「伝統と進化を併せ持つ信頼性の高い新時代のスーパーカブ」
奇しくもスーパーカブC100が生まれてちょうど50年が経った2008年、排ガス規制強化によりカブもFI(電子燃料噴射)化され50(AA01型)と110(JA07型)へと生まれ変わりました。
50はマイナーチェンジであまり見た目は変わっていませんが、110はフルモデルチェンジでマルチリフレクターヘッドライトとなり見た目も一新。
これは50が国内生産&組立なのに対し、110はアジア向けのカブとの共有化によるコスト削減のために部品の六割をタイから逆輸入して日本で組み立てるというハイブリッドのような構造になったから。
110になったものそれが理由。だから正確に言うとこの代で50と110は兄弟というよりもハトコみたいな関係というわけ。
ちなみに両モデルともFI化に伴ってエンジンもフレーム共に新設計なんですが、110は更にクラッチも進化しました。
上が先代のクラッチで、下がこのモデルのクラッチ。
これはまあ要するにクラッチを二段にすることでクラッチレスながら変速ショックを和らげるのが狙い。
ちなみにこれはタイカブにも付いていた機能。
そういえばカブの遠心クラッチの仕組みについて話していなかったですね。
要するにエンジン(クランク)の回転による遠心力でクラッチが繋がる仕組み。停車してもエンストしないのはエンジンが止まる前に遠心力が無くなってクラッチが離れるから・・・物凄いザックリですが。
まあ原付のページですし小難しい話は置いておきましょう。構造こそ違えど仕組みはスクーターのクラッチとだいたい一緒です。
だからカブに乗ったことないライダーなんかは、エンストを避けるためにアクセルを煽ってから一速に入れちゃうから一気にクラッチが繋がってウィリー・・・っていうカブあるある。
ちなみに排ガス規制によるFI化という世代交代はもちろんメインのカブだけでなく派生モデルへも影響しています。
リトルカブもFI化され、プレスカブはスーパーカブPROとしてこの代からラインナップに常駐するようになりました。
これらは引き続き熊本産。
そしてこれも。
実に40年ぶりにフルモデルチェンジというか、初のフルモデルチェンジで90から110になったMD110。
「四速になってキックから開放された(セル付)」
と郵便局員さん大喜びでした。
最後に少し小話を。
一見するとデザインが少し変わっただけに見えるFIカブですが、排ガス規制に対応させるために中身は大きく変わっています。
FI化と簡単に言っていますが、それには各種センサーや、化学反応を起こして排気ガスをクリーンにする触媒などエンジンを管理&監視する補機が大量に必要になる。
そんな中でも大変だったのが燃料を吹く通路のスロットルボディで、スーパーカブ50はスロットルボディの口径が5mmも大きい18mmとなりました。
ただこれは正確に言うと”大きくなってしまった”という方が正しい言い方。本来ならもっと絞ったほうが低速トルクが出せて燃費も稼げる。
ではどうして大きくなってしまったのかというと、口径をこれ以上絞ってしまうと人の指が入らず組み立てる事が出来なくなるから。
これでもかなり小型化している世界最小サイズのスロットルボディなんですよ。ガソリンを吹くインジェクターはもちろんアイドルコントロール用バルブとバイパス、圧を測るセンサーやユニットまでモジュール化した高性能スロットルボディとしては現状このサイズが最小。
なんかこういう技術的な問題やスペースの問題と格闘している話を聞くと
「開発が一番大変なのは原付なのでは」
と思いますよね。
主要諸元
全長/幅/高 | 1840/660/1010mm [1830/710/1040mm] |
シート高 | 735mm |
車軸距離 | 1175mm [1190mm] |
車体重量 | 79kg(装) [93kg(装) ] |
燃料消費率 | 110km/L [63.5km/L] ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 3.4L [4.3L] |
エンジン | 空冷4サイクルOHC単気筒 |
総排気量 | 49cc [109cc] |
最高出力 | 3..4ps/7000rpm [8.2ps/7500rpm] |
最高トルク | 0.39kg-m/5000rpm [0.86kg-m/5500rpm] |
変速機 | 自動遠心式三速リターン [常時噛合式四段リターン] ※停止中のみロータリー |
タイヤサイズ | 前2.25-17(33L) 後2.25-17(33L) [前2.25-17(33L) 後2.50-17-(43L)] |
バッテリー | YT4L-BS [YTZ7S] |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CPR6EA-9S/CPR7EA-9S または U20EPR9S/U22EPR9S |
推奨オイル | Honda純正ウルトラG1(10W-30) |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量0.8L 交換時0.6L [全容量1.0L 交換時0.8L] |
スプロケ | 前13|後40 [前14|後34] |
チェーン | サイズ420|リンク98 |
車体価格 | 155,000円 [249,900円] ※スペックはスタンダード ※[]内は110 |