1125R -since 2008-

1125R

ROTAXに作らせた146馬力を発揮する狭角75度水冷エンジンを積んだ第三世代水冷ビューエルの1125R。

1125エンジン

リムマウントディスクローターやXブレードフレームなど基本的な思想はXBシリーズと同じ。ただスイングアーム内にオイルを貯めるタイプではありません。

1125フレーム

相変わらずサスペンションはフレームマウントですが、エンジンを非常にコンパクトにできたことでスイングアーム長を大きく取りコーナリング性能を高めています。

昨今(特に日本)のスーパースポーツに通ずるところがありますね。

1125

そしてこちらは一年遅れで登場したネイキッドモデルの1125CR。

ビューエル1125CR

中々なマッスル感。

ちなみに両サイドにあるふっくらしたカバーは横に持ってきたラジエーターの為の整流カバー。狙いはもちろん全長を縮めるため。

1125CR正面

相変わらずバランサーは付いていないので空冷モデルほどでは無いにしろ振動は健在。

しかし何よりも水冷化に対しビューエル界では大きな波紋が広がりました。

何故水冷にしたのかといえばレースで勝つためでしょう。

ビューエルXB-RR

もともとビューエルはXBRRというXBをベースに150馬力までチューニングされたエンジンとカーボンカウルのマシンで参戦していました。

しかしやはり空冷OHVでは並み居るSS相手には勝てなかった・・・エリックも分かっていたのか、このXBRRでレースをする裏で並列して1125Rとレースマシン1125RRの開発が進んでいたというわけ。

ビューエル1125RR

これがその1125RR。当時エリックがノリノリで紹介していました。

そして見事スーパーバイク全米選手権プライベータークラスで勝ったんです。RR1000で苦汁を飲まされてから20年後の事。

ビューエル1125RR

アメリカのレースで、アメリカのバイクメーカーが勝つ。これは本当に全米が泣きました・・・が、1125R/CRは日本には入ってきていません。

というのも記憶に新しいリーマンショックによる世界不況で親会社だったハーレーの業績が悪化。そのため経営の合理化としてBUELLの生産・取扱を止めるという判断が下されたんです。

V-ROD

一説ではV-RODの水冷エンジンを使うことをエリックが拒否し、ROTAXエンジンを採用という背任行為が理由とも言われています。

ただ同時にMVアグスタも手放しているので、その線は薄いと。

EBR11125

1125R発売から一年足らずの出来事で、ちょうど日本国内の為にデモランまで済ませ発売寸前まで来ていた矢先の話。

あまりにも急なことでエリックの肩を落とした報告動画が印象的でしたが、ビューエルで働いてる人もこの動画を見て始めて知った人も多かったとか。

正に天国から地獄ですね。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:1125cc
最高出力:
146ps/9800rpm
最大トルク:
10.5kg-m/8300rpm
車両重量:170kg(乾)
※スペックは1125R

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

XB12S Lightning -since 2004-

XB12Sライトニング

XB9Rのエンジンをロングストローク化させトルクフル(1202cc化)にしたXB12SとXB12R。

そしてこの頃からスポーツスターのエンジンをビューエルが使うのではなく、ビューエルのエンジンをスポーツスターが使うように。立場逆転ですね。

XB12Sライトニング

ちなみに本場アメリカではXB2シリーズと呼ぶようですが、これまたバリエーションが色々とあって分かりにくい面があります。

日本国内で最も売れたのは2005年登場のXB12Scg(センターグラビティ)と呼ばれるモデル。

XB12Sライトニング

サスペンションを縮め、シートも変更されたローシートモデル。

他には中道のSs(スポーツ)、一人乗りトラッカー仕様のXB12STT(トレールトラッカー)など。

XB12STT

そしてこれらのグレードに共通しているのがノーマルのXB12Sよりも長いスイングアームを採用したこと。

フロントフォークも少し寝かせホイールベースとトレール量を伸ばしたことで懐が広くなっています。流石に250並みのホイールベースじゃ厳しかったのか。

XB12Sライトニング

更にSとRに次いで投入されたのがXB12X/XT Ulysses(ユリシーズ)。

サスペンションをロングストロークな物に変更したデュアルパーパスモデル。

XB12X

販売台数が順調に伸びていった事によるスケールメリットもあってか、年を追う毎に車体価格も安くなっていった事と、積極的な試乗会により更に人気を呼びました。

XB12ポスター

※2005年初期は170万で、晩年の2010年には120万円ほど。

少し話がそれますが、ビューエルって何処の国に人気かご存知ですか。

Made in USAと謳っている事からもアメリカが一番人気と思いがちですが、当時の資料を見ると意外にも一番台数が出ているのは欧州なんです。

XB12Sポスター

比率的には

欧州5|北米4|日本1

との事。意外ですよね。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:1203cc
最高出力:
101ps/6000rpm
最大トルク:
11.2kg-m/6000rpm
車両重量:179kg(乾)
※スペックはXB12S

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

XB9R Firebolt -since 2002-

XB9Rファイヤーボルト

新世代ビューエルとして登場したXB9R Firebolt。

ここまで来ると馴染みがある人も多いでしょう。

一番の大きな特徴は何と言っても

「Xブレードフレーム」

という名が付けられた極太アルミツインスパーフレーム。このフレームただのツインスパーではなくガソリンタンクを兼ねるという普通では考えられない構造をしているんです。

フューエルインフレーム

フレームにガソリンを注ぐという奇想天外な考えですが、実はこれ構想自体はずっとまえからあったそう。

というのはエリックがレーサーをやっていた頃、ガソリン量の減少によるハンドリングの変化が気になって仕方なった。

これはガソリンタンクが重心よりも高い位置にあることによる慣性モーメントの変化が原因。ガソリン満タンと空の状態だと全然違うのは誰もが知ることですね。

XB9Rカタログ写真

マスの集中化を何よりも大事にするビューエルとして何とか出来ないか、もっと重心に近い部分にガソリンを置けるスペースがないか探した所フレームが空いている事を発見。

ただ技術的やコスト面の問題があったから中々採用できなかった。それが今回フルモデルチェンジでやっと実現したというわけ。

しかし面白ギミックなのはこのタンクだけには留まりません。

ハーレーの狭角45度Vツインエンジンはドライサンプといって一般的なウェットサンプと違い、オイルを溜めておくプールがエンジンの下ではなく別の場所に設けられます。

今までのモデルはだいたいシート下にオイルタンクが置かれていたのですが、前後長を切り詰めたかったエリックはエンジンオイルのプールとして第二のフレームであるスイングアームを選択。つまりこのスイングアームの中にはエンジンオイルが入っている。

オイルインスイングアーム

更にエンジンもビューエルからの注文で改良した物ではなく、最初からビューエル用のエンジンが積まれる事になったおかげでホイールベースが脅威の1320mmに。

1320mmがどれだけ短いかというと、一般的な250ロードスポーツモデルですら1390mm前後。身近なモデルで一番近いのを探してみるとホンダのPCX(1315mm)が近い。

XP9Rポスター

それくらい短いわけですが、これは本当に賛否両論ありました。

ホイールベースが短いというのは物凄くクイックではあるんだけど安定性の問題が出てくるから。

ただこれはエリックが考えていた設計思想なんです。エリックが次世代のビューエルを作る際、集めたメンバーに対して

TZ250

「このTZ250に我々のエンジンを積んだら最高のバイクが出来る。」

と言ったわけです。

当然そんなの無理に決まってると相手にされなかったのですがエリックは本気で、しかも本当にやってのけたわけです。(ホイールベースがほぼ同じ)

翌年にはX1の後継であるネイキッドモデルXB9Sも登場。

フューエルインフレーム

国内ではすぐ後継にバトンタッチし最終的にはXB9SXのみとなりましたが、国内外問わず

「今までに無いバイクだ」

と絶賛され、BUELLはアメリカ第二位のオートバイメーカーに上り詰めました。

フューエルインフレーム

一番BUELLが輝いていた時代ですね・・・。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:984cc
最高出力:
92ps/7200rpm
最大トルク:
9.37kg-m/5500rpm
車両重量:175kg(乾)
※スペックはXB9R

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

BLAST -since 2000-

ブラスト

EVOエンジンの片肺だけ切り取る(流用する)事でコストを下げたBuellとしては唯一の単気筒モデルのBLAST。

ただこれはアメリカ専売モデルで日本には入ってきていません。というのもこのモデルは日本でいうところの教習車的な立ち位置だったから。

ブラスト

アメリカというのは免許を取る際は車両持ち込みが原則、つまり最初に車両を用意しないといけない。だからレンタル業者を利用したりする人が多いんだけど非常に不便な面があった。

そこでHarley-Davidson’s Rider’s Edge New Rider programと称し、最初から使えるように購入と同時にナンバー付きで卸され、ハーレー・ビューエルディーラーがその車両で代わりに教習し合格まで指導するという囲い込みのような販売方法。

ハーレーダビッドソンアカデミー

この取り組みは2009年まで続けられ、結果としてトータルで2万台ほど売りました。ある意味ではビューエルとして最も成功したバイク。

エンジン:空冷4サイクルOHV単気筒
排気量:492cc
最高出力:
34ps/6500rpm
最大トルク:
4.1kg-m/6500rpm
車両重量:163kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RS1200 -since 1989-

RS1200

先代RR1000/1200が元々レースマシンで実用性に乏しかった事から、公道向け作られたビューエルの二作目RS1200WEST WIND。

RR1200と同じエンジンを積んでいるものの、快適性を考え熱対策はもちろんポジションも優しく改良。

最大の特徴はリトラクタブル式になっているタンデムシートカウル。ヒンジが付いていてパカっと開き背もたれになる。

RS1200WW

なんでこんな機能を付けたのかというと、昔エリックが彼女を後ろに乗せて走っていた際にウィリーをしたところ、彼女が後ろに転げ落ちた事があったからだとか・・・。

後からシングルシート仕様の上位モデルRSS1200も追加されました。

RSS1200WW

ちなみにハーレーのエンジンということで90年にXLH1200が五速に変更されると、RS1200も合わせて五速のRS1200/5に変更。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
74ps/6500rpm
最大トルク:
9.9kg-m/4500rpm
車両重量:195kg(乾)

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

RR1000/1200 -since 1987-

RR1000

ビューエルが一番最初に出した市販車がこのRR1000BATTLE TWIN。

皆が思うビューエルのイメージからは大きく掛け離れていると思います。

先に作ったRW750と同様にクロモリ鋼管のトラスフレームという一部のスーパーバイクにしか使われていない贅沢フレームにハーレーのスポーツスターOHVエンジン(XL1000)を積んだマシン。

内部

Buellに詳しい方なら分かると思いますが、恐ろしい事に既に中身はBuellの形が出来上がっている。

しかしこのバイクが誕生したのは実は運が良かった面があります。

というのも当時ハーレーダビッドソンはレースに対し非常に消極的でした。これはCEOだったヴォーン・ビールス氏がアメリカ伝統のサーキット場であるラグナセカのイベントに出席した際に、ハーレー乗りをほとんど見かけなかった事がキッカケ。

RR1000バトルウィン

レースは売上に繋がらないと判断したわけです。この人も元々はエンジニアなんですけどね。

だからAMA(アメリカのレース)の中でも人気だった二気筒レースBOT(バトル・オブ・ツイン)ではドゥカティやビモータが幅を効かせていたんだけど、その事が我慢ならなかったハーレーのオーナーズクラブが身銭を切ることで会社のワークス参戦を後押し。

RR1000バトルウィン

「Lucifer’s Hammer (ルシファーズ ハンマー)」

XR750エンジンをベースに1000ccまで排気量を上げたモデル。84~85年と勝利を収めたアメリカでは伝説のツインレーサーです。

ちなみに漫画:特攻の拓で

『Lucifer’s Hammer (悪魔の鉄槌)』

として名前が取り上げられた事から名前は知っている人も多いかもしれませんが、実はそう単純な意味では無かったりします。

この名前には

「レースなんて道楽に金を使ってるとカミさんから怒られるぞ」

という皮肉、つまり

『悪魔の鉄槌(カミさんの鉄拳)』

という揶揄が込められてる。アメリカならではのユニークさですね。

そんなルシファーズハンマーなんですが、86年は戦闘力不足でドゥカティの伝説マシン851に完敗。そこで白羽の矢が立ったのが天才エンジニアだったエリック。

RR1000とエリック

彼も当時バイクを作るために出資を募っている段階。つまり勝てるバイクが欲しいオーナーズクラブと意図が合致したわけです。

そして誕生したのがルシファーズハンマー2と、その公道モデルRR1000というわけ。

RR1000バトルウィン

惜しくも決勝で転倒し851には勝てませんでしたが、予選ではポールポジションを取る程の速さを見せた事でプライベーター達からの注文が殺到。

ただ残念な事に搭載していたXR1000のエンジンが50機しかハーレーから都合出来なかった事から販売台数は50台のみ。

そのため急遽XLH1200のエンジンを用立ててRR1200も製造。こちらは150台ほど作られたようです。

RR1200バトルウィン

この一件でエリックビューエルという名がアメリカ中に広まることになりました。

エンジン:空冷4サイクルOHV二気筒
排気量:998cc
最高出力:
77ps/5600rpm
最大トルク:
9.8kg-m/4400rpm
車両重量:179kg(乾)
※スペックRR1000

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

690DUKE -since 2008-

初代690DUKE

ズズッとときは流れて2008年。

今ではお馴染みの690DUKEの初代が誕生しました。620から数えて三代目だからDUKE3。この頃KTMはアメリカのポラリスという会社と提携しています。日本でポラリスって聞いてもピンと来ない人が多いでしょう。

ポラリスインダストリーズはアメリカの企業で元々はスノーモービルなどのメーカーでした。

ポラリス

ところが2000年代後半にRZRというヤマハっぽい名前の四輪バギーを開発しこれが空前絶後の大ヒット。

そんじょそこらの大ヒットとは比べ物にならないほどの大ヒットで、あっという間にパワースポーツ車両(=バイク、スノーモービル、オフロード車などの総称)部門においてヤマハ・スズキ・カワサキ、果てはホンダまで抜いて世界一となりました。

バイク部門ではクルーザーいわゆるアメリカンの生みの親であるインディアンを買収し、更にはヴィクトリーモーターサイクルという自社ブランドも展開。

ヴィクトリーモーターサイクル

アメリカで非常に高い評価を得ている今一番勢いのあるメーカーです。

話がソレましたね。

しかしKTMがまさかクルーザー作ってるメーカーと手を結ぶというのは意外ですね。まあ本業のATVは同じオフロードだから良いのかもしれませんが。ちなみにこの提携は試験的なものでわずか二年ほどですけどね。

その後KTMは2016年現在インドのバジャージ・オートと提携しています。スモールデュークが生まれたのはその影響です。>スモールデュークの系譜

話が戻ってない。

デューク3

新しく生まれ変わった690DUKEですが、久しぶりのフルモデルチェンジということでほぼ変わっていますが、一番はLC4エンジンを新しく設計しなおしたということ。

ああ、トラスフレームもこの代からですね・・・チューブラーフレームって言ったほうがいいのかな。

DUKEとSM

「とにかく軽く」

というモットーはこの新DUKEでも同じで、このフレームなんと重さが9kgしかありません。乾燥重量で148kg・・・凄い。

しかしやっぱり一番はエンジン。

セントラルバランスシャフト

66馬力を発揮するようになった新型LC4はセントラルバランサーシャフトを採用してるのが特徴。

でもそれより感動なのがシリンダーヘッドカバーですよ。

2008LC4エンジン

ヘッドカバーが斜めに組み付けられてるのが分かりますか?

これはバルブクリアランス調整などを容易にできるにようにとのKTMの計らいというかKTMのLC4に対する本気度の現れ。

LC4ヘッド

正にREADY TO RACEです。

しかしDUKEに限った話で言うと新しくなった690はそれまでのDUKEより更にモタードからネイキッド寄りになりました。

デューク3

これは長距離も熟せるようにするためとの事。

でも実は690といいつつ排気量は653ccだったり・・・理由ですか?KTMが90という数字が好きだからです。

そんな中で2011年に足回りとフレームを強化したDUKE Rが登場したんですが、このモデルでストロークが伸ばされ排気量が表記通り690cになりました。

DUKE3 R

Bremboのラジアルモノブロックキャリパーやカーボン製マットガード、R(ファクトリー)の証であり同じように見えて実は剛性が全然違うオレンジフレームなどなど。

でもそんな豪華装備に目が行きがちだけどDUKEの面白いところは必ずしもRが上位互換というわけではないということ。剛性と足の硬さの違いが明確て、ヨレて乗り手を楽しませるDUKEと、カッチリキビキビなRといった感じ。

でもどうせ買うならRがいい・・・って考えちゃうのは消費者のSAGAってやつですね。まあお買い得ですし。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:653cc
最高出力:
65ps/7500rpm
最大トルク:
6.6kg-m/6550rpm
車両重量:148kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

ニューブロックヘッド世代 -since 2004-

2005xl883

時代は再び進んで2004年。

初めてフレームとエンジンの両方が同時期に新しくなった第4世代スポーツスター。

何が変わったのかというとエンジンがリジットマウントからラバーマウントに変わったこと。そのため『ラバスポ』とか『ゴムスポ』とか言われています。

エボリューションヘッドエンジン

元々スポーツスターのエンジンを使ってスポーツモデルを造っていたビューエルが開発したラバーマウントを応用した形。

エンジンは基本的にラバーマウント部を設けた程度で大きな変更は無いのですが、フレームの方は対応させるため少し大きめに変更されました。名前もそのままラバーマウントフレームと言われています。

狙いはもちろん振動低減による快適性の向上にあります。

ラバーマウントエンジン

この効果は絶大で非常に好評でした。

それまではリジットフレーム故にエンジンの振動がそのまま乗り手に伝わる事から高速走行は罰ゲームに近かった。

それがラバーマウント化によって心地よい振動は残しつつ大幅に振動を減らした事で可能になったからです。

ハーレー界隈でも全く別物の非常に良く出来たスポーツスターと言われています。

ラバスポ

2007年には排ガス規制に対応するためフューエルインジェクション仕様となり更にメンテナンスフリーに。一部では弄れなくなったとしてFIを外してキャブを付ける猛者も居るようですが。

さて・・・イケイケだったハーレーですが2000年代頃から経営方針が大きく変わったことを知っている人も多いかと思います。

それまでハーレーというと

「自分色に染めていく(カスタムしていく)」

というアメリカのガレージ文化そのままのようなバイクだった。

スポーツスターの全モデル

言ってしまえば新車は『カスタムベース車』という感じですね。

ところが2000年代後半になると

「違法カスタム駄目ゼッタイ」

というスタンスになったんです。

違法なカスタムの依頼、または違法車両の整備などを断る経営方針にガラッと変わった。

それと同時に自社関連のアフターパーツのさらなる拡充を開始。

つまり突っ込んで極端に言うと

「自社公認カスタム以外してくれるな」

と捉えられても仕方ないスタンスに変わったわけです。

スーパーロー1200

これの狙いは

・倫理的な問題

・アフターの収益化

・旧世代との線引き

などの狙いがあるものと思われます。

この流れはラインナップを見ても明白で、それまでスポーツスターは最小限のカスタムしか施していない素モデルがほとんどでした。

スポーツスター2019年モデル

しかし近年はフォーティーエイトやセブンティーツーなど、最初からある程度パッケージングされた一種のファクトリーカスタムが多く出るようになった。

要するに最初から多くの選択をハーレー自身が提供する売り方に変わってきた・・・そしてそれが人気を博してる。

スポーツスターのロゴ

カスタムとの高い親和性から人気だったスポーツスターですが、その立ち位置や付き合い方が大きく変わってきている様です。

ハーレーの見分け方ハーレーの見分け方
※ハーレーが分からない人向け
フラットヘッドスポーツスター1952年
フラットヘッド世代
ショベルヘッドスポーツスター1957年
ショベルヘッド世代
ブロックヘッドスポーツスター1986年
ブロックヘッド世代
ニューブロックヘッドスポーツスター2004年
ニューブロックヘッド世代
スポーツスターの全モデルスポーツスターの全モデル

R1200GS  -since 2013-

2015年モデル

2013年からのR1200GS。

これまたエンジンが大幅に変更。

まずなんといってもエンジンが水冷化されました。厳密に言うとヘッドは水冷でシリンダー周りは空冷。

更にRシリーズ初となるバランサーを装着し吸排気のポートが前後から上下に変わりました。

2014エンジン

それまでのボクサーは吸排気ポートが前後だったのでインテーク(吸気側)がステップ側にあり邪魔でした。だから吸排気を上下にすることで解決。簡単に書いてますがこれ凄く大変なことです。

他にも電子制御サスだったり前後連動ブレーキABS(これは前から)だったり、出力モードセレクターだったり、可変式スクリーンだったり・・・

ネイキッド

ただ多分こういう構造的な事を言った所でピンと来ないと思うんですよ。もはやそんなの付いてて当たり前な時代でGSだけ特別ってわけじゃないですし。

これは乗ってみないとわからないし、乗ってみるとわかる。

R1200GS壁紙

「転ける気がしない」

R1200GSに乗ったら絶対にみんなこう言うと思う。間違いなく自分のオフロードスキルがソコソコあるかのような錯覚を覚えます。

そして痛い目を見る。オフロードあるある。

2014年モデル

GSが懐が広く安定しているのはテレレバーやパラレバー、そして伝統のボクサーといったBMWの独自技術によるものだったりするんだけど、だからといって”コレがこうだからGSは凄い”っていうのはちょっと違うかと思ってあんまりウダウダと書きませんでした。面倒くさいわけじゃありません。

こっちはビッグタンクのアドベンチャーモデル。スポークとキャストを選べるようになりました。

R1200GS アドベンチャー

系譜を最初から読んでもらえると分かる通りGSは1980の初代、もっというと1970年代の開発時代から会社が傾こうと止まること無く改良進化を続けてたという歴史。ただGSのあるべき姿を追い求める。これを30年以上です。年次改良なんて何回入ってるのかBMW本社ですら正確に把握できてないんじゃないかな。

こう言うとS1000RRの人に怒られるかもしれませんが、S1000RRが売れてるのはBMWだからという理由が少なからずありますが、このR1200GSはBMWだから売れているわけではなくGSだから売れているんです。

R1200GS壁紙

BMWといったらGS。こんな道を走ってみたいですね・・・日本はなぜ島国なんだ。

もしかしたら中にはRTやRSだと言う人も居るかもしれませんが販売台数はGSがトップ。そしてBMWのこれまでのロードマップを見れば分かる通り先進技術もまずGSです。

最後になりましたが、BMWはもっと多くの人にオフロードを楽しんで貰えるようにと2006年から「BMW Motorrad GS TROPHY」というイベントを世界中で行っています。

GSトロフィージャパン

決められたコースと試験に挑戦し順位を争うコース。

優勝すると”日本一のGS乗り”の称号と世界大会への切符を手に入れることが出来ます。

【4バルブGS】【2バルブGS】【HP2 Enduro】【BMW F&G】【BMW以外】【レディースクラス】のクラス分け。

GSトロフィー

他にも初心者向けやスキルアップを目指すコース、自然を楽しむ事を第一としたツーリングコースなど様々なので興味を持たれた方はお近くのBMWディーラーやホームページなどで確認してみてください。

ちなみにどれも泊まり込み合宿で鍛えられる間違いなしです。

エンジン:水冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1170cc
最高出力:
125ps/7750rpm
最大トルク:
12.7kg-m/6500rpm
車両重量:260kg(装)

【関連車種】

Africa Twinの系譜SUPER TÉNÉRÉの系譜V-STROM1000の系譜VERSYS1000の系譜

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R1200GS  -since 2004-

R1200GS

更に排気量が上がった現在進行形R1200GSの五代目モデル。

歴代で最も大幅に生まれ変わったGSであり最も成功したGSでもあります。

エンジン

もう欧米では「とりあえずBMWのR1200GS買っとけ」っていうレベル。

この時点でエンデューロ部門25年間連続トップセールスです。

2007R1200GS

2007年には販売台数10万台を突破という快挙を成し遂げました。GSが人気の主な国はドイツ、アメリカ、フランス、イタリアなど・・・200万のバイクが10万台って。

その中でもドイツがトップセールスなのはまあ母国ですし言うまでもないんですが、ドイツはBMWが25%以上の販売シェアを占めています。これは日本でいうとヤマハ並のシェアなんですが、そのうちの30%強がR1200GS/ADVという事実。ドイツ人は金持ちですね。

でね、このGSで評価されたのは何といってもコンパクトさと軽さ。全面維新で先代が250kgだったのに対して225kgという大幅な軽量化となりました。

アドベンチャーモデル

こちらは後から発売された人気のアドベンチャーモデル。

容量33Lというビッグタンクを積み航続可能距離は脅威の700kmオーバー。東京から本州最北端の青森まで無給油でいけます。

R1200GS

「なんて素晴らしい一日だろう。朝早く起き出し夕方まで走り続けられるとは」

エンジン:空油冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1170cc
最高出力:
98ps/7000rpm
最大トルク:
11.7kg-m/5500rpm
車両重量:225kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS