XS1100/E/S/SF(2H7~9)-since 1978-

XS1100

「GET UP. AND GO.」

ヤマハ初の四気筒モデルになるXS1100。※型式は欧州モデル

排気量から見ても分かる通り海外向け専用モデルで、向こうではXSイレブンと呼ばれています。

当時ヤマハはフラッグシップとしてGX750という三気筒のバイクGX750を出していたんですが、このXS1100はその延長線上で考えられたモデル。

XS1100パンフレット

「三気筒で750、もう一気筒追加で1000」

という狙いだったわけです。

では何故1100になったのかというと、既にZ1000を始めとしたリッターが登場していたから。

だから+100ccのイレブンで行く必要があると営業からの要望があったことでボアを広げ1100となった。

XSイレブン

車体の方はGX750と同じシャフトドライブなど延長線上にある形なんですが

「じゃあXJ1100とGX750は似ているのか」

というとコレが全く違う。

三気筒と四気筒という違いも勿論ありますが、GX750がとにかくスポーツだったのに対しXS1100は徹底的に振動を消すことを念頭に置かれました。

XS1100エンジン

例えばこのエンジン。

・クランクシャフト

・レイシャフト

・メインシャフト

・カウンターシャフト

・ミドルシャフト

の五軸レイアウトを採用しています。

XS1100シャフト

これは一次駆動をサイレントチェーンにして静音性を上げたかった事と、メンテナンスフリーになるシャフトドライブを採用するため。

そしてもう一つ大きな違いがエンジンマウント。

GX750はエンジンをリジットマウントにして剛性を稼いでいたのに対し、XS1100は全面ラバーマウント。

XS1100カタログ

つまりXS1100は既存のリッタークラスがとにかく馬力だったのに対し、快適性を追求したリッターだったんです。

その振動の少なさは特に北米で評価され、アメリカの大手バイクメディアであるサイクルワールドの年間ベスト10にも選ばれるほどでした。

XS1100スペシャル

これはそのクルーザー版になるXS1100Specialです。

ちなみにこれは余談なんですが、ヤマハは三気筒のGX750を造ったあと四気筒ではなく水平対向六気筒で行く予定でした。

フラット6

静寂性とスペシャル感を考えた場合、水平対向六気筒のほうが都合が良い。極端な話3+3でGX750のエンジン技術を転用できると考えていたんでしょうね。

ただパテントの関係と、技術的な関係から四気筒に改められXS1100が誕生した。もしもこのとき水平対向六気筒を選んでいたら今のヤマハはどうなっていたでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2260/920/1175mm
シート高 800mm
車軸距離 1545mm
車体重量 274kg(装)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1101cc
最高出力 96ps/8000rpm
最高トルク 9.19kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19-4PR
後4.50-17-4PR
バッテリー GM18Z-3A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル ヤマルーブ
SAE 20W/40
または
SAE 10W/30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.0L
フィルター交換時3.5L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
XS11001978年
XS1100/E/S/SF
(2H7~9)
XJ650スペシャル1980年
XJ650SPECIAL
(4L6)
XJ7501981年
XJ750A/E/D
(5G8/5G9/29R/22N)
XJ9001983年
XJ900/S/F
(31A/58L/4BB)
XJR1200前期1994年
XJR1200/R
(4KG)
XJR1300前期1998年
XJR1300
(5EA前期)
XJR1300中期2001年
XJR1300
(5EA後期|5UX前期)
現行XJR13002006年
XJR1300/C
(5UX後期|2PN)

TMAX560/TECH MAX(B3T/B7M) -since 2020-

七代目TMAX

「贅を知る、大人に。」

2021年から始まる新排ガス規制のEURO5に合わせてモデルチェンジとなったTMAX560/B3T型とTECH MAX/B7M型。

最初に変更点を上げると

・ボアを拡大し排気量を561ccに
・吸排気見直しで中高速アップと振動ノイズの軽減
・フロントウィンカーもLEDに
・Tをイメージしたテールライト
・冷却性を上げたエアダクト
・足付きを考慮したサイドカバー
・タンデム性を上げるリアカウル
・クロームブラックマフラー
・新設計エキゾースト(触媒)

という感じで排ガス規制への対応と走行性能アップがメインな感じです。

新型エンジン

そして+13万円のテックマックスモデルは

・無段階135mm調整電動スクリーン(ノーマルは二段階55mm)
・グリップヒーター
・シートヒーター
・クルーズコントロール
・プリロードと伸側減衰力アジャスター付きリアサス

を標準装備した上位モデルというか先代で言うDXみたいな存在。

TMAX560とTMAX560TECHMAX

トラコンや出力モード切替はノーマルも装備しておりグリップヒーターも後付可能。簡単に言うと先代のSXにクルーズコントロールが標準されたのがノーマルモデルという感じですね。

ちなみに欧州ではテールライトが変わったことが一番騒がれているようです。

TMAX530とTAMX560

TMAXはキープコンセプトで面白構造についても話したのでこれ以上あんま書くことない・・・という事で

「なぜ欧州ではTMAXが人気なのか」

という小話を少し。

TMAXが向こうでキングオブスクーターの異名を持っているのは前にも書いたんですが、主にどの国が一番買っているかというイタリアとフランスの人達が一番買ってる。

A2免許(日本でいう普二みたいなクラス)なのも相まって年間平均8000台前後が売れてるんですがそのうち半分をイタリアが、そして次いでフランスが占める感じで、要するにスクーターが文化として根付いてる国で圧倒的な支持を得てる。

年間販売台数8000台ってサラッと言いましたけど日本の大型バイクは年間販売台数一位でも3000台前後ですからね。まして100万円のスクーター・・・どんだけ人気なのか分かるかと。

TMAX530とTAMX560

しかし一方で同じくスクーターが根付いている日本では

「なんでそんなに人気なのか分からない」

「スクーターに100万円も出せない」

という感じで欧州のようには売れてないというか理解できない人が多いのが正直な所かと。

この違いは何かって話ですが、向こうの人にとってTMAXというバイクはこれと同じような存在なんです。

VWゴルフ

皆さんご存知フォルクスワーゲンを代表する名車ゴルフ。

唐突にゴルフを紹介されても意味不明だと思いますが、SNSなどこういうつぶやきをする人がいっぱい居る。

「サンタさんGolfとTMAXをください」

これこそがTMAX人気の答え。

何故ゴルフが人気なのかといえば様々な意見があるでしょうが一番は

「ドライビングプレジャーを味わえるちょっと贅沢な実用車」

ということから。TMAXはこれのバイク版なんです。

TMAX560

TMAXはたしかにオートマチックで楽に乗れるし、メットインもあるから荷物も載せられる便利な実用バイク。

でも立派なエンジンと車体を備えているからスポーツバイクに負けないプレジャーを気軽に味わえる・・・それも日々の道路で。

ここがTMAXの評価を分ける部分。

これはクルマにも比較的言えるんですが電車通勤やバス通勤が当たり前な事もあって日本でバイクに乗ると行為は”非日常”という要素が強い。

しかしイタリアやフランスではバイクに乗るという行為は毎日の通勤で当たり前な”日常”という要素が強い。だからこそ確かな造りで利便性を備えつつ運転そのものを楽しむ事を決して疎かにしてないTMAXが

『非日常ではなく日常を豊かにしてくれる乗り物』

として絶大な支持を得てるという話。

向こうの人からすると

「毎日使うんだから良いもの買うのは当然でしょ」

と言うんでしょうね。文化の違いというか価値観の違いというか。

日本でキングオブスクーターのTMAXを下駄車として使うのは勿体ないって思うのが恐らく大多数だと思うんだけど、その”勿体ない”っていう事こそが贅沢の象徴なわけで、そんな贅沢を思う存分堪能出来るように造られているのがTMAXなんですよね。

TMAX560カタログ写真

公式のキャッチコピー

「贅を知る、大人に。」

という言葉は正にそれを現してるかと。

主要諸元
全長/幅/高 2200/765/1420mm
シート高 800mm
車軸距離 1575mm
車体重量 220g(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 22.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 561cc
最高出力 48ps/7500rpm
最高トルク 5.7kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR7G
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,160,000円(税別)
[1,290,000円(税別)]
※[]内はTech MAX(B7M)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530SX/DX(BX3/BC3) -since 2017-

六代目TMAX

「Master of Scooter」

先代でTMAXモデルチェンジが早すぎるなんて言ってたら熱も冷めぬ内にまたモデルチェンジとなった六代目のTMAX530SX/BX3型とDX/BC3型。

最初に変更点を上げると

・デザインを一新
・ABSを標準化
・YCC-T(電子制御スロットル化)
・D-MODE(2モード出力切り替え)
・トラクションコントロール
・新設計アルミフレーム
・新設計アルミロングリアアーム
・新設計二連アナログ&TFTメーター
・可変スクリーン(二段階55mm差)
・プーリーとベルトの再設計
・マフラーの再設計
・リアホイールのリムを0.50縮めバネ下軽量化

という感じで電子制御だけでなく車体の方も大きく見直されました。

TMAX530SX/TMAX530DX

DXは上記に加え更に
・グリップヒーター(SXも別売で用意)
・シートヒーター(SXも別売で用意)
・クルーズコントロールシステム
・プリロード&伸側減衰力アジャスター付きリアサス
・電動スクリーン(無段階135mm差)
・+3kg

が装備された上位版になります。

特筆すべき変更点としてはまずフレームが新しく作り直された事。

2017TMAXフレーム

青いほうが2017年式の方なのですが肉を削ぎ落として9kgの軽量化。

更にベルトやホイールのリム幅をワンサイズ細く(タイヤサイズは変わらず)し合計で10kgの軽量化。

リアまわり

フレームを短くしてホイールベースが短くなった分、スイングアームを一気に40mm伸ばし脚長モデルへと変貌。コレにともなってリアサスペンションもリセッティングされています。

更に電子スロットル化も恩恵が大きく、電子制御はもちろんのこと挙動もかなり調教されたものに。

2017年式TMAXメーター

ところで日本は関係ないんですが欧州ではこのモデルから

『My TMAX Connect』

『D-Air』

への対応も追加されました。

My TMAX Connectというのは日本にとっては懐かしいボーダフォンとヤマハの提携サービスで、データロガーはもちろん追跡はもちろん遠隔でホーンを鳴らしたりウインカーを付けたり出来る早い話が監視サービス。

My TMAX Connect

そしてもう一つのD-Airはダイネーゼというイタリアのバイク用ウェアを中心に作っているスポーツウェアメーカーが10年掛けて開発したエアバッグシステムの事で凄いのはワイヤレスだという点。

エアバッグシステム自体は前からあるしレースなんかではもう常識なんですが、一般用途においてはランニングマシンのように作動用コードでバイクと繋ぐ必要性があったりする煩わしさがあった。

それをダイネーゼはセンサーをジャケット(背中プロテクター)に内蔵する事でワイヤレス化に成功したというわけ。

2017年式TMAX

1秒につき約800回ライダーの動きを収集し、転倒と判断したら僅か0.045秒という速さで展開するエアバッグシステム。これは自動車のエアバッグと同等の速さ。

そしてTMAX530はそんなD-Airシステムの正確性を更に増すため、TMAXからも作動信号を送れるコントローラーを内蔵出来るようした(コントローラーはオプション)というわけ。

2017年式TMAX

当然ながらタンデムの事も考えて2名までコントロール出来るようになってます。

イタリアで絶大な人気を誇る車種らしい装備って感じですね。日本のウェアメーカーも早く追い付いて欲しい物です。

ちなみにMy TMAX Connectも向こうの人にとっては保険のクラスが下がるから非常にありがたい装備。

2017年式TMAX SX

向こうは車種によって保険料が違うのでバイク選びに保険が直結するんですが、今回のモデル分けでそのアプリ機能が付かない無印は今までのTMAX同様にA2ライセンス(日本でいう普通二輪扱い)。

それに対しMy TMAX Connectによる速度警告機能やGPSによる追跡といった機能と、Aライセンス(日本でいう大型)扱いのおかげで保険が更に下げられる事になっています・・・まあつまり日本で乗る分にはあまり重要ではないです。

ちなみに向こうでは先代も名前をTMAX LUX MAXと変えて併売しました。

2017年式TMAX DX

これはEURO4(規制)の猶予が現行車の場合1年あるから。写真に載ってる通りイタリアなどでは低金利キャンペーンをやってるみたいです。

先代もそうだけどTMAXが凄いのは新型が出てもこういったキャンペーンで型落ちだろうが同じくらい売れる事。日用品としての広く認知されている事の証ですね。

ちなみにこのモデル大きく変更したためかヤマハも主戦場であるイタリアのEICMAモーターショー2016で特別に別の会場を用意する力の入れっぷりでした。

EICMA-TMAX

会場の駐輪場は案の定TMAXだらけに・・・。

最後にちょっと余談ですがTMAXで外せない要素なのに書き損ねた事があるので書かせてもらいます。

2017年式TMAX顔

みなさん

「TMAXは実は三気筒」

というのをご存知でしょうか。これは初代から一貫してです。

諸元をみてもらうと分かる通りスペック上はパラツイン(並列二気筒)と書かれている。

一体どういうことかというとTMAXは面白い事にパラツインでも稀な360度クランクを採用しています。

※補足:二気筒エンジンが七変化した理由-クランク角について-

つまり本来ならシングル顔負けの振動を起こすわけですがTMAXは振動は起こりません。それは当然ながらバランサーがあるから。

バランサーというのはその名の通り振動を相殺してくれる重りの付いた棒でバランサーシャフトとも言われています。下の写真は同じ360度ツインエンジンを搭載しているW800のエンジン。

バランサーシャフト

これが振動を消してくれる事で振動を抑えているわけです・・・が、ではここでTMAXのエンジンを改めて見てみるとバランサーが見当たらない。

バランサーシャフト

それもそのハズTMAXにバランサーシャフトは付いておらず代わりにもう一つシリンダー(赤い矢印の部分)が付いている。

『往復式ピストンバランサー』

と呼ばれる方法で、プラグやバルブといった内燃機関は持っておらずバランサーとして前の二気筒と反対のストローク運動をして振動を消しているというわけ。

バランサーピストン

360度で等間隔だから等間隔に二気筒分のカウンターを当ててやれば綺麗に消せるという事。

これは自動車の水平対向四気筒エンジン等と同じ思想。

だからTMAXのエンジンは

「水平対向と同じ特性を持つ水平対向三気筒・・・のような横型並列二気筒」

という実に面白い形なんですね。非常にややこしい言い回しですが。

リアスタイル

「そもそも何故そうまでして360度に拘ったのか、180度じゃ駄目なのか」

って話になりますよね。

スポーツバイクは基本的に180度クランク。それに対し360度クランクは振動面(重量やスペース)で不利なのでノスタルジックなモデルに採用されるエンジン。

それなのにスポーツスクーターのTMAXは何故360度なのかって・・・これは360度という等間隔燃焼による穏やかなトルク変動がコミューターには必須だと判断されたから。

しかしエンジンの高さは抑えないとシート高が更に高くなったり、メットインスペースを犠牲にする問題が出てくる。しかし振動を嫌ってラバーマウントにしてしまうと剛性が落ちてしまう。

TMAX三気筒

そこで考えられたのがピストンを水平に寝かせつつ反対側にバランサーピストンを仕込むことで高さを抑えた世にも奇妙なエンジンというわけ。

これ本当に面白い話でTMAXは

「電動と思わせるほどエンジンの存在感を消す事」

というのがコンセプトにあるんですが、何度も言うように360度クランクっていうのはどちらかというとエンジンの存在感を出す際に採用される主張の強いタイプ。

それを隠れピストンで完全に取り除き、360度本来の武器であるトルク変動の少ない等間隔燃焼という特性だけを残した。

2017tmax壁紙

つまりTMAXというのはスポーツコミューターであると同時にノスタルジックの対極に居る

「フューチャリスティック360度ツインスポーツ」

なんですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/765/1420~1475mm
[2200/765/1420~1555mm]
シート高 800mm
車軸距離 1575mm
車体重量 215kg(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 20.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 46ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,150,000円(税別)
[1,250,000円(税別)]
※スペックはSX(BX3)
※[]内はDX(BC3)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530(2PW)-since 2015-

五代目TMAX

「上質を、堪能しよう。」

熱も冷めぬ内にマイナーとはいえモデルチェンジされ五代目となったTMAX/2PW型。調べてみたら先代が日本では2013年の6月発売、そしてこの後期モデルの2PWは2015年1月でなんと2年も経ってない。

変更点を上げると

・LEDヘッドライト
・倒立フォーク
・ラジアルマウントキャリパー
・インテリジェントキー(スマートキー)

などなど。

五代目TMAX

ドレスアップの意味合いが強い変更となったわけですが、やはり目につくのは倒立フォーク。しかもYZF-R1の初期モデルと同径の太いタイプでラジアルマウントキャリパーまで装備。

倒立サス

「コミューターなんだから正立の方が切れ角とか稼げるし良いのでは」

と思うんですが、これは主戦場である欧州のTMAXユーザーに対し

「変更するならどこを変更して欲しいか」

というアンケートを取ったところ

「倒立フォーク、LEDヘッドライト、インテリジェントキー」

という結果が出たことから搭載されることになったという話。やはりコミューターとして人気なのでそこら辺の声には敏感なんですね。

イタリアモデル

それに初代で説明した通り気持ちはYZF-R5でもあるのでまあ倒立フォークも不思議なことでもないのか。

ただTMAX界隈に一番衝撃を与えたのは倒立フロントフォークでもラジアルマウントキャリパーでもない・・・LEDヘッドライトです。

LEDヘッドライト

「そんなことが衝撃なのか」

と思うかも知れませんがLEDになってTMAXは大きく変わった事があるんです・・・それは

LED点灯

『両眼点灯』

になったことです。

TMAXはこれまで歴代全部片眼点灯でした。

片眼点灯の理由についてネットでは

「両眼点灯だと眼の間隔が狭いため、距離が遠いと勘違いされて事故が起こるから」

などが言われてますが、少なくともTMAXは難解な理由じゃない・・・その理由とはズバリ

「欧州では片眼点灯が流行ってるから(ヤマハ談)」

至極単純ですね。

2015TMAX顔

これは欧州で大人気の耐久レース影響。向こうでは片眼点灯がスポーツの証みたいなイメージがあるから、ただのビッグスクーターではなくビッグスクーターの皮を被ったスポーツバイクみたいなTMAXも採用されていたという話。

しかし一方で日本ではあまり耐久レース文化が根付いていない事もあってか

「球切れみたいで見窄らしい」

という意見が多く自分で両眼点灯に改造したり。まあこれはTMAX530に限った話ではないですが。

2015TMAX530

それが今回LED化に伴い高級感を出すためか欧州での流行りが終わったのか定かではありませんが、両眼点灯に生まれ変わったわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/775/1420mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 222kg(装)
[218kg(装)]
燃料消費率 21.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 48ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 980,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX530(59C)-since 2013-

四代目TMAX

「Try the Maximum」

四代目になったTMAXの59C型。このモデルからは正確に言うとTMAX530という名前になりました。

ちなみにグッドデザイン賞に続いてこのモデルでは権威あるドイツのレッドドット・デザインアワードで見事

『プロダクトデザイン2012』

を受賞しました。確かに格好良いですもんね。

話を戻して最初に変更点を上げると

・ボアを2mm拡大し530ccに
・合わせて吸気バルブも1mm拡大
・アルミ鍛造ピストン
・バランサーにアルミスリーブ追加
・メインフレームの見直し
・新設計アルミスイングアーム
・チェーンドライブからベルトドライブに
・282mmの大径リアブレーキ
・プロジェクターヘッドライト
・LEDテールライト
・アルミサイドスタンド
・ABSモデルの追加

などとなっています。

四代目TMAXカタログ写真

このモデルで特筆すべき点はエンジンを530ccまで上げ加速性能を向上させた事もそうなんですが、TMAXの特徴の一つであった2段掛けチェーン駆動がベルト駆動になった事。

ベルトドライブ

これは騒音規制への対応とバネ下のさらなる軽量化(-3.5kg)、そして遊びが少ないことによるリニアな反応が狙い。

そんなTMAX530なんですが先行発売していた欧州でどうだったかと言えば2012年には販売台数一位(約16000台)を記録したようです。販売台数一位というのは125cc等の原付も含めた数。

もう凄いとしか言いようがないですね。10年4代で人気が全く落ちない。

XP530

書き忘れましたがこのTMAXは逆輸入モデルより国内仕様のほうがカタログスペックが上という珍しいバイクだったりします。

これは2013年から国内の騒音規制が欧州に順従する形となった事と、元々TMAXの開発コンセプトにエンジンの存在を消すという目的があった事。

そしてベルトドライブになった事などが挙げられ国内用マッピングに合わせた際に変わった物かと。

TMAX_giro

あとイタリアの一番有名な自転車レース『ジロ・デ・イタリア』では伴走車として活躍したりしました。

ピンクも意外と合いますね。

主要諸元
全長/幅/高 2200/775/1425~1475mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 217kg(装)
[221kg(装)]
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 530cc
最高出力 48ps/6750rpm
最高トルク 5.4kg-m/5250rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 920,000円(税別)
[970,00円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(4B5)-since 2008-

三代目TMAX

「スポーツコミューターの進化」

初めてのフルモデルチェンジとなった三代目のTMAX/4B5型。

最初に変更点を上げると

・アルミフレーム
・モノブロックMOSキャリパー
・エンジンのリセッティング
・新設計アルミホイール
・フロントも15インチへ
・キャスター角やホイールベースの見直し
・燃料タンクを+1Lで15Lに

などとなっていますが、何より特筆すべきはフレーム。

SJ08J

なんとフレームがアルミのしかもダイキャスト製というスクーターにあるまじき豪華なものになりスポーツ性が更に向上。

加えてブレーキキャリパーもR1と同じ住友のMOSキャリパーを奢られ、もう本当に

「お前はスーパースポーツか」

と突っ込みたくなるような構造に。

2008TMAX

ヤマハの資料によるとこの頃は欧州だけで20000台/年という更にありえないほどの売れっぷり。当時の欧州ビッグスクーター市場は50000台前後なので約半数をTMAXが占めてる事になる。どんだけ・・・ちなみにメインはイタリアやフランス。

向こうのヤマハ販売店は一店舗でTMAXを年間300台売ることも珍しくないんだとか。

TMAX WGPカラー

念の為に言っておきますが向こうでも決して安い乗り物ではないです。日本と変わらない値段。

じゃあなんで売れるのかっていうとA2免許(日本でいう普通二輪)という事もあるんでしょうが、一番はスクーターに対する認識の違いでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2195/775/1445mm
シート高 800mm
車軸距離 1580mm
車体重量 222kg(装)
燃料消費率 25.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7000rpm
最高トルク 4.5kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-15(56H)
後160/60-15(67H)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 900,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(5UV)-since 2004-

二代目TMAX

「より高いライディングプレジャー」

僅か三年足らずでモデルチェンジとなった二代目のTMAX/5UV型。

最初に変更点を上げると

・フロントフォークのインナーチューブ径アップ
・5本スポークホイール
・リアホイールを14インチから15インチへアップ
・フロントWディスクブレーキ化
・前後ラジアルタイヤ化
・FI化と圧縮比の向上
・三元触媒の採用
・新設計デジタルメーター
・パーキングブレーキ

などとなっています。

二代目TMAXカラーバリエーション

この頃もう既にTMAXによって欧州でもビッグスクーターブームが起きててライバル車が数多く出ていたんですが、一番人気キングオブスクーターの座はパイオニアだったTMAXで変わらず。

理由はもちろん初代でも話した通りビッグスクーターの延長線上にいるスポーツモデルではなく、スポーツバイクの延長に居るようなビッグスクーターだったから。

SJ04J

結果としてTMAX人気は留まるところを知らず発売から僅か三年で4万台を超える販売台数を記録。その後も一万台以上/年をコンスタントに売り上げ欧州ヤマハの顔にまで成長しました。

売れるから開発費が掛けられる、開発費が掛けられるから良いモデルが造れるという正のスパイラルに突入したわけですね。

主要諸元
全長/幅/高 2235/775/1235mm
シート高 795mm
車軸距離 1575mm
車体重量 225kg(装)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7500rpm
最高トルク 4.6kg-m/4500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-14(55H)
後160/60-15(67H)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 809,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

TMAX(5GJ)-since 2001-

初代TMAX

「ニュー・オートマチック・スポーツ」

キングオブスクーターことTMAXの初代モデルである5GJ型。

当時のヤマハとしてはTMAXはビッグスクーターじゃないという旨の事を言っていて、公式サイトでもスクーターカテゴリじゃなくスポーツバイクカテゴリに入れていました。

その根拠は何かって話ですが、それは構造にあります。

初代TMAX

確かにTMAXはオートマチックに加え33Lのトランクスペースというビッグスクーターの武器を備えているんですが、ビッグスクーターらしさがあるのはほぼそれだけ。

まず第一にビッグスクーターといえばフレームはネイキッドのフレームを押し下げたアンダーボーンやダブルクレードルフレームが一般的なんですが、TMAXは水平に寝かせた並列二気筒エンジンを剛性メンバーとして積極的に使うダイヤモンドフレームに積んでいる。

TMAX500内部

そしてフロントフォークもブラケットで懸架されたオートバイタイプ。

さらに駆動方式もスイングアームとエンジンが一体になっているスイングユニット式が一般的なのに対し、リアアームが分かれているスイングアーム式で最終駆動もチェーン。

これはスイングユニット式だとエンジンをダイレクトマウントして剛性メンバーとして使うことが出来なくなる上に、バネ下重量が激増してしまい路面追従性が悪くなってしまうから。

チェーン式無段階変速機

つまり簡単にいうとTMAXっていうのは見た目はスクーターのなんだけど造りは完全にスポーツバイクなんですね。

これがTMAXがスクーターじゃないと言われる所以で開発者は

『YZF-R5』

を目指して造ったとの事。

XP500

「そもそも何故こんなモデルを造ろうと思ったのか」

という話ですが、これはヤマハが1995年に出したビッグスクーターの代表格としてお馴染みマジェスティにあります。元々マジェスティは日本向けに出した面が強かったんですが欧州でも販売したところ

「荷物も詰めてソコソコ機敏に走れる楽ちんバイク」

として予想外のヒットとなった。

しかし向こうの人は体格の大きくスポーツ性にもうるさいのでソコを狙って開発されたのが

「テクノロジーをマックスで詰め込んだTMAX(Tech MAX)」

というわけ。

2003TMAXブラックエディション

その狙いは見事に的中し、初年度の欧州だけで9000台も販売。キングオブスクーターとして大好評となりました。

ちなみに日本のグッドデザイン賞を受賞したバイクでもあるんですが、その中でも金賞を獲得したのは国産バイクではこのTMAXだけだったりします。

主要諸元
全長/幅/高 2235/775/1235mm
シート高 795mm
車軸距離 1575mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率 30.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 499cc
最高出力 38ps/7000rpm
最高トルク 4.5kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前120/70-14(55S)
後150/70-14(66S)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.8L
フィルター交換時2.9L
スプロケ
チェーン
車体価格 740,000円(税別)
系譜図
SJ02J 2001年
TMAX
(5GJ)
SJ04J 2004年
TMAX
(5VU)
SJ08J 2008年
TMAX
(4B5)
SJ12J 2012年
TMAX530
(59C)
2015SJ12J 2015年
TMAX530
(2PW)
2017TMAX 2017年
TMAX530SX/DX
(BX3/BC3)
2020TMAX 2020年
TMAX560/TECH MAX
(B3T/B7M)

SR400(1JR/3HT)SR500(1JN/3GW)-since 1985-

四代目SR400

「深化。」

SR史上最大のヒットとなった四代目のSR400/1JRとSR500/1JN型。

主な変更としては、エンジンが再び見直されガスケットのメタル化とカムチェーンのアルミ化でオイルにじみを改善。

1JR

ロッカーアームに焼結チップを採用し、カムにもバーコリューブライトという表面処理をすることで耐摩耗性を更に向上。

ガソリンタンクも2Lアップの14Lとなり、ポリッシュからアルマイト加工の中空アルミリムの前後18インチに変更、サイドスタンドも鍛造になり信頼性と質感を向上。

しかし・・・一番は何と言ってもディスクブレーキからドラムブレーキへの変更ですね。

1JRカタログ写真

おまけにフロントフォークブーツを装着し、ポジションもバックステップ&ハンドル化で前傾気味に。

もはや回帰を通り越して退化と呼べるような変更で一気にトラディショナル感溢れるモデルへとなりました。

ドラム化しても制動距離がディスク時代から変わっていない事にメーカーの意地を感じますが、こうなった事には賛否両論ありました。

1984SR400

今と違ってSRを軽快な街乗りトラッカーとして評価している人たちや、自分たちでトラディショナルにしたいと考えていた人たちが居たからです。

しかし、こうなってほしいと願ったのもまた同じSRユーザー。

1992SR400スペシャルエディション

その声に応えた形となったこの1JR/1JN型は順調に販売台数を増やしていきました。

その人気は目を見張るものがあったため、遂に競合車が現れる様になりトラディショナル(カスタム)ブームが到来。

SR500/1JN

このトラディショナル(カスタム)ブームは本当にSRを救ったと言えるでしょう。

SRはもともとSRXにバトンタッチして終わる予定だったものの、社内から残すべきだという声が多かった事から存続する事になった経緯があるからです。

じゃあそんなブームが訪れた中でSRが生き抜くために何をやったかというと

【1988年(3HT1/3GW1)】

・カムを4度遅らせてマイルドに

・キャブを強制開閉式から負圧式に

・エアクリーナーボックスを拡大

・チェーンを428へダウンし騒音規制に対応

【1991年(3HT3/3GW3)】

・タンクを多重クリアのミラクリエイト塗装に

【1993年(3HT5/3GW4)】

・MFバッテリー化

・CDIや点火コイルの改良

【1994年(3HT6/3GW5)】

・セミエアフォーク廃止

・タンデムベルト廃止

・ACジェネレーターの改良

などなどブームが来ているジャンルとは思えないほどの小変更だけ。それでも1996年には約9000台とSRとしては最大の販売台数を記録。

SR20周年

時代が来よう来まいと、売れようと売れまいとSRはずっとSRのまま。

ヤマハのSRに対するぶれない姿勢はこのモデルで固まったと言えるんじゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2085/735/1080mm
シート高 790mm
車軸距離 1410mm
車体重量 153kg(乾)
[153kg(乾)]
燃料消費率 47.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
『12.0L』
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50S18
後4.00S18
バッテリー YB7L-B
<GT4B-5>
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
{BPR6ES}
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
{前19|後56}
チェーン サイズ530|リンク106
{サイズ428|リンク130}
車体価格 399,000円(税別)
[430,000円(税別)]
※スペックは1JR
※[]内はSR500(1JN)
※{}内は88年以降
※<>内は93以降
※『』内は96以降
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)

SR400/SP(34F/34E)SR500/SP(34A/33Y)-since 1983-

三代目SR400

「伝統のビッグシングル」

スポークホイールモデルとキャストホイールモデルを併売する形となった三代目のSR400/SP(34F/34E)とSR500/SP(34A/33Y)型。

併売と言ってもキャストホイールのSPモデルは初年度だけ(一ロッドだけ)で生産終了。

どんだけ人気無いんだよって話ですが、それよりもSRとしては初めて大きく手が加えられたモデルで

・フロントフォークのセミエア化

・シールチェーン

・ハロゲンヘッドライト

・ラバーマウントウィンカー

・オイルライン/フローの見直し

・ピストンとヘッドバルブの変更

などの改良。

SR400/34F

そんな中でも大きいのがオイルラインの見直しで、それまでインテーク側からだったオイルをエキゾースト側へ優先的に送るオイルパイプを新造し偏摩耗対策を強化。

合わせてピストンリングやカムチェーン等にも手が加えられ、大幅に信頼性が向上しました。

そしてもう一つ紹介しておかないといけないのが7周年を記念して出された限定カラーのSR400LTDというモデル。

7周年記念モデル

ギター等によく使われるサンバースト塗装(グラデーションぼかし)が施されているのが特徴。

このれが非常に好評でこの後も

「SRの限定カラーと言えばこれ」

と言われる程の代名詞カラーになりました。

「そんな人気カラーなら常備させればいいのに」

と思うかも知れませんが、これが限定であることには意味があるんです。

SR400S

このサンバースト塗装というのは職人がマスキングから塗装まで一つ一つ手作業で仕上げているから大量に造ることが出来ない。

だから限定カラーというわけ。限定のための限定ではなく、数を出せないから限定なんです。

SR400LTD

ちなみにSR400として初めて音叉マークを付けたモデルでもあるんですが、実はこれヤマハのバイク全体で見ても1965年のYA-6(旧音叉マーク)以来の事。

今でこそ珍しくない音叉マークですが、タンクエンブレムとして復活させたのはSRだったりします。

ただし実はSRはこの頃もう売れ行きがあまりよろしくなかったようで、後継の話が進んでいました・・・そうして開発されたのがSRXというモデル。

「決して多くない人たちへSRX-6(1JK~)SRX-4(1JL~)|系譜の外側」

SRXについては上記のページをどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2105/750/1110mm
[2105/845/1095mm]
シート高 810mm
車軸距離 1410mm
車体重量 158kg(乾)
[161kg(乾) ]
燃料消費率 44.0km/L
[45.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 399cc
[499cc]
最高出力 27ps/7000rpm
[32ps/6500rpm]
最高トルク 3.0kg-m/6500rpm
[3.7km-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50S19
後4.00S18
[前3.25S19
後4.00S18]
バッテリー YB7L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BP6ES
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.0L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前16|後47
チェーン サイズ530|リンク106
車体価格 310,000円(税別)
[365,000円(税別)]
※[]内はSP
※SR500は+31,000円
系譜図
XT500 1976年
XT500
(1E6)
2H6 1978年
SR400(2H6)
SR500
(2J3)
3X6 1979年
SR400/SP
(3X7/3X6)
SR500SP
(3X4)
34F 1983年
SR400/SP
(34F/34E)
SR500/SP
(34A/33Y)
1JR 1985年
SR400
(1JR/3HT)
SR500
(1JN/3GW)
RH01 2001年
SR400
(RH01J)
RH03 2010年
SR400
(RH03J)
RH16J 2018年
SR400
(RH16J)