Bandit1250S/F(GW72A後期)-since 2015-

2015年式bandit1250s

「All Round Performer」

マイナーチェンジが入ったbandit1250の最終モデルになるGW72A後期型。

主な変更点はアイドルの回転数を調整するISC(アイドルスピードコントロール)とSモデルのハーフフェアリング造形の変更。

バンディット1250フェイス

ラジエーターまで覆い隠すほど伸びたヨーロピアンチックな物になり、エンジンとホイールに次いでハンドル周りまでブラックアウト化して引き締まった印象に。

2015年式バンディット1250F

しかし残念な事に2018年の排ガス規制強化に伴い生産終了となってしまいました。

GSX-Sの登場でお役御免という形でしょうか。

最後に少し小言。

バンディット1250はスズキのネイキッドとしては代表作と言ってもいいほどの物だったんですが、ライバル勢と比べると少し影が薄かったのも事実。

2010年式GSF1250

でもですね、そこら辺のインプレサイトでもいいし実際に乗ったことがある知人でもいいのでbandit1250の感想を聞いてみてください。

下取りが安いという事を除けば悪い意見はほぼ聞かないと思います。

このbandit1250は本当にビッグネイキッドにあるまじき乗りやすさと楽しさを兼ね備えていたんですよ。

bandit1250ファイナル

それが何故かといえば、ビッグネイキッドなのにモノサスだから。そしてビッグネイキッドなのにSSのようなコンパクトさをもったエンジンとボディだから。

2018年式bandit1250

bandit1250はビッグネイキッドであることを魅せるのではなく、ビッグネイキッドとしての走りで乗り手を魅せるバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1235mm
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 252kg(装)
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,030,000円(税別)
{1,070,000円(税別)}
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

【関連車種】
CB1300の系譜XJR1300の系譜ZRX1200DAEGの系譜

ZX-10R/RR/SE(ZX1002E/G/H)-since 2019-

2019年型ZX-10R

「CHAMPIONSHIP-PROVEN POWER」

再びフルモデルチェンジされた2019年式ZX-10R。バリエーションは先代に引き続き3バージョンです。

2019年式ZX-10R

標準モデルのZX-10R/ZX1002E型。

馬力が203馬力にまで上がってRRとSEのみだったシフトアップダウン両対応のクイックシフターを標準装備。

KRTカラーを標準モデルに用意している辺りカワサキの良心を感じますね。

2019年式ZX-10RR

コチラはレース用のホモロゲモデルとなるZX-10RR/ZX1002G型。

マルケジーニホイールとチタンコンロッドを採用し+1馬力の204馬力でシリアル付き限定500台。

ちなみに先代の時に書きそびれたんですが、何故マルケジーニかというとレースでホイール交換が禁止されたから。

2019年式ZX-10R SE

最後はマルケジーニホイールと電子制御サスペンションのZX-10R SE/ZX1002H型。

今回は新たに自己修復能力を持つ塗装であるハイリーデュラブルペイントを採用。線キズや擦りキズ程度なら一週間程度で自己修復してしまう凄い塗装。

ちなみにE-G-HとF型が飛んでるのですが恐らくレースベース車両かと。

まあそんな事よりも何が変わったのかって話ですが、馬力とトルクが上がっていることからも分かる通りバルブ駆動を直打式からロッカーアーム(フィンガーフォロワー)式に変更した事が一番の変更点。

フィンガーフォロワー

これの狙いは色々あるんですが公式アナウンスによると

「バルブを軽くするため」

にあります。

というのも従来のカムがバルブを直接叩く直打式だとタペット(リフト)といって土台が必要になる。

直打式のタペット

そしてその土台もバルブにくっついて上下に動くので質量が、要するに重くなるわけです。

対してフィンガーフォロワー式というのはザックリいうとタペットをバルブから切り離してシリンダー側に持たせることでバルブの重さを軽くしている。

フィンガーフォロワーの仕組み

カワサキが言うには20%ほど軽くなったそうです。

なんでバルブを軽くする必要があるかというと、軽くすればバルブサージングを始めとしたバルブ(スプリング)がカムの速さについて行けず異常を起こす問題が起きにくくなるから。

結果として回転数を上げることが出来るわけでこれにより最大出力の回転数が500rpm上がっています。

エンジンパフォーマンス

これには他にも色々とメリットがあるんですが、中でも大きいのがカムだけでなくこのフィンガーフォロワーのレバー比によってバルブの開閉を大きく手助けできる事があります。

バルブというのは”大きく深く長く”開けた方が良いんだけどバルブを押すカムというのは回って押すものなので限度がある。

例えば直打式で大きく深く開けようとすると極端な話こんなカムになる。

カムプロフィールの問題

しかしこうするとバルブの動きも必然的に大きく急激な物になってしまうのでバルブへの負担が増し、カムからバルブが離れてしまうリフトや勢いよく閉じた反動で再び開いてしまうバウンスといった問題が起こってしまう。

しかも直打式だと背が高くなったカムを受ける為にタペットも比例して大きく(広く)しないといけないので、それだけ重量やスペースやフリクションロスが増えてしまうわけですね。

そこでカムだけではなくフィンガーフォロワーによるレバー比も利用、文字通りカムをフォローしてもらって開閉をすることでバルブへの負担を大きくすること無く大きく深く長いバルブ駆動にすることが出来た。

カムの干渉

カワサキ曰くこれは中速トルクの改善と、レース用のハイカム(尖ったカム)を入れるとヘッドが干渉してしまう事を解消するための狙いが大きんだとか。

先代までは干渉する部分を削って無理やり入れていたんだそう。

ちなみに

「じゃあどうして今まで採用されなかったのか」

というと摩耗する問題があったから。

カムの摩耗

嫌らしいくらい摩耗しそうな感じが見て分かると思います。

ましてとんでもない回転数になるSSだと相当過酷なものになる。

これが可能となったのはDLC(ダイヤモンドライクカーボン)といって早い話が炭素コーティングが現実的なコストとなり可能になったから。

ダイヤモンドライクカーボン

このフィンガーフォロワー式を採用しているバイクはほぼ例外なくこのコーティングがされています。

さて・・・ZX-10Rは市販車最高峰レースSBKで速すぎる事から設けられたレブリミットのハンデを物ともせず2018年も世界チャンピオンになりました。

ジョナサン・レイ

これで

『メーカー&マシン&マニュファクチャラー』

の三冠を四連覇という偉業を達成。

それでも手を緩めることなくエンジンヘッドを丸ごと新設計し速さに磨きをかけたモデルチェンジとなったわけです。

サイドビュー

ただ正直に言うと今回の変更箇所であるフィンガーフォロワーというのはトンデモな改良というわけではありません。

これを採用しているSSは既に結構あり、アピールポイントとしては少し弱い。

じゃあこの2019年型ZX-10Rのアピールポイントが何かと言えば

『全く変わらなかったデザイン』

です。

2019年モデル

2019年型はクランクケースカバーがブラックになり、エンジンヘッドカバーが赤くなったくらいしか見た目の違いはありません。

そのためオートポリスで行われた新型発表会でも

「せめてメーターとハロゲンライトくらい変えろ」

という厳しい意見が海外メディアから相次ぎました。

2019年型ZX-10Rエンジン

この意見はごもっともで、せっかく新設計エンジンにしたんだから合わせてLEDヘッドライトや新形状のカウルにした方が新型アピールになり売れる・・・なのにそれをしなかった。

要するにこの2019年型ZX-10Rには

「変えるためのモデルチェンジ」

という商業的な要素が一切入っていないんです。

カワサキレーシングチーム

「勝つためのモデルチェンジ」

という先代から続く『志』を曲げずに貫き通した簡単には出来ない本当にスーパースポーツらしいピュアなモデルチェンジ。

2019年型ZX-10R

全く変わらなかったデザインこそがそれを証明する一番のアピールポイントであり、この2019年型ZX-10Rの魅力なんです。

主要諸元
全長/幅/高 2085/740/1145mm
シート高 835mm
車軸距離 1440mm
車体重量 206kg(装)
燃料消費率 16.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 203ps/13500rpm
[204ps/13500rpm]
最高トルク 11.6kg-m/11500rpm
[11.7kg-m/11500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ SILMAR9B9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.9L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,910,000円(税別)
[2,710,000円(税別)]
{2,460,000円(税別)}
※[]内はRR(ZX1002G)
※{}内はSE(ZX1002H)
主要諸元
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-10R/RR/SE(ZX1000R/S/Z/C)-since 2016-

新型10R

「GET CLOSER」

5年ぶりのフルモデルチェンジとなったS型と、ABSレスのレースベースR型。

ブイブイ言わせていたSBKのレギュレーションが

「ライド・バイ・ワイヤ(完全電スロ)の標準装備」

に変更された事を機にモデルチェンジとなったわけです。

ZX1000R

目立つ変更点はトラコンやウィリーコントロールなどBOSCHとの共同開発IMU。

更にBrembo製マスターシリンダーにモノブロックキャリパーM50、シフトアップ用のクイックシフター。

そして

「他社の10年先を行くサスペンション」

と太鼓判を押すSHOWAとの共同開発により誕生したバランスフリーフロントフォーク(以下BFF)です。

バランスフリーフロントフォーク

仕組みが分からずとも、ただならぬ雰囲気を持っているのを感じるのではないんでしょうか。

これだけ買おうと思ったら100万円近くします。

ちなみにリアサスも同様にバランスフリーなわけですが・・・じゃあ

「バランスフリーって何がフリーなの」

と思っている人も多いと思います。

SHOWAの説明ではこうなっています。

ショーワバランスフリー

なるほど・・・全然分かりませんね。

もっとシンプルかつ大胆に割愛して説明します。

まず大前提としてダンパーには抵抗のためにオイルが入っています。矢印がオイルの流れだと思って下さい。

バランスフリー仕組み

この抵抗が無いとスプリングがずっと上下に動くことになり収束しません。

いつまでもフワフワするサスがヘタってるとか抜けてるとか言われるのは、このオイルによる働きが上手くいってないからですね。

バランスフリー

そしてこれがバランスフリー。何やら複雑になってますね。

通常サスが沈み込むとCOMP室(受け側)が高圧になり、TEN室(与える側)は低圧になります。

BF仕組み

こうなる事に問題はないんですが、問題はこの後の戻る時にあります。

想像がつくと思いますが、戻る時の勢いは押す時よりも強力で勢いよく戻ります。

そうすると勢い余って戻り過ぎてしまい、若干バウンドのような挙動が出てしまう。これを”サスの遊び”と言うそうです。

そこでもう一度バランスフリーを見てみましょう。

バランスフリー

バランスフリーは伸縮によって圧が掛かって通り抜けるオイルを単に逃すのではなく、反対側の後ろへ戻してるわけです。

こうすることで伸側と縮側の圧を平衡に保つ事ができ、サスの遊びが無くなるというわけ。

BFF

平衡(バランス)を保つ(フリー)からバランスフリーサスです。

さて・・・カワサキは2013年にWSBチャンピオンに輝いた後も、手を抜くことなく2015年から2017年まで三連覇を達成。

ワールドチャンピオン

その結果、あまりにも強すぎるとしてレギュレーションが改定されました。

2017年まで15200rpmだった四気筒の回転数上限が14700rpmまでに下げられたんですが、カワサキは強すぎるので更に-600rpmというハンデが課せられました。

2017年に登場したZX-10RR(ZX1000Z)は、これらレースに対応の為に新たに出されたホモロゲーションモデルです。

ZX-10RR

簡単に言うと公式チューニングが施された特別エンジンを積んだ一人乗り専用モデルで、マルケジーニホイールまで装備。

2,532,600円で限定500台でワークスも2018年からはこのZX-10RRベースなんですが、恐ろしいことに今(※2018年R2時点)のところはハンデを物ともせずポイントリーダーに立っています。

このままだと途中から更に-250rpmのハンデが加わります。

ジョナサン・レイ

ちなみに三連覇を果たしたのはジョナサン・レイという方なんですが、なんと2018年の鈴鹿8耐にTEAM GREEN(実質ワークス)での参戦が決定。

前人未到の四連覇を目論むヤマハ(ヤマハファクトリーレーシング)と、それを阻止せんと重い腰を上げたホンダ(HRC)のワークス対決かと思いきや、カワサキもスーパーバイク世界チャンピオンをぶつけてZXR-7以来となる優勝を目指すという・・・もうこれは見るしか無いですね。

話をZX-10Rに戻します。

2018年にはRRとはまた違うZX-10R SE/ZX1002Cという2,856,600円もするSPモデルも登場。

ZX-10R SE

これはシフトアップダウン両対応のクイックシフターとマルケジーニに加えSHOWAの電子制御サス(EERA)を装備したモデル。

電子制御バランスフリーサスペンションというだけでも十二分に凄いんですが、この電子制御が凄い点は2つあります。

一つはIMUによる予測型ではなく、センサー内蔵でストローク量を実際に監視している実測型だということ。

そしてもう一つは制御がサーボモーターではなく、2倍の速さで制御出来るソレノイドバルブ制御だということ。

ZX-10RのEERA

つまり正真正銘の、私達が思う理想の電子制御サスペンションに最も近いモデルだという事。

そしてそんなサスを付けた第一号がこのZX-10R SEなんです。

ZX-10RSE壁紙

KAWASAKIとSHOWAって本当にベストパートナーなんでしょう・・・SHOWAってHONDAのグループ会社なんですけどね。

最後に・・・

ZX1000Sボディ

このR/S型を先代からのマイナーチェンジ程度に考えている人が多いんじゃないかと思います。

2018ZX-10R

そう思われてしまう最大の理由は見た目が大きく変わっていないからでしょう・・・でもそれは違いますよ。

プロジェクトリーダーの松田さんがこう仰ってました。

前後

「トラックで良いバイクというのは、ストリートでも良いバイクであると考えています。

だから”トラック最速”をコンセプトにラップタイム短縮に繋がる所『エンジン・電子制御・サス・ブレーキ』に予算を全て投じました。」

RIDEOLOGY

「デザインが変わってないのはデザインに予算を割かなかったからです。」

売るためのモデルチェンジではなく、改良するためのモデルチェンジ。重工らしい渋さですね。

主要諸元
全長/幅/高 2090/740/1145mm
シート高 835mm
車軸距離 1440mm
車体重量 206kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 200ps/13000rpm
最高トルク 11.6kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ SILMAR9B9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.9L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ525|リンク114※16年モデル
[サイズ525|リンク112]※17年モデル
車体価格 2,045,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-10R(ZX1000J/K)-since 2011-

2011年型ZX-10R

「Explore The Limit、限界への探求」

カワサキ曰く、先代までの多岐に渡る改良は全部マイナーチェンジで、これが10Rとしては初めてのフルモデルチェンジなんだそう。

まあ確かに先代F型とこのJ/K型の変化に比べれば、これまでの変更は些細と言えなくもない話。

というのもこのモデルで造りが180度変わりました。

先代との比較

従来のメインシャフトを押し下げたエンジンをバックボーンから吊り下げる様な形だった独自レイアウト(写真左)を止め、メインシャフトを押し上げた三軸レイアウトをツインスパーで挟むレイアウト(写真右)になったから。

要するにSSとしては非常にオーソドックスな形になったわけです。

Engine

このおかげで先代まで続いた牙というか棘が嘘のように乗りやすいSSになりました。

ただし、じゃあ無個性になっちゃったのかというとそうでもなく、相変わらずカワサキらしい独自色というか挑戦している箇所があります。

それはクラストップの200馬力でも、ビッグピストンフォークでも、カワサキ自慢のトラコンでもありません。

ホリゾンタルバックリンクリアサスペンション

ホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンション(Horizontal Back-link Rear Suspension)です。

長い名前ですが、要するにサスペンションを水平にしたもの。

これですね・・・実はサスとしてはあんまり良くない。

なんでもここまで寝かせてしまうと、極限状態ではトラクション感が薄れてしまうんだとか。

「じゃあなんで採用したの」

って話ですよね。

2011ZX1000J

これを採用した理由の一つはマスの集中化。

ホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションはリンクも上に付いているから下が大きく空く。

そこに大容量の触媒入りの膨張室、俗にいう弁当箱を置くことが出来る。

キャタライザー

これは重く中心から離れているサイレンサーを少しでも軽く、そして少しでも短くしてマスに近づけるため。

ZX-10Rのマフラーが小さいのは、このホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションによる弁当箱スペースの大幅確保にあるんです。

2013ZX-10R

非常に熱くなる弁当箱と離すことでリアサスを熱から守ることにも繋がり、熱ダレを防ぐメリットもあります。

ただ、一番の狙いはそれじゃない。

一番の狙いはリアサスを受け止めるアッパークロスの位置です。

アッパークロスはサスペンションからの荷重で折れたり曲がったりしないよう強くある必要がある。

アッパークロス

だから上の写真の様にメインフレームの左右に橋を架けるようになっているのが普通。

そしてこれは視点を変えるとフレームの補剛(剛性アップ)にも繋がっているわけですが、そこで問題となるのがコーナリングに大事なフレームの”しなり”です。

ZX1000JKカタログ写真

リアのスイングアームからの力はピボット(スイングアームとメインフレームの付け根)まで伝わって来る。

この時、従来の起きているリンクサスだとアッパークロス、つまり補剛部がピボットの直ぐ上にある為に簡単にはしなってくれない。

アッパークロスとピボットの位置

対してホリゾンタル・バックリンク・リアサスペンションなら、アッパークロスをピボットから離れた位置に持ってこれるからピボット部の剛性を不用意に上げる事なく柔軟に”しならせる事”ができる。

2012ZX-10R

地面を舐めるようにしなってくれるから安心してアクセルを開けられる。

多少の事は受けて止めてくれるから大きく開けていける。

このJ/K型が持っている懐の広さ、そしてオリジナリティはここにあるわけです。

オーリンズ共同開発ステアリングダンパー

更に2013年にはオーリンズのステアリングダンパーのアップグレードが行われました。

一見普通に見えるけど実はカワサキがオーリンズと共同開発の電子制御式なステダン。

そして忘れちゃいけないのは2013年にカワサキとしては初となるSBKワールドチャンピオンに輝いたということ。

サイクス10R

ZX-10Rのコンセプトであった

「サーキット性能No1」

を5代目にして遂に証明したわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2110/710/1135mm
シート高 815mm
車軸距離 1415mm
車体重量 198kg(装)
[201kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 151ps/10000rpm
{200ps/13000rpm}
最高トルク 10.8kg-m/10000rpm
{11.7kg-m/11500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ7S
[YTZ10S]
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.7L
交換時2.9L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,520,000円(税別)
[1,648,572円(税別)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1000K)
※{}内はEU仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-10R(ZX1000F)-since 2010-

10年式ZX-10R

「ニューステージへ」

ほぼ一年限りとなるZX-10R史上もっともレアなF型。

内容はマイナーチェンジに近く、見た目の内容としてはアッパーカウルが目尻に溝が入ったワンピースになり、インナーカウルを装着。

08-10比較

左がE型で右がF型。

さらにマフラー・ハンドル・ステップ、そしてシフト周りの改良が入っています。

先代でも言った通りE/F型はプロダクションタイヤ前提開発という割り切り、上級者の為のSSという立場だったからお世辞にも巷で人気とは言えなかった。

ZX1000Fパンフレット写真

でもその分、トラックユース重視の人達、要するに上級者には本当に評判が良かったです。

それは単に性能が良いから、速いからではありません。

じゃあどういう事かというと、MotoGPマシンZX-RRのエンジンを担当し、後のZX-10Rプロジェクトリーダーでもある松田さんが分かりやすく言い表していました。

ZX1000Fの顔

「F型は刀の切っ先が自分の方にも向いている諸刃の剣」

とても優れているけど、扱いを間違えると自分に返ってくる。

『予断を許さない真剣な楽しさが味わえるSS』

というわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2110/710/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1415mm
車体重量 208kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 162ps/10000rpm
最高トルク 11.5kg-m/8700rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YT12B-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.7L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 1,360,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
系譜図
GPZ750R1986年
GPX750R
(ZX750F)
ZXR7501989年
ZXR750
(ZX750H/J/L)
1996ZX-9R1994年
ZX-9R
(ZX900B)
1998ZX-9R1998年
ZX-9R
(ZX900C/D)
2000ZX-9R

2000年
ZX-9R
(ZX900E)

2002ZX-9R2002年
ZX-9R
(ZX900F)
2004ZX-10R2004年
ZX-10R
(ZX1000C)
2006ZX-10R2006年
ZX-10R
(ZX1000D)
2008ZX-10R2008年
ZX-10R
(ZX1000E)
2010ZX-10R2010年
ZX-10R
(ZX1000F)
2011ZX-10R2011年
ZX-10R
(ZX1000J/K)
2016ZX-10R2016年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1000R/S/Z/C)
2019ZX-10R2019年
ZX-10R/RR/SE
(ZX1002E/G/H)
2021ZX-10R2021年
ZX-10R/RR
(ZX1002L/N/)

ZX-14R(ZX1400E/F/G/H)-since2012-

ZX-14Rフロント

「King of Motorcycle」

2012年からのZX-14R/ZX1400E型とABSモデルのZX1400F型。

ZX-12R以来となるNinjaそしてZX-Rというネームの復活にいろんな人が湧きましたね。

今までと違い発売前から思わせぶりな宣伝を打ってきたことから相当な自信があるのだろうと思ってたら、やっぱり出てきたのは緑色な怪物でした。

ZX-14R

目立つ変更点としてはトラクションコントロールシステム。

仕組みについては1400GTRで話したので割愛しますが、ZX-14Rの場合は強弱に加えて切ることも可能な3モードタイプ。オマケというとアレだけど合わせて2つの出力特性を選べるパワーモードとスリッパークラッチも付いて安全性とスポーツ性が向上。

ZX-14Rface

見た目の方も大きなカバーレンズで覆われZX-Rに合わせた二眼のような四眼に変更されました。

エンジンはストローク量を上げるだけでなく、合わせてヘッド周りは削り出しに変更されピストンやバルブも刷新し圧縮比を向上させ全域でパワフル化。

ZX-14Rエンジン

これによって遂に非加給(ラムエア無しで)200馬力を達成。

ちなみに2016年モデルからはEURO4(排ガス規制)に対応するためキャタライザーが増設され、日本に入ってくるアジア仕様はハンドルも上げられて少し優しくなっています。

2016年ZX-14Rカタログ

写真はブレンボオーリンズ装着のハイグレードモデル。

ただZX-14Rで一番注目してほしいのは実はカタログスペックに載らない部分にあります。

ZX-14Rフレーム

一見すると変わっていないように思えるフレームは剛性が大きく見直され、それに合わせて足回りも

・サスペンションの再セッティング

・軽量化されたホイール

・10mm延長されたスイングアーム

・軽量なスリードチェーン

などなど変わっていないようで大きく変更されてある。

ZX-14Rチェーン

ZX-14Rのモデルチェンジのミソな部分は実はここ。

一見すると地味とも言えるこの変更点の狙いは何かと言うと

「軽快感を出すため」

にあるんですが、この軽快感というのがZX-14Rの裏コンセプトに繋がるんです。

メガスポーツというと世界最速が至上命題にあるわけですがZX-14Rにはもう一つ別の狙いがありました。

それは

『ZZRを造る』

という事です・・・これだけ言うとちょっと混乱しますよね。

2017年式ZZR1400

「いやいや先代や欧州名はZZR1400じゃん」

って。

でもこの場合のZZRという言葉が指す意味はそれじゃない。この場合が指すZZRの意味はこれ。

ZZR1100/D型

この系譜でもご紹介しているZZRの始まりでありZX-14Rの先祖様でもあるZZR1100です。※写真は後期モデル

ZZR1100はカワサキが考える独創的なスーパースポーツの形として登場し一時代を築いた名車。現代風にいえば最高速だけじゃない軽快になんでも熟せる万能スーパースポーツ。

ZX-14Rはこれを現代の技術で造るという裏コンセプトがあったんです。

GPZ900RとZX-14R

というのもZX-12RかZZR1200でも話したと思うですがカワサキ社内にはZやGPZ900Rこそがカワサキの象徴だと考える人がいる一方で

「ZZR1100こそがカワサキの象徴だ」

という人たちも数多くいる。

ZZRの事になると口を出さずにいられない

『ZZR信者』

という厄介な存在がいるわけです。

そして何を隠そうこのZX-14Rの開発リーダーを努めた大島さんもその一人で、もちろんZZR1100(D)のオーナー。

そんな大島さんはZZR1400の後継を任された際にこう考えた。

2017ZX-14R

「ZZR1100オーナーが満足するZZRを造ろう」

と。

そのために自身の価値観や経験はもちろんZZR1100オーナーの話を聞き回ったりオーナーのブログを漁ったりして

『ZZR1100が絶大な支持を得るに至った理由』

を徹底的に検証しZX-14Rに反映させた・・・軽快感を出すためにフレームまでをも見直した理由はここにあるわけです。

(ZZR1100は車格を感じさせない軽快なハンドリングが高い評価を得ていた)

それ以外にもメットホルダーの標準装備や収納式荷掛けフックなんかもZZR1100譲りですね。

2016ZX-14R

「じゃあなんでZZR1400からZX-14Rに改名したのか」

っていうとこれは新しくなった事をアピールするためマーケティング側の要望から。そんなもんだからインタビューなんかで

「名前はZX-14Rだけど造ったのはZZRです」

的なマーケティングを無視した発言をしてしまう始末。

ZX-14Rカタログ

ただ豪華にしたわけじゃない、ただ速さだけを取ったわけじゃない。

ZZR1100が持っていた

『何でも軽快に熟せる万能スーパースポーツ』

という要素を現代の技術で造ったのがこのZX-14Rなんです。

そんなZX-14Rも残念な事に規制の問題から2019年にブライト取扱が終了となりました。

ZX-14Rブライトファイナルモデル

『ZX-14Rという名の新世代型ZZR1100』

という狭義過ぎる為にマーケティングの観点から伏せられていたこの事実をどれだけのZZRファンが感じ取ってくれたのかは分からない。

もしも開発者達に負けないくらいZZR1100が大好きでまだこのZX-14Rを知らない人がいたら是非とも見て乗って体感して欲しいと思います。

ブライトカタログ

『ZZRこそがカワサキのフラッグシップ』

今でもそう信じ疑わず愛してやまない人たちが、同じように信じ疑わず愛してやまない人たちの為に造ったその想いを感じてほしいと切に願います。

主要諸元
全長/幅/高 2170/780/1170mm
シート高 800mm
車軸距離 1480mm
車体重量 265kg(装)
[268kg(装)]
{269kg(装)}
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1441cc
最高出力 200ps/10000rpm
最高トルク 16.6kg-m/7500rpm
{16.1kg-m/7500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,566,000円(税込)
[1,632,000円(税込)]
※スペックはマレーシア仕様
※[]内はABSモデル(ZX1400F)
※{}内はG/H型
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜FJR1300の系譜HAYABUSAの系譜世界最速の系

1400GTR(ZG1400C/D/E) -since2010-

2013コンコース14

モデルチェンジされZG1400C型(CONCOURS14はD型)となった二代目1400GTR。

一番の大きな変更点はKTRC(カワサキ トラクション コントロール)を採用したこと。実はカワサキで一番最初にトラクションコントロールシステムを採用したのはこの1400GTRだったりします。

1400GTRトラコン

前後のホイールに元々備え付けられていたABSセンサーで回転速度のズレを監視し大幅にズレた場合、燃料をカットしてリアタイヤを落ち着かせるというシステム。

ABSもコレを機に進化してK-ACT(Kawasaki Advanced Coactive-braking Technology)に。これはホンダの前後連動式C-ABSに近い仕組みで前後どちらかのABSが作動した場合バランスを崩さないようにロックしていない方のブレーキを自動で掛ける仕組み。ソレが今回から配分を変えられる様になりました。

面白いのがフューエルエコノミーアシスタントモードという機能。

1400GTRトラコン

6000rpm以下、スロットル開度30%以下、160km/h以下のみで使用可能な低燃費走行モードでバイクでは1400GTRにしか付いていません。

これはマッピングを希薄燃焼に切り替える事で燃費を向上させる機能。大陸横断スーパースポーツならではの機能ですね。

2015年にはマイナーチェンジのが入って1400GTRもCONCOURS14も型式をZG1400Eに統一。

ZG1400E

シート形状など細部の見直しが入っているんですが、一番大きいのは電動スクリーンに通風口が付いたこと。

あんまり目立たないんですがグランドツアラーとして見た場合、これが有ると無しでは大違いなんです。

ZG1400Eスクリーン

FJRの系譜でも話したので詳しい説明は省きますが、スクリーンというのは防風性を取れば取るほどメーターとライダーの間に負圧が発生してしまう。

負圧が発生するということはライダーが気づかぬ内に身体を前方に引っ張られてしまう。短距離ならそうでもないけど何日も掛けて長距離を走る場合これが結構疲労に繋がる。だから通風口を付けスクリーンからも空気を取り入れる事でその負圧を消しているというわけ。

2015年式1400GTR

そしてもう一つ副産物的なメリットがあります。それは風が入ってくるこということ。

風を防ぐためのスクリーンなのに風が入ってるなんて本末転倒のように聞こえますが、防風性が非常に高いバイクだと話が変わってくるんです。

防風性が高いということは、それだけ風を浴びることが無いので停車している時と近い状態になる。これで困るのが夏。走り出しても風を浴びれないので炎天下の元に座ってる状態になり下手をすると熱中症になる。

バイクの場合はヘルメットを被るのでまだ良いですがそれでも暑いものは暑い。ヘルメットのシールドを開けてもジャケットのチャックを開いても防風性が高すぎてそれほど風を浴びれない。

ZG1400Eスクリーン開放

だからこうやって敢えて正面から風を吹き込ませることが出来る通風口があるというのは負圧もそうですが非常にありがたい装備だったりするんです。

余談ですが、1400GTR(CONCOURS14)は白バイとしてカリフォルニア州などアメリカを中心に世界で採用されていたります。こんなバイクに追われたら逃げる気も失せますね。

カリフォルニア州の白バイ

写真はそのカリフォルニア州で話題のトランプ大統領を警護するシーン。1400GTR(CONCOURS14)もメイドインジャパンなんですけどね・・・。

主要諸元
全長/幅/高 2230/790/1345~1465mm
シート高 815mm
車軸距離 1520mm
車体重量 304kg(装)
[305kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1352cc
最高出力 150ps/8000rpm
[155ps/8800rpm]
最高トルク 13.9kg-m/6200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FTZ14-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.7L
交換時4.0L
フィルター交換時4.4L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,600,000円(税別)
※スペックはマレーシア仕様
※[]内は2016以降のABSモデル(ZG1400E)
系譜図
gpz900r 1984年
GPZ900R
(ZX900A)
gpz1000rx 1986年
GPZ1000RX
(ZX1000A)
zx-10 1988年
ZX-10
(ZX1000B)
zzr1100 1990年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100C)
zzr1100 1993年
ZZR1100/ZX-11
(ZX1100D)
ZX-12R 2000年
ZX-12R
(ZX1200A/B)
zzr1200 2002年
ZZR1200
(ZX1200C)
zzr1400 2006年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400A/B)
1400GTR ZG1400A 2008年
1400GTR
CONCOURS14
(ZG1400A/B)
zx-14 2008年
ZZR1400/ZX-14
(ZX1400C/D)
ZG1400C/E 2010年
1400GTR ABS
CONCOURS14
(ZG1400C/D/E)
ZX-14R 2012年
ZX-14R
(ZX1400E)

ZX-6R(ZX636G) -since 2019-

ZX636G

「FOR THE FEARLESS」

排ガス規制で生産終了かと思いきやフルモデルチェンジで対応した2019年からのZX636G型。

最初に主な変更点を上げると

・ドライブスプロケを1丁下げ低速寄りに

・クイックシフター(UPのみ)

・サイレンサーの外見を変更

・足つきとフィット感を高めたシート

・LEDヘッドライト

・アクセサリー電源

・ETC2.0装備

などなど、変更点を見ても分かる通り先代にも増してストリートを考慮したモデルに。

LEDヘッドライト

・スリッパークラッチ

・トラクションコントロール

・アンチブレーキロック

・ビッグピストンフォーク

・出力モード切替

といったミドルSSとしては一線級の装備が付いていた先代の時点で『1,301,400円(税込)』とかなりお買い得だったのに、このモデルでは更に上記の変更が加わったにも関わらず『1,328,400円(税込)』とコストパフォーマンスが更に向上。

カワサキ2019ZX-6R

「どうしてこんなにお買い得なのか」

と思われる方も多いと思いますが、それは正直に言うと先々代であるR型から基本設計は変わっていないからです。

モデルチェンジ内容は基本的にデザイン面やアクセサリー系がほぼ全て。

ZX-6Rセンター

これはミドルスーパースポーツ需要が無くなってしまった事が原因でトドのつまり開発費を掛けられない(回収できない)事が背景にあるわけです・・・が、ZX-6Rにとっては災い転じて福と成すいうか怪我の功名といえなくもない話。

何故ならこのおかげでZX-6Rはカワサキらしい独特な造りのまま存続出来ているから。

2019zx-6r 696

恐らく10Rの方でも話しましたが現代のスーパースポーツというのはスイングアームを長く取りつつ剛性を稼ぐために

『クランク・メイン・カウンター』

というエンジンの主要三軸を三角形の様に(メインシャフトを押し上げる)レイアウトにしてエンジンの前後長を短くするのが定説となっています。

そんな中でカワサキだけは

「他所の真似事なんてしない」

といって直角三角形の様な縦長エンジンに覆いかぶさる様なフレームという何とも珍しいレイアウトに。

ZX-6Rのエンジンレイアウト

このクラッチケースが一段落ちてる独特なレイアウトによってカワサキのSSは

「独特なハンドリングだ」

と言われ、それは時として扱いにくいという評価もされた。

しかし何代にも渡って改良を重ねてきた事で、今では独特なハンドリングはそのままに非常に高い評価を獲得している。

ZX-6Rのディメンション

つまりこのZX-6Rの形というのはカワサキらしい反骨心の現れといいますか、10年以上続くカワサキスーパースポーツの伝統工芸品みたいな物なんです。

さて・・・重ねて言いますがミドルスーパースポーツというカテゴリがほぼ終焉状態となり、実際この6RもミドルSSと言いつつ排気量はちょっとオーバーしてる636cc。

ZX-6Rロゴ

とにかくサーキットで速く走れればよかった時代が終わりを迎えた事で、ZX-6Rも方向性を少し変えてこうなった。

もちろんだからといって

「6Rはサーキットでは駄目なのか」

というともちろんそんなわけもなく、相変わらず大得意な方。

2019年型ZX-6R壁紙

つまりこのZX-6R/ZX636Gは一言で言うと

「間違いのないミドルSS」

と言えるでしょう。

これはコストパフォーマンスだけ見ての話ではありません。

というのもSSというのは(主観ですが)バイクの中でも最も乗られなくなるジャンルのバイクです。

それがどうしてかといえばSSというのは公道用途では恩恵よりも弊害を受ける機会が多いから。要するに楽しめるシチュエーションよりも我慢を強いられるシチュエーションが多いから歳月とともに乗るのが億劫になってくる。

ZX-6R取り回し

そんな中でこのZX-6Rが間違いのないSSと言える様になったのは、その我慢を排他しようとした意図が読み取れるから。

確かにポジションはSSだからツラいけど、SSの中ではまだマシな方でシート高も830mmと現実的な方。

シートもハングオンだけでなく足つきを考えて前方が非常に絞り込まれているし、サスペンションも柔らかめに設定されてる。

2019年型カワサキZX-6R

トップスピードを切り捨てたスプロケのショート化も美味しい回転数をより気軽に味わえる様にした配慮だし、明るいLEDヘッドライトやETC2.0&アクセサリー電源は非常にありがたいもの。

昨今のスーパースポーツでは当たり前だったステアリングダンパーも低中速では邪魔するだけだから付けてない。

そして決定的なのがこれ。

メーター

警告灯のみだったガソリン残量がメーター表示されるようになったんです。

これが肝です・・・要するに

「スーパースポーツだから仕方ない」

という要素を本来のスーパースポーツの魅力を損なわない範囲で潰してる。

つまり『スーパースポーツそのもの』を売りにしているのではなく『スーパースポーツを楽しむこと』を売りにしているわけです。

ZX-6Rカタログ写真

それは結果として

「長く付き合えるスーパースポーツ」

と言えるからZX-6R/ZX636Gは間違いないって話。

主要諸元
全長/幅/高 2025/710/1100mm
シート高 830mm
車軸距離 1400mm
車体重量 197kg(装)
燃料消費率 18.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 126ps/13500rpm
最高トルク 7.1kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E/CR9EK
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,230,000円(税別)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

【関連車種】
CBR600RRの系譜YZF-R6の系譜GSX-R750の系譜DAYTONA675の系譜

ZX-6R(ZX636E/F) -since 2013-

新型ZX-6R

「Invincible Everywhere」

四年目にして遂にモデルチェンジをし何とまたもや636ccになって返ってきたZX636E/F型。

E型はABSレスでF型はABS有りモデルですが正規販売されたのはF型のみ。

「また排気量オーバーしてるじゃん」

って話ですが、レース向けには先代Rモデルを併売する形で対応しています。

2013年型ZX-6R

非常に完成度が高かったPモデルを更に改良したモデルという事なのでもうコレはコレで完成形なんでしょうね。

さてじゃあ636モデルはどうなっているのかというと、まず何より見た目が最新のNinjaシリーズに沿った端正な顔つきになりました。

30周年カラー

更にキャスター角を見直し、出力モード切り替えやトラクションコントロールなどの電子制御と、最新のSS要素を装備。

先代の時点でBPFなどが付いていた事を考えると、これで税込み130万円前後というのはかなりのバーゲンプライスかと。

しかしこのモデルで何を置いてでも取り上げないといけないのがやっぱり636ccになったこと。

ZX636EFエンジン

ミソなのは先代のエンジンをベースにストローク量を2.6mm伸ばして636ccにした事です。

ボアではなくストロークを伸ばした形なので当然ながら全域でトルクアップ。

トルクカーブ

「2モデル展開は向こうの人が嫌う」

という話をP型したんですが、その向こうでも600SSが下火となり売れなくなりました。

昨今の600SS生産終了ラッシュも、そして再び636化してきたものそれが大きな理由。

ZX636広告写真

そもそも何故そんなに636化に執着するのかって話ですが、歴代6Rプロジェクトリーダーの岡部さんがこんな事を言っていました。

「限られた排気量のミドルでトルクが余ることはない」

と・・・そして

「ちゃんと加速する事が大事」

とも。

結局その考えを最も強く反映した形がクラスオーバーとなる636なわけで、復活したこのモデルでもストロークを伸ばしつつ圧縮比は敢えて落とすという”本当に必要なトルク”を稼ぐ変更をした。

ZX-6R KRT

「どんな時でもちゃんと加速する為に」

です。

600じゃないから卑怯だと、ミドルスーパースポーツじゃないと言われる事もあります。でもそれで良い。

だってこのZX636E/F型はスーパースポーツである事よりも、下も上も使えるミドルとして高い評価と歴史を持つ『ZX-6Rである事』を取ったわけですから。

kawasaki ZX-6R

『INVINCIBLE EVERYWHERE(何処でも無敵)』

という言葉の意味はソコにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2085/705/1115mm
シート高 830mm
車軸距離 1395mm
車体重量 194kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 636cc
最高出力 129ps/13000rpm
最高トルク 7.2kg-m/11500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 1,246,000円(税込)
系譜図
ZX600F1995年
ZX-6R
(ZX600F)
ZX600G1998年
ZX-6R
(ZX600G)
ZX600J2000年
ZX-6R
(ZX600J/636A)
ZX636B2003年
ZX-6R
(ZX636B/600K)
ZX636C2005年
ZX-6R
(ZX636C/600N)
ZX600P2007年
ZX-6R
(ZX600P)
ZX600R2009年
ZX-6R
(ZX600R)
ZX600E/F2013年
ZX-6R
(ZX636E/F)
ZX600G2019年
ZX-6R
(ZX636G)

Z1000/R(ZR1000H/J)-since 2017-

2017年式Z1000

「sugomi」

五代目にあたるH型とJ型。このモデルはEURO4(排ガス規制)に対応するためのモデルチェンジという意味合いが強いモデルになります。

2017年式Z1000リア

もちろん

・ウィンカーやシートカウルデザインなどの変更

・シフトインジケーター(ギア表示)

・シフトアップインジケーター(シフトアップお知らせランプ)

・キャタライザーやマッピングの変更

・サスペンションをリセッティング。

・ABSモデルの標準化

などさらなる改良も入っています。

そしてこのモデルから上位グレードのZ1000R(ZR1000J)が登場。

2017年式Z1000R

・リモートアジャスター付きオーリンズ

・ブレンボキャリパー&ディスクローター

・ステンメッシュブレーキホース

・専用カラー

・専用タンクパッド

を装備した上位グレードになります。

ただ今回のモデルチェンジの主役はZ1000というよりはNinja1000かと。

Ninja1000
(ZX1000W)
-since 2017-

2017年式Ninja1000

見て分かる通りヘッドライトのLED化を機にカウルデザインが大きく変わりました。

鼻先を伸ばしアッパーからスクリーンまでの流れを改善することで防風性を改善。

その他にも

・ABSモデルの標準化

・メーターを一新

・ETCを標準搭載

・シートの更なる肉厚化

・グラブバーやOPのパニアケース形状の改善

などツアラーとして順当に進化してる感じです。

Ninja1000LEDヘッドライト

でも一番の目玉はKCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション)じゃないかと思います。

IMU(慣性計測装置)制御というやつでH2やZX-10Rにしか積まれてなかったんですが、Ninja1000にも率先して搭載する形となりました。

KAWASAKI KTRC

・トラクション制御
・ウイリー制御
・スライド制御
・トラクション制御
・ウイリー制御
・ピッチング制御
・旋回中のブレーキ制御
・エンジンブレーキ制御

などなど。やはり売れ筋はお金の掛け方が違いますね。

BOSCH製IMU

ちなみにこれらが可能になったのはBOSCHが開発した超小型高性能IMU(写真左SU-MM5.1)があってのこと。

KAWASAKIに積まれているIMUはほぼコレ。ちなみにもっと小さいのがスマホにも入ってたりします。

2017Ninja1000

まあそんな話は置いといてIMUを装備してほぼフル装備に近い状態となったNinja1000。

販売台数を見るに日本国内では安定した台数が売れているようです。

残念ながらZ1000との内約が分からないのですが、目撃頻度からいってもNinja1000が大部分を占めているんじゃないかと。

猪突猛進を具現化してるZ1000もカッコいいと思うんですけどね。

Z1000とNinja1000

こうやって並べて見ると仁王像みたい。

主要諸元
全長/幅/高 2050/790/1055mm
{2045/790/1055mm}
[2100/790/1185~1235mm]
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
{1435mm}
[1440mm]
車体重量 211kg(装)
{221kg(装)}
[235kg(装) ]
燃料消費率 17.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 141ps/10000rpm
最高トルク 11.3kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後41
{前15|後43}
[前15|後41]
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,144,800円(税込)
{1,420,200円(税込)}
[1,274,400円(税込)]
※{}内はZ1000R(ZR1000J型)
※[]内はNinja1000
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)