VTR1000SP-1(SC45前期)-since 2000-

SP1サイド

「The V-Twin superbike supreme」

ホンダが出してきたホモロゲーションモデルの中でも異彩を放つVTR1000SP/SC45型。北米ではRC51という非常にややこしい名前も持っていたりします。

まずもってこのバイクが何故誕生したのかというとバイクレースの中でMotoGPとは別に

『WSB(ワールドスーパーバイク)』

という市販車いわゆるスーパースポーツで行われるレースが行われており、この頃は

『四気筒750cc|二気筒1000cc』

というレギュレーション(ルール)でした。

VFR750R/RC30やRVF/RC45が750ccだったのもこれが理由なんですが、90年代後半になると排気量と最低重量の関係で二気筒が非常に有利になった。

そのためいくらRVF/RC45が凄いバイクだったとはいえホンダも苦戦しチャンピオンを逃す年が続いていた。

VTR1000SP-1コンセプトスケッチ

そこでVFR750R/RC45に代わるマシンとして開発されたのがVTR1000SP/SC45というわけ。

元々VTR1000Fというバイクが先に登場していたのでVツインのレーサーも出るだろうと巷で噂されていました・・・が一向に出ず、実際に出たのはVTR1000Fから約3年後となる2000年とかなり遅かった。

この原因は

「VTR1000がSPありきじゃなかったから」

という理由が一つ。

SP1リア

もともとVTR1000F/SC36が開発されていた段階ではまだSPは開発の話すらされていなかったんですね。

じゃあ開発のキッカケは何かというと朝霞研究所(二輪開発部門)がVTR1000Fと同時進行でレーサー仕様をHRC(レース部門)に持ち込んで開発を始めた事。

これにHRC側が目をつけたもののストリート重視でピボットレスだったVTR1000Fベースでは剛性が足りず世界レースで戦うのは難しい(WSBはフレームの変更が禁止)という事から独自にVツインエンジンのプロトタイプワークスマシンを開発。

それを元に擦り合わせるように市販車レベルに落とし込んだ

『HRCスペシャルマシンの市販版』

がVTR1000SP/SC45というわけ。

VTR1000SP-1カタログ写真

「VTR1000Fと同じ部品はウィンカーくらい」

というジョークになってないジョークが生まれるほど全く別物になった事にはこういう背景があった。

ちなみに朝霞研究所はレース開発を取られた気がしないでもないですが、VTR1000Fレーサーもお蔵入りさせるのが勿体なかったのかモリワキの手に渡りVTR1000SPより早い1997年つまりVTR1000F登場と同時にレース出場しています。

モリワキワークスVTR1000F

これ朝霞チューンがベースだったんですね。

ただ発売が遅くなったもう理由はもう一つありました。それは開発の難航。

RC51

Vツインだろうが唯一無二のカムギアトレーンで133馬力(KITで172馬力、ワークスは180馬力以上)というHRCらしいエンジンになっているんですが、難航したのはエンジンではなくフレームの方。

SP1のフレーム

世界レースにも耐えうる剛性を確保するため様々なパターンのフレームが造られたものの、Vツインという未知の領域への挑戦だった為なかなか満足のいくものが出来ず試行錯誤の連続で最終的に50以上ものフレームを製作する事になったんだそう。

これらのため本来ならば1999年からの予定だったのが1年遅れて2000年からの発売&ワークス参戦となりました。

HRC_RC51

ちなみにVTR1000SPがエキスパート向けと呼ばれる部分もここにあります。

VTR1000SPは”一応”市販車でRVFの様な限定でも超高額マシンでもなかったから比較的誰でも買うことが出来ました。しかし同時に決して誰でも乗れるのようなバイクでもなかった。

・Vツイン特有の瞬発力ゆえ繊細さを求められるアクセルワーク
・非常に硬いサスペンション
・強力過ぎるブレーキ
・低速ではすぐにオーバーヒート

などなど色々あるんですが、やっぱり一番はフレームの想定域が高すぎて生半可な走りを受け付けないほど硬派というか硬かった事。

SC57

レースを視野に開発されたホモロゲーションモデルが乗りにくいのは珍しい事じゃないんだけど、それを考慮しても完全に割り切ってるとしか思えないほどだった。

じゃあレースではどうだったのかというと2000年に市販車世界レースWSBにVTR1000SPWでワークス参戦するやいなやコーリン・エドワード(写真左#2)がチャンピオンを獲得。

2000年VTR1000SPW

デビューイヤーでいきなり目的を達成したわけですが、それだけじゃないのがこのバイクの凄いところ。

同年の鈴鹿8耐でも宇川徹&加藤大治郎コンビがコースレコードを更新するほどの速さで優勝。

8耐VTR1000SPW

ちなみに翌2001年も皆さんご存知バレンティーノロッシが勝利しV2を達成しています。

更には二気筒としては史上初となるルマン24時間耐久レースの優勝。そしてそしてマン島TTでも2000年にミスターマン島ことジョイ・ダンロップの最多勝利数にも貢献。

8耐VTR1000SPW

なんと銅像まで建てられました。

結局これがSPがどういうバイクかを如実に表していますよね。

市場からの評価は決して良いとは言えなかったけど、一方レースではこれ以上無いほどの戦果を上げた。

これが何故かといえばVTR1000SP/SC45はユーザーに最高だと思ってもらう為に開発されたバイクじゃないから。

VTR1000SP-1

「HRCを始めレースで戦う者にとって最高だと思える為に造ったVツインだったから」

ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2060/725/1120mm
シート高 815mm
車軸距離 1410mm
車体重量 200kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 999cc
最高出力 133ps/9500rpm
最高トルク 10.7kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後190/50-17(73W)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
FR9BI-11(標準)/FR8BI-11
または
IK27C11(標準)/IK24C11
推奨オイル ウルトラGP(10W-40)
オイル容量 全容量4.3L
交換時3.5L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

VTR1000F(SC36後期)-since 2001-

SC36後期

「心震わすスーパーVツイン」

VTR1000Fの後期モデル。

後期モデルで燃料タンクが2L増えてハンドルの垂れ角も見直され若干ツアラー寄りになりました。HISSも新たに装備。

ファイヤーストーム後期

最初にこのFモデルこそVTR1000だと言ったんですが、それは構造だけでなく欧州が求めた”味”の部分まで非常に良く出来てるから。

ツインならでは細身やトルク感はもちろんのこと、ピボットレスフレームのおかげで程よいダルさ。

上手い人が乗ると圧倒的にSPモデルの方が速く走れるだろうけど、恐らく大半の人はこのVTR1000Fの方が速く楽しく走れる。

ファイヤーストーム

車名にFコンセプト(オールマイティ)の意味を表すFが付いてるだけの事はあるってことです。

VFやVFRなど数々の大型バイクを手がけてきた開発リーダーの齋藤さんも

「公道で最大に楽しめて2乗りも出来る究極のFを目指した」

と仰っています。

でも残念なことにキャブモデルだったのが災いし、排出ガス規制強化により2007年モデルをもって生産終了となってしまいました。

バラデロ

同じエンジンを積んだXL1000バラテロはFI化して2013年まで売られたんですが・・・。

まあVツインスポーツのメイン市場である欧州ではやっぱりドゥカティが強いし、日本勢はSVが快進撃を繰り広げてましたからね。

肝心の日本も四気筒がステータスでVツイン市場は無いに等しいから。

ファイヤーストームカタログ写真

ただこの件にしては開発チームも既定路線というか分かっていたみたいです。

エンジン設計をされた角さんがまだ絶賛発売中だった当時の時点でこう仰っていました。

「VTR1000Fの出発点は四気筒と二気筒に乗る人は人種が違うということ。だからいくら今売れているからといっても二気筒は二気筒・・・VTR1000Fがメジャーになることは無いと思います。でもそれでいいと思うんですよ。二気筒は四気筒に飽きた人が、四気筒にはないアクセルの開けやすさと低域の不安定さを楽しむ為のマニアックな乗り物。」

SC36カタログ写真

「そしてVTR1000Fはそういう人の為のバイクなんです。」

主要諸元
全長/幅/高 2050/720/1155mm
シート高 810mm
車軸距離 1430mm
車体重量 218kg(装)
燃料消費率 25.1km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 93ps/8500rpm
最高トルク 8.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後180/55-17
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EVX9
推奨オイル ウルトラG2/G3(10W-40)
オイル容量 全容量4.5L
交換時3.7L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後41
チェーン サイズ525|リンク102
車体価格 920,000円(税別)
系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

VTR(JBK-MC33前期) -since 2009-

2009年式VTR

「The V-Twin Quarter」

厳しくなった排ガス規制に対応するためFI(電子制御燃料噴射装置)を装備したJBK-MC33前期。

ちょっと言いそびれていたので補足。

キャブ時代のBA、そしてFIとなったJBK、これは何処までの排ガス規制を通しているのかを表す国土交通省が設けてある型式の事。

BAだと2006年の排ガス規制までで、JBKなら2016年の排ガス規制までクリア出来ていますよって意味。

旧型と新型

ホンダの場合は認定型式がメジャーだからFI化されてもMC33のままで混乱するからワザと付けています。

ちなみにホンダの系譜だけ前期/後期という分け方が多いのもこれが理由。

型式については

『車名に続く記号について~認定型式と通称型式~|バイクのはてな』

をどうぞ。

話をVTRに戻しますが・・・”FI化”と簡単に言いましたが、これがまた簡単じゃない。

新型

まず高性能なECUを積まないといけない上に、消費電力も増すのでジェネレーターもレギュレーターもワンクラス上の物に。

そしてエンジンが今どういう状況か細かく監視しないといけないのでクランクセンサーも精密化。

そんなの知ったことではないって話ですが、実はこれらによって吹け上がりが段違いに良くなっていたりします。

新型クランクセンサー

もう一つは見て分かる通りフレームを含むシート周りを一から作り直したわけですが、コレがまた非常に良く考えれられている。

まずただでさえ良かった足つきが冗談かと思うほど更に良くなりました。

新型シート

ただ恐らくこう書くと

「背が低い人向けで窮屈そう」

と思うかも知れないけど、そうじゃないのがVTRのシートの凄いところ。

写真では分かりにくいのですが先代よりもシート後方が若干ワイドハイになってるんです。

新型シート

これ何のためかと言えば平均的なライダーのため。

”敢えて”後方を膨らませる事で普通の人が乗ると自然と最適なスポーツポジションを取ってしまう。

JBK-MC33

という何ともニクらしい改良となっているわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2080/725/1055mm
シート高 760mm
車軸距離 1405mm
車体重量 161kg (装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 30ps/10500rpm
最高トルク 2.2kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH9
または
U24FER9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.9L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 530,000円(税別)
※スタイルIIは+10000円
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VTR(BA-MC33後期) -since 2000-

キャブVTR後期

「V-Twin Playtime!」

排ガス規制に伴い二次エアシステム(エアインジェクション)導入の他、ハンドルのメッキ加工やケースカバーなどをシルバー化した後期モデル。

スペック的なところでは車重が+1kgとなっただけ。

この後期モデルで最大の特徴となるのが

外装×フレーム×ホイール

の色を選べるカラーオーダープランを始めたこと。最初はカラーも豊富で組み合わせは全部で106通りもありました。

VTRカラーバリエーション

いくら何でも多すぎたのか二年後からは54パターンに減りましたがそれでも多い。

でも結局みんな選ぶのはオーソドックスなカラーパターンっていう・・・。

キャブVTRカタログ写真

ちなみにこの2002年モデルからはサスペンションとシート形状を見直したローダウンモデルも追加されています。

ちょっと小言。

VTRでよく言われているのが

「MONSTERとそっくり」

というやつ。

VTRとMONSTER

MONSTERが出たのが1993年、VTRが出たのが1997年です。

コレについて

「ミゲール(MONSTERのデザイナー)がホンダ時代に残したデザインを元に造った」

という説が広まっているんですが・・・実はこれ間違い。VTRのデザイナーである澤田さんがキッパリと否定しています。

VTRのコンセプトスケッチ

左が初期のコンセプトスケッチで右が最終スケッチ。もし本当にモンスターが元なら最初からトラスフレームにしますよね。

あと付け加えるなら同じトラスフレームと言っても、形はモンスターというよりVTR1000Fに近いんですけどね。

こう言われるようになったのはMONSTERが

『Vツイン×トラスフレーム×ネイキッド』

として初めて成功したというかDucati史上最大のヒットとなり、市場に強いインパクトを与えたからかと。

主要諸元
全長/幅/高 2040/720/1050mm
シート高 780mm
車軸距離 1410mm
車体重量 154kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 32ps/10500rpm
最高トルク 2.4kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH9(標準)/CR9EH9
または
U24FER9(標準)/U27FER9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.4L
交換時1.9L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|後41
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 439,000円(税別)
※カラーオーダーは+15000円
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)

VFR1200X(SC70) -since 2012-

VFR1200X

「Adventure starts here.」

VFR1200Fのクロスオーバーモデル。最初は無限仕様(VFR1200X、DCTモデルはXD)として100台限定で発売し、2014年からDCTモデルのみ国内正規取り扱いとなりました。

車もバイクもそうですが、DCTって一般的なATやCVTと違ってあんまり批判されないというかMT至上主義者にも認められる印象を受けますね。それは恐らくMTと変わらないダイレクト感があるからでしょう。

じゃあどういう仕組なのかって話ですが、DCTというのはデュアル・クラッチ・トランスミッションといってザックリ言ってクラッチを二つ付けているという文字通りの仕組み。

SC63E DCT

まず一般的なミッションの仕組みを知らないと分からないと思うので説明すると、一般的なバイクは常時噛み合い式というミッションです。車の選択摺動式とも違います。

常時噛合式というのはこれまた文字通り、ローからトップまで全てのギアが常に噛み合って回っている状態。

常時噛合式トランスミッション

じゃあどうやって変速してるのかというと常時噛み合ってはいるけど全部が空回りしている状態なんです。

常時噛合式トランスミッション

なかなか酷い塗り絵ですが、赤く塗られたギアはシャフトに繋がっていてシャフトと一緒に回るギア、青く塗られたギアはシャフトに繋がっておらず空回りするギアになっている。分かりやすいようにメインとカウンターを離しています。

色分けを見てもらうとわかる通りキッチリ青の反対側は赤、赤の反対側は青と別れており、全部が空回りする状態なのが分かるかと。ちなみにこれはニュートラルの状態です。

じゃあ発進する時はどうなってるのかというと左下の緑枠の部分に注目。

常時噛合式トランスミッション

シフトペダルでカコンと一速に入れると、カウンターシャフトに直結している空回りしない赤い五速カウンターの黄色の部分が、空回りする青い一速カウンターに連結されます。

すると空回りしていた青い一速のカウンター側の回転につられて五速のカウンターが回り、結果カウンターシャフトが回る(動力が伝わる)というわけ。

ここから二速に入れようとしたら繋がっている五速カウンターがまた中央に戻り、今度は六速のカウンターが二速のカウンターに連結する・・・分かりますかね。

シフトチェンジで蹴られたりするのはこの黄色の部分が上手く入れなかったりするからです。

SC70エンジン

んで本題のDCTですが常時噛合式の仕組みが分かれば簡単です。

DCTはクラッチが二つあるわけですが、担当しているギアが違います。一つは1-3-5速でこれは二重構造になっているシャフトの内側(奥側)に付いてる、もう一つは2-4-6速でこれはシャフトの外側(手前側)と交互に担当するように付いている。

DCTの仕組み

もうお分かりだと思いますが、こうすることで二つのギアを繋げた状態に出来る。

1速を連結させて走っている時でも、二速も連結させクラッチを切って動力を伝えない状態で走る事が可能なわけです。そして二速にシフトアップする時は一速担当のクラッチを切りつつ二速担当のクラッチを繋ぐだけ。

マニュアルとDCT

回転数の落ち込みが低いのはこうやって次のギアが既に繋がっておりクラッチを切り替えるだけだから。そしてダイレクト感がMTと変わらないのは基本的にMTと同じ構造だからというわけです。

なんかVFR1200Xの話ではなくDCTの話になって申し訳ないです。

SC70

ただVFR1200XにはDCTが本当によく合ってると思います。

道をあまり選ばないとはいえ流石にこのクラスを道を選ばずに振り回せる人なんてほとんど居ない。どちらかというとおっかなびっくりは人がほとんどでしょう。

そういう状況で一番起こるのが恐れすぎてエンストを起こし転けてしまう事。DCTならそれが防げるわけですから。

再編に伴いページがどっかに消えちゃったのでここに追記しておくと、一応800(RC46)ベースの方もXモデルとしてCrossrunner(RC60)がありました。

VFR1200X

コチラは正規販売されることなく無限が逆輸入しVFR800X Crossrunnerという名前で200台用意したのみ・・・ついでの紹介で申し訳ないです。

主要諸元
全長/幅/高 2280/915/1320mm
シート高 810mm
車軸距離 1590mm
車体重量 288kg(装)
燃料消費率 16.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC4気筒
総排気量 1236cc
最高出力 106ps/6000rpm
最高トルク 12.7kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80R19(59V)
後150/70R17(69V)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR8E-9HES
または
VUH24ES
推奨オイル ホンダ純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.6L
フィルター交換時3.9L
フィルター&クラッチ交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,750,000円(税別)
系譜図
VF750S/M1982年
VF750
SABRE/MAGNA
(RC07/RC09)
VF750F1982年
VF750F
(RC15)
VF1000R1984年
VF1000F/R
(SC16)
750F1986年
VFR750F
(RC24)
750R1987年
VFR750R
(RC30)
RC361990年
VFR750F
(RC36)
RVF1994年
RVF
(RC45)
前期1998年
VFR
(RC46前期)
8002002年
VFR
(RC46後期)
1200F2010年
VFR1200F
(SC63)
1200X2012年
VFR1200X
(SC70)
800F2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)

VFR1200F(SC63) -since 2010-

VFR1200F

「ランチは300km先の高原ホテルで」

型式がRCからSCに変わった通り、排気量がリッター超えの1237ccと大幅にアップし、完膚なきまでにツアラーとなったVFR1200F(SC63)。

これは先代(RC46)を振り返った開発者がインタビューで漏らしてたんだけど

「先代はツアラーでありつつスポーツ性も取ってしまったので不鮮明な特性になってしまった」

という事があったから。

ホンダとしてはなんでもこなせるスーパーオールラウンダーとして作ったけど、消費者には器用貧乏に見えてしまったんだね。

SC63

VFR1200Fが完全なツアラーになったのはそういった背景があったからなんだけど

「新型VFRはSOHC」

という事が凄く批判されたのを覚えています。

VFR1200Fエンジンヘッド

バルブを動かすカムシャフトが一本なのがSOHC、二本なのがDOHC。

二本のほうがバルブを正確に動かせるから高回転まで回せる=馬力を上げられる・・・つまり

「DOHC=高性能|SOHC=低性能」

という事。だから騒がれたんですね。読んでる人も

「SOHCとかショッパイなあ」

とか思った人も多いでしょう・・・が、これが実に甘い考え。これは異性を髪型だけで判断する様なものです。

VFR1200Fリア

このSOHCはユニカムバルブトレインといってバルブを狭角に出来る上にDOHC並みのバルブ駆動を可能としたホンダの新しいSOHC・・・ってそんな最先端SOHCかどうかは重要じゃない。

重要なのは”何故SOHCにしたのか”という事。

これは先代エンジンベースではなくVFR1200Fの為に作られた専用エンジンなんですが、これまでのVFR史を覆すハイテクで意欲的なエンジンなんですよ。恐らくオーナーですらよく理解してないでしょう。

SC63エンジン

エンジンをよく見てください・・・Vバンク角(シリンダーの開き角)が理想とされる90度じゃない。これまでずっと守ってきた(というか当たり前だった)90°ではなく76°という狭角になっている。

何故バランスが取れている90°から狭角にしたのかといえばV型のデメリットである前後長を抑えるため。

ただ狭角にするというのはV字を立てるわけなので今度は全高が伸びてくる。そこで伸びた全高を抑えるため吸気側一本で駆動するSOHCにすることで排気側(エンジンの外側)のヘッドを削りコンパクトにしたというわけ。

ちなみにこのエンジンを作られたのは石井勉さんという方なんですが、MotoGP車両RCV(V5やV4)のエンジニアやHRCの総監督をされた結構偉い方でMotoGP車両同様に”エンジンを球形に収める”という事を徹底されたようです。

SC63E

SOHC化によるエキゾースト側のコンパクト化が如何に生きているかが、そしてそれによってエンジンがかなり前方へ寄せられているのがわかりますね。

90度と76度

が、しかし狭角にすることの問題は全高だけではありません。

90°以外では相殺し合っていた振動のバランスが崩れて大きな振動が生まれてしまうんです。そこで崩れたバランスを補う為に考えられたのがホンダが昔からやってた位相クランクとよばれる一風変わったクランク。

V4クランク

本来ならば一つのクランクピンに二つの前後用ピストン(コンロッド)を付けるVツイン+VツインでV4とする所を、2つ目のピンを付ける部分を28°ズラして付けている。

VFR1200F位相クランク

「76°と28°だと90°にならないじゃない」

と思われるかもしれませんが、位相角の求め方は”180-(シリンダー挟み角×2)”で、VFR1200Fの狭角76°に当てはめると

180-(76×2)=28

だから28°位相というわけ。

これで振動の問題はクリア出来てるわけですが、新たなデメリットとして2つ目のコンロッドを付ける際にクランクウェブと呼ばれる仕切りが必要になってしまう分エンジンの幅が大きくなってしまう。

そこでVFR1200Fのエンジンではさらなる工夫として左右対称シリンダーを採用。

左右対称シリンダーV4

従来のV4は左からピストンが後(1番)→前(2番)→後(3番)→前(4番)という”後→前”を二つ並べたようなレイアウト。対してVFR1200Fは前(1番)→後(2番)→後(3番)→前(4番)と並べた形ではなく逆に付けている。

V4ピストンレイアウト

こうすることで後(2番)→後(3番)をリアバンクつまりライダー側に持ってくる事で大幅なシェイプアップをしている。

だから見た目ではデカくて難しそうなイメージを抱きがちだけど、跨ってみると意外と細身で、乗ってみると意外と気を使わない優しいバイクだったりします。

そしてVFR1200Fで語るべき事がもう一つ。それは唯一無二のV4ビート。

これは

「V型360°クランク76°狭角28°位相クランクピン四気筒」

という呪文のようなエンジンだから成せた技。

V4クランク角

256°→360°→616°→720°という180°クランクとも360°クランクとも、Vツインとも直四とも違う、このVFR1200Fだけの点火タイミング。そしてエンジンフィーリング。

VFR1200F_DCT

こだわり抜いたエンジンが奏でるV4ビートと銘打たれている理由はここにあります。

半年後にDCTモデルを追加し、更に2012年にはトラクションコントロールシステム、LEDテールランプ。燃料タンクの1L増量などのマイナーチェンジが入っています。

他にも電子制御スロットルやタンクとサイドカウルが一体化したようなデザイン面とか色々あるんだけど長くなってしまったので申し訳ないですが割愛させてもらいます。DCTについても次の車種で。

ただ最後に・・・

VFR1200Fファイナルモデル

VFR1200Fの短所はSOHCや111馬力(海外172馬力)という事。長所はそうすることで成し得たコンパクト化や唯一無二のV4フィーリング。

つまりVFR1200Fというバイクは

“買われる為の要素を捨て、使われる為の要素を取ったバイク”

ということ。ただ残念ながらソコまでの狙いを汲み取って買った人が多かったかというと・・・商売って難しいですね。

主要諸元
全長/幅/高 2250/755/1220mm
シート高 790mm
車軸距離 1545mm
車体重量 268kg(装)
[278kg(装)]
燃料消費率 20.5km/L
[22.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC4気筒
総排気量 1236cc
最高出力 111ps/8500rpm
{172ps/10000rpm}
最高トルク 11.3kg-m/6000rpm
{13.1kg-m/8750rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/55R17(75W)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR8E-9HES
または
VUH24ES
推奨オイル ホンダ純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.0L
フィルター交換時3.2L
[全容量4.9L
交換時3.6L
フィルター交換時3.9L
フィルター&クラッチ交換時4.0L]
スプロケ
チェーン
車体価格 1,500,000円(税別)
[1,600,000円(税別)]
※[]内はDCTモデル
※{}内は海外仕様
系譜図
VF750S/M1982年
VF750
SABRE/MAGNA
(RC07/RC09)
VF750F1982年
VF750F
(RC15)
VF1000R1984年
VF1000F/R
(SC16)
750F1986年
VFR750F
(RC24)
750R1987年
VFR750R
(RC30)
RC361990年
VFR750F
(RC36)
RVF1994年
RVF
(RC45)
前期1998年
VFR
(RC46前期)
8002002年
VFR
(RC46後期)
1200F2010年
VFR1200F
(SC63)
1200X2012年
VFR1200X
(SC70)
800F2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)

VFR(RC46後期) -since 2002-

VFR

「Sophisticated Pleasure」

前期モデルと違って白バイ需要を除外した事と、SS人気が高まりつつあったことからVFRとしては最も攻撃的な出で立ちをしている記憶に新しいVFR/RC46後期モデル。

イラストデザイン

一番の特徴はCB400SFでお馴染み6,400rpmを境に2バルブと4バルブが切り替えられるVTEC(バルブ休止機能)を採用してること。

構造は同じで向こうで説明したので省きますが、これは騒音規制に対応するためというのが大きく、その為カム駆動もカムギアトレインからサイレントカムチェーンに変更。

VTEC

もちろん2バルブにすることで可能になった低回転域の充填効率向上による燃費や低速トルクの向上もありますし、ただでさえ低回転と高回転ではサウンドの違うV4に同じ効果をもたらすVTECなので下と上でまったく違うサウンドを奏でる面白さ。

これならV4嫌いも満足するだろうと思われます。

VFR800

しかしながら一番目を引く所はやっぱりNR/RC40以来となるセンターアップマフラー。

騒音規制が厳しくなっていく中でRC30やRC45の様に左一本出しによるプロアーム(片持ちスイングアーム)アピールは絶対無理。ならばセンターアップの二本出しという事でしょう。

VFR800

右には何も付けずプロアームアピールするスタイルに拘ってるとしか言い用が無いフォルム。

しかしながらV4というだけでも取り回しが大変なエキゾーストレイアウトなのに、更にセンターアップマフラーの二本出しにしてるから知恵の輪のような形になってます。

RC46マフラー

よくこれで生産にOKが出たもんです。組み立ての人は嫌だったでしょうね。

パッと見はどう見てもスーパースポーツなんだけどVFRはあくまでもスポーツツアラー。

明るい四眼ヘッドライトにタンデマーの事を考えたシート、切れ角を考慮した正立フォークにデュアル・コンバインド・ブレーキなど、ホンダの言葉で言うならスーパーオールラウンダーなのがVFR。

VFR800壁紙

簡単に言えばFコンセプトのトップエンドのような存在ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2120/735/1195mm
シート高 805mm
車軸距離 1460mm
車体重量 243kg(装)
燃料消費率 26.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 22.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 781cc
最高出力 80ps/9500rpm
[108/10500rpm]
最高トルク 7.0kg-m/7500rpm
[8.1kg-m/8750rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ12S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
IMR8B-9H/IMR9B-9H
または
VNH24Z/VNH27Z
[IMR9B-9H/IMR8B-9H
または
VNH27Z/VNH24Z]
推奨オイル ホンダ純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.8L
交換時2.9L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク108
[サイズ530|リンク110]
車体価格 1,050,000円(税別)
※[]内は海外仕様
系譜図
VF750S/M1982年
VF750
SABRE/MAGNA
(RC07/RC09)
VF750F1982年
VF750F
(RC15)
VF1000R1984年
VF1000F/R
(SC16)
750F1986年
VFR750F
(RC24)
750R1987年
VFR750R
(RC30)
RC361990年
VFR750F
(RC36)
RVF1994年
RVF
(RC45)
前期1998年
VFR
(RC46前期)
8002002年
VFR
(RC46後期)
1200F2010年
VFR1200F
(SC63)
1200X2012年
VFR1200X
(SC70)
800F2014年
VFR800F/X
(RC79/RC80)

Shadow Classic/Custom400(NC44/45) -since 2008-

シャドウ400

2008年の排ガス規制を機にFI化されカスタムとクラシックの2モデルとなったシャドウ400。

旧来のクラシックモデルに加えてカスタムモデルは実質的にシャドウスラッシャーの後継的な立ち位置。といってももう2015年時点で残ってるのはクラシックだけだけどね。

日本はやっぱりディープフェンダーにファットタイヤを履いたクラシックモデルが人気みたいね。

さてしかし、意外なことにこのシャドウ400はホンダ車なのライバル車であるスズキのイントルーダーやヤマハのドラッグスターに販売台数で負けています。ホンダ車でライバル車より不人気なバイクって非常に珍しい気が・・・

シャドウ

やっぱり二本サスが原因かな。

一番人気のドラッグスターは空冷な上にリジッド風サス、二番人気のイントルーダーは水冷だけどリジッド風サス。それらに対してシャドウは水冷で二本サス。

重ねて言いますがなんでスティードではリジッド風サスにしたのにシャドウでは二本サスなのよって話ですけど、ホンダは何も言ってないからシャドウシリーズの始祖である1986年のシャドウ750(RC25)がそうだったからとしか・・・もしくは真似はしないというホンダスピリットの現れか。

そして恐らくこのシャドウ400は2017年の排ガス規制をもって生産終了です。ホンダからも生産終了のお達しが出回ってるみたいです。

兄弟車のVT400S(海外名Shadow RS)に至ってはもう一足先に生産終了しちゃってるし。

VT400S

シャドウ自身も次期型やモデルチェンジの話も今のところ何も・・・だからマイチェンで規制を通してくるのか、無くなるのか分かりません。

エンジンも既にシャドウとシャドウファントムにしか使ってないし、海外はシャドウよりF6BやFURYを押してる感じだから頃合いなのかな。

スピリット・オブ・ザ・フェニックス

でもシャドウは「スピリット・オブ・ザ・フェニックス」ですよ。

不死鳥です。何度倒れようと甦ってくる・・・かも。

というかホンダってスティードもそうだしマグナもそうだけど、何でヒットしたクルーザーって短命なんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2510/920/1125mm
[2445/835/1130]
シート高 660mm
[650mm]
車軸距離 1640mm
[1655mm]
車体重量 255kg(装)
[244kg(装)]
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 31ps/7000rpm
最高トルク 3.4kg-m/3500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/90-17(64S)
[前90/90-21(54S)]
後90/90-21(54S)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.5L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ520|リンク124
車体価格 750,000円(税別)
[730,000円(税別)]
※[]内はシャドウカスタム(NC45)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

Shadow Slasher400(NC40) -since 2000-

シャドウスラッシャー400

シャドウの派生モデルとして登場したのがこのシャドウスラッシャー400。

シャドウ400との違いは前輪が19インチ化されたことと、外装がシンプル&ショート化されシャドウより3万円ほど安かった。今で言うカスタムモデル。

翌年にはブルハンドル仕様も追加し排ガス規制による生産終了までの8年間シャドウと併売して売られ、最終年にはタンクにフレアパターンの入ったDX仕様が限定で発売されました。

余談だけどシャドウも国によって名前がVTだったりシャドウだったり色々とややこしいんですよねえ・・・

主要諸元
全長/幅/高 2310/795/1060mm
シート高 645mm
車軸距離 1625mm
車体重量 232kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4ストロークOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 33ps/7500rpm
最高トルク 3.5kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80-19(59S)
後160/80-15(74S)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9/DPR8EA-9
または
X22EPR-U9/X24EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(SAE10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.9L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前16|後44
チェーン サイズ520|リンク124
車体価格 629,000円(税別)
系譜図
nc121985年
NV400Custom
(NC12)
NC261988年
STEED400
(NC26)
NC341997年
Shadow400
(NC34)
NC402000年
Shadow Slasher400
(NC40)
NC44|NC452008年
Shadow400
Classic/Custom
(NC44/45)

モンキー(JBH-AB27)-since 2009-

FIモンキー

「MY BEST SMALL」

2008年をもって一旦は生産終了となったものの2009年に復活を果たした国内としては六代目となるモンキー。

それまでのアメリカンチックなタイプからZ50M~4L時代の様なトレールチックに回帰したんですが、一番の変更点は何といっても排ガス規制に対応するためFI化された事。

インジェクションモンキー

そのため

『FIモンキー』

または

『インジェクションモンキー』

と呼ばれています。

排ガス規制に対応しながら何気に馬力も0.3馬力上がっているわけですが、FI化に伴い車体が大幅に見直された結果『モンキー』というバイクの立ち位置が少し変わりました。

初代とFIモンキー

電子制御化とそれに合わせた大幅な車体の変更によってモンキーの武器であり財産でもあった無数のカスタムパーツの互換性が無くなってしまいました。

加えて排ガス対応へのコストや原付一種の低迷などで車体価格も29万円とそれまでの1.5倍に・・・これによりモンキーのカスタム離れが起こってしまったわけです。

カスタムの悪循環

少し厳しい事を言うと既存のモンキー層にこの事実は受け入れがたかった。

しかしキャブ時代のモンキーは既にプレミア価格・・・その結果なにが起こったかというと10万円ほどで買える中国製のコピーモンキー(キットバイク)が人気となりました。

中華モンキー

そもそもの設計から狂っていたりするのでお世辞にもそのまま乗り出せる完成度ではないのですが、いわゆる4mini層にとってそれは弄る楽しみの一つなのでメリットであってデメリットではない。

しかもコピーだから既存のモンキーが築き上げてきた財産である多くのカスタムパーツが流用できる。まさに玩具として完ぺきだったという話。

ただ本当にこのFIモンキーは凄いんですよ。

電子制御燃料噴射であるインジェクションにするということは単純に加圧ポンプを加えるだけでなく、計算して吹くための各種センサーや高度な演算をするECUが必要となる。

FIモンキーのセンサー

250や400ですら悲鳴を上げるこれらのスペース問題を、このモンキーは大きく見た目を変えることなくやってのけてるわけです。

触媒付きエキゾーストなんてこんな状態。

FIモンキーのエキパイ

管長を取りつつ、ドレインボルトを避けつつ、モンキーらしいアップマフラーにするためにここまでやってる。

なんでここまでしたかと言えば

歴代モンキー50

「モンキーらしさを守るため」

でしょう。

だからもうこのFIモンキーは玩具というより工芸品と言ったほうがいいかも知れない。

そんなFIモンキーも限定モデルが数多く出たのでご紹介。

2011ブラックFIモンキー

2011年にはメッキのコンビネーションが冴えるブラックモンキー。

CRリミテッド

2012年にはCR110(カブレーシング)をイメージしたリミテッド。

ブラックFIモンキー

2013年にはオシャレなチェッカー柄のブラックモンキー。

モンキーくまモン

2014年には熊本生産されているということでくまモンバージョン。

モンキー50周年アニバーサリー

2017年には初代を彷彿とさせるチェックの50thアニバーサリー。

そして最後の限定モデルとなるのが最初に造られた銀メッキモンキーを再現した50thスペシャル。

モンキー50周年スペシャル

税別で40万円と更に高値となったのですが、ラストモンキーである事と限定500台である事から応募者殺到で倍率は90倍にまで暴騰しました。

モンキー50年

Z50としてのモンキーはちょうど50周年を迎えたこのモデルで最後になります。

モンキーシリーズ

最後までとにかくモンキーらしさを追求し続けた50年でした。

主要諸元
全長/幅/高 1,365/600/850mm
シート高 660mm
車軸距離 895mm
車体重量 68kg(装)
燃料消費率 100km/L
※定地走行テスト
燃料容量 4.3L
エンジン 空冷4ストローク
SOHC2バルブ単気筒
総排気量 49cc
最高出力 3.4ps/8500rpm
最高トルク 0.35kgf-m/5000rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前3.50-8 35J|後3.50-8 35J
バッテリー FTR4A-BS/YTR4A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR6~7HSA
U20/U22FSR-U
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.6L
スプロケ 前13|後31
チェーン サイズ420|リンク74
車体価格 289,800円(税別)
※09年モデル
系譜図
Z1001961年
MONKEY
(Z100)
輸出向けMONKEY1963年
MONKEY
(CZ100)
Z50M1967年
MONKEY
(Z50M)
通称:5インチ
Z50A1969年
MONKEY
(Z50A/Z)
通称:ビンテージ
4L1974年
MONKEY
(Z50J)
通称:4L
6V1978年
MONKEY
(Z50Jz-I/A-Z50J)
通称:6V
12V1992年
MONKEY
(A-Z50J後期/BA-AB27)
通称:12V
インジェクション2009年
MONKEY
(JBH-AB27)
通称:FI
125monkey2018年
MONKEY125
(JB02)
通称:125