ZX-9R(ZX900F)-since 2002-

ZX-9R最終型

「Track Star」

最終型であるZX-9RのF型。

触媒が標準装備となった事で車重が3kg増加していますが

・4potキャリパー
・CVKDキャブ
・エンジンのフルリジッド化(先代は一箇所ゴム)による剛性向上
・スタビライザー付き(上やぐら)スイングアーム
・グラブバーの廃止

などなど130箇所にも及ぶパーツが見直されスポーツ性が更に向上。

F型

このF型がユメタマの最終型となるわけです・・・が、正直ZX-9Rはちょっと可哀想なバイクでした。

というのもZX-9Rが登場した頃のNinjaシリーズは

・ヤンチャミドルZX-6R

・ピュアレーサーZX-7R

・オールマイティZX-9R

という三兄弟体制だったんですが、ここにZX-12Rというモデルが登場したから。

NINJAシリーズ

ZX-12Rは猪突猛進なメガスポーツなので9Rとは被らないんだけど、如何せんデザインが同系統で排気量が違う事から、12Rが9Rの上位互換の様なイメージを持つ人が多かった。

そして典型的なスーパースポーツとも一線を画していたことも災いしました。

ZX900F

メガスポーツほどカタログスペックが秀でているわけでもない、スーパースポーツほど軽くコンパクトでもない。

開発者の意図を分かりやすく言うなれば、ZX-9Rは

「スーパースポーツツアラー」

だから当たり前な話。

ただ夢のビッグバイクが欲しい人達にとっては、刺さる部分が無い無個性に見えてしまったんだね。

ZX900F

でもこのZX-9Rのエンジン、そしてコンセプトを受け継ぐ形で登場したNinja1000は、今やメガスポやスーパースポーツより・・・というか2017年大型部門において販売台数一位になるほどの人気。

時流っていうのは残酷な物ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2065/730/1155mm
シート高 815mm
車軸距離 1415mm
車体重量 188kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 143ps/11000rpm
最高トルク 10.0kg-m/9200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 1,090,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-9R(ZX900E)-since 2000-

00ZX-9R

「Ninja. Definitive.」

追いつけ追い越せだったライトウェイトビッグスポーツ部門に居たことから、他社に負けじと2年でモデルチェンジされたZX-9RのE型。

2000ZX-9Rカタログ写真

車重はそのままにメッキシリンダー化で1psアップの144ps、更に新開発のペリメタフレームに足回りの見直しなどで使い勝手がアップ。

開発チームいわく鋭さを増すためのモデルチェンジらしいのです・・・が、まあでも一番は顔ですよね。

ZX900E

カワサキが少し前にやっていたファミリーフェイスの始まりなんですが、ラムエアの口が本物の口みたいでなんとも特徴的な顔。

そしてこのデザインの狙いがまた面白いというか実にカワサキらしいもので、この顔の狙いはラムエアにあります。

ZZR1100から始まった走行風を積極的に取り入れることで吸気効率を上げるラムエアですが、この頃になると各社から追従するように登場していた。

そんな状況に憤りを覚えた福本デザイナーが

2000ZX-9R顔

「元祖ラムエアメーカーはカワサキ」

という事を示す意味がこの顔には込められているんです。

確かに狙い通りの効果というか・・・効果ありすぎですね。

主要諸元
全長/幅/高 2050/730/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1420mm
車体重量 183kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 144ps/11500rpm
最高トルク 10.3kg-m/9200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 ※スペックはEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-9R(ZX900C/D)-since 1998-

Cタマ

「Confidence inspiring performance」

ZX-9Rの二代目ZX900C/D型ことCタマとDタマ。

ちなみにD型はドイツとスイス向けに造られた触媒(KLEEN)装備モデルで、日本には入ってきていません。

ZZRとZXRのイイトコ取りとして登場した先代でしたが

「サーキットからツーリングまで幅広く使えるスーパースポーツ」

という狙いが理解されある程度の評価は獲得したものの、文句なしというわけではなく

「あとは車重が軽くなれば完璧」

という声が多かった。

もともとZX-9RはZXR750というもZZR寄りで、実用性や所有感を重視していたから重めだったんだけど、GSX-R750そしてCBR900RRの登場で時代は一気に軽量コンパクトに流れていたわけです。

Cタマコンセプトデザイン

そこでカワサキも開発メンバーをスーパースポーツを手がけてきた人達を集め大幅な軽量化を断行。

ただし単に軽量化するだけでなく、馬力を上げる事も目標に加えられました。

これは

「馬力を更に上げてパフォーマンスを磨く事がカワサキのポリシー」

とプロジェクトリーダーの高田さんが考えていたからです。

普通は軽量化となった場合、強度や剛性の問題があるので馬力を上げることは難しくなる。

この二律背反のような目標を達成するためにされた事としては、まずエンジンがあります。

ZX900C型エンジン

せっかくほぼ新設計と言えるほどだった先代エンジンを惜しむことなく捨て、新たに一から作り直した正真正銘の完全新設計エンジンに。

具体的にはバルブ駆動をロッカーアーム式から直押式に変更しショートストローク化したことで5馬力UP。

そしてクランクやジェネレーター果てはイグニッションコイルに至るまでグラム単位で見直され6.4kgの軽量化となり76.6kgに。

ZX900C型フレーム

次はフレームですが、まず前後長を短縮してコンパクト化。

更にダウンチューブも廃止し、エンジンを積極的に剛性メンバーとすることで5kg軽量化し12.5kgに。

そして極めつけはマフラー。

1998ZX-9R

なんとこれ当時としては非常に珍しい中も外もチタンなフルチタンマフラー。

これのおかげで2.1kgの軽量化で9.1kgに。

これが許されたのは企画の谷さんがダメ元でチタンマフラーを直訴したところ

「やっぱりマフラーといえばチタンだよな」

と上司が大のチタン好きだった事が幸いして了承を得た経緯があります。

1999ZX-9Rカタログ写真

「リプレイスしなくてもいいと言えるマフラーが出来た」

と喜びも一入。

とにかく馬力を上げつつ何もかも軽量化した事で

『先代比-32kgの183kg』

というダイエットというよりもはや別物と化したC/D型。

だたそんな中でもZX-9Rが譲らなかった装備としてグラブバーがあります。

ZX900Cグラブバー

両方で1kg近くもある。

なんで軽量化が至上命題なのに取らなかったのかと言えば、ZX-9Rはただ速いだけのレプリカではなくオールラウンダーなスーパースポーツだからです。

奇しくもライバル車であるCBR900RRのヒンジ付きリアシートに通ずるところがありますね。

ZX900C顔

「ユーザーに我慢を強いる事を良しとしない」

この頃のスーパースポーツというのはレースと無縁な事もあり、ユーザー第一な考えが当たり前だったんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2050/720/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 183kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 143ps/11000rpm
最高トルク 10.3kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 ※スペックはEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-9R(ZX900B)-since 1994-

ZX-9RB

「Evolution in Motion」

第3世代のマジック9ことZX-9Rの初代モデルであるBタマ。

なぜ”B型”ではなく”Bタマ”と呼ばれるのかというとロゴにあります。

ユメタマ

Rがカタカナの”マ”みたいな特徴的な形な事に加え、ナンバリングの9がカタカナのタに見える事から

Z→ユ
X→メ
9→タ
R→マ

という愛称が広く普及し、愛着を込めてBタマCタマなどと言うようになったんです。

さて・・・始まりのBタマについて書く前にマジック9について少し説明します。

1994カタログ写真

マジック9とは900SUPER4(Z1)、そしてGPZ900R(ZX900A)と、知らぬものは居ないほどの大成功を収めてきたカワサキにとって特別なナンバリング(クラス)の事。

ただマジック9という概念を生むキッカケとなった二代目マジック9ことGPZ900Rが900になったのは、偶然であり狙ってやった事ではないんですけどね。

そして面白いことにZX-9Rがマジック9になったも、GPZ900Rと同じ様にたまたま・・・ユメタマなだけに。

ただ、そうなった以上は偶然とはいえ泥を塗らないように頑張るしか無いと開発チームも意識していたそうです。

ユメタマカタログ写真

そもそもZX-9Rが生まれるキッカケとなったのは何かと言うと、世界中で大ヒットしていた元祖メガスポーツことZZR1100に起因します。

カワサキとしては渾身のスーパースポーツとして造り出し好評を得ていたZZR1100だったんですが、調べてみると購入層の平均年齢が高かった。

企画の伊藤さんがなぜスーパースポーツ好きが多い若年層が買わないのか調査してみると

「ZZR1100はスーパースポーツじゃないから」

という答えが特に欧州で多かった。

そう思われる最大の理由はルックヘビー、要するに見た目が大きくて重そうだから。

若年層が望むのはZZR系よりもZXR系だという事がわかったわけです。

そこで始まったのが

ZX-9Rコンセプトデザイン

「ZZR1100とZXR750のイイトコ取りしたバイク」

というプロジェクト。

これがZX-9Rの始まりなんです。

ベースをZZRにするかZXRにするか色々と検討した結果、ZXR750をベースにする事に決定。

そしてZXRから引き続きエンジン担当となった渡辺さんだったんですが、ZXR750のエンジンは元々レース第一の造りでキッチリ750に合わせて造ったものだったから

「これを900ccにして低速トルクを増やせ」

と言われた時は何かの冗談かと思ったそう。

初代ユメタマ

しかし偶然とはいえマジック9のバイクになる以上はやるしかないとして

・ピストンとコンロッド

・クランク周り

・カムチェーン&スプロケ

・ミッション周り

これらを全て変更。

「終わってみたら残ったのはヘッドとガワだけだった」

というほぼ新設計のエンジンが完成。

ZX-9R透視図

これはフレームも同様で、形こそZXR750と近いものの部材やマウントの変更で別物と化しています。

特にZXR750と目に見えて違うのがダウンチューブフレーム(上の写真の黒い部分)の追加です。

これはZXRの要素だけでなくZZRとしての要素、つまりツアラーとしての要素も持たせるために設けられたエンジン振動の受け手。

こうしてZXR750とZZR1100のイイトコ取りな139ps/215kgのスーパースポーツが完成したわけです。

ZX-9Rのフランス仕様

ちなみにフランス仕様は法規の関係上、非対称なライトで何とも言えない表情に。

主要諸元
全長/幅/高 2085/725/1165mm
シート高 800mm
車軸距離 1440mm
車体重量 215kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 899cc
最高出力 139ps/10500rpm
最高トルク 9.8kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ530|リンク112
車体価格 ※スペックはEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZXR750(ZX750H/J/L)-since 1989-

ZXR750

「レーシング・スーパーウェポン」

ワークスマシンZXR-7のレプリカとして登場したZXR750。

アルミツインスパーフレームからも分かる通りレーサーレプリカライクなマシンではあるんですが一つだけ面白いというかカワサキらしい店としてアンダーチューブフレームが付いている事があります。

ZXR750ディメンション

これは振動対策が主な狙いでアンダー側はラバーマウントとなっています。

こちらはR仕様のZXR750RでFCRキャブに倒立専用サスとシングルシート仕様というコテコテなレーサーでアンダーチューブも付いていません。

ZXR750Ninja

ちなみにアイデンティティでもあるタンクに刺さっているホースはラムエアではなく

『K-CAS(Kawasaki Cool Air System)』

と呼ばれ、エンジンの熱ダレを防ぐためヘッドに走行風を積極的に送って冷やすためのダクト。

激化する競争に勝つため僅か二年でフルモデルチェンジされJ型に。

zxr750

サイドカムチェーンの新設計エンジン、倒立フォーク、Rはフルアジャスタブル化などの改良。

ちなみに1993年にこのZXR750の発展形であるワークスマシンZXR-7でカワサキは世界耐久選手権のチャンピオンを獲得しました。

zxr-7

ちなみに鈴鹿8耐も勝っています。

というかカワサキが八耐で勝ったのは唯一のマシンがこのZXR-7。

その後1993年に各部が見直されカーボンマフラーを採用したL型(写真下)となり、更にフルモデルチェンジでSBKのZX-7Rとなり、そして最終的にはMotoGP車両ZX-RRとまさに出世魚の様なバイクでした。

ZXR750Rカタログ写真

ZX-7Rについては

「問題児レーサー ZX-7R/RR(ZX750P/N)」

をどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2090/745/1165mm
[2085/730/1120mm]
<2095/730/1140mm>
シート高 770mm
<780mm>
車軸距離 1445mm
[1420mm]
<1430mm>
車体重量 205kg(乾)
[194kg(乾)]
<205kg(乾)>
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 77ps/9000rpm
最高トルク 6.7kg-m/7500rpm
[<6.9kg-m/6500rpm>]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58H)
後170/60R17(72H)
<前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)>
バッテリー YB12AL-A2
[<YTX12-BS>]
プラグ CR8E
または
U24ESR-N
<CR9E
または
U27ESR-N>
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
[<全容量4.0L
交換時3.4L
フィルター交換時3.5L>]
スプロケ 前16|後46
{前16|後45}
<前16|後43>
チェーン サイズ530|リンク112
[{<サイズ530|リンク110>}]
車体価格 859,000円(税別)
{879,000円(税別)}
<879,000円(税別)>
※[]内は90モデル
※{}内は91-92モデル(J型)
※<>内は93以降モデル(L型)
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

GPX750R(ZX750F)-since 1986-

GPX750R

「突き詰めればカワサキ」

カワサキ初となる完全新設計のフラッグシップ750であるGPX750R・・・なんと車名にZと付いてない。

ZX750F

これは当時としては非常にコンパクトなサイズや造りから見て分かる通り、これまでとは違う

『Xの思想』

で造られたバイクだから。

Xというのは”究極のZ”に対する”親しみのX”という意味です。

GPX750Rカタログ写真

新設計のダブルクレードルフレームに新設計のセンターカムチェーンエンジン。

目を引くための装備や技術を設けず

「枯れた技術のみで最新の開発力を用いて造る」

というアンチレーサーレプリカを体現するようなバイク。

GPX750Rパンフレット

でもその思想は過激化していた時代には受け入れられる事なく・・・GPXシリーズはクラス問わず一代限りとなってしまいました。

主要諸元
全長/幅/高 2115/715/1185mm
シート高 775mm
車軸距離 1460mm
車体重量 195kg(乾)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 77ps/9000rpm
最高トルク 7.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/90-16(59H)
後140/70-18(66H)
バッテリー YB12L-A2
プラグ D8EA
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 799,000円(税別)
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-14R(ZX1400E/F/G/H)-since2012-

ZX-14Rフロント

「King of Motorcycle」

2012年からのZX-14R/ZX1400E型とABSモデルのZX1400F型。

ZX-12R以来となるNinjaそしてZX-Rというネームの復活にいろんな人が湧きましたね。

今までと違い発売前から思わせぶりな宣伝を打ってきたことから相当な自信があるのだろうと思ってたら、やっぱり出てきたのは緑色な怪物でした。

ZX-14R

目立つ変更点としてはトラクションコントロールシステム。

仕組みについては1400GTRで話したので割愛しますが、ZX-14Rの場合は強弱に加えて切ることも可能な3モードタイプ。オマケというとアレだけど合わせて2つの出力特性を選べるパワーモードとスリッパークラッチも付いて安全性とスポーツ性が向上。

ZX-14Rface

見た目の方も大きなカバーレンズで覆われZX-Rに合わせた二眼のような四眼に変更されました。

エンジンはストローク量を上げるだけでなく、合わせてヘッド周りは削り出しに変更されピストンやバルブも刷新し圧縮比を向上させ全域でパワフル化。

ZX-14Rエンジン

これによって遂に非加給(ラムエア無しで)200馬力を達成。

ちなみに2016年モデルからはEURO4(排ガス規制)に対応するためキャタライザーが増設され、日本に入ってくるアジア仕様はハンドルも上げられて少し優しくなっています。

2016年ZX-14Rカタログ

写真はブレンボオーリンズ装着のハイグレードモデル。

ただZX-14Rで一番注目してほしいのは実はカタログスペックに載らない部分にあります。

ZX-14Rフレーム

一見すると変わっていないように思えるフレームは剛性が大きく見直され、それに合わせて足回りも

・サスペンションの再セッティング

・軽量化されたホイール

・10mm延長されたスイングアーム

・軽量なスリードチェーン

などなど変わっていないようで大きく変更されてある。

ZX-14Rチェーン

ZX-14Rのモデルチェンジのミソな部分は実はここ。

一見すると地味とも言えるこの変更点の狙いは何かと言うと

「軽快感を出すため」

にあるんですが、この軽快感というのがZX-14Rの裏コンセプトに繋がるんです。

メガスポーツというと世界最速が至上命題にあるわけですがZX-14Rにはもう一つ別の狙いがありました。

それは

『ZZRを造る』

という事です・・・これだけ言うとちょっと混乱しますよね。

2017年式ZZR1400

「いやいや先代や欧州名はZZR1400じゃん」

って。

でもこの場合のZZRという言葉が指す意味はそれじゃない。この場合が指すZZRの意味はこれ。

ZZR1100/D型

この系譜でもご紹介しているZZRの始まりでありZX-14Rの先祖様でもあるZZR1100です。※写真は後期モデル

ZZR1100はカワサキが考える独創的なスーパースポーツの形として登場し一時代を築いた名車。現代風にいえば最高速だけじゃない軽快になんでも熟せる万能スーパースポーツ。

ZX-14Rはこれを現代の技術で造るという裏コンセプトがあったんです。

GPZ900RとZX-14R

というのもZX-12RかZZR1200でも話したと思うですがカワサキ社内にはZやGPZ900Rこそがカワサキの象徴だと考える人がいる一方で

「ZZR1100こそがカワサキの象徴だ」

という人たちも数多くいる。

ZZRの事になると口を出さずにいられない

『ZZR信者』

という厄介な存在がいるわけです。

そして何を隠そうこのZX-14Rの開発リーダーを努めた大島さんもその一人で、もちろんZZR1100(D)のオーナー。

そんな大島さんはZZR1400の後継を任された際にこう考えた。

2017ZX-14R

「ZZR1100オーナーが満足するZZRを造ろう」

と。

そのために自身の価値観や経験はもちろんZZR1100オーナーの話を聞き回ったりオーナーのブログを漁ったりして

『ZZR1100が絶大な支持を得るに至った理由』

を徹底的に検証しZX-14Rに反映させた・・・軽快感を出すためにフレームまでをも見直した理由はここにあるわけです。

(ZZR1100は車格を感じさせない軽快なハンドリングが高い評価を得ていた)

それ以外にもメットホルダーの標準装備や収納式荷掛けフックなんかもZZR1100譲りですね。

2016ZX-14R

「じゃあなんでZZR1400からZX-14Rに改名したのか」

っていうとこれは新しくなった事をアピールするためマーケティング側の要望から。そんなもんだからインタビューなんかで

「名前はZX-14Rだけど造ったのはZZRです」

的なマーケティングを無視した発言をしてしまう始末。

ZX-14Rカタログ

ただ豪華にしたわけじゃない、ただ速さだけを取ったわけじゃない。

ZZR1100が持っていた

『何でも軽快に熟せる万能スーパースポーツ』

という要素を現代の技術で造ったのがこのZX-14Rなんです。

そんなZX-14Rも残念な事に規制の問題から2019年にブライト取扱が終了となりました。

ZX-14Rブライトファイナルモデル

『ZX-14Rという名の新世代型ZZR1100』

という狭義過ぎる為にマーケティングの観点から伏せられていたこの事実をどれだけのZZRファンが感じ取ってくれたのかは分からない。

もしも開発者達に負けないくらいZZR1100が大好きでまだこのZX-14Rを知らない人がいたら是非とも見て乗って体感して欲しいと思います。

ブライトカタログ

『ZZRこそがカワサキのフラッグシップ』

今でもそう信じ疑わず愛してやまない人たちが、同じように信じ疑わず愛してやまない人たちの為に造ったその想いを感じてほしいと切に願います。

主要諸元
全長/幅/高 2170/780/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1480mm
車体重量 265kg(装)
[268kg(装)]
{269kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1441cc
最高出力 200ps/10000rpm
最高トルク 16.6kg-m/7500rpm
{16.1kg-m/7500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,566,000円(税込)
[1,632,000円(税込)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400F)
※{}内はG/H型
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜FJR1300の系譜HAYABUSAの系譜世界最速の系

1400GTR(ZG1400C/D/E) -since2010-

2013コンコース14

モデルチェンジされZG1400C型(CONCOURS14はD型)となった二代目1400GTR。

一番の大きな変更点はKTRC(カワサキ トラクション コントロール)を採用したこと。実はカワサキで一番最初にトラクションコントロールシステムを採用したのはこの1400GTRだったりします。

1400GTRトラコン

前後のホイールに元々備え付けられていたABSセンサーで回転速度のズレを監視し大幅にズレた場合、燃料をカットしてリアタイヤを落ち着かせるというシステム。

ABSもコレを機に進化してK-ACT(Kawasaki Advanced Coactive-braking Technology)に。これはホンダの前後連動式C-ABSに近い仕組みで前後どちらかのABSが作動した場合バランスを崩さないようにロックしていない方のブレーキを自動で掛ける仕組み。ソレが今回から配分を変えられる様になりました。

面白いのがフューエルエコノミーアシスタントモードという機能。

1400GTRトラコン

6000rpm以下、スロットル開度30%以下、160km/h以下のみで使用可能な低燃費走行モードでバイクでは1400GTRにしか付いていません。

これはマッピングを希薄燃焼に切り替える事で燃費を向上させる機能。大陸横断スーパースポーツならではの機能ですね。

2015年にはマイナーチェンジのが入って1400GTRもCONCOURS14も型式をZG1400Eに統一。

ZG1400E

シート形状など細部の見直しが入っているんですが、一番大きいのは電動スクリーンに通風口が付いたこと。

あんまり目立たないんですがグランドツアラーとして見た場合、これが有ると無しでは大違いなんです。

ZG1400Eスクリーン

FJRの系譜でも話したので詳しい説明は省きますが、スクリーンというのは防風性を取れば取るほどメーターとライダーの間に負圧が発生してしまう。

負圧が発生するということはライダーが気づかぬ内に身体を前方に引っ張られてしまう。短距離ならそうでもないけど何日も掛けて長距離を走る場合これが結構疲労に繋がる。だから通風口を付けスクリーンからも空気を取り入れる事でその負圧を消しているというわけ。

2015年式1400GTR

そしてもう一つ副産物的なメリットがあります。それは風が入ってくるこということ。

風を防ぐためのスクリーンなのに風が入ってるなんて本末転倒のように聞こえますが、防風性が非常に高いバイクだと話が変わってくるんです。

防風性が高いということは、それだけ風を浴びることが無いので停車している時と近い状態になる。これで困るのが夏。走り出しても風を浴びれないので炎天下の元に座ってる状態になり下手をすると熱中症になる。

バイクの場合はヘルメットを被るのでまだ良いですがそれでも暑いものは暑い。ヘルメットのシールドを開けてもジャケットのチャックを開いても防風性が高すぎてそれほど風を浴びれない。

ZG1400Eスクリーン開放

だからこうやって敢えて正面から風を吹き込ませることが出来る通風口があるというのは負圧もそうですが非常にありがたい装備だったりするんです。

余談ですが、1400GTR(CONCOURS14)は白バイとしてカリフォルニア州などアメリカを中心に世界で採用されていたります。こんなバイクに追われたら逃げる気も失せますね。

カリフォルニア州の白バイ

写真はそのカリフォルニア州で話題のトランプ大統領を警護するシーン。1400GTR(CONCOURS14)もメイドインジャパンなんですけどね・・・。

主要諸元
全長/幅/高 2230/790/1345~1465mm
シート高 815mm
車軸距離 1520mm
車体重量 304kg(装)
[305kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8000rpm
[155ps/8800rpm]
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内は2016以降のABSモデル(ZG1400E)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

1400GTR(ZG1400A/B) -since2008-

1400GTR

「TRANSCONTINENTAL SUPERSPORT」

ZX-12RとZZR1200の一本化をしたかと思ったら出てきた1400GTR。ZX-14Rと分けようか迷ったのですが合わせて紹介しないと多分誰も読まないのでここに。

言ってしまえばZZR1400から更に中低速域におけるパワーの厚みを増したツアラー特化のようなモデル・・・なんだけど、まあこれが大人しい見た目に反して結構意欲的な造りをしてたりするので興味のない人も少しお付き合いを。

一応紹介しておかないといけないのですが1400GTRにもご先祖様が居ます。

コンコース1000

それは1986年にGPZ1000RXのツアラーバージョンとして出た1000GTR。

CONCOURS(コンコース)という名前は北米名。日本や欧州では1000GTR。この流れは今も変わらず、この1400GTRも北米ではCONCOURS14(ZG1400B)という名前。

上のカタログ写真を見ると、見るからに古いバイク感がありますが実はこれ最終にあたる2004年モデル。86年から大きく形を変えることなく続いたモデルだったりします。

そんな1000GTRの後継として3年ぶりに登場した1400GTRですが、ZZR1400と違う所として先ず挙げられるのが可変バルブタイミング機構を備えてる事。

1400GTR可変バルブタイミング

油圧によって吸気バルブのタイミングを変更する機能の事で、低回転時には速く、高回転時には遅く閉じるようになっています。車では非常にメジャーなので知ってる人も多いと思います。

なんで吸気のタイミングを変えた方がいいのか簡単に説明すると、回転数の高さというのはピストンスピードでもあるわけです。つまりピストンスピードの速さ・強さで負圧(空気を吸う力)も変わってくる。

そして一番効率(体積効率)を良く吸える開口時間(吸気バルブタイミング)というのはその吸う力によって違う。吸う力が弱い低回転でいつまでも空いていたら漏れるし、吸う力が強いのにすぐ閉まっちゃったら全然吸えない。

だから低回転と高回転でバルブタイミングを変えようとなって出来たのが可変バルブタイミング。どっかでも説明したかな。

1400GTR

1400GTRが可変バルブタイミングを取り入れた理由はボア・ストローク比をZZR1400から変える事なく中低速に厚みを持たせるためでしょうね。圧縮比も落とされて厚みを持たせるだけでなくマイルドな出力特性になっています。

そしてもう一つ。どちらかというとコチラの方が1400GTRを最も表す部分かな。

1400GTR

1400GTRはシャフトドライブ駆動なんだけど、シャフトドライブなのにテトラレバーリヤサスペンションといって両持ちでリンクロッドが4本も伸びてる凄い形をしてる。

これはシャフトドライブの宿命である加減速時に起こる反トルクから来るサスペンションの上下運動を可能な限り抑えるため。BMWのパラレバーが有名ですね。

1400GTR

シャフトドライブのスーパースポーツが少ないのはこの反トルクによる挙動のブレがあるからなんですが、カワサキはそんな反トルク対策のロッドを4本も付けてシャフトドライブ特有の挙動を徹底的に消し、チェーン駆動と変わらない挙動にしているわけです。だからリアアーム周りがシャフトドライブにあるまじきマッチョさを持ってる。

初代1400GTR

GTではなくGTRとしているのは、メンテンスフリーなシャフトドライブ駆動ながらも、時にはチェーン駆動であるZZR1400の様にスポーツ走行も出来る特性を持たせたからでしょう。

2009CONCOURS14カタログ写真

もちろんキーレス、パニアケース、DC電源ソケット、電動スクリーン、空気圧メーターといったグランドツアラーとしての装備はちゃんと備えられてますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 815mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8800rpm
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZG1400B)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZZR1400(ZX1400C/D) -since2008-

ZX1400C

規制強化に伴いマイナーチェンジされたC型とD(ABS)型。

外見上の変更ほぼ無いものの、EURO3規制に対応するためにエンジンに手が入りました。

O2センサー(欧州仕様)の追加、キャタライザーの増設などで排ガス規制をクリア。凄いのは規制に対応させただけじゃなくて吸気ポートやピストンやインジェクターの改良で従来モデルよりも3psアップしてること。

しかも単に馬力を上げただけでなく出力特性をマイルドにし、中低速域を更に改善しています。その分お値段と車重がちょっと上がっちゃったけどね。

ZZR1400/ZX-14はフラッグシップモデルとして2011年まで5年間ほど販売されていた事もあって多彩なカラーリング設定がありました。

ZZR1400C

上の写真はその一例である2009年SEカラーなんですが、ZZR1400のカラーリングでちょっと意外だったのがライムグリーンが出たこと。

カワサキと言えば誰もがライムグリーンを思い浮かべると思うのですが、ZZR1400で正規逆輸入車(アジア仕様 ※実質日本向け)でライムグリーンの設定があったのは最終年度となる2011年モデルだけ。

ZZR1400C

というか実は歴代ZZRでライムグリーンの設定は(記憶が確かなら)一度も無かった。カワサキとしてはZZRとZ・Ninjaは違うという意志表示だったのかもしれないですね。

それが最後の最後でどういう心境の変化があったのか分かりませんがライムグリーンのZZRが出たというわけです。後継がNinjaになったのもそういう事なんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2170/760/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1460mm
車体重量 220kg(乾)
[224kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 190ps/9000rpm
最高トルク 15.7kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,420,000円(税別)
[1,480,000円(税別)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400D)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)