XJ750A/E/D(5G8/5G9/29R/22N)-since 1981-

XJ750

「スーパーファイター」

日本でも正式に取り扱う事となったXJ750E/5G9型。

基本的に先代XJ650からボアとストロークを上げて748ccとし、クラストップとなる70馬力を叩き出したモデル。

XJ750E

そもそも先代の時点で

「軽量コンパクトで素晴らしいハンドリング」

という高い評価を欧米で獲得していたのでソコにトップクラスのパワーで悪い評価になるわけもなく。

ただしネイキッドにEと付いている事からも分かる通り、実はこれはバリエーションの一つ。

どちらかと言うとヤマハが推していたのはXJ750A/5G8型です。

XJ750A

「コンピューター・クルーザー」

という謳い文句が付いている通り コンピューターが付いています。

XJ750Aメーター

いわゆる”マイコン”というやつでバッテリーやガソリン量、水温などに異常があった場合メーターで知らせてくれる。

他にもアンチノーズダイブやライト下のフォグランプなどの豪華版で、実際アメリカではこのA型はセカの名で売られ非常に人気だったそう。

ただこのA型以上に忘れられているのがビキニカウル付きのXJ750E-II/29R型もそうだけど、何よりXJ750D/22N型。

XJ750D

「XJ750にもターボがあったのか」

と思ってしまうけど、これはターボの外装を使ったNAモデル。しかも何故かこっちはFIっていう。

悪いバイクじゃないのに何故かガッカリ感が生まれてしまう少し可哀想なモデルですね。

主要諸元
全長/幅/高 2135/860/1120mm
[2175/725/1135mm]
シート高 770mm
[780mm]
車軸距離 1445mm
[1440mm]
車体重量 218kg(乾)
[214kg(乾)]
燃料消費率 42.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 748cc
最高出力 70ps/9000rpm
最高トルク 6.2kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後120/90-18(65H)
バッテリー YB14L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP7ES
または
W22EP
推奨オイル SAE 20W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
スプロケ
チェーン
車体価格 595,000円(税別)
[560,000円(税別)]
※スペックはXJ750A
※[]内はXJ750E
系譜図
XS11001978年
XS1100/E/S/SF
(2H7~9)
XJ650スペシャル1980年
XJ650SPECIAL
(4L6)
XJ7501981年
XJ750A/E/D
(5G8/5G9/29R/22N)
XJ9001983年
XJ900/S/F
(31A/58L/4BB)
XJR1200前期1994年
XJR1200/R
(4KG)
XJR1300前期1998年
XJR1300
(5EA前期)
XJR1300中期2001年
XJR1300
(5EA後期|5UX前期)
現行XJR13002006年
XJR1300/C
(5UX後期|2PN)

XJ650SPECIAL(4L6) -since 1980-

XJ750E

「人間バイク」

国内向けとしては初の直四となるXJ650SPECIAL。先に紹介したXS1100の弟分的なモデルです。

ただこれまたXS1100とは全く系統が違うモデル。XS1100は初の直四ということで、とにかく頑丈さと静寂性が第一でした。

それで成功を収め直四のノウハウを得たので、今度はもっとコンパクトで扱いやすい直四を造ろうとなったわけです。

エンジン

特にエンジンは

「とにかく軽く、とにかく小さく」

をコンセプトに設計。

背面ジェネレーターに一体クランクのウエブに直接歯切りしたドライブ・ドリブンなど随所にコンパクト化の技術が散りばめられています。

そしてそれによって得られた取り回しの良さ、ハンドリングの素晴らしさは欧州を中心に非常に高い評価を獲得。

ペケジェ650SP

もう既にこの頃からヤマハはハンドリングに非常に力を入れていたんですね。

ちなみに海外向けにはいわゆるネイキッド然としたXJ650Eというモデルもありました。

ペケジェ650

「なんでコッチじゃなくて日本はアメリカンなのか」

というと、70年代半ばの大型車というのはスポーツというより大型らしいドッシリ感がステータスだったんです。

このバイクを覚えている人は少ないと思いますが、1981年に出たこれは知っている人も多いでしょう。

XJ650ターボ

空冷でキャブでターボっていうアナログとハイテクが入り混じったターボモデル。

ただ残念ながら認可が下りず国内で正規取扱されることはありませんでした。

主要諸元
全長/幅/高 2165/860/1180mm
シート高 750mm
車軸距離 1445mm
車体重量 203kg(乾)
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 653cc
最高出力 64ps/9000rpm
最高トルク 5.2kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後130/90-16(67H)
バッテリー 12N12A-4A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP7ES
または
W22EP
推奨オイル SAE 20W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
スプロケ
チェーン
車体価格 480,000円(税別)
系譜図
XS11001978年
XS1100/E/S/SF
(2H7~9)
XJ650スペシャル1980年
XJ650SPECIAL
(4L6)
XJ7501981年
XJ750A/E/D
(5G8/5G9/29R/22N)
XJ9001983年
XJ900/S/F
(31A/58L/4BB)
XJR1200前期1994年
XJR1200/R
(4KG)
XJR1300前期1998年
XJR1300
(5EA前期)
XJR1300中期2001年
XJR1300
(5EA後期|5UX前期)
現行XJR13002006年
XJR1300/C
(5UX後期|2PN)

XS1100/E/S/SF(2H7~9)-since 1978-

XS1100

「GET UP. AND GO.」

ヤマハ初の四気筒モデルになるXS1100。※型式は欧州モデル

排気量から見ても分かる通り海外向け専用モデルで、向こうではXSイレブンと呼ばれています。

当時ヤマハはフラッグシップとしてGX750という三気筒のバイクGX750を出していたんですが、このXS1100はその延長線上で考えられたモデル。

XS1100パンフレット

「三気筒で750、もう一気筒追加で1000」

という狙いだったわけです。

では何故1100になったのかというと、既にZ1000を始めとしたリッターが登場していたから。

だから+100ccのイレブンで行く必要があると営業からの要望があったことでボアを広げ1100となった。

XSイレブン

車体の方はGX750と同じシャフトドライブなど延長線上にある形なんですが

「じゃあXJ1100とGX750は似ているのか」

というとコレが全く違う。

三気筒と四気筒という違いも勿論ありますが、GX750がとにかくスポーツだったのに対しXS1100は徹底的に振動を消すことを念頭に置かれました。

XS1100エンジン

例えばこのエンジン。

・クランクシャフト

・レイシャフト

・メインシャフト

・カウンターシャフト

・ミドルシャフト

の五軸レイアウトを採用しています。

XS1100シャフト

これは一次駆動をサイレントチェーンにして静音性を上げたかった事と、メンテナンスフリーになるシャフトドライブを採用するため。

そしてもう一つ大きな違いがエンジンマウント。

GX750はエンジンをリジットマウントにして剛性を稼いでいたのに対し、XS1100は全面ラバーマウント。

XS1100カタログ

つまりXS1100は既存のリッタークラスがとにかく馬力だったのに対し、快適性を追求したリッターだったんです。

その振動の少なさは特に北米で評価され、アメリカの大手バイクメディアであるサイクルワールドの年間ベスト10にも選ばれるほどでした。

XS1100スペシャル

これはそのクルーザー版になるXS1100Specialです。

ちなみにこれは余談なんですが、ヤマハは三気筒のGX750を造ったあと四気筒ではなく水平対向六気筒で行く予定でした。

フラット6

静寂性とスペシャル感を考えた場合、水平対向六気筒のほうが都合が良い。極端な話3+3でGX750のエンジン技術を転用できると考えていたんでしょうね。

ただパテントの関係と、技術的な関係から四気筒に改められXS1100が誕生した。もしもこのとき水平対向六気筒を選んでいたら今のヤマハはどうなっていたでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2260/920/1175mm
シート高 800mm
車軸距離 1545mm
車体重量 274kg(装)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1101cc
最高出力 96ps/8000rpm
最高トルク 9.19kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19-4PR
後4.50-17-4PR
バッテリー GM18Z-3A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル ヤマルーブ
SAE 20W/40
または
SAE 10W/30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
XS11001978年
XS1100/E/S/SF
(2H7~9)
XJ650スペシャル1980年
XJ650SPECIAL
(4L6)
XJ7501981年
XJ750A/E/D
(5G8/5G9/29R/22N)
XJ9001983年
XJ900/S/F
(31A/58L/4BB)
XJR1200前期1994年
XJR1200/R
(4KG)
XJR1300前期1998年
XJR1300
(5EA前期)
XJR1300中期2001年
XJR1300
(5EA後期|5UX前期)
現行XJR13002006年
XJR1300/C
(5UX後期|2PN)

XJR400R(4HM最終期)-since 2001-

2001年式XJR400R

「マン・マシン・コミュニケーション」

XJR400Rとしては最後の世代。

・クラス唯一となるBSRキャブ

・新設計ホイール&ラジアルタイヤ

・新設計スイングアーム

・2次空気導入装置

・MOS(モノブロック)キャリパー

・大型マフラー

その他シートやミラーや何やらで250にも及ぶ改良が加わりました。

XJR400Rカタログ写真

更に2004年モデルからは騒音規制に合わせて

・イモビライザー

・マフラー内部の変更

・イグナイター変更

・XJR1300と同じメーター

などの改良が加わっています。

XJR400R黄色

しかしながらまあ皆さんご存知と思いますがXJR400Rはこの代の2007年モデルを最後に生産終了となりました。

ちなみにコレが2007年のファイナルモデル。

XJR400Rファイナルモデル

楕円形ミラーとピンストライプ付きでした。

何故生産終了になってしまったのかというと2008年から排ガス規制が厳しくなったから。そしてその条件をクリアするのに空冷は非常に難しかったからです。

XJR400Rファイナル

なぜ空冷だと厳しいのか簡単に説明すると、空冷は水冷に比べ冷却性が悪いので燃料を濃く出して冷ます必要がある。

何故多く出すのかと言うと、気化潜熱という現象(液体が蒸発する際に周りから熱を奪う現象)を利用しているから。

しかしそうすると排ガスも汚くなっちゃうんですね。

もうひとつ問題があります。それは空冷美の象徴でもある冷却フィン。

XJR400R初代カラー

いわゆる放熱板なんですが、エンジンを回すとこれが振動して音を出してしまう。

それはつまり騒音なので騒音規制の方でも難しくなってしまう。

XJR400Rに限らず空冷が絶滅危惧種となってしまったのはこれらの理由から。

でも、これはXJR400Rがカタログ落ちする事になったキッカケであり原因ではないというのが正直なところかと・・・何故ならXJR1300はFI化されて存続したからです。

つまりXJR400Rも出そうと思えば出せた。でも終わってしまった。

それどころかヤマハは2011年に

「国内専用モデルは売れないからもう作らない。」

との声明まで発表しました。

これは正確に言うと国別専用モデルをやめてグローバルモデルにしていくという事。まあヤマハに限った話ではないですが。

そう言われたのは400ccのしかもネイキッドというのは実質日本だけの正にその専用クラスを見れば分かります。

400cc需要

これはライバルだったCB400SFの資料なんですが、十数年連続で400販売台数一位のCB400ですらこんな状況なのが現実なんです。

しかも規制強化は待ってくれないので状況は悪化する一方。

だからもう国内専用の典型である400のしかもネイキッドの更には空冷のXJR400Rは終わってしまったし、もう復活することも限りなくない。

空冷400最速

でもこれはXJR400Rに限った話では無いので良い方に捉えるとXJR400Rというのは

「空冷400ネイキッド終身最速車」

とも言えますよね。

主要諸元
全長/幅/高 2085/735/1090mm
シート高 780mm
車軸距離 1435mm
車体重量 198kg(装)
燃料消費率 31.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 3.6kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54W)
後150/70-17(69W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.8L
交換時2.0L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 609,000円(税別)
系譜図
xj4001980年
XJ400
(5M8)
XJ400Z1981年
XJ400D/Z/SP
(5L8/33M)
XJR4001993年
XJR400/S/R/R2
(4HM)
XJR400R1998年
XJR400R
(4HM中期)
XJR400R最終2001年
XJR400R
(4HM最終期)

【関連車種】
CB400の系譜GSR400の系譜ZRX/ZZR400の系譜

XJR400R(4HM中期)-since 1998-

二代目XJR400R

「Fight or Sleep!」

Rモデルに一本化された第二世代のXJR400Rの4HM9~型。

・燃料タンクが+2Lされて20L

・フォークガード

・多機能メーター

・跳ね上がったテールカウル

・マルチリフレクターテールライト

・新設計シート

などなど。

1995XJR400R

改良は多岐にわたりました。

ちなみにシルバー塗装エンジンも特徴なんですが、これは最初の数年だけで再びブラック化。

さて少し話が逸れますが、XJR400はライバル車に対しサスが硬めに設定されています。

これは早い話がXJR400Rがスポーツネイキッドだから。

先のページでも話したと思いますが、XJR400Rは”わざと”トルクの谷を設けている。これはスポーツフィーリングを高めるため。

そしてその最高のスポーツフィーリングを活かすため、最高のスポーツフィーリングを台無しにしない為にサスペンションが高めに設定されているんです。

当然ながら回さない走り方だと乗り心地が硬い、そのかわり回して走るとそれがピタッとハマる。

それを空冷エンジンの街乗りメインのネイキッドで、発売前のテストでも硬いと言われたにも関わらず譲らず貫いたわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2085/735/1090mm
シート高 760mm
車軸距離 1435mm
車体重量 201kg(装)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 20.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 3.6kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後150/70-17(69H)
バッテリー GTX9-BS
または
TYX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.8L
交換時2.0L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
xj4001980年
XJ400
(5M8)
XJ400Z1981年
XJ400D/Z/SP
(5L8/33M)
XJR4001993年
XJR400/S/R/R2
(4HM)
XJR400R1998年
XJR400R
(4HM中期)
XJR400R最終2001年
XJR400R
(4HM最終期)

XJR400/S/R/R2(4HM)-since 1993-

初代XJR400

「The Fighting Spirit」

1990年後になるとレーサーレプリカブームに疲弊する人たちが多くなり、レーサーとは無縁のスタンダートバイク(いわゆるネイキッド)の時代が到来。

そうなると当然ながら各社がネイキッドを出すのがセオリーでXJR400もそんな時代によって生まれた一台。

ヤマハXJR400

なんだけど、実はXJR400の開発自体はゼファーが登場する半年前から始まってた。

だからとっても開発が大変だったと開発責任者だった猪崎さんが仰っていました。

何が大変ってゼファーというネイキッドの正解が誕生してしまったから。

初期型XJR400カタログ

「ゼファーみたいなバイクを作れ」

という風潮に社内もなってしまったわけです。

だから

「ゼファーを作らないといけないのか」

と悩んだものの結局XJR400の目指す道はそっちじゃないと考え、ベンチマークにしたのはゼファーではなくCB-1やBandit400。

要するにスポーツネイキッドの道を選んだ。

XJR400カタログ

その結果として生まれたのが空冷スポーツネイキッドのXJR400。

深く刻まれたフィンが特徴の新設計空冷エンジンに挟角64度のDOHC4バルブ。そのおかげで馬力は自主規制値いっぱいの53馬力。

味付けもXJ400のコンセプトに沿ってて、空冷にも関わらずクロスレシオミッションで”回してナンボ”な味付け。

しかもわざとパワーに谷を作り二次曲線的な加速をする特性、そしてサスもΦ41の極太フォーク。空冷スポーツを空冷らしく楽しめるように造り込まれてる。

XJR400S

翌年の1994年には後にXJRのトレードマークとなるオーリンズのリアサスが付いたSモデルを限定4,000台で販売。

更に1995年にはピストン&コンロッド、イグナイター(点火制御)やマフラーなどの見直しが入り、それと同時にRモデルが登場。

オーリンズサスのスプリングも黄色になり、ブレーキにはブレンボが奢られた上位モデルです。

XJR400R2

その勢いは留まること無く1996年にはXJR400RIIも登場。

Rモデルに加えビキニカウルと多機能デジタルメーター、更に新設計の低反発シートであるワイラックスシート(この年から全車)を装備しシート高も10mmダウン。

XJR400R2カタログ

ただあんまり人気が無かった事と、後から丸目にする人が多かった事からまず見ることはないかと・・・ライバルだったCB400SF ver.Rと同じですね。

まあそれはさておき、XJR400は削りだしトップブリッジやオーリンズなどヤマハらしい質の高さと、拳をイメージしたとされるたくましいタンクや大きなヘッドを持った空冷エンジンなどヤマハらしからぬ無骨さが人気を呼びました。

1993XJR400カタログ

正に『平成のペケジェイ』だったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2075/735/1080mm
[2075/735/1090mm]
シート高 770mm
{760mm}
車軸距離 1435mm
車体重量 178kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 3.6kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後150/70-17(69H)
バッテリー GTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.8L
交換時2.0L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 579,000円(税別)
{609,000円(税別)}
※{}内はXJR400RII
系譜図
xj4001980年
XJ400
(5M8)
XJ400Z1981年
XJ400D/Z/SP
(5L8/33M)
XJR4001993年
XJR400/S/R/R2
(4HM)
XJR400R1998年
XJR400R
(4HM中期)
XJR400R最終2001年
XJR400R
(4HM最終期)

XJ400D/Z/SP(5L8)-since 1981-

XJ400D

クラストップの馬力で鮮烈デビューしたXJ400は一年で吸気デバイスのYICSを採用など熟成を図りました。

そしてXJ400二年目の1981年の事。

「クラスが加熱=ライバルも増える」

というのは歴史の習わしと言いますか、四メーカーの後出しジャンケン合戦といいますか、今度はスズキからGSX400Fというバイクが登場しました。

GSX400Fカタログ

クラス初となる16バルブでXJ400と同じ45馬力を発揮するスポーツネイキッド。コチラもGSR400の系譜でご紹介しましたGSR400のご先祖といいますかスズキ四気筒400ネイキッドの始まりのバイクですね。

同馬力ながらスズキは4バルブエンジン。これは負けられないとヤマハはマイナーチェンジとしてXJ400Dを発売することになります。

XJ400Dリミテッド

Dというのは上の写真のモデルがそうですが、敢えて四本出しマフラーに変更し調節機能付きリアサスという豪華装備。更にエンジンはブラックアウト化とルックスに磨きを掛けてきたわけです・・・が。

わけですが・・・当時を知っている人なら何を言いたいのかわかると思います。

1981年末期にアレが登場するわけですね。

CBX400F

そう、ホンダの究極後出しジャンケンCBX400Fです。

世に初めて四気筒を出したホンダのヨンフォア以来となる400cc四気筒ネイキッド。

しかも馬力はXJ400やGSX400Fの45馬力を超える48馬力というトップのスペック。

もうそれまでの三社の争いは何だったのかと言うほどCBXの一強に。それどころかホンダの他の新型が出てもCBXしか売れない様な状態にまでなりました。

XJ400Z

そんな状況に対しヤマハはXJ400Dをやめ、XJ400Z(水冷XJ)を出して対抗するんだけど今度はネイキッドブームが去ってレプリカブームに入っちゃったから結局XJシリーズは1984年のXJ400ZEを最後に一旦途切れることとなりました。

XJ400Z-E

確かにCBX400Fという絶対的人気を誇るライバル車がいた事もあるんだけど、XJ400の人気があまり出なかった理由を少し擁護すると

RZ250

ヤマハの場合RZ250そしてRZ350という大型キラーと呼ばれる程の性能を持ち、後のレーサーレプリカブームの土台を作ったとも言える大ヒット2stスポーツネイキッドが存在していて、ヤマハといえばRZと言うような状態だったのも大きい。

忘れてましたがXJ400にはXJ400スペシャルというモデルもXJ400Dに合わせて出ました。

XJ400スペシャル

若者のアメリカンブームに合わせたクルーザーですね。

主要諸元
全長/幅/高 2060/760/1130mm
[2145/830/1135mm]
{2100/725/1235mm}
シート高 785mm
[760mm]
{785mm}
車軸距離 1405mm
[1420mm]
{1420mm}
車体重量 180kg(乾)
{179kg(乾)}
燃料消費率 52.0km/L
[54.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
[13.0L]
{19.0L}
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 45ps/10000rpm
[42ps/10000rpm]
{55ps/11500rpm}
最高トルク 3.5kg-m/8000rpm
[3.4kg-m/8000rpm]
{3.5kg-m/10000rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00S19-4PR
後110/90-18(61S)
[前3.25S-19-4PR
後130/90-16(67S)]
{前90/90-18(51H)
後110/90-18(61H) }
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA/D7EA
または
X24ES-U
{D8EA}
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|後45
[-]
{前16|後46}
チェーン サイズ530|リンク104
[-]
{サイズ520|リンク106}
車体価格 452,000円(税別)
[465,000円(税別)]
{538,000円(税別)}
※スペックはXJ400D
※[]内はXJ400SPECIAL
※{}内はXJ400ZS
系譜図
xj4001980年
XJ400
(5M8)
XJ400Z1981年
XJ400D/Z/SP
(5L8/33M)
XJR4001993年
XJR400/S/R/R2
(4HM)
XJR400R1998年
XJR400R
(4HM中期)
XJR400R最終2001年
XJR400R
(4HM最終期)

XJ400(5M8)-since 1980-

XJ400

ヤマハの400ccとしては初の四気筒となるXJ400。ペケジェイ400とか言われてたりしましたね。

いきなり話が反れますが、XJ400を語る前にXJ400が出る前の話を少し。

400cc初の四気筒バイクといえば1971年のCB350です。そこから1974年に出たのが有名なCB400FOUR(通称ヨンフォア)、そして中型免許制度が出来たことによって生まれた1976年の398ccバージョンのヨンフォア1と2ですね。

ヨンフォア

実は四気筒400ccというのはこのヨンフォアを最後に市場から消えました。

CB400の系譜の方でも言いましたが「採算が合わない」という理由から。

それでも四気筒400ccを望む声は多く、そしてその期待に応えたのがXJ400・・・じゃなくてZ400FXなんですね。

Z400FX

輸出仕様のZ500のスケールダウン版とすることで採算性をクリアしたバイク。

「ついに400cc四気筒が復活した!しかも43馬力!しかもカッコイイZ!」

とそりゃもう話題になりました。当時38万円(今で言うと70万円弱)と結構いい値段だったんだけど、限定解除が難しかった時代なのも加わって大ヒットしました。

そしてそんなZ400FXから遅れること一年で登場したのがこのXJ400。

5M8

四気筒ながらコンパクトに造られた幅、電子進角フルトランジスタ点火、燃料計、SUキャブにバンク角を稼ぐために屈折させた4-1-2の集合管などなど。

そのおかげでZ400FXの43馬力を超える45馬力で登場という血も涙もない後出しジャンケン。

性能を追い求めるあまり、上で言った様にお金かかりまくりでZ400FXより3万円も高い41万円。

性能が良ければ高くても売れる精神のヤマハらしいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2060/760/1130mm
シート高 785mm
車軸距離 1405mm
車体重量 176kg(乾)
燃料消費率 42.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 45ps/10000rpm
最高トルク 3.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00S19-4PR
後110/90-18(61S)
バッテリー FB12A-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA/D7EA
または
X24ES-U/X22ES-U
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格 432,000円(税別)
系譜図
xj4001980年
XJ400
(5M8)
XJ400Z1981年
XJ400D/Z/SP
(5L8/33M)
XJR4001993年
XJR400/S/R/R2
(4HM)
XJR400R1998年
XJR400R
(4HM中期)
XJR400R最終2001年
XJR400R
(4HM最終期)

TMAX560/TECH MAX(B3T/B7M) -since 2020-

七代目TMAX

「贅を知る、大人に。」

2021年から始まる新排ガス規制のEURO5に合わせてモデルチェンジとなったTMAX560/B3T型とTECH MAX/B7M型。

最初に変更点を上げると

・ボアを拡大し排気量を561ccに
・吸排気見直しで中高速アップと振動ノイズの軽減
・フロントウィンカーもLEDに
・Tをイメージしたテールライト
・冷却性を上げたエアダクト
・足付きを考慮したサイドカバー
・タンデム性を上げるリアカウル
・クロームブラックマフラー
・新設計エキゾースト(触媒)

という感じで排ガス規制への対応と走行性能アップがメインな感じです。

新型エンジン

そして+13万円のテックマックスモデルは

・無段階135mm調整電動スクリーン(ノーマルは二段階55mm)
・グリップヒーター
・シートヒーター
・クルーズコントロール
・プリロードと伸側減衰力アジャスター付きリアサス

を標準装備した上位モデルというか先代で言うDXみたいな存在。

TMAX560とTMAX560TECHMAX

トラコンや出力モード切替はノーマルも装備しておりグリップヒーターも後付可能。簡単に言うと先代のSXにクルーズコントロールが標準されたのがノーマルモデルという感じですね。

ちなみに欧州ではテールライトが変わったことが一番騒がれているようです。

TMAX530とTAMX560

TMAXはキープコンセプトで面白構造についても話したのでこれ以上あんま書くことない・・・という事で

「なぜ欧州ではTMAXが人気なのか」

という小話を少し。

TMAXが向こうでキングオブスクーターの異名を持っているのは前にも書いたんですが、主にどの国が一番買っているかというイタリアとフランスの人達が一番買ってる。

A2免許(日本でいう普二みたいなクラス)なのも相まって年間平均8000台前後が売れてるんですがそのうち半分をイタリアが、そして次いでフランスが占める感じで、要するにスクーターが文化として根付いてる国で圧倒的な支持を得てる。

年間販売台数8000台ってサラッと言いましたけど日本の大型バイクは年間販売台数一位でも3000台前後ですからね。まして100万円のスクーター・・・どんだけ人気なのか分かるかと。

TMAX530とTAMX560

しかし一方で同じくスクーターが根付いている日本では

「なんでそんなに人気なのか分からない」

「スクーターに100万円も出せない」

という感じで欧州のようには売れてないというか理解できない人が多いのが正直な所かと。

この違いは何かって話ですが、向こうの人にとってTMAXというバイクはこれと同じような存在なんです。

VWゴルフ

皆さんご存知フォルクスワーゲンを代表する名車ゴルフ。

唐突にゴルフを紹介されても意味不明だと思いますが、SNSなどこういうつぶやきをする人がいっぱい居る。

「サンタさんGolfとTMAXをください」

これこそがTMAX人気の答え。

何故ゴルフが人気なのかといえば様々な意見があるでしょうが一番は

「ドライビングプレジャーを味わえるちょっと贅沢な実用車」

ということから。TMAXはこれのバイク版なんです。

TMAX560

TMAXはたしかにオートマチックで楽に乗れるし、メットインもあるから荷物も載せられる便利な実用バイク。

でも立派なエンジンと車体を備えているからスポーツバイクに負けないプレジャーを気軽に味わえる・・・それも日々の道路で。

ここがTMAXの評価を分ける部分。

これはクルマにも比較的言えるんですが電車通勤やバス通勤が当たり前な事もあって日本でバイクに乗ると行為は”非日常”という要素が強い。

しかしイタリアやフランスではバイクに乗るという行為は毎日の通勤で当たり前な”日常”という要素が強い。だからこそ確かな造りで利便性を備えつつ運転そのものを楽しむ事を決して疎かにしてないTMAXが

『非日常ではなく日常を豊かにしてくれる乗り物』

として絶大な支持を得てるという話。

向こうの人からすると

「毎日使うんだから良いもの買うのは当然でしょ」

と言うんでしょうね。文化の違いというか価値観の違いというか。

日本でキングオブスクーターのTMAXを下駄車として使うのは勿体ないって思うのが恐らく大多数だと思うんだけど、その”勿体ない”っていう事こそが贅沢の象徴なわけで、そんな贅沢を思う存分堪能出来るように造られているのがTMAXなんですよね。

TMAX560カタログ写真

公式のキャッチコピー

「贅を知る、大人に。」

という言葉は正にそれを現してるかと。

主要諸元
全長/幅/高 2200/765/1420mm
シート高 800mm
車軸距離 1575mm
車体重量 220g(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 22.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 561cc
最高出力 48ps/7500rpm
最高トルク 5.7kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR7G
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,160,000円(税別)
[1,290,000円(税別)]
※[]内はTech MAX(B7M)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530SX/DX(BX3/BC3) -since 2017-

六代目TMAX

「Master of Scooter」

先代でTMAXモデルチェンジが早すぎるなんて言ってたら熱も冷めぬ内にまたモデルチェンジとなった六代目のTMAX530SX/BX3型とDX/BC3型。

最初に変更点を上げると

・デザインを一新
・ABSを標準化
・YCC-T(電子制御スロットル化)
・D-MODE(2モード出力切り替え)
・トラクションコントロール
・新設計アルミフレーム
・新設計アルミロングリアアーム
・新設計二連アナログ&TFTメーター
・可変スクリーン(二段階55mm差)
・プーリーとベルトの再設計
・マフラーの再設計
・リアホイールのリムを0.50縮めバネ下軽量化

という感じで電子制御だけでなく車体の方も大きく見直されました。

TMAX530SX/TMAX530DX

DXは上記に加え更に
・グリップヒーター(SXも別売で用意)
・シートヒーター(SXも別売で用意)
・クルーズコントロールシステム
・プリロード&伸側減衰力アジャスター付きリアサス
・電動スクリーン(無段階135mm差)
・+3kg

が装備された上位版になります。

特筆すべき変更点としてはまずフレームが新しく作り直された事。

2017TMAXフレーム

青いほうが2017年式の方なのですが肉を削ぎ落として9kgの軽量化。

更にベルトやホイールのリム幅をワンサイズ細く(タイヤサイズは変わらず)し合計で10kgの軽量化。

リアまわり

フレームを短くしてホイールベースが短くなった分、スイングアームを一気に40mm伸ばし脚長モデルへと変貌。コレにともなってリアサスペンションもリセッティングされています。

更に電子スロットル化も恩恵が大きく、電子制御はもちろんのこと挙動もかなり調教されたものに。

2017年式TMAXメーター

ところで日本は関係ないんですが欧州ではこのモデルから

『My TMAX Connect』

『D-Air』

への対応も追加されました。

My TMAX Connectというのは日本にとっては懐かしいボーダフォンとヤマハの提携サービスで、データロガーはもちろん追跡はもちろん遠隔でホーンを鳴らしたりウインカーを付けたり出来る早い話が監視サービス。

My TMAX Connect

そしてもう一つのD-Airはダイネーゼというイタリアのバイク用ウェアを中心に作っているスポーツウェアメーカーが10年掛けて開発したエアバッグシステムの事で凄いのはワイヤレスだという点。

エアバッグシステム自体は前からあるしレースなんかではもう常識なんですが、一般用途においてはランニングマシンのように作動用コードでバイクと繋ぐ必要性があったりする煩わしさがあった。

それをダイネーゼはセンサーをジャケット(背中プロテクター)に内蔵する事でワイヤレス化に成功したというわけ。

2017年式TMAX

1秒につき約800回ライダーの動きを収集し、転倒と判断したら僅か0.045秒という速さで展開するエアバッグシステム。これは自動車のエアバッグと同等の速さ。

そしてTMAX530はそんなD-Airシステムの正確性を更に増すため、TMAXからも作動信号を送れるコントローラーを内蔵出来るようした(コントローラーはオプション)というわけ。

2017年式TMAX

当然ながらタンデムの事も考えて2名までコントロール出来るようになってます。

イタリアで絶大な人気を誇る車種らしい装備って感じですね。日本のウェアメーカーも早く追い付いて欲しい物です。

ちなみにMy TMAX Connectも向こうの人にとっては保険のクラスが下がるから非常にありがたい装備。

2017年式TMAX SX

向こうは車種によって保険料が違うのでバイク選びに保険が直結するんですが、今回のモデル分けでそのアプリ機能が付かない無印は今までのTMAX同様にA2ライセンス(日本でいう普通二輪扱い)。

それに対しMy TMAX Connectによる速度警告機能やGPSによる追跡といった機能と、Aライセンス(日本でいう大型)扱いのおかげで保険が更に下げられる事になっています・・・まあつまり日本で乗る分にはあまり重要ではないです。

ちなみに向こうでは先代も名前をTMAX LUX MAXと変えて併売しました。

2017年式TMAX DX

これはEURO4(規制)の猶予が現行車の場合1年あるから。写真に載ってる通りイタリアなどでは低金利キャンペーンをやってるみたいです。

先代もそうだけどTMAXが凄いのは新型が出てもこういったキャンペーンで型落ちだろうが同じくらい売れる事。日用品としての広く認知されている事の証ですね。

ちなみにこのモデル大きく変更したためかヤマハも主戦場であるイタリアのEICMAモーターショー2016で特別に別の会場を用意する力の入れっぷりでした。

EICMA-TMAX

会場の駐輪場は案の定TMAXだらけに・・・。

最後にちょっと余談ですがTMAXで外せない要素なのに書き損ねた事があるので書かせてもらいます。

2017年式TMAX顔

みなさん

「TMAXは実は三気筒」

というのをご存知でしょうか。これは初代から一貫してです。

諸元をみてもらうと分かる通りスペック上はパラツイン(並列二気筒)と書かれている。

一体どういうことかというとTMAXは面白い事にパラツインでも稀な360度クランクを採用しています。

※補足:二気筒エンジンが七変化した理由-クランク角について-

つまり本来ならシングル顔負けの振動を起こすわけですがTMAXは振動は起こりません。それは当然ながらバランサーがあるから。

バランサーというのはその名の通り振動を相殺してくれる重りの付いた棒でバランサーシャフトとも言われています。下の写真は同じ360度ツインエンジンを搭載しているW800のエンジン。

バランサーシャフト

これが振動を消してくれる事で振動を抑えているわけです・・・が、ではここでTMAXのエンジンを改めて見てみるとバランサーが見当たらない。

バランサーシャフト

それもそのハズTMAXにバランサーシャフトは付いておらず代わりにもう一つシリンダー(赤い矢印の部分)が付いている。

『往復式ピストンバランサー』

と呼ばれる方法で、プラグやバルブといった内燃機関は持っておらずバランサーとして前の二気筒と反対のストローク運動をして振動を消しているというわけ。

バランサーピストン

360度で等間隔だから等間隔に二気筒分のカウンターを当ててやれば綺麗に消せるという事。

これは自動車の水平対向四気筒エンジン等と同じ思想。

だからTMAXのエンジンは

「水平対向と同じ特性を持つ水平対向三気筒・・・のような横型並列二気筒」

という実に面白い形なんですね。非常にややこしい言い回しですが。

リアスタイル

「そもそも何故そうまでして360度に拘ったのか、180度じゃ駄目なのか」

って話になりますよね。

スポーツバイクは基本的に180度クランク。それに対し360度クランクは振動面(重量やスペース)で不利なのでノスタルジックなモデルに採用されるエンジン。

それなのにスポーツスクーターのTMAXは何故360度なのかって・・・これは360度という等間隔燃焼による穏やかなトルク変動がコミューターには必須だと判断されたから。

しかしエンジンの高さは抑えないとシート高が更に高くなったり、メットインスペースを犠牲にする問題が出てくる。しかし振動を嫌ってラバーマウントにしてしまうと剛性が落ちてしまう。

TMAX三気筒

そこで考えられたのがピストンを水平に寝かせつつ反対側にバランサーピストンを仕込むことで高さを抑えた世にも奇妙なエンジンというわけ。

これ本当に面白い話でTMAXは

「電動と思わせるほどエンジンの存在感を消す事」

というのがコンセプトにあるんですが、何度も言うように360度クランクっていうのはどちらかというとエンジンの存在感を出す際に採用される主張の強いタイプ。

それを隠れピストンで完全に取り除き、360度本来の武器であるトルク変動の少ない等間隔燃焼という特性だけを残した。

2017tmax壁紙

つまりTMAXというのはスポーツコミューターであると同時にノスタルジックの対極に居る

「フューチャリスティック360度ツインスポーツ」

なんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/765/1420~1475mm
[2200/765/1420~1555mm]
シート高 800mm
車軸距離 1575mm
車体重量 215kg(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 20.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 46ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,150,000円(税別)
[1,250,000円(税別)]
※スペックはSX(BX3)
※[]内はDX(BC3)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)