Z1000(ZR1000F/G)-since 2014-

2014年式Z1000

「sugomi」

新生Z1000としては四代目となるF/G型。

最大の変更点は何と言っても誰が見ても驚くだろう顔で、LEDヘッドライトになったんだけど一般的なLEDとは違いリフレクターレスタイプだから目の玉みたいで表情がある。

LEDヘッドライト

内側2つがローで外2つがハイになってるんですが、よく見るとLEDヘッドライトの上にメーター兼ポジションライトが付いてる。一部で先代の守護霊とか言われています。

このZ1000からモチーフが虎から黒豹に変更。2011年ZX-10Rもモチーフと同じですね。

そんなZ1000のD型で凄いなと思うのはプログレッシブな(初期は柔らかく奥で踏ん張る)動きをするビッグピストンフォークとを始めとしたSSと同じ装備を施してる事もそうなんだけどそれよりも細部へのこだわり。

ビッグピストンフォーク

OPのスライダーやガードは勿論のこと、これまでと同様トキコ製ラジアルマウントキャリパーに至るまでKAWASAKIと刻まれている。

こういう細かい所にまでデザインが行き届いてる事に感心するんですが、同時にトキコがよく許したなっていう・・・トキコって日立グループですよ。川崎重工・日立製作所・三菱電機の連合繋がりなんだろうか。

エンジンガード

ちなみにTOKICOの文字はここにあります。

他にもギア比の変更やエンジン出力の見直しが入ってるんですが、F/G型(GはABSモデル)は初代から変わらずルックスに重きを置き、磨き上げたモデルといっていいかと。

話が少し戻りますが、先代で書き損ねたホリゾンタルバックリンクサスペンションについて少しお話。

ホリゾンタルバックリンクサスペンション

これは要するに見て分かる通り、今までスイングアーム下からリンクを介して縦に付いていたリアサスペンションをスイングアームの上からリンクを介してほぼ水平に付けたサスペンションの事。

今となってはZX-10Rなどのスポーツモデルでは当たり前の装備となってるわけですが、これの何が良いのかというとメリットは2つあります。

一つは車体下のスペースが空くことでマフラーレイアウトの自由度が増すということ。

マフラー

厳しくなっていく規制への対応でどんどん大きくなっていく腹下のプリチャンバー(いわゆる弁当箱)のスペースを確保するため。ついでに排気から離す事で熱の影響を小さくすることができる。

そしてもう一つはマスの集中化。

マスの集中化というのは要するに重いものは可能な限り重心に近づける事で、持つ部分よりもボールを当てる先のほうに重心があるバットをイメージすると簡単なんですが、正しく持って振った場合と反対(重心を手に)に持って振った場合、どちらがより俊敏に動かせるかといえば反対に持った時ですね。

マスの集中化というのはこれで最近のバイクのリアがどんどん短くなってるのもこれが理由。SS(というかレーサー)の場合はスリップストリーム対策もありますが。

ホリゾンタルリアサスペンション

話がそれたので戻しますが、この独創的なサスペンションはそのマスの集中化つまり車体中心に近づけるためにやってる狙いもあるという話。

Ninja1000
(ZX1000L/M)
-since 2014-

2014年式Ninja1000

合わせて紹介で申し訳ないんですが、Z1000がモデルチェンジという事で二年しか経ってないNinja1000も合わせてモデルチェンジされL/M型となりました。

「Z1000が無かったら出ていなかった」

と言われておきながらトラコンKTRC(Kawasaki TRaction Control)やエンジン出力をハイとローに切り替えれるモードセレクタを装備。

Z1000の派生モデルだったのに僅か二代でZ1000より豪華装備なるっていう。

プリロードアジャスター

ビッグピストンフォークは流石に付かないみたいですが、代わりにとっても便利なリモートプリロードアジャスター付きリアサスペンションに。

ニンジャ1000

その他にもミラーやウィンカー、スクリーンやカウルなど細部が変更されてるんですが一番大きいのは純正OPの拡充でしょう。

純正OP

車体に合わせた専用パニアケースは格好良いですね。格好良いし安心だし値段は別にしてもツーリングメインなライダーにはありがたいOP。

イグニッションキーで開閉できるっていう純正の強みを活かしたサイドパニアケース。脱着も楽ちん。

2016年モデルではZ1000/Ninja1000共にスリッパークラッチが採用され、クラッチ疲れとおさらば出来る快適性になりました。

主要諸元
全長/幅/高 2045/790/1055mm
[2105/790/1170~1230mm]
シート高 815mm
[820mm]
車軸距離 1435mm
[1445mm]
車体重量 220kg(装)
[230kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 17.0L
[19.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 137ps/9800rpm
最高トルク 11.1kg-m/7300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YT12A-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後43
[前15|後41]
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,199,800円(税込)
[1,285,200円(税込)]
※[]内はNinja1000
※ABSモデル(G/M)は+1kg&+63,800円
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Ninja1000/Z1000SX(ZX1000G/H) -since 2011-

Ninja1000

「パーソナルジェットファイター」

戦闘的なルックスが話題になってたZ1000の兄弟車として出てきたNinja1000(Z1000SX)/ZX1000G型とABSのH型。

簡単に言うとZ1000のフルカウルバージョンなんだけどZ1000にただサイドカウルを付けただけではなくSSルックな外装に総取っ替え。

「SS乗りたいけどポジションが・・・」

「SSに乗りたいけどサーキット行かないし・・・」

「SSを買ったけどやっぱりポジション辛い・・・」

というSSブームによるSS疲れを起こしたけどスポーツ性は捨てたくないという声にドンピシャで答えたモデル。

Ninja1000白

「カワサキはよく考えたな」

と思うわけですが、意外なことにD型開発当初はこのNinja1000は想定していなかったんだとか。

でもD型の開発過程で非常に良く出来たモデルでストリートファイターだけに留めておくのは勿体ないという事で開発された経緯があります。

ただストリートファイターとして開発したものをSSルックなツアラーにするという事にかなり難儀したようで、ライトを可能な限り低い位置に置きつつスクリーンも立てない事でネイキッドベースのフルカウル車にありがちな腰高感を感じさせないようにするなどの創意工夫が施されてる。

Ninja1000スクリーン

それでも大変だったみたいで開発中に

「ツアラーなのにいくら何でもこの防風性はマズいぞ」

ということで最大で18度も角度を変更できる可変スクリーンを急遽装備することになった背景があったりします。

もちろん見た目だけじゃなくてエンジンもレスポンスをツアラーらしさを出すために

・スプロケの丁数の変更

・厚みを増したシート

・4Lアップの逞しいタンク

・タンデムや積載性を考えたグラブバー付きテール

・ラバーマウントの強化

などなどツアラーとして欠かせない要素はしっかり抑えてありました。

そんな中でも面白いのがハンドルで、Ninja1000はZ1000のバーハンドルからセパレートハンドルに変更されハンドルの切れ角も2度ほど上がってるんですが、ハンドルを変えた割にはあまりポジションは変わってない。

ninja1000メーター

じゃあ何でわざわざセパハンにしたのかというと

「欧州人はフルカウル&バーハンを嫌うから」

だそうです。でもこれ日本でも言えるかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2105/790/1170~1230mm
シート高 820mm
車軸距離 1445mm
車体重量 228kg(装)
[231kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 136ps/9000rpm
最高トルク 11.2kg-m/7800rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後41
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,239,000円(税込)
[1,302,000円(税込)]
※[]内はABSモデル(ZX1000H)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z1000(ZR1000D) -since 2010-

ZR1000D

「ライディングインパクト」

先代でも言いましたが新生Zのデザインにおいて”ワルであること”が非常に大事だったわけですが、それが突き抜けた形になったともいえる三代目のZ1000/ZR1000D型。上の写真は初年度カラーでヘビ柄シートが大きく話題になりましたね。

最初に変更点をあげると

・1043cc/136馬力の新設計エンジン

・剛性30%UP&3kg減の新設計アルミバックボーンフレーム

・新開発ホリゾンタルリアサスペンション

・新型ラジアルマスター&キャリパー

・ファットハンドル

・フルデジタルメーター

などなどスーパースポーツを剥いただけというストリートファイターの文化をそのまま反映させたような形になりました。

Z1000フレーム

フレームがエンジンの横を通らず上を湾曲するように避けて通ってるツインスパーともいえるバックボーンフレームに、リアサスペンションが水平に付いている。

さらにスロットルバルブも楕円形状。

Z1000フレーム

カワサキらしい独特性あふれる中身なんですが、これらは車体の幅を抑える事でニーグリップしやすくするため。

だから厳つい見た目してるけど跨ってみると実は結構細い。

もう一つオマケで面白いのがスロットルへと続く吸気口。

K-CAS

ハニカム形状で強度をキープしつつ大きく開けることで吸気音をライダーに積極的に聴かせる構造になってる。吸気音を積極的に聞かせる手法は昨今では珍しくないけどカワサキは先駆けてやっていたんですね。

そんなD型が掲げるライディングインパクトを最も象徴するであろう部分はそのポジション。

K-CAS

こういう肩肘張って乗る感じは演出なパターンが多いんだけどD型はワイドハンドルも相まって本当にこんな感じ。

マスフォアードなのも相まってエンジンにしがみついて走ってるんじゃないかと錯覚を覚えるほど。

ZR1000D

ただやはり話題になったのはデザイン。

とんでもない形だったアイデンティティである四本出しマフラーが更にとんでもない形になり、Zガンダムのようだと言われました。

マフラー

他にもサイドシュラウドやアンダーカウルも更に尖ったわけですが、これはZのフォルムを現している形だったりします。

マフラー

ついでに言うとシートカウルの下にはフォルムではなく本当に文字としてZを掘っている。

Z1000シート裏

デザインを最優先に開発されたモデルだからここまでの思い切りの良さというかデザイナーの好き勝手に出来たんでしょうね。

見て衝撃、跨って衝撃、乗って衝撃というサードインパクトじゃなくてトリプルインパクトなD型。シートも攻めてるので尻へのインパクトもありました。

主要諸元
全長/幅/高 2095/805/1085mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1043cc
最高出力 136ps/9000rpm
最高トルク 11.2kg-m/9600rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 1,134,000円(税込)
系譜図
Z11972年
900Super4
(Z1/A/B)
Z900
(A4)
Z1000A1976年
Z1000
(Z1000A1/2)
Z1-R1977年
Z1-R/2
(Z1000D)
Z1000MK2
(Z1000A3~)
Z1000J1981年
Z1000J
(Z1000J)
Z1000R
(Z1000R)
Z1100GP1981年
Z1100GP
(Z1100B)
Z1100R
(Z1100R)
GPz11001983年
GPZ1100
(ZX1100A)
ZR1000A2003年
Z1000
(ZR1000A)
ZR1000B2007年
Z1000
(ZR1000B)
ZR1000D2010年
Z1000
(ZR1000D)
Ninja10002011年
Ninja1000
(ZX1000G/H)
ZR1000L/M2014年
Z1000
(ZR1000F/G)
Ninja1000
(ZX1000L/M)
ZX1000W2017年
Z1000/R
(ZR1000H/J)
Ninja1000
(ZX1000W)
ZX1002K2020年
Ninja1000SX
(ZX1002K)

Z400(ER400D) -since 2019-

Z400/ER400D

「BUILT TO BE SEEN」

30年以上ぶりに名前が復活したZ400/ER400D型。

基本的にNinja400と共有なので認定型式ではEX400Gとなっていますが、モデルコードはER400D型。ちょっと紛らわしいですね。

ER400Dサイド

大きな違いとしてはカウルがほぼ無い事もそうなんですが、ハンドルをセパレートタイプからバーハンドルに変更しトップブリッジ上部にマウント。

アップライトなポジションにであると同時にストリートファイターらしくワイドになってます。なんでも90mmもワイドなんだとか。

ER400Dハンドル

メーターもNINJA400の物ではなくZ900と同じ多機能デジタルメーター。本当に時代の進化を感じる。

リアサスペンションも街乗りを重視する形にセッティングされ直しています。

元というか兄弟車のNinja400を系譜の中でベタ褒めしたんですが、発売からしばらく経って界隈からの意見はどうなっているのかというと・・・本当に絶賛の嵐しかない。

何が素晴らしいと言われているのかというと

『圧倒的な切り返しの軽さ』

です。

それを踏まえてZ400を見ていると、カウルが無いぶんNinja400より1kg軽くなっている上にアップライトなワイドハンドル・・・つまりその圧倒的な切り返しの軽さの更に上を行く切り返しの軽さを持っているという事になる。

ER400Dディメンション

あともう一つ付け加えるとするとエンジン。

これは乗ってみた人なら分かるんだけど、ハッキリ言って一般的なライダーならこの時点でかなりオーバースペック気味。

「Ninja400ならミニサーキット楽しそう(ちょうど良さそう)」

っていう声が聞かれるんだけど上級者でも無い限りSPA直入などのミニサーキットレベルでは余すパワーを持ってる。何でかって言うと軽い上にモリモリパワーが出るから。

エンジンパフォーマンス

オートポリスなんかの広い国際サーキットの方が向いてると言っていいほど。

「なんで例えがSPA直入とオートポリスなの」

とツッコミを入れてもらうと助かるのですが、これは2019年から

『Ninja LIMITEDクラス』

というNinja400ワンメイクレースが始まっていてSPA直入(ミニサーキット)やオートポリス(国際サーキット)で激闘を繰り広げているから。

NINJA400リミテッドクラス

これを取り上げたかったからという魂胆。まあカワサキのサーキットですしね。

ただそうは言ってもこれはクローズドの話。

「サーキットもレースも興味ない」

という人も多いでしょう・・・そういう人こそストリートファイターのZ400。

街乗りで文字通りブンブン振り回せるストリートファイター仕様なうえに車体価格もカウルが無い分40,000円も安いというコスパ。

2019Z400

ジムカーナの定番車種に時間の問題だろうなと思ったり。

主要諸元
全長/幅/高 1990/800/1055mm
シート高 785mm
車軸距離 1370mm
車体重量 166kg(装)
燃料消費率 24.8km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 48ps/10000rpm
最高トルク 3.9kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/60R17(66H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ LMAR9G
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量2.3L
交換時1.6L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 620,000円(税込)
系譜図
D1974年
400RS/Z400
(D)
T1979年
Z400LTD/CUSTOM
(T/R)
/EX400G2019年
Z400
(ER400D)

Z900RS/CAFE(ZR900C/E) -since 2018-

ブラック

「Timeless Z」

なにかと話題になっていたZ900RS(ZR900C)。サイトにも多くのリクエストが来てるのを見ても凄い反響ですね。

Z900RSフレーム

基本的には先に紹介したZ900(ZR900B型)で、フレームのステム部分を伸ばし長い間隔でマウントすることで直進安定性といいますか、ネイキッドらしい落ち着いたハンドリングを出している様です。

フロント周り

ストファイのZ900を差し置いてネオレトロのRSはラジアルマウントキャリパーを採用、一方でカワサキにしては珍しく非ペタル(花びら)ディスクローターという何とも面白い組み合わせ。

エンジンも低回転域の扱いやすさを増す為に圧縮比を落としています・・・が、まあそれよりも見た目ですよね。

ブラック

丸目LEDヘッドライトから始まり、二眼メーターにティアドロップタンク、冷却フィンの装飾やクランク回りのエンジン外装、長いシートと流れる様なサイド&シートカウルなどなど、何処からどう見てもZ1(というかゼファー?)を連想させる。

Z1とZ900RS

肝心のマフラーが四本出しじゃなかったりするのは、ネオレトロの火付け役であり大事な要素であるカスタムビルダーへの配慮かな。

見た目はレトロだけどトラクションコントロールシステムやABS、スリッパークラッチといった最先端装備ももちろんB型と同様に装備、RSはそれに加えてETC2.0も標準装備となっています。

Z900RSカフェ

コチラはカフェスタイルのZ900RS CAFE/ZR900E。

【野暮な小言】

Z900RSに対するリクエストが何故こんなに来たのかといえば「ザンザスの系譜」

「Zの亡霊」

と言ったからかと。

Z900RSとZ1

それも今ではZといえばZ1/Z2ではなくストファイというイメージが出来上がっていた・・・そんな中で出てきたZ900RS。

正直に言うと

「せっかく除霊したのに呼び戻すイタコみたいな事するなんてネオレトロブームに屈したな」

と思いました。

しかしいざ出てきた物を見るとそうとも言い切れない部分もある。

Z900RSヘッドライト

Z1/Z2やゼファーが好きな人からするとZ900RSは少しズレていると思います。

水冷やモノサスはもちろん、スポークホイールではなくスポークホイール風キャストホイールだったり、倒立フォークやラジアルマウントキャリパーだったり、ウィンカーやフェンダーが今風だったり。

ZR900C

色んな部分がZ1ではない上に寄せる努力をした形跡が見て取れない。

ここで思い出したのがZRXシリーズの車体設計に携わっていた古橋さんがネイキッドの二本サスについてインタビューで

「いつまでも二本サスというのは・・・」

と漏らした事。

Z900RSサイド

それらから思うにZ900RSは、今のカワサキが、今のバイク乗りの為に作った、今のRS(RoadSter)なのかなと。

Z1の様で・・・明らかにZ1じゃない。懐古的ではあるけど回帰的ではない。

それは車名にも現れています。

Z900RSカタログ写真

「Z900RS」

こんな車名のZは今まで存在しません。

Z1は900Super4もしくはZ900、Z2も750RSやZ750FOUR。

でもZ900RSと聞くと誰もが自然とZ1を思い浮かべる。見た目だけでなく車名までもがZ1を連想させるけどZ1ではない・・・上手い車名を付けたものです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/865/1150mm
[2100/845/1190mm]
シート高 800mm
[820mm]
車軸距離 1470mm
車体重量 215kg(装)
[217kg(装)]
燃料消費率 20.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 948cc
最高出力 111ps/8500rpm
最高トルク 10.0kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.3L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 1,230,000円(税別)
[1,250,000円(税別)]
※[]内はZ900RS CAFE(ZR900E)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

【関連車種】
CB650F/CBR650Fの系譜MT-09の系譜GSX-S750の系譜Z1000の系譜空冷MONSTERの系譜

Z900(ZR900B) -since 2017-

Z900

「REFINED RAW」

Z800の後継として登場したZ900。伝統のマジック9という事で大いに注目されました・・・が、今のところ日本への入荷は無し。

伝統のマジック9というのは900ccの事で、900Super4(Z1)→GPZ900R→ZX-9Rと続いたカワサキ旗艦の証だったからです。

そんなZ900ですが先代Z800との大きな違いはベースエンジンがZ1000の物になったものもだけど一番は骨格。

Z900とZ800

メインフレームがバックボーンフレームからトラスフレームへと変更され、スイングアームもアルミ化。これによってZ800比で-19kgという排気量を上げておきながら大幅な軽量化となりました。

これだけでも凄いんですが、カワサキはZ900からSD法(Semantic=意味 Differential=差別)を取り入れた感性評価技術を始めました。

SD法というのは

柔い【1|2|3|4|5】硬い

軽い【1|2|3|4|5】重い

斬新【1|2|3|4|5】陳腐

といったアンケートを取って解析し意味評価を数値化する心理学的測定法だそうです・・・SD法について具体的な事はよく分かりませんが、要するに感性に訴える部分を数値化して高めようという話。

その為にやっていることの一つがエアクリーナーボックスの中に潜んでいます。

Z900エアファンネル

ファンネル(吸気口)の形が1-4番と2-3番で全然違う・・・直四でファンネルの形がコレほどバラバラなんて見たこと無いわけですが、もちろんコレはワザとやっている事。

長い気筒と短い気筒を交互に吸気する様にし吸気音にメリハリを、空気の充填効率を変えることでトルク感をそれぞれ出しているわけです。ちゃんと音響解析技術を使っているそうです。

スズキもGSX-Sで試みていたりしていますね、最近はこういう吸気音好きにはたまらない味がトレンドなんでしょう。

ところでこのZ900もタイ生産なわけで、メーターや灯火系などはZ650と共用な様でZ800とほとんど値段が変わらないお買い得Zなんですが、日に日にタイの設備が充実してるのが伺えますね。

Z900フレーム

例えばフレーム。

アジア生産のモデルがダイヤモンドフレームばかりなのがご存知だと思います。

これはコスト面もそうですがフレーム製造に関する設備というのはとてもお金が掛かるから簡単にいかない面が大きいんです。

ところがZ900はただのダイヤモンドフレームから一歩進み溶接箇所の多いトラスフレームを採用している。これはひとえにタイに新しいフレーム製造の設備(またはサプライヤー)が入ったということ。

始まりは250SLからでしょうか。10年後には当たり前のようにアルミダイキャストフレームまで作ってそう・・・。

Z900パフォーマンス

日本に入ってきたのはデビュー翌年の2018年から。

ただほぼ同時期デビューした兄弟車のせいで影は非常に薄いのが現実・・・。

尖り放題だった先代と比べてシート高など色々と考えられた寄り添い型ストリートファイターっていう良いバイクなんですけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2065/825/1065mm
シート高 795mm
車軸距離 1450mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 18.5km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 948cc
最高出力 125ps/9500rpm
最高トルク 10.0kg-m/7700rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量4.0L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 950,400円(税込)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z800(ZR800A) -since 2012-

Z800

もともとZ750そしてZ750Rの欧州での人気は決して悪くなかった。

それなのに何でわざわざ一新してZ800を出したのかというと・・・FZ8に対抗するため(UK Wikipedia参照)。

って書いてあるけどFZ8に限らず過熱化で次々と登場するライバル車に対抗するためでしょうね。

何度も言ってますがこの600~800ccというミドルクラスが欧州でコストパフォーマンスの面から爆発的な人気を呼んでいます。

ただ一言でミドルクラスと言ってもその中でも住み分けがされてる。
600ccはどちらかと言うとコストパフォーマンスでもコストに重きを置いたモデルがメイン。カワサキならER-6ですね。アレも欧州で凄い人気です。

逆にアッパーである800cc近辺のクラスはというと逆にコストパフォーマンスのパフォーマンスに重きを置いたモデルがメイン。このZ750/Z800がそう。

Z800カウルレス

ちなみにFZやGSR等と同じようにZ800も仕様地によってA2免許でも乗れる35kW(47馬力)モデルなどがあります。

もちろん日本に正規で入ってきてる物はフルパワーなのでご安心を。

Z800リア

エンジンが748ccから806ccになったのはボアを広げショートストローク化した為。ついでにサラッと言うとアルミダイキャスト製のメッキシリンダーになってる。

こう聞くと、それまでの扱いやすいZ750よりアグレッシブになってそれまでのチョウドイイZ750から尖ったZ1000寄りになったのかと思うけど、そうではなく従来通りZ750寄りのパワフルかつ扱いやすい性格になっている。

Z800エンジンパフォーマンス

それに加えサスペンションもマウントから見直しが入り靭やかさが増した事で、より街中でも軽快に走れるようになったとのこと。

でも個人的に一番はやっぱり文字通りアグレッシブな見た目かな?

Z750と言われるとどうしても”Z1000の弟分”というイメージを持たれる事が多い。
性格は正反対だし中身も結構違ってるからよく知ると単純な兄弟関係ではないというのが分かるんだけど、見た目がZ1000と似ている事からどうしても差別が難しかった。

Z800マットブラック

でも今回このZ800でそれは完全に無くなったと言ってもいいんじゃないかな。

Z1000はZ1000で斜め上の方に猪突猛進して、Z800はベストミドルの道を突き進む。

カワサキの人も言ってたけどもはやZ1000の弟と言うよりZブランドのセンターミドルと言ったほうが正しいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/800/1050mm
シート高 834mm
車軸距離 1445mm
車体重量 229kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 806cc
最高出力 113ps/10200rpm
最高トルク 8.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.4L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 880,000円(税込)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Z750R(ZR750N/P) -since 2011-

Z750R

欧州で認められイケイケだったZ750への更なるテコ入れとして登場したのが上位モデルとなる750R

エンジンこそ先代のままなものの、前後サスペンションを始めブレーキやスイングアームに専用品(Z1000と同等クラスのモノ)が奢られている。

専用スイングアーム

外装の変更は少しだけで足廻り強化がメインっていう硬派さは如何にも欧州らしいし、こういったモデルが出るという事が、いかに欧州でZ750が人気だったかが伺える。

非常に完成度が高く、人気もあったからライバル車や果ては後継との比較インプレが続いた。

狭間モデルでもありながら人気モデルでもある珍しいバイク。

主要諸元
全長/幅/高 2085/805/1440mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 224kg(装)
[227kg(装)]
燃料消費率
燃料容量 18.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 106ps/10500rpm
最高トルク 8.0kg-m/8300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品10W-40
オイル容量 全容量3.8L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 ※[]内はABSモデル(ZR750P)
系譜図
Z21973年
750RS
(Z2/Z2A)
Z750FOUR1976年
Z750FOUR
(Z750A4/A5/D1)
Z750FX1979年
Z750FX
(Z750D2/D3/E)
Z750GP1982年
Z750GP
(Z750R)
ZR750J2004年
Z750/S
(ZR750J/K)
ZR750L2007年
Z750
(ZR750L)
ZR750N2011年
Z750R
(ZR750N/P)
ZR800B2012年
Z800
(ZR800A)
ZR900B2017年
Z900
(ZR900B)
ZR900B2017年
Z900RS/CAFE
(ZR900C/E)

Vulcan S(EN650A-B/C-D/G/J) -since 2016-

バルカンS

「Fun Riding Urban Runner」

先代にあたる500LTDの生産終了から9年後の2016年に登場したVulcan S/EN650A型と、ABS付きのEN650B型。

カワサキの得意とするオフセットレイダウンリアサスペンションである事からも分かる通り、この代からタイで生産されているNinja650系と同じFI化された水冷DOHC並列二気筒649ccが積まれた形になっています。

バルカンSカタログ写真

そんなVulcan Sですがコンセプトを一言で現すと

「既存のクルーザー像に囚われない」

ということになります。

先ず分かりやすいのがデザインで、パッと見でも分かる通りローロングながら逆三角形ヘッドライトやラジエーターシュラウド。それにギュッと凝縮された流線型のボディなど明らかに従来のクルーザースタイルと違うモダンな見た目。

バルカンSリア

テールライトも薄型のLEDタイプで、メーターも多機能LCDタイプ。

しかしVulcan Sが枠に囚われないという要素はデザインだけじゃありません。面白いのは中身の方にある。

Vulcan SにはERGO-FITと称した可変ポジション機能が備えられています。

エルゴフィット

フットペグ:標準/+25mm/+50mm(シフトロッド別売)

ハンドル:標準/前方へ+36mm(別売)

シート:後方へ50mm/標準/前方へ53mm(別売)

と18通りのポジション変更が行える親切機能でなんですが、さらに嬉しいのが標準の段階でハンドル位置を44mm手前(ライダー側)に寄せている仕様にしている事。

バルカンSのハンドルポジション

カタログが用意されなかったりする事から日本での販売はオマケという印象を受けそうになるんですが、こうやってわざわざ日本仕様を用意する力の入れよう。

だからフォワードコントロールの大型クルーザーにありがちな

「ハンドルやステップが遠くて手足が伸び切ってしまう」

という心配が無く、シート高も705mmしかないから脚付きも抜群。

何故これほどまでに、クルーザーにも関わらずここまでポジションにこだわっているのかというと

「スポーツ走行を楽しむため」

です。

バルカンSの壁紙

最初にも話した通りエンジンは万能の象徴とも言えるミドルスポーツNinja650の並列二気筒エンジンをベースに低中速を強化したもの。そしてリアサスペンションも7段階のプリロード調節機能付きで良好なダンピング性能を可能とするリンク式オフセットレイダウンリアサスと、クルーザーらしかぬモノを持っている。

そこに合わせられるのがいま話したERGO-FITという親切機能。そしてシート後方と盛り上がりやニーグリップを考慮したワイドタンクなどでガッチリと身体をマシンにホールド出来るようデザインされた車体。

これによりクルーザーながらマン・マシンの一体感を持って軽快に走れる様になっているんです。当然ながらステアリングもクルーザーらしからぬ軽快さ。

カナダ仕様

これは乗り出すのが億劫にならない街乗りにも使えるクルーザーという先代で評価された部分を更に研ぎ澄ませたスポーツクルーザーと言えるわけですが、もっと突っ込んで語弊を恐れず例えるなら・・・

2016バルカンS

「フォワードコントロールのロー&ロングネイキッド」

という表現がピッタリなモデルじゃないかと。所詮はクルーザーだと高を括って乗ると唸ること間違いなし。

主要諸元
全長/幅/高 2310/855/1090mm
シート高 705mm
車軸距離 1575mm
車体重量 224kg(装)
[227kg(装)]
{229kg(装)}
燃料消費率 23.3km/L
<23.0km/L>
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 649c
最高出力 61ps/7500rpm
最高トルク 6.4kg-m/6600rpm
<6.3kg-m/6600rpm>
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-18(59H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YTZ10
プラグ CR9EIA-9
推奨オイル SAE10W-40
オイル容量 全容量2.3L
交換時1.6L
フィルター交換時1.8L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク120
車体価格

770,040円(税別)
[760,000円(税別)]
{770,000円(税別)}
<830,000円(税別)>

[]内はABS装備のB型
{}内はG型
<>内はJ型

系譜図
EN4541985年
EN454/LTD
(EN450A)
EN500A1990年
Vulcan500/LTD
(EN500A/B)
EN500C1996年
Vulcan500/LTD
(EN500C)
EN6502016年
Vulcan S
(EN650A-B/C-D/G/J)

W800STREET/CAFE(EJ800B/C) -since 2018-

W800/EJ800B

「THE ORIGINAL ICON」

3年の歳月を経て2モデルとなって帰ってきたW800STREET(EJ800B型)とW800CAFE(EJ800C型)。

主な変更点を上げると

・LEDヘッドライト

・Z2ミラー

・燃料タンク形状変更で+1L

・ハンドル形状とポジション変更

・ABS

・アシストスリッパークラッチ

・エンジンの大幅な見直しで4馬力UP

・フェンダーのプラ化などで5kg軽量化

・キャニスターとO2センサー装着

・リアのディスクブレーキ化

・フロント18インチ化

・フレームの肉厚変更

・外装の変更

・ETC2.0標準搭載

などなど見える部分も見えない部分も大きく変更され走行性能を向上。

分かりやすい見分け方は後輪がディスクブレーキになった事やZ2ミラー(丸いミラー)、あとタンクエンブレムですね。

新旧W800

ちなみにSTREETはポジションがかなり起きたものになりました。

そしてこれはもう一つの方であるW800CAFE(EJ800C型)

W800CAFE/EJ800C

グリップヒーター付きスワローハンドルと元々OPでも用意されていたビキニカウルを装着したモデル。

W800CAFEポジション

STREETとは対照的になかなかの前傾姿勢を誇るカフェレーサースタイル。

ちなみにスワローハンドルというのはヤクルトスワローズでお馴染みツバメから。

スワローハンドル

ツバメが翼を広げた時の形に似ていることから名付けられました。

さて変更点はこの位にして少し触れにくいモヤッとした話題について長々と書きたいと思います・・・それは

2016ファイナルエディション

「2016年のファイナルエディションとは何だったのか」

という話。

ZEPHYR、KLX、DAEG、wなどなどカワサキがファイナルエディションという時は本当に終わりな場合がほとんどの中でWだけ復活。

これが何故か考えたんですが『クラシック』だった先代から最新装備の『ネオクラシック』になった事が関係しているのかなと。

「そもそもどうしてネオクラになったのか」

という話ですが一番の要因として考えられるのがリアのディスクブレーキ化。

リアディスクブレーキ

近年ABSが義務化されたわけですが、それには油圧式ディスクブレーキにする必要があり従来の機械式ドラムブレーキだと不可能なんです。これは先代の時点で開発の方も避けられない問題だと車体設計の赤松さんも仰っていました。

それがどうしてネオクラ化に繋がるのかというと、リアまでディスク化するとグッと近代的になるからです。

W800カフェ

そう感じるのはリアのディスク化が始まったのは70年代のハイエンドスポーツモデルが始まりだから。しかしWの元となっているW1はもっと前の60年代に出たモデルで前後ドラム。

ちなみに1973年に出た後継のW3もフロントがディスク化されたもののリアはドラムのままでした。

W800STREET/W800CAFE

つまり『リアのディスク化』という不可避なジェネレーションギャップを擦り合わせる為にはネオクラにしたんだろうという話。

もちろん海外でネオクラやネオレトロがブームなのも大きいんでしょうけどね。

ただネオクラになった理由を日本に絞ってもう少し深読みすると

『ユーザー層の若返り』

もあると思います。

ネオレトロW

Wは先代までは日本がメインターゲットだったんですが、じゃあ日本で売れてたのかというと販売台数はファイナルエディションですらランク圏外(50位以下)でした。

これは

『メグロやダブワンといったバックボーンを知る若者が少ないから』

というのが大きいかと。

もう何十年も前の話なんだから当たり前なんですけどね・・・でもだからこそネオクラになった。

つまり先代で出たファイナルエディションというのはメグロやダブワンなどのバックボーンも含めてWが好きだった人たち

「Wは良いな」

と言ってくれる人たちに向けた最後のモデルだったからファイナルエディション。

オリジナルアイコン

対してこのモデルは別。

エンジンやフレームなどの”性能を上げる改良”に加え、ABSやスリッパークラッチなど最新車に見劣りしない装備を充実し、それを

『STREETとCAFEのネオクラ』

という新鮮かつ明瞭なタイプにする事でバックボーンをまだ知らない若者にも

「カワサキのネオクラ良いな」

と振り向いてもらうためのモデル。

そうしてまず興味を持ってもらい、そこからただのネオクラではなくメグロから続くバックボーンやベベルギアの空冷バーチカルツインなど

『見た目だけじゃないWの魅力』

を知ってもらう・・・というWへの入り口を広くした全く新しいW800。

W800壁紙

だから復活とかモデルチェンジとか言われてますが、このB型/C型はW800の後継というよりWブランドを復興したW650に近い

『新訳ダブワン』

と捉えた方がシックリ来る気がします。

主要諸元
全長/幅/高 2135/925/1120mm
[2135/825/1135mm]
シート高 770mm
[790mm]
車軸距離 1465mm
車体重量 221kg(装)
[223kg(装)]
燃料消費率 21.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC2気筒
総排気量 773cc
最高出力 52ps/6500rpm
最高トルク 6.3kg-m/4800rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56H)
後130/80-18(66H)
バッテリー YTX12-BS
プラグ CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.2L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後37
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 993,600円(税込)
[1,112,400円(税込)]
系譜図
メグロ1960年
メグロシリーズ
W11966年
650-W1
(W1/S/SA)
650RS1973年
650-RS
(W3)
EJ6501999年
W650
(EJ650A/C/D/E)
EJ4002006年
W400
(EJ400A)
EJ8002011年
W800
(EJ800A)
EJ800A2019年
W800
STREET/CAFE
(EJ800B/C)