GSX-R400R/SP/SP2(GK76A) -since 1990-

GK76A

「REVOLUTION」

GSX-R400Rの最終型となるGK76型

アルミダブルクレードルフレームに倒立サスペンション、水冷オイルクーラーなど、もう出し惜しみ無しな作りになりました。スラントシートライト(一枚レンズ)が特徴的ですね。

GK76Aフレーム

もちろんエンジンも新作で、お値段さらに上がって73万9000円。

このGK76型の特徴を端的に表すとすれば”極限までレーサーレプリカな作り”かと。

例えば最初に言ったアルミダブルクレードルフレーム。時代は既に今でも使われるアルミツインスパーフレームに移ってたんだけども、GSX-R400Rは”敢えて”アルミダブルクレードルフレームを選んだ。

それは1989年世界耐久レースで見事勝利したGSX-R750Rがアルミダブルクレードルフレームだったから。

89GSX-R750R

さらに言うとGSX-R400は水冷エンジンなんだけど冷却フィンが付いてる。これもGSX-R750Rが油冷エンジンでフィンが付いていたから。見えない部分までも可能な限りレプリカ。

そして有名なのはポジション。
R400は元々ポジションがライバル車と比較しても結構キツめだったんだけど、このGK76型はそのキツい先代から更に7cm近くハンドルが下がってる(シート高参照)

GSX-R400黒

タンクが長いこともあって窮屈ではないけど、ハンドルが遠くて低いっていう一昔前のポジションを突き詰めた形。そのキツさは全バイクの中でもトップレベルで昨今のSSを鼻で笑えるほど。

足回りも想定域を上に絞ってるから、本気で身体入れて走らないと曲がらない。

要するに完全に割りきった作りをしている。いくらレーサーレプリカと言えどここまで公道走行を考慮してないバイクはそうそうないです。

GSX-R400R SP

しかしいま改めて振り返ってみると、この頃のスズキは本当に凄かった。

HY戦争に否が応にも巻き込まれ致命傷を負ってしまい二輪撤退まで囁かれていた中で

ギャグ

GAGという遊び心の溢れるバイクを出して起死回生のヒットを飛ばしたと思ったら

NSR50|YSR50

ホンダやヤマハに後出しジャンケンでボコボコにされ

RG250

RG250Γという2st250ccレーサーレプリカを出してヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

またホンダやヤマハにボコボコに

GSX-R

そしてこのGSX-Rという4st400レーサーレプリカを出してヒットしたかと思えば

CBR400RR|FZR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにもボコボコに。

これは今も続いています。

昨今の市販スーパースポーツの始祖と言えば

CBR900RR|YZF-R1

「CBR900RR(1992年)だ!」「いやYZF-R1(1998年)だ!」

と言われることはあっても

GSX-R750

「GSX-R750(1985年)だろ!」

と言われる事はめったに無い。どれも正解なんだけど何故かGSX-R750だけは言われない。

バイク業界も勝てば官軍か。

話をGSX-R400Rに戻しましょう。

1993年には400ccの馬力規制が59馬力からさらに強化され53馬力になりました。当然GSX-R400Rも例外ではなく1993年モデルからは53馬力に。

これが去りつつあったレーサーレプリカブームのトドメとなりGSX-R400Rも1995年モデルを最後に生産終了となりました。

GSX-R400Rファイナル

決して大人気といえるレーサーレプリカではなかったけど、ガンマと共に時代を開き、最後まで時代に抗ったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高1995/710/1060mm
シート高750mm
車軸距離1375mm
車体重量167kg(乾)
燃料消費率36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量16.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量398cc
最高出力59ps/12500rpm
<53ps/12000rpm>
最高トルク4.0kg-m/10000rpm
<3.5kg-m/9500rpm>
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリーFTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイルスズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ前14|後44
チェーンサイズ525|リンク108
車体価格739,000円(税別)
[787,000円(税別)]
{797,000円(税別)}
※[]内はSP
※{}内はSP2
※<>内は92年以降モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

GSX-R400/R/SP(GK73A) -since 1988-

GK73A

「高純度パフォーマンス」

エンジンが再び新しくなり水冷となったGK73A型

今でこそGSX-Rシリーズといえば

「縦目ヘッドライト」

っていう感じだけど当時はこのウーパールーパーみたいな丸目二眼がブームで、その流れに逆らえず(というか一眼のデザインに問題があると思うんだけど)丸目二眼をキープ。

時代による姿勢の違いが面白いですね。

鈴鹿四耐

この頃、鈴鹿四耐(2st250と4st400の混合)やSP400を始めとしたレースが盛んになりだした事からレース向けにレースキット(シングルシート・クロスミッション・前後専用サス)を最初から組み込んだSPモデルまで用意されました。

GSX-R400Sp

翌1989年には通常モデルSP共にリアも17インチ化されてより現代的になり名前にRがもう一個付いてGSX-R400Rに。

ちなみにSP2というレアなグレードはSPベースなんだけどギア比がノーマルと同じでSPベースにより10万円安い69万9000円というかなりお買得なモデル。限定1000台だけどね。

GK73A

そういえば車体価格の話ってあんまりしてませんでしたね。

当時を知らない若いバイク乗りの人は

「こんなハイパワーな400があったなんていい時代だなあ」

なんて思うかもしれないけど、バイトの時給が400円の時代に73万9000円(CBR400RRもFZR400もZXR400もほぼ同値)と非常に高額で、いくらブームといえど若者がおいそれと買えるバイクじゃなかった。

しかもフルモデルチェンジの嵐で値段は上がる一方。レプリカ離れの一因でもあるわけですが最近のSSと似てますね。歴史は繰り返すのか。

GK73Aカタログ

ということでレプリカブームは去りつつあったんだけど、スズキはまだ納得できなかったのかスポーツを諦めたくなかったのか分かりませんが、250ガンマと同じく他所が手を引こうとも歩みを止めなかったんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1995/695/1110mm
シート高 735mm
車軸距離 1375mm
車体重量 160kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(53H)
後140/60R18(64H)
{前120/60R17
後150/60R17}
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
2.8L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 669,000円(税別)
[739,000円(税別)]
※[]内はSP
※{}内は89モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

GSX-R(GK71F) -since 1986-

GSX-R-F

「CHASED AGAIN」

GSX-Rの二代目(厳密に言うと3型)となるF型。わずか二年でほぼ全てを維新。

GSX-Rカタログ

まず当時のスズキが全力で推し進めていた水油空冷システムSTACSを搭載した新型エンジン。さらにアルミフレームも二層構造のDC-ALBOXに進化。

86GK71F

ただまあ皆さん見て分かる通り一体全体どこらへんがレプリカなのかよくわからないフルカウルデザインで人気は出ず。

恐らくその大部分を占めているのがヘッドライト。カウル分の重さを何とかするためにヘッドライトを一眼にしたんでしょうが・・・

ヘッドライト

眠そうな何の変哲もない角目が時代遅れな感じをものすごく醸し出してるっていう。

あまりの不人気っぷりにスズキもマズいと思ったのか、このGK71F型はわずか一年しか売られていない非常に珍しいGSX-Rです。性能は悪くなかったんだけどね。

GSX-R400/R
(GK71F)
-since 1987-

s

「華麗なるRの正装」

そしてこれが後期モデル。

レプリカ感の薄かった為に人気が伸び悩んでいた前期型をレーサーレプリカチックにしたモデル。

初めてGSX-R400と名乗ったのはこのGSXなんだけど、実はこれも翌年フルモデルチェンジという事で一年しか販売されてないから存在を覚えてる人は少ないでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2055/680/1155mm
[2050/680/1125mm]
シート高 755mm
車軸距離 1400mm
[1405mm]
車体重量 153kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.8kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/80-17(69H)
[前110/70-17(54H)
後140/60-18(64H)]
バッテリー YB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LR8A
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 639,000円(税別)
[699,000円(税別)]
※[]内は後期モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

GSX-R(GK71A) -since 1984-

GSX-R

「POWER ENDURANCER」

世間がスズキのガンマに一喜一憂していたわずか一年後に出してきた秘密兵器ならぬ秘密バイク第二弾のGSX-R。そして今もなお続くスズキSSの代名詞でもある”GSX-R”という名前が付けられた最初のバイクでもあります。

ちなみにGSXの意味は
G:Grand
S:Sports
X:4Valve

です。

1984

GSX-Rと名前が付くだけあってスペックは申し分ないもの。単体重量でわずか7kgしかないアルミフレームによるクラス最軽量(乾燥重量152kg)に加えクラストップの59馬力を発揮する水冷直四を積んだとんでもない400スポーツ。

GSX-Rメーター

少し前まであった400ccの59馬力規制が生まれたのは他ならぬGSX-Rのせいです。メーターが3000rpmより下が刻まれてない事からも凄さが分かるかと。

そしてキャッチコピーに「POWER ENDURANCER」とある様にこのバイクもレーサーレプリカの類い。元となったのは耐久レースで目覚ましい戦績(1983年のボルドール24時間耐久レース優勝など)を残していたGS1000R。

GSX-Rハーベーカラー

そのGS1000Rと同じカラーリングを施したHBカラーも限定ながら発売。

正に400のスーパースポーツなわけでそれはもう人気を呼びました。400レーサーレプリカの先駆車です。

ところでなんで400という数字が入っていないのかというと

スズキ曰く

GSX-Rカタログ写真

「もはやこれは400ccではない排気量を超えた速さを持っているから」

との事。

翌1985年にはキャブセッティングなどの微調整が入ってます。

主要諸元
全長/幅/高 2090/710/1185mm
シート高 780mm
車軸距離 1425mm
車体重量 152kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/11000rpm
最高トルク 4.0kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー YB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8HSA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 629,000円(税別)
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

Bandit1250S/F(GW72A後期)-since 2015-

2015年式bandit1250s

「All Round Performer」

マイナーチェンジが入ったbandit1250の最終モデルになるGW72A後期型。

主な変更点はアイドルの回転数を調整するISC(アイドルスピードコントロール)とSモデルのハーフフェアリング造形の変更。

バンディット1250フェイス

ラジエーターまで覆い隠すほど伸びたヨーロピアンチックな物になり、エンジンとホイールに次いでハンドル周りまでブラックアウト化して引き締まった印象に。

2015年式バンディット1250F

しかし残念な事に2018年の排ガス規制強化に伴い生産終了となってしまいました。

GSX-Sの登場でお役御免という形でしょうか。

最後に少し小言。

バンディット1250はスズキのネイキッドとしては代表作と言ってもいいほどの物だったんですが、ライバル勢と比べると少し影が薄かったのも事実。

2010年式GSF1250

でもですね、そこら辺のインプレサイトでもいいし実際に乗ったことがある知人でもいいのでbandit1250の感想を聞いてみてください。

下取りが安いという事を除けば悪い意見はほぼ聞かないと思います。

このbandit1250は本当にビッグネイキッドにあるまじき乗りやすさと楽しさを兼ね備えていたんですよ。

bandit1250ファイナル

それが何故かといえば、ビッグネイキッドなのにモノサスだから。そしてビッグネイキッドなのにSSのようなコンパクトさをもったエンジンとボディだから。

2018年式bandit1250

bandit1250はビッグネイキッドであることを魅せるのではなく、ビッグネイキッドとしての走りで乗り手を魅せるバイクでした。

主要諸元
全長/幅/高 2130/790/1235mm
{2130/790/1245mm}
シート高 790~810mm
車軸距離 1480mm
車体重量 252kg(装)
{256kg(装)}
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1254cc
最高出力 100ps/7500rpm
最高トルク 10.9kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6E/CR7E
または
U20ESR-N/U22ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,030,000円(税別)
{1,070,000円(税別)}
※{}内はバンディット1250F
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

【関連車種】
CB1300の系譜XJR1300の系譜ZRX1200DAEGの系譜

ACROSS(GJ75A)-since 1990-

アクロス

「NEW URBAN SPORTS」

不人気車として一部の人に有名なアクロス。奇しくも250ツアラーの代表格であるZZR250と同年デビュー。バンディットもゼファーと同年ですし何か因果を感じますね。

このバイクはどこか優しさがあったGSX-R250の前期モデルをベースに作られたツアラーのような・・・ツアラーじゃないようなバイク。

まず何処らへんがツアラー要素なのかというとフレームまで覆ったフルカバーカウルでライダーへ来る熱を遮断。ポジションも比較的アップライト。

そして何より25Lという大容量パーソナルスペースを備えている事。

アクロスメットイン機能

この機能がアクロス最大の特徴ですね。フルフェイスがすっぽり入るほどの大きなスペースでルームランプまで付き、ロックもちゃんと電磁式。

じゃあガソリンタンクは何処にあるのかというとリアシートの下で給油口はテールライトの上。スイッチを押すと蓋がパカっと開く仕組み。

アクロスカタログ写真

これだけ聞くと良く出来たツアラー・・・じゃあツアラーじゃない部分は何処かというと中身にあります。

最初に言いましたがアクロスはGSX-R250前期がベース。バンディット250と同じ45馬力/14500rpmを発揮するエンジンはとても元気でツアラーらしかぬ吹け上がり。

ただそれは裏を返すとそれだけ燃費も悪くなりがちで、シート下に燃料タンクを移したことで燃料タンク容量が12Lしかない事もあり、ツアラーなのに長距離走行はあんまり得意じゃなかったりするわけです。

GXS250Fカタログ写真

「”A CROSS(横断)”なのに横断が得意じゃないとはこれ如何に」

という事でCOBRAほどではないにしろあまり人気が出ず。

でもこれアクロスが悪いって言うよりスズキの売り出し方が悪かったような気が・・・。

GSX250F

確かにツアラーとして見ると疑問点が生まれてボヤケちゃうけど呼称名のGSX250Fの方にして

「荷物を載せられるGSX-R250」

アクロスの広告

とすればもっと魅力が伝わったんじゃないのかな。

主要諸元
全長/幅/高 2020/695/1135mm
シート高 mm
車軸距離 1380mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率 45km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 45ps/14500rpm
[40ps/13500rpm]
最高トルク 2.6kg-m/10500rpm
[2.7kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7HSA
または
U22FSR-U
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.6L
フィルター2.9L
スプロケ 前14|後48
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 545,000円(税別)
※[]内は93年モデル
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)

GSX-R250(GJ72A)-since 1987-

GSX-R250

「BATTLE IN CIRCUIT」

それまでの考えを改め、GSX-Rという名前で登場した末っ子のGSX-R250。

完全新設計の4バルブエンジンでボア・ストロークが49mm✕34mmとかなりのビッグボアショートストローク。

初代GSX-R250

耐久レーサーを彷彿とさせるイエローバルブの丸目二眼などレーサー色を一気に強めた・・・んだけど、じゃあ

「GSX-R250はカリカリのレーサーレプリカか?」

というとそうでもなかったります。分かり易いのがポジション。

GSX-R250前期

レーサーレプリカというわりにはそれほどハンドルも低くなく、足つきもいうほど悪くない。

他にもシート形状がセパレート(タンデムシート別体)ではなく、積載性やタンデムを考えたダブルシート(タンデムシート一体)になっていることや、ブレーキペダルが転倒による破損に強い事からオフロードバイクに多く採用されているオーバーステップタイプだったり。

R250

もともとこのクラス(4st250cc四気筒)というのはどのメーカーのもレーサーレプリカとしては比較的優しいんだけど、それを考慮してもこのGJ72A型(GSX-R250前期)はかなり優しい。

FWのコンセプトを捨てきれ無かったのかは分かりません・・・が、これが最後の良心というか優しさ。

GSX-R250R/SP
(GJ73A)
-since 1989-

GSX-R250R

フルモデルチェンジされ末尾にRが付いた事からもカリカリになったのが伺えるGJ73A型(GSX-R250R後期)

アルミツインチューブ&スタビ付きスイングアームへの変更で大幅な剛性アップ。そしてそのフレームに搭載されるエンジンもボア/ストローク比こそ先代のままだけど

・クランクシャフトの軽量化

・吸気バルブの大径化およびストレートポート化

・2バレルキャブから4連キャブに変更

・フレッシュエアーをエンジンヘッドやキャブへ積極的に当てることで冷却すSCAI

などなど・・・もう完全にレーサーになりました。

これはアマチュアのSPレースが盛り上がっていた事からでそのレースに向けたプロダクションのSPモデルはソコからさらに

・1-3速までをクロス化

・シングルシートカウル

・多段減衰力調節機能付きサスペンション

などなど。

今までのコンセプトは何だったのかと言われても仕方ないほど吹っ切れてる。

GSX-R250R SP

レースが絡むと目の色が変わるスズキでした。

主要諸元
全長/幅/高 2000/700/1105mm
{1990/695/1080mm}
シート高 734mm
[730mm]
車軸距離 1370mm
[1380mm]
車体重量 138kg(乾)
[143kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 13.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 45ps/14500rpm
[{45ps/15000rpm*]
最高トルク 2.5kg-m/10500rpm
[{2.6kg-m/10500rpm}]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後130/70-17(62H)
[{前110/70-17(54H)
後140/60-18(64H)}]
バッテリー FT12A-BS
[{FTX7A-BS}]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
L8A
または
U24FS-U
[{CR9E}]
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.6L
交換時2.0L
フィルター交換時2.3L
[{全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.2L}]
スプロケ 前13|後47
[{前14|後48}]
チェーン サイズ520|リンク108
[{サイズ520|リンク112}]
車体価格 539,000円(税別)
[599,000円(税別)]
{617,000円(税別)}
※[]内はRモデル
※{}内はSPモデル
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)

GIXXER SF250(ED22B)-since 2020-

SF250/ED22B

「BORN OF GREATNESS」

先に紹介したGIXXER250のフルカウルバージョンとなるGIXXER SF250/ED22B。

SFは”スポーツフェアリング”という意味でネイキッド版との違いは

・セパレートハンドル
・フルフェアリング
・カウルマウントミラー

などとなっています。

SF250セパレートハンドル

決定的な違いはフェアリングもそうなんですが、セパレートハンドル化に伴う前傾ポジションでフロント荷重が増し安定寄りなものになっている事。

SF250デザインスケッチ

それ以外の部分はネイキッド版と同じで+4kgと+3万円。

ところでネイキッド版のGIXXER250とフルカウル版のSF250どっちが人気なのかって話ですが、たまたま二輪車新聞に載っていた並列物の販売台数でいうとおおよそ

『無印:SF250|1:2』

でSF250の方が倍近い人気のようです。

SF250デザインスケッチ

やはり時代はフルカウルなのか。まあ確かにSF250のデザイン凄く纏まってて良いですからね。

以下は初心者の方に向けたちょっとした個人的余談。

「免許取得中でGIXXER250を検討しているので書いて欲しい」

という旨の嬉しい問い合わせが結構あってて恐れながら書かせてもらってるんですが、じゃあこのモデルどうかといえば

SF250壁紙

「本当に完璧なまでに初心者向けのバイク」

と思います。

初心者向けっていうのは軽くて運転しやすいからとか、コスパが良いからとかも勿論あるんですが一番は

ジクサー250 LED

「教材みたいなバイクだから」

です。

GIXXER250/SF250を検討するという事は少なからずスポーツ走行に興味があると思われるのですが、スポーツ走行をする場合こういうモデルが本当に勉強になる。

最大の要因はシングルエンジン(単気筒)だからです。

シングルエンジン

簡単に言うとシングルエンジンはピストンつまりパワーを生む機械であり機会が一つしか無いことから、アクセルワークに対するエンジンの応答が多気筒のように掛け算も割り算もされずそのまま返ってくるから凄く分かりやすい。

何故それが良いのかって言うとこのアクセルワークっていうのは本当に、本当にライディングにおいて大事だから。

運転が上手な人や速い人は何が違うのかっていうとアクセルワークが違う。

「繊細かつ大胆なアクセルワークを身につけているから」

と言っても過言じゃないほどで、逆に言うとこれが成っていないとどれだけ高性能なマシンやタイヤにしようが上手くならないというのは定説。

だからスポーツに属するカテゴリの練習やスクールなんかでも

『シングルスポーツ』

というのは非常に好まれるし勧められるんです・・・が、一方で市場ではあまり理解されない側面もあるため

・日常使いに特化したエントリータイプ

・日常使いを犠牲にしたエキスパートタイプ

という両極端なモデルになりがちな傾向がある。

ジクサー250エンジン

GIXXER250/SF250が初心者向けだと思う根拠はここにあって、低回転からモリモリ走る250ccのシングルエンジンと軽さで初心者でも比較的楽に街乗りなどの日常使いが出来る要素がしっかりありつつも

「そこから一歩踏み込んだスポーツ要素」

も合わせ持っている非常にバランスが取れたシングルスポーツモデルだから。

だから最初のうちは何も考えなくても楽に走れる良いバイクに感じると思います。でも慣れてきてアグレッシブな運転に挑戦するようになると途端にその楽さは無くなる。高性能な多気筒モデルにありがちな上手く走れてるという”勘違い”はさせてはもらえない。

それにモード切り替えやトラコンなどマシン側で特性を変えてくれる物はほぼ付いておらずサスペンションもリアのプリロードのみ。大きく変える事が出来るのは自分自身のアクセルワークしかないから上手く乗れるようになろうと思ったら

「考えながらアクセルを捻る」

という上達のために必須な要素を必然的に強く求められる。

ジクサー250カタログ

それを右も左もまだ分かっておらず変なクセも持っていない真っ白な状態から始める事が出来るのは

『初心者の特権』

であり、その経験は間違いなく長く続くバイクライフを豊かにする最短ルートになる。だからGIXXER250/SF250は初心者にはもってこいなモデルと思うわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2010/740/1035mm
シート高 800mm
車軸距離 1345mm
車体重量 158kg(装)
燃料消費率 37.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 12.0L
エンジン 油冷4サイクル単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/9000rpm
最高トルク 2.2kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
MR8E-9
推奨オイル エクスター
R9000/R7000/R5000
10W-40 MA2
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.18L
フィルタ交換時1.2L
スプロケ 前13|後40
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 438,000円(税別)
系譜図
NZ250 1986年
NZ250/S
(NJ44A)
ジクサー250 2020年
GIXXER250
(ED22B)
ジクサーSF250 2020年
GIXXER
SF250
(ED22B)

RGV-Γ250SP(VJ23A)-since 1996-

RGV-Γ250SP

「RACING CONCEPT 70°V」

既にレーサーレプリカブームが完全に去ったと言っても過言ではない1996年に本当にまさかのフルモデルチェンジ。

延命のモデルチェンジじゃないですよ、本当に何もかも新しく造り直された正真正銘のフルモデルチェンジ。

RGV-Γ250のロゴ

車名がGPワークスマシンと同じになった通り
・アンダーチューブを廃した新設計ツインチューブフレーム
・着脱式超軽量セルスターター(700g)
・キック廃止による新デザインのカウル
・特許問題を回避した新湾曲スイングアーム
・クラス初のラムエアシステム
・55mmも短縮されたホイールベース
などなど、そして何よりマスの集中化とホイールベースの短縮、更にレイアウトの自由度にも貢献する新開発挟み角70°V型エンジン。

VJ23Aエンジン

その造り込みの本気度からも分かる通り、リミッターを解除したVJ23A型の速さは本当にずば抜けており

「唯一NSR250Rに対抗できるマシン」

という声がレース界隈の人たちから、そして当時のインプレッションでも

「SPはもちろんGPレースに出場できるポテンシャルを持っている」

と言われるほど本当に速かった。

RGV-Γ250

ただしこのバイクの本当に紹介したい凄い部分は、これらワークス譲りの性能よりもここに至るまでの経緯です。

先代でも話しましたが250ガンマは十二分に速かったにも関わらずワークスマシン人気が爆発したことで、貧乏ゆえにGP250レースにワークス参戦していなかったスズキは

「レーサーレプリカじゃない」

というケチが一部で付けられたりしました。

それが我慢ならなかった開発陣は色んな部署から予算を捻出してもらう事で89年からGP250用ワークスマシンを開発し20年ぶりに参戦。

そして見事1995年に全日本GP優勝を飾ったわけです。

VJ23Aと沼田選手

250ガンマがライバルと決定的に違う所はここ。

「ワークスマシンとレーサーレプリカの立ち位置が逆」

という事です。

普通はレースチームが開発したワークスマシンがあって市販車チームがそれを元にレプリカを開発する。でもスズキ/250ガンマの場合は逆。

フィードバックの流れ

市販車チームがワークスマシンを開発して参戦というどっちがレプリカなのか分からない状態だったんです。

どうしてそうなったのかというと250ガンマが誕生したのがGP250レースが本格始動する前だった事が一つ。そしてもう一つはスズキはお金がないのでワークスマシン開発も市販車開発も何でも自分たちでやらないといけない環境だったから。

でもだからこそこんなモデルを造ることも出来た。

VJ23A

RGV-Γ250SP/VJ23Aの開発に携わった方々の多くはワークスマシンXR95の開発に携わった方々でもあるんです。

ただし何度も言いますが90年代に入るとレーサーレプリカブームは尻すぼみだったからエンジン設計の山口さん曰く

「社内で今世紀最後の道楽だと揶揄された」

と、相当肩身が狭かった模様。※RACERS25より

VJ23Aリア

当たり前ですよね。

もうブームは去っている上に、排ガス規制強化の関係で出したとしても2年ほどしか販売出来ないのはわかっていた状況なんですから。

レースをやらせてもらうだけでも理解されないのに、売れない事が分かりきってる市販車を開発なんて批判されて当然なこと。

ならば何故それでもこれを開発し販売したのかといえば
「何のためにワークスマシンを開発したのか」
「何のために参戦し優勝したのか」
に繋がる。

ラッキーストライクカラー

「250ガンマのイメージシンボルはワークスマシンではなく市販車の250ガンマだから」

です。

250ガンマは元々プロダクション(市販車)レースの為に生まれたわけじゃない。

「レーシングポテンシャルを皆に味わってもらう為に生まれたバイク」

だからこそレースで勝って終わるのではなく、そのレースで培ったノウハウを持った市販車を出すことが250ガンマにとっての最終目的であり存在意義だったんです。

諸元表

VJ23Aは本当にガンマの最後を飾るに相応しい、ガンマという名を体現しているバイクだと思います。

”Γ(ガンマ)”

は栄光を意味する名。この名が初めて与えられたのは1981年WGP500のワークスマシンRGΓ。

ガンマの始まり

理由は1977年以来遠ざかっていたレースに復帰する際に

「チャンピオンという栄光を取り戻す」

という意気込みから。

つまり”Γ(ガンマ)”という名はもともと栄光という単純な意味じゃないんです。

『栄光を取り戻す名』

という意味が込められている。

そして250ガンマもRG250Γで自身によって切り開いたレーサーレプリカという栄誉を一度は手にした。しかし晩年はライバルの先行を許す形となりました。総合的な人気や戦績でいうとガンマが一番とは言えない部分も正直ある。

でも文句のつけようがない形で出た本当に最後のレーサーレプリカは間違いなくRGV-Γ250SP/VJ23A。

VJ23Aカタログ

「失った栄光を取り戻す為に開発されたレーサーレプリカ」

これぞ正に『栄光のガンマ』ですよね。

ちなみにこれら開発の熱すぎる思いはカラーリングにも込められています。

VJ23Aカラーリング

VJ23A型はボディーカラーを問わずチェーンアジャスターやフォークキャップなど各部に紫が入っているんですが、ボディカラーにまで反映させた写真一番右のカラーリング名が『ビスカリアマゼンタ』となっている事から、これはビスカリアというナデシコ科の花の色が由来だとわかる。

紫のパーツ

なんでビスカリアなのかといえば答えは花言葉にあります。

ビスカリアの花言葉それは・・・

RV23Aカタログ写真

「望みを達成する情熱」

主要諸元
全長/幅/高 1965/695/1095mm
シート高 765mm
車軸距離 1330mm
車体重量 134kg(乾)
燃料消費率 25.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷2サイクル2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/9500rpm
最高トルク 3.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後150/60-17(66H)
バッテリー FTX5L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ECM
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 777,000円(税別)
系譜図
RG250/E1978年
RG250/E
(GT250/2)
RG250Γ1983年
RG250Γ
(GJ21A)
RG250Γ1985年
RG250Γ
(GJ21B)
VJ211988年
RGV250Γ/SP
(VJ21A)
VJ211988年
WOLF
(VJ21A)
VJ221990年
RGV250Γ/SP/SP2
(VJ22A)
VJ231996年
RGV-Γ250SP
(VJ23A)

【関連車種】
NSR250Rの系譜TZR250の系譜KRの系譜

RGV250Γ/SP/SP2(VJ22A)-since 1990-

VJ22A

「進化の到達点」

再び大きくモデルチェンジしたVガンの二代目となるRGV250Γ/VJ22A型。

マフラーが左右二本出しから片側二本出しになり、ホイールも現代と同じ17インチ化、更には倒立サスまで装備し、それに合わせてフレーム改良。

1990RGV250

そして何より大きくチャンバーを避けるように湾曲したCAL-BOXスイングアーム(湾曲スイングアーム)が特徴ですね。

ここでレーサーレプリカを知らない世代の為にも少し話を脱線しますが、2st250cccレーサーレプリカといえば先ず上がるのがNSR250Rで次点はTZR250でしょう。

それは当時も同じでガンマは人気知名度で言えば三番手であり、それどころか人によっては

「ガンマはレーサーレプリカじゃない」

という人も居ました。

VJ22Aカタログ

「レーサーレプリカじゃないとはどういう事か」

という話なんですが、これはロードレースつまりレーサーが関係しています。

もともとレーサーレプリカというのはレーシングスペック的な意味合いだったのですが、80年代半ばになるとGP250というワークスマシンが源流にあって、その流れを受けているのがレーサーレプリカという意味合いになりました。

レーサーレプリカ

これがその相関図みたなもの。

じゃあスズキはどうだったのかというとGP500のワークスマシンは持っていたもののGP250のワークスマシンを持っていなかった。

ガンマは系譜の最初に話したようにWGP500のチャンピオンマシンだったRG500を250ccサイズで実現させるというコンセプトの元に生まれたバイクだったから当然な話でもあるんですが、この事からライバルたちにセールス面で引けを取ってしまった。

レーサーレプリカVJ22時代

なんで250に参戦していなかったのかと言えばスズキにそんなお金は無かったからです。

でもそれじゃダメだという事で営業から設計まで色んな部署に予算を割いてもらう事で1989年から

レーサーレプリカ

『ワークスマシンRGV-Γ250』
の開発及び参戦を。

これはシングルシートや乾式クラッチ、フルクロスミッション(※SP1のみ)を採用したSPモデル。

VJ22Aカタログ

それと同時に正真正銘GP250のレプリカカラーリングのモデルでもありました。

話をVJ22A型に戻すと、二年目にはオーバルキャブへ変更され中低速トルクをアップ&足回りも見直し。

そして三年目にはレーサーレプリカブーム終焉の始まりである40馬力自主規制対応モデルとなりました。

RGV250カタログ

この40馬力規制の大名目は社会風潮を鑑みてなんですが、いわゆる逆サバも止めようという狙いもあった。今では信じられませんが当時はカタログ馬力は体裁のために低く書かれていたんです。

ちなみに言い出しっぺはホンダですがスズキを含め全メーカーがのみました。

しかしこのガンマの場合、40馬力になった三型にはソレ以上に大きな変更が加わっています・・・それはスイングアーム。

RGV250カルアーム

湾曲スイングアームことCAL-BOXスイングアームから、ねじれ剛性が10%アップした通常のスイングアームになったんです。

これはCALアームの性能が悪かったワケでなく、ガルアー・・・特許の問題でこうなったようです。

CALアーム

湾曲系スイングアームの中ではとっても造形が綺麗で好評だっただけにちょっと残念ですね。

主要諸元
全長/幅/高 1980/690/1070mm
シート高 765mm
車軸距離 1380mm
車体重量 139kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷2サイクル2気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
[40ps/9500rpm]
最高トルク 3.9kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後150/60-17(66H)
バッテリー YT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ECM
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 609,000円(税別)
[616,000円(税別)]
※[]内は後期(92~)
系譜図
RG250/E1978年
RG250/E
(GT250/2)
RG250Γ1983年
RG250Γ
(GJ21A)
RG250Γ1985年
RG250Γ
(GJ21B)
VJ211988年
RGV250Γ/SP
(VJ21A)
VJ211988年
WOLF
(VJ21A)
VJ221990年
RGV250Γ/SP/SP2
(VJ22A)
VJ231996年
RGV-Γ250SP
(VJ23A)