BOLT/R(BP6/BS5)-since 2017-

2018BOLT

「LESS IS MORE.」

2017年からのBOLT/BP6型とBOLT-R/BS5型。Cは廃盤みたいですね。

規制に伴いABSが標準化されたほか無印の方はスポークホイールに変更。

スポークホイールBOLT

そして先に紹介したSCR950と同じく溶接処理が目立たないフランジレスタンクの採用に伴い燃料容量も1Lアップして13Lとなりました。

さてさて、大きな変更点もなく既に苦しいのでまた長々と無駄話を・・・

青BOLT

実はBOLTには多くのリクエストを頂いていたんですが、クルーザーに明るくないので後回しにしていました。

では何故ここに来て書いたのかというとハーレー系ショップの方からいろいろと話を伺った事がキッカケ。

というのもBOLTについて少しお話を伺った所、大変失礼ながら一蹴させるのかと思ったら意外な事に評価が高かった。しかもそれは普段ハーレーに乗っている顧客の間でも。

ちなみにアメリカのYoutubeなどの比較動画コメント枠などを見ても似たような感じで意外と肯定的だったります。

BOLT LESS IS MORE

では一体どうしてクルーザー通の間でBOLTがそんなに高い評価を獲得しているのかという話なんですが、これがまた面白くて

「比較的安価でノントラブルだから」

とか

「デザインが良いから」

とかいう評価かと思いきやそうじゃなかった。

BOLTが好評を得た最大の要因は

ボルトのハンドリング

「ハンドリングが素晴らしい」

という事から。

もちろんこれは偶然ではなく開発においてデザインと共に徹底して追求されたもの。

初代のページでデザイン面しか話していませんでしたが、BOLTはフロントフォークを立ててブラケットとトップブリッジを何度も何度も作り直して剛性を最適化。

BOLTのフロント

更にアンダーステアやリアブレーキ主体などリアヘビーな事から後輪中心にならざるを得ないクルーザーながら、マスフォアードにしてフロントブレーキを積極的かつ有効的に使えるようにしてある。

ウェーブディスクなのはそれを示す狙いから。

XVS950CU

BOLTはこれらによりクルーザーながら非常に素直でメリハリあるハンドリングをしています。

これがクルーザー慣れした人にとって非常に好評というわけ・・・なんですが、恐らくこれだけでは言葉足らず。

BOLTは素晴らしいハンドリングを持っている事に加えて先代でも話した

・20km/L以上という低燃費性

・ノントラブルで遠出も怖くない

・不安を生まないスリムな車体

・モリモリな力強いエンジン

・スポーティなポジションと深いバンク角

という武器を持っている。

そしてこの一つ一つが一つ一つだけのメリットではなく、素晴らしいハンドリングというメリットと掛け合わされる事で

FASTER SONS BOLT

「走るのが楽しい」

という大きな魅力を生んでいる。

これがBOLTの最大の武器であり、高い評価を獲得している理由ではないかと。

だから最後に一つ個人的な事を言わせてもらうと、BOLTはクルーザーが好きじゃない人こそ乗ってみて欲しいと思います。

2018ボルト

「バガーとかミッドコンとか知らないし、アメリカンでスポーツとか罰ゲームでしょ」

なんて思ってる人こそ乗ってみて欲しいんです。

というのも大達リーダーいわくこのBOLTのハンドリングはクルーザーではなくネイキッドに近い。それが高評価に繋がっているんですが・・・ということはネイキッドは乗り慣れてるけどクルーザーは乗り慣れていない人がBOLTに乗ったらどうでしょう。

2019BOLT-R

ピストンがいまどう動いているか感じ取れてアイドリングまでもが楽しくなる鼓動感と、低域だろうと坂道だろうとゴリゴリ進む豊かなパワー。

そして両足ベッタリで乗れてる自分になれるポジション。

ヤマハ ボルト

ネイキッドの延長線上として何の戸惑いも違和感もなく、クルーザースタイルだからこそ出せる旨味を堪能できるという事でもある。

主要諸元
全長/幅/高 2290/830/1120mm
シート高 690mm
車軸距離 2570mm
車体重量 252kg(装)
燃料消費率 21.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 941cc
最高出力 54.0ps/5500rpm
最高トルク 8.2kg-m/3000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90B19(57H)
後150/80B16(71H)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
推奨オイル ヤマルーブプレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.3L
交換時3.7L
フィルター交換時4.0L
スプロケ 前30|後70
Vベルト品番 1TP-46241-10
車体価格 961,200円(税込)
[1,006,560円(税込)]
※[]内はBOLT RスペックABS
系譜図
XVS9502009年
XVS950A
(26P/5S7)
ボルト2013年
BOLT/A/C/R
(1TP/2CY/2DX/B33)
SCR9502017年
SCR950
(BL3)
20192017年
BOLT/R
(BP6/BS5)

SCR950(BL3)-since 2017-

SCR950

「Tough Explorer」

BOLTのスクランブラースタイルとなるSCR950/BL3型。

・22.2mm径のクロスバー付きパイプハンドル

・ポジションの幅を広げる薄型ロングフラットシート

・専用リアフレーム

・フランジレスタンク

・ゼッケンプレート

・アルミリムスポークホイール

・ヘビーデューティータイヤ

・専用セッティングされたサス

などなどのカスタマイズが加わっています。

SCR950フューチャー

クルーザーベースのスクランブラーという珍しいスタイルなんですが・・・モリモリパワーなうえに車重が252kgもある事や最低地上高やホイールトラベルやクリアランスなどから

「スクランブラーじゃないだろ」

なんて声が結構聞かれました・・・世界中で。

アメリカトラックレース

ただアメリカではAFT(旧名GNC)という

『ダート版オートレース』

という大人気レースがあり日本メーカーも単気筒450cc部門などで参戦しています。

だからアメリカ人からするとSCR950はそこまで違和感がないのかも知れない。

SCR950アメリカ仕様

実際アメリカでは

『米ヤマハ×米メディア×有名ビルダー』

の協力でSCR950のトラックレーサーを製作しスーパーフーリガンというお祭りダートレースに参戦してたようですし。

SCR950スーパーフーリガン

SCR950が小さく見える・・・まあただこれはアメリカなので話を日本に戻すと、SCR950はやはり大きいのでプロモーションビデオみたいにダートをスタイリッシュに走るのは相当なテクニックがないと無理。

「ではSCR950の魅力は何処か」

と聞かれればBOLTの派生モデルらしく乗ってる姿が最高にキマっている事でしょう。

SCR950カタログ写真

というか別にスクランブラースタイルだからってダートや林道を走らなきゃいけないわけじゃないんですよ。

そもそもスクランブラーっていうのはオフロードバイクという正解がまだ存在しなかった60年代に(レースや公道などの)未舗装路を何とか走れるようにオンロードバイクを改造したのが始まり。

SCR950カタログ写真

だからもっと走れるモトクロッサーやオフロード車の誕生と共にスクランブラーは廃れていった。

つまり何が言いたいのかというと、今となってはスクランブラーはファッション性の意味合いが強いジャンルなんです。

ということはスクランブラーの正解は走破性よりも

「お洒落かどうか」

が重要なわけで、そう捉えて改めてSCR950を見てみれば大正解のスクランブラーと言えるでしょう。これだけキマってるんですから。

SCR950カタログ写真

昔を知る人なら250DTを思い出す人も多いかと。

車格の問題からか残念ながら人気も出ず僅か二年ほどで生産終了となってしまったんですが、これは逆に言うと新しくてノントラブルで乗れるお洒落な国産車であるにも関わらず

「カスタムせずとも他人と被らない」

というファッション性においてある意味では最も重要な要件を満たしているという事でもある。

主要諸元
全長/幅/高 2255/895/1170mm
シート高 830mm
車軸距離 1575mm
車体重量 252kg(装)
燃料消費率 21.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 941cc
最高出力 54.0ps/5500rpm
最高トルク 8.2kg-m/3000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90R19(57H)
後140/80R17(69H)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
推奨オイル ヤマルーブプレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.3L
交換時3.7L
フィルター交換時4.0L
スプロケ 前30|後70
Vベルト品番 1TP-46241-10
車体価格 1,060,560円(税込)
系譜図
XVS9502009年
XVS950A
(26P/5S7)
ボルト2013年
BOLT/A/C/R
(1TP/2CY/2DX/B33)
SCR9502017年
SCR950
(BL3)
20192017年
BOLT/R
(BP6/BS5)

BOLT/A/C/R(1TP/2CY/2DX/B33)-since 2013-

XVS950CU

「Ultimate Purely Bobber」

2013年に登場したヤマハの新世代クルーザーことBOLT/1TP(初年度のみ)/2CY型と写真下のBOLT-R/2DX型。

BOLT-R

Rスペックの方は

・リザーブタンク付きリアサス

・バックスキン調黒表皮シート

・切削ホイール

が追加されてたスポーツモデルです。

更に2015年からはBOLT-C/B33型も登場。

BOLT-C

・アルミクリップオンハンドル

・バックステップ

・Rより6mm長い前後サス

・新デザインシート

・Vバンクカバー

・フォークブーツ

などの変更で少しリフトアップされたカフェレーサーモデル。

さてさて、XVS950CUという正式名称からも分かる通り

赤BOLT

『XVS950Aのボバー(余計な物を極力付けない)スタイル』

と言えるわけですが、それだけで片付けてしまうとBOLTにも開発者の方にも失礼なので長々と紹介。

エンジンベースこそXVS950Aと変わらないもののそれ以外の部分はほぼ別物になっています。

XVS950AとXVS950CU

見た目からも分かる通りXVS950Aが落ち着きあるレディのような特性なのに対しBOLTは元気モリモリな野郎という感じ。

そんなBOLTのイメージコンセプトは

「シンプルでありピュアでありクリーンであること」

なんですが、これが面白い事に従来の方式とはちょっと違う方法で開発された背景があります。

ボルトのコンセプトデザイン

通常コンセプト(企画)に沿ってデザイナーが全体のディティールを決めてそれに向かって車体各部の開発者と擦り合わせて開発するんですがBOLTはそうじゃなかった。

車体各部の開発者がコンセプトを自己解釈した形から始まってるんです。要するにデザインありきではなく皆でイメージコンセプトを擦り合わせて生まれたディティールが

「スリム&コンパクトなBOLT」

というわけ。

リアビュー

だからこそ

・タンクを細くするための小型燃料ポンプ

・リア周りを細くするために21mm幅のスリムなVベルト

・低さと性能と造形を兼ね備えたリアサス

など各所に各々のこだわりが専用開発という形で見え隠れしているわけですね。

Cスペック

「そもそもなんでスリム&コンパクトに拘ったのか」

という話ですが、これがまたよく考えられています。

スリム&コンパクトになったのは理由は主に二つで、一つはピュアである事をアピールするため。

ヤマハXVS950CU

ピュアということは即ち乗りやすいという事。それを視覚でもアピールする為にスリムでコンパクトにしたんです。

BOLTを見ても乗りにくそうに見えませんよね。でも一方でハミ出したエンジンは迫力があってパワフルに見える。

この

「見ただけBOLTがどんなバイクか理解してもらう」

というのが狙い。そしてその印象は乗り出しても決して変わらない。

もう一つの狙い・・・個人的にはこれがBOLTデザインの一番の唸りポイント。

ヤマハBOLT

何度も言いますがBOLTはスリムなのでクルーザーにありがちな

「シート高は低いんだけど幅があるから足つきが悪い」

というクルーザー特有の悩みがなく数値以上に足つきはベッタリ。

身長170cmでこれだけ膝が曲がる。

BOLTのポジション

信号待ちでバレリーナにならないし、よろつかないし、おっかなびっくりにならない。

日本人でも足を踵までドッシリ付けて構える様に停まることが出来る。

ボルトの足つき

そして青になって走り出すとコンパクトでミッドコントロール(足を前ではなく下に曲げるスタイル)な事から手足が伸び切らず、気持ち前傾のスポーティなポジションに自然となる。

乗車デザイン

これらがBOLTデザインの唸りポイント。

BOLTがスリム&コンパクトに拘ったのは

「バイクを転がしてる」

という表現がピッタリな『乗っている』ではなく『走らせている』というシルエットを持たせる為にあるんです。

つまりBOLTが一番カッコよく見えるシーンは

boltのライディング

「自分が運転している時」

という事。

自分も含めて最高にカッコよく魅せてくれるというのがBOLTデザインの最大の唸りポイントなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2290/830/1120mm
シート高 690mm
車軸距離 1570mm
車体重量 247kg(装)
[251kg(装)]
燃料消費率 21.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 941cc
最高出力 52.0ps/5500rpm
最高トルク 8.2kg-m/3000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57H)
後150/80B16(71H)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
推奨オイル ヤマルーブプレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.3L
交換時3.7L
フィルター交換時4.0L
スプロケ 前30|後70
Vベルト品番 1TP-46241-00
車体価格

874,650円(税込)
{918,750円(税込)}
<977,400円(税込)>
※[]内ABSモデルは+50,000円
※{}内はBOLT-R
※<>内はBOLT-C

系譜図
XVS9502009年
XVS950A
(26P/5S7)
ボルト2013年
BOLT/A/C/R
(1TP/2CY/2DX/B33)
SCR9502017年
SCR950
(BL3)
20192017年
BOLT/R
(BP6/BS5)

SV650X(VP55B)-since 2018-

SV650X

「Riding Pleasure Unleashed」

SV650のバリエーションモデルとして2年後に登場したSV650X/VP55B型。

型式が変わっていないのを見ても分かるように基本はSV650と同じ。

SV650X壁紙

SV650をベースに角ばった専用タンクにタックロールシート、そしてビキニカウルを装備しているわけですが・・・このビキニカウルどっか見覚えあるなと思ったらコレ。

GS1200SS

これですよ。ヨシムラとタッグを組んで優勝した8耐初代王者GS1000Rのカウル。

こういうバックボーンを知っちゃうとヨシムラマフラーしかもう選択の余地がないですよね、元ネタである2016年のモーターショーで参考出品されたSV650ラリーコンセプトもそうだったし。

SV650ラリーコンセプト

ビキニカウルと繋がる様にステムヘッドからタンクまで伸びているカウルはバンディットのリミテッドも彷彿とさせるんですが、それもそのハズでチーフデザイナーの吉浦さんはバンディットもデザインされた方。

SV650コンセプトスケッチ

少し小話をすると、次に出てくるのはSVの代名詞グレードとも言えるハーフカウルのSモデルと思っていた人も多いと思います。

でもネオレトロだった。これは一重にネオレトロブームの影響。

ミドルの主戦場である欧州において

「ネイキッド=ネオレトロorストファイ」

という風潮というか人気に変わっているようです。

スズキSV650X

そんなSV650Xですが見た目をネオレトロにしただけかと言うとそうじゃない・・・コレがSV650Xの大事なポイント。

それはセパレートハンドル化とそれに伴うポジションの変更です。

SV650Xのポジション

こうやって見比べてみると分かる通り、SS程ではないにしろ前傾が強くなりました。

これはカフェレーサーを意識している面もあるんですが、それより大事な狙いがあります・・・それは

『スポーツ性の向上』

です。

そのためにフロントフォークにもイニシャルアジャスターも追加されている。

SV650サイドビュー

これの何がミソなのかって話ですが、SV650が名車である事はここまでの系譜でも散々言ってきました。

大ヒットを飛ばした事もそうですが、SV650の開発に携わった人たちの多くがSV650やV-STROM650を自らも購入し所有しているのを見ても疑いようのない事実かと思います。

そしてそれはこのSV650Xでも例外ではなく、先に紹介した三代目SV650の開発責任者である安井さんもSV650のオーナー・・・ミソなのはここ。

SV650Xのセパハンとポジションの見直しというのは、SV650を造りそしてSV650に乗っている開発者でもありオーナーでもあるSV650を誰よりも知り尽くしてる人が

SV650Xカタログ写真

「こうすれば万人受けはしないけどスポーツ走行をもっと楽しめるよね」

と考えた末の変更であり。、出来上がったのがワインディングを楽しむ事を重視したSV650Xというわけ。

だからこのモデルは既存のSV650を知っている人ほど感動するかもね。

2019年
・マフラーカバーの形状変更(パンチングレスに)
・ブレーキキャリパーが2ポットから対向4ポットに変更

2020年
・ポジションランプの追加

※無印モデル含む

参照:SV650X Development Team Member Interview(youtube)

主要諸元
全長/幅/高 2140/730/1090mm
シート高 790mm
車軸距離 1450mm
車体重量 197kg(装)
燃料消費率 26.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 76.1ps/8500rpm
最高トルク 6.5kg-m/8100rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 724,000円(税別)
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

【関連車種】

CB650F/CBR650Fの系譜MT-07の系譜V-STROM650の系譜Ninja650/Z650の系譜空冷MONSTERの系譜

SV650/A(VP55B)-since 2016-

2016SV650

「V-Twin Fun for all Riders」

EURO4規制に対応した帰ってきた三代目のSV650/VP55B型。

多分このモデルを見て新型としての衝撃を受けた人は少ないんじゃないかと思います。

目を引くことといえばグラディウスから4馬力アップしたエンジンくらいで、後はイージースタートシステムくらいだし、外見もグラディウスの外装取っ払ってシンプルな丸目にしてあるだけだから(ホントはそれだけじゃないけどね)。

SV650フレーム

でもSV650はコレでいいんですよ。

老若男女問わず、どんなシーンにもどんな用途にも応えてくれるミドルライトウェイトの第一人車なんですから。

今の欧州ミドルライトウェイトクラスを熱くしているバイクといえばヤマハのMT-07でしょう。

しかしそんなMT-07が受け入れられる土台を作ったのは紛れも無くSV650。しかもSV650は初代と先代で既にノウハウも絶大な信頼とミドルライトウェイト層を獲得しています。

そして新型SV650はABS付きでMT-07やER-6よりも安い。

向こうのバイクサイトでも

SV650Aカタログ写真

「SVを復活させる正しい判断をした!SVが帰ってきた!」

と、ちょっと言い方がアレですけど歓迎されているようです。

SV650ABS

まあ向こうの人達にとってスズキを代表するバイクといえば、HAYABUSA、GSX-R、そしてSVなわけですからSV復活が話題になるのも当然ですかね。

ただSV650が向こうで評価されている理由は出来が良くコストパフォーマンスに優れているからという理由ではありません。それは売れた理由でちょっと言葉足らず。

もちろんそれも評価の内ですが、SVが絶対的な評価を得ている理由は何回も言ってますが非常にフレンドリーかつ、ただの安物ではないVツインライトウェイトがこんな値段で買えるという事実から。

SV650イギリス仕様

『バイクの敷居を下げ多くの新しいライダーを誕生させた』

という点も評価されているんです。

正に開拓車でもはやリスペクトに近い存在というわけ。

「向こうの事なんて知らねーよ」

と思うでしょうね。

確かに向こうのことなんて知ったところでどうにもならないので知らなくていいです。でもSV650の事は知っておいてください。

SV650ABS

SV650はスズキを代表する看板車の一つ。

目新しさが無いのは

『最もピュアなV-TWIN SPORT』

としてブランドが確立しているからです。

主要諸元
全長/幅/高 2140/760/1090mm
シート高 785mm
車軸距離 1450mm
車体重量 196kg(装)
燃料消費率 26.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 76.1ps/8500rpm
最高トルク 6.5kg-m/8100rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.75L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 684,000円(税別)
系譜図
SV650前期 1999年
SV650/S(VP52A前期)
SV650後期 2003年
SV650/S(VP52A後期)
グラディウス 2009年
SFV650GLADIUS(VP55A)
2016SV650 2016年
SV650(VP55B)
SV650X 2017年
SV650X(C733A)

V-STROM650/XT(C733A)-since 2017-

2017年式V-STROM650

「The Ultimate, to Do-It-All」

モデルチェンジで長男坊1000と足並みを揃え、共通デザインとなったV-STROM650/XT。

先代にも増して怪鳥として名を馳せたDR800デザインになりましたね。

V-STROM650フェイス

ちなみに向こうではこのくちばしの事を

「DUCK BILL(アヒルのクチバシ)」

と呼んでいます。

性能面で目立つ変更点としてはABSモデルのみとなり、3段階(OFF/弱/強)のトラクションコントロールシステムが付いたこと。

V-STROM650トラクションコントロールシステム

そういえばSV650やこのV-STROM650にも採用されている”ローRPMアシスト”という機能が凄く好評なようですね。

これは自動で500rpmほど回転数を上げる機能で、回転数の落ち込みによるエンストを防いでくれます。

全く関係ないんですが”エンスト”がエンジンストールの略なのか、エンジンストップの略なのか調べたらエンジンストップ(Wikipedia)なんですね。ただ意図して止めるのをストップ、意図せず止めてしまうのはストールなので逆な気が・・・

V-STROM650スロットルバルブ

それよりも仕組みですが、ローRPMアシストはアイドリングコントロールの進化系というか副産物的な物です。

もともとアイドリング補正装置であるISCに対し、クランク・ギア・スロットル・クラッチのセンサーからの情報で発進時を判断し補正するようにしたというわけ。

ISCコントロール

つまりローRPMアシストがあればエンストする恐れがあるゼロ発進時でも回転数が落ちないのでアクセルを煽るどころか開ける必要すら無くなる。半クラの時間や使用頻度が減ります。

「エンストなんてしないから要らない」

とお思いの腕に自信をお持ちの方、ではUターンや小旋回はどうでしょう。

“ドド..ド…ガッ(エンスト)・・・ガチャン”

比較的誰もが一度は経験する転倒パターンだと思いますが、これもローRPMアシストが勝手にエンジンが粘るから防げるわけです。

V-STROM650メイドインジャパン

副産物的な物の為にGSX-R1000など要らないんじゃないかと思うバイクにも付いている機能ですが、街乗りからツーリングまで多目的に使うV-STROMにとってはかなり恩恵がある。車でいうATのクリープみたいな感じですね。

さて・・・写真だと1000との見た目の違いが倒立フォーク(1000)か正立フォーク(650)かくらいしか見当たりませんが、排気量が違うだけあって足つきや取り回しといった取っ付きやすさは650が一枚も二枚も上。乗ってみると全然違うバイクというのが分かります。

V-STROM650とV-STROM650XT

大事な車体価格も流石スズキと言うべきか、コスパまで求められるシビアなクラスなだけあってノーマルが90万円、スポークホイールとハンドル/エンジンガードの付いたXTモデルですら95万円と100万円を切る安さ。

Vストロムミーティング2017

そんなV-STROMですが、面白かったのが新型V-STROM三兄弟の展示会を兼ねたV-STROMミーティング2017にて、鈴木俊宏社長がミーティングに集ったV-STROMオーナー達に冒頭の挨拶で放った一言。

鈴木俊宏社長

当たり障りのないセールストークをするかと思いきや

「褒め言葉は要りません。気に入らない所、悪い所を教えてください。」

と仰っていました。

V-STROM650フルオプション

「今の最高を次の最高にする為に。」

V-STROM650が本領を発揮するシチュエーションは日々の日常の中にあり、その真価を一番知っているのはオーナーという事を社長までもがキッチリ理解している。

だからこそV-STROM650は本家SVを凌ぐほどの支持を獲得し、それを今も保ち続けているわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2275/835/1405mm
[2275/910/1405mm]
シート高 835mm
車軸距離 1555mm
[1560mm]
車体重量 212kg(装)
[215kg(装)]
燃料消費率 24.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 69ps/8800rpm
最高トルク 6.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59H)
後150/70R17(69H)
[前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)]
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク120
車体価格 840,000円(税別)
[880,000円(税別)]
※[]内はXTモデル
系譜図
DL650 2004年
V-STROM650
(VP54A)

Vストロム650ABS 2013年
V-STROM650/XT
(VP56A)
2017S 2017年
V-STROM650/XT
(C733A)

【関連車種】

VFRの系譜SV650の系譜Ninja650/Z650の系譜空冷MONSTERの系譜

V-STROM650/XT(VP56A)-since 2013-

現行V-STROM650

「ESCAPE ANYWHERE」

大成功を収めていたV-STROM650初のフルモデルチェンジ。これを機に日本仕様が登場しカタログ入りを果たしました。

エンジンがこれまでのSV650の物からグラディウスの物へと変更され燃費が向上。

メーター

更に可変式スクリーンや外気温が3度以下になると点灯する凍結警告灯などアドベンチャーならではの心遣いが各所に込められています。

そして翌2014年にはスポークホイールとクチバシを装備した悪路向けのXTモデルも追加。

XT

「スズキまでクチバシか」

とか思ってる人が多いかもしれませんね。

最近のクチバシ車といえばドゥカティのムルティストラーダが記憶に新しいかと。

ムルティストラーダとGS

「じゃあクチバシの元祖は?」

と問われると意外にもBMWのGSと思ってる人が多い。売れた方が正義というのはこの事か。

でもこれは間違い。クチバシを市販化した元祖はスズキです。

DR750S/800S -Since1988-

DR750S

別名「怪鳥」

ちなみにコレなんと油冷のシングルエンジン。そしてみんなクチバシクチバシと言ってるけどスズキもこれ怪鳥をイメージして作ってたみたい。

念の為に説明するとライトへの泥はね防止の効果のあるライトフェンダー。

Vストローム650XT

まあ要するにまあ要するにスズキの場合はパクリというわけではなくリボーン、復活という事です。

話がそれ過ぎですねスイマセン。

VP56A

今となってはSVを引っ張るまでに成長したV-STROM650ですが、その魅力を表すエピソードの一つが開発者の一丸智久さん。

この人はもともとbandit、HAYABUSA、そして旧V-STROM650と乗り継いで来られたんですが、この新型V-STORM650を担当し開発していく内に

「このバイク良いわ・・・」

って事で自らも購入。

V-STROM650ABS

アレコレ説明せずとも、この話だけで如何にV-STROM650が如何に良いバイクかが伝わると思います。

主要諸元
全長/幅/高 2290/835/1405mm
シート高 835mm
車軸距離 1555mm
車体重量 214kg(装)
[215kg(装)]
燃料消費率 25.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 645cc
最高出力 66ps/8800rpm
最高トルク 6.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59H)
後150/70R17(69H)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前15|後47
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 840,000円(税別)
[880,000円(税別)]
※[]内はXTモデル
系譜図
DL650 2004年
V-STROM650
(VP54A)

Vストロム650ABS 2013年
V-STROM650/XT
(VP56A)
2017S 2017年
V-STROM650/XT
(C733A)

KATANA(GT79B)-since 2019-

2019年式KATANA

「A Cut Above」

19年の時を経て復活し話題独り占め状態のKATANA/GT79B型。

カタナブランド恐るべしと言えるわけですが、型式からも分かる通り基本的にパワーユニットに関してはGSX-S1000とほぼ同じ。

GSX-S1000とKATANA「ストリートだろうがトップパフォーマーは譲らない」

というGSX-R1000譲りの148馬力エンジンで

・ブレンボキャリパー

・ABS&3モードトラコン

・ローRPMアシスト

など最新装備も変わらず。

ついでにいうと排気系も変わっていない様なのでGSX-S1000同様に社外マフラーが不要なほど良い音を出すかと。

2019刀じゃあ何処が違うのかというと説明するまでも無いけど外装ですね。

ストリートファイター感を出しつつもKATANAに見えるデザインなんですが、コレはスズキが一からデザインしたものではなくイタリアの企画がキッカケ。

『イタリアスズキ』

『モトチクリスモ(伊バイク誌)』

『フラスコーリ(伊デザイナー)』

『エンジンズEng(伊ビルダー)』

が協力して製作し2017年のミラノモーターショーに出品したKATANA3.0とよばれるモデルがベースです。

カタナ3.0※Motociclismoより

もともとスズキ(というか開発陣)は新しいカタナをメディアに問われる度に

「ベース車や技術進歩との兼ね合いで立ち上がっては満足のいくものが出来ず経ち消えになる事を繰り返している」

と話されていました。

そんな中で出てきたこの3.0がスズキの目に止まりプロジェクトが正式に本格始動。

カタナ3.0スケッチ恐らくトップダウンでの決定でしょうね。

とはいえKATANA3.0はあくまでもユーザビリティを考慮していないショーモデルなので製品化するとなるとそりゃもう大変な話なんですが、それを量販車としてここまで纏め上げたのはスズキ技術者の妙技というほかないです。

カタナのタンク中でも苦労が見て取れるのがカタナのアイデンティティでもある鋭い切れ込みが入ったコンパクトなタンク。

これほどの造形をプレスで大量生産するのは不可能なので燃料タンクの上からプラカバーを被せる形になってるんですが、問題はそれだけではなく吸気にあります。

GSX1100Sのエアクリーナーボックス先代にあたるGSX1100Sのエアクリーナーはボックスはここにあります。

それに対してKATANAはここ。

KATANAのエアクリーナーボックスこれはもともとの設計がスーパースポーツでパワーを稼ぐためダウンドラフト吸気にされているから。

こうやって見ると如何に燃料タンクの余裕が無いかが分かるかと思います。

フューエルタンク容量だから実はこのKATANAは股下の部分まで燃料タンク。そこまでやって何とか12Lの容量を稼いでる。

つまり燃料容量が少ないのもKATANAデザインを最優先にした結果なんですね。

これは細く短いシートカウル部にも言えることで、極限まで薄くするためシート下はもう本当にSSよりぎゅうぎゅう詰め。

KATANAのシート下車載工具も最小限だし、このためにバッテリーもS1000からワンサイズ小さい(背の低い)ものにわざわざ変更している。

※スズキ公式ショップブログより

経緯が経緯なだけあって正直ここまでデザイン優先で思い切りというか、割り切りの良い造りをしているのはスズキ車としてはもちろん日本車全体で見ても相当珍しい。

KATANAのフェンダーこの超ローマウントかつターンシグナル付きのフェンダーも凄い。

そんな割り切った造りをしているKATANAなんですが、もちろん見た目だけではなくファンライディングの為の配慮もあります。

スロットルグリップに備え付けられているワイヤーガイドを楕円形状にすることで開け始めは穏やかながら更に開けていくと気持ちよく吹け上がるようにした事。

カタナのハンドルそしてもう一つは唯一KATANA3.0から大きく変わった部分でもあるハンドルをアルミ製のバーハンドルした事です。

コンセプトがローハンドルだったのに対しKATANAは比較的アップライトになっています。

これは超ショートな車体に合わせる為やタンクとの干渉や容量の兼ね合いもあるんですが、一番はあくまでもストリートバイクとして前輪荷重を増して

カタナのコックピット「乗りやすさと楽しさを追求した結果」

との事。

要するに自由なポジショニングで色んなシーンでファンライディングをして欲しいという話で、合わせてサスペンションのセッティングもフロントを少し硬めに変更されています。

このハンドルを見ると中にはGSX750Sの耕運機ハンドルを思い出す人も多いかと。

GSX750Sちなみに奇遇な事に今回のKATANAハンドルに携わった三池さんは学生時代にこのGSX750Sに乗って感動したんだとか。

そう考えるともしかしてこれはGSX1100SではなくてGSX750Sの系譜なのではと思ったり・・・という冗談はさておき、このモデルが”カタナ”であることは疑いようがない事実。

その根拠は車名がそうだからという単純な話ではありません。

カタナカラーリング「生い立ちが完全にカタナだから」

です。

先代にあたるGSX1100Sは

・ドイツ誌のコンペデザインが始まり

・特異な形状のタンクに苦戦し製造方法変更

・出してみたら評価が真っ二つ

という経緯でした。

じゃあこのKATANAはどうかというと

・イタリア誌のコンペデザインが始まり

・特異な形状のタンクに苦戦しレイアウトを大幅変更

・出してみたら評価が真っ二つ

そう、面白いくらい先代と全く同じなんです。もはや後継や新生というより輪廻と言った方がいいほど同じ。

スズキカタナ違いがあるとすれば一つだけ。

このKATANAのハンドルはGSX750Sの様に法規制に対応するためのハンドルではなく15種類も試行錯誤した末に選ばれた渾身のハンドルなんですが、それでもどうしても気に入らないなら今後出るであろう社外に変える事が出来る。

2019年式KATANA当時との唯一の違いはセパハンが許されなかった

『カタナ狩り』

がもう存在しないという事です。

主要諸元
全長/幅/高 2130/835/1110mm
シート高 825mm
車軸距離 1460mm
車体重量 215kg(装)
燃料消費率 19.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 148ps/10000rpm
最高トルク 10.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正エクスター
R9000 MA2/10W-40
R7000 MA2/10W-40
R5000 MA2/10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,512,000円(税込)
系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

【関連車種】
CB1300/1100の系譜XJR1300の系譜GSX750Sの系譜DAEGの系譜

GSX-R1000/R(L7~)-since 2017-

2017年式GSX-R1000R

「The KING is Back」

実に八年ぶりとなるフルモデルチェンジとなった七代目のGSX-R1000/L7~型。

このモデルからはR1000とR1000Rの二本立て。本当はABSが付くのはGSX-R1000AなんですがABSが義務化された日本では無印がA扱い。

GSX-R1000とGSX-R1000Rの違い

LEDポジションライトの有無が分かりやすいですが両車の違いを並べると

【GSX-R1000】箇所【GSX-R1000R】
SHOWA製BPF
(ビッグピストンフォーク)
フロントフォークSHOWA製BFF
(バランスフリーフロントフォーク)
SHOWA製リアショックリアサスペンション SHOWA製BFRC-lite
(バランスフリーライト)
ピッチで判断モーショントラックブレーキシステム
(サーキット走行用ABS)
ピッチ/リーンで判断

※UP/DOWN対応クイックシフター

その他

※2019年モデルから

UP/DOWN対応クイックシフター
ローンチコントロール(回転数制御)
LEDポジションライト
黒背景LCDメーター
小型バッテリー

※ステンメッシュブレーキホース
※可変ピボットフレーム
※マフラーヒートガード形状変更

となっておりエンジンやフレームはもちろん
・ロール/ピッチ/ヨーの6軸センサーによる10段階トラコン制御
・3種類出力を選べるモードセレクターS-DMS
・Brembo製モノブロックキャリパー

などはグレード関係なく共通。

GSX-R1000R国内仕様

2019年モデルで無印もクイックシフターが付いたんですが、2017年末からETC2.0を付けた国内仕様が登場したため実質GSX-R1000Rのみの扱いとなりました。

※180km/hリミッターは2018年モデル(L8)より撤廃

この代でGSX-R1000/Rは202馬力&202kg(装)と大幅なパワーアップを果たしたんですが、それに大きく貢献したのがカムをフィンガーフォロワー式に変更したこと。

ロッカーアーム式

簡単に言うとバルブを押すカム(おにぎり上の回転物)の負担をエンジンブロック側に支点を持つアームを設ける事で緩和(軽量化)し、高回転化とリフト量の増加を可能にしている形。

SSとしては今でこそ珍しくない機構だけどスズキはこれまた他社に先駆ける形で採用しました。

フィンガーフォロワー

どうして可能だったかというとこれはMotoGPで培った技術だから。形状までMotoGPマシンGSX-RRとほぼ同じとの事。

そんなGSX-R1000/L7~型なんですが注目して欲しいのはこの装備重量でパワーウェイトレシオ1になった事よりもMotoGP技術が投入されても相変わらず全くブレなかった所にあります。

スズキはGSX-R1000/Rに関する説明でこう謳っています。

『SR-VVT』&『SET-A』&『S-TFI』

“Broad Power System”

Broad Power System

「全域パワフルシステム」

これが一体どういうことか説明していきます。

1つ目。

『SET-A(Suzuki Exhaust Tuning-Alpha)』

SET-A

これは簡単に言うとエンジン回転数に応じて目まぐるしく変わる排気の流れをエキゾーストパイプ内にバルブを設け整える事でトルクを増す機構。

どっかの豆知識で書いたと思うのでザックリ言うと、排気というのは弱い時は抜けにくい方が良くて、強い時は抜ける方が効率が良いんですね。

加えて排気脈動といってパイプ内を行き来する圧力の経路を回転数に応じて変えることで排気によって生まれる圧のタイミングによる得意不得意がある。

L7エンジン

四気筒ことさらスーパースポーツにおいては超高回転でパワーが出るように最適化しているんですが、そうするとただでさえ苦手な低回転域が吹き返しや漏れで更に苦手になる。

デュアルバタフライ

それを解消するためにエキパイを1-4/2-3とダブルで連結させたうえに可変バルブを設ける事で容量や経路を擬似的に可変式にすることで解消しているのがSET-A。

ちなみに集合後にあるのが初代から採用されてる従来型のSETで、これも同じように通路を塞ぐ事で背圧を変えたりして騒音規制をクリアする排気デバイス。

L7エキゾーストシステム

これらの機構により高回転だけでなく低回転域でも最適な排気を可能にしているという話。

次は

『S-TFI(Suzuki Top Feed Injector)』

S-TFI

いわゆるデュアルインジェクションで今まではセカンダリースロットルバルブの下に設置していたんですが、それをエアクリーナーボックスの上に付ける形に変更。

デュアルインジェクションシステム

これはワイドバイワイヤ(電子スロットル)化でメインスロットルバルブを完全な制御化に置くことでサブを廃止し、メイン一枚化によるインテーク長の短縮と、繊細なアクセルワークでも空気(混合気)の流入量を最適化しギクシャクせず豊富なトルクを生むため。

そして最後・・・これが一番の目玉。

『SR-VVT(Suzuki Racing Variable Valve Timing)』

SR-VVT

スズキマニアやバンディット250/400Vを知ってる人なら”V”という字が入ってるだけでピンと来るかもしれませんね。そう可変バルブタイミング機構。

しかしバルブリフト量を変えるVC等と違ってコチラはバルブの開閉タイミングを変えるタイプ。

仕組みは吸気カムの部分にボールの入ったガイドプレートが備え付けられていて、回転数(遠心力)に応じて中の玉が内外に動くことで吸気バルブのタイミングを早めたり遅めたりしているわけです。

VVT_ボールガイド

高回転型の四気筒は基本的にオーバーラップを多めに取っています。オーバーラップというのは吸気バルブと排気バルブがどちらも開いてる状態の事。

一つ一つを区切ってやっていたら吸気も排気も間に合わず効率が悪いからなんですが、ことさら超高回転でパワーを求められるSSはどっちも開いてる時間が大きめに設けられてる。

2017エンジンバルブピストン

しかしこれは問題があってオーバーラップを大きく取るほど低回転域が犠牲になる。せっかく流れ込んだ空気が漏れたり、せっかく吐き出した排気ガス戻ったきたりしてしまう。

そこで回転数に応じてバルブタイミングを変更することで、高回転時でも低回転時でも理想のバルブタイミングに出来るのが可変バルブタイミングでありGSX-R1000のSR-VVTというわけ。

ちなみにこれもMotoGPが800ccになった際に落ちてしまった低速トルクを何とかするために生み出された技術。

これらがBroad Power System、全域パワフルの仕組み・・・なんですが

2017GSX-R1000顔

「全域パワフルなのに低回転域の話ばっかりだな」

と思ってる人も多いんじゃないでしょうか。ここがGSX-R1000/Rのとっても大事な部分であり、一番の目玉でもある部分。

系譜を遡ってもらうと分かるのですがGSX-R1000はレース規格になろうと、馬力競争が激しくなろうと、初代K1からずっと過去一度も低回転域を犠牲にした事が無いんです。過去一度もです。

それがこの2017年型でも変わらなかった。ピストンのボアを2mmほど拡大したものの、それでもSSとしてはロングストロークエンジン。

パーツ群

MotoGPで培った技術を用いてもっとビッグボアにすれば馬力は簡単に上げる事が出来る、下を切り捨てればピークパワーをもっと稼ぐことが出来るのにそれをしなかった。それどころか低域を犠牲にしない為にMotoGP技術を投入した。

これが何故かといえばそれは散々話してきたように

「低域トルクが乗りやすさ、ひいては速さに繋がる」

というコンセプトの元に開発されているのがGSX-R1000だからです。

GSX-R1000とGSX-R1000R

ちなみにMotoGP技術を多く投入できたのはMotoGPに携わってる人が開発しているからという単純明快な理由だったりします。

普通MotoGPなどの世界最高峰レースで経験を積んだエンジニアは技術指導も兼ねて少し経ってから市販車部門に携わるんですが、スズキの場合は二足のわらじのようにMotoGPで活躍されているエンジニアが市販車を開発されている。

寺田プロジェクトリーダー

例えばこのGSX-R1000/Rのプロジェクトリーダーかつエンジン設計の寺田さんは前年までMotoGPプロジェクトリーダー&エンジン開発を担っていた凄いお方。

可変バルブを始めとしたMotoGPの技術がフィードバック出来たのは、MotoGPでその技術を開発した人がGSX-1000/Rのエンジンを開発したから。

寺田プロジェクトリーダー

GSX-RRとGSX-R1000のフレーム形状が似ているのは現MotoGPプロジェクトリーダーの佐原さんがGSX-R1000/Rの車体開発に携わったから。

もはやレプリカの域すら超える出し惜しみの無さで逆に不安にもなるんですが、スズキがMotoGPをやってる理由は市販車へ還元する事と言っていたので有言実行という話。

GSX-R1000R/GSX-RR

そんな人達が手掛けたにも関わらずコンセプトはブレなかった。

「GSX-Rの開発というだけでみんな何をすべきか分かってる」

「乗り手を不安にさせるような事を絶対にしない」

「乗り辛くするのは裏切り行為」

「ピーキーにするなんて論外」

「VVTがないと下がスカスカそんなのはお客様に失礼」

「お客様全員に”GSX-Rが一番速く走れる”と言ってもらう事が目標であり美点」

これは歴代GSX-R1000に携わった方たちのコメントなんですが、20年近くどの代でもこの考えを全員が怖いくらい共有し進化し続けてる。

スズキワールドGSX-R1000

それが見て取れるのが低域トルクを切り捨てない事だったり、車体をコンパクトにする事もだったり、シート高が低く前傾が比較的緩い事だったりする。

「初心者が最も安心して速く走れるSSはGSX-R1000」

等と雑誌で書かれる理由もここにある。

そしてそれはこの代でも変わらなかった。

これまでもこれからもカタログスペックを見比べると見劣りするかもしれない。でもGSX-R1000/Rの本当の魅力はそこには載っていないという事を知ってほしいと思います。

2019GSX-R1000

GSX-R1000/Rは限られた人しか使えない高域だけでなく、誰もが使える低域を重視し、誰でも安心して乗れるようにする事を第一に開発しているんです。

何故ならそれこそがGSX-Rであり、スズキが考える真のスーパースポーツであり、速く走れる事に繋がると考えているから。

どれだけ凄いスーパースポーツを造るかではなく

2019GSX-R1000

「どれだけ安心してもらえるスーパースポーツになれるか」

というに徹し、一切ブレず、スズキのフラッグシップとして市場動向に関係なく開発し続ける事を特例で許されているモデル。

それがGSX-R1000というライダー思いの優しいスーパースポーツなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2075/705/1145mm
シート高 825mm
車軸距離 1420mm
車体重量 202kg(装)
[203kg(装)]
<203kg(装)>
燃料消費率 16.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 202ps/13200rpm
<197ps/13200rpm>
最高トルク 11.2kg-m/10800rpm
<11.9kg-m/10800rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YT12A-BS
[YTZ10S]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスターR9000
MA2 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.1L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ525|リンク120
車体価格 1,730,000円(税別)
[2,030,000円(税別)]
<1,960,000円(税別)>
※[]内はR1000R
※モトマップ価格
※<>内は国内仕様
※国内仕様の馬力差は測定方式の違い
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)

【関連車種】
CBR1000RRの系譜YZF-R1の系譜ZX-10Rの系譜SuperBikeの系譜

GSX-R1000(L2~L6)-since 2012-

12GSX-R1000

「BRED FROM THE SAME DNA」

ブレンボキャリパーが眩しい六代目GSX-R1000のL2~L6型。

パッと見ではブレーキキャリパーとマフラーくらいしか変わってない様に見えますが、こう見えて大幅に変わってます。

まずピストンを11%もの軽量化に成功した新設計ピストンを採用すると共に圧縮比を0.1アップ。

2015エンジン

合わせてカムも見直されています・・・が、馬力は変わらず185馬力。それもそのハズこれの狙いは低速トルクの向上だから・・・どんだけブレないんだって話。

L2side

ちなみに一本出しに戻ったマフラー理由はコストと重量の削減なんですが、一番は2008年までMotoGPのエンジニアをやっていた荒瀬さんたっての希望。

GSX-R1100の頃(91年以降モデル)から二本出しが嫌いだった思いがあり、同じ轍は踏まないと執念で実現させた一本出しマフラーだったりします。

ブレンボキャリパー

エンジンを新設計しようがフレームを新設計しようがマフラーを新設計しようが

「センターアップマフラーなんて流行りもの流されたりしない」

という言葉を貫き通した事にプライドというか信念を感じますね。

あとブレンボに隠れがちなんですがディスクローターも世界初となる放熱と軽量化に優れるSUNSTARの耐熱ステンレス鋼の物でサプライヤーの熱意も変わらず。

そして2015年のL5モデルからはABSモデルを併売する形で追加。

GSX-R1000ABSモデル

これは欧州でのABS義務化への対処で、現在では日本も義務化されていますね。

ところで1985年から続く元祖スーパースポーツGSX-Rシリーズは2013年に世界累計販売台数100万台を達成しました。

GSX-Rシリーズ世界累計販売台数100万台

これはGSX-Rが一般ライダーは勿論、プライベーター達にも認められ重宝された歴史があったから成し得た偉業。

プライベーターの話はR750の方で話したのでもう書きませんが、後釜を引き受けたGSX-R1000も初代からずっとプライベーター達に重宝されています。

ちなみに100万台達成を記念して初代の発売年にちなんで1985台限定で限定カラーがGSX-R1000/R750/R600とそれぞれ発売されたんですが、GSX-R1000の記念車がこれ。

限定カラー

赤鼻といっていいのか分からない凄い配色で世間を少し騒がせました。

アメリカとか海外の方で人気があるからそっち好みにしたんだろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2045/705/1130mm
シート高 810mm
車軸距離 1405mm
車体重量 203kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 185ps/11000rpm
最高トルク 11.9kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル SAE 10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,510,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
K1/K2 2001年
GSX-R1000
(K1/K2)
K3/K4 2003年
GSX-R1000
(K3/K4)
K5/K6 2005年
GSX-R1000
(K5/K6)
K7/K8 2007年
GSX-R1000
(K7/K8)
K9/L0/L1 2009年
GSX-R1000
(K9/L0/L1)
L2 2012年
GSX-R1000
(L2~L6)
L7 2017年
GSX-R1000/A/R
(L7~)