CBR1000RR/SP/SP2(SC77) -since 2017-

2017CBR1000RR

「Next Stage Total Control」

再び5年ぶりのモデルチェンジとなったCBR1000RRのSC77型。

「やっと」と言うべきか「遂に」と言うべきかCBR1000RRも完全な電子制御化が行われました。

慣性測定ユニット(縦横垂直の加速度とヨーとローの5軸IMU)を搭載し

・9段階トラクションコントロールシステム

・ウィリーコントロール

・IMUと連動したコーナリングABS

・走行特性を変更できるパワーセレクター

・セレクタブルエンジンブレーキ

などなどを完備。

セレクタブルエンジンブレーキというのはスロットルバルブを少し開いてエンブレを緩和する機能。

エンブレの仕組み

エンブレについては

「エンジンブレーキの仕組みとデメリット|バイクのはてな」

をどうぞ。

CBR1000RR無印

ところでCBR1000RRは

「モデルチェンジは2017年だろう」

と2015年頃から既に言われていました。

それはEURO4(2016年度規制)も要因の一つですが、市販車レースSBKのレギュレーション(ルール)が理由。

SC59SBK仕様

もともとSBKは電子制御スロットルじゃないといけなかったんだけど、CBR1000RRはホンダがSBKに消極的な事もあって後付の電子スロットルでなんとかしていた。

しかしそれが

”2017年からは後付も禁止”

となったわけです。

これは改造範囲を狭くして予算の多いチーム(ワークスなど)が圧倒的に有利になる状況を防ぎたいという運営の狙い。

SC77とニッキー・ヘイデン

だから2017年にモデルチェンジだろうと言われていた。

ワークス参戦していないとはいえ、欧州の現地法人やパートナー企業は参戦していて、切り捨てるわけには行きませんからね。

スロットルバイワイヤ

このスロットル・バイ・ワイヤ(電子制御スロットル)にはそんな背景があるわけです。

しかしコレはモデルチェンジのごく一部。

10年ぶりのフルモデルチェンジという事でフルLEDになったことも目につきますが、一番はエンジン。

SC77のバルブとピストン

カムシャフトの見直しによるバルブタイミングとリフト量の見直しで750rpm高回転化、更に圧縮比を大きく上げた事で13馬力アップ。

SC77リアビュー

ちなみに足回りはバランスフリーユニットがLiteという簡易式だったものから正式なバランスフリーユニットになり、ホイールデ ザインも改められ100gの軽量化。

そして先代からあった一人乗り仕様のSPモデルも継続して登場。

SC77 SP1

・前後OHLINSの電子制御サスペンション

・Bremboキャリパー(フロントのみ)

・チタンフューエルタンク

・アルマイト加工フレーム

・リチウム電池バッテリー(※)

・シフトアップ/ダウン両対応クイックシフター(※)

※ノーマルにもOPで容易

と、なっている豪華装備版で2,462,400円(税込)。

CBR1000RRフレーム

そして恐らく一番人気であろうトリコロールカラーもSPのみという、トリコ好きにとっては地団駄を踏みたくなるような展開。

CBR1000RR SP1 SP2

限定500台だったもう一つのSP2グレードは更に専用ピストンにバルブ径を拡大した専用エンジンヘッド、マルケジーニホイール等を採用し3,024,000円(税込)。

これがこの代のホモロゲーショングレードで、レースキットもこのSP2とレースベース車両のみ。

CBR1000RR SP2

・・・少し小話をさせてもらうと、RRに限らず最近は電子制御サスが当たり前になってきたわけですが、実はこれ肝心のSBKでは使用禁止となっているもの。

だからワークスだろうとレースでは取っ払って従来のアナログ式(といっても専用の高級品)を付けて走る。

2018CBR1000RRW

これは2018年参戦予定のCBR1000RRW(ワークスのW)鈴鹿八耐仕様。

少し話を脱線すると10年ぶりにワークス参戦する事となりました。

自分の庭(鈴鹿サーキット)で圧倒的な速さで連勝し、今年も勝てば史上初の同一チーム四連覇となるヤマハワークスYZF-R1を阻止すべく立ち上がったわけです。

八耐2018

HRCとヤマハファクトリー、そしてCBR1000RRとYZF-R1。

「永遠のライバル社が永遠のライバル車でガチンコ対決」

これは見るしかないですね。※7/26(木)~7/29(日)

>>鈴鹿8耐特設サイトはコチラ

話を戻すとSC77はレースベースもエンジンこそSP2仕様なんだけどサスペンションは電子制御ではなく無印と同じもの。

SC77レースベース

「じゃあなんで電子制御サスなんて入れるのよ」

って話なんですが・・・コレについて正確な答えを見つける事は出来ませんでした。すいません。

リアまわり

プレミアム化してお金持ちに売る為なのか。

もしかしたらOHLINSとの取引(電子制御のデータを集めたい)かもしれません。

というのも、いま普及しているOHLINSの電子制御サスというのは、正直言ってまだまだ途上な感じを否めないから。

電子制御サスペンションというと一見トラックで真価を発揮する様に思いますよね・・・でも実際はまだそうでもないんです。

オーリンズスマートEC

このOHLINSの電子制御サスペンションというのは、IMU(慣性センサー)の情報をメインにSCU(サスペンションコントロールユニット)がダンパー(サスの伸縮)を制御するタイプ。

要するに電子制御と言ってもサスペンションの動き自体を見て制御しているわけではなく、横滑り防止などで活用されているIMU(慣性センサー)の情報をメインに制御している。

そして制御もサーボモーターな事もあり、トラックなどの激しい緩急を繰り返す用途では主にエキスパート層から

「思ったように動いてくれない」

という声がチラホラ聞かれ、自動制御を切っている人が意外と多い。

SC77電子制御サスペンション

もちろんコレでタイムが縮まったという人も居ます。

SC77型に付いているのはホンダと共同開発した最新型なので性能は向上していますし、ソフトウェアアップデートもあるので年を追うごとに進化してるんですけどね。

「じゃあ電子制御サスのSPじゃなくていいか」

と思うのはちょっと早計です。

SC77上から見た図

「俺に電子制御サスなんて豚に真珠だ」

と言ってる人をよく見ますが、実はそういう人の方が恩恵を受けるんです。

公道はトラックほど緩急が大きくないものの、場所や環境で路面状況は刻一刻と変わる。そして何より一般人が一般用途でサスペンションのセッティングを出し、状況によって変えるなんてまず無理な話。

でも電子制御サスペンションならプリロード(初期荷重)だけ合わせておけば、後はモードやゲージを選ぶだけでダンパー(サスの伸縮)は自動調節でやってくれて、最高の乗り心地と操る喜びを味わえる。

SC77上から

タイムアタックとは無縁な人、セッティングが面倒くさいと感じるズボラな人。

そういう人こそ電子制御サスペンションのSPを買ったほうが幸せになれる・・・かもしれない。

まあ高いですし、クラッチ要らずのクイックシフターも相まって

「人を下手糞にする装備」

とも言われていますけどね。

主要諸元
全長/幅/高 2065/720/1125mm
シート高 820mm
車軸距離 1405mm
車体重量 196kg(装)
[195kg(装)]
{194kg(装)}
燃料消費率 24.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 999cc
最高出力 192ps/13000rpm
最高トルク 11.6kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTZ7S
HY93(SP/SP2)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9E-9HES
または
VUH27ES
{SILMAR10C9S}
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.7L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 2,014,200円(税込)
[2,046,600円(税込)]
{2,462,400円(税込)}
※[]内はSP1モデル
※{}内はSP2モデル
※18年モデルから180km/hリミッター無しとの事
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CBR1000RR/SP(SC59後期) -since 2012-

SC59後期

「究極の操る喜び」

五年ぶりとなるモデルチェンジが行われたSC59の後期型。

このモデルチェンジでちょうどRR生誕20周年を迎えたわけですが、それを記念してかコンセプトだけでなくカラーリングまで原点回帰。

SC28とSC59

変更点は社外顔負けな12本スポークホイール、フロントフォークをBPF(ビッグピストンフォーク)、二輪初となるSHOWA自慢のバランス・フリー式サスなど足回りの強化がメイン。

sc59足回り

驚きなのはこれだけの装備を加えながらお値段据え置きだった事。

モデルライフが長くなって開発費や減価償却費が浮いたんでしょうかね。なお公式なスペックは1kg増加のみでその他に変更はありません。

この代で取り上げるとしたら間違いなくプロライダーが揃って絶賛しているバランスフリーサスペンション・・・なんですが、たしかZX-10Rの系譜かなにかで書いたのでそっちを読んでいただくとして、この代ではホイールについて少しお話を。

12本スポークホイール

マルケジーニも顔負けなほどスポークが細くなったんですが、実はこのホイール先代の三本スポークより軽くなっているどころか重くなっている。

SC59ホイール

何故重くなっているのかというと、ホイール重量の大部分を占める箇所はスポークではなくリム(外径)だから。

いくらスポークが細くなろうともサイズが同じ(120/70R17|190/50/R17)なら重さに大した差は生まれない。

そしてRRの場合はスポークを3本から12本に増やした分だけ少し重くなってしまったというわけ。

SC59レプソルカラー

どうしてそんな事をしたのかというと”しなり”です。

アルミのフレームがしなるようにアルミホイールのリムも走行中の負荷でしなったりする。

フレームの場合は箇所によって太くしたり細くしたり加工出来るけど、ホイールは丸じゃないと駄目な上に回転するのでそう簡単にはいかない。

スポーク数の違い

問題となるのがスポークとスポークの間の剛性が低い部分。

これを改善するために12本スポークにして剛性の均一化を図ったというわけ。

SC59後期壁紙

これの狙いは

「操る喜び」

を更に高みへと持っていくため・・・まあ見た目の為もあると後で暴露していましたが。

ちなみに下のカラーは系譜を辿ってもらえると分かる、懐かしきアーバンタイガーカラー。

CBR1000RRアーバンタイガー

ただこれは欧州向けのみ。

2014年にはステップを10mm後方へ下げ、若干スポーティなポジションとなりました。

そしてそれと同時に出されたのがRR史上初となる一人乗り仕様のSP(スペシャルモデル)です。

SC59SP

ABS仕様をベースにBrembo(フロントのみ)と前後オーリンズを装着し、シートフレームはアルミダイキャスト製。

シングルシートカウルも材質の違う専用品でグラム単位で軽量&強度化。

SC59SPの装備

ピストン&コンロッドも選別品の100%当たりエンジンという事で、カタログスペックも無印より少しアップ・・・という至れり尽くせりなモデル。

このSPモデルが市販車レースSBKのベース(ホモロゲ)という立ち位置になるんですが、専用の鍛造トップブリッジとステアリングステムを採用している事から見ても謳い文句どおり

SC59SP壁紙

「”更なる”操る喜び」

を目指したグレードでもあります。203万円(税込)と決して安くはないですが。

cbr1000rr_repsol_sp

ちなみにこのレプソルカラーバージョンは期間限定。

最後に・・・ファイヤーブレードの生みの親である馬場さんが現役時代に仰っていた言葉があります。

「軽くする事が至上命題だが、技術者の自己満足な軽量化をしてはいけない。」

ユーザーの為になる軽量化をしろよって意味ですね。

CBR1000RR

そしてこのCBR1000RRのSC59

「とっても軽い」

というカタログスペックにも現れている特徴ではなく

「乗りやすい」

と言う人が多い。

これこそSC59がSSである前にRRであり、馬場さんの教え

「自己満足ではない軽量化」

を忠実に守っている証ではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2075/680/1135mm
シート高 820mm
車軸距離 1415mm
車体重量 202kg(装)
{211kg(装)}
燃料消費率 24.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 999cc
最高出力 118ps/9500rpm
[178ps/12000rpm]
{180ps/12250rpm}
最高トルク 9.7kg-m/8250rpm
[11.4kg-m/10500rpm]
{11.6kg-m/10500rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー YTZ7S
YTZ10S(ABS/SP)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9E-9HES
または
VUH27ES
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,396,500円(税込)
{1,974,000(税込)}
※ABS仕様は+10kg&168,00円
※[]内は逆輸入車仕様
※{}内はSP/逆輸入車仕様
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CB400SF&CB400SB Revo(NC42後期) -since 2014-

2014年式CB400SF

「CB相伝・継承の外観進化」

CB1300でお馴染み伝統の日の丸カラー(CB1100R参照)を纏った2014年からのCB400SFとSB。ちなみにNC42後期とか書いてますけど分かりやすいように暫定として勝手に言ってるだけです。

ボルドールの方はCB1300と同じようにカウル形状がスラント化されLEDヘッドライトを搭載。ライトの枠が高級車みたいにラインで光るライン付き。

2014年式CB400SB

残念ながらスーパーフォアはハロゲンのまま。

先代からそうだけどこれでも価格差は+3万円のままなら増々みんなボルドールに傾くじゃないかな。

なんて言ってたら2017年モデルからSFもLED化されました。

2017年式CB400SF

LEDヘッドライトの恩恵は大きいですよ。

球切れしないし明るいし・・・ちなみに最近ハロゲンのH4ヘッドライトをバルブ交換だけでLEDにできるものが出回り流行っていますが、安物はノイズが酷くそのノイズでバイクの脳であるECUを壊してしまう恐れがあり、実際そういう故障が増えているそうなのでご注意を。

ON/OFF時、HI/LOW切替時に逝ってしまうそうです。LEDヘッドライトの新しいバイクが恨めしい気持ちは痛いほどわかりますが、ECUをやってしまう事を考えるとリスクが大きいです。

話をCBに戻します。

クリアテールライト

その他の変更点としてはグラブレールがセパレートタイプに変更されテールカウル形状も1300に習ってハネが若干抑えられクリアテールライト化。

更にシートフレームとハンドルも見直されポジションがアップライトになりました。

ポジション

更に更にホイールが他のホンダ車の様に社外顔負けの新しいデザインのものになったほか、シフトインジケータ付きの多機能メーターで兄貴分の1300とほぼ変わらない装備に。

新型メーター

2017年からはマフラーも見直され音質アップと57馬力化が施されています。

さて先のページで

「CB400が売れてない」

という話の続きをしようと思うのですが、CB400は2016年時点でずっとクラストップセールスを記録する400の王者なんですが、それは日本の400部門という世界的に見ると本当に小さな市場での話。

CB400購入車

そしてWパンチのように若者のバイク離れと少子高齢化で20-30代の層が消え去ってる

よくCB400SF/SBに対して

「400なのに高すぎる」

という声を聞きます。

車体価格

2017年モデル時点で761,400円。

ETCやグリップヒーターまでついたEパッケージのボルドールはついに100万円超えです。

どうしてこれほど高いのかというと今話した様にCB400がガラパゴスバイクだからという事があります。このオーソドックスな俗に言うジャパニーズネイキッドというのは基本的に日本以外で受け入れられない。

REVOエンジン

スタイルを除いたとしても400ccながら53馬力とハイパワーだから欧州でもA2免許(日本でいう普通二輪)では乗れない。

アメリカの方も馬力よりトルク、開け始めからドンッとくるスタイルじゃないと受け入れられない。

アジアでもメイドインジャパンのこんな高価なバイクは売れない。

CB400SF/SBというのは本当に日本人にしかウケないバイクなんです。

2014CB400

だから数が出ずにドンドン値段が上がっていく・・・一時期はあれほど競い合っていたライバルたちが居なくなったものそれが理由。

なんか状況がヨンフォアの時と酷似してますよね。

でもこれ捉えようによっては本当に凄い事なんですよ。

言ってしまえばこのCB400SF/SBというのは本当に正真正銘の日本専用設計バイク。

・免許制度

・デザイン

・道路事情

全て日本が基準。

2018年式CB400SF/CB400SB

もう何年も売ってるのに不満が聞こえず、いつまで経っても人気が衰えないのもそれが理由。

だから正直なところCB400は色々と好き勝手に書いている系譜の中でも一二を争うほどオススメはしたくないバイクです。

ハンドリングも良い、ブレーキも良い、取り回しも良い、所有感もある・・・そして何よりVTEC。

2017CB400スペシャルエディション

CB400はVTECのおかげで大型スポーツバイクなどの二次曲線的な加速のフィーリングに近いものがあります。

つまりコレを知るとコレを大きく上回る感動や買い換えたくなるほどの感動を得にくくなる。ストレートに言うと大型を知った時の感動が薄くなる。

「CB400に乗る人はずっとCB400に乗る」

と言われているのもこの為でしょう。

それほどCB400SF/SBというのは本当に完璧なんです。完璧過ぎて浮気心が湧かなくなるからオススメしない。

なんでここまで完璧なのかといえば何度も言いますがCB400SF/SBは

2017CB400

「日本人の日本人による日本人のためのバイクだから」

です。

日本で一番贅沢なバイクはこのCB400SUPERFOURとCB400SUPER BOL D’ORじゃないかな。

主要諸元
全長/幅/高 2080/745/1080mm
[2080/745/1160mm]
シート高 755mm
車軸距離 1410mm
車体重量 199kg(装)
[205kg(装)]
燃料消費率 21.2km/L
※WMTCモードテスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/10500rpm
[56ps/11000rpm]
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
[4.0kg-m/9500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9/CR9EH-9
U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.8L
交換時3.0L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 740,250円(税込)
[834,750円(税込)]
※ABSは+3kg&49,350円
※[]内は2018年モデル
※2018年モデルは+25,800円
系譜図
CB350FOUR1972年
DREAM CB350FOUR
(CB350)
CB400FOUR1974年
DREAM CB400FOUR
(CB400/F)
CBX400F1981年
CBX400F
(NC07)
CB-11989年
CB-1
(NC27)
cb400sf1992年
CB400SF
(NC31)
CB400SF ver.R1995年
CB400 ver.R
(NC31)
CB400SF ver.S1996年
CB400SF ver.S
(NC31)
CB400FOUR1997年
CB400FOUR
(NC36)
CB400SF HYPER VTEC1999年
CB400SF
HYPER VTEC
(NC39前期)
CB400SF SPEC2

2002年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC2
(NC39中期)

CB400SF SPEC32003年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC3
(NC39後期)
CB400Sb2005年
CB400SF/SUPER BOL D’OR
(NC39後々期)
NC422007年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42)
NC42後期2014年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42後期)

【関連車種】
XJR400Rの系譜GSR400の系譜ZRX/ZZR400の系譜

CB1300SF/SB(SC54後期) -since 2014-

2014CB1300

「威風なる血統。」

ここで再び登場となるのがCB1100に押され気味なCB1300。

変更点を纏めると

ボルドール

・SBのみヘッドライトのLED化とアッパーカウルの形状変更
・シフトインジケータ等の多機能新デザインメーターへ変更
・ホイールデザインの変更
・タンクエンブレムの変更
・ミッションの六速化
・マフラーの小型化
・ハンドルポジションの変更
・足つき性の更なる向上
・テールライトのクリアレンズ化
・ABSの標準採用
・自主規制撤廃により1馬力アップ
・アクセサリーで用意されたパニアケースのポン付け可能化
などなど

2015年式CB1300

マイナーチェンジというのは結構大掛かりな改良が施されたわけですが、更にSF/SB共にフレームに補強が入りキャリアとパニアケースのポン付け可能になったという事でCB1300STは廃盤。

SFとSBの区別化のためにボルドールだけ少しポジションが起きて更にツーリング仕様になりました。

CB1300エンブレム

さて今回のモデルチェンジで何が一番大きいのかといえば明るくなったLEDヘッドライトやマルケジーニかと思う10本スポークホイールも捨てがたいんだけど、一番は間違いなくミッションの六速化。

2015CB1300SP

これを待ち望んでいた人は多いと思います。

というのも、ビッグネイキッドというのはトルクフルなので五速が基本でした。これはトルクが十二分にあるからで、シフトチェンジの回数を減らし負担を減らすのが狙いなわけです。

しかし一方で高速道路を走るとなると、五速ではどうしても唸ってしまう。

6速CB1300

これは一長一短でどちらが良い悪いという話ではないんだけど、BIG-1オーナーの間では六速を求める声が結構あった。

そして遂に今回その声に答える形になったわけですね。

なんで今までしなかったのかというと、もちろん簡単ではないから。

ケース一体型となっているバイクで一速追加したらエンジンをはみ出してエンジンごと作り直さないといけなくなるからです。

CB1300のミッション

だからこの六速化というのは、こう見えてほぼ全面的に作り直されたもの。

わざわざCBの為に、わざわざCBのエンジン寸法に納まるように開発された新型トランスミッションなんです。

これはCB1100というエンジンを共有する新たなモデルが誕生した事が大きいんでしょうね。

ホンダはCB1100で六速化の恩恵について語っていますが、どちらかと言うとCB1300の為の六速化なんじゃないかと勝手に思っています。

合わせて紹介で申し訳ないのですが、2018年モデルからはネイキッドタイプのCB1300SFもLEDヘッドライトに。

2018CB1300SF

他にも

・スリッパークラッチ

・ウェーブディスク採用

・キャリパーピストンの見直し

・ABSの標準装備

・ETC、DCソケット、グリップヒーター、メットホルダーを標準装備

・マフラーを三室から二室にして音を改良

・自主規制撤廃で110馬力に

2018年式CB1300壁紙

などなどの改良。

マフラーの抜けが良くなった分、馬力がアップしてるのが最大の特徴ですね。

ただ最近ではネイキッドブームが去ったというかジャパニーズネイキッド冷遇の時代となり、あれほど争っていたライバルたちも皆居なくなってしまった。

BIG-1も心配になるほど年々販売台数が落ちています。

CB1300SP

最近ではテコ入れの為か25周年を記念してOhlinsとBremboを奢った200万円もするSPモデルを発売。

個人的にはCBはSHOWAとNISSINが世界一似合うバイクと思っているのですが・・・ちなみに2019年モデルからはETCが2.0になっているよう。

最後に・・・

ホンダの凄い大型バイクと言えば誰もがRRをあげると思うんですがBIG-1も凄いんですよ。

ドリームに行けば漏れなく試乗車があるでしょうから一度乗ってみてください。

デカさに臆し、跨って足つきに物怖じし、走って驚愕する事間違いなし。

2018年式CB1300SF

「110馬力だから大したことないでしょ」

と思うかもしれませんが、ポジションが起きてて低速からトルクが凄いので捻ったらSSより脳が後ろに行く。

油断してるとアクセル戻せないくらいで、初代CB750FOURのテストライダーがそうだったように首を痛める可能性も高い。

2018年式CB1300SB

理性ある人達ばかりが乗ってるので想像がつかないかもしれませんが、それがBIG-1の魅力・・・まあ乗れば分かります。

生みの親である原さんいわく

2018BIG-1

「見てドーン!跨ってドーン!走ってドーン!」

がBIG-1の魅力なんです。

文献:PROJECT Big-1 CB1000SF 20th Anniversary

主要諸元
全長/幅/高 2220/795/1110mm
[2220/825/1205mm]
シート高 780mm
車軸距離 1520mm
車体重量 267kg(装)
[268kg](装)
燃料消費率 17.2km/L
※WMTCモードテスト値
燃料容量 21L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1284cc
最高出力 101ps/7000rpm
{110ps/7250rpm}
最高トルク 11.7kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58W)
後180/55R17(73W)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA9/EDPR9EA9
X24EPR-U9/X27EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ 前18|後40
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格 1,226,400円(税込)
[1,352,400円(税込)]
※[]内はSB
※Eパケは+103,080円
※{}内は17~で+220,800円
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

【関連車種】
XJR1300の系譜Bandit1250の系譜ZRX1200DAEGの系譜

CB1100/EX/RS(SC65後期) -since 2014-

CB1100

「熟成:更なる深化」

CB1300を追い抜くほどの人気となったCB1100も4年後の2014年にマイナーチェンジ。

今回のマイナーチェンジは一言で言うと『CBらしさを高める事』にあります。

具体的にはFIのセッティングと給排気系を見直しトルク感を向上、更にミッションも作り直され六速に。

6速ミッション

更にシートフレームとシートが見直されてスリム化し足つき性がもともと悪くないのに更に向上。

他にも燃費計や逆算トリップやギアポジション表示が追加された新型メーターに変更されました。

CB1100メーター

※左が旧型で右が新型

ただこの代で何より紹介しないといけないのがCB1100EXというモデル。

CB1100EX

・アルミリムスポークホイール

・二本出しマフラー

・3Lアップとなる新設計タンク

・バフ掛けエンジンカバー&トップブリッジ

・クロムメッキスチールフェンダー

などなど

CB1100EX

CB1100をコテコテにしたようなネオクラシックモデル。

なんだかより一層CB750FOURに近づいた印象ですね。

CB1100EX

CB1100が人気が出て売れたから出せたモデルでしょう。

そしてこれまた合わせて紹介で申し訳ないのですが、3年後の2017年からはABSとスリッパークラッチを標準採用。

2017CB1100EX

EXの方は更にシリンダーの塗り分けと丸みが強くなったフェンダー、更にLEDヘッドライトを標準装備。

それと同時に追加されたのがカフェレーサータイプのCB1100RS。

CB1100RSのスタイリング

・17インチのアルミキャストホイール

・ラジアルマウントキャリパー

・ローハンドル

・リザーブタンク付きリアサス

・アルミスイングアーム

・樹脂フェンダー

・ディスクローター10ピン仕様

などなどでスポーティに仕上げたモデル。

しかしこの2017年モデルで一番凄いのはマフラー。

2017CB1100

先代に比べ短くなっているわけですが、単純に短くなっただけじゃないです。

2018年式からのCB1300もそうなんですが、これが結構驚きな変更。

というのもバイクの純正サイレンサー内部は通常こんな感じになっています。ザックリですが。

排気の流れ

多段膨張式といって要するに広い狭いを繰り返すことで消音しているわけです。先代を含め一般的な純正マフラーはだいたいこんな三段構えの形。

ちなみに音量規制などといったものが無い時代だったCB750FOURはこんな感じ。

排気の流れ750フォア

直管に毛が生えた程度ですね。

「昔のバイクの方が音が良かった」

と言われるのはエンジン音をほぼそのまま流していたこの構造が大きな理由。多段膨張だとどうしても音が籠もってしまう。

では新しいCB1100のマフラーがどうなっているのかというと・・・

2017CB1100

なんと膨張室が一つ減っている。

この狙いはもちろんエンジンの”生の音”を可能な限りそのままライダーに聞かせるため。マフラーエンドが70mm短く(ライダーに近く)なっている事もあって効果絶大。

2017CB1100

これは既存のオーナーを調査した所、マフラーを変えている人が多かったのが理由。

それをみた開発チームが

「排気音が駄目なんだ」

という結論に至り、純正でも満足できる様に改良。

しかも音だけでなく重量も-2.4kgとアフターパーツメーカー泣かせなマフラー。

そしてこれはEXとRS専用ですがフランジレスタンクがホンダで初めて採用されました。

フランジレスタンク

ちょっと写真では分かり難いんですが、上と下を溶接する際の糊代が無いタンク。

フランジレスタンクにする必要がある糊代の折り曲げを省略する事で量産を可能としている。

溶接跡

糊代が無いに等しいほど短い。

採用理由はもちろん

「タンクの魅力をもっと追求しよう」

と挑戦して生まれた技術。なにげにタンク容量も+2Lで16Lに。

これは1300にも言える事なんですが、CBはフルモデルチェンジせず刻むようにマイナーチェンジしています。 イグニッションオブライフ

系譜としては止めてくれと思います・・・。

では何故こんなに刻むのかと言ったら、CBのモデルチェンジというのは変えるためのモデルチェンジではなく、磨くためのモデルチェンジだからでしょう。

「変えよう」

が前提ではなく

「磨こう」

が前提にあるから設備が向上する度にダイレクトに反映される。

最後に・・・空冷大好きな車体設計の今田さんが仰っていた言葉が非常に印象的でしたので締めに書き起こしておきます。

CB1100EXとCB750FOUR

「空冷が好きだったオヤジ(本田宗一郎)も、この時代に復活させた事を知ったらきっと喜んでくれると思う。」

主要諸元
全長/幅/高 2205/835/1130mm
【2205/795/1145mm】
「2180/800/1100mm」
{2190*835/1135mm}
シート高 765mm
〔785mm〕
「785mm」
{785mm}
車軸距離 1490mm
「1485mm」
車体重量

244〈246〉kg(装)
〔257〈259〉〕kg(装)
【260】kg(装)
「252」kg(装)
{256kg(装)}

燃料消費率 18.2km/L
〔18.6km/L〕
※WMTCモード値
燃料容量 14L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1140cc
最高出力 88ps/7500rpm
最高トルク 9.5kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80R18(58V)
後140/70R18(67V)
「120/70ZR17(58W)
180/55ZR17(73W)」
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8A-9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前18|後39
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 1,029,000円(税込)
〔1,102,500円(税込) 〕
【1,151,850円(税込)】
「1,378,080円(税込)」
※〔 〕内はEX
※〈 〉内はABS仕様で+49350円
※「」
※【 】内はEX<ABS>E Package
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

CB1100(SC65)-since 2010-

CB1100

「大人の所有感を満たすエモーショナル空冷直四ネイキッド」

2010年に登場したCB750FOURを彷彿とさせる空冷直四のCB1100/SC65型。

・味わいのある走り

・操ることの喜び

・所有することの喜び

の具現化を目標に造られたモデル。

タイプ1とタイプ2

アップライトハンドルのtype1と、少し前傾気味になるtype2(どちらもABSモデル有)の2グレード展開。

タイプ別ポジション

ちなみにシート高はCB1300SFより15mm低い765mm。

さて・・・そもそもこのバイクの発端は何処にあるかと言うと、10年前となる1999年の東京モーターショー。

CB750FOURを強く意識させるCB Fourと呼ばれるコンセプトモデルが初出になります。

コンセプトCB FOUR

これはCB1100のデザイナーとなる小濱さん(VT250FやNRやCBR900RRもこの人)がヨーロッパ勤務から帰ってきた際に描いた一枚の走り描きがキッカケ。

CB FOURスケッチ

もともと社内でも

「空冷のCBをやりたいよね」

という声は多くあったので、小濱さんのデザインに同調する人が増え造られた・・・んですが、時代が求めていなかったのかこの時は立ち消えとなりました。

しかし諦めず再び2007年の東京モーターショーに出展。

CB1100Fコンセプト

CB Fourがコテコテなナナハンだったのに対し、ヨンフォアの様なマフラーを装着した現実的なCB1100Fというコンセプトモデル。

このCB1100Fの反響が良かったので市販化となったわけ。そう考えると生い立ちはBIG-1と同じですね。

CB1100Rコンセプト

ちなみにこちらは同時に出展されたCB1100Rコンセプト。

コッチは駄目だった模様・・・惜しい。

しかしながら時代は騒音も排ガスも厳しくなり空冷が絶滅危惧種となってしまった時代。

CB1100コンセプトデザイン

ホンダとしても実に20年ぶりとなる空冷CBで、よく出したというかよく出せたなという話。

エンジンはCB1300をベースに空冷化したものなんですが、やはり色々と苦労があったよう。

CB1100エンジン

空冷エンジンで何が一番問題になるかというと『熱』です。

水冷と違って熱を一定に保つことが難しく、それが結果として燃焼温度を不安定にして排ガスを汚くし、また熱膨張によるクリアランスの問題でメカニカルノイズが発生し騒音となる。

ではCB1100はどうやって空冷を通してきたかというと

『オイルフローとエアーフローの徹底』

です。

CB1100オイル冷却

とっても熱くなる排気ポートと点火プラグ周りにエンジンオイルを積極的に循環させる事で冷却、熱を一定に保つようにしている。

冷却水の代わりにオイルを流して冷やす・・・ちょっとした油冷の様なシステムですね。

冷却システム

エアフローもエキゾーストパイプ上部からプラグまで吹き抜ける通風孔を新たに設けてある。

これらのおかげで温度を一定に保つ空冷直四が可能になったというわけです。

エンジン温度

が・・・しかし、一番の問題となったのは冷却ではなかった。

エンジン設計をされた杉浦さんいわく、CB1300のエンジンをベースに空冷化したエンジン第一号を造り、皆に乗ってもらったところ

「うん、空冷のCB1300だね」

という声が圧倒的だった。要するに空冷らしさがなかったんです。

そこで取り入れた技術が凄い。

『位相バルブ』

という技術を取り入れたんです。

位相バルブ

これは簡単な話、『1番と2番』『3番と4番』でバルブタイミングをわざとズラして”燃焼感”を出してるんです。

言ってみれば少しヤれてきた空冷エンジンの様な特性を、最新技術で演出している進化なんだか退化なんだか分からないハイテクデチューン。

SC65フォト

これのおかげで空冷特有の『デロデロ感』を出すことに成功。

もちろん空冷らしさは乗り味だけでなく見た目にもあります。

ギリギリまで薄く深くした冷却フィンもそうですが、ここで取り上げたいのはバルブの挟み角。

挟み角比較

ベースとなった1300と比べれば如何に大きく取ってるかがわかると思います。

これは開発責任者だった福永さんが

「広げた方が見た目がカッコイイ」

と考え、途中で計画変更した末のもの。

カムデザイン

「何の根拠があって変更するんだ」

と社内からもの凄く反対されたそうですが

CB1100SE

「見た目を取って何が悪い」

と一蹴し押し通した末のヘッドなんです。

福永さんが何故そこまで押し通したのかというと

「俺を含め50代の中年オヤジが乗りたくなるバイク」

という思いがあったから。

SC65

市販化された経緯、開発コンセプト、そのどちらもBIG-1と通ずる物があるCB1100。

そう考えるとCB1100という『もう一つのBIG-1』と言えるCBではないかと。

そしてこのCB1100に込められた思いに共感する人は多く、2010~2011年と大型二輪販売台数一位を記録する事となりました。

※2012年にシートとメーターを見直し

主要諸元
全長/幅/高 2205/835/1130mm
[2205/795/1100mm]
シート高 765mm
車軸距離 1490mm
車体重量 243kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※定置走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 1140cc
最高出力 88ps/7500rpm
最高トルク 9.4kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80R18(58V)
後140/70R18(67V)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8A-9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前18|後39
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 997,500円(税込)
※[]内はType II
※ABSは+73,500円&4kg
系譜図
CB750FOUR1969年
Dream
CB750FOUR
CB750FOUR-Ⅱ-1975年
Dream
CB750FOUR-II
/K/AERA
cb750f1979年
CB750F(RC04)
CB900F(SC01/09)
CB1100R1981年
CB1100R/F
(SC05/08/11)
CBX750F1983年
CBX750F
/Horizon
/BOLD’OR
(RC17)
cb7501992年
CB750/T
(RC42/RC39)
cb1000sf1992年
CB1000SF
(SC30)
cb1300sf1998年
CB1300SF
(SC40)
sc542003年
CB1300SF/SB
(SC54)
ST2008年
CB1300SF/SB/ST
(SC54中期)
sc652010年
CB1100
(SC65)
SC65中期2014年
CB1100/EX/RS
(SC65後期)
sc54後期2014年
CB1300SF/SB
(SC54後期)

CB1000R(SC80)-since 2018-

CB1000R SC80

「NEO SPORTS CAFE」

Rモデルとして紹介したCB1000Rの二代目となるSC80型。

皆さんご存知なよう、このモデルからは国産に戻され正規販売(グローバルモデル)となりました。

先代CB1000R/SC60のエンジンをベースに鍛造ピストン化と高圧縮化、さらにスロットルボディの大径化により145馬力までアップ。

SC80E

他にも見た目は勿論、サイドドラフト化や軽量化など大幅な改良をした為、RRのお下がりエンジンというよりもはやCB1000R専用エンジンに。

そこに最新の電子制御デバイスである

・ABS

・スロットルバイワイヤ

・走行モード切替

・トラクションコントロール

・スリッパークラッチ

・クイックシフター

などを装備。

CB1000Rリア

見た目の方も先代のストファイ路線から180度変わり、いま最も熱いネオレトロ系になりました。

・フルLED灯火

・フランジ(継ぎ手)レスタンク

・ヘアライン加工のアルミシュラウド

・バフ加工されたホイールハブ

・大型液晶メーター

などで質感も十二分。なにげにグリップヒーターまで付いています。

これだけ専用設計だらけで質感も拘ったらそりゃ163万円にもなるよって話。

キャンディクロモスフィアレッド

ちなみに上の写真は更にアルミフェンダーやシングルシートカウル、メーターバイザーを装備した海外向け限定のCB1000R+というモデル。

CB1000Rはお金を掛けただけあり、質感とデザイン性の高さが大きく話題になっています・・・が、言いたいことがあります。

CB1000Rコンセプトスケッチ

「見た目に惑わされるな」

という事です。

冷静になって考えてみてください。

このCB1000R/SC80は馬力が145馬力もある。これは一昔前のFireBladeを始めとするスーパースポーツ並の馬力です。

そして重要なのはそれを支えている更に軽く細くなった骨格。

2018CB1000R

先代SC60と同じデザイン性や足つき性に優れるスリムなバックボーンフレームながら、材質をアルミからスチールに変更した新設計品になりました。

そしてリアサスペンションも先代で解説した通り、奥で踏ん張るリンク式ではなくダイレクト主義のリンクレス。

CB1000Rディメンション

簡単な話CB1000Rは145馬力を使って速く走らせるような骨格ではない。

先代のコンセプト

「ストリートで最高に楽しめるスーパースポーツネイキッド」

を更にHOTにした形です。

ホンダらしからぬ思い切りの良さですが、これは電子スロットルを始めとした電子制御で誰でも乗れるよう調教出来たから成せた事でしょうね。

キャンディクロモスフィアレッド

CBR1000RRで味わえる高揚感を普段使いのストリートで味わえるCB1000R。

そんな公式の狙いが現れているのが、この145馬力エンジンの為ではなく乗り手の為にある骨格という話。

一言で表すなら

2018CB1000R

「サーキットへの未練を完全に断ち切ったネオレトロ系ストリートファイター」

それがCB1000R/SC80型です。

主要諸元
全長/幅/高 2120/790/1090mm
シート高 830mm
車軸距離 1455mm
車体重量 212kg(装)
燃料消費率 16.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 145ps/10500rpm
最高トルク 10.6kgf-m/8250rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55ZR17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR9E-9HES
または
VUH27ES
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ525|リンク116
車体価格 1,519,000円(税別)
系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

CBF1000F/A/GT(SC64)-since 2010-

CBF1000F/SC64

「Real-world thrills」

CBF1000の後継にあたるCBF1000F/SC64型。

CBR1000RR/SC57型をそのままハーフカウルにしたようなデザインになりました。

構造的なものは基本的に先代からキャリーオーバーしているものの、エンジンを少し高回転寄りにし107馬力となり、車重もフレームを始めとした各部の見直しとマフラーの一本化で5kg減。

CBF1000F

要するにスポーツ性が少しアップしたわけですが、とはいうもののCBF1000はあくまでもオールラウンダーRRなので最大の狙いと改良点は

・燃費の改善

・タンク容量1Lアップ(20L化)

・前後連動C-ABS(Aのみ)

・ジェネレーターの改良

など更に使い勝手を向上させた事。

CBF1000F GT

もちろん例に漏れずフルパニアのGTモデルも登場。

ただ排ガス規制EURO4に対応していなかった事から2017年モデルをもって生産終了となりました。

最後に・・・とある欧州ジャーナリストのCBF1000Fに対する評価を書いて〆とします。

CBF1000Fカタログ写真

「CBF1000FはFirebladeの様に身を焦がすほどの炎は纏っていない。そのかわり貴方のバイク人生の95%を明るく照らしてくれる炎を纏っている。」

向こうの人は上手いこと言うもんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2156/781/1138mm
シート高 795mm(±15mm)
車軸距離 1480mm
車体重量 242kg(装)
燃料消費率 不明
燃料容量 20L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量 998cc
最高出力 107ps/8000rpm
最高トルク 9.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
または
U24FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク116
車体価格

1,360,000円(税込)
※日本未発売
※価格はパッセージより

系譜図
ホーネット900/SC482001年
CB900 HORNET
(SC48)
CBF1000/SC582006年
CBF1000
(SC58)
/SC602008年
CB1000R
(SC60)
CBF1000F2010年
CBF1000F
(SC64)
/SC80 2018年
CB1000R
(SC80)

スーパーカブ C125(JA48) -since 2018-

スーパーカブC125/JA48

「Personal Commuter for Global “NICEST LIFE”」

2017年の東京モーターショーの大反響から約一年半経った2018年の6月に登場したスーパーカブC125/JA48型。

ナンバリングそれに見た目からも分かる通り、このモデルは既存のスーパーカブシリーズとは違い、大成功を収めた第一世代の初代スーパーカブC100をリボーンさせた形になります。

第一世代と第二世代

最大の特徴であるハンドルからフロントフォークまで一体化したフロントデザインが見事に再現されていますね。

ちなみこのフロントデザインはディズニーの小鹿、バンビ(が前足を突っ張って急ブレーキする仕草)からインスパイアされたものだったりします。

更にいうとシートの赤紫はキャサリンヘップバーン主演の映画『旅情』で登場するベネチアングラスの色から。青は日本の空と海の色が由来でこれまた見事に再現。

※Honda DESIGN Part1|東京エディターズより

もちろん当初から60年後のモデルなので大きく変わっている部分もあります。

スーパーカブC125のディメンション

キーレスやフルLEDの灯火系、それにギアインジケーター付き液晶メーターなどもそうですが、一番目につくのは足回りで、ボトムリンク/スポーク/ドラムからテレスコ/キャスト/ディスクとなっています。

スーパーカブC125の足回り

これは恐らく海外用にABSを装備する必要性があり、そうなるとディスクブレーキがほぼ必須。更にそうなるとボトムリンク式フォークだとディスク(キャリパー)を付けるのが厳しくなるからかと。

キャストホイールになっているのもディスク化された事にデザインを合わせる狙いがあったんだろうと思います。

まあデザインも非常に洗礼されている上に、これで遂にチューブレスタイヤを履けるようになったわけで、ネオレトロらしい使い勝手の向上といえる内容かと。

ただもう一つ劇的に変わっているというか、C125のデザインで要となるポイントは横から見た時のシルエット。

C125コンセプトデザイン

横から見たときに綺麗なS字を描くようになっている。

このラインはC100には無いもので、C125はこのS字を描くために各部を1mm単位で調整している。

「なんでC125はリアフェンダーが鉄なんだろう」

と疑問に思われた方もおられると思いますが、それもこのS字を描く際にプラフェンダーでは強度の問題で綺麗な尾を描けないからわざわざ鉄が採用されているんです。

JA48サイド

ぜひとも一度はセンタースタンドを立てて正面や斜めではなく、真横から見て惚れ惚れして欲しいと思う今日このごろ。

ウイングマークが敢えての旧タイプなのも良い味出していますね。

中身の方を話していなかったので続けると、エンジンはタイ向けに採用されているウェーブ125iがベースですがもちろんそのままではありません。

JA48エンジン

プライマリーギアのヘリカル化(螺旋状化)に加え、高精度のクランクジャーナルベアリングを採用することでエンジンノイズを低減。さらにシフトドラムにベアリングを装着し、各部に防音のためのラバーまで装着。

これによりC125は見た目に驚くだけでなく、乗っても驚く。

と言うのもC125もスーパーカブの例にもれずシフトペダルを踏むだけでクラッチが切れるクラッチレス自動遠心クラッチ。

だからギアチェンジの時は

「ガチャコン」

と結構大きなショックと音が出る・・・というイメージを持っていませんか。それは昔の話です。

スーパーカブは現行の時点で二段クラッチ化(発進用の遠心シュー式/変速用の多段クラッチ式)されており、非常にスムーズになっているんですが、C125はそこから更にいま説明したベアリングの追加やデットニングのおかげで物凄くジェントルにシフトチェンジする。

C125のステップ

加えてこの盛り盛りステップだからシフトチェンジを一回するだけで

「ただのスーパーカブじゃない。40万円は伊達じゃない。」

と実感すること間違いなし。

JA48エンジン

最後に少し蛇足的な余談をすると、このスーパーカブC125はスーパーカブ史の中でもダントツで異質なスーパーカブだと思います。

というのも、スーパーカブの歴史というのは

・日本(欧米)では社用車や下駄車

・アジアでは一家に一台のファミリーカー

という二面性のような形で何十年も続いてきた歴史があります。

しかし税別37万円という車体価格からもわかる通り、このC125は日本でも東南アジアでも欧米でも、つまり世界中で

「ノスタルジックなスーパーカブ」

という形で世に出ているんです。これはスーパーカブ史にとっては本当に異質なこと。

そもそもなんで今こんなモデルを出したのかという話を少しすると

・懐古(ネオレトロ)ブーム

・スーパーカブが60周年

などで日本でも大人気となっているんですが、もうひとつ面白い要素として紹介したいのが

「アジアで日本ブームが起こっている」

ということ。

この頃、アジア(特にタイやインドネシア)ではとにかく和風なものが好まれていて、そうした時にこのC125っていうのは向こうの人達からすると日欧米より衝撃なモデルなんです。

何故なら

「初代スーパーカブC100はアジアで売ってなかったから」

です。

そして同時に所得が上がってきたことから、下駄車でも少し贅沢なモデルが売れるようになってきた。

タイにあるカブハウス

そんなもんだから和の香りがプンプンするC125は、それはもう堪らんという話。

ちなみに上の写真はそれに合わせてタイホンダと現地カフェショップのコラボによって建てられたカフェ兼ちょっとリッチな125を取り扱うオシャレなバイクショップ。

C125がこれまでのスーパーカブと立ち位置が全く違うモデルである事が一目瞭然かと。

主要諸元
全長/幅/高 1915/720/1000mm
シート高 780mm
車軸距離 1245mm
車体重量 110kg(装)
燃料消費率 66.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 3.7L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 9.7ps/7500rpm
最高トルク 1.0kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前70/90-17M/C(38P)
後80/90-17M/C(44P)
バッテリー YTZ5S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9/U20EPR9
または
CPR7EA-9/U22EPR9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
スプロケ 前14|後36
チェーン サイズ420|リンク106
車体価格 370,000円(税別)
系譜図
JA482019年
SuperCub C125
(JA48)
JA552020年
CT125・HunterCub
(JA55)
JA582021年
SuperCub C125
(JA58)
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