隼 X1 -since 2000-

ハヤブサX1

全日本選手権Xフォーミュラクラスのシリーズクラスチャンピオンを記念して発売された隼X-1

Xフォーミュラクラスというのはリッターオーバー要するにメガスポによるプライベーター限定のレースです。今はもうありません。

アルミタンクを含むオリジナル外装、
Φ81ハイコンプピストン
ヨシムラ製ST-1カム
バルブ研磨&すり合わせ
EMS(三段階モード切替)
トライオーバルチタンサイクロンマフラー
バックステップ
チューニングサスペンション
灯火系統の変更などなど

HAYABUSA X1

限定100台で256万円と初代トルネードよりはお求めやすい(?)価格になってるせいか一ヶ月かからずに完売したそうです。

主要諸元
全長/幅/高
シート高
車軸距離
車体重量 198kg(乾)
燃料消費率
燃料容量
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量
最高出力 193ps/10000rpm
最高トルク 14.5kg-m/8000rpm
変速機
タイヤサイズ
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格 2,560,000円(税別)
系譜図
POP吉村

1923年~
神の手を持つ男 吉村秀雄

トルネード1200ボンネビル

1987年
TORNADO1200BONNEVILLE

ハヤブサX1

2000年
HAYABUSA X1

カタナ1135R

2001年
KATANA1135R

トルネードS1

2002年
TORNADO S-1

M450R

2003年
M450R

トルネード3零50

2005年~
TORNADO3 零-50

1198series -since 2009-

1198

わずか二年で無印の1098も1198へクラスアップ。

目立つ変更点といえば何処よりも速くトラクションコントロールを搭載した事。

※Sモデルのみで末期には無印も装備

DTC

DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)という装備で八段階調整。

世界で絶賛された1098を引き継ぐ無難な展開で相変わらず人気だったんですが、ここで少し転機が訪れます・・・それはSBKからの(ワークス)撤退です。

DUCATI2009

要因となったのはリーマン・ショックによる不況。

ドゥカティは2002年からMotoGPにも参戦していたんですが、不況による業績悪化から予算をイケイケだったMotoGPに絞る決断をしました。

DUCATI ケーシー・ストーナー

更に2012年にはアウディ傘下に。

アウディはVW傘下だから

【VW&ポルシェ】>【ランボルギーニ&アウディ】>【ドゥカティ】

という事になりますね。

ドゥカティを孫扱いするVW恐るべし。

1198S

さて・・・もうグレードの違いを書くのも面倒臭くなってきたのでソコらへんは各々で調べてもらうとして少し小話をします。

日産のGT-Rを造った水野さんという方がこんな話をされていました。

GT-R

「ブランドは武器だけど、時代の進化を止めてしまうという恐ろしさも持っている。」

これは水平対向RRにこだわる某メーカーに対しての発言だったんですが、これはドゥカティにも同じことが言えると思います。

・Lツイン

・デスモドロミック

・トラスフレーム

・片持ちスイングアーム

・乾式クラッチ

・ピボットレス

そして

・916を継承したデザイン

1198ディメンション

ドゥカティが工業製品として見たときにお世辞にも優れた物とは言えないにも関わらず、人気があって売れるのはこういった芸術性というかブランドがあるからでしょう。

例えばその一つであるLツイン。

単純にレースで勝つためだけを考えればLツインなんて捨てて直四なりV4なりにしたほうが遥かに良い話。

元々Lツインというのは一番熱くなるヘッドを効果的に冷やすため、つまり空冷時代に生まれたアイディア。

Lツイン

しかし時代は水冷、そうなるとL型のデメリット”前輪荷重不足”が顕著に目立つようになる。

V型の弱点は前輪荷重が不足しがちになってしまう事。これは前方に伸びるシリンダーのせいでクランクを前に寄せられないからです。

L字二気筒

ましてほぼ前方に伸びるL型になると尚の事エンジンを前に寄せられない。

どんどんビッグボアショートストロークになっていったのも、リア周りにカーボンやマグネシウムなどを奢っているのも前輪荷重割合を少しでも増やすため。

それでも一番重いエンジン(クランク)が寄せられないので限界がある。

1198SP

「ドゥカティはハンドリングが独特で難しい」

って聞いた事があると思います。これがその現れ。

良く言えばハンドリングが軽い、悪く言えばフロントがおぼつかず曲がり難い。

でもLツインを始めとしたそれらがブランドに直結しているから簡単には止められない。定石を外してしまうと999の二の舞どころか、それ以上になるのは目に見えているわけですから。

1198R

「ブランドが進化を止めてしまう」

というのはこういう事。

反対に日本車は多気筒が良いと分かれば多気筒化し、V型が良いと分かればV型にも簡単に変える身軽さを持ってる。

でもその代償としてドゥカティの様な付加価値は付かないし築かれない。

一概にどちらが良くてどちらが悪いと言えないですよね。ブランドって難しい。

1198

まあでも一つ言えるのはドゥカティのスーパーバイクは高級車の部類に入るから

「日本車と違って贅沢で自由に造れるからいいよな」

と思われがちだけど、速いだけでは許されない制約の多さに実は一番苦悩しているのではないかと。

エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:1198cc
最高出力:
170ps/9750rpm
最大トルク:
13.4kg-m/8000rpm
車体重量:171kg(乾)
※スペックはEU仕様

種類一覧
ドゥカティ851シリーズ1988年
851 SERIES
ドゥカティ888シリーズ1991年
888 SERIES
ドゥカティ916シリーズ1993年
916 SERIES
ドゥカティ996シリーズ1999年
996 SERIES
ドゥカティ998シリーズ2002年
998 SERIES
ドゥカティ999シリーズ2003年
999 SERIES
ドゥカティ1098シリーズ2007年
1098 SERIES
ドゥカティ1198シリーズ2009年
1198 SERIES
1199パニガーレ2012年
1199Panigale
1299パニガーレ2015年
1299Panigale
パニガーレV42018年
Panigale V4

1098series -since 2007-

1098

999の不評もあり現代版916の様な姿となった1098シリーズ。

デザインを担当したのはジャンアンドレア・ファブロという方。

ドゥカティ内で

「916の流れを伝統(継承)化した方がいい」

という意見で一致する事になりこうなった背景があります。

1098モック

999とは対照的に1098は両持ちスイングアームで進んでいたよう。

このモデルでフレームも新たに作り直され、エンジンも999Rで培ったテスタストレッタの改良型テスタストレッタ・エボルツィオーネになりました。

テスタストレッタ・エボルツィオーネ

エボルツィオーネ(Evoluzione:進化)って無駄に言いたくなる響きですね。

日本語だと『進化した狭い頭』だから何もカッコよくないんですが。

そんなエボルツィオーネ最大の特徴はボア径がとうとう104mmと大台を超えた事。

後に追加されるホモロゲモデル1098R(1998cc)に至っては更に拡大され106mmに。

回転数が落とされているとはいえ、よくコンロッドが千切れないなって話。大きくなったらそれだけ重くなりますからね。

TSE

ちなみに

「ドゥカティはエンジンがすぐ掛からなくなる」

と言われているのはこの無茶なビッグピストンと狭い頭(高圧縮)による始動性の悪さが大半の原因だったりします。

1098ディメンション

四気筒勢に対抗するのはここまでしないと難しいんでしょうね。

ちなみにそのSBKのレギュレーションは四気筒も二気筒も1000ccまでだったのに排気量が1099cc(ホモロゲは1198cc)になったもんだから

「SBKに出れないじゃん」

と言われたんですが、ひと月も経たずにレギュレーションが二気筒は1200ccまでに改定されました。

これは

「SBK皆勤賞のドゥカティが脅した」

という見解もあれば、事前にリークされていたという見解もあって真意は分かりません。

1198R

でも排気量アップと引き換えに改造範囲が更に厳しくなったので一概に有利になったとは言い切れない部分があります。

そんな1098ですが、最初にも言ったように916のリボーンだと非常に人気が出ました。

販売台数もV字回復し年間販売台数は五万台を突破。

1098R

正に

「スクーターの様に売れたよ」

と言わしめた916の再来となったわけです。

エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:1099cc
最高出力:160ps/9750rpm
最大トルク:12.5kg-m/8000rpm
車体重量:173kg(乾)
※スペックはEU仕様の無印

種類一覧
ドゥカティ851シリーズ1988年
851 SERIES
ドゥカティ888シリーズ1991年
888 SERIES
ドゥカティ916シリーズ1993年
916 SERIES
ドゥカティ996シリーズ1999年
996 SERIES
ドゥカティ998シリーズ2002年
998 SERIES
ドゥカティ999シリーズ2003年
999 SERIES
ドゥカティ1098シリーズ2007年
1098 SERIES
ドゥカティ1198シリーズ2009年
1198 SERIES
1199パニガーレ2012年
1199Panigale
1299パニガーレ2015年
1299Panigale
パニガーレV42018年
Panigale V4

999series -since 2003-

999

デザインが大変貌した999シリーズ。

もはや伝統と化していた916系から全く別物に変わったため様々な波紋を呼びました。

ピエール・テルブランチ

デザインを担当されたのはカジバではなくドゥカティに所属していた南アフリカ出身のピエール・テルブランチさん。

実はこの少し前にドゥカティはカジバから離れ、テキサスパシフィック(元TPGキャピタル)という投資ファンドが親会社となっています。

2003年ドゥカティ

916やモンスターの大ヒットでイケイケだったドゥカティが高く売れるとして、経営が苦しくなっていたカジバが売りに出した形。

そんな916をデザインしたタンブリーニ公認デザイナーであるテルブランチ作999ですが、両持ちスイングアームや縦目二眼などを見ても分かるよう明らかに916の流れを否定するようなデザイン。

999プロトタイプ

最初は片持で話が進んでいたんですが、部品点数の削減などの問題もあり両持ちに変更された経緯があります。

まあこれも流れを断ち切る狙いが少なからず影響しているんでしょうね。

これが出た時はそりゃもう称賛否両論雨あられでした・・・というか、どちらかと言うと否定的な意見が多かったです。

999

売れ行きも乏しく値下げまでされる始末。

もう世界中のあちこちで批判されたんですが、個人的にはちょっと可哀想だなと思います。

ドゥカティ999

人気が無いだけだったら残念だったねで済むんですが、この999はスーパーバイクの存在意義であるSBKにおいて三度もの優勝を飾っている。

要するにスーパーバイクの名に恥じぬ速さと結果を残しているんです。

999のシャーシ

市販のストリート版も改良を重ね続けてきた先代998がベースなので性能の評判も悪くない。2005以降のモデルではスイングアーム補強や新設計のチタンバルブエンジンやらの改良まで入りました。

名実ともにスーパーバイクの名に恥じぬマシンだった999。

にも関わらず人気が出なかった・・・何故なら

999s

「916っぽくないから」

結局皆が求めているのは916であってスーパーバイクではないって事ですね。

間違ってもドゥカティ自体が999を失敗作だと思ってるわけじゃないですよ。それに999はそれまでスーパーバイクに興味を示さなかった人が振り向いた怪我の功名の様な部分もあるわけで。

999カタログ写真

ただ改めて振り返ってみるとレース結果と人気にズレが生じ始めたのはこの頃からだったのかも。

エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:999cc
最高出力:124ps/9500rpm
最大トルク:10.4kg-m/8000rpm
車体重量:199kg(乾)
※スペックはEU仕様の無印

種類一覧
ドゥカティ851シリーズ1988年
851 SERIES
ドゥカティ888シリーズ1991年
888 SERIES
ドゥカティ916シリーズ1993年
916 SERIES
ドゥカティ996シリーズ1999年
996 SERIES
ドゥカティ998シリーズ2002年
998 SERIES
ドゥカティ999シリーズ2003年
999 SERIES
ドゥカティ1098シリーズ2007年
1098 SERIES
ドゥカティ1198シリーズ2009年
1198 SERIES
1199パニガーレ2012年
1199Panigale
1299パニガーレ2015年
1299Panigale
パニガーレV42018年
Panigale V4

998series -since 2002-

998

先に紹介した996Rのフィードバックである998シリーズ。

大台の100mmボアとなったテスタストレッタエンジンの始まりであり、916系として最後のスーパーバイクになります。

998

テスタ(頭)+ストレッタ(狭い)=テスタストレッタ。

頭というのはヘッドのことで、バルブ核を狭くし燃焼室をコンパクト化した事が語源です。

998はマトリックスに登場したので覚えている人も多いのではないかと。

ちなみにそのマトリックスエディションも登場しました。

998マトリックス

実はこれ限定モデルとはまた違った意味で非常にレア。というのもこれは二人乗り仕様だから。

元々ドゥカティは一人乗り用の”モノポスト”と二人乗れる”ビポスト”があるんですが、日本に入ってくるモデルは基本的にモノポストだけだった。

998リア

ただこのマトリックスエディションは映画のシーンで二人乗りしている事からもビポストだけ。だから日本に入ってきたのもビポストだけ。

数少ない二人乗り仕様スーパーバイクなわけです。

2002年ドゥカティ

ちなみにRモデルは通例通り排気量が999ccまで上げられた別エンジンの豪華モデル。

最初にも言った通り998は916系の最後になるんだけど、次が一年ほどで登場したためモデルライフは意外にも短いものでした。

998ファイナルエディション

そのためか、今でも高値安定だったりします。

エンジン:水冷4サイクルDOHC L型二気筒
排気量:998cc
最高出力:
123ps/9500rpm
最大トルク:
9.8kg-m/8000rpm
車体重量:198kg(乾)
※スペックはEU仕様の無印

種類一覧
ドゥカティ851シリーズ1988年
851 SERIES
ドゥカティ888シリーズ1991年
888 SERIES
ドゥカティ916シリーズ1993年
916 SERIES
ドゥカティ996シリーズ1999年
996 SERIES
ドゥカティ998シリーズ2002年
998 SERIES
ドゥカティ999シリーズ2003年
999 SERIES
ドゥカティ1098シリーズ2007年
1098 SERIES
ドゥカティ1198シリーズ2009年
1198 SERIES
1199パニガーレ2012年
1199Panigale
1299パニガーレ2015年
1299Panigale
パニガーレV42018年
Panigale V4

S1000RR (0507) -since 2009-

2009S1000RR

「Welcome to planet power.」

BMW初のスーパースポーツとなるS1000RR/0507型がデビューしたのは2009年のこと。

デビューと言っても最初は市販車としてではなくWSB(市販車レース)という順番が逆のような鮮烈デビュー。

S1000RR

市販予定車という名目で出場したわけですが、そりゃもう世界中が大注目しました。

BMWのバイクと言えば

・水平対向エンジン

・独特なサスペンション構造

・シャフトドライブ

というロードレースには向かないバイクが主力で、BMW自身もずっと

「ロードレースに興味なし。それはウチ(BMW Motorrad)だけじゃなくファンもそうだろう。」

と言い続けてきたわけですから。

しかしスーパースポーツのあまりの加熱っぷりに遂に重い腰をあげたというわけ。

S1000RRラフスケッチ

コンセプトデザインの日付が最もスーパースポーツ人気が高まっていた2006となっている事から見ても疑いようが無いかと。

そう考えると2010年の市販化は少し遅い様な・・・リーマンショックの影響ですかね。

ちなみにデザイナーはスウェーデンの人でイメージはシャークカウルを見れば分かる通りサメです。

まあそんな事より車体ですが

S1000RRネイキッド

・アルミツインスパーフレーム

・三軸三角レイアウト直四エンジン

・マフラーを避ける湾曲スイングアーム

・テレスコピック&リンクサス

・チェーンドライブ

などなどエンブレムがなかったからBMWとは分からない、言ってしまえば日本のスーパースポーツそのものな造り。

S1000RR_wall

実際これを開発する際にCBR1000RRとGSX-R1000を参考にしたんだそう。

ただ流石BMWというべきか、処女作なのにとてつもないスペックで世間を賑わせました。

可変ファンネルやスロットルバイワイヤ(電スロ)でクラストップとなる193馬力を叩き出すエンジンに、初っ端からでトラクションコントロールシステムやABSなどを装備。

(※TCS/ABSはプレミアムラインのみなものの日本はプレミアムラインのみ)

2009S1000RRカタログ写真

「まあウチが本気出せばこんなもんよ」

と言わんばかりなスペック。

ではもっと具体的に何が凄いのかと少しご紹介。

S1000RRの凄い所その1

「クラス1のショートストロークエンジン」

エンジン

S1000RRのボアストロークは80mm×49.7mm。

これはリッター四気筒の中では最もビッグボアな超ショートストロークエンジン。

エンジンイラスト

この技術にはF1や、2000年代半ばにMotoGP参戦を目論み開発していたマシンの技術が使わているそう。

当時のスポーツバイクとしては珍しいロッカーアーム式を採用している事がちょっと話題になりましたね。

S1000RRの凄い所その2

「クラス1のフロントフォーク径」

フロントフォーク

一般的なリッターSSがΦ43なのに対しΦ46というこれまたクラストップとなる極太フロントフォーク。

どんなスピードでも負けない高剛性で正確にストロークさせるという完全にサーキットしか見てない足。

S1000RRの凄い所その3

「クラス1の軽さ」

最軽量

マグネシウムヘッドカバー、アルミ製のタンクやステップ周り、専用ホイールにチタンサイレンサーなどで当時としては最軽量となる装備重量204kgという軽さ。

S1000RR日本仕様

ちなみに日本では規制の関係からアクラポビッチのロングサイレンサーが標準装備という嬉しい変更でした。

そのぶん馬力は153馬力と落とされてるんだけどカプラ一つでゴニョゴニョ。

そんな多数のクラスナンバーワン要素を引き下げて登場したS1000RRだったんですが・・・一番話題になったのはやっぱりコレ。

アシンメトリー

左右非対称、アシンメトリーな顔ですね。

ある意味もっともBMWらしい部分。

そんなS1000RRは改造範囲が狭いスーパーストック1000というクラスにおいて、フル参戦初年度にあたる2009年に10戦中9勝という文句なしの成績で優勝。

スーパーストック1000仕様

「WSB(ワールドスーパーバイク)に黒船がやってきた」

とユーザーだけでなく、レース業界にも一石を投じる結果となりました。

主要諸元
全長/幅/高 2056/826/1138mm
シート高 820mm
車軸距離 1432mm
車体重量 204kg(装)
燃料消費率 17.5m/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 999cc
最高出力 156ps/10000rpm
<193ps/13000rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10000rpm
<11.4kg-m/9750rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/55ZR17
バッテリー ETZ10-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9D-J
推奨オイル Castrol Power 1 Racing SAE 5W-40, API SL /
JASO MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前17|リア44
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 1,690,000円(税込)
[1,990,000円(税込)]
※<>内はEU仕様
※[]内はプレミアムライン
系譜図
S1000RR

2009年
S1000RR
(0507)

S1000RR

2012年
S1000RR/HP4
(0524/0D01)

2015S1000RR

2015年
S1000RR
(0D10)

2017S1000RR

2017年
1000RR/HP4Race
(0D50/0E31)

2019S1000RR

2019年
S1000RR
(0E21)

RSV4 Ver.1  -since 2009-

RSV4

2009年にアプリリアが

「これでSBKにまた参戦する!」

と言って出してきたのがRSV4。

SBKのレギュレーションを睨みそれまでのVツインを捨てV4へと生まれ変わったRSV。

アプリリアSBK復帰

正しく言うならRSV4Rなんですが、そのRSV4最大の特徴は何と言ってもそのエンジン。

V4だから?いえいえそれだけではありません。先代までのVツインが挟角60度と異例の狭さだったのに対してRSV4のV4エンジンも65度と非常に狭いこと。

同じV4を作っているホンダのVFRは800が90度で1200が75度。MotoGP車両のRCVでも最も狭い時期でも同じく75度。ドゥカティに至ってはずっと90度。

RSV4エンジン

こう書けば65度がいかに狭いか分かってもらえるかな。 ちなみに爆発間隔は0°→180°→425°→605°

だからV4なんだけどVツインのようなワイルドなドコドコ感。スンゴイ回るハーレーエンジン的な。

RSV4フェイス

顔の方も今ではもう三眼といえばアプリリアと言われるほど定着したものになりましたね。

しかしそれより何よりRSV4と言えばワークス参戦2年目の2010年に念願だったSBK総合優勝を果たしました。

しかもライダーとマニファクチャラーズのダブルタイトルという快挙。

アプリリア2010

イタリアのバイクメーカーがイタリアのライダー(ビアッジ)でダブルタイトル獲得なんだからそりゃもうイタリアは歓喜の渦ですよ。

このおかげで海外では既に

「V4=アプリリア」

という調査結果が出されるまでに。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
180ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV1000R  -since 2004-

RSV1000R

RSVシリーズとしては初めてのフルモデルチェンジ。

車名もRSV1000Rとそれまで特別仕様のみの使用されていたRモデルが標準化。

RSV1000Rエンジン

アプリリアはこのRSV1000Rでも総合優勝を果たすことが出来ず、経営がどんどん悪化して窮地に陥っていた。

でも、それでもアプリリアは諦めなかった。それが次に紹介するRSV4で遂に実るわけですね。

RSV1000R

「レース大好きなアプリリアならきっとSBKに返ってくる!」とか「アプリリアお願いだから帰ってきて」と彼方此方で言われてました。

しかし二気筒優遇措置が無くなったためか、RSV4に集中していたからか結局この1000RでSBKに参戦することはありませんでした。他のレースでは色々走ってたりしますが。

ちなみに2006年にマイナーチェンジが入って更に乗りやすくなりました。

そうそうRSV1000Rと言えばこの人ですね。

Samuela De Nardi

サムウェラ・デ・ナルディ(Samuela De Nardi)

美人すぎると日本でも話題になったイタリアの女性ライダー。しかもこの人ルックスだけじゃなくて欧州の女性選手権で表彰台に上がるレベルの速さ。

アプリリアと契約しレーサー&テストライダー&イメージキャラを努めていました。

サムウェラ・デ・ナルディ

ちなみに写真のバイクはRSV1000RのストファイバージョンのTuonoという派生バイク。

別にサムウェラを紹介したかったという下心ではないです・・・それにしても美人さんだな。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
139ps/9500rpm
最大トルク:
10.9kg-m/7500rpm
車両重量:216kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

RSV MILLE (RP型) -since 2001-

RSV MILLE後期

ほぼフルモデルチェンジといえるようなモデルチェンジをしたミレの後期。

エンジンレイアウトの変更、吸気バルブの改良などで2馬力UP・2kgDOWNとスペックが向上。

でも一番の変更点は荒削りだった前期モデルからの細部が改良され完成度が高まったこと。

RSVも豪華版としてRモデルが存在していました。

定番とも言えるオーリンズサスとブレンボキャリパーを装着したモデル。

ちなみにワイルド・スピードのバイク版映画である「トルク」で主人公が乗っていたバイクはこれです。

レースの方でも2002年は芳賀さんの乗るPlaystation2-FGFチームで善戦。

芳賀アプリリア

これまた年間成績三位という好成績を収めました。

が、アプリリアはここでSBKから撤退しMotoGPの方へと注力することに。

ちなみにこのミレも次のRSV1000Rも今どき珍しくドライサンプ方式を採用しています。

ウェットサンプとドライサンプが何か分からない人に説明すると

ウェットサンプというのはエンジン下がそのままオイルタンク(オイルパン)になっていてオイルはそこに溜まるのに対し、ドライサンプはオイルタンクがエンジンの外にあるタイプ。

ドライサンプの方がオイルによる抵抗が少ないのでパワーが出ますが、構造が複雑になるという欠点があります。

こういった所がアプリリアRSVの特徴だったりするわけですね。

60度という極端なVバンク角もそうですが、アプリリアがライバルに勝つためにしたことを一言で表すなら

”効率を捨てる事”

だったわけです。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:998cc
最高出力:
128ps/9500rpm
最大トルク:
10.5kg-m/7250pm
車両重量:215kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

F4 第二世代 -since 2009~-

第二世代F4

2009年にフルモデルチェンジ

750ccは廃止され1000ccへ一本化されました。

一般的にこの年式から第二世代と言われています。

見た目はLED化やマフラーエンドなどの細部がリファインしたくらいで大きくは変わってませんね。

マフラーエンド

かと言って古さも感じない。

完成されたデザインって事なんでしょう。奇才マッシモ・タンブリーニ恐るべしです。

ちょっとF4の話というよりMVアグスタの話ばかりしてしまったので、少しF4の中身の話を。

F4最大の特徴は「ラジアルバルブ」

ラジアルバルブ

ラジアルバルブっていうのは文字通りバルブがちょっと傾いている事。

(少しだから見ても分からないと思いますが)

トラコンとかモード切り替えとかそこら辺の機能はF4でわざわざ説明する必要もないかと思うので割愛。

先にも話したけどF4のエンジンはフェラーリのエンジニアが作った物ということで当然ながらラジアルバルブもフェラーリが生み出した技術。

フェラーリ642

ラジアルバルブは吸排気口の面積を大きく取れるというメリットがある。

ただFerrariのそれとは違いF4はロッカーアームを使わない直動型のラジアルバルブ。

その開発が非常に難航したんだけど、それを救ったのはなんと当時ホンダのF1エンジニアだった日高義明さん。

F4にホンダの技術が入っていたとは驚きですね。

ホンダフェラーリ

MVアグスタのよってフェラーリとホンダの技術が融合って歴史的な事じゃなかろうか。

そんな紆余曲折がありつつも形となったMV AGUSTA F4は伝説になった・・・かといえばそうでもなかったです。

ライバルメーカーたち(というか日本メーカー)との競争激化で経営不振に陥ると、ハスクバーナやドゥカティといった買収していたメーカーを売却し最後にはほぼMVアグスタ一本に。

そして社名もMVアグスタに改名し元のカジバはその一部門になるという上下がひっくり返ったような会社に。

それでも不振が続いたため、買収され、売られ、捨てられと2000年代は色んなメーカーを転々としていました。

アグスタ本社前

そんなこんなでたらい回しにあっていたMVアグスタですが、2010年に売却という形で晴れて自由の身(カジバ経営)に。

そこでMVアグスタが最初に取った行動は値下げでした。

それも289万円から210万円と大幅なもの。

理由は当初は円高だと言われてましたが円安になっても値段はそれほど変わらず。

走る宝石といえど売れないとまた飼い殺しに合っちゃうからそれを防ぐためか

もっと多くの人に乗って欲しいのか公式アナウンスは無いのですが

どちらにしろハードルを下げてきたわけですね。

日本で「MVアグスタ」というとその知名度・認知度の低さからBimotaと同様に

超高級ブランドバイクと捉えられている人が多いです。

アグスタ工場

確かに安くはないですがよく考えてみてください。

ブレンボ&オーリンズのCBR1000RR SPが200万円なのに対し

ブレンボ&フェラーリエンジンのF4が220万円って超高額でしょうか?

1000RR SPと同じブレンボ&オーリンズを装備したトップグレードのF4RRでも300万円です。

安くはないですが超高級でもないですよね。ドゥカティとどっこいくらい。

むしろ一台一台職人の手によって作られているフェラーリバイクと考えれば安いと思っても不思議じゃない。

F4RR

フェラーリエンジンですよ。

マッシモ・タンブリーニが作った走る宝石ですよ。

(アフターサービスはあまり期待できませんが・・・)

最後に余談

MV500Tre

最初に言った通りMVアグスタは「サーキットの覇者」が原点です。

意外に思うかもしれませんが

再建してレース規格に沿った規格で進化してきたF4

実はレースではガチンコ(ワークス参戦)で世界と戦った事はまだありません。

このことから「アグスタなのは名前だけ(中身はカジバ)」とか「負けてる事を恐れてる」とか色々と陰口を叩かれました。

上にも書いてますが、飼い殺し状態だった事や予算の問題、当然技術的な問題など様々な理由で再建後もずっと参戦せずにいたのは事実です。

まあそれだけMVアグスタへの期待が大きいということでもありますが。

が、自由の身になって最初にしたことが値下げなら次にしたことは

F3を開発しWSB(ワールドスーパーバイク)のSSK(ミドルスーパースポーツ部門)へのワークス参戦でした。

かつてのサーキットの覇者がどれだけやれるのか、それはそれは世界が興味津々。

F3

最初はみな期待していなかったものの、実力も年を追う毎に増し僅か数年で優勝争いが出来るレベルにまで達しました。

SBK F4さらに、2015年からF4RCで待望のSBKワークス参戦が決定。

サーキット覇者の伝説が再来するのか見届けてみるのも面白いかもしれませんね。

レースがよく分からない人は「ロードレースの系譜」もどうぞ。

エンジン:水冷4サイクルDOHC4気筒(本国仕様)
排気量:998cc
最高出力:
195{201}ps
13400{13600}rpm
最大トルク:
11.3{11.6}kg-m/9600rpm
車両重量:191{190}kg(乾)
※{}内はRRモデル

系譜図
アグスタ125

1923年~
F4が生まれるまで

F4_750

1999年~
第一世代F4

F4_1000

2009年~
第二世代F4

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