YZF-R1(5JJ)-since 2000-

5jj

年間販売台数1万台オーバーという快挙を成し遂げたR1だったけどそれでも2年でモデルチェンジ。

しかも箇所にして250、パーツにして300にも及ぶ変更されるという相変わらず尋常じゃない力の入れよう。ヤマハとしては2kg減のみの年次改良扱いでモデルチェンジでは無いらしいけどソレにしちゃ変わりすぎてるし何より型式が変わってる。

広報によると「ツイスティロード最速」のコンセプトはそのままに「各部の熟成」「ドライバビリテイの向上」「一層の軽量化」「外装パーツの一新による空力特性の向上」「チタンマフラー採用」となっている。

R1比較

外見は一見するとあまり変わっていないように見えるけど、実はR1で一番ライトレンズが大きくハンサム顔になってる。

ところでR1といえば”コーナリングのR1″とか”猫足のR1″とかいう言葉だけが一人歩きしちゃってて”凄く曲がるスーパースポーツ”という漠然としたイメージが出来上がってるけど、実はこの頃のR1はちょっと違う。

00R1

もともとYZF-R1の狙いは開発主査の三輪さんの言葉をそのまま引用すると

「スーパースポーツの楽しさはライダー自らが積極的にマシンを操作しワインディングを攻める快感にある。視線の方向へバイク任せに曲るのではなく、ブレーキングし車体を倒し込み、ラインに乗せてスロットルワークで立ち上がる一連の操作を、自分の意志でコントロールする歓び。それこそYZF-R1が生み出す“エキサイトメント”なのだ」

と仰っている通りどちらかと言えば簡単には曲がらない。曲がらないというより曲げようとしないと曲がらない特性。

2001R1

先代でもチョロっと言ったけど”ツイスティロード最速”っていうのはタイムが一番速いという単純な表現ではなく、ツイスティロードを攻めて走るエキサイトメントにより瞬く間に走りぬいてしまうというちょっと捻った意味合いもあったりする。

ディメンションはまんまレーサーなのに比較的ロングストロークなエンジンだったり、高いとは言えないフレーム剛性だったり、意外と柔らかい足だったりするのはそういう事です。

2000年式YZF-R1

「70%の力で楽しめるスーパースポーツ」

それがツイスティロード最速。

主要諸元
全長/幅/高 2035/695/1105mm
シート高 815mm
車軸距離 1395mm
車体重量 175kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 150ps/10000rpm
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー GT12B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル SAE 20W40~10W30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前16|リア43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格

系譜図

fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R1(4XV)-since 1998-

1998R1

「ツイスティロード最速」

ここで登場するのが初代YZF-R1の4XV・・・あれほどこだわっていたゆとりは何処かへ消え去りました。

キッカケはご先祖様にあたるYZF1000Rのサンダーエースから走行に不要な部品を全て取っ払い軽くして走ってみたらとてつもないライトウェイトスーパースポーツになった事がきっかけ。

コンセプトスケッチ

初代YZF-R1の開発主査は三輪さんというYZF750SP(レーサーマシン)を作っていたレース出身の方なのですが、その三輪さんが

「レーシングテクノロジーを全て注ぎ込んだ」

というだけあって本当に凄い作りをしています。

YZF-R1エンジン

レーサーであるYZR500の公道仕様を作るのが目標として掲げられていただけあり、5バルブDOHC四気筒998cc150馬力という数字でだけでも凄いのですが、本当に凄いのは車体のディメンション。

ロングスイングアーム

構造に詳しくない人でもこの車体構成を見たら少しイビツな雰囲気を感じるのでは無いでしょうか。

参考までにFZR1000と比べてみましょう。

FZR1000ディメンション
R1ディメンション

エンジンに注目してみてください。明らかにエンジンが寄せ上がってるのが分かると思います。これはシャフトレイアウトを変えてるから。

「シャフトって何」的な人に簡単に説明しておくと、バイクというのは基本的に

・ピストン運動を回転運動に変えるクランクシャフト

・その回転をクラッチを通して受け取るメインシャフト

・ギアを入れてスプロケを回すドライブシャフト(カウンターシャフト)

の文字通り三本柱の構成となっています。これを主要三軸といいます。

主要三軸レイアウト

青が従来のレイアウトで赤がR1のレイアウトです・・・分かるかな。

R1はメインシャフトを持ち上げ、メインとカウンターを2階建てのようにしてエンジンの全長を大きく縮め、かわりにスイングアームとっても長く取った。

4XV

当時520mm前後がメジャーだったのに対し60mmも長い580mm。

全幅の4割以上をスイングアームが占めるという人間で言えば足長モデル体型の様なディメンション。

4XV壁紙

R1が「ツイスティロード最速」と銘打ったのも、世界で評価された走行性能もこの部分がキモ。

要するにただ速いだけ、軽いだけではなく、懐がとっても広いスーパースポーツだったからコレほどまでに大絶賛されたんです。

今となってはこの手法は現代のスポーツバイクにおいては欠かせない必然的な手法にまでなりましたね。

4XVフレーム

ただ調べてみて意外だったのは、このR1のディメンション、実はこのエンジン有りきの開発ではなくフレーム開発陣の要望から、つまりフレーム有りきの設計だったということ。

それにエンジン開発陣が応える形になり最初はTDMに近いエンジンレイアウトで進めていた。

ヤマハTDM850

するとフレームサイドから厳しいダメ出しをされてボツに。

その後もケツを叩かれまくった結果、上で出したようなGPマシン譲りの超コンパクト三角形レイアウトという極端なクランクレイアウトのエンジンが出来上がったというわけ。

ただR1が騒がれた理由としてもう一つ挙げないといけないのが顔。

R1顔

今でこそ珍しくもなんとも無いツリ目デュアルライトだけど、当時は攻撃的過ぎるデザインとして一目惚れする人が続出。だからR1が出た後の数年はどのメーカーもみんな同じような顔になりました。

初代YZF-R1は性能で驚かせ、ルックスでも驚かせた正に才色兼備スーパースポーツというわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2035/695/1095mm
シート高 815mm
車軸距離 1395mm
車体重量 177kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 150ps/10000rpm
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー GT12B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル SAE 20W40~10W30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前16|リア43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格

系譜図

fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF1000R Thunder Ace(4SV)-since 1996-

YZF1000R

「Supersport machines for the real world」

バードじゃないよエースだよ・・・なFZR1000の後継モデルとして発表されたYZF1000R THUNDER ACE。

ファイヤーブレードの影響なのかここに来て何故かペットネーム付きに。

ちなみに全く知られていませんが、当時は弟分のYZF600Rサンダーキャットと合わせてTHUNDERシリーズと呼ばれていました。

YZF1000Rサンダーエース

「YZF」という当時のワークスマシンの名が付いている事からも分かる通り、第二世代GENESISエンジンにYZF750Rのフレームをベースとした新設計デルタボックスを積んだフラグシップスポーツモデル。

※当初これをYZFの初出と書いていましたが、YZFの名が初めてつけられたのはYZF750SP/R(1993年)でした。大変失礼しました。

雷帝

145馬力に198kgと申し分のないスペックは持っているんだけど、FZR1000と同じく

「ビッグバイクにはゆとりが必要」

という考えをサンダーエースでもブレることなく貫いている。

サンダーエースリア

だから日本ではFZRと同じく刺激が足りないと人気は今ひとつだったんだけど、欧州では逆で

「This is サイコーにちょうどいい SuperSports」

と評価は高かった。

サンダーエース

98年にR1が発売された後も03年まで細々と販売されたんだけど、R1のインパクトが強すぎたせいか日本ではあまり知られていない。

最近になって日本でもそういう需要が増えているためか、再評価されつつありますね。

主要諸元
全長/幅/高 2085/740/1175mm
シート高 815mm
車軸距離 1430mm
車体重量 224kg(装)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1002cc
最高出力 145ps/10000rpm
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17
後180/55R17
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X24ESR-U
推奨オイル SAE 10W/30~20W/50
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時3.0L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|リア46
チェーン サイズ532|リンク110
車体価格
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

FZR1000(2GH/3LK/3LG)-since 1987-

FZR1000

ものすごい早さで勢いを増すレプリカブームに対応すべくヤマハがFZ750に変わって投入したのがFZR1000。FZR400に次いで登場したヤマハ4stレーサーFZRシリーズの長男坊でもあります。

エンジンのベースは前述したFZ750だけど、ここで登場するのが今でも続くデルタボックスフレームと排気デバイスのEXUP(二代目1989年3GMモデル)という機能。

1987年式FZR1000

これだけ聞くとコテコテのレーサーレプリカに思えるFZR1000だけど、そうでもない事を表してるのがワンピースシート。

これのおかげでタンデムも熟せるツアラー性も非常に高いバイクに仕上がってる・・・そう、ヤマハはどれだけ大型バイクのスポーツ人気が高まろうとも、絶対にカリカリなスーパースポーツは作らなかった。

1987GSX-R1100

これは

「ビッグバイク=重くてユッタリ」

という概念を覆し世界中を騒がせたGSX-R750に開発陣が乗ってみた所、あまりにも敏感でクイック過ぎる特性が自分たちの目指す所とは違うという事を再確認したから。

モデルチェンジの経緯を端的にまとめると

初代1987年~

1987年式FZR1000

FZR1000Genesisとも呼ばれるモデル。

逆車135馬力204kgとスーパースポーツなポテンシャルは持ってるものの、乗り味は非常にジェントル。

二代目1989年~

二代目FZR1000

エアーインテークがライト下に移動、更にシリンダーの角度が45度から35度まで上昇、EXUPの採用で145馬力にまでアップ。

三代目1991年~

三代目FZR1000

倒立フロントフォークと共にヘッドライトが左右非対称性の異型になった少し異質な三代目。

四代目1994年~

FZR1000

タイガーアイを採用と6pot化ブレーキキャリパーを採用した最終型。ここまで来るとR1の面影があるような・・・ないような。

となってます。

FZR1000カタログ写真

共通しているのは

「セカンダリーロードを楽しく走れるバイク」

という事。

どれだけスーパースポーツブームが加熱しようと、一切ブレる事なくこのコンセプトを貫き通しました。

主要諸元
全長/幅/高 2200/730/1160mm
[2205/745/1170mm※91以降]
シート高 775mm
車軸距離 1460mm
車体重量 235kg(装)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1002cc
最高出力 136ps/10000rpm
[145ps/10000rpm※89以降]
最高トルク 11.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/60-ZR17
後170/60-ZR17
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル SAE 10W/30~20W/50
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|リア46
[前17|リア47※89以降]
チェーン サイズ532|リンク110
車体価格
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

FZ750(1FM)-since 1985-

FZ750

「マン・マシンの一体化」

5バルブ&前傾エンジンというヤマハスポーツを象徴する”GENESIS”の始祖であるFZ750。

当時ヤマハはRZなどで2stで大成功を納めていた一方、大型4stではスーパースポーツと呼べるようなバイクを持っておらず他社に引けを取る状況でした。

前傾エンジン

更に追い打ちを掛けるように国内市販車レースが4st750ccになる事が決定。

もともと4stスーパースポーツを造る必要性があった事から、これを好機だとして作られたのがFZ750。

特徴となるのが45度と大きく寝かせられたシリンダーですが、これは吸気の流れをストレートにすることで抵抗を少しでも減らすため。吸排気レイアウトにはエンジンが水平に近い形だったシグナスのノウハウが活かされたんだとか。

5バルブエンジン

そしてもう一つの特徴が何と言っても吸気3本、排気2本で構成されている市販車初の5バルブ。

これは吸気面積を稼ぐためと、1本あたりのバルブを小さくし質量を減らす事による高回転化が狙い。

ただし、これらの技術はFZ750が全て一から生み出したものではありません。

当時のヤマハは市販車こそ2st偏重だったものの4stの研究にも力を入れており、その最先端にあったのがコードOW34というバイク。

OW34

水冷バンク角90度V4の1000ccエンジンを積んだ耐久レース用のファクトリーマシン。

このバイクの最大の特徴はバルブ数。吸気4本、排気3本の7バルブになっています。

7バルブ

狂気を感じるほどですが残念ながら実戦投入される事はなく77年の東京モーターショーでのお披露を最後にお蔵入り。

ただ計画はここで止まっておらず

「レーサーが無理ならスペシャルバイクとして市販化しよう」

ということで開発コードを001に改めて再始動。

プロジェクト001A

OW34と同じくV4エンジンでもちろん7バルブを採用・・・が、結局市販車として7バルブの耐久性やコスト増をクリアすることが出来ず、またHY戦争の問題もありお蔵入り。

しかし培った多バルブ技術を使わないのはあまりにも勿体ないということで新たに立ち上がったのがモデルコード064。

これは直列4気筒と5バルブ化によって耐久性とコストを解決したアメリカの市販車レース用ホモロゲーションモデル。

プロジェクト064

200万円&200台限定で発売・・・予定だったんですが

「売れないだろう」

という上の判断で三度目となるお蔵入り。

FZ750カタログ2

頓挫に次ぐ頓挫ですがそれでも諦めず

「せめて多バルブ技術を採用した市販車だけは出そう」

と唯一残されていたコード00Mを再始動。これこそがFZ750のプロジェクトです。

ジェネシス思想

つまりFZ750そしてGENESISというのは、OW34が頓挫しても諦めず、001が頓挫してもまだ諦めず、064が頓挫してもそれでも諦めなかったからこそ誕生できた

「足掛け10年の執念の結晶」

というわけ。

開発中は市販車初5バルブのフラッグシップという事で社内ですら極秘扱い。

しかしどうも何か凄い市販車を造っているんじゃないかという噂が社内で広がり始めた。これが何でかっていうと

ジェネシスエンジン

「試作バルブの注文が4本単位ではなく5本単位だったから」

です・・・しかもその中の1本だけ短いバルブっていう怪しさ満点の開発。

(5バルブは3本ある吸気バルブの真ん中だけ少し短い)

1FM

そこでエンジンの開発責任者だった中山さんはダミーとして架空の単気筒プロジェクトを用意。

「た、単気筒とかも造ってるんだよ・・・」

と誤魔化す事で5バルブがバレるのを防いだそう。

FZ750サイド

「せめてこれだけは形にしよう」

という信念というか気迫が篭っていたからか、フレーム担当が最初は市販車ではなくレーサーと勘違いして設計を始めたという逸話まで誕生しました。

FZ750カットモデル

そんなFZ750から始まったヤマハGENESIS思想ですが、皆さんご存知のように多くの車種に採用され、多くの人を魅了する大成功を収めました。

これはひとえに執念深く研究することでGENESIS思想を構築したから。

FZ750ジェネシス

そして執念深く造り続けたことでFZ750という始祖を生み出せたからです。

主要諸元
全長/幅/高 2225/755/1165mm
シート高 790mm
車軸距離 1485mm
車体重量 209kg(乾)
燃料消費率 42.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/9500rpm
最高トルク 7.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/80H16
後130/80H18
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
スプロケ 前16|リア44
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
fz750 1985年
FZ750
(1FM)
fzr1000 1987年
FZR1000
(3GM/3LK/3LG)
yzf1000r 1996年
YZF1000R Thunder Ace
(4SV)
4xv 1998年
YZF-R1
(4XV)
5jj 2000年
YZF-R1
(5JJ)
5pw 2002年
YZF-R1
(5PW)
5vy 2004年
YZF-R1
(5VY前期)
5vy後期 2006年
YZF-R1
(5VY後期/4B1)
4C8 2007年
YZF-R1
(4C8)
14b 2009年
YZF-R1
(14B~1KB/45B)
2012YZF-R1 2012年
YZF-R1
(45B/1KB/2SG)
2015YZF-R1 2015年
YZF-R1/M
(2CR/2KS/BX4)
2019YZF-R1 2019年
YZF-R1/M
(B3L/4BS)

YZF-R125(BR6)-since 2014-

2014YZF-R125

フルモデルチェンジとなった二代目R125はアッパーの真ん中にはR6でお馴染みのラムエアダクトらしきものが・・・と思ったけどやっぱり繋がってない。ラムエアなんて200km/h以上でしか効果ないって言われてるし当たり前か。

R125フェイス

R125はもともと凛々しい顔でしたが、ダクトが付いた事でより戦闘的なイメージが付きましたね。

この顔なんかと被るな~?って思って調べてみたんですが、コレですね。

新旧デイトナ675

09のDAYTONA675に似てる。

特にウィンカーなんて・・・って思ったらこれ同じやつを付けてるみたい。どうりで似て、、、いや並べてみると思いのほか似てないですね。スイマセン。

個人的な意見を述べるとR125のデザイン特に顔はガトリングヘッドライトを採用する前のR1に通ずるところがあると思うんです。

5PW

この頃です。2002年ごろ。ツリ目二眼のパイオニアであったR1の最終形態ですね。

ですがご存知の様にこの後R1はラムエアダクトをサイドに付けたガトリングヘッドライトの5VY、そしてプロジェクター式の14Bと変貌を遂げていったわけ(詳しくはR1の系譜をどうぞ)ですが、もしR6の様なセンターラムエアダクトを採用してたらこのR125の様になってたでしょう。

2016年モデル

だからR125を見ると別の道を辿ったR1みたいで面白くもあり、カウルを贅沢に何枚も使ってるだけあってR1よりカッコいいと言ってもいいくらい纏まってる。

まあそれより中身ですねハイ。

ラジアルマウントキャリパー

見て分かる通り倒立サスにラジアルマウントキャリパーが付きました。ホイールデザインも新しくなってますね。125ということでABS非搭載モデルもあるみたいですね。

YZF-R125メーター

他にはメーターがフルデジタルになり外装も少変更が加わってます。

エンジンは馬力やトルクこそ変わってないんだけど見直された上にタンク容量が13.8Lから11.5Lに減った事からカタログ燃費が10%ほど改善されてます。

エンジン

作りは完璧にSSな125でブン回せるSSが欲しいならR125は間違いないでしょうが、やっぱりモデルチェンジしても正規販売は今のところ無いみたいです。レッドバロンが入れてるみたいだけどね。

そういえば前にもこういう事を言って

「何故レッドバロンを勧めるのか?レッドバロンの回し者か?」

と問われた事を思い出しました。

レッドバロン

別にレッドバロンで買えとステルスマーケティング(?)してるわけではありません。

まず最初に知っておかなければいけないのは並行輸入車(ショップが独自に海外から輸入したバイク)というのは基本的に保証を受けられません。

例えばもし並行輸入のR125を買って、走行に支障が出る設計ミスによるトラブルが判明しリコールが行われたとしても保証は受けられません。

欧州ヤマハ

車両に関する保証内容には「それぞれ(仕様地)の国内使用に限る」と明記されているからです。

要するに

「ヤマハでR125のリコールがあったみたいだからコレもリコールして!」

とR125をYSPといったバイク屋に持って行っても店も基本的に出来ないんです。

良心的な店やノウハウを持ってる店、現地メーカーと直接繋がりを持ってる店ならやってくれる事もありますが、基本的に日本のヤマハは知ったこっちゃないというスタンス。これはヤマハに限らずホンダやスズキやカワサキも同じ。

つまり”並行車=保証が全くない外車”と同じなので、いくら信頼性のある日本メーカーの物だからといって安直に買ってしまうと痛い目を見ます。

じゃあ逆輸入車の場合はどうなってるの?

と思う方も居るかもしれないので説明しておくと逆輸入車もメーカーの保証はありません。

ただし逆輸入車の場合は正規の場合は取り扱いメーカーの保証があるわけです。

プレスト

ヤマハならプレスト、ホンダならパッセージ、スズキならモトマップ、カワサキならブライトなど。

これらのメーカーが

「メーカーは保証は無いけど、ウチで買えばウチがメーカー並の保証するよ。」

としてるわけです。

そしてレッドバロンもそれと同じなんですが、レッドバロンの場合はそれに加えR125などを上で挙げた逆輸入車取扱メーカーが取り扱わない車種も独自に輸入したりしているから名前を挙げてるわけです。

つまり後で泣きを見ないためにも並行輸入車を買うときは、売りっぱなしの店ではなくアフターもキチンと対応してくれる店で買うように気をつけてください。

ブルー

プレストがしっかり取り扱ってくれればこんな心配も要らないんですけどね。

だいぶ話が脱線して申し訳ないです。

最後にR125の小ネタですが、人気色はやっぱりダントツでブルーだそうです。やはりヤマハといえば青のイメージが強いんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 1955/680/1065mm
シート高 825mm
車軸距離 1355mm
車体重量 140kg(装)
燃料消費率
燃料容量 11.5L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/9000rpm
最高トルク 1.3kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後130/70-17(62H)
バッテリー 12N5.5-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.15L
交換時0.95L
フィルター交換時1.00L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
2008yzf-r125 2008年
YZF-R125(5D7前期)
MT-125 2014年
MT-125(5D7/BR3)
2014yzf-r125 2014年
YZF-R125(5D7/BR6)

【関連車種】
GROMの系譜Z125の系譜Small DUKEの系譜RS4 125の系譜

YZF-R125(5D7)-since 2008-

YZF-R125

YZF-Rシリーズの末っ子ことYZF-R125

出た当初はすごく話題になりましたが、想像を超える値段(439,000円)と国内販売無しという事で一気に鎮火しましたね。

なんでかって言うとフランスで作っているバイクだからです。

エンジンはヤマハではなくヤマハの子会社である「Motori Minarelli」という会社が作ったものを載せています。

ミナレリヤマハ

Minarelli(ミナレリ)と聞いても恐らく誰も知らないでしょうが、1951年に誕生した元々は農業機械用の汎用エンジンを作っていたのですが、バイク業界に進出し一時期は125などの小排気量レースで無類の速さを誇っていたメーカーで、1984に技術援助契約、1990年に欧州ヤマハに吸収されミナレリヤマハと車名を改めました。

まあ要するに小排気量エンジン屋の老舗です。

R125エンジン

ちなみにこの他にもWR125&MT-125(R125と同じエンジン)やXT660、更には50cc全般のエンジンを今も作っていて、2008年には総出荷台数が1000万台を突破しました。

欧州ヤマハ

欧州だけで日本では売ってない小排気量のヤマハ車があったら十中八九はミナレリエンジンです。

更にR125は組み立ても欧州。MBKというフランスの子会社で組み立てられてます。つまりR125は欧州生まれの欧州育ち。

MBKというのはもともと自転車屋で・・・ってもういいか。

MBKヤマハ

日本で売られない理由はそういうことです。

生まれたキッカケは欧州の免許制度が改定されたことにあります。

欧州免許にはもともとA1免許というものがありました。これは125cc以下で15馬力未満&PWR(パワーウェイトレシオ)が0.1以下のバイクに乗れる免許です。

日本でいう小型二輪ですが、この制度が改訂(欧州統一化)された事で125に再び脚光が集まったわけです。

そこでヤマハもapriliaに敗けない125のスーパースポーツを作ってやろうじゃないかという事で作られたのがYZF-R125というわけ。

マットグレー

2010年頃にプレストの手によって帰国(?)したんですが、まあ125に50万円払える人は居なかったのか一年限りの入荷となってしまいました。

YZF-R125リア

末っ子という事で甘く見られがちなR125ですが、こう見えて結構スパルタンな作り。

高回転でパワーを絞り出す特性なのは勿論の事、ポジションもかなり前傾がキツく日本でもお馴染みのSSであるR1やR6に次ぐと言ってほどの厳しさ。

YZF-R125とロッシ

日本で125というと下駄やオモチャ的な扱いを受けちゃうけど、向こうの人にとって125はWGP125が存在していた様に600や1000と同じ加熱するカテゴリなんです。

そんなR125の値段がお高い理由としてはアルミスイングアームやブレンボキャリパーなどにもあるんですが、何よりカウルです。

いわゆるヤマハの十八番であるレイヤードカウル(重ねたような造形)なんだけど、凄いのは枚数。

フィアットカラー

だいたいフルカウル車のカウルというのはアッパー、サイド、アンダーの三点構成が普通でこれ以上の枚数を使ってるカウル車はあまりない。何故なら組み付けパーツが一枚増えるだけでもコスト(金型や工数による)が全然違うから。

分かりやすいのは原付。

ジョグ

左は90年代のJOGで右は現行のJOG。主要カウルの枚数が減っているのがわかるでしょうか。こういう工夫でメーカーはコストを抑えてるわけです。

さてじゃあR125のカウルを見てみましょう。

カウルリスト サイド二枚にアンダー二枚、アッパー入れると五枚、左右合わせると9枚ものカウルを使っています。

ちなみに長男坊であるR1のカウルはどうなってるのかというと・・・

R1カウル

なんだかものすごく寂しく見えますね。

つまりR125のデザインはYZFシリーズで一番お金が掛かってると言ってもいいほどコダワリのカウルを持っているんです。

YZF-R125WGP50TH

まあだから車体価格も結構お高いし整備性もすこぶる悪いんですけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2015/660/1065mm
シート高 818mm
車軸距離 1355mm
車体重量 138kg(装)
[140kg(装)※ABSモデル]
燃料消費率
燃料容量 13.8L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/9000rpm
最高トルク 1.25kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後130/70-17(62H)
バッテリー 12N5.5-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.15L
交換時0.95L
フィルター交換時1.00L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 439,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
2008yzf-r125 2008年
YZF-R125(5D7前期)
MT-125 2014年
MT-125(5D7/BR3)
2014yzf-r125 2014年
YZF-R125(5D7/BR6)

TZR250R/RS/SP/SPR(3XV) -since 1991-

三代目TZR250

「2CYCLE SUPER SPORTS」

TZR250の最終形にして非常に評価の高いTZR250Rとプロダクションレースに標準を合わせた限定500台のTZR250R・SP。

前年にあたる1990年にワークス復帰していたGP250においてYZR250で優勝してからの発売というドンピシャなタイミングで登場。

・完全新設計V型二気筒
・ブラックコーティングアルミデルタボックスフレーム
・新設計スイングアーム
・クラス最軽量の126kg
・メッキシリンダー
・2ウェイYPVS
・カセット式ミッション
・ワイドリムタイヤ
・専用シリンダー/ピストン/クランク(SP)
・大型キャブレター(SP)
・大型ラジエーター(SP)
・6速クロスミッション(SP)
・伸圧減衰調整付き前後サスペンション(SP)

などなど先代の原型を留めないほどのフルモデルチェンジ内容。

中でも特徴的なのが一足先に市販レーサーTZ250がYZR250同様Vツインになった事でがそうなった様に、TZR250Rも遂に90°Vツインになったこと。

3XVのエンジン

「2st250のレーサーレプリカってどうしてみんなVツインなの。」

と思う人がいるかもしれないので超簡単に説明すると、2stは吸気(掃気)バルブと排気バルブの役割をピストンが担っているため、吸排気口のバイパスを燃焼室に沿うように設置しないといけない。

この状況でパワーを出そうと思ったら、その口も目いっぱい大きくして抵抗が生まれないようにする必要があるんですが、並列では隣のシリンダーとスペースの兼ね合い問題が出てくる。スペースを確保するためにシリンダーピッチ(シリンダーの間隔)を大きくしたらエンジンが大きくなってしまうし、クランクシャフトも伸びるので重量とフリクションロスが増えるなど弊害が出てしまう。

TZR250Rのクランク

「だったらシリンダー横並びを止めればいい」

という一つの結論に至ったのが90度Vツインという話。ただ2stの都合上、クランクピンを共有しない並列二気筒を捩じったような形で揺する振動が発生するため、TZR250R/3XVがそれを消すための偶力バランサーが付いています。

そんな事情からTZR250RもVツイン化したのですが、車体の方も新設計のデルタボックスフレームで全体的にコンパクト化。

TZR250Rフレーム

レーサーTZ250と同じく50%を超える前輪荷重とクラス最長58mmとなるロングスイングアームでハンドリング性能を大幅に向上。

ちなみにデザインも凝っていてアッパーカウルとテールカウルも尖らせるなど、デザインにも非常に定評があるモデルでした。

TZR250Rサイド

左から見たときに揃っていないチャンバーが非常にカッコいい。

それで肝心の速さはどうだったのかというと・・・速かったというか完成度がずば抜けていた。Vツイン処女作とは思えないほど速く、バランサーを搭載している事もあってか、レーサーレプリカとして非常に珍しくライダーを急かすことなく忠実かつ軽やかに熟す正に名馬と呼ぶべき素行の良さが評判でした。

もちろんレース界隈でも

「速い・素行がいい・TZ250部品が使える」

三拍子揃っていた事もあって大活躍。

TZR250R SP

SPレースは言うに及ばず、ノービスの頂であった鈴鹿四時間耐久レースでも6度の優勝を果たす快挙を成し遂げました。ちなみに2st勢として最後に優勝したのもこのTZR250R/3XVです。

まさに遅れてやってきたヤマハの真打ちでした・・・が、出るのが遅かったというか、この頃になると市場がレーサーレプリカに飽きていたので、レースをやっていた人たちは強烈に覚えている一方、一般ライダーはあまり印象を持っていない人が多い。

晩節を汚したとかならまだしも性能・戦績共に十分なのに昔も今も

『雑誌:1KT/2XT≒3MA>3XV』
『世間:3MA≒1KT/2XT>3XV』

という悲しい比率なのが基本で、涙を流す3XVオーナーが多い。

ただ、これについては当時のヤマハも覚悟の上だったとは思います。3XVが出る前からすでにレーサーレプリカブームは去りつつあったわけですから。それでもヤマハが全力投球で3XVを出してきたのは、1959年のYD-1からの始まりを見ればわかる通り、2stクオータースポーツというクラスを牽引してきたの自分たちであるという自負があったからではないかと。

TZR250SPR

TZR250R/3XVはそんなプライドの最後、本当に本当の最後を飾るにふさわしい集大成モデルでした。

TZR250R/3XVのモデルチェンジ概要

※初年度はTZR250R/SP(3XV1/3XV2)
※年末に先行販売されるSPについて翌年モデルに入れて紹介します

TZR250R/RS/SP(3XV4/3XV8/3XV5) -Since1992-

この代からレース向けモデルについてSPとは別に、ノーマルモデルから乾式クラッチと特別ペイントをした上記写真のRS(Racing Spirit:限定1000台)が追加されました。

TZR250Rカタログ

・キャブおよびCDI制御を変更しレスポンス向上
・スロットル同調機能を一つのディストリビューターに一元化
・フロントフォークのメタルをクラウニング加工
・Xリング採用の新型リアサスペンション
・板厚を2mmアップさせ剛性を上げた新設計スイングアーム
・調整幅を拡大したブレーキレバー
・ライトの常時点灯化およびハザードランプの採用
・上記に伴い低速での発電量を向上
・乾式クラッチ(RSのみ)

TZR250R/RS/SP(3XV6/3XV9/3XV7) -Since1993-

93年の1月から発売された40馬力の自主規制モデル。規制されたモデルという事が先行しがちですが、多岐に渡った改良により非常に評価が高かった。

1993TZR250R

ちなみに昨年末にSP(500台限定)が先行販売され、年明けにRS(1000台限定)そしてRという形で一か月毎に発売された経緯があるためモデルイヤーがややこしくなっています。

・TZ250と同型式のシリンダー
・フラットタイプのYPVS
・キャブレターをリセッティング
・オイル消費量を減らすデューティ(電子)制御オイルポンプ
・チャンバーを3段膨張式に変更し騒音削減
・乾式クラッチ(RS・SP)
・新型フロントフォーク(SP)
・新型リアサスペンション(SP)
・新型スイングアーム(SP)
・クイックファスナー(SP)

TZR250RS/SP(3XVA/3XVB) -Since1994-

94TZR250RS/3XV1

標準のRモデルがなくなり乾式クラッチを装備したRSとレースを想定したSPの2モデル展開になった94年型。

変更はカラーリングのみで、この年式だけフレームがシルバーなのが特徴。

TZR250SPR(3XVC) -Since1995-

TZR250Rの最終モデルでRSとSPの2モデル展開をやめ、SPをベースに公道からレースまで視野に入れた良いとこ取りコスパモデル。このモデルをもって1999年に販売終了。

・中低速トルクを向上させるトリプルYPVS
・新型キャブレター
・ワイドレシオ化(RSと同レシオ)
・新設計アルミデルタボックスフレーム
・サスペンションをリセッティングし調整幅を25段階に

主要諸元
全長/幅/高 1960/680/1075mm
シート高 780mm
車軸距離 1340mm
車体重量 91:126kg(乾)
91SP:128kg(乾)
93・SP:126kg(乾)
95SPR:132kg(乾)
燃料消費率 91:35.0km/L
91SP:34.0km/L
95SPR:35km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
93以降:40ps/9000rpm
最高トルク 3.8kg-m/8000rpm
93以降:3.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー GT4B-5
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ECM/BR9ECM/BR10ECM
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.5L
スプロケ 前14|後37
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 91:629,000円(税別)
91SP:829,000円(税別)
93:659,000円(税別)
93RS:699,000円(税別)
93SP:890,000円(税別
95SPR:780,000円(税別)
系譜図
YD1 1957年
YDシリーズ
YDS-1 1959年
250S/YDSシリーズ
dx250 1970年
DX250/PRO
(280/352)
RD250 1973年
RD250
(361~3N4)
4L3 1980年
RZ250/R/RR
(4L3/29L/1AR/1XG/3HM/51L)
1KT 1985年
TZR250
(1KT/2XT)
3MA 1989年
TZR250/SP
(3MA)
R1-Z 1990年
R1-Z
(3XC)
3XV 1991年
TZR250R/SP/RS/SPR
(3XV)

【関連車種】
NSR250Rの系譜250Γの系譜KR-1の系譜

TZR250/SP(3MA)-since 1989-

二代目TZR250

「走りの純血統」

ある意味歴代TZR250の中じゃコレが一番有名かもしれないサンマことTZR250/3MA型。

プロジェクトリーダーはTZ250後方排気モデルの生みの親と同じく宮地さんというお方で『YZR感覚の体験』というTZRのコンセプトを引き継ぎ、マン・マシンの一体感を最優先。

・後方排気エンジン
・テールから飛びてたチャンバー
・新設計アルミデルタボックスフレーム
・アンダーブレースタイプのスイングアーム
・フロントWディスクブレーキ
・スラントノーズフェアリング

などTZ250の流れを大きく取り入れポテンシャルが更に向上しました。

長々と話す前によくある誤解を解いておくと、3MAが採用した後方排気というのはエンジンの前方から混合器を吸って後方から排気する事で、簡単に言うとエンジンを前後逆に積んでいる形であり、センターアップマフラーの事ではありませんのでご注意を。

後方排気

そんな今でこそ有名なTZR250/3MAですが、当時は一日千秋の思いで出るのを待っていたものの、一向に出ず待ち疲れた人も多かったかと。

というのも、先代でも話した通りTZR250は共同開発されていた一卵性双生児ともいえる市販レーサーTZ250がいたのですが、そのTZ250は1987年の7月に後方排気エンジンを積んで全日本選手権にて鮮烈デビューを飾りました。

TZ250

これが出たという事はつまりTZR250も同じようになる。鬼神の如き速さによりアマチュアレースでも公道でも猛威を振るっていたTZR250がこれになる・・・と思っていたら出ない。年が明けても出ない。ライバル勢がどんどん出てきているのに出ない。

結局出たのはTZ250後方排気モデル登場から一年半後となる1989年の3月で、正直に言うと

「やっとか」

という声が多かった。

3MAカタログ

ここまで遅くなった理由について公式では何も情報が無いため不明ですが、巷では

「公道向けの調整に手こずったからではないか」

と噂されたりしました。

これは、3MAは後方排気つまり吸気側であるキャブが前方にある事からオーバークールを起こしやすく、セッティングがやや気難しい面があったから。

3MAカタログ写真

走る環境が決まっているレースならまだしも、環境が刻一刻と変わる公道でセッティングをバッチリ合わせるのはプロでも至難の業。そんなことを一般人ライダーが最適化出来るはずもなく・・・という事からそういう説が囁かれたんだと思います。

また、すぐに改良された後期モデルが出たこともその説を補強する形になっています。

TZR250(3MA後期) -Since1990-

3MA後期

翌年の2月に登場した3MAの後期モデル3MA4型。

・中低速を補強する新設計TMキャブレター
・同じく補強向けな2ウェイ式YPVS
・倒立フロントフォーク
・トラス補強となったスイングアーム

などなど中低速の扱いさすさと操舵性を向上させる年次改良が行われました。また、この後期モデルからはTZR250でレースを戦ってくれる人達用のSPモデルも1000台限定で用意。

TZR250SP

・専用シリンダーとクランク
・ハイコンプ化(高圧縮化)
・Φ34の大径TMキャブレター
・乾式クラッチ
・大型ラジエーター
・伸縮調整機能付きFフォーク
・圧減衰調整機能付きRショック
・専用6速クロスミッション
・リア4.5×18リムの採用

などなどコレでもかというほどの奢りっぷり。

しかし結局1年後には全く別の形へフルモデルチェンジとなり、3MA型はわずか二年で販売終了を迎える事となりました。

確かに3MA(特に前期モデル)は粗削りな部分があり、速く走るのが難しいモデルでした。しかし今もなお熱狂的なファンがおり、場合によっては歴代TZR250で一番有名な事からも分かる通り非常に人気があるのは、そういった粗削りな中にとてつもなく輝くものを持っていたから。

ヤマハTZR250/3MA

その一つがパワーバンドに入った時の

「聞き間違う事のない唯一無二の甲高い排気音」

これに魅了され脳裏に焼き付いてしまった人たちが多かった。テールカウルから出ているチャンバーも相まって、ワークスライダーの平さんになれたような気がする人たちが多かったから、今もなお語り継がれるレーサーレプリカになったんだと思います。

3MAのチャンバー

個人的には剥いた時の妖艶さも凄い。

気難しいけど弾けたら凄い、そして剥いても凄い。記録には残らなかったけど記憶には残った小悪魔レーサーレプリカだったと言えるのではないかと。

主要諸元
全長/幅/高

前期:2040/655/1100mm
後期:2040/695/1100mm

シート高 760mm
車軸距離 1380mm
車体重量 前期:136kg(乾)
後期:138kg(乾)
燃料消費率 前期:41.0km/L
後期:40.0km/L
SP:41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.8kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/60R18(64H)
SP:後150/60R18(67H)
バッテリー GT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR8ES/BR9ES/BR10EV
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1.4L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 619,000円
SP:719,000円
系譜図
YD1 1957年
YDシリーズ
YDS-1 1959年
250S/YDSシリーズ
dx250 1970年
DX250/PRO
(280/352)
RD250 1973年
RD250
(361~3N4)
4L3 1980年
RZ250/R/RR
(4L3/29L/1AR/1XG/3HM/51L)
1KT 1985年
TZR250
(1KT/2XT)
3MA 1989年
TZR250/SP
(3MA)
R1-Z 1990年
R1-Z
(3XC)
3XV 1991年
TZR250R/SP/RS/SPR
(3XV)

TZR250(1KT)-since 1985-

TZR250/1KT

「SPIRIT OF COMPETITION」

ヤマハのレーサーレプリカを代表するTZR250/1KT型。

11月の東京モーターショーでお披露目されたのですが

「YZR500(GPワークスマシン)を開発したメンバーによる市販レーサーTZ250との共同開発」

という事で大きく話題となりました。

TZR250とTZ250

これは要するに

「レーサー部門に人たちに公道向けの市販車も一緒に造らせました」

という前代未聞なやり方。

レーサーレプリカの流れ

・YZR500で採用された樹脂製リードバルブ付きクランク室圧縮
・YZR500で採用されたアルミ製のデルタボックスフレーム
・YZR500で採用された320mmの大径ディスクブレーキ
・ミッションを始めとした各部のドライサンプ化
・ナナハンクラスの前後極太サスペンション
・なにかの間違いじゃないかと思う乾燥重量126kg
・これもなにかの間違いじゃないかと思うクラス最高値55万円

などなど、明らかにそれまでの250とは一線を画す装備と価格、そして次元の違う速さを持っていました。

2XT

速さの要因として大きいのはやはりクランクから吸気するクランクケースリードバルブ式を採用した事かと思われます。それまでピストンの上下運動が担っていた吸気タイミングを、クランクケースに担わせる構造にすることで劇的な性能向上に成功。

ピストンリードバルブとクランクケースリードバルブ

クランクケースから吸気するという昔あった形式が、レース技術により最高性能を叩き出す形式に返り咲くというロマン。TZR250がこれを採用して以降、スポーツモデルはクランクケースリードバルブが主流となります。

しかしTZR250が魅せた”次元の違う速さ”というのは、エンジンだけじゃないのが凄いところ。

「乗りやすさ故の速さ」

にあります。だからこそメディアやアマチュアレーサーだけでなく、多くの一般ライダーも飛びついた。

TZR250最初のポスター

これも最初に言ったようにYZR500を始めGPレーサーに携わっていた阿部さん(プロジェクトリーダー)を始めとしたレーシングエンジニアが手がけたから。

「レーサーって実はすごく乗りやすいんですよ。」

って言われたり聞いたりした事がある人も多いんじゃないかと思います。これは乗りやすさこそが安定したタイム向上につながるから。

YPVS

「人間の感性と調和」

これはTZR250の礎とも言えるYZR500の開発コンセプトというか思想。これがあったからその流れを受けるTZR250もあれほど凄いのに乗りやすいという話で、プロジェクトリーダーの阿部さんがRIDERS CLUB No.101のインタビューでこう答えられていました。

「YZR500をやってきたからこそ、オンロードスポーツへの確信を明確に持っている。」

ヤマハTZR250/1KT

こうすればいい”らしい”とか、こうするのが基本”らしい”といった開発への迷いを持たず、GPというレースの頂で星の数ほどのトライ・アンド・エラーをやってきた経験に裏打ちされた確信があったから、初代にしてここまで完成度の高いレーサーレプリカを生み出すことが出来たという話。

1KT カタログ写真

それが如実に現れているのが、アンチノーズダイブやフロント16インチなど当時では画期的だと言われた装備を一切付けていない事。

逆に、TZR250で採用されたアルミデルタボックスフレームや前後17インチ、アルミブラケットにフローティングマウントのディスクローターなどは、40年経った今も当たり前のように採用され続けている・・・凄いとしか言いようがない。

もう一つおまけの話をすると、初代にしてほぼ完璧だったTZR250ですが、唯一言われていた批判が

「デザインがちょっと地味(寂しい)」

という事でした。こう言われた要因はレーサーでありながら車体にデカール等があまり貼られていないから。このTZR250はRZでも紹介したレース直系技術であるヤマハ自慢のYPSV(排気デバイス)が装着されているのに、その文字すら入っていない。

初代TZR250

でもこれワザとなんです。これについても阿部さんはこう答えています。

「機能というのはアピールする物ではない。気付かれない様に機能するのが本当に優れた機能。」

そう考えていたからクランクケースリードバルブやYPVSなどの技術をデカールでアピールする事を良しとしなかった。

ヤマハTZR250

ただしこればっかりは営業からも呆れられたそうで、妥協案としてアクセサリーとして用意したシングルシートカウルに、そして2年目からボディにシレッと排気デバイスYPVSの文字が貼られる様になりました。

書き忘れましたがもちろんTZR250/1KTも市販車レース(F-3/SP250)に参戦できるようレースKITが販売され全国のレースで大いに活躍というか猛威を振るいました。

GPレーサーの技術者に開発させレースKITまで用意するという技術の大盤振る舞いだったTZR250/1KTすが、ここまでやったのはもちろんYDS-1から続いている

『2stのヤマハ』

の習わしだったからでしょうね。

TZR250(2XT) -Since1988-

2XT

二年後に出された二型のTZR250/2XT型。

・デジタル式CDI
・ラジアルタイヤへ変更
・アルミメッキシリンダー
・給排気系統の大幅な見直し

などなど別物エンジンになるほど結構大掛かりなモデルチェンジにより1KTから更に本当は45馬力以上あるだろ感が増したんですが

「見た目は1XTのまま」

というブレないストイックさが災いし、知ってる人は凄さが分かるんだけど知らない人も多い歴代TZR250では最も通好みなモデル。

TZR250マルボロカラー

ちなみにこれは当時ヤマハを応援していた者にとってはたまらないYZR500/GP500と同じヤマハマルボロカラーモデル。

一転してド派手になった事もあり、涎を垂らす人が続出しました。

主要諸元
全長/幅/高 1KT・2XT:2005/660/1135mm
2XT:2005/660/1
シート高 1KT・2XT:760mm
車軸距離 1KT・2XT:1375mm
車体重量 1KT・2XT:126kg(乾)
燃料消費率 1KT・2XT:43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 1KT・2XT:16.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 1KT・2XT:45ps/9500rpm
最高トルク 1KT:3.5kg-m/9000rpm
2XT:3.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 1KT:前100/80-17(52H)|後120/80-17(61H)
2XT:前110/80-17(52H)|後130/70-17(67H)
バッテリー 1KT・2XT:GM4A-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
1KT:BR8ES/BR9ES
2XT:BR8ES/BR9ES/BR10EV
推奨オイル  
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
1KT:1.4L
スプロケ 1KT:前14|後41
チェーン 1KT:サイズ520|リンク110
車体価格 1KT:549,000円(税別)
2XT:559,000円(税別)
系譜図
YD1 1957年
YDシリーズ
YDS-1 1959年
250S/YDSシリーズ
dx250 1970年
DX250/PRO
(280/352)
RD250 1973年
RD250
(361~3N4)
4L3 1980年
RZ250/R/RR
(4L3/29L/1AR/1XG/3HM/51L)
1KT 1985年
TZR250
(1KT/2XT)
3MA 1989年
TZR250/SP
(3MA)
R1-Z 1990年
R1-Z
(3XC)
3XV 1991年
TZR250R/SP/RS/SPR
(3XV)