スクーター系

スクーターとは

町中を一番走っているバイクであろうスクーター。

端的に言うとシート下に収納スペースがあるオートマバイクという感じでしょうか。

【特徴】

・プーリーと呼ばれる円盤とベルトによるオートマチックが基本

・左右のレバーがそのままブレーキになってる自転車に近い形

・車体もホイールも小さく軽いので取り回しも楽ちんで125ccまでなら税金も安い

・反対に長距離は苦手な部類

・メットインと呼ばれる便利な荷物入れがある

という感じ。今さら細かい説明は要らないかと。

【歴史】

スクーターの歴史は非常に古くまた変化に富んでおり、全部書くと長くなるので割愛しつつ書いていきます。

スクーターの始まりは1902年にフランスで造られた『auto-Fauteuil(オトフォトイユ)』と言われています。

4stの433ccエンジンを搭載したモデルで名前の意味は

『走る椅子』

まさにそのままですね。ちなみに排気口を足元に持ってきてフットウォーマー代わりに使うアイディア付きでした。

その後、イギリスやドイツそしてアメリカなど欧米で走る椅子ことスクーターの開発競争が始まったんですが、その中でも現代スクーターの原型と言われているのが1920年にイギリスのユニバスというメーカーが作ったモデル。

ユニバスのスクーター

エンジンを椅子の下に収納し、小径ホイールを装着することで足付きの問題も改善した走る椅子。まさにスクーターですね。

こうしてスクーターの基本形が出来上がり、欧米のいろんな企業がOEMを含め造るようになり普及していきました。

日本のスクーター文化

「じゃあ日本はいつからなの」

っていう話をすると日本のスクーター文化は戦後の1946年からになります。

『隼』や『橘花』といった航空機を造っていた中島飛行機が敗戦によってGHQから平和産業への転身を迫られた事がキッカケ。

社名を富士産業(後にスバルとなる富士重工業の前身)に変え、会社を存続させるため農機具やトラック部品や食器など色々と手を出したうちの一つがスクーターだった。

何故スクーターだったのかというと

・進駐軍が使っていたこと

・儲け(単価)が大きい製品だったこと

などがあるんですが一番は内燃機で走るなど構造が

「航空機に通ずるものがあったから」

ですね。

そんな富士産業が幸運だったのは協力会社の野村工業に野村房男さんという御曹司が居たこと。彼は大のバイクマニアでありコレクターでもあったためアメリカのパウエルというメーカーが造ったスクーターを所有していた。

ストリームライナー

そこでそれを貸してもらい分解し、スクーターがどういう構造なのかを研究し1946年に完成したのが下のモデル。

ラビットS-1

『Rabbit S-1』

これが国産初のスクーターであり、日本のスクーター文化の始まりになります。

名前の由来はボディ後部の膨らみがうさぎの後ろ足に似ていたから。見た目もパウエルスクーターとソックリなんですが、決定的に違う所として荷台が付いている事にあります。

富士産業とパウエル

これはGHQから許可を貰うため。

というのも当時アメリカではスクーターは日常の足というよりも娯楽の乗り物という存在だったため、最初持っていった時は許可が下りなかったんですね。

そこで荷台を付けて

「これは娯楽の乗り物ではなく物資を運ぶための道具です」

と説得しなんとか許可を得ることに成功したという話。

ラビットの系譜

こうして始めたスクーター事業は順調にモデルも台数も右肩上がりで増えていきました・・・が、戦後のスクーターといえば有名な所がもう一社ありますよね。

そう、三菱重工業のシルバーピジョン。

シルバーピジョン

『零戦』を始め多くの軍事産業を担っていた三菱重工業も富士重工業(中島飛行機)と同じように平和産業への転換を迫られた事でスクーターを開発していました。

ただし三菱重工業が参考にしたのはパウエルではなくまた別の米メーカーのスクーター。

サルスベリーモーターグライド

サルスベリー社のモーターグライドを参考にした。そしてラビットから半年遅れで登場したのがこれ。

シルバーピジョンC-10

『Silver Pigeon C-10』

シルバーピジョンの最初のモデル。名前の由来は平和産業であることをアピールするためと言われています。

ただ当時のスクーターは今と違い、大卒の初任給が500円前後だった時代に

『ラビットスクーターS-1:12,000円』

『シルバーピジョンC-10:45,000円』

という価格設定で一般庶民はとてもじゃないけど買えない高級車だった。

しかしそれでも乗用車が禁止されていた事から富裕層や公用として人気というか需要がありました。この需要は乗用車が解禁された1950年代に入っても変わらず、乗用車がおいそれと買える乗り物ではなかったことから今度は所得が上がってきたサラリーマン等がこぞって買うように。

つまり最初期は富裕層に、そしてその後はサラリーマンなど労働者の足として年を追う毎に拡大していったのが日本のスクーター文化の始まり。

こうして改めて振り返ると

「日本のモータリゼーションはスクーターから始まった」

といっても過言ではなく、皆のよく知るホンダやカワサキやヤマハもそんな市場を狙ってスクーターを造り参入した歴史があります。

ホンダとカワサキとヤマハ

しかしものの見事に全部失敗に終わりました。

原因は単純に技術力不足で、商品として問題があり大不評だったためスクーター事業からすぐに撤退。どのメーカーも黒歴史と化しています。

今では信じられない話ですが、逆に言うとそれだけラビットとシルバーピジョンが優れていたという話。

ちなみに意外に思うかも知れませんがもう一つの日本を代表するバイクメーカーであるスズキはこの頃まだスクーター事業に参入していません。

そんなスクーターなんですが1960年代の末に終わりを迎えます。

三菱重工業は1964年のC-140とC240をもって生産終了。

シルバーピジョンC-140/C-240

最後まで残っていた富士重工業も1968年のS-301をもって生産終了。

S-211

スクーターを製造販売するメーカーが居なくなり、文化が完全に途切れる事となりました。

【総生産台数】

シルバーピジョン:約46万台

ラビットスクーター:約63万台

相次ぐスクーター事業からの撤退ですが、この理由は大きく分けて二つあります。

一つは三菱も富士もより規模(儲け)が大きい四輪事業に力を入れた事が一つ。そしてもう一つは1958年にあるモデルが登場したから。

C100

『SuperCub C100』

皆さんご存知スーパーカブです。

一番簡単な免許である原付一種(50cc)に該当しつつも、圧倒的な性能と革新的なデザインで多くの人がカブを買い求めるようになり、時代はスクーターからモペット(ステップペダル付き)が求めるように。つまりもうスクーターを造って売っても旨味がない市場になってしまった。

当時のポスター

余談ですがこのスクーターからモペットへの移行は1940年代の欧州で起こっていた事。それを本田宗一郎と藤沢武夫(副社長)が欧州視察の際に知り、そのトレンドを日本に持ってくる形で生まれたのがスーパーカブなんですね。

でも現代の日本ではどちらかというとスーパーカブよりスクーターの方が町中を走っていますよね。

そのキッカケはスーパーカブ誕生から約20年後となる1977年になります。

パッソル

「パッソルS50」

ヤマハがステップがあるモペットではなくステップスルーの原付、つまりスクーターを11年ぶりに復活させたんです。

何故ここに来てスクーターを出したのかというと、ホンダがこの一年前にあたる1976年に自転車の延長線上にあるようなキック要らずの原付を出してヒットしたから。

ロードパル

『ロードパル』

女性の社会進出が進んできた事をうけて造られたキック要らずの女性向けモペット。ラッタッタの愛称でもお馴染みですね。

これがヒットしたのを見てヤマハが

「女性はスカートを履くから跨るタイプよりステップスルーが良いだろう」

という事でスクーターを再び開発し販売したというわけ。

この狙いが見事に的中。

バイクとは無縁だった層を掘り起こす空前の大ヒットとなり販売台数が伸びた事でホンダを追い越せると更に攻勢に出た事で、1980年頃からヤマハとホンダで仁義なきシェア争いが勃発。

ロードパル

新型スクーターのぶつけ合いや被せ合い、それにダンピング合戦が行われました。

その結果スクーターが市場へ大量に出回る事となり、ちょっと前まで消えていたのが嘘のように当たり前な乗り物として多くの人に認知されるようになった。

こうしてスクーターが復権したんですが、あまりにも増えすぎた事で事故も急増。

この事態を重く見た国は1986年に

『原付(50cc)のヘルメット義務化』

を課すことにしました。※51cc以上は既に義務化

今でこそ当たり前なヘルメットですが当時は利便性が大きく損なわれたと販売台数も急落。しかし同時にこれがスクーターを原付を象徴する乗り物に押し上げるキッカケにもなった。

初めてのメットインスクーター

『メットインスクーター』

の誕生です。

上の写真はそれを一番最初に備えた1985年のヤマハ・ボクスンというモデル。

今でこそスクーターにとって当たり前な機能ですがこれはヘルメットという規制があったからこそ生まれた面があり、移動手段としてバイクを使っていた人達にとってこれほど便利な機能はない。

結果として下駄として使う原付ユーザーの多くがメットインスクーターを選ぶようになりそれが

「原付といえばメットインスクーター」

という常識を生み、現代も続いているという話。

本当にザックリですが、これが現代のスクーターの成り立ちみたいなものです・・・が、スクーター文化はこれだけじゃ終わらない。

1990年代になるとメットインスクーターがコミューターとして確固たる地位を築き上げ生活の一部として根付いたわけですが、同時に日本には世界的なバイクメーカーが多く存在していたため絶えず競争が行われていた。

そうした競争の末、日本で新たな形のスクーターが生まれました。

ビッグスクーター

『ビッグスクーター』

です。

乗り心地やタンデム性それに安定性や加速性など従来のスクーターの弱点を補うまさに大型バイク版スクーター。

最初にこの形を出したのはホンダで、国内最大排気量かつ大容量のメットインを備えた

『1984年:SPACY250FREEWAY』

またはクルーザー要素を取り入れることでスクーターが苦手としていた長距離走行とタンデム性を向上させた

『1986年:FUSION』

がその始まりと言われています。

スペイシーとフュージョン

しかし両者ともコンセプトは良かったものの80年代の250はレーサーレプリカ(スポーツ全盛)時代だったため注目されず。

ではこのビッグスクーターという新しいカタチを認めさせたのは何かといえば1995年にヤマハが出したモデル。

初代マジェスティ

『MAJESTY』

です。ここまで来ると知っている人も多いのではないかと。

大人のセダンバイクというコンセプトで造られたエアロボディのおしゃれなビッグスクーター。

これが人気を呼んだことでビッグスクーターが認知されるようになったんです・・・が、ここで終わらなかった。ビッグスクーターが確立して10年ほど経った2000年代半ばにブームが起きます。

元々ビッグスクーターというのはどちらかというとオジサマ向けの乗り物だったんですが、いわゆるVIP感がある事から若者のハートにささった。

加えて250なので負担も軽くオートマでメットインという便利な装備も付いている。つまり何故ビッグスクーターブームが起きたのかといえばカスタムが栄えた事から見ても

クルーザーブームからビッグスクーターブームへ

「使い勝手が良いアメリカンみたいなバイク」

という認知のされ方をしたから。ある意味ではクルーザーを食った形なんですね。2010年代に入るとそのブームも収まって大人のセダンバイクという本来の立ち位置に戻りましたが。

最後に少し余談をすると、実はこのビッグスクーター文化はスクーター発祥の地である欧州にも影響を与えているんです。

向こうでも排気量が大きいスクーターはあったものの大容量のメットインとエアロデザインのクルーザーチックなビッグスクーターは存在していなかったため意外とウケた。

イタリアでのビッグスクーター

今では欧州向けビッグスクーターなども出しているように

『Maxi Scooter』

として認知され欧州メーカーまでもが参入。しのぎを削るジャンルにまで成長という文化の逆輸入を起こすまでに至ったという話。

ちなみに一番最初にビッグスクーターを本場欧州に持ち込み、広く認知させるキッカケとなったモデルが何かというと1998年に出たこれ。

バーグマン400

『BURGMAN400(和名スカイウェイブ400)』

意外にもスズキなんですね。

参考文献
・日本のスクーター(小関和夫|三樹書房)
・二輪車1908-1960(小関和夫|三樹書房)

該当車種

FORZAPCXLEADの系譜

TMAXMAJESTYCYGNUS系譜

SKYWAVE250ADDRESSの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

クラシック系

クラシックとは

最も説明が難しく書きたくないジャンル。

要するにオールドルックなバイク。

【特徴】

使い勝手や性能などを追わず”意図的”な古いデザインで味を楽しむバイク。

デザイン的に言えば1950年頃のカフェレーサーバイクな物が多い。

本当に古いバイクはビンテージ、そのビンテージバイク風な新しいのがクラシック。

シングルクレードルフレームに空冷シングルやツインを積んだのがクラシック・・・説明が難しい。言葉足らずですいません。

【歴史】

正直クラシックの歴史と言われても説明しかねます。

どこまでがビンテージでどこからがクラシックなのか・・・そこでとりあえずクラシックと思われるものを挙げていこうと思います。

有名なメーカーとしてはノートンですかね。

クラシックとは

1898年設立されてから紆余曲折ありながらもやっていってるイギリスの老舗バイクメーカー。

代表的な車種は写真のコマンドー。といってもノートンも昔はマン島TTで優勝するほどのスポーツメーカーだったんですが。メグロの手本となったバイクでもあります。

もう一つ挙げるとするならロイヤル・エンフィールド。

クラシックとは

名前くらいなら聞いたことがある人も居るのではないでしょうか。

ノートンに次ぐイギリスの老舗バイクメーカー。バイクを始めるまでは自転車を作ってました。

見た目だけでなく造りも本当にクラシックなため

「本当のクラシックバイクを作ってるのはロイヤル・エンフィールドだけだ」

という声まであります。

今はインドの会社に買収されたためインドのメーカーの子会社となってます。

まあただここらへんのメーカーのバイクは高額だし日本では馴染みもないのですっ飛ばします。

ファンの方はすいません。。。

日本メーカーで言えばカワサキエストレヤやW800、スズキで言えばST250、ヤマハで言えばSR400辺りがそうでしょうか。

クラシックとは

ただWでもK2やW1なんかはクラシックどころか当時はハイスペックマシンだったし、今で言えばビンテージ。

何処でビンテージとクラシックを分ければいいのか微妙だけど、Wで言うなら恐らく復刻した1999年のW650からかと。それでももう15年以上前ですが。

クラシックとは

1992年に出たエストレヤの場合は最初から250cc版メグロとして出たので間違いなくクラシックでしょう。

クラシックとは

スズキのST250もボルディの後継とは言え十分クラシック。

んで問題は1978年に出たSR400。

クラシックとは

「SRこそクラシックの代表じゃん!」

って思われるかもしれませんが、SRも発売当初はクラシックというよりスクランブラー的な立ち位置でした。

スクランブラーっていうのは未舗装路もソコソコ走れるバイク。元となっているのがビッグトレールのXT500だから成せた技ならぬバイクです。こう見えてショートストロークエンジンなんですよ。

時代にだんだんついて行けなくなってSRX400が出たあたりからクラシックに方向転換し始めたんですが、ほとんど形変わってないっていう。

今どきキックスタートしかない市販車なんてこれくらいじゃなかろうか・・・

クラシックの説明は本当に難しいです。大きなブームや流行などはないものの、いつの時代も一定数の需要があるのも事実です。

本人が古き良き渋さがあると思えばそれはもうクラシックかと。

ネオレトロ

2010年頃からクラシックなバイクをメーカーが出していますが、アレは欧州で流行っているネオクラシックまたはネオレトロといいます。

すごく簡単に言うと、比較的新しいバイクをベースに性能や利便性はそのままにスタイルだけ古くしたバイクのことです。

該当車種

GB250の系譜SR400の系譜ST250の系譜Wの系譜ESTRELLAの系譜MOTO GUZZIの系譜 などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

RS4 125 -since 2011-

RS4 125

4stとなったRS125改めRS4 125

アプリリアのファミリーフェイスを取り入れた事でSBKチャンピオンマシンのRSV4と瓜二つな外見になりました。

そして何より4st化に伴いエンジンは勿論のこと、長く使われてきたRS125プラットフォームから脱却し新しいフレームと足回りに。

RS4エンジン

ちなみにエンジンはROTAXではなくデルビ製(GPR125)の物をベースなんだけど、ヘッド・シリンダー・ピストン・FI化などほぼ別物と言っていいほど手が加えられている。

あとこれ。

クイックシフター

クイックシフターがOPで用意されてる。125でクイックシフターなんて・・・

4st化に伴ってパワーバンドが広くなり2st時代とは比べ物にならないほど乗りやすくなってます。とは言うものの125の中でもトップのビッグボアショートストロークなので回してナンボなのは相変わらず。

先代に比べ軽くなったんですが、やっぱり15馬力という大幅なパワーダウンで牙が無くなったと言われるRS4。それは日本だけではなく海外でも同じように言われているわけですが、こういった見解もあります。

RS4 125

「4stになってパワーは無くなった。しかしその分だけ信頼性が上がりボアアップが容易になったと考えれば歓迎出来る。フレーム剛性は十二分だし、何より長く乗るならばね。」

言われれば確かに。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:124cc
最高出力:
15ps/10500rpm
最大トルク:
1.12kg-m/8500rpm
車両重量:120kg(装)

【関連車種】

GROMの系譜YZF-R125の系譜Z125の系譜Small DUKEの系譜

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

RS125 (Py/RD/RM) -since 2006-

RD型

外見がグッと新しくなりラジアルマウントキャリパーなど足回りが完全にSSで妥協点が見当たらない第三世代のR125のPy型。2stとしては最後のRS125になります。

日本に入ってきたのは2006~2008までの28馬力モデルのみ。理由は日本の排ガス規制に通らなくなったから。だから日本ではMY(Model Year)06とかMY08って言われたりしてますね。

RS125

もう最後だぞ!もう最後だぞ!とアチコチで言われていたのを思い出します。

ちなみに海の向こうでは2009年以降も売られていたんですがEURO3(排ガス規制)が始まったことで24馬力にまで抑えられています。

タイトルの型式(タイプ)がこのモデルだけ3つもあるのはそれに伴って出力が違うから。

【TYPE:Py(EURO2モデル)】
日本にも正規で入ってきた06-08の28馬力モデル

【TYPE:RD(EURO3モデル)】
上をカットして15馬力になっているVHST28の07-08モデル(ゴニョゴニョで24ps/10500rpm)

【TYPE:RM(EURO3モデル)】

これがホントの最終モデル(08-11)でEURO3に対応しつつ23馬力と頑張ってるモデル

最終モデル

並行輸入車に手を出す猛者が居たらいけないので参考までに。タイプはマニュファクチュアプレートに書いてます。

しかしまあこんなぶっ飛んだ125は免許改正もあってもう二度と出ないでしょうね。

イタリアを筆頭に巻き起こってた2st125レーサーのブームもこの頃は完全に去っていてNSR125を始めとしたライバルはとっくに消えてたんだけど、アプリリアは最後の最後まで2stを諦めなかった。

エンジン:水冷2サイクルクランクケースリードバルブ単気筒
排気量:125cc
最高出力:
28[15]{23}ps
10500[8500]{10000}rpm
最大トルク:
1.9[不明]{1.8}kg-m
9000[不明]{9500}rpm
車両重量:137kg(装)
※[]内はRD
※{}内はRMモデル

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

RS125 (SF0/SF1) -since 1999-

SF型

目まぐるしく変わるRS125の中で最も長寿なSF型。

型式としてSF0とSF1と二種類あります。これには理由がありまして・・・

まずSF0(1999-2003)の方から。MP型の後継として登場したわけですが、大きな変更点は先代まで使われていたビッグキャブ(32mm)が28mmの小径に変えられ若干マイルドになりました。まあそれでもピーキーなのは相変わらずですが。

そして問題はSF1型(2003-2005)の方。

SFF

SF1型は2003年後半以降のモデルの事なんですが、何で分けられてるのかというと厳しくなった排ガス規制(EURO2)に対応するために、触媒入りチャンバー&エンジンヘッドの変更で馬力が28馬力にまで抑えられてるんです。それがSF1型です。

キャブを大径にしてCDIをゴニョゴニョすればパワーが上がるとか。まあ28馬力あれば十分な気もするけどね。

エンジン:水冷2サイクルピストンリードバルブ単気筒
排気量:125cc
最高出力:
34ps/11000rpm
最大トルク:
2.5kg-m/9000rpm
車両重量:115kg(乾)

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

RS125 (MP) -since 1995-

MP型

実質的に二代目となるRS125のMP型。

少しややこしい事に、見た目が新しくなったMPだけど二年後の1997年モデルからエンジンが新しいもの(ロータックス123からカセット式ミッションの122)へと変わりました。

スペック的には変わりがないんだけどあまりにもピーキー過ぎる特性が少しだけ緩和されています。いや少しですけどね。

さて少し余談をすると、この頃アプリリアはWGP(世界レース)の125と250で他を寄せ付けない圧倒的な速さを誇っていました。そんなアプリリアのWGP黄金時代で欠かせない人物と言えばレースを知らない人でも知ってるバレンティーノ・ロッシ選手。

ロッシ125

彼が初めて優勝したのは1995年でこのRS125レーサーによるもの。翌1996年には年間チャンピオンにまでなっています。

このあとWGP250そして500(現MotoGP)にステップアップしていったんだけど優勝を記念してロッシカラーのモデルが出たりしました。そんな歴史があるせいかアプリリアは「ロッシはアプリリアで育った」と自負してます。

坂田選手

ちなみにロッシだけでなく日本人ライダーでも坂田和人選手がいました。

彼もなんとWGP125においてRS125で二度の世界チャンピオンに。125でこの人の右に出る日本人は居ないんではなかろうか。

エンジン:水冷2サイクルクランクケースリードバルブ単気筒
排気量:125cc
最高出力:
34ps/11000rpm
最大トルク:
2.5kg-m/9000rpm
車両重量:115kg(乾)

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

RS125 (GS) -since 1991-

GS型

初代RS125のGS型。

といってもAF-1からフレーム、ROTAXエンジン、スイングアームといった基本的な構造は受け継いだモデル。ただスペックを見れば分かるけど125なのに34馬力というとんでもないパワーを持ってる。これは2stワークスレーサーに迫るほどのパワー。

市販車としては最高馬力になるんじゃないかな?

市販といえるのか微妙だけどね。だってこれは本当に公道の事なんて全く考えられてないホモロゲーションモデルみたいなものだから。

エクストリーマカタログ

その申し分ないポテンシャル故にRS125のこの基本設計は2st最終となるRM型まで変わる事なく使われました。

ただそんなRS125の中で最もピーキーなモデルはどれかと言われれば間違いなくこのGS型。カート用のエンジンがベースなだけの事はあります。

エンジン:水冷2サイクルクランクケースリードバルブ単気筒
排気量:125cc
最高出力:
34ps/11000rpm
最大トルク:
2.5kg-m/9000rpm
車両重量:115kg(乾)

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

AF-1 125 (AF-1) -since 1986-

AF-1 125

「PROJECT 108」

日本でアプリリアといえばRSV4よりも有名だろうRS125(RS4)の始まりとなるバイクがこのAF-1 125。

ROTAX社製のエンジンを積んだ123ccのスーパースポーツ。

イタリアで125ccというのは日本でいう原付一種と同じ扱いなこともありカジバやデルビなどと共に争いを繰り広げていました。更に言うなれば国際レース(WGP125)まであったのでレース大好きイタリア人にとっては日本でいう1000や600と同レベルのカテゴリ。

カジバやデルビなどと切磋琢磨してたんですがそんな中でオフ車メインだったアプリリアがオンロードにも販路を開こうとして作ったロードレーサーがAF-1。そしてそのAF-1のレプリカモデルがAF-1 125というわけ。少しややこしいですが。

AF-1カタログ

これが大反響で、これ以降125スーパースポーツの熱が一気に加熱する事になりました。

これは欧州での出来事ですが、日本メーカーも躍起になって参入してました。この波に乗り遅れまいとNSR125やTZR125などで打って出たわけですね。

ちなみにAF-1は毎年のようにモデルチェンジしていて、晩年はアルミフレーム片持ちスイングアームという非常に美しい造形となりました。

AF-1FUTURA

そのルックスから

「これは125ccのRC30(VFR750R)だ」

という評判を得るにまで至ったみたい。

エンジン:水冷2サイクルクランクケースリードバルブ単気筒
排気量:123cc
最高出力:
25ps/10000rpm
最大トルク:
1.8kg-m/8000rpm
車両重量:120kg(乾)

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

TORNADO3 零50 -since 2004-

トルネード3

Tornado3だけどトルネード四代目にあたるトルネード3 零-50。

これはヨシムラ創立50周年を記念して発売されたコンプリートマシン。

トルネード3諸元

2003年式GSX-R1000をベースに50年の集大成として持ちうる技術のすべてを注ぎ込んだキットフル装備モデルです。

下回り

限定5台800万円という歴代最高額と最小台数。まず見ることは無いと思います。

主要諸元
全長/幅/高
シート高
車軸距離
車体重量
燃料消費率
燃料容量
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量
最高出力 後軸170ps以上
最高トルク
変速機
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/50ZR17
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格 8,000,000円(税別)
系譜図
POP吉村

1923年~
神の手を持つ男 吉村秀雄

トルネード1200ボンネビル

1987年
TORNADO1200BONNEVILLE

ハヤブサX1

2000年
HAYABUSA X1

カタナ1135R

2001年
KATANA1135R

トルネードS1

2002年
TORNADO S-1

M450R

2003年
M450R

トルネード3零50

2005年~
TORNADO3 零-50

M450R -since 2003-

M450R

ヨシムラがモタードを手掛けるとこうなる的なM450R。ヨーロッパでのモタードレースブームに合わせて発売されました。

元となってるのはDR-400Sです。もう心が折れたので画像を貼ります。

M450Rスペック

SPEC1 119.8万円
SPEC2 149.8万円
SPEC3 198.8万円
の3グレート展開。でも受注生産13台とかなり少ない。

ヨシムラM450R

ヨシムラとしては珍しくレースではなく公道を主体においたスーパーモタードなせいか一番知名度がなく、レーザーラモンRGという芸人さんが乗ってたM250Sと間違われがちだけど、アッチはヨシムラカラーとヨシムラマフラーを付けたコラボモデル(しかもD-TRACKER)なのでM450Rとは全く違うバイクです。

間違うと何されても文句言えないので気をつけましょう。

主要諸元
全長/幅/高
シート高
車軸距離
車体重量 198kg(乾)
燃料消費率
燃料容量
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 449cc
最高出力 50ps以上
最高トルク 4.5kg-m以上
変速機
タイヤサイズ 前120/60-17
後150/60-17
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ 前15|後40
チェーン
車体価格 1,198,000円(税別)
[1498,000円(税別)]
{1,988,000円(税別)}
※[]内はSPEC-2
※{}内はSPEC-3
系譜図
POP吉村

1923年~
神の手を持つ男 吉村秀雄

トルネード1200ボンネビル

1987年
TORNADO1200BONNEVILLE

ハヤブサX1

2000年
HAYABUSA X1

カタナ1135R

2001年
KATANA1135R

トルネードS1

2002年
TORNADO S-1

M450R

2003年
M450R

トルネード3零50

2005年~
TORNADO3 零-50