に説明するとサスペンションが沈み込んで戻る時の戻りすぎ、反動に近い制御をダンパーの電子制御で最小限に抑え込む技術。

「通常の電子制御サスペンションEERA(イーラ)と何が違うの」

という話をザックリすると、もともとサスペンションには”スカイフック”という究極の乗り心地理論みたいなものがある。

スカイフックの仕組み

こうして車体を宙吊りにすればどれだけサスペンションが動いてもバネ上のピッチング(前後の姿勢変化)が無くなるから最高の乗り心地になるという話なんですが、文字通り空から吊るすというのは現実問題として不可能。

なので車体に備えられたIMU(慣性計測装置)とサスペンションに内蔵されたストロークセンサーで車体姿勢を完全に把握し、減衰力を1/1000秒単位で素早く変え抑えることにより

『バネ上に挙動を可能な限り伝えないようにする制御』

というのが先に四輪の方で生まれ、今回それが二輪でも加わったという話。

スカイフックテクノロジー

これの効果はいま話したように乗り心地の大幅な向上なんですが、しかし一方でレインモードでしか採用されていない事からも分かる通りバネ上に乗っている形であるライダーも車体姿勢を把握しにくくなってしまうので少し違和感が生まれるのもまた事実。

だからこれはスポーツ系装備というよりも乗り心地を向上させる巡航向けのまったりシステムと言った方が良い感じ。

ZH2フロント

「じゃあなんでネイキッドのZに付けられたのか」

って話ですが二者択一の装備ではなくボタン一つでどうとでも変えることが出来る電子制御サスペンションで、先にも言ったようにZ H2はフロントマスクが結構たくましく楽なポジションも相まって普通に巡航もロングスクリーンを付ければイケるという要素を狙ったんじゃないかと。

ただZ H2で何よりも書くべきはスーパーチャージャー。

スカイフックテクノロジー

「いやいやスーパーチャージャーなのはもう知ってるよ」

って人も多いかと思います。でもこれが出たのは本当に凄いことであり、これがH2シリーズの真打ちじゃないかと。

というのも重ねて言いますがバイクで過給が根付かなかったのは急激なトルク変動がマンマシンの一体感というバイクにとって非常に大事な要素を阻害する、もっというと危なかったから。

そんな常識がある中でその危うさを極致下においてエキサイトメントという武器にしたのが第一弾のH2/R。そしてワンクラス上のパワーで余裕を持って走れるダウンサイジングに近い考えを武器にした第二弾のH2SX/SE。

そしてそして低中速寄りにチューニングしポジションも取っつきやすいアップライトで比較的軽く振れるフレンドリーさを武器に出た第三段がZ H2/SE・・・そう、Z H2は過給を積極的に楽しむことを武器にしている。

「ストリートでスーパーチャージャーを気軽に堪能出来る」

という本当に世が世なら間違いなく許されなかったであろう企業の社会的責任ギリギリを責めたコンセプトになっている。

エンジン性能

信号ダッシュや交差点からの立ち上がり、前が開けた時などあらゆる日常シーンで目と鼻の先にブーストゾーンがある。

ポジションもアップライトだから簡単にフロントが離陸すると同時に、身構えないと首を痛めてしまうほどのワープを

「キュルルル、ヒュルルル」

というタービンが生む音と一緒に”比較的誰でも簡単にそこら辺の道で”堪能出来るようになっている。Z H2がH2シリーズの真打ちじゃないかと思う理由はここ。

カワサキH2シリーズ

これこそがスーパーチャージャーが最も活きる使い方だから。

重ねて言いますが、この手軽にブーストはエンジン(クランク)から動力を貰うスーパーチャージャーだからこそ可能なこと。

スーパーチャージャーの構造

ターボだとこうはいかない。何故なら排気を動力源にするターボはある程度の排圧がないと首を痛めるほどのブーストが効かないから。

もちろんデメリットもあって高回転になるとターボのほうが効率が良い。でもそれはあくまでも高回転域での話でストリートでは難しいうえに、吹け上がりや排気音もタービンに邪魔されて濁ったものになる。

つまり何が言いたいのかというと

「このZ H2はスーパーチャージャーを本当に上手く活用してる」

という事。でもだからこそ本当にギリギリアウ・・・じゃなくてセーフ。

ZR1000K

過給機が載っていることが武器ではなく、過給による変化をそれもストリートで楽しむことを武器にしている。

間違いなく乗り手をブースト依存症にし、右手との戦いを一番強いるネイキッドというか別の意味でストリートファイター。

H2シリーズの展開においてカワサキ広報さんが話されていた

「より多くの方にスーパーチャージャーを」

という文言の”多くの方”というのは単純に台数を出す云々の話ではなく、まさかスーパーチャージャーというアドレナリン放出機能の真髄を広く知ってもらう事だったとは。

主要諸元
全長/幅/高 2085/810/1130mm
[2085/815/1130mm]
シート高 830mm
車軸距離 1455mm
車体重量 240kg(装)
[241kg(装)]
燃料消費率 16.9km/L
※WMTCモード値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 200ps/11000rpm
最高トルク 14.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SILMAR9E9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.7L
交換時3.5L
フィルター交換時4.3L
スプロケ 前18|後46
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,720,000円(税別)
[1,980,000円(税別)]
※[]内はSE/ZR1000L
系譜図
マッハ31969年
500SS MACH3
(H1)
マッハ41972年
750SS MACH4
(H2)
H22015年
Ninja H2
(ZX1000N/X/ZX1002J)
H2R2015年
Ninja H2R
(ZX1000P/Y)
H2SX2018年
Ninja H2SX/SE
(ZX1002A/B/D)
zh22022年
Z H2/SE
(ZR1000K/L)

H2SX(ZX1002A/B/D) -since 2018-

H2SX SE

「SUPERCHARGE YOUR JOURNEY」

H2のツアラーモデルになるH2SXとSE。

2017年型H2RがZX1000Yで、ZX-10RRがZX1000Z。アルファベット使い切ったから次から何になるのかなと思ったらZX1002A(無印)とZX1002B(SE)でした。まあそんな事はどうでもいいか。

H2とNINJA1000を掛け合わせた様な見た目で、価格とポジションとがH2よりも優しくなっています。

ポジション

ハンドルがH2よりも上げられてZX-14Rより優しいくらい。NINJA1000ほど優しくないしシート高は変わりません。

車体価格の方もH2が$28,000なのに対しH2SXは$19,000なので日本ではSXが210万円、SEが240万円・・・H2よりは現実的な価格ですね。

フルアジャスタブルサス、トラコン、クルーズドコントロールといったフル電子制御+スーパーチャージャーと考えれば、お買い得か。

シートレール一体のトレリスフレームはもちろん、エンジンもタービンもSX用に新たに設計されたもので、吸排気を絞ることで中低速の厚みと燃費を改善。といっても200馬力ですが。

車重が増えている事から見ても、各部のアルミを鉄へ置き換えて価格を抑えている様ですね。

コンフォートシート

装備としては乗り心地の良さそうなコンフォートシートやハンドルグリップ、ハイプロテクションスクリーンなどツアラーとしてのツボは抑えてある。

オプションはフルフェイスがスッポリ入る28Lパニアケース、そしてなんとセンタースタンド。

H2SX/SE

豪華版であるSEにはそれに加えて

・フルカラーTFTメーター

・コーナリングLEDライト

・ハイスクリーン

・クイックシフター

などを装備しています。

H2SXとSEの違い

サイドカウルに付いているのはウィンカーではなくLEDライトです。

そして2019年からはSEの豪華版としてH2SX SE+(ZX1002D)も登場。

H2SX SEプラス

SEに加えSHOWAと共同開発した電子制御サスペンションKECSと最新のブレンボキャリパーを装備したモデル。

他にもスマホ連動アプリRIDEOLOGYへの対応なども加わっています。

それにしてもツアラーまでもがクイックシフターの時代なんですね。

クイックシフターっていうのはクラッチ操作無しでギアチェンジ出来る装備。しかもH2SX SEに付いてるのはアップダウン両対応の良いやつ。

スーパーコンピューター京

ところで唐突ですがバイク乗りの間でKといえばKAWASAKIですよね。

しかしIT業界でKといえば筐体数864台、CPU9万個を並列に連結しているスーパーコンピューター京です。

スーパーコンピューター京

1秒間に1京回の計算をする事から

「京(K computer)」

と名付けられました。

家庭用のハイスペックパソコンで200年以上かかる計算を1日でやってのけるんだとか。

それがなんだって話ですが、スーパーコンピューターは計算速度が段違いなら消費電力も段違い。

比較的エコとされる京ですらフルロードさせると最大で約1万3000kw(約4,500世帯分の電力)が必要。

そんな膨大な電力をどうしているのかというと、半分は関西電力から、そしてもう半分は実は川崎重工業のガスタービンが担っているんです。

PUC60内部

6000kW級の発電機二機が京を支えています。

節電と片方が切れても大丈夫なように交互運転してるわけですが、凄いのはそれだけじゃないんです。

このガスタービン、UPS(無停電電源装置)の役割も備えている。

PUC60

万が一、何らかの理由で電力が届かなくなってもカワサキのガスタービンがフル稼働して保護。

最悪の場合このガスタービンだけで運用できる様になっているというわけ。設計ももちろん川崎重工業。

「H2関係ないじゃん」

と言われそうですが実はそうでもないんです。

スーパーコンピューター京は2012年から共用運用、つまり

「京の力が必要なら審査の上で使用許可を出す」

という感じで公募が始めました。

そんな中で京の発電部分を担ったコネを活かしたのか川崎重工業は見事に選定。

そして京を使って何をしたかというと

カワサキガスタービン

「タービンの気流解析」

を行なったんです。

究極の空気圧縮機を目指し、通常の何倍もの速さでシミュレーションを熟すスーパーコンピューター京でそんな事をやっていた。

H2SXカタログ写真

そう、2015年に登場したH2のペラは京を使ってシミュレーションした世界最高の発電効率技術を持つガスタービン部門の技術。

つまりH2の中にはスーパーコンピューター京の力も含まれているというわけ。

これが本当のKKコンビ・・・なんちゃって。

主要諸元
全長/幅/高 2135/775/1205mm
[2135/775/1260mm]
シート高 820mm
車軸距離 1480mm
車体重量 256kg(装)
[258kg(装)]
{262kg(装)}
燃料消費率 17.9km/L
※WMTCモード値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 200ps/11000rpm
最高トルク 14.0kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SILMAR9E9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.7L
交換時3.5L
フィルター交換時4.3L
スプロケ 前18|後44
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 1,850,000円(税別)
[2,220,000円(税別)]
{2,570,000円(税別)}
※[]内はSE(ZX1002B)
※{}内はSE+(ZX1002D)
系譜図
マッハ31969年
500SS MACH3
(H1)
マッハ41972年
750SS MACH4
(H2)
H22015年
Ninja H2
(ZX1000N/X/ZX1002J)
H2R2015年
Ninja H2R
(ZX1000P/Y)
H2SX2018年
Ninja H2SX/SE
(ZX1002A/B/D)
zh22022年
Z H2/SE
(ZR1000K/L)