W800(EJ800A) -since 2011-

W800/EJ800A

「美の継承」

ベベルギアの減価償却が済んだから許されたのかフルモデルチェンジし800となったW800。

W650をベースにボアを5mm拡大することで773ccとし、FI化で排ガス規制をクリア。

W800マフラー

排ガス規制が厳しくなろうと空冷&キャプトンマフラーで通してきた事に執念を感じますね。

更にカバーレスショックアブソーバーやキックスタートの廃止による軽量化、シート形状見直しによる脚付き改善なども加わっています。

そんなW800ですが、待ち望んでいた人が多かったのか初年度だけで約2000台受注と2011年上半期販売台数ナンバー1の人気でした。

W800カフェスタイル

コチラは新たに追加されたカフェスタイル。

W650で書きそびれたのですが、Wシリーズはお高くとまっているトコトコクラシックではないですよ。

『直四とは違う新しいスポーツ』

というのが始まりなだけあって見かけによらずスポーツの要素も併せ持っています。

W800

もちろん絶対的な速さはないんですが

『360度クランクにしか出せないパルス感』

『ベベルギアにしか出せない唸り音』

で乗り手をその気にさせてしまう、まさに直四とは違うスポーツさを持っているんです。

W800カタログ

とはいえ分類されるとしたらクラシックの類に入るでしょう。

そしてクラシックといえば原型を留めないほど思い思いのカスタムをするのが通例・・・なのにWシリーズに乗っている人はあまり弄っていない人が多いというか、ほぼノーマルでパッと見でもWと分かる車体ばかり。

カワサキW800

これも実は開発チームのこだわりが影響しているんですよ。

新世代Wの企画を担当された谷さんがこう仰っています。

「素材として提供して、後はお客さんの好きにどうぞって考えもありますけどWは違います。」

W800カタログ写真

「コレが一番カッコよくて、コレが一番綺麗だと自信を持って提示してるバイクなんです。」

ノーマルのまま乗るオーナーが多いのは、そんな思いが無意識に伝わっているからなんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2180/790/1075mm
シート高 790mm
車軸距離 1465mm
車体重量 216kg(乾)
燃料消費率 33.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC2気筒
総排気量 773cc
最高出力 48ps/6500rpm
最高トルク 6.3kg-m/2500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後130/80-18(66H)
バッテリー YTX12-BS
プラグ CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.2L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後37
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 850,000円(税込)
系譜図
メグロ1960年
メグロシリーズ
W11966年
650-W1
(W1/S/SA)
650RS1973年
650-RS
(W3)
EJ6501999年
W650
(EJ650A/C/D/E)
EJ4002006年
W400
(EJ400A)
EJ8002011年
W800
(EJ800A)
EJ800A2019年
W800
STREET/CAFE
(EJ800B/C)

Ninja250SL(BX250A) -since 2015-

ニンジャ250SL

「シンプルでレーシーなピュアスポーツ」

Ninja250と併売して発売されたNinja250SL。SLというのはコンセプトであるスーパーライト(SUPER LIGHT)から。

言ってしまえば単気筒Ninja250で、エンジンはKLX250(D-TRACKER X)の物という正に21世紀の250CS。

Ninja250SL後ろ

装備重量149kgと二気筒の本家Ninja250よりも20kg以上軽いうえに嬉しいことに10万円以上も安い。

SLの驚くべきはNinja250とKLX250のニコイチというわけではなく250CSより更に尖らせて来たこと。

Ninja250SL内部

ユニトラックサスは当然ながら、SLのためにわざわざトラスフレームを新たに用意するこだわりっぷり。その上に載るタンクやカウルもかなり絞ってあります。

これが何故かと言えばそれが250SLのコンセプトだから。

Ninja250Sl上から

「とにかく軽く、とにかくコンパクト、とにかくスリム」

というスーパースポーツの様なコンセプトで造られたのがSLなんです。

ニンジャ250SL KRT

だからポジションの前傾も250にしては強めでサスも結構硬い。

更にはこう見えて足つきもそれほど良くない・・・と見た目通り結構尖ってる250。

Z250SL
(BR250E)
-since 2016-

Z250SL

「スーパーライトウェイトZ」

復活と言っていいのかNinja250SLから一年遅れで国内に投入されたネイキッド(バーハンドル)バージョンのZ250SL。

カウルが省かれてる分Ninjaより更に1kg軽いです。

Z250SLホイールベース

基本的な構造は先に紹介したNinja250SLと同じなので省略しますが、言い忘れていた事としてホイールベースがあります。

このSLのホイールベース(前輪軸と後輪軸との距離)は1330mmしかありません。これは現存する250の中ではヤマハのトリッカーと並ぶ最短の長さ。

Z250SLフレーム

ホイールベースが短いと動きや取り回しが凄く機敏。

更にもう一つ・・・それは単気筒特有の特性。

Z250SLエンジン

シングル(単気筒)は寝かし込みが軽いと言われているのを聞いたことがあると思いますが、それは簡単に言うとクランクシャフトが短い事からジャイロ効果(姿勢を真っ直ぐ保とうとする力)が弱いのが理由。

つまり寝かせたいなら自分で寝かせないと行けないし、起こしたいなら自分で起こさないといけない。

『ライトウェイト×ショートホイールベース×シングルエンジン』

Ninja250SL/Z250SLが

「めちゃくちゃ軽い」

と言われるのは単純に車重が軽いからではなくライトウェイトスポーツとして大事なこの三要素を外さなかったから。

Z250SLオレンジ

街乗りだろうがツーリングだろうがムチ打ちながら常に目を三角にして全力疾走・・・というカジュアルさの欠片も無い走りが得意なスプリンターバイク。

オールマイティな二気筒のNinja250が既にあったからここまで思い切った事が出来たんでしょうね。

ただ残念な事にエンジン元であるKLX250/D-TRACKERが生産終了になったことでNinja250SL/Z250SLも2017年をもって終了となりました。

ニンジャ250SLとZ250SL

しかし「販売台数ランキング」で何度かTOP10入りを果たしたのを見ても、少なくとも250CSのリベンジは成功したと言っていいかと思います。

恐らくこのバイクに飛びついたのは初心者より大型含め色々乗り継いだ上級者じゃないかと。

ライトウェイトのシングルスポーツってヘビーウェイトのマルチスポーツを経験しないと魅力が分かり辛いのが玉にキズなんですよね。

主要諸元
全長/幅/高 1935/685/1075mm
[1935/700/1015mm]
シート高 780mm
[785mm]
車軸距離 1330mm
車体重量 149kg(装)
[148kg(装)]
燃料消費率 31.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 29ps/9700rpm
最高トルク 2.2kg-m/8200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52S)
後130/70-17(62S)
バッテリー YTX9-BS
プラグ MR8CI-8
または
CR8EIX
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量1.3L
交換時1.0L
フィルター交換時1.1L
スプロケ 前14|後42
チェーン サイズ520|リンク104
[サイズ520|リンク108(104※17年モデル)]
車体価格 425,000円(税別)
[405,000円(税別)]
※[]内はZ250SL
系譜図
Z200

1977年
Z200
(KZ200A)

Z250FS

1980年
Z250LTD/FS
(KZ250LTD/C)

250CS

1985年
250CS
(BR250A)

Z250SL/ニンジャ250SL

2015年
Z250SL
(BR250E)
Ninja250SL
(BX250A)

【関連車種】
CBR250/CB250の系譜YZF-R25/3の系譜GSX250R/GSR250の系譜

Ninja650(EX650K) -Since2017-

2017Ninja650

これまた環境規制に対応するためにモデルチェンジされたK型。

見た面も中身もガラッと変わりました。外見の方は正にNinjaシリーズといった顔つきになりましたが、それ以上に変わったのが中身の方。

エンジンの基本設計は変わらないものの理想的な燃焼(空燃比)を実現するため自動補正スロットルバルブが付きデュアルタイプになりました。他には今や当たり前となってしまったアシストスリッパークラッチも装備。

2017Ninja650

ダブルペリメターフレームからトレリスフレームへと再び戻されスイングアームも新設。全体的にコンパクトにされた事もあって20kg近く軽くなってる。

あとサスペンションがカワサキイチオシのホリゾンタルバックリンクになりました。そのおかげか規制対応の為に大きくなったプリチャンバーとマフラーが今まで以上に腹下にしっかり収まってます。

ハンドルもパイプタイプだったものが根本が繋がっている肉抜きセパハン化。そして可変式スクリーンにギヤポジションインジケーター&シフトアップインジケーター付メーターと色々な部分が多機能に。

2017Ninja650

もうここまで来ると日本製と大差ないんじゃないかと思えてきますね。多分カワサキもそこら辺に凄く気を使ってるんでしょう。

そしてこのモデルからネイキッドバージョンであるER-6nがZ650と改められました。ザッパー(1980 Z650)を思い出す人は・・・そんなに居ないか。

Z650
(ER650H)
-Since2017-

2017Z650

カワサキの二大看板であるNinjaとZの融和がどんどん進んでますね。

ネイキッドバージョンのZとフルカウルのNinja戦略が上手くいってるんでしょう。ダブルペリメターフレームをやめたのはZの事もあってだったのかな。

基本的にはこれまでのERと同様に中身はNinja650と同じだけどネイキッドなぶん193kg(装備重量)と6kgも軽くなってます。

2017Z650

面白いのがLEDテールライトでこのZ650もZのデザインコンセプトである”SUGOMI”の例に漏れずテールライトはZの形。

NinjaはXだからわざわざ作り分けたのかと思ったけどそうではなく、点灯位置をそれぞれ切り替えることで変化させてる。

Z650・Ninja650テールライト

・・・ちょっと歯抜けみたいだけどテールライトを覗き込む人なんて居ないでしょうから気にする事でもないか。

少し話が反れますが、ER-6でタイカワサキの話をしてたので最近の話を。

2009年に起こった世界恐慌による先進国の需要落ち込みから、カワサキは生産を段階的に明石からタイへ移管する計画

明石→日欧米向けの高額モデルメイン(25万台生産から10万台生産へ)

タイ→その他のバイク(10万台生産から25万台生産へ)

を進める事となりました。

明石工場

しかし耳にした人も多いかと思いますが、最近では逆にタイから明石に生産を戻す計画(明石工場での生産を10万台から15万台へ)が進められています。

これにはこれまた複合的な要因があるわけですが簡単に言うと

・ASEANの経済成長による人件費高騰と円安でタイで作っても明石で作ってもコストが変わらなくなってきた事

・年々大きくなるASEANの二輪市場用のニューモデルをタイで作るため

といった事から(ホンダなども取り組んでるみたいですが)ASEANから部品を輸入して日本で組み立てる動きが出来てきてるわけです。Ninja250なんかが正にそれなんですが、Ninja650/Z650も日本ではあまり売れないから国内モデルは日本製になる日が来るかも。もはやタイ製でも問題ないんですし、嬉しくもあり悲しくもある理由ですが。

ちなみに明石工場ではロボット事業にも強いカワサキらしく(豆知識:我々が知らないカワサキの別の顔)、自動で必要な部品を所定の場所まで運んでくれるDIY臭プンプンの可愛いロボットが走っています。

ポカヨケ君

ポカヨケシステムというそうです。ポカヨケ君とでも呼ばれているんでしょうかね。

さてさて・・・あんまり車体について話しませんでした。語るタイプのバイクではないので大目に見て欲しいところです。

実際日本でこのバイクに興味のある方は少ないから読む人もそんなに居ないと思いますし。

カワサキを代表するペットネームであるNinjaという割には

「大型バイク」「パラツイン」「先鋭要素無し」

という日本の市場や文化にアンマッチな要素を3つも兼ね備えてますもんね。

Ninja650KRT

最近は当たり前になってきたのでだいぶ聞かなくなりましたが”パラツインなんてNinjaじゃない”と思う人も居るでしょう。

お気持ちはわかります。しかし世界で見た時、カワサキのNinjaといえば今やこの650なのが現実。

ただ安くて台数が出てるだけではありません。確かにコストパフォーマンスに優れる点もNinja650/Z650にとっては欠かせない要素の一つですが、GPZ500Sから一度も期待を裏切らない造りを続けてきたからこそ非常にシビアなミドルクラスで評価され、愛され、欧州カワサキを代表するバイクにまで上り詰めたんです。

それが表れているのがドイツのケルンで開催される世界最大級にして欧州を代表するモーターショーの一つであるインターモト。

インターモト2016カワサキninja650

このインターモト2016でNinja650は初お披露目となったわけですが、単に発表されたわけではなく新型Z1000SXやH2と並び他の車種を抑えてコンパニオン付きお立ち台に上げられるVIP待遇。

これこそカワサキの看板車種の証であり、来場する多くのギャラリーが関心をよせる車種の証でもあるわけです。

Ninja650KRT

そうですねえ・・・このバイクを例えるなら

「最高のNinja/Zではないけど最良のNinja/Z」

といったところでしょうか。

主要諸元
全長/幅/高 2055/740/1135mm
[2055/755/1080mm]
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 193kg(装)
[187kg(装)]
燃料消費率 24.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 649cc
最高出力 68ps/8000rpm
最高トルク 6.6kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTZ10S
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.3L
交換時1.6L
フィルター交換時1.8L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 748,000円(税別)
[728,000円(税別)]
※[]内はZ650
系譜図
GPZ500S1987年
GPZ500S
EX500R
Ninja500R
(EX500A)
ER-51997年
ER-5
(ER500A/C)
ER-62006年
ER-6f
(EX650A)
ER-6n
(ER650A)
Ninja650R2009年
Ninja650R
(EX650C)
ER-6n
(ER650C)
Ninja6502012年
Ninja650
(EX650E)
ER-6n
(ER650E)
2017Ninja6502017年
Ninja650
(EX650K)
Z650
(ER650H)

Ninja650/ER-6n(EX650E/ER650E)-Since2012-

Ninja650

環境規制に対応するためフルモデルチェンジされたER-6nと車名からRが無くなったNinja650のE型。

このバイクのモデルチェンジ史を見ているとKMTの生産技術進歩が日進月歩で進んでいる事を感じられますね。これはカワサキに誘われて付いて行ったサプライヤーの努力もあるわけですが。

ER-6n

外見が大きく変わってますが目を引くのは非常に独創的なダブルパイプペリメターフレーム。

まるでツインスパーフレームの様なパイプフレームでスイングアームまで手を抜かず同じ流れを汲んでいるのが凄く面白いし洒落てる。正直モデルチェンジでこのフレームじゃなくなったのはちょっと残念。

ER-6n

街乗りからワインディングまで幅広い用途に柔軟に対応できるように剛性が見直されたそうです。エンジンの方も先代にも増してスムーズさがアップ。

日本ではNinja650がメインだけどER-6n/ER650E型はそんなフレームデザインに負けない外装に。

2013ER-6n

まあしかし走ってる所を見ないですね・・・失礼ながらカワサキらしからぬ独創的とまとまりだと思うんだけど。

そういえば先代はタコメーターがデジタルだったんだけど、どうも不評だったようでこのモデルからnはタコとスピードメーターを反対に、Ninjaはフルデジタルからタコのみアナログへと変更されました。

白バイNinja

上がnで下がNinja、左が先代で右がこのモデル。400と混合してるのですがまあ分かって頂けると思います。タコメーターはアナログ派が多いのかな。

カワサキはSSに留まらずZとかのネイキッドでもフルデジタル化に積極的だったんだけど、ユーザーの意見が絶対なミドル市場では流石に折れたみたい。

カワサキKMT

ちなみにタイで作ってるということでASEANにも関税なしで輸出つまり販売出来るようになったわけですが、流石にこのクラスが売れるような市場ではないのでそれほど売れない。

白バイNinja

その代わりといっては何ですが、ご覧のように白バイに採用されてたりします。ちなみにコレはフィリピン。

主要諸元
全長/幅/高 2110/770/1180mm
[2110/770/1110mm]
シート高 805mm
車軸距離 1410mm
車体重量 209kg(装)
[204kg(装)]
燃料消費率 -km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 649cc
最高出力 72ps/8500rpm
最高トルク 6.5kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.3L
交換時1.6L
フィルター交換時1.8L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 780,000円(税別)
[760,000円(税別)]
※[]内はER-6n
※ABSモデルは+2kg
系譜図
GPZ500S1987年
GPZ500S
EX500R
Ninja500R
(EX500A)
ER-51997年
ER-5
(ER500A/C)
ER-62006年
ER-6f
(EX650A)
ER-6n
(ER650A)
Ninja650R2009年
Ninja650R
(EX650C)
ER-6n
(ER650C)
Ninja6502012年
Ninja650
(EX650E)
ER-6n
(ER650E)
2017Ninja6502017年
Ninja650
(EX650K)
Z650
(ER650H)

VERSYS1000(LZ1000B) -since 2015-

2016ヴェルシス1000

「Riding Fun」

二代目VERSYS1000にあたるB型。

先代のマッスル感の強い顔が不評だったのか弟の650と一緒にNinja顔へと変更されました。でもやっぱりただでは起きないのかNinjaなんだけどちょっと異型。

2015ヴェルシス1000顔

暴走モードで口を開けたエヴァンゲリオンみたいですが、これ単なるデザインというわけではありません。正面の空気を左右に捌きつつラジエーターやエンジン周りといった熱源に積極的に風を当てる為の機能的デザインだったりします。

その他の変更点としては吸気の見直しによるレスポンス向上(2馬力UP)とアイドリング時のジェネレーター出力の増加(12.3A→15.3A)、そしてスリッパークラッチを採用によるバネレートを軽減(クラッチが軽くなる)、パニアケースのアタッチメント刷新とOPの更なる充実、燃費の向上などなど。

カワサキグリーンプロダクト2015

アドベンチャーとして更なる磨きをかけカワサキグリーンプロダクト2015に選ばれました・・・・・が、ここで少し耳の痛い話。

実はこのVERSYS1000は海外(特に欧州)では意見が真っ二つというか賛否両論あります。

その最大の理由が直列4気筒エンジン。アドベンチャーで直列4気筒というのは通常では有り得ない話なんです。

直列4気筒というのは非常に合理的なエンジンなんですが、それは馬力を求められるオンロードでの話であってオフロードではタブー。

その理由は横に4つ気筒を並べるわけなので車幅が増す事や、車重が増えてしまう事からバランスを取らないといけないオフロードでは扱い辛さ悪く走破性に難が出るから。他にも燃費が悪い、低速トルクがない等の問題も出てきます。

KLZ1000Bエンジン

ライバルであるAFRICA TWIN(HONDA)やSuper Ténéré(YAMAHA)が並列二気筒な事やV-STROM1000(SUZUKI)がVツインなのはそういう理由からなんですが、VERSYS1000の場合は更にホイールも前後17インチという完全にオンロードバイクな形。

その為アドベンチャー文化やダートが身近な欧州を中心とした国では

「何も分かってないビッグアドベンチャー」

と一部で言われていたりするわけです。これはNinja650やVersys650といった大好評&大成功を収めた並列二気筒のバイクがあったにも関わらずという背景も影響していると思います。

じゃあどうしてカワサキがこんなにズレたアドベンチャーを出したのかというと、恐らくアドベンチャーのイメージがカワサキには無いからかと。

アドベンチャーの最高峰といえば何と言ってもパリダカですが、砂漠の女王NXR(HONDA)、地球を制した記号 Ténéré(YAMAHA)、ファラオの怪鳥DRZ(SUZUKI)、といったワークスで挑んでいた歴史がカワサキには無い。

KLR750tengai

一応1987年にKLR650 tengaiというラリー(ベース)マシンも発売しましたが結局ワークス参戦はせず。つまりカワサキはアドベンチャーで必須とも言えるパリダカ要素を持っていないんです。

じゃあ今のカワサキが持っている最高のアピール要素は何だろうとなると・・・やっぱりSBK。

カワサキSBK

2013/15/16年そしてこのままいけば17年もワールドチャンピオンに輝きそうなほどの強さを誇っているスーパーバイク世界選手権。

VERSYS1000の公式ページでもカワサキはアドベンチャーとはほとんど言っておらず、”レース(パリダカではなくSBK)で培った技術”や”ZX-10Rと同様の技術”といったまるでスーパースポーツかのような謳い文句を並べています。

要するに”敢えて王道からハズした”わけですが、重要なのは何度も言っているけどオンとオフの性能や楽しさはどうやったって両立しない事。だからどちらに比重を置くかが要になってくるんだけど、VERSYS1000の場合はいま説明してきたようにほぼオンロード走行での性能とファンライドに振っている。比率で言えば9:1以上と言っていいくらいオン寄りでオフは本当にオマケ程度。

ヴェルシス1000usa

そのせいで一部から「分かってないアドベンチャー」とか言われたりもするんだけどそれはあくまでも海の向こうでの話。ここは道路舗装が隅々まで行き届いている日本です。

ツーリングに出て気持ちよく走れるワインディングロードと、未舗装路の割合ってどれくらいでしょう。

恐らく舗装路がほぼ大半で、未舗装路といってもせいぜいフラットダート(慣らされた未舗装路)くらいではないかと思います。単純な数値で言うと日本は簡易舗装を含めると約97%が舗装路です。

そう考えるとスーパースポーツ技術を注ぎ込む事でオフロードでの走破性よりもオンロードでの性能やファンライドを取ったVERSYS1000という”分かってないビッグアドベンチャー”は

2016ヴェルシス1000

「日本のことをよく分かっているビッグアドベンチャー」

とも言えるのかと・・・それを狙ったのかどうかは分からないけどね。

カワサキの事だし

「ビッグアドベンチャーでも最速」

という単純明快な理由かもしれない。

【関連車種】

Africa Twinの系譜SUPER TÉNÉRÉの系譜V-STROM1000の系譜R1200GSの系譜

主要諸元
全長/幅/高 2240/895/1400~1465mm
シート高 840mm
車軸距離 1520mm
車体重量 249kg(装)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 120ps/9000rpm
最高トルク 10.4kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,350,000円(税込)
系譜図
初代2010年
VERSYS1000
(KLZ1000A)
二代目2015年
VERSYS1000
(KLZ1000B)

VERSYS1000(LZ1000A) -since 2010-

2010年式ヴェルシス1000

「Street Surfing」

カワサキのビッグアドベンチャーとして登場したVersys1000。国内では二年遅れの2012年から登場しました。

VERSYS(ヴェルシス)の名前の由来は”Vertex(頂点)”+”System(システム)”です。

VERSYSの意味

このモデルは現存モデルで兄弟車(Z1000/Ninja1000)も居るので、なかなかカタログ落ちにはならないと思いますしソッチの系譜に組み込んでも良かったのですが散らかってしまうのでコチラに。

その兄弟車であるZ1000/Ninja1000の並列4気筒エンジンをベースに圧縮比を下げ低速寄り&低燃費チューニングされたエンジンを搭載しているわけですが、メインフレームも共有化したエンジンの上を通るバックボーンのようなアルミツインチューブなのでZ1000/Ninja1000と同様に直四にしては意外とスリム。

ヴェルシス1000エンジン

基本的にZ1000/Ninja1000とほぼ一緒と言えなくもないのですが、VERSYS1000だけの試みとして面白いのがエンジンハンガー部分にパイプが付けられている。万が一の転倒時のエンジンガードにもなるし、引き起こしの際の取っ手にもなる面白い配慮ですね。

ヴェルシス1000ネイキッド

他にもビッグアドベンチャーとしての配慮としてサブフレーム(シートフレーム)は積載やタンデムを考えて220kgまで耐えうるスチール製の高硬度フレーム。更にタンク容量も21Lに大容量化に可変スクリーン、サスペンションもストローク量の大きいKYBの軽量倒立の物に。トラコン・ウィリーコントロール・ABS・出力モード切替といった最新電子制御も当然のように付いています。

それらの装備がまだ付いていなかった同年のNinja1000が1,302,000円だったのに対し1,298,000円。今にして思うとかなりのバーゲンセール。

ヴェルシス1000A顔

・・・にしてもこの顔はER系を更に強めた感じでインパクトがありますね。写真ではスケール感が伝わり辛いのが残念でなりませんが、一度見たら間違いなく忘れないと思います。

更に2014年モデルにABSが10Rの物へバージョンアップされるなどの一部改良が入りました。

主要諸元
全長/幅/高 2235/900/1045~1430mm
シート高 845mm
車軸距離 1520mm
車体重量 257kg(装)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 120ps/9000rpm
最高トルク 10.4kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,298,000円(税込)
系譜図
初代2010年
VERSYS1000
(KLZ1000A)
二代目2015年
VERSYS1000
(KLZ1000B)

VERSYS-X 250(LE250B/D)-since 2017-

ベルシスX

「ANY ROAD.ANY TIME.」

20年以上の月日を経て復活したアネーロならぬVERSYS-X。

VERSYS(ヴェルシス)の名前の由来は

『Vertex(頂点)+System(システム)』

からです。

アネーロが専用フレームにZZR250のエンジンを積んだように、VERSYS-Xも新設計フレームにNinja250のエンジンを積んでいるわけですが、新しい排ガス規制に対応するためにリセッティングされたものでNinja250より2馬力ほど上がっています。次のNinja250もこの改良型が乗るのかな。

ベルシスXエンジン

VERSYS-Xは更にドリブンスプロケットも2丁上げられているのでNinja250よりも加速寄り。積載しても不足なく走れるようにするのが狙いかと思います。

ジャンルの方のページでも話したんですが250は右も左も分からないエントリー層も見ると思うので改めて説明すると、いわゆる”アドベンチャー・デュアルパーパス”というオン/オフ両方走れるバイクで、両立しないオンとオフの性能どちらに比重をおいているかは最低地上高もそうですが、フロントホイールの大きさとタイヤを見れば大方分かります。

このVERSYS-Xで話をするならば、ライバルとして挙げられるのはCRF250RALLY、V-STROM250といったところでしょうが、CRF250RALLYは走破性重視で21インチホイールとブロックタイヤを履いています。対してV-STROM250は17インチとモタードなどが履くオールラウンダータイヤ。これは舗装路での操舵性を良くするため。

ベルシスX

そして肝心のVERSYS-Xはどうかというと19インチにオールラウンダータイヤ。

つまりこの中でいうとVERSYS-Xは250デュアルパーパスの中の真ん中的な立ち位置という事になりますね。

先代が21インチだったのに対し19インチにダウンされた事や、タンク容量が12Lから17Lに増やされた事を見ても結構オンロード寄りなデュアルパーパス。カワサキとしてはデュアルパーパスというよりツアラーなんだろうけどね。

ベルシスX300

ただ先代同様ツアラーよりも、サスペンションのストローク量は大きく取り、最低地上高もそれなりにあるので、起伏が穏やかな林道や砂利道くらいは何の問題もなく走れます。

そんなVERSYS-Xでも目を引くのがツーリングパッケージ。

ベルシスXツアラー

パニアケース、エンジンガード、ハンドガード、センタースタンド、DCソケットとリレーが付いてノーマルから+5万円の68万円。後から揃えると11万円ほど掛かるのでかなりお買い得。流石にPIAA製LEDフォグ(39,096円)は付かないみたいです。

だったら写真に付けるなよとも思いますが、メーカー純正OPという信頼感と使い勝手は何物にも代えがたいのでユーザーとしては本当にありがたい話。

買うなら絶対コッチでしょう。コレ買えばすぐにでもキャンプツーリングに行けます。

【長い小言】

VERSYS-Xも上で紹介したCRF250RALLYもV-STROM250も(というか250ほぼ全般)そうですがメインターゲットは東南アジアです。向こうは少し道を外れると平らな未舗装路が当たり前なので打ってつけなんでしょうね。

日本も欧米もアジア需要のオコボレを頂戴するカタチになっているわけですが、VERSYS-Xは第一便はアッという間に完売し既に納車待ちになっているほどの人気。

売るバイクが無いという嬉しいのか本当なのかよく分からない悲鳴がバイク屋から聞こえたりするわけですが、こういう話やここ最近の人気モデルの動向を聞くと日本の二輪市場が変わってきているような気がします。

ベルシスXアーバン

日本はずっとクラス関係なくスペックが売上に直結していました。四気筒250cc、リッター超えばかりの大型ラインナップなどが良い例ですね。用途や使い勝手よりもどれだけ凄いバイクを所持できるか、どれだけ非現実的な乗り物に乗るかがメインだった。

ところが最近は販売台数ランキング等を見ても分かる通り、売れているバイクは非実用的なハイスペック車というよりは、街乗りやツーリングなどの実用性を兼ね備えたバイクがクラスを問わず多い。

ベルシスXタンデム

これはバイクをツールとして見ている人が増えてきている現れではないかと。

売れているバイクとハイスペックバイクは車体価格が全然違うと言われるかもしれませんが、車体価格(コスパ)もツールにとっては非常に重要なファクターです。

威張れるわけでも、特筆すべき部分があるわけでもなく、使い勝手に重点を置いているVERSYS-Xがアッという間に完売する程の人気なのは

LE250D

「これは使えそう」とか「これで走ったら楽しそう」といったバイクをツールとして見て評価している人、つまり”バイクを楽しむ人”というより”バイクで楽しむ人”が増えている証のように思えます。

主要諸元
全長/幅/高 2170/860/1390mm
[2170/940/1390mm]
シート高 815mm
車軸距離 1450mm
車体重量 175kg(装)
[183kg(装)]
燃料消費率 24.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 248cc
最高出力 33ps/11500rpm
最高トルク 2.1kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FTX9-BS
プラグ CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 583,000円(税別)
[633,000円(税別)]
※[]内はTOURER(LE250B型)
系譜図
アネーロ2501993年
KLE250 ANHELO
(LE250A)
ヴェルシス2502017年
Versys-X 250
(KLE250D)

【関連車種】
CRF250の系譜|V-STROM250の系譜

VERSYS650/ABS(LE650E/F) -since 2015-

KLE650e

「All Roads, One Bike」

シリーズ展開されるようになった事から車名に650が付いてシリーズ統一顔へと変貌した三代目のVERSYS650/LE650E型とABSのLE650F型。

今回も主な変更は

・リアをキャリアからグラブバーに変更

・リモート式プリロードアジャスターリアサス

・VERSYSシリーズで統一されたデザイン

など約10年ほど経ったにも関わらず基本的にそのままでお色直しがメイン。

兄弟車が

ER→Ninja650R/ER-6n→Ninja650/Z650

と世代を重ねていったのに対してヴェルシスはずっとそのままだったので離れ離れというか実質的に別モデルに近い存在になりました。

しかし残念ながら日本での冷遇は先代から変わらずで国内正規取り扱いをしなかったのは勿論、ブライト(正規逆輸入車)も2016年モデルをもって取り扱い終了。

ブライト最終モデル

実質的にABS付きのF型を2年売っただけ。これが最終モデルになります。

日本ではNinjaとZのツートップ体制で台数がそんなに稼げない事が関係しているかと思いますが、一方で欧米では2021年時点でも健在。

このモデルからはバリエーション展開もされており厳しいミドル市場で定評を得ています。

KLE650e

ところでヴェルシス650は先代でも言ったようにデザイン変更がメインで中身は2007年からそんなに大きく変わってない。

なのに今でも第一線で売られてるだけではなく、新しいミドルデュアルパーパスが出るたびに必ずと言っていいほど比較対象に引っ張り出されたりしています。

そしてそこで何処を見ても大体

スクリーンとメーター

「降りないとスクリーン調整出来ない」

「メーターデザインが古い」

などの細かいネガの指摘に始まり走行性能なども比較される。

系譜を見ると分かる通り物凄く息が長いモデルなので

「世代が全然違うのに比べるのは酷でしょ」

と一瞬ヴェルシス650に同情心が湧いたんですが・・・その必要はなかった。むしろそれこそ失礼な話。

わざわざ引っ張り出すのにはちゃんと理由があった。

ヴェルシス650壁紙

「ヴェルシス650はミドルアドベンチャーの要点を一番抑えてるモデルだから」

です。

・良好な防風性と視界のポジション
・乗り心地良好なシート
・オンが主軸ながらオフも多少は行ける足回り
・軽い車重とマスの集中化をもたらすパラツイン
・低中速に厚みを持たせ650ながら過不足ないパワー
・実燃費20km/L越えの燃費と19Lビッグタンク
・フォグや片手で開けるパニアなど豊富なOP
・クラスなりの車格と価格

ヴェルシス650は当たり前に思えて意外と難しいミドルデュアルパーパスの要点全てで及第点を取ってるんです。

ブライト最終モデル

だから10年以上経とうが排気量が近い新しいモデルが出るたびに引っ張り出される。

Ninja650やZ650など兄弟車がモデルチェンジしてもヴェルシス650だけは大きく変わらなかった理由もここにあるんじゃないかと思います。

『性能/利便性/コスト』

その全てが奇跡とも言えるバランスで調和しているから大きく変わらず、また変えずとも20年弱経った今でもベンチマークにされる。

カワサキヴェルシス650

カワサキブランドのエヴァみたいな顔のバイクという事から破天荒なイメージを抱きがちですが、実は全くもってリーディングエッジじゃないどころか良く出来たバランスを保ち続けている超保守的なミドルデュアルパーパスなんですね・・・だから日本には入ってこないのかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2165/840/1400mm
シート高 840mm
車軸距離 1415mm
車体重量 208kg(装)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 649cc
最高出力 69.0ps/8000rpm
最高トルク 6.5kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
推奨オイル JASO MA
SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.7L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 939,600円(税込)
系譜図
LE500A1991年
KLE500
(LE500A)
LE500B2005年
KLE500
(LE500B)
KLE650A/B2007年
VERSYS/ABS
(LE650A/B)
KLE650C/D2010年
VERSYS/ABS
(LE650C/D)
KLE650E2015年
VERSYS650/ABS
(LE650E/F)

VERSYS/ABS(LE650C/D) -since 2010-

KLE650c

「Street Surfing」

ヴェルシスとしては初モデルチェンジで二代目となったVERSYS/LE650C型とABS付きのLE650D型。

最初に主な変更点を上げておくと

・縦型デュアルヘッドライト

・角度調節機能付きスクリーン

などでどちらかというとルックス変更がメイン。

ヴェルシスは欧州がメインなのでデザインもER-6に非常に近い独特な物だったんですが、今回のモデルチェンジで更に独創的な物になりました。

LE650C壁紙

良い意味でタフギア感が増したというかボトムズ感が出たというか・・・ちなみに説明を忘れていたのですがVERSYSの名前の由来は

『Vertex(頂点)+System(システム)』

を掛け合わせた造語になり、もう一つ補足としてこのモデルまでは正確に言うとVERSYS650ではなく

『VERSYS』

だけで数字は付きません。まだこの頃はシリーズ展開しておらずこのモデルだけだったからです。

・・・ってもう書けることが無い。

以下は余談なんですが、このヴェルシスって欧州の方ではインプレや比較が結構されている一方で日本国内ではビックリするぐらい露出は疎か情報すら皆無なんですね。

逆輸入車(ブライト取扱)という事でメーカーが取り上げないというのも勿論あるんでしょうが、メディアやカワサキ系販促を見てもそもそも掲載すらしてないのが当たり前という冷遇っぷり。

LE650Cブライトカタログ

載っていたのはせいぜいブライトのカタログの一コマくらいで

「これ買った人はよく見つけたな」

と感心するほどだったりします。

主要諸元
全長/幅/高 2125/840/1330mm
シート高 845mm
車軸距離 1415mm
車体重量 206kg(装)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC二気筒
総排気量 649cc
最高出力 64.0ps/8000rpm
最高トルク 6.2kg-m/6800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
推奨オイル JASO MA
SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.7L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 840,000円(税込)
系譜図
LE500A1991年
KLE500
(LE500A)
LE500B2005年
KLE500
(LE500B)
KLE650A/B2007年
VERSYS/ABS
(LE650A/B)
KLE650C/D2010年
VERSYS/ABS
(LE650C/D)
KLE650E2015年
VERSYS650/ABS
(LE650E/F)

Ninja250(EX250P) -since 2018-

三代目Ninja250

「LEGENDARY PERFORMANCE」

二代続けて大成功を収めていたNinja250の三代目となるEX250P型。この方からABSのみとなりました。

2018Ninja250ボディ

開発責任者は先代から変わらず田中さんですが、250と300という二足のわらじから250と400という更に排気量が違うわらじに変更。

フレームもエンジンも新設計のダイヤモンドトレリスフレームのピボットレスに、エンジンの方もクラストップとなる39馬力/12500rpmのカリカリ仕様に。

Ninja250とNinja400

400とはエンジンもフレームも共用だからサスの関係で高さが数ミリ違うことと、車重が1kg違う事を除けば基本的に全て同じです。

250なのにLEDヘッドライトユニット、ギヤポジションインジケーターも標準装備。

Ninja250メーター

ルックスもそうですが装備も性能もどこまで行くんでしょうね。

ちなみにフレームのピボットレスというのはスイングアームをメインフレームに繋げるのではなくエンジンに繋げる事で、要するにエンジンを従来以上にフレームの一部として活用する事。

メインフレームを細く軽くできたのはこれのおかげ。

2018Ninja250エンジン

スイングアームを直接エンジンに付けるのではなく、ピボットプレートにスイングアームを取り付けて、ピボットプレートとエンジンをボルトマウントしているようですね。

ここで少し掘り下げるというかピックアップしたいのが、最近250でもメジャーになりつつあるダウンドラフト吸気というやつ。

大型スーパースポーツでは当たり前なレイアウトで、2018年型Ninja250もこれを採用したことで39馬力まで高馬力になったわけです。

ダウンドラフト吸気

ダウンドラフト吸気というのは要するに吸気の流れを垂直に近い形する事で、これをすると吸気効率が上がります。

ただこれの最もたる狙いは吸気管の長さを抑える事。ダウンドラフト化に加えて弁であるスロットルバルブが従来の二枚から一枚になっているのもそのため。

簡単に言うと吸気管の長さというのは短いほどエアクリーナーから強力にガバッと吸える事から高回転型にでき、長いほど弱い吸気でも確実に吸える中低速型に出来る・・・わけですが、最近になってダウンドラフトが急速に広まりだしたのはガソリンを吹くFIの進化が大きい。

吸気管を短くするということは燃料と空気の混合時間猶予を短くする事になる。すると混合気の濃さにムラができてしまうんですね。

デュアルFI

だからFIの場合は車種や年代にもよるんだけどデュアルFIといって少し手前にサブのFIとスロットルバルブを付けるのが一般的。

これはFIが加圧で燃料を噴射する構造だから。

キャブレターとインジェクションの違い

負圧で勝手に拡散混合するキャブと違い、FIは勢い良くレーザーの様に出るからキャブほど拡散混合しない。

ところが技術進歩によってその問題を解消した超微粒子マルチホールインジェクターが当たり前になってきた。

新旧FI

Ninja250もそんな最新FIを採用したことで、これだけ短い管でこれだけエンジンのすぐ上まで持ってくる事が可能となり、結果として高回転&高馬力型に出来るようになったというわけですね。

が、Ninja250はソコから更にもう一歩進んでいます。

高回転でパワーを出すエンジンになった事で上の伸びが凄まじいことになっているNinja250ですが、いくらFIが進化したからといって上を取るということは少なからず下を犠牲にすることになる。

パワーカーブ

ところがこのNinja250はボア・ストローク比はそのままで犠牲にしていないどころか先代より中低速までもが厚くなっている。

この事に貢献しているのが大容量化エアクリーナーボックスと、その中にあるエアファンネルという吸気管の始まりである口の部分。

エアファンネル

左右の形が違うのが見て取れると思います。

これの狙いは吸気干渉と言って、左右の気筒が空気を取り合うことで起こる吸気効率低下によるトルク減少を解消するため。

並列二気筒180度クランクというのは一番が吸った後、すぐに隣の二番も吸い始めるから吸気干渉が強く起こる。

だからこうやって二番の口の向きを変えて伸ばすことで、もう少し手前まで自分から吸いに行かせる様にしているわけですね。

2018年式ニンジャ250

御託ばかりになってしまいましたが、要するに見た目が完全にSSだった物が中身までSSになってしまったという事です。

もう一昔前のスーパースポーツ顔負けな構成になりましたね。見送られた装備といえば電スロくらいでしょうか。

2018年式ニンジャ250LEDヘッドライト

でも、ここまでやって車体価格は先代から+76,140円の629,640円(税込)とそこまで上がっていない。

ほぼ同じ車体構成のNinja400が+81000円の710,640円(税込)なのを考えると、かなりの価格差というか250を抑えてある。

2018年式ニンジャ250赤

これはひとえに250だからでしょう。Ninja400とNinja250が同じ値段だったら誰も250を買わない。

ほぼ同じ構造ですがどちらが主軸かと言えば明らかに400で、250は副軸のような立ち位置。口うるさい欧州向けも400のようですしね。

2018年式ニンジャ250黒

まあ副軸と言えどクラストップの性能なんですが、上位互換の400が居るから・・・という理由というよりも明らかに名目で安く設定してるとしか。

何故そうまでして250を大幅に安くしているのかといえば250はエントリーユーザーが多いからでしょう。

そしてカワサキにとってNinja250はそんなエントリーユーザーが一番振り向いてくれる大事で貴重なNinja。

2018年式ニンジャ250KRTエディション

「性能は上げても敷居は上げない」

カワサキの250に対する姿勢には本当に頭が下がります。

主要諸元
全長/幅/高 1990/710/1125mm
シート高 795mm
車軸距離 1370mm
車体重量 166kg(装)
燃料消費率 26.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 37ps/12500rpm
最高トルク 2.3kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ SILMAR9B9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.0L
交換時1.3L
フィルター交換時1.7L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 583,000円(税別)
系譜図
Z250FT1979年
Z250FT
(KZ250A)
GPZ250BeltDrive1983年
GPz250BeltDrive
(EX250C)
GPZ250R1986年
GPZ250R
(EX250E)
gpx250r

1988年
GPX250R/R2
(EX250F/G)

ZZR250前期1990年

ZZR250
(EX250H前期)

ZZR250後期

2002年
ZZR250
(EX250H後期)

Ninja250R

2008年
Ninja250R
(EX250K)

2013Ninja250

2013年
Ninja250
(EX250L/M)

Z250

2013年
Z250
(ER250C/D)

2018Ninja2502018年
Ninja250
(EX250P)

【関連車種】
CBR250RRの系譜YZF-R25/3の系譜GSX250R/GSR250の系譜