隼 国内仕様(GX72B) -since 2014-

HAYABUSA1300国内仕様

2014年のバイクニュースで、最初に飛び込んできて大いに話題となったであろうハヤブサの国内仕様発売。

しかも骨抜き状態なそれまでの国内仕様とは違いフルパワーのCAN仕様と同じ197馬力で更にETC標準搭載という嬉しいオマケ付き。それでいて逆輸入車の様に一度海を渡らなくてもいいことから12万円も安い。

何故ハヤブサが厳しい規制を敷かれている日本で正規販売が許されたかというと自主馬力規制が撤廃されたから。

これで日本でもフルパワー仕様が堂々と買える・・・とはならないのが残念な所で、排ガス規制や騒音規制といった物をクリアできても、どれだけ技術が向上しようと避けられないのが180km/h規制。

国内仕様メーター

日本は125cc以上の国内向け自動車は180km/h以上を出してはならないという規制があります。

いくらハヤブサが世界最速の市販車だろうがギネス記録を持っていようが国内向けの製品は守らなければならない。天下のトヨタ様が作った何千万もするLFAですら守ってるんですから。

それじゃハヤブサの魅力が半減と思われるかもしれませんが、日本の公道は100km/hまでだから問題ない・・・ハズ。それが嫌なら逆輸入車を買うことです。国内仕様を買ってリミッター解除という方法はオススメ出来ません。

hayabusa壁紙

中々薄っぺらい内容になってしまった気がしますが、ハッキリ言ってハヤブサはもうホントに完成形で殿堂入りで多方で語られているから言うことがない。

これは日本だけじゃなく北米でも欧州でも・・・そしてアジアでも。

皆さんハヤブサが最近になってインドでも作られるようになった事をご存知でしょうか。

インド製ハヤブサ

正確に言うとインドでも組み立てられている。

これは完成車を日本から輸入すると高い関税が掛かる事から、部品のまま輸入しインドの工場でアジア向けに組み立てているわけ。それでも完成車は日本円で250万円ほどします。

何故そうまでしてHAYABUSAを作ってるのかといえば、向こうではおいそれと買えない事からステータス性が高い大型バイクの中でもハヤブサは別格で何よりものステータスなんです。

2018年式HAYABUSA

今となっては性能も装備もフラッグシップとは言い難い物があるにも関わらず、コレほどまでに世界中の人たちを惹き付けるHAYABUSA。

実測312km/hを叩き出し手に入れた永世最速という肩書、素行や懐の良さ、唯一無二なデザイン。

2014年式HAYABUSA1300R

本物の魅力には国境は関係ないということですね。

しかしながら熟成を図った2008年モデルを最後に10年以上が経っている為、フルモデルチェンジを待ち望んでいる人が多いのも事実でしょう・・・でも一向に出ない。

スズキは何も言いませんが、(村松さんか加藤さんの)インタビューでその理由と思しきことが書かれていたので抜粋して紹介。

hayabusaテール

”HAYABUSAの根底にあるのは最速ではない。

普段は悠々と羽を休めるように飛び、いざという時は猛スピードを出す隼のような、今までにないバイクを造りたかっただけ。

数年もすればこれより速いバイクが出てくるでしょう。でも私たちは対抗しません。

私たちは私たちの世界で私たちの造りたいバイクを造るだけです。”

hayabusa広告

ハヤブサというバイクが誕生した理由、そしてハヤブサがなかなかフルモデルチェンジをしない理由は、初代が出た20年前に既に言われていたわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2190/735/1165mm
シート高 805mm
車軸距離 1480mm
車体重量 266kg(装)
燃料消費率 17.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1340cc
最高出力 197ps/9500rpm
最高トルク 15.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,490,000円(税別)
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

HAYABUSA(GX72A後期) -since 2013-

2013GSX1300R HAYABUSA

「ULTIMATE SPORT,IN TIMELESS STYLING 」

キャリパーがトキコの6potからブレンボの4potへ変更され、ABSも標準装備となったGX72A後期型。

あとスズキの正規逆車取扱のMOTOMAPを見てみるとこの頃から車名が

『HAYABUSA1300』

から1300の文字が消えて

『HAYABUSA』

だけに。その他に目立った変更点はありません・・・二代目も非常に息が長いですね。

初代の頃も確か一度ありましたが、HAYABUSA Zという限定カラーモデルが出たりしています。

ハヤブサZ

ただ最近のZモデルは限定カラーだけでなくヨシムラのスリップオンマフラーを装着しています。さり気なくチェーンのカシメプレートまで合わせてる。残念ながら日本では取り扱わないようですが。

もう知らぬ人は居ないハヤブサですが、そのハヤブサにあやかって有名になった”隼駅”そして”隼駅まつり”なる町おこしが鳥取県八頭郡八頭町にて2009年から毎年行われています。

隼町おこし

ニュースにもなっていたりしていますが住人の理解もあり、また毎年1000台以上集まるハヤブサオーナー達もマナーが良いのか大きなトラブルもなく毎年開催されているとか。

しかもこれ何が凄いって、こういうイベントというのはだいたい年を追う毎に参加者が尻すぼみしていくものなんだけど、この隼駅まつりは毎年過去最高を記録するほど完全に恒例イベントとして定着しているんです。

ハヤブサラッピング電車

終いには隼駅を走る電車にHAYABUSAラッピング・・・自治体と企業と消費者が一体になるとここまで出来るんですね。

町おこしに使われるまでに至ったバイクなんて聞いたことない。

主要諸元
全長/幅/高 2190/735/1165mm
シート高 805mm
車軸距離 1480mm
車体重量 266kg(装)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1340cc
最高出力 197ps/9500rpm
最高トルク 15.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ530|リンク114
車体価格 1,590,000円(税別)
[1,530,000円(税別)]
※L3モトマップ価格
※[]内はUS仕様

系譜図

1986年
GSX-R1100(GU74A)
1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
1993年
GSX-R1100W(GU75A)
1999年
GSX1300R
(GW71A)
2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014年
隼 (GX72B)
2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R750(L1~)-since 2011-

11R750

「Truly A Class Of Its Own」

三年ぶりにフルモデルチェンジした十一代目GSX-R750のL1~型。

ビッグピストンフォークやBremboキャリパーなど豪華な装備が目に付きますが、一番凄いのはここに来て-8kgという大幅なダイエットをしたこと。

2013GSX-R750

重いバイクで-8kgならまだしも、既に軽く設計が古いわけでもないGSXでこれだけの減量は凄いの一言。

内約としては

・外装で3.5kg

・エンジン&フレーム&マフラーで各1kg

・その他ハーネスの長さ1mm単位でグラム単位の軽量化

などなど。

sketch

装備重量で190kgは初代より軽いんではなかろうか。

そしてもう一つ大事というか激変したのがホイールベースです。

フレーム

GSX-R750はもともとホイールベースが長く、モデルチェンジの度に短くなっていったんですが、それでも長く安定志向だった。

それが今回フレームを新設計し、スイングアームではなくメインフレームを短くする事で15mmも短縮。

ライバル並の短さになったことで、パッタンパッタン寝るクイックさが向上しました。

それともう一つ挙げておきたいのがエンジン。

L1エンジン

エンジンにも手直しが入ってるんですが、GSX-R750は軽くなった車重とは対照的に馬力トルク共にスペックは先代と変わっていません。

これはGSX-R750の場合、ピークパワーよりも中低域を重視したらチューニングを行ったからなんです。

規格外SSらしいなんとも渋い改良。

少し話がそれますが、数々のGSXシリーズに携わられたチーフエンジニアの飯尾さんが

「GSXとなるとサプライヤー(部品メーカー)の眼の色が変わる」

と面白いことを言っていました。

スズキという会社は内製の割合が小さく、多くの部品メーカーと連携するモノづくりをしています。

スズキ会長

「スズキは中小企業」

と鈴木会長が言うのはこれが理由。

スズキは入るお金も大きいけどそれだけ出て行く(サプライヤーに払う)お金も大きいんです。

しかしGSX-Rの場合これが良い方向に働いているんだそう。

なんでもサプライヤーが

「自慢の製品なので是非ともGSX-Rに」

と色んな物を持ってくるそう。

これが何故かと言うと、スズキには内製グループなどの縛りが無いから。部品選定が実力主義なんです。

だから

「そんな良いものを出してくれるのか」

と感動することが何度もあるほどGSX-Rのプロジェクトというのはプロジェクトメンバーだけでなくサプライヤーまで燃えるのが恒例だそうです。

GSX-R30周年

GSX-Rが常にトップパフォーマーだったのはこういった事も理由の一つなんでしょうね。

スズキのエンジニアが新製品発表の際にサプライヤーへの感謝の言葉を忘れないのもこれがあるから。

さて・・・2015年でGSX-R750は30年を迎えました。

30周年GSX-R750

比較的モデルライフの短い車種が多いスズキにおいて30年は文句なしの最年長。

日本ではもう600の副産物の様な扱いだけどアメリカでは

「GSX-Rといえば750だ」

という懐古的な考えを持ってる人が今でも少なくない。

ナナハンなんて日本だけの規格なのに日本よりアメリカの方がナナハンにこだわりを持ってるなんておかしな話ですよね。

歴代GSX-R750

代を重ねる毎に進化し続けるGSX-R750。

もう初代と現行では全く別のバイクになっていると思ってる人も多いでしょう。

見た目も違うしフレームも違う。油冷でもないしレースバイクでもなくなった。

2011GSX-R750

もはや初代から変わらない所なんて名前だけだと・・・でもそれは間違いです。そんなことはありません。

このGSX-R750が1985年に出てきたGSX-R750の血を引いてる事を表す部分があります。

しかもその部分はSSにとっては最重要な部分であり、変わらない事など本来なら有り得ない部分。

GSX-R750

それはボアストローク比。

初代GSX-R750は70mm×48.7mm、そしてこの十一代目GSX-R750も70mm×48.7mmです。

主要諸元
全長/幅/高 2030/710/1135mm
シート高 810mm
車軸距離 1390mm
車体重量 190kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 150ps/13200rpm
[149ps/12200rpm]
最高トルク 8.8kg-m/11200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前17|後45
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,310,000円(税別)
[1,210,000円(税別)]
※モトマップ価格
※[]内はUS仕様
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

【関連車種】
CBR600RRの系譜YZF-R6の系譜ZX-6Rの系譜DAYTONA675の系譜

GSX-S1000F(GT79A/GT79B) -since 2015-

GSX-S1000F/GT79A

「BEYOND THE SPORTBIKE」

GSX-S1000のフルカウルバージョンとなるGSX-S1000F/GT79A型。

サスペンションの減衰を少し強めている事とミラー以外はGSX-S1000とほぼ同じになります。

S1000Fデザイン

海外ではネイキッド版であるGSX-S1000が人気な一方、日本ではこのGSX-S1000Fの方が人気との事。

欧州ではストリートファイターとして評価され、日本ではハイスピードツアラーとして評価している面が強いんでしょうが、ただこれがちょっと難しい所というかGSX-S1000Fの誤解されがちな所でもある。

GSX-S1000Fカタログ写真

よくGSX-S1000Fに対する意見というか残念ポイントとして

「積載能力が意外と無い」

「快適装備が乏しい」

という声がある。

V-STROMのような純正パニアケースやアクセサリー電源などがオプションでも用意さておらず、また後付けなどを考慮した造りでもない。この事を残念がる人が結構居るし

「100万ちょっとでコスパ良いんだから仕方ない」

と思ってるオーナーも多いかと。

純正アクセサリー

これ結局なんでかっていうといま言ったように

「GSX-S1000Fをハイスピードツアラーとして見ているから」

にあるわけです・・・が、GSX-S1000Fはそういう狙いで造られたモデルじゃないという事をこの機会に是非とも知ってほしいと思います。

その気持ちは分かるんですがGSX-S1000Fというモデルは公式のPVを見れば分かる通りツアラーとして造ってない。

GSX-S1000FとGSX-R1000

「峠レベルならGSX-R1000を食える速さと楽しさを持ったフルカウルスポーツ」

というのがGSX-S1000Fなんです。

実際のところ企画段階でもキャリアやパニアをどうするかと相当議論されたそうなんですが結局は切り捨てる事にした。パニアなどを前提にするとシートフレームの補強が必須となり結果としてリアが重くなってスポーツ性が損なわれ、結果としてS1000でも話した通り

「GSXという牙が削がれる」

という事に繋がるからです。

GT79A

ヘッドライトのロー点灯が左側だけの片眼なのもそう。

ツアラーだったら少しでも明るい方が使い勝手がいいから両眼にする、でもGSX-S1000Fはツアラーじゃないから片眼。

1000Fヘッドライト

日本では片眼はあまり馴染みがなく好まれない傾向がありますが、欧州などでは片眼点灯は好まれるんですね。

何故なら欧州発祥であるバイクの祭典

『(耐久)レーサーっぽさ』

が出るから。

片眼点灯の耐久レーサー

これは消費電力の削減の狙いも少なからずあるかと・・・だってこのエンジンはギリギリまで詰めて開発されているGSX-R1000だから。

そう、何度も言いますがGSX-S1000Fには世界一速い市販車を決めるレースであるスーパーバイクにおいて2005年の王者に輝いたバイクのエンジンが載ってるんです。

何故それをツアラーと思うのか。

「中低速に振った145馬力でリニアな特性にしちゃったけど電子制御付けてるからセーフでしょ」

とかいうバイクがツアラーなわけはない。

S1000F各色

上の写真は公式のGSX-S1000Fのプロモーション写真なんですが何処か分かりますか・・・これアイリッシュ海に浮かぶマン島です。

あの公道をとんでもない速度で走って競う世界一有名なレースの聖地。なんでここを選んだのかといえばGSX-S1000Fはツアラーじゃないから。

ここを選んだ理由もこういうストリートを速く楽しく走れるバイクという事を念頭に開発されたバイクという事をアピールするためにほかならない。

「このオートバイはフェイクじゃない」

これはチーフエンジニアの佐原さんの言葉。GSX-S1000Fはツアラーじゃないし、SSのデチューンモデルでもない。

BEYOND THE SPORTBIKE

『BEYOND THE SPORTBIKE』

公道においてSSより速く、そして楽しく走れるように造られたロードゴーイングスポーツなんです。

参考
スズキGSX-Sスペシャルコンテンツ各種|GSX-S完全ファイル(ヤエスメディアムック)

主要諸元
全長/幅/高 2115/795/1180mm
シート高 810mm
車軸距離 1460mm
車体重量 214kg(装)
燃料消費率 19.2km/L
[18.7km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/10000rpm
[148ps/10000rpm]
最高トルク 10.7kg-m/9500rpm
[10.9kg-m/9500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,080,000円(税別)
[1,098,000円(税別)]
※[]内は17以降(GT79B)

年次改良

2017年:スリッパークラッチ及び3馬力アップ(GT79B型)

2019年:スロットルケーブルガイドをKATANAと同じ物に変更

系譜図
GSX-S1000 2015年
GSX-S1000
(GT79A/GT79B)
GSX-S1000F 2015年
GSX-S1000F
(GT79A/GT79B)
2001GSX-S1000 2021年
GSX-S1000
(EK1AA)
GSX-S1000gt 2022年
GSX-S1000GT
(EK1AA)

GSX-S1000(GT79A/GT79B) -since 2015-

2015GSX-S1000

「The spirit of GSX-R Ready for street」

スズキが2015年に出したGSX-S1000/GT79A型。

最初に主な特徴をあげると

・直列四気筒エンジン

・988cc/145馬力

・3モード+OFF機能付きトラコン

・ABS及びbremboモノブロックキャリパー

・シート高810mm

・多機能フルLCDメーター

などなどで、一言で表すと

『GSX-R1000のストリートバージョン』

と言えるんですが、スズキにしては珍しくスペシャルサイトを作ったりメディア露出が多かったりした事からも分かる通り、これまでにない方向性に力を入れた力作モデル。

GSX-S1000コンセプトデザイン

ロングセラーになっているのも納得という話なんですが、そこら辺を少し解説しようと思います。

ベースとなっているのは2005年に登場した今もなお名車の呼び声高いGSX-R1000のK5型。

K5ネイキッド
内部

ただこうやって並べてみると分かる通りベースとなっているのはほぼエンジンだけで、スイングアームはGSX-R1000/L2のもの、そしてメインフレームはGSX-S1000専用に開発されています。

本当はメインフレームもGSX-R1000の物をそのまま使う予定だったものの、それでは剛性が高すぎてストリートには合わないということで新設計された経緯があります。

S1000デザインスケッチ

そして同時にここにちょっとしたドラマがある。

設計開発が終わりかけた時にデザイン担当の田村さんが

「どうしても納得出来ないからもう一度設計させて」

と本来ならもう修正不可能な土壇場でまた開発をやり直してるんです。何処に納得出来なかったのかというとエンジンを固定するエンジンハンガーと呼ばれる部分。

エンジンハンガー

写真のちょうど真ん中シリンダーブロックの後ろ側。

ここはエンジンとフレームの剛性を橋渡しする非常に重要な部分。だからここを変えるということはフレームやエンジンなどメンバーを全て見直す事になる。それでも作り直すと言い出し実際にやった。

なんでそんな事したのかっていうと

「もっと美しく仕上げたい」

という理由から。そうして作り直されたのがこの起伏あるものの陰影の流れをスムーズにしているエンジンハンガー。

GSX-S1000リアショット

GSX-S1000は外装デザインはもちろんこういった細かいところにまで余念のない意匠が凝らしてある。

それだけあって手掛けたデザイナーの田村さんも

「ここまで色々こだわってデザインさせてもらったのは初めて。凄く思い入れがあるバイクになった。」

との事。

GSX-S1000フロント

まあエンブレムの位置を見れば如何にデザインにこだわったかが分かりますよね。こんなところに付けるなんて早々許される事じゃない。

そしてこれがGSX-S1000がこれまでのモデルとは明らかに違うところ。

スズキのスポーツバイクというと一にも二にも先ず

『絶対的な速さありき』

が当たり前だった。でもGSX-S1000はそういう造りをしていないんです。

これは性能面でもそうで、このGSX-S1000は低中速を太らせるというありきたりなストリート向けの改良をしていない。

エモーショナルGSX-S1000

「どれだけエモーショナルに出来るか」

という事に重点を置いて開発されてる。

例えばストリート志向にする場合カムといってエンジンのバルブを動かす部品を中低速寄りな形状(カムプロフィール)を変更するのがベター。

カムプロフィール

そうやってパワーカーブを良い塩梅に持っていくんです・・・が、GSX-S1000は違った。

「どのカム形状が1番良い音を出すか」

という事を重点に置いて開発してる。カムを変えるということは管楽器でいうところの吹き方を変えること同義なので音色がコロコロ変わるからです。

絶対的な性能を引き出す事を第一にするのではなく音質を引き出すためにカムを変えるという前代未聞な開発。そうして造られたいわば

『高音質カム』

がこのGSX-S1000には積まれてる。ちなみにエキゾーストパイプやサイレンサーなども同様です。

「それでどういう音色を出すようになったのか」

って話ですが、これはエンジンを掛けた瞬間に誰でも分かります。

S1000壁紙

誇張なしで本当に、誰でも、乗るまでもなく分かる。

何故こんな事が出来たのかといえばそれはもちろんGSX-R1000という有り余るパワーを持つエンジンがベースだったから。多少パワーを落としてもストリートなら何の問題も無かったから可能だったという話。

「じゃあ性能は大したこと無いのか」

っていうと145馬力なのを見れば分かる通りそんなことはないのは勿論のこと、性能面でもエモーションにも様々な意匠が施されてる。

例えばGSX-S1000は低域から高域までフラットにトルクが出るようにセッティングされています。それだけ聞くと面白くないと思うかも知れませんが、これはつまり開けたら開けただけ遠慮なく(溜めがなく)スコーンとパワーが出る。徐々にパワーが出るプログレッシブ(二次曲線的)な特性じゃない。

アップライトなポジションのリッターで出だしからずっと捻っただけパワーが出続けるっていうのは言葉で言うのは簡単だけどなかなかクレイジー。

GSX-S1000

スズキがGSX-S1000をヒョウ(豹)に例えているのもここにあります。

元々はもう少しストリートでの使い勝手を考えて万人受けする出力特性にする予定だったものの、その試作機を乗ってみると全くもって楽しくなかった。

「GSX-R譲りの牙が削ぎ落とされている」

という事が分かり、万人受けするストリートファイターという路線を中止。

S1000牙

「GSX-Rの牙を感じ取れるストリートモデルにしよう」

となり、捻れば捻っただけリッター相応のパワーが出るエンジンと、そんな特性を積極的に活かしてアクセルワークでコントロールするハンドリングにした。

だからこれ人によっては落ち着きがないとかアクセルワークがシビアだとか感じるかもしれない。

開発された方々も

「GSX-S1000はベテランがメインターゲット、ビギナー向けにはGSX-S750を開発した。」

と正直に話しています。

つまり逆に言うとリッター慣れしているベテランライダーにはたまらない特性という事でもある。そんなもんだから社内のジムカーナ好きからも

「これはジムカーナ最速車だ」

とか絶賛されたそう。

これがGSX-S1000が豹と言える部分であり、これまでにない方向性に力を入れた力作といえる部分。

GSX-S1000/GT79B

『俊敏かつ可憐かつ獰猛なエモーショナルバイク』

というのがGSX-S1000というわけ。

そんなGSX-S1000はそんな特性と税別100万円ちょっとというコストパフォーマンスが世界中で評価され、2018年時点で世界累計3万台超とスズキとしては本当に久しぶりとなるロングセラービッグバイクになりました。

ちなみにモチーフになってるヒョウですが、古代ローマ時代では

「芳しい香りを放ち、吸ってしまったものを魅了する」

と言われていたんだそう・・・これも本当にGSX-S1000にピッタリですよね。

スズキGSX-S1000

ふらっと寄ったショップでGSX-S1000が出す雰囲気や音に魅了されてしまいハンコを押してしまった人は間違いなく多いかと。

参考
スズキGSX-Sスペシャルコンテンツ各種|GSX-S完全ファイル(ヤエスメディアムック)

主要諸元
全長/幅/高 2115/795/1080mm
シート高 810mm
車軸距離 1460mm
車体重量 209kg(装)
燃料消費率 19.2km/L
[18.7km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/10000rpm
[148ps/10000rpm]
最高トルク 10.7kg-m/9500rpm
[10.9kg-m/9500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前17|後44
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,033,000円(税別)
[1,048,000円(税別)]
※[]内は18以降(GT79B)

年次改良

2017年:スリッパークラッチ及び3馬力アップ(GT79B型)

2019年:スロットルケーブルガイドをKATANAと同じ物に変更

系譜図
GSX-S1000 2015年
GSX-S1000
(GT79A/GT79B)
GSX-S1000F 2015年
GSX-S1000F
(GT79A/GT79B)
2001GSX-S1000 2021年
GSX-S1000
(EK1AA)
GSX-S1000gt 2022年
GSX-S1000GT
(EK1AA)

GSX-R125(DL33B)-since 2018-

GSX-R125/DL33B

「A GSX-R to Revolutionize The Lightweight Class」

GSX-S125から約三ヶ月遅れで登場したGSX-R125/DL33B型。

基本的な部分はGSX-S125/DL32B型のページで紹介した内容とほぼ同じで、相違点として上げられる要素はほぼ2つだけなのです・・・が、このたった2つの要素がSとRを大きく分ける事になっています。

GSX-R125とGSX-S125

一つは見て分かる通りフルカウルになっている事で、S125の方がサイドを張り出すような形にしてボリューム感を出しているのに対し、R125は絞り込んでコンパクトに見える形に。

これはR125の場合、前方投影面積を削ることで少しでも空気抵抗係数を減らし加速や最高速を上げる狙いのため。

GSX-R125の諸元

そしてもう一つはハンドル。

セパレートハンドル化され、ポジションが前傾姿勢のものになっています。跨ってみて結構前傾している事に驚いた人も多いかと思います。

GSX-R125とGSX-S125のポジション

これもライダーを寝かせて前方投影面積を減らすことと、荷重移動を積極的に行いやすくするため。分かりやすく言うと前輪に全てを託して高速コーナーに突っ込んでいくため。

これらの事からも分かる通りGSX-S125が街乗りからワインディングまでのスポーツに焦点を当てているのに対し、GSX-R125はワインディングからサーキットなど高速スポーツに焦点を当てています。

GSX-R125の販促

だからというか余計な話ですが、もしも初バイクやメインバイクとしてGSX-S125かGSX-R125かで悩んでいるなら間違いなくS125をオススメします。理由はS125の方がポジションの自由度が高く、街乗りからツーリングはもちろんミニサーキットまでイケる汎用性能を持っているから。

一方でR125は街乗りならまだしもツーリングなどでポジションのキツさから苦行に感じる可能性が高い・・・でもそれでこそGSX-R125。

サーキット性能

GSX-R125はスーパースポーツだからです。だからこそ、こういう短所があって当たり前。

このモデルはGSX-S125FでもないしGSX125Rでもない。

『GSX-R125』

なんです。

そしてそう名乗るに相応しい正真正銘の125トップパフォーマーになっている。

その証拠にGSX-R125の短所を短所と思わない人たち、スポーツバイクを既に何台も乗り継いでいる人たちや、いわゆるサーキット沼にハマった人たちからはベース車のベストバイとして非常に人気が出ている。

ちなみにGSX-R125の商品企画を担当された中場さんいわくGSX-R125は1991年から発売された125レーサーレプリカである

『RG125Γの再来 ※熱烈スズキGSX-Rより』

をイメージしてこのモデルを企画したとの事。とてつもない軽さと、上まで回すことで初めて無類の速さを誇る辺り、言われてみれば確かに・・・。

ただ個人的にGSX-R125が一番スーパースポーツだなと感じるのは、まだそこまでではないものの、現在進行系で深みに足を踏み入れてしまった人たちの反応だったりします。

GSX-R125のカタログ

「前傾キツいけどカッコいいから許せちゃう」

という反応。これぞ正にスズキが誇るスーパースポーツGSX-Rである証左かと。

主要諸元
全長/幅/高 2000/700/1070mm
シート高 785mm
車軸距離 1300mm
車体重量 134kg(装)
燃料消費率 44.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/10000rpm
最高トルク 1.1kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/80-17(46S)
後130/70-17(62S)
バッテリー FTZ5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EDX-9S
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ428|リンク122
車体価格 358,000円(税別)
系譜図
GSX-S125 2017年
GSX-S125
(DL32B)
GSX-R125 2018年
GSX-R125
(DL33B)

GSX-S125(DL32B)-since 2017-

GSX-S125

「The spirit of GSX-R ready for street」

2017年に登場したスズキのGSX-S125/DL32B型。

・前後17インチ
・水冷DOHC単気筒15馬力エンジン
・新設計バックボーンフレーム
・六速ミッション
・ABS標準装備
・液晶デジタルメーター

などなど紛れもなくフルスペック125といえる形で鮮烈デビューを飾りました。

GSX-S125のこのパワフルなエンジンは製造国でもあるインドネシアでスポーツモデルとして売られ絶大な人気を得ているサトリアF150というモデルに使われているものがベースになります。

サトリア150

これに使われているエンジンをベースにストロークを7.6mm下げ、メッキシリンダー加工による耐摩耗性と耐熱性を向上させたものを搭載。

これにより上までキッチリ回る

『15馬力/12000rpm』

という125としては上限とも言える馬力を叩き出す事を達成。

エンジン

ちなみになんで上限と言えるか補足すると、GSX-S125のメイン市場は日本と欧州になるんですが、欧州では125ccは15馬力が日本で言う原付免許の上限だから。

このようにエンジンは基本的に既製品を流用しコストを抑えたことで125としてトップパフォーマーを誇りつつも車体価格は約33万円と抑えた・・・だけじゃないのが凄いところ。

GSX-S125は実は15馬力エンジンに負けないくらい車体の方にコストが掛けられているんです。

フレーム

まずなんと言ってもメインフレームで、GSX-S125(と一部の国向けの150)のためだけに開発された完全新設計のバックボーンタイプという骨格を持っているわけですが、フルサイズ125にも関わらず

・装備重量でわずか133kg
・ホイールベースが1300mmと極端に短い

という尖った要素を持つ事が可能となったのは紛れもなくこれのおかげ。

諸元

250など上のクラスと車体を共有するのではなく

「専用フレームをわざわざ新設計したから」

にあります。

これだけホイールベースが短いにも関わらずクイックさはそのままに17インチらしい素直な操安性を確保しているのも、そしてシートがかなり絞られ脚付きやポジションが悪くないのも全ては専用フレームありきで開発されたからという理由が大きい。

更にダメ押しとなるのが、クイックさと操安性を両立させるためダンロップと協力し専用タイヤ(D102)まで開発し、それを支えるリアサスペンションもこのクラスとしては非常に珍しくリンク式サスペンションを採用。

リンク式サスペンション

DOHCの15馬力エンジンに専用フレームで、リンク式モノサスで17インチにも関わらず133kgと相当軽い。

『お下がりじゃない17インチ125スポーツ』

と言える本当に文句のつけようが無い125。それでいて車体価格が35万円程度というのは流石スズキ。

初っ端にして全力、気合入れすぎとさえ言えるもので、どうしてここまでのモデルを用意したのかって話。アジアで需要が増しているレースを含む市販車スポーツ需要(あっちは主に150)に応えるためだろうと思っていたんですが、理由はそれだけではなく答えの一つは装備にありました。

電装系

GSX-S125はLEDヘッドライトはもちろん、メーターもフル液晶ディスプレイ。加えて立派なアンダーカウルまで標準装備されている。正直ここまでの装備は不要じゃないのかとさえ思えるんですが、何故そこまでしたのかというと

カタログ写真

「俺はGSX-S125を買うんだ」

と言いながら開発していたメンバーが、車体設計を始め多く居たからという単純な話。※GSX-S完全ファイルより

主要諸元
全長/幅/高 2000/745/1035mm
シート高 785mm
車軸距離 1300mm
車体重量 133kg(装)
燃料消費率 44.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 15ps/10000rpm
最高トルク 1.1kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/80-17(46S)
後130/70-17(62S)
バッテリー FTZ5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EDX-9S
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ428|リンク122
車体価格 328,000円(税別)
系譜図
GSX-S125 2017年
GSX-S125
(DL32B)
GSX-R125 2018年
GSX-R125
(DL33B)

GSX250R(DN11A)-since 2017-

GSX250R

「アーバンストリート」

スズキから発売されたGSX250R/DN11A型。

最初に見た時はGSR250にSSルックなカウルを被せただけかと思ったけど、結構色々と変更されたようで。

・有機的なカウル

・ヘッドライト(ポジションとテールはLED)

・セパレートハンドルとシート

などを見ても分かる通りGSXシリーズの流れを汲んでいて中々スポーティに仕上がっています。

GSX250R

ポジションもGSRに比べると結構前傾気味な。

まあこれはFがかなりアップライトなのもあるので程よい感じ。

メーターもかなり頑張っており

・ギアポジ

・シフトインジケーター

・オイルチェンジ

・燃費計

・時計

GSX250Rメーター

といったかなり多機能なフルデジタルメーター。

足回りも専用フロントフォークに7段階調整式リヤサスにペタルディスク。そして航続距離500kmを可能とした15Lのガソリンタンク。

GSX250Rマフラー

更にマフラーを一本出し化してセンタースタンドも取っ払ったおかげでGSR250F比で-11kgという大減量。

それなのに車体価格はFに+1万円ちょっととかなり抑えてる。

正直GSR250F買った人が少し気の毒にもなる。まあ快適性や長距離などのツアラー性能はアッチのほうが上だけどね。

カタログ的な事はこれくらいでいいでしょうか・・・というのも個人的に掘り下げたい所があります。

それはエンジンというかエンジンスペック。

GSX250Rメーターまわり

GSX250RはGSR250のエンジンベースとはいえ手が加えられています。

ローラーロッカーアームにシリンダーやピストンリングの見直しでGSR250が24馬力なのに対しGSX250Rは・・・なんと24馬力。

というのもこれらの変更はフリクションロス軽減による燃費改善が狙いの改良で馬力を上げるためじゃないから。

ただそのことから

「何も変わってないじゃん」

とか

「全然スポーツじゃなくてガッカリ」

という声が多く聞こえてきて、コレは書かねばと思ったわけです。

GSX250Rエンジン

確かに自分の中で欲しいバイク像が定まっていてGSX250Rはストライクゾーンから外れているというのは分かります。

でもそうじゃない人、例えばこのGSX250Rのメインターゲットであるバイクデビューを考えてるエントリー層や、まだ右も左もよく分からないビギナー層ならこれを機に少しだけ学んで欲しいことがあります・・・それは

「必ずしも馬力が高い方が速いとは限らない」

ということです。

なるべく噛み砕いて説明したいと思います。

GSX250Rフロントとリア

GSR250もそうですがGSX250Rはロングストロークエンジンで低速トルク、下を太らせたバイクです。

トルクって耳にした事くらいはあると思います。

「トルクがある」

とか

「下がスカスカ」

とかよく言われますよね。このサイトでも言ってます。

GSX250Rデザインスケッチ

凄くザックリ言うと本領発揮する回転数を上に持っていけば持っていくほど馬力は上がり、逆に下に持っていくほど馬力が下がるのがエンジンの宿命です。

そして争点はここ。

「どうしてGSX250Rは上に持っていかなかったのか」

ということなんですが、上(高回転)にピークを持っていくと下(低回転)が犠牲になってしまうんです。もちろん反対に下にピークを持っていくと上が犠牲(回らない)になります。

これは(燃焼室の)ボアストローク比というものが大きく関係していて馬力は回転数で稼ぐのが基本だから。

詳しい事は『ロングストロークとショートストロークの違い|バイク豆知識』をどうぞ

GSX250R赤

つまりGSX250Rが24馬力しかないのは下を取ったから。

だからGSX250Rは8,000rpm(回転)という低い回転数でピークパワーを発生させます。

その結果どんなバイクになったのかというと8000rpmまではGSX250Rがライバル達よりも速いんです。

GSX250R広告

「スポーツバイクは馬力!低速トルクなんて要らない!」

という考えも痛いほど分かります・・・ですが少し待ってください。

GSXシリーズの長でありスズキのフラッグシップモデルでもあるGSX-R1000というバイクがあります。

GSXR1000

レースを走る為に生まれたようなマシンで怪物的なスペックと速さを持っていますが、怖そうで難しそうな見た目に反して歴代すべて

「乗りやすいSS」

「初心者が一番速く走れるSS」

とか言われたりします。

そう言われる最大の理由は

「SSなのに低速トルクがあるから」

です。

下が全く無い高回転型エンジンというのはコーナーでも最適なギアチェンやブリッピングをして高い回転数をキープする事で初めて速く走れる。でも反対に言うとそれが出来ないというか出来なくて当たり前な普通の人が乗ると美味しい部分を維持出来ないから遅い。

だから回転数が落ちていようがトルクに物を言わせた力技でグイグイ失速することなく走れちゃうGSXが一番速く走れると言われているんです。

GSX250R全色

GSX250R開発者の福留さんがGSRという24馬力の低速トルク重視エンジンをチューニングする際に上へ押し上げるのではなく更に下を太らせたのもこのため。

スズキのスポーツブランドであるGSXにおける考えとして

GSX250Rバナー

「低速トルクこそが速さに繋がる」

という考えがあり、それは250でも変わらないという事を示したバイクでもあるんです。

これは本当に英断だと思います。営業からセールスポイントにならないから馬力を上げろと絶対に言われたハズ。

GSX250Rサイド

それでも上ではなく下を取ったのは間違いなく排気量が限られている250においてこれが速く、そして楽しく走れるとスズキは考えたから。

スペックは高く感じないけど250スポーツバイクとしての志は高く感じるのがGSX250Rというバイク。

主要諸元
全長/幅/高 2085/740/1110mm
シート高 790mm
車軸距離 1430mm
車体重量 178kg(装)
燃料消費率 32.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8000rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 488,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

【関連車種】
CBR250/CB250の系譜YZF-R25/3の系譜Ninja250/Z250の系譜

GSR250S/F(GJ55D)-since 2014-

GSR250S

GSR250が出て二年が経った頃に登場した追加モデルのGSR250S。

大きな大きなハーフカウルを付けたモデルで防風性が桁違いに向上しました。チューリップとか言われてますね。

カウル付けただけかと思いきや実はハンドルも変更されていて無印よりも更に楽ちんなポジションに変わってます。

GSR250ポジション

実はこのGSR250Sは元々中国の広東省での公安車(GW250J)がキッカケ。

大長江GW250J

元々GSR250を作っているのは江蘇省にある常州豪爵鈴木摩托車有限公司というスズキとHaojueという現地資本との共同会社で、GSR250Jという白バイを市販化しようとして出来たのがGSR250S。

経緯はどうあれ良いですよね。

骊驰

見るからに旅バイクな感じでキマってる。右下の方に書いてある文字

「骊驰」

はGSR250(GW250)のペットネームで「リィ ツィー」と読むみたい。

GSR250Sオプション装備

向こうではSのオプションにJ仕様に近しいボックスやガードなどのオプションパーツがあるけど・・・何故日本には入ってこないのか。

GSR250F
(GJ55D)
-since 2014-

GSR250F

Sモデルから半年ほどたった頃に登場したFモデルのGSR250Fはサイドカウルまで装着したフルカウルモデル。

流れ的にはbandit1250Fと同じような感じで可愛い弟分という感じですね。車格は結構負けず劣らずな部分がありますが。

FモデルもSモデルと同様にただカウルを付けただけじゃなくてハンドル変更でポジションがちょっと変わってます。

SモデルとFモデルの比較

スクリーンの長さとハンドルのタレ角に変更が入ってて、更にFモデルはハンドルバーやトップブリッジなどのハンドル周りがブラックアウト化など。

イナズマ250F

ビルトインウィンカーといい形状といい250ccとは思えない凝ったカウルが増えましたね。

主要諸元
全長/幅/高 2145/760/1305mm
[2145/790/1255mm]
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装) ]
燃料消費率 29.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
または
U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 456,000円(税別)
[476,000円(税別)]
※スペックはSモデル
※[]内はFモデル
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)

GSR250(GJ55D)-since 2012-

GSR250

コンセプトは「QUARTER SPORT」

先代(と言えるのか微妙だけど)GSX250E KATANAから30年近く経ってから登場したスズキ久しぶりのパラツインエンジンを積んだGSR250

このバイクは元々中国向けにスズキが作ったもので、日本やEUといった先進国へのセールスに対しては消極的というかオマケだった。

GW250

ところがそんなGSR250を見た先進国ユーザー達から思わぬ反響があり、売り出したらやっぱり反響良くてグローバルモデルに昇格したというちょっと特殊な生い立ち。

ちなみに作ってるのは中国ですけど開発設計は日本です。そのせいか中国やアメリカではGW250、EUではINAZUMA250、そして日本ではGSR250と車名も多種多様。

イナズマ250

導入が先進国の中でも比較的遅かった日本に至っても反響は大きく、蓋を開けてみたら目標販売台数の二倍以上の台数を売り2013年126~250cc部門で販売台数2位というセールスを記録しました。

もともと中国向けに作られている事から

『頑丈・安い・トルクフル』

っていう実用性のツボを完璧に押さえたバイク。

ある意味ではスズキらしいコストパフォーマンスに全力なモデルなんですがそれにしても

「これは売れる」

と自信を持って送り出したGSR兄弟のB-KINGやGSR400/600は売れず

GSR兄弟

「これは売れないだろ・・・」

と思ってた末っ子のGSR250が売れたという現実は何だかな。

主要諸元
全長/幅/高 2145/760/1075mm
シート高 780mm
車軸距離 1430mm
車体重量 183kg(装)
燃料消費率 29.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
または
U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 418,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)