640DUKE -since 1999-

640デューク

DUKEの二代目となる640DUKE。二代目ということでDUKE2とも言われてたりします。

大きな変更点としてはホイールがスポークからアルミ鍛造キャストになったこと。そして何よりセルが付いたこと。やっぱりケッチンの被害が大きかったんでしょうかね。

見た目も大きく変わりました。

DUKE2

この頃のDUKEを知ってる人からするとDUKEと言えばこの縦二ツ目と言う人も多いかもね。ちょっと前までDUKEと言えばこの顔だったから。

デューク2

KTMにあまり詳しくない人のために説明しておくと、DUKEはKTMにとってはスーパーモタードではありません。まあスーパーモタードと言っていいほどのポテンシャルを持っているのは間違いないんだけど、KTMにとってのスーパーモタードはSupermotoというモデル。

640スーパーモト

見た目は似てるけどコッチはカリッカリのモタードバイク。

競技の事を考えてかライトも至ってシンプルなものなのが特徴。

DUKE640オーナーズブック

じゃあDUKEは何なのかと言えばネイキッドです。日本でネイキッドといえばダブルクレードルフレームにツインショックで丸目っていうイメージがあるから違和感あるかもしれないけどね。

他にもオフ仕様のEnduro、アドベンチャー仕様のADVENTUREなどがDUKEと同じように世代ごとにあります。要するにDUKEもそれらも同じLC4ファミリー。

DUKE640カタログ

ただそれら全部紹介するほどの元気も(国内での)需要も無いと思いますので今回はDUKEに絞らせてもらいます。ごめんなさい。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:625cc
最高出力:
55ps/7000rpm
最大トルク:
6.12kg-m/5500rpm
車両重量:145kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

620DUKE -since 1995-

620デューク

KTMが正式に国内市場参入した事と125~390という日本でも人気のあるクラスのDUKEが加わった事もあって結構知名度も出てきた様な気がしないでもないKTMのデュークシリーズ。

ちなみに販売台数で見ると欧州メーカーとしてはPIAGGIOに次いで二位のメーカーだったりするわけですが、そんなKTMのDUKEシリーズの始祖となるのがこの620DUKE。

スモールデュークの方でも言ったと思うけどKTMはほぼオフ専門メーカーで、作るスポーツバイクといえばレース向けのモトクロッサーや山を駆け抜けるエンデューロ車がほとんどだった。

KTMポニー

公道モデルといえばスクーターやロータックス社から買った小排気量エンジンを積んだいわゆる生活バイクが大半。

KTM R100

上の写真はKTMが一番最初に作ったバイクのR100。

そんな中でKTMにとって転機となったのが1980年代後半。エンデューロレースで勝つためにLC4と呼ばれる608ccのビッグシングル水冷エンジンを自社開発します。

600エンデューロ

そして更にこれまで培った技術は市販車でも活かせるハズとしてそのエンジンをベースに作り登場したのがこの620DUKE。

「とにかく軽く」

を合言葉に開発設計されただけあり重量は乾燥でわずか145kg。エンジンはもちろんレースでも使われていた620Enduro(上の写真)をベースにカウンターバランサーを加えて公道向けにチューニングしたもの。

620cc

というか中身は殆ど620ENDUROで、公道向けにチューニングといっても元が超々ショートストロークのレースエンジンなだけあって特性は単気筒とは思えないほどの過激っぷり。でもDUKEがウケたのはこの過激さがあったから。

ビッグシングルといえばトルクに物を言わせてトコトコドコドコという感じが当たり前だった時代に、シングルなのに超ショートストロークで回してナンボ、そして回せば吹っ飛ばされる様な加速というビッグシングルにあるまじき特性。軽さも相まってリスキーさというか頭のネジが外れたライダー向けな感じがウケた。

LC4エンジン

軽くするためにセルすら付けなかったっていうスパルタっぷり。市販車なのにこんなビッグシングルがキックのみってケッチンくらっちゃった人は多いだろうな。

1995DUKE

そしてその特性に相反する可愛い二ツ眼。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:608cc
最高出力:
55ps/7000rpm
最大トルク:
6.12kg-m/5500rpm
車両重量:145kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

WR250X(3D7)-since 2007-

WR250X

「THE PREMIUM STREET SPORT」

先に紹介したWR250Rのモタード版となるWR250X/3D7型。

WR250Rが拘りの塊だった事と同じ様に、このWR250Xでも拘りポイントがあります。

一言で言うなら

「単純にオンロードタイヤを履かせただけじゃない」

という事。

恐らく多くの人が

WR250Xフレーム

「サスのセッティングやスプロケの丁数を変えたくらいだろ」

とか思われてるかも知れませんがそんなのは当たり前。

ローターやブレーキラインは勿論のことキャリパーまで足回りが全て違うんです。

わざわざX専用に用意する徹底っぷり。

プレミアムストリートスポーツWR250X

更に驚くべき事にエンジンマッピングまで全然違う・・・つまりWR250RとWR250Xは似て非なるモデルという事。

何でそこまでしたのかといえばこのモデルにかける精神に並々ならぬ物があったから。ましてヤマハとしては初のスーパーモタードですしね。

ヤマハWR250X

国内メーカーで初めてオフロードバイクを生み出してからずっと力を入れてきた身として、中途半端なモタードを造ることはプライドが許さなかったんでしょう。

ちなみにWR250Rで言い忘れていたんですが、詳しい方ならお分かりの通りWR250R/Xはコンペ寄りでありつつも明らかにコンペとは一線を画している部分があります。

それはデザイン。

WR250デザイン

コンペティション系は基本的にストレートな流れのデザインになっていますがWR250R/XはV字の流れを持つ特異なデザインになっています。

これは開発において大事にされたマスの集中化だけでなく

「前に進むだけではなく飛んだり跳ねたり出来る」

というアクティブさやポテンシャルの高さを表現する為。

ちなみにデザインをされたのはGKの坂田さんという方なんですが、実はこの方YZF-R1のデザイナーでもある方。

坂田功さん

性能だけでなくデザインまでR1と繋がっているんですね。

さて・・・WR250Rのページでも話した通りWR250R/Xというのは

「10人中10人が褒めてくれる様な作りはしなかった。10人中3人が最高だと言ってくれる事を目指して作った。」

と言っているだけあり界隈から非常に高い人気を誇りました。なんでも同業他社の人間がこぞって買っている事が一番嬉しかったそう。

WR250X壁紙

ただしWR250R/Xは単にソコだけを狙って出されたバイクではありません。

これはWR250R/Xが発売されたときに多く聞かれた声

「なんでオフロードなの」

という話にも繋がります。

WR250R/Xが発売された頃は排ガス規制によって多くのモデルが消え去っていっていた頃でした。

そんな中で登場したハイスペック250。

ヤマハWR250

しかし多くの人が望んでいたであろうオンロードスポーツではなくオフロード/モタードという日本では需要がずっと低空飛行でニッチなジャンル。

「どうしてオフ/モタなんだ」

という声が多数聞かれたわけですが、そうなった理由は企画主管の牧野さん曰く

「250で最も深い楽しみが味わえるから」

WR250Xカタログ写真

これは簡単にいうと日本で一番手軽に汗をかけるのが250のオフモタだからという事。

免許が危うくなるほどスピードを出す必要もなく、日常の中で十二分に楽しい汗をかけるのがオフロード/モタードだと考えたらWR250R/Xが生まれたんです。

WR250シリーズ

「でも初心者にWR250R/Xは・・・」

とも思いますが、それも考えてやっていたんです。

確かにWR250R/Xは弾ける様にトルクが出るエンジンや鬼のようなシート高など、ハッキリ言って上級者向けな面が強い。

でも上級者向けというのは言い換えれば

「上手くなれば上手くなっただけ応えてくれる」

という事でもある・・・これが狙いなんです。

WR250

脚付きの悪さ、機敏過ぎるハンドリング、パンチが有り余るエンジン。

初心者がこれに乗ると最初は大いに苦戦しネガティブに感じる・・・でも走れば走るほど、上達すれば上達するほどそれがポジティブな要素に変わっていく。

そうしていつしかハイスペックなWR250R/Xを身体の一部のように乗り回せる様になったとき貴方は

WR250ライダー

「最高にカッコ良いバイク乗り」

になる。

WR250R/Xにはそうなって欲しいという厳しくも優しい願いが込められていたんです。

WR250RとWR250X

だから毎日乗れて多少の転倒なら物ともしないオフ/モタだったんです。

だからグローバルスケールの450ccではなく負担が少ない250ccだったんです。

※2017年モデルをもって生産終了

主要諸元
全長/幅/高 2125/810/1190mm
シート高 870mm
車軸距離 1435mm
車体重量 134kg(装)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.6L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 31ps/10000rpm
最高トルク 2.4kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後140/70R17(66H)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前13|後42
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 698,000円(税別)
系譜図
wr250r 2007年
WR250R
(3D7)
wr250x 2007年
WR250X
(3D7)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜SEROW250の系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

WR250R(3D7)-since 2007-

WR250R

「THE PREMIUM OFF-ROAD SPORT」

2007年に登場したWR250Rはそれそれは話題騒然で

「ヤマハが本気を出した」

とか

「力を入れる方向が間違ってる」

とか様々な反応でした。

それもそのはず

『31馬力/装備重量132kg』

というコンペティション(競技用)モデルであるWRの名に恥じない性能を持っていたから。

ヤマハWR250R

こうなったのは

『オフロード界のR1』

という開発コンセプトを持っていた事があります。

スーパースポーツなど限られた大型バイクのみが採用しているチタンバルブを市販250として初採用。

キック(キック軸)廃止と主要三軸の最適化によりコンパクト化とマスの集中化を行いつつ、吸気もストレートポート化でレスポンスを向上。

WR250エンジン

更に馬力を叩き出すために

『ボア77mm/ストローク53.6mm』

という超ビッグボアなピストンを採用。

ビッグピストン

ちなみにこのボアストローク比は当時のYZF-R1(04~08)と全く同じもの。

車体の方も鋳造と鍛造のハイブリットな新設計アルミフレーム、スイングアームも異形断面形状の新設計アルミスイングアームとアルミ尽くし。

もちろんサスペンションはどちらもフルアジャスタブルで、フロントのストローク量も270mmとコンペモデルに迫る本格的な物・・・つまり

WR250カットモデル

『オフロード界のR1』

というコンセプトは決してただのセールストークではなく実際その通りなんです。

本当にYZF-R1のポテンシャルをそのまま250オフロードに最適化させたようなモデルだからそう言われた。

WR250とYZF-R1

「開発段階でテストライダーが当たり前の様にジャンプしながら走り回ったモデルはこれが初めて」

という話からもそのポテンシャルの高さが伺えます。

このWR250R/X誕生は

「コンペティションであるWR250Fの市販車を作れ」

と言われたのが事の発端。

WR250F

開発チームはコレを

「つまり公道最強の250を作れってことか」

と受け止めた。

始めはWR250Fのモタード仕様を用意し、それをベースに規制や耐久性をクリアした市販車を造る予定だったものの

「これでは公道最強の250は造れない」

という結論に至り完全新設計する事に決定。

WR250R壁紙

「高性能で高耐久で規制に対応しナンバーが取れる250」

という欲張りとも言える無理難題をクリアするために各部門で相当なバトルが繰り広げられた為にチーム内でも

「これ本当に市販化に辿り着けるんだろうか・・・」

という雰囲気が漂う始末。

そんなこんなありつつも何とか市販化されたWR250R/3D7型。

WR250R広告

拘りすぎたせいで

『シート高895mmで70万円』

という腰が抜けるモデルになりました。

そもそも何故WR250Fの公道版を造ることになったのかというと企画主管の牧野さん曰く

3D7

「コンペ並のモデルがもう無い」

という事に危機感を抱いていたから。

2stがラインナップから消え、また中古の高騰により買うに買えない状況に陥ってる人たちが大勢いることに危機感を覚えたから造られたのが理由の一つ。

実際このWR250Rは界隈に熱烈に歓迎され、高額にも関わらず販売台数も常に1000台強をキープする安定した人気でした。

人気だった理由はもちろん

WR250Rリア

「コンペ並の走りが出来てコンペほど手(メンテ)が掛からないから」

言ってしまえば

『メンテナンスフリーで自走できるコンペ』

という本当に欲張りなモデルだったから界隈にも人気だった。

WR250Rジャケット写真

ただし、じゃあ界隈のガチンコ勢だけの為のモデルだったのかと言うと決してそういうわけではありません。

「どうしてオフロードにしたの」

と思われてる方も多いと思いますが、そこらへんの話は長くなったので次のWR250Xにて・・・。

主要諸元

主要諸元

全長/幅/高 2190/810/1235mm
シート高 895mm
車軸距離 1425mm
車体重量 132kg(装)
燃料消費率 34.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.6L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 31ps/10000rpm
最高トルク 2.4kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前80/100-21(51P)
後120/80R17(62P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前13|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 668,000円(税別)
系譜図
wr250r 2007年
WR250R
(3D7)
wr250x 2007年
WR250X
(3D7)

TRICKER(B8C)-since 2018-

2018年式トリッカー

「FREE RIDE PLAY BIKE」

一度生産終了を迎えつつも復活した2018年型からの実質Sモデルのみとなった三代目TRICKER/B8C型。

主な変更点は

・排ガスを監視するO2センサー

・蒸発ガソリンを防ぐキャニスター

・エアインダクションの廃止

など排ガス規制に対応したもの。

2018年式XG250

聞き慣れないであろうキャニスターというものを少し説明すると、これは車体から漏れ出てくる蒸発ガス対策のもの。

ガソリンスタンドとかで臭ってくるあれと同じでガソリンベーパーとかとも言われていますね。

仲間であるセローやSR400にも付くようになったこの箱がキャニスターといって中には脱臭炭・・・じゃなくて活性炭が入っています。

トリッカーのキャニスター

早い話が排ガス規制(正確にはエバポ規制)に対応するために蒸発ガスを大気放出するのではなくキャニスターに一時的に吸わせることで漏れを抑えているという話。

キャニスターのフロー

ちなみにエンジン始動の有無にかかわらず働く装置なので、トランポや屋内に置いても臭くなりにくい・・・ハズ。

ただずっと乗らないと破過といって容量オーバーで大気放出するようになります。乗れば戻りますが。

エアクリーナーからバイパスさせてエキゾースト内で漏れ出た燃料を再燃焼させるエアインダクションが廃止されたのはこれのおかげで漏れ出るガスが減った事が要因かと。

2018トリッカーエンジン

ただそんな事より目につくのがカタログスペック。

ガスケットの変更により圧縮比が0.2上げられた事で2馬力UP。更にはトルクも0.1kgf-m上がってピーク回転数が500rpm低くなっている。

2018トリッカーカタログ写真

つまり更に振り回せる様になったというこの上ない改良が行われているわけです。

さて・・・繰り返しになりますがトリッカーというバイクは若者にバイクを振り回して遊ぶ事の楽しさを伝える為に生まれたバイク。

2018年式トリッカーカタログ写真

しかしじゃあトリッカーは若者限定バイクなのかと実はそうでもない。

というのもトリッカーの生みの親で自身も乗って遊んでいる近藤PLいわくトリッカーには裏コンセプトというか参考モデルがありました。

「振り回して楽しいバイク」

という企画を見て近藤PLはあるバイクを思い出し

「”アレ”を造ればいいじゃん」

と、昔のヤマハ車を思い出しトリッカーを造った・・・そのモデルとなった”アレ”とは何か。

トリッカーTY-S

「外装で復刻したTY250だろ」

とトリッカーマニアやトレールマニアなら思うでしょう・・・が、残念ながら違います。

正解はこれ。

GT50

そう『ミニトレ』です。

知らない人の為に補足するとミニトレというのは一大トレールブームを巻き起こした250DT1の原付版として70年代に登場したFT50やGT50の事。

ミニトレールということからミニトレという相性で多くの若者に支持され、また多くの若者をトレールの世界へ誘いました。

何を隠そうプロジェクトリーダーの近藤さんもその一人。

2018年式トリッカー壁紙

「自分がミニトレに出会って夢中で走り回った楽しさを、ずっと走り続けたいと思った感動をもう一度」

という秘めたる思いが込められているんです。

つまりトリッカーというのは現代のミニトレとも言えるバイクなんですよ。

主要諸元
全長/幅/高 1980/800/1145mm
シート高 790mm
車軸距離 1330mm
車体重量 127kg(装)
燃料消費率 38.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 6.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6,000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/100-19(49P)
後120/90-16(63P)
バッテリー TYZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR7EA
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア45
チェーン サイズ428|リンク124
車体価格 433,000円(税別)
系譜図
2004トリッカー2004年
Tricker
(5XT)
2009トリッカー2008年
Tricker
(5XT後期)
2018トリッカー2018年
Tricker
(B8C)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜SEROWの系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜スモールDUKEの系譜

TRICKER(5XT後期)-since 2008-

二代目トリッカー

「Ride on!」

二代目にあたる2008年からの5XT後期型。

排ガス規制に対応するためFI化と吸気ポートの形状変更で対応しつつトルク感を更に向上。

他にもタンク容量を1.2L上げて7.2Lにすることで航続距離まで伸び、サスとシートの見直しが入っています。

二代目トリッカーのフューチャーマップ

さて・・・先代で話しそびれたのですがTRICKERは一言で表すならば

『街中トライアルバイク』

と言える良い意味で非常識なバイクなんですが、その印象に一役買っているのがデザインでこれも非常に考えられているわけです。

デザインしたのはもちろんGKで飯村さんという方なんですがテーマは『CD/MDウォークマン』だったそう。

二代目トリッカーS

「常に一緒にあり楽しませてくれる」

という事からなんですが確かに言われてみればガジェットな感じがありますね。

ただそれだけじゃなくてもう一つミソなのが縦のデザインというやつ。

二代目トリッカーS

通常バイクというのはフレームの上にタンクやシートを載せるような形なので『横基調のデザイン』になっているわけですが、このトリッカーはその常識を破り『縦基調のデザイン』にする事を大事にされたわけです。

それを最もよく表しているのが何を隠そう突き刺さる様に立っている細長いタンク。

トリッカーのタンク

ニーグリップもスタンディングも出来て、なおかつ縦基調にするという非常に考えられた形状。

この形状を実現させるためにトリッカーのタンクは一般的な3ピース構造ではなくモナカ合わせの2ピースになっています。

どうしてそこまで縦に拘ったのかと言えばもちろんTRICKERというバイクは

黒トリッカー

「飛んだり跳ねたりして遊ぶバイクだから」

ですね。

主要諸元
全長/幅/高 1980/800/1145mm
シート高 810mm
車軸距離 1330mm
車体重量 125kg(装)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.2L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 18ps/7500rpm
最高トルク 1.9kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/100-19(49P)
後120/90-16(63P)
バッテリー TYZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR7EA
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア45
チェーン サイズ428|リンク124
車体価格 436,000円(税別)
系譜図
2004トリッカー2004年
Tricker
(5XT)
2009トリッカー2008年
Tricker
(5XT後期)
2018トリッカー2018年
Tricker
(B8C)

TRICKER(5XT)-since 2004-

2004年式トリッカー

「遊びの天才」

2004年に登場したBMXをバイク化したようなトライアル系ともフリースタイル系ともX系とも言える佇まいの初代トリッカーことXG250 TRICKERの5XT型。

プロジェクトリーダーがセローの生みの親である近藤さんである事や、少し後に同じエンジンを積んだセローが出たことから

『セローの派生モデル』

というイメージで片付けてしまいがちですが全くもって異なるモデルです。

このトリッカーは

コンセプトスケッチ

「みんなが夢中になって楽しめるバイク」

という開発コンセプトを元に造られたモデルで、下の写真は最初に登場した2003年東京モーターショーモデル。

トリッカープロ

真ん中にいるのはコンセプトを先鋭化したPROモデルで右にあるのは原付版のチビッカー。

そもそもこのプロジェクトの発端となったのが何処にあるのかというと商品企画の樋口さんが

「ストリート軽二輪の売れ筋がTWしかない」

という状況に懸念を抱いた事がキッカケ。

そこで幾つか案を出してプレゼンしたところ社内で一番人気が高かったのが

『コンパクト&パワフルで振り回せるバイク』

というコンセプトだった。

これがトリッカーの素案になります。

ヤマハTRICKER

そうしてセローの生みの親でありかつてはトライアル選手でもあった近藤さんをプロジェクトリーダーに据え開発が開始。

「振り回して楽しいとはなんぞや」

と議論と数々の試走を重ねた結果

・スムーズにターン出来る

・段差を楽に超えられる

・ウイリーが簡単に出来る

などの小排気量が得意とする要素から大排気量が得意とする要素まで様々な意見が出された。

そしてこれらの意見をまとめる際にベンチマークとなったのがキッズ向け2stモトクロッサーYZ80とSEROW225の二台。

トリッカーとYZ80とセロー

同じ取り回しの良さを持ちつつもパンチがあるYZ80と安心感のあるSEROW225。

「この二台の良い所取りをしたバイクを」

となったわけです。

それを実現するためにTRICKERは本当に無茶な事をやっています。

何が無茶ってセローよりも小さく短いフレームにセローより大きいエンジンを押し込んだから。

トリッカーのディティール

しかもシート高もセローより低くするという無茶なオマケ付き。

このレイアウトはフレームを何百回もミリ単位でやり直した末に何とか形に出来たもので、プロジェクトリーダーの近藤さんも

初代トリッカー

「このバイクはシート下に凝縮という名の芸術が詰まっている」

と豪語するほど。

そうしてセローより20mmも低い全長とシート高のコンパクトで足つきベッタリな、更には125かと思うほど短かいホイールベースとパンチがあるエンジンで振り回せるトリッカーが完成した。

トリッカーのフューチャーマップ

ただトリッカーにはもう一つ絶対条件がありました・・・それは

「40万円を切ること」

です。

これがどうしてかというと近藤PLを始めチームのみんなが

「若者にバイクの本当の楽しさを伝える必要がある」

という危機感を持っていたから。

TRICKER

若者に乗ってもらうにはシート高を始めとした取り回しはもちろんのこと車体価格も安くしないと選んでもらえない。

だから車体価格もギリギリまで詰めて40万円を切ることも絶対で、実際に車体価格は税別ながら399,000円を切った安さだった。

そのため質感への予算はほとんど設けられず、それらは翌年から発売された特別塗装やメッキなどが施された+2万円のトリッカーSでカバー。

TRICKER-S

一体なぜそんなに若者に対する危機感を持っていたのかというと少子化・・・じゃない。

当時の若者に圧倒的に支持されていたバイクがビッグスクーターだったからです。

ビッグスクーターブーム

この頃は空前のビッグスクーターブーム。まだ記憶に新しい人も多いと思います。

そんな状況に対し

「ビッグスクーターでは若者のバイク愛は育たない」

という危機感を覚えた開発チームの思いが振り回して遊べるトリッカーを生んだわけです。

広報の加藤さんいわくトリッカーは

TRICKER/5XT

「打倒ビッグスクーターの意気込みで造った」

との事・・・自分たちがマジェスティで生んだブームを自分たちで倒しにかかるっていう。

※インタビュー記事:別冊モーターサイクリスト317

主要諸元
全長/幅/高 1980/800/1145mm
シート高 790mm
車軸距離 1330mm
車体重量 120kg(装)
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 6.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 21ps/7500rpm
最高トルク 2.14kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/100-19(49P)
後120/90-16(63P)
バッテリー TYZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR7EA
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア45
チェーン サイズ428|リンク124
車体価格 399,000円(税別)
系譜図
2004トリッカー2004年
Tricker
(5XT)
2009トリッカー2008年
Tricker
(5XT後期)
2018トリッカー2018年
Tricker
(B8C)
系譜図
2004トリッカー2004年
Tricker
(5XT)
2009トリッカー2008年
Tricker
(5XT後期)
2018トリッカー2018年
Tricker
(B8C)

XT500(1E6) -since 1976-

1E6

「I’aventure」

SRを語る上で絶対に外すことが出来ないのが偉大なご先祖様であるXT500/1E6型。

このバイクが誕生したキッカケはUSヤマハから

「4stビッグシングルのオフロードが欲しい」

と言われた事が始まり。

これは当時アメリカで4stのスクランブラーをボアアップなどして楽しむ人たちが出始めていたから。そこを狙い撃ったのがXT500というわけ。

XT500カタログ写真

サラッと言いましたがどうしてスクランブラーが全盛だったのかといえば4stビッグオフ自体がまだ未知に近い時代だったから。

ましてヤマハは当時まだまだ2stがメインだったので、お手本となるバイクもなく右も左もわからない状況。そのため最初は4stナナハンTX750の部品を流用した単気筒450ccのトコトコ系なプロトタイプを開発しアメリカでテスト。

すると現地で物凄いダメ出しが来た・・・それもそのハズ、向こうの人が求めるのはもっとガンガン走れる4st版ビッグモトクロッサーだったからです。

エンジン設計の大城さんいわく、このダメ出しで開発チーム火がつき

「軽く、コンパクトで、高い耐久性を誇り、なおかつ美しい」

をコンセプトに掲げSC500(2st500モトクロッサー)をベースに再開発。

ビッグシングルXT500

「1グラム1円(1円のコストで1グラム削る)」

を合言葉に4stでネガとなる重さを改善し、最低地上高を稼ぐドライサンプかつフレームにオイルタンクの役割を持たせる画期的な『オイルタンクインフレーム』を新開発。

オイルタンクインフレーム

ちなみに車体担当だった大野さんはトヨタ2000GTにも携わった方で、エンジンの方でも500ccにまで拡大しつつ同様に2000GTで培ったヘッド技術を投入。

結果タイヤのブロックパターンを捩じ切ってしまう問題を起こすほどガンガンな物にパワーアップしました。

※ヤマハ:XT500開発者インタビューより

XT500リアビュー

更に凄いのはこれだけの性能をもたせつつカリフォルニアのモハーヴェ砂漠(35,000km2)を難なくはしりきれる耐久性も持たせたこと。

これはプロトタイプのダメ出しで火が付いた開発チームが自ら乗り込んで走り込むようになった際に耐久性の大事さを再確認させられたから。

その熱の入れっぷりは凄まじく、有名なのが始動を容易にするために備えたデコンプなどを含めた耐久性を検証するためにやった

『一万回のキックテスト』

何が何でも壊れないエンジンに仕上げたかった大城さんの発案で、一人100回をチーム内でローテーション。

XT500メカニズム

まさに体当たりといえる開発で造られたXT500は好評どころか歴史に名を残すほどの名車となったんですが、そうなった経緯も凄い。

ビッグシングルバイクが全盛だったのは1960年代で、XTが出た70年代後半は多気筒や2stがメインだった。

じゃあなんでこんな4stビッグシングルが売れたかというと、ポテンシャルの高さを見抜いた目の肥えたコアな人達が飛びついたから。

XT500北米

具体的に言うとレースをやっている様な人たち。

そういう人達にとってXT500やTT500(保安部品が付いていないコンペモデル)は4st特有の粘りと信頼性をもった最高のバイクだった。

だからアメリカではモトクロスやエンデューロはもちろん、畑違いなフラットトラック(オーバルダート)にまで持ち込んでくる人まで出た・・・これが全米を震撼する出来事を起こす事になります。

テキサスで行われたフラットダートレースにて、なんとハーレーワークスのVR750や王者ケニー・ロバーツのXS650改を抑え、リック・ホーキンスのTT500が勝利したんです。

TT500

ツインエンジンが当たり前だったフラットトラックでまさかの優勝。

「あのシングルエンジンは何だ」

と話題になり、XT500/TT500だと分かるとユーザーはもちろん王者ケニーまで乗り換えるほどに。

結果としてダートだけでなくモトクロスやバハ1000などあらゆるレースで使われるようになり、そして活躍する姿を目の当たりにした人達もXT500/TT500を買い求めアメリカはビッグシングルブームへと突入することになりました。

XT500

一方で欧州の方はどうかというと、こっちもレースが絡んでいる。

XT500/TT500はもともとアメリカ向けバイクで欧州では後回しでした。そんな中でファーストコンタクトとなったのがISDEという1975年末にイギリスで行われていた6日間にも及ぶエンデューロレース。このレースにアメリカ人ライダーがXT500(おそらく先行生産された200台)で参戦したことが始まり。

これを見たスウェーデンヤマハの代理店に勤めていた4st好きなモトクロスレーサーのハルマンとランディが

「なんだそのバイクは・・・レースが終わったら売ってくれ」

と直談判し買い取った後に自分たちでハスクバーナのフレームに積むなどチューニングし、モトクロッサー版XT500を開発。

それを日本のヤマハに見せて

「世界モトクロス選手権に参戦したらXT500の宣伝になる」

と直談判し、開発と資金調達の目処を立てて参戦。

HL500

そうして開発されたのがこの

『HL500(Hallman Lundin)』

というモデル。

※MXWORKSBIKE.COMより

レースでの様子

HL500は並み居る2st500ワークス勢に負けずポイントを獲得するなど大健闘をしたことで、クロスするように販売されたXT500がドイツを中心にヒット。

HL500の存在は向こうではかなり有名なようで、XT500をHL500風にするレプリカ的なカスタムが流行ったりもしました。

そんな欧州でさらなるヒットを呼ぶキッカケとなったのが有名なパリダカ。

XT500パリダカモデル

フランスヤマハがXT500SPL(TT500ベースのビッグタンク仕様)にて、1979年の第一回ダカールラリー(旧名オアシスラリー)をワンツーフィニッシュ、第二回では表彰台独占という快挙を達成。

これによりもう欧州でその名を知らぬものは居ないと言い切れるほどの存在に。

XT500パリダカモデル

ちなみにXT500が欧州で人気となった理由には他にも

「構造がシンプルで修理やカスタムがしやすい」

という部分も大きかったようです。だからダカールラリーでも勝てたんでしょうね。

そして最後は日本・・・実は日本でも話題になったんですよ。

それは発売の翌年にあたる1977年に行われた鈴鹿六耐(八耐の前身)での事。

ロードボンバー/SHIMA498YというシマR&Dの島英彦さんと三栄書房社長だった鈴木脩己さんがタッグを組んで造ったモデル。

ロードボンバー

XT500のエンジンをオリジナルフレームに搭載したこのマシンがエントリーしたんですが、当時は無謀というか誰も注目していませんでした。

「四気筒のリッターバイクに敵うハズは無い」

と。

ところが単気筒ならではの軽さと燃費を武器に八位入賞という下馬評を大きく覆す結果となり一転してシングルの星として。

ロードボンバーについてはもう一つ話題があるのですがそれはSRのページで話すとして、XT500はこのように日欧米全てのレースで結果を残し歴史に名を刻む事になりました。

改めてもう一度言いますが、何が凄いってこれヤマハにとって4stビッグシングル第一作目という事。

XT500壁紙

にも関わらずフラットダートでワークスに勝って、モトクロスで2stと互角の勝負を繰り広げて、畑違いの鈴鹿でもマルチ相手に善戦し、ダカールラリーでは敵なしで連覇。

これを名車と言わず何と言いましょう。

最後に小ネタ。

XT500カタログ

XT500は最初の試作機がダメ出しされて作り直した経緯があるという話をしたんですが、実はその後にもう一度作り直された経緯がある。

原因はXT500を開発する上で掲げたコンセプト

「軽く、コンパクトで、高い耐久性・・・なおかつ美しい」

の”美しい”の部分を満たしていなかったから。

というのも性能を追い求めた結果エンジンの形が左右で大きく違うものになってしまったから。

XT500サイドビュー

エンジン担当だった大城さんはこれがどうしても納得がいかず、最後の最後で作り直してるんです。

※ヤマハニュースNo487

SRにおける造形美の一端を担っているエンジンの美しさは実はこのXT500譲りなんですね。

XT500

XT500はパフォーマンスだけではなく、美しさまでも妥協なく磨き上げられた文句のつけようがないビッグシングルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2170/875/1180mm
シート高 835mm
車軸距離 1420mm
車体重量 139kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.8L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 499cc
最高出力 30ps/5800rpm
最高トルク 3.9kg-m/5400rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.00-18-4PR
バッテリー 6N6-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.2L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク100
車体価格 370,000円(税別)
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SEROW250(DG31J)-since 2018-

DG31J

「きっと、ずっと、SEROWです。」

排気ガス規制に伴い一度は生産終了になったものの、見事に復活を果たした八代目セローのDG31J。通称型式はB7C1~です。

主な変更点はエアーインジェクション(二次エア)を廃止しO2センサー管理になった事と、蒸気ガソリンの外部放出を防ぐキャニスターを装備した事。

2018年型フューチャマップ

タンク容量が0.3L減り、車重も3kg増えたんですがセッティングの見直しで2馬力も上がり、燃費も+8km/Lの48.4km/Lになっているのでプラマイゼロというよりプラスですね。

外見としてはシートカウルがロングになりテールライトがLED化した程度の変更。

LEDテールライト

これは今はなきXT250Xの・・・もっと辿るとYZF-R6のもの。ちゃんとガードが付いてるのがありがたいですね。

もちろんツーリングセローも合わせて販売。

2018年型ツーリングセロー

ちなみに言い忘れていましたがツーセローの四種の神器(スクリーン、ハンドルガード、アンダーガード、リアキャリア)はワイズギアのOP扱いなので後からツーセローにする事も可能です。

さて・・・新しいセローが発表された際に

テールライト

「リアがXT250Xになっただけだな」

という声が多く聞かれ非常に悲しくなりました。

ちょっとよく聞いてほしいんですが、このDG31J型は本当に凄いんですよ。

何が凄いってABSを装備してないこと。

このセローの発売日は『2018年8月』、ABS義務化の施行日は『2018年10月』です。

つまり、どう考えても重くなるABSを嫌ってモデルチェンジしたとしか思えない。

ABSが義務化される2021年までの3年間しか売れないのに、また設計し直して再度型式認定を取得する必要が生まれるのに、わざわざABS無しでモデルチェンジしてきたわけです。

八代目セロー

空冷のまま通してきた事もそうですが、例え3年だけになろうとも

「軽く細く低い最良のマウンテントレールであり続けよう」

とする粋なモデルチェンジなんですよコレ。

車体価格が少し高くなってしまったのも3年しか売れないから、3年でこの開発費を回収しないといけないから。

もちろんこれは売れないのも大きな理由でしょう。

SEROWは30年以上の歴史を持つロングセラーモデルという事から順風満帆だと”勘違い”している人が多いかと思います。

全年式と全カラー

セローは確かに30年以上売っているロングセラー車ですが、実は過去一度も販売台数一位(250クラス)を取ったことが無いんです。

一番売れたのはセルスターターが付いた1990年型の9505台で、それ以降はオフロード人口の減少も相まって右肩下がり。

一番酷い年は2004年でたった1024台しか売れていない。2017年も全盛期の半分以下の3610台。

TZR250、FZR250、TW200、MAJESTY250、YZF-R25、一時代を築いた同胞たちと違いセローは

「生き残った33年」

というより

「生きながらえた33年」

なんです。

何故セローをヤマハが続けているのかといえば、SEROWがお手本としたDT1を始めヤマハは

オフロードのヤマハ

『オフロードで一世を風靡したメーカー』

という自負があるからでしょう。

そしてセローはそんなオフロードの魅力を誰でも気軽に楽しめるバイクだから造り続けている。

いいですか、セローが30年以上も続いているのは当たり前じゃないんです。

ヤマハセロー250

ガラパゴス空冷トレールという立ち位置である以上、いつ無くなってもおかしくない。

目前に迫っている2021年のABS義務化の影響も避けようがない。もしかしたらこのDG31Jでヤマハの意地が限界を迎える可能性だって十二分にある。

ここで一句。

「いつまでも、あると思うな、山とセロー」

少なくともABSやそれに伴う値上げが不要だと思っているならラストセローであるのは確定です。

もちろんそうじゃなくても山を走ってみたいと思ってるなら次期モデルがどうなるか分からないんだから善は急げですよ。

大丈夫セローなら怖くないです。

きっと、ずっと、SEROWです。

スタンディングハンドルがあるから楽しく転べばいい、セルがあるからエンストして笑えばいい、足つきが良いからペタペタと二輪二足でゆっくり進めばいい。

セローはそうやって生まれ育ったバイクなんですから。

※2019/12追伸

2020年モデルが最後との事

参考文献:別冊 MOTORCYCLIST (モーターサイクリスト) 2010年08月号

主要諸元
全長/幅/高 2100/805/1160mm
シート高 830mm
車軸距離 1360mm
車体重量 133kg(装)
燃料消費率 38.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 9.3L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後120/80-18(62P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 523,000円(税別)
系譜図
XT2001982年
XT200
(23J/47J)
セロー225-1kh/1rf/2ln1985年
XT225SEROW
(1KH/1RF/2LN)
セロー2253RW1~41989年
XT225SEROW
(3RW)
セロー225-3RW5/4JG1~41993年
SEROW225W
(4JG)
セロー225-5MP2000年
SEROW225WE
(5MP)
セロー250-DG112005年
SEROW250
(DG11J)
セロー250-DG172008年
SEROW250
(DG17J)
セロー250-DG312018年
SEROW250
(DG31J)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜WR250R/Xの系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

SEROW250(DG17J) -since 2008-

七代目セロー

「ようこそSEROW WORLDへ」

七代目セローことSEROW250/DG17J型。通称型式でいうと3C56~B1H1まで。

最大の特徴はFI化ですが同時に吸気ポート形状変更等で環境性能だけでなくトルク感も向上。フロントフォークなども見直されています。

DG17Jフューチャーマップ

そしてこのモデルでもう一つ紹介しておかないといけないが長距離走行を考慮したモデル。

その名もツーリングセロー。

ツーリングセローDG17J

セローをベースに

・大型スクリーン

・ブラッシュガード

・大型リアキャリア

・アルミアンダーガード

を採用したモデル。

先代の時点でもワイズギアから色々出ていたんですが、それを取捨選択して上手くパッケージングした事から人気が出ました。

一番最初に紹介したAG200を彷彿とさせますね。

これが出たのももちろんユーザーからの要求というかフィードバックが理由。

ツーセロー

取り回しの良さからマルチに使われるようになったセローを、今度は長距離のツーリングやそれこそ旅に使う人が増えてきたから。

20年以上経ってもなおユーザーと共に成長している事の証のようなモデルです。

さてさて、セローの証といえばここで一つクイズというか小ネタを。

大事に造られているセローですが、初代から一貫して守り続けているパーツがある事をご存知でしょうか。

2015年式セロー

それは目立たないけどセローを象徴する、またセローにとっては命綱の様な部品。

正解はフロントに一つ、リアの両サイドに二つ付いているスタンディングハンドルです。

スタンディングハンドル

これは車体を引き起こす際に取っ手として役に立つパーツ。

見て分かるようにリアは重心から遠いシートに、そしてフロントはステア回りについています。

”とにかく細く・軽く・低く”が大事なセローでこの三本ものスタンディングハンドルは非常に重荷・・・でもセローは初代から例え250になろうと絶対に外される事はありませんでした。

セローワールド

何故かといえば

「安心して森を走る事ができる」

というコンセプトに絶対欠かす事が出来ないパーツだからです。

このスタンディングハンドルがあれば、どんな場所でもどんな角度からでも簡単に安全に起こせる。

セロー250DG17J

それはつまりどんな時も安心して転べる、安心して前に進めるという事。

セローがどんなバイクを最もよく表している部分はこのスタンディングハンドルなのかもしれないですね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/805/1160mm
シート高 830mm
車軸距離 1360mm
車体重量 130kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 9.6L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 18ps/7500rpm
最高トルク 1.9kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後120/80-18(62P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR7EA
推奨オイル ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 470,000円(税別)
[490,000円(税別)]
※[]内はSモデル
系譜図
XT2001982年
XT200
(23J/47J)
セロー225-1kh/1rf/2ln1985年
XT225SEROW
(1KH/1RF/2LN)
セロー2253RW1~41989年
XT225SEROW
(3RW)
セロー225-3RW5/4JG1~41993年
SEROW225W
(4JG)
セロー225-5MP2000年
SEROW225WE
(5MP)
セロー250-DG112005年
SEROW250
(DG11J)
セロー250-DG172008年
SEROW250
(DG17J)
セロー250-DG312018年
SEROW250
(DG31J)
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