CBR1000F(SC31)-since 1993-

1993CBR1000F

「ヒューマンフィッティング」

三代目CBR1000FのSC31。

1990年に750cc上限が解除された事もありこのモデルから国内仕様も用意されるようになりました。

大きな変更点はコンビブレーキD-CBS(Dual Combined Brake System)の採用です。

コンビブレーキの仕組み

前後どちらかのブレーキを掛けると、掛けていない方のブレーキ(前を効かせると後にも、後を効かせると前にも)ブレーキを効かせる機能。

コンビブレーキの説明

仕組みとしてはリアブレーキはブレーキラインが途中から二つに別れ、一方がフロント(フロントキャリパーの真ん中のピストン)に繋がっている。だからリアブレーキを踏むとフロントブレーキも少し掛かるというわけ。

そしてフロントはちょっとややこしくて、フロントブレーキレバーを握るとまずフロントブレーキが掛かります。そしてブレーキが効いてくると左側のキャリパーの上にリンクを介して付いているメカニカルサーボ機能(もう一つのマスターシリンダーの様な物)を押す。

コンビブレーキサーボ

するとそれが再び液圧を発生させてリアブレーキキャリパーを押すというわけ。

この機能は後のブラバやVFR、更にはスクーターのリードに至るまで色んなバイクに採用されていくようになるわけですが、勝手に前後のブレーキが掛けられる事から余計なお世話だと思う人も多かったですね。

ホンダが何をしたかったのかというと、最大の狙いは理想的な前・後制動力配分をする事で制動力を上げること。そして余り知られていませんが転倒防止の狙いもあります。

というのもコンビブレーキは限界を越えたブレーキやパニックブレーキを起こした際にリアからロックするように調整されています。

SC31リアビュー

つまりフロントのロックによる転倒を防ぐため。そう考えると一概に余計な機能とは言えなくもないかと。

さて、この頃はZZR1100という147馬力の怪物が登場し巷を賑わせていました。

そんな中で国内規制に合わせた93馬力・・・逆車でも135馬力なCBR1000Fでは人気が出ないのも無理ない話。国内仕様が出る前も並列輸入されていたから特段新鮮味があったわけでもなかったですから。

sc31カタログ写真

ただまあ良い方に捉えると、最初から最後までスポーツツアラーとしてモデルチェンジしようともブレること無く貫いたバイクでもあります。

CBR-Fシリーズには600もあったわけですが、アッチは年を追う毎にレース需要が出てきたことから初期コンセプトからどんどん離れてスポーツ寄りに変わっていきました。その結果がF4iでありそれが成功したわけですが開発者は初期コンセプトから離れていく事に戸惑っていたそうです。

一方でこの1000はレースとは全く関係ない世界(当時はナナハン)に居たから最後までFコンセプトのスポーツツアラーに徹したまま。

CBR1000Fカタログ写真

そのおかげか後継のCBR1100XXが発売された後も特性の違う別のバイクで被らないという事から日欧では数年併売されていました。

主要諸元
全長/幅/高 2235/740/1215mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 271kg(装)
燃料消費率 22.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 22L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 998cc
最高出力 93ps/9000rpm
[135ps/9500rpm]
最高トルク 8.7kg-m/6000prm
[1.5kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58V)
後170/60R17(72V)
バッテリー FB14L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.5L
交換時3.6L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク数120
車体価格 950,000円
※[]内はEU仕様
系譜図
SC211987年
CBR1000F
(SC21)
sc241989年
CBR1000F
(SC24)
sc311993年
CBR1000F
(SC31)
sc351996年
CBR1100XX
(SC35前期)
sc35-21999年
CBR1100XX
(SC35中期)
X111999年
X11
(SC42)
sc35-32001年
CBR1100XX
(SC35後期)

CBR900RR(SC33後期) -since 1998-

SC33後期

「EVEN MORE FIREPOWER」

大きく並んでいるRRの文字とスラントノーズ化したタイガーアイが印象的な四代目RRことSC33後期モデル。

FireBladeとしては最後のキャブ仕様であり、最後のそばかすアッパーであり、最後の正立モデルであり、最後のフロント16インチ。

1998CBR900RR

エンジンにはRVF/RC45と同じアルミスリーブシリンダーを採用した他、フレームもキャブやブレーキも何もかも、約80%ものパーツを見直して改良。

そのおかげで先代(前期)の懐の広さは残しつつ、エキスパートも満足できる走りに。

1999CBR900RRリア

ここまでが第一世代RRいわゆるCBR900RR世代となるわけですが、追ってこられた方は分かる通り900RRと偏に言っても四代ものモデルがあるわけです。

そんな900RR世代を象徴するものといえばやっぱり”16インチのフロントホイール”でしょう。

16インチ

というのもCBR900RRが誕生した頃には今と同じように17インチが主流でした。フロント16インチが多かったのは80年代前半頃まで。

にも関わらずCBR900RRは16インチをチョイスし、採用し続けたわけです。

1998ファイヤーブレード

何故16インチにしたのか簡単に説明すると、フロントホイールを小径にすると操舵がとっても軽くなるんです・・・が、この”軽さ”が良くもあり悪くもあった。

「ハンドリングが軽く機敏」

と捉える人もいれば

「空を切っているようで怖い」

と捉える人もいた。

SC33カタログ写真

結局コレは捉え方次第というか、スキル次第というか、個人差が大きい。

ただ

「CBR900RRはトリッキー」

という声があったのもこれが主な理由。

これについては開発リーダーの馬場さんもモデルチェンジの度に17インチにするか相当悩んでいたそうですが

「ファンtoライド、操る喜びを味わえるのは16インチ」

という事で16インチを”敢えて”採用し、続けたというわけ。

ちなみにこのモデルにはアッパーカウルの裏に、そんな馬場さんのメッセージとサインが掘られています。

馬場忠雄サイン

”FOR THE PEOPLE WHO WANT TO KNOW THE MEANING OF LIGHT WEIGHT.”

「ライトウェイトの意味を知りたい人達のために」

主要諸元
全長/幅/高 2030/685/1115mm
シート高 800mm
車軸距離 1405mm
車体重量 200kg(装)
燃料消費率 23.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 918cc
最高出力 128ps/10500rpm
最高トルク 9.3kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/70ZR16(61W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.4L
交換時3.5L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 不明
※国内正規販売なし
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CBR900RR(SC33前期) -since 1996-

SC33

「THE CUTTING EDGE」

縦にRRと刻まれているのが特徴の三代目900RRのSC33型。

エンジンのボアを1mm拡大した事で排気量が893ccから918ccとなり4馬力アップしました。

他にも

・エキパイのステンレス化

・ジェネレーターの小型化

・前後サスペンションの見直し

・ローギアード化

などなどの見直し&軽量化で、既に軽いのに更に2kg軽量化で乾燥重量183kgという徹底してブレないモデルチェンジ。

96CBR900RR

そんな中でも特筆すべきは剛性を見直し作り直されたフレーム。

これの狙いは簡単に言うと懐を広くするため。

もともとCBR900RRは多くの人に受け入れてもらう為のバイクというより

SC33リア

「素晴らしいハンドリングを味わいたいorホンダはつまらない」

といった、どちらかと言うとエキスパート向けに造られた過敏なバイクでした。

しかし評判の良さから顧客層が拡大。そうすると今度は

「CBR900RRはトリッキー過ぎる」

という声が聞こえるようになってきた。

SC33フロント

このSC33型はそういった人達の声に応えたモデルチェンジ。

そのためフレームだけでなくアクセルレスポンス等も見直され全体的に角が落とされたマイルドFireBlade。

主要諸元
全長/幅/高 2040/685/1135mm
シート高 800mm
車軸距離 1405mm
車体重量 183kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 918cc
最高出力 128ps/10500rpm
最高トルク 9.3kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/70ZR16(61W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.4L
交換時3.5L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 不明
※国内正規販売なし
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CBR900RR(SC28後期) -since 1994-

SC28後期

「IT’S HOT」

わずか二年でモデルチェンジとなったSC28の後期型。

丸目二眼だったヘッドライトが一枚ものカバーに収めたタイガーアイになったのが最大の特徴です。

タイガーアイ

更に追加されたカラーリングもアーバンタイガーという熱いタイガー推し。

欧州向けCBR1000RR(SC59後期)で復刻されたのを見ても好評だったんでしょうね。

営業や市場の要求をほぼ蹴って造ったにも関わらず本人も驚くほどのヒットを飛ばしたCBR900RRだったんですが、皮肉な事に人気車種となった事で

「二人乗りをもっと快適に、長距離をもっと楽に」

と、要求は更に酷くなってしまったそう。

1994CBR900RR

で、実際どういう変更をしたのかというと、フロントフォークに圧縮側アジャスタの追加。

そしてカウルステーのアルミ化や、マグネシウムヘッドカバーなどなど。

タイガーアイにした理由もそうですが

SC28カタログ

「フロント周りを軽くしてハンドリングを更に向上させる」

というRRコンセプトに愚直なまでに真っ直ぐなモデルチェンジでした。

主要諸元
全長/幅/高 2040/685/1135mm
シート高 800mm
車軸距離 1405mm
車体重量 185kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 893cc
最高出力 124ps/10500rpm
最高トルク 9.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/70ZR16(61W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 不明
※国内正規販売なし
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CBR900RR(SC28前期) -since 1992-

初代CBR900RR

「TOTAL CONTROL」

今もホンダのスーパースポーツとしてあり続けるCBR1000RRの始祖となるCBR900RRのSC28型。

先に言ったように

「誰でも本当に楽しめる大型スポーツを造れないだろうか」

という所から始まったプロジェクトでナナハンという規格を捨てる事から再スタート。

そして誰でも楽しめるマシンコントロールに仕上げるには何よりも軽さだという事で

「185kgを切る1クラス下の乾燥重量」

という具体的な目標を立てて開発。

1992CBR900RR

そして完成したのは600かと思うほどコンパクトな車体に、寸足らずな893ccで馬力も140馬力超えが当たり前だった時代に124馬力しかないバイクでした。

この排気量と馬力になったのは

・コントロールして楽しめる馬力

・軽量ボディで耐えられる上限

がここだったから。

このCBR900RRの開発は営業との格闘が多くあったバイクです。

というのも、この頃は日本のみならず世界中で

「デカくてナンボ、ハイパワーでナンボ」

という声が溢れていたから。

だから営業も

「1200ccで150馬力」

という要求を行なっていた。

それなのに

”900ccで124馬力の小さなバイクを造る”

なんて言われたら反対するのも当然な話。

SC28

「せめてリッターにしてくれ」

と言われるも、上記で書いた通りこれ以上のスケールアップは重量増に繋がるとして拒否。

SC28フレーム

他にも例えばフロントフォーク。

CBR900RRのフロントフォークはカウルを剥かないと倒立に見える正立フォークを採用しています。

これは2ピース構造だからそう見えるわけですが、当時はちょうど倒立サスが流行っていた時期でもあった。

2ピースフロントフォーク

だから

「倒立の様に見せかけたナンチャッテ倒立サス」

と揶揄されたりしたけど、本当はそうでなく一番軽く良好なハンドリングに出来るのが正立2ピースだったから採用しているんです。

なんでもモトクロッサーCRの倒立フォークをわざわざ逆さまに加工して付けた事からヒントを得たんだとか。

もちろんこれも営業から倒立にしてくれと懇願されたものの

「倒立は重くて操舵慣性が増えるから駄目」

と理屈で拒否。

何故こんな勝手が通ったのかというと、この企画は研究所から提案されたものである事、そしてプロジェクトリーダーが市販車評価をする偉い人だったから。

馬場忠雄さん

馬場忠雄(ばば ただお)さんです。馬場Bladeなど名前を聞いたことがある人も多いと思います。

少し馬場さんの話をすると、馬場さんは工業高校を出てホンダに入社し生産部門へ配属されるわけですが

「研究所(開発部門)で仕事がしたい」

と猛勉強&猛アピールした事で研究所勤務への道を獲得した人。ブラバの山中さんと同じ流れですね。

ただ『馬場技師』という敬称が広まっている事からエンジニアとして認知されていますが、実は馬場さんは開発部門のエンジニアというよりも実験部門のいわゆる”テストライダー”の方で大いに活躍された方。

あまり知られていませんが

『全日本125ccクラスチャンピオン』

『鈴鹿10間耐久レース125cc部門チャンピオン』

といったタイトルを獲得しているほどのレース大好き凄腕ライダーなんですよ。

だから上で言った”市販車評価”というのも、要するにハンドリングや乗り味など”味見”の事。

CBR900RRと馬場さん

80年頃からその最終評価を任されるようになったわけですが、これは

「ホンダのバイクはよく出来ているけど面白くない」

という市場からの声が大きくなっていたから。

この事からテストライダー&レーサーであり開発者でもあった馬場さんが適任だと抜擢され、そのイメージを払拭する事に尽力していたわけです。

そして長いこと市販車の最終評価をしていた中で芽生えたのが

「安定志向なビッグバイクではなく、運転が楽しいビッグスポーツを造りたい」

という考え。

1992年CBR900RR

これがFireBladeプロジェクトの始まり。

最終的には営業にも実際に乗ってもらう事で自分たちのコンセプトを理解してもらったそう。

そんな市場が求めるスペックを完全に無視する形で登場したCBR900RRでしたが

「NSRの900cc版だ」

とハンドリングが大絶賛され、販売台数2万台を超える大ヒットとなりました。

馬場さんの考えを世界が認めた瞬間であるわけですが、馬場さんも正直ここまで売れるとは思っていなかったそう。

最後に纏めると

このCBR900RRというハンドリングが素晴らしいバイクが生まれたのは、営業側ではなく開発側の提案により生まれたプロジェクトだったから。

SC28

そして馬場さんという実験畑のテストライダー出身者が開発リーダーを務めるという前代未聞プロジェクトだったから・・・というわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2030/685/1115mm
シート高 800mm
車軸距離 1405mm
車体重量 185kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 893cc
最高出力 124ps/10500rpm
最高トルク 9.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前130/70ZR16(61W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 不明
※国内正規販売なし
系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CBR750RR Prototype -since 1990-

cbr750rr

「打倒RVF」

CBR1000RRの系譜を辿ると行き着くのがこのCBR750RR。

多分知ってる人はそんなに居ないと思います。何故ならこれは市販されることは無かったから。

当時ホンダのフラッグシップスーパースポーツといえば誰もが認めるVFR750R(RC30)がありました。

RC30

他とは比べ物にならない速さを持った初代SBK(市販車世界レース)王者のバイクです。

しかし車体価格が高価な事と、レース前提な造りである事から一般人とは無縁のバイクだった。

そこで

「もっと誰でも本当に楽しめるスポーツバイクを造れないだろうか」

となって考案されたのがCBR750RR・・・だったんですが、VFRと排気量&カテゴリがバッティングする事、そして

「レースユースじゃないからナナハンに拘る必要はないよね」

という事で企画は再度練り直される事に。

ナナハンRRというありそうでなかったけど・・・本当はあったバイク。

主要諸元

※プロトタイプのため不明

系譜図
cbr750rr1990年
CBR750RR
Prototype
SC281992年
CBR900RR
(SC28前期)
sc28-21994年
CBR900RR
(SC28後期)
sc331996年
CBR900RR
(SC33前期)
sc33-21998年
CBR900RR
(SC33後期)
sc442000年
CBR929RR
(SC44)
sc502002年
CBR954RR
(SC50)
sc572004年
CBR1000RR
(SC57前期)
SC57後期2006年
CBR1000RR
(SC57後期)
sc592008年
CBR1000RR
(SC59前期)
sc59後期2012年
CBR1000RR/SP
(SC59後期)
SC772017年
CBR1000RR/SP1/SP2
(SC77)
SC822020年
CBR1000RR/SP
(SC82)

CB400SF HYPER VTEC(NC39) -since 1999-

CB400SF-V

「6750RPM。」

登場から7年目にして遂にフルモデルチェンジを果たしたCB400SF/NC39型。

見た目も中身も大きく変わりカラーリングもスペンサーカラーとなりました・・・でもスペンサーカラーって若い人は分からないですよね。

スペンサーカラーというのは文字通りフレディ・スペンサーのマシンのカラーの事で、このカラーは1982年のAMAデイトナ100マイルレース(アメリカ最大の市販車レース)で優勝した時のCB750Fのカラーリング。

CB750F スペンサー

スペンサーはその後WGP(現MotoGP)に行きホンダのNS500に乗って最年少優勝(これはロスマンズカラー)も果たしたました。

ついこの間、同じホンダのマルケスによって再び塗り替えられましたが。

最大の特徴は何と言っても

『HYPER VTEC』

ですね、説明しましょう。

これは吸気と排気それぞれ2本ずつあるエンジンバルブ(扉)を低回転域で1本つづ休止させる(吸気1本・排気1本にする)バルブ休止システムの事。

バルブ休止システム

車のVTECとは違います。あれはバルブの開閉のタイミングやリフト量を変えるシステム。

なんでこういう事をしてるのかと言うと、騒音対策と低速トルクの改善を狙っての事。

バルブっていうのはエンジンの出入り口でそれが片方開かないとなると出入りする空気の量が減る。空気の量が減るという事は排気も減る。排気が減るということは排気騒音が減るということ。

VTECエンジンヘッド

これにより2db~5dbほどの騒音低減が実現。

それと同事に中低域というのは吸気の力も弱いので吸込口は大きく開けるより小さく開けるほうがよく吸える。細いストロー太いストローですね。

逆に6750rpmを超えると吸い込む力が大きくなるので両方のバルブを開き、モリモリ空気を吸わせてモリモリ燃料を出した方がパワーを稼げる。

VTEC NC23E

この両方を狙って開発されたのがCB400SFのHYPER VTECというメカニズム。

どういう仕組で切り替えているかというと、バルブの開閉は

カム→バルブリフタ→バルブ

という順番で押して開閉するのですが、VTECには休止側のバルブリフター内が空洞になっていて、通常時はカム(おにぎり形状の回るやつ)に押されたバルブリフター(黄部)がバルブを押してもそのスペース(緑部)に入り込んでバルブを押さない空打ち状態になってる。

VTECの仕組み

VTECを作動させる時は、バルブの脇にある通路からオイルを出し油圧でスライドピン(青部)を割り込ませる。

そうするとカムに押され下がったバルブシム(黄部)がスライドピン(青部)を押し、スライドピンがそのままバルブを押すのでバルブが開かれるという仕組み。

この切り替えは音もパワーも変わるので誰でも体感できます。

CB400SF スペック1のカタログ写真

例えるならHYPER VTECというのは低域時で優等生を演じるための仮面みたいなものですね。そして6750rpmを超えると仮面を取って本性を現すっていう。

このメカニズムは非常に評価が高くCB400SFは絶大な支持を獲得し確固たる地位を獲得。

ここから約16年も400ccトップセールスを死守する事になります。

主要諸元
全長/幅/高 2050/725/1070mm
シート高 760mm
車軸距離 1410mm
車体重量 188kg(装)
燃料消費率 37.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 3.9kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60ZR17(55W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー FTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9/CR9EH-9
U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.8L
交換時3.0L
フィルター交換時3.2L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 609,000円(税別)
系譜図
CB350FOUR1972年
DREAM CB350FOUR
(CB350)
CB400FOUR1974年
DREAM CB400FOUR
(CB400/F)
CBX400F1981年
CBX400F
(NC07)
CB-11989年
CB-1
(NC27)
cb400sf1992年
CB400SF
(NC31)
CB400SF ver.R1995年
CB400 ver.R
(NC31)
CB400SF ver.S1996年
CB400SF ver.S
(NC31)
CB400FOUR1997年
CB400FOUR
(NC36)
CB400SF HYPER VTEC1999年
CB400SF
HYPER VTEC
(NC39前期)
CB400SF SPEC2

2002年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC2
(NC39中期)

CB400SF SPEC32003年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC3
(NC39後期)
CB400Sb2005年
CB400SF/SUPER BOL D’OR
(NC39後々期)
NC422007年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42)
NC42後期2014年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42後期)

CB400FOUR (NC36) -since 1997-

CB400フォア

「4発が、聞こえる。」

ノスタルジック臭プンプンのCB400FOUR/NC36型。

名前がほぼ一緒という事から勘違いされがちなんですが、四本出しマフラーなどを見ると分かる通りこのモデルはCB400FOURではなくCB750FOURをモチーフに作られたバイクです。

CB400フォアとCB750FOUR

なんでこんなバイクを出したのかという話ですが、当時はネイキッドブームが少し枝分かれを起こし始めていた時期なんです。大きく分けると懐古系と、進化系の2パターン。

そしてホンダのCB400SFは圧倒的に後者で、前者を満たす要素は皆無だった・・・という事で登場したのがこのNC36。

水冷ヨンフォアカタログ写真

「ゼファーがZ2の生き写しならウチはCB750FOURの生き写しだ」

という四半世紀の歳月を経て再びCBとZが再戦する事になったわけですね。いや多分そんな事は言ってないと思いますが。

エンジンは空冷に見えますがCB400SFと同じ水冷エンジンで吸気を絞る事で中低速よりに変更したもの。

CB400FOURエンジン

水冷であることを意識させないようにラジエーターを最小クラスにし、エンジンを肉厚化し空冷エンジンの特徴であるシリンダーフィンを散りばめるという配慮は賛否両論でした。

でもですね・・・このNC36で最も特徴的なのは実はエンジンじゃなくてこのマフラーなんですよ。

CB400FOURジャケット写真

この四本出しマフラーは見た目だけのハリボテじゃありません。

「4発が、聞こえる」

と謳っている事からも分かる通りNC36で一番こだわったのは間違いなくこのマフラーとその音。

というのもこのマフラー実は一切集合してないんです。

エキゾーストサウンド

同じく一気筒が一本のマフラーから音を出す正真正銘の四本出し。

これはもちろんCB750FOURのオマージュで音も良い。

CB400FOUR(NC36)

だからカタログ写真もCB750FOURと同じ後から四本出しマフラーを全て捉えるアングルだったりします。

規制が厳しい時代にこれを蘇らせた熱意は相当かと。

主要諸元
全長/幅/高 2130/780/1090mm
シート高 790mm
車軸距離 1460mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 34.7km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/11000rpm
最高トルク 4.1kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/70-18(58H)
後140/70-17(66H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9/CR9EH-9
U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 579,000円(税別)
系譜図
CB350FOUR1972年
DREAM CB350FOUR
(CB350)
CB400FOUR1974年
DREAM CB400FOUR
(CB400/F)
CBX400F1981年
CBX400F
(NC07)
CB-11989年
CB-1
(NC27)
cb400sf1992年
CB400SF
(NC31)
CB400SF ver.R1995年
CB400 ver.R
(NC31)
CB400SF ver.S1996年
CB400SF ver.S
(NC31)
CB400FOUR1997年
CB400FOUR
(NC36)
CB400SF HYPER VTEC1999年
CB400SF
HYPER VTEC
(NC39前期)
CB400SF SPEC2

2002年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC2
(NC39中期)

CB400SF SPEC32003年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC3
(NC39後期)
CB400Sb2005年
CB400SF/SUPER BOL D’OR
(NC39後々期)
NC422007年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42)
NC42後期2014年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42後期)

CB400SF Ver.S(NC31) -since 1996-

CB400SF-S

「挑発のS、誘惑のS」

あまりにも角目を取っ払うと人が多かったのか公式でも同じ様にしたのがこのバージョンS。

渾身のライトを従来の丸目にしたことで一万円安いことから大好評・・・Rを思うとちょっとアレですが。

CB400SF-S

同年末には無印と同様にシートカウルの跳ね上げなど外見の変更が入った事に加えブレーキキャリパーをブレンボ製に変更。

さらに97年に白のストライプが入ったLimitedモデルを出したかと思えば、98年には赤ストライプのCB 50th Anniversaryと限定モデルを立て続けに販売。

CB400SF-S

「オーソドックスでありつつも高いスポーツ性を兼ね備えたネイキッド」

というCB400SFの路線が明確になったのもこのSからですね。

主要諸元
全長/幅/高 2080/720/1080mm
シート高 775mm
車軸距離 1450mm
車体重量 194kg(装)
燃料消費率 34.4km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/12000rpm
最高トルク 3.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9/CR9EH-9
U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 599,000円(税別)
系譜図
CB350FOUR1972年
DREAM CB350FOUR
(CB350)
CB400FOUR1974年
DREAM CB400FOUR
(CB400/F)
CBX400F1981年
CBX400F
(NC07)
CB-11989年
CB-1
(NC27)
cb400sf1992年
CB400SF
(NC31)
CB400SF ver.R1995年
CB400 ver.R
(NC31)
CB400SF ver.S1996年
CB400SF ver.S
(NC31)
CB400FOUR1997年
CB400FOUR
(NC36)
CB400SF HYPER VTEC1999年
CB400SF
HYPER VTEC
(NC39前期)
CB400SF SPEC2

2002年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC2
(NC39中期)

CB400SF SPEC32003年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC3
(NC39後期)
CB400Sb2005年
CB400SF/SUPER BOL D’OR
(NC39後々期)
NC422007年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42)
NC42後期2014年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42後期)

CB400SF ver.R(NC31) -since 1995-

CB400SF-R

「走りの感動」

CB400SFが発売されて三年ほど過ぎた頃に併売モデルとして出してきたCB400SF史上最も人気が出なかったバージョンR。

これ単にNC31にビキニカウルを装着しただけというわけでは無いですよ。専用メーターにアルミサイレンサーにサススプリングの変更など言ってみればCB400SFの豪華版。

Future Focusヘッドライト

最大の特徴は何と言っても角目ヘッドライトのビキニカウル。

これ単に四角い形をしているわけではなくFuture Focus略してFFヘッドライトと呼ばれる当時としては最先端なヘッドライト。

バイクは車幅が短い事から点灯範囲が車に比べ狭く浅い問題があります。これは安全性に直結する非常に由々しき問題。

今でこそLED等がありますが当時はヘッドライトを明るくしようとするならばワット数を上げるのが基本で一番簡単。でも社外を付けた事がある人ならお分かりの通りワット数を上げたバルブは寿命が短い。

Future Focusヘッドライト

そこでホンダは寿命と光量を両立させるため

・ガス量及び上方への光を遮るフードを撤廃したライトバルブ

・そのバルブに合わせた高精度の6分割リフレクター

という全てを見直したヘッドライトを作ったわけです。

CB400SFバージョンRカタログ

このおかげでライトバルブの寿命をほぼ犠牲にすること無く従来型の2倍近い明るさを発揮する凄いヘッドライトの開発に成功。

ただそのぶん車体価格もノーマルに比べて+2万円・・・そしてその渾身の角目も不評で丸目に変えてしまう人が多く一年ちょっとで廃盤に。

開発努力が理解されず報われなかったモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2080/720/1125mm
シート高 775mm
車軸距離 1450mm
車体重量 195kg(装)
燃料消費率 34.4km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 53ps/12000rpm
最高トルク 3.7kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9/CR9EH-9
U24FER9/U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.7L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 609,000円(税別)
系譜図
CB350FOUR1972年
DREAM CB350FOUR
(CB350)
CB400FOUR1974年
DREAM CB400FOUR
(CB400/F)
CBX400F1981年
CBX400F
(NC07)
CB-11989年
CB-1
(NC27)
cb400sf1992年
CB400SF
(NC31)
CB400SF ver.R1995年
CB400 ver.R
(NC31)
CB400SF ver.S1996年
CB400SF ver.S
(NC31)
CB400FOUR1997年
CB400FOUR
(NC36)
CB400SF HYPER VTEC1999年
CB400SF
HYPER VTEC
(NC39前期)
CB400SF SPEC2

2002年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC2
(NC39中期)

CB400SF SPEC32003年
CB400SF
HYPER VTEC SPEC3
(NC39後期)
CB400Sb2005年
CB400SF/SUPER BOL D’OR
(NC39後々期)
NC422007年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42)
NC42後期2014年
CB400SF
CB400SB
HYPER VTEC Revo
(NC42後期)