GSX-R1100(GU75A/P~R)-since1993-

GSX-R1100P/R

水冷化したGSX-R1100W/GU75Aの93年P型と94年のR型から車名の最後に水冷を表すWが付くようになりました。

今まで油冷へのコダワリを見せ油冷アピールしてきたのを撤回し後追いする事になったわけですが、素直に負けを認めないといいますか、タダでは起きないといいますか、量販車最高となる155馬力を叩き出し他社より遅れていた水冷において一発目から最速をマーク。

もちろん変更点はエンジンだけに留まらず、フレームも新設計、市販車初となる6ポットキャリパーを採用と足回りの強化にも余念がなかった。

GSX-R1100
(GU75A:S~V)
-since1995-

GSX-R1100水冷ファイナル

二年後に出たファイナルモデルになるGU75AのS/T/V型。

ずっとGSX-R750の一年遅れでモデルチェンジという足並みだったR1100でしたが最後の最後で足並みを揃えることを止めました。

というのもGSX-R750がアルミツインスパーフレームに変わったのにR1100は旧来のダブルクレードルフレームのままだったから。

翌年に先延ばしかと思えばカラーチェンジのみで気付けば98年に生産終了のアナウンスが流れるというオチ。

GSX-R1100W

これはHAYABUSAが控えていた事が大きいんだけど、GSX-R750の系譜の方で話した通りダブルクレードルフレームにこだわった面もあると思います。

レース車両としての役目も担っていたR750とは違いGSX-R1100は特性もポジションも易しく公道での走行を考えられた一般ライダーに少しだけ歩み寄っているGSX。

そしてこの頃はまだGSX-Rといえばダブルクレードルフレームというイメージを持った人も多かった。

そういった要素を考えると、GSX-R1100が最後までダブルクレードルフレームだったのは伝統的を取った側面もあったのかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2130/755/1190mm
シート高 815mm
車軸距離 1485mm
車体重量 231kg(乾)
[221kg(乾) ]
燃料消費率
燃料容量 22.0L
[21.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1074cc
最高出力 155ps/10000rpm
最高トルク 11.7kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後180/55ZR17
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.9L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ532|リンク114
車体価格 ※[]内は95年以降モデル
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R1100(GV73A後期M/N)-since1991-

GSX-R1100M/N

油冷最終になる2馬力アップしたGV73A後期の91年M型と92年N型(厳密にいうと最終は調整が入ったN型のみ)の通称「ラストモンスター」

同年のR750と同じくライトをカバーで覆った顔つきに変わりスラントノーズ化されました。

油冷ファイナルGSX-R1100

N型は油冷GSX-R1100としても油冷ジクサーとしても最後のモデルなので油冷のゴリゴリ感に心を打たれた総からは今だに強い印象と人気を持っている。

「ラストモンスター」と言われているのはそういったことから。

SACS

なんで油冷を止めたのかというと高負荷時の冷却が水冷に比べ厳しいからというのが理由。

一番熱くなるエンジンヘッドにおいて熱を逃がすためのウォータージャケット(冷却水が通る道)がある水冷に比べ、オイルを吹き付ける油冷はどうしても劣ってしまった。

ただこれはGSX-R750における真夏レースという極限状態で初めて出た問題であってそれ以外は問題なかった。むしろウォータージャケットが要らないから小型軽量という武器もある。

ただレースで勝つためには熱ダレというのはあってはならない問題なので水冷化。そうなると同じエンジンをベースとしていたGSX-R1100も水冷にせざるを得ず、油冷ではなくなったっていう話。

主要諸元
全長/幅/高 2085/755/1150mm
シート高 815mm
車軸距離 1465mm
車体重量 226kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1127cc
最高出力 145ps/9500rpm
最高トルク 11.9kg-m/7250rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後180/55ZR17
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR9B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量5.1L
交換時4.0L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前15|後48
チェーン サイズ532|リンク118
車体価格
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R750(W)-since 1998-

コブ

「The Future is Black and White.」

第二世代のラストを飾る六代目GSX-R750のW型。

カム形状の見直しとデュアルバタフライ式のFIを初めて採用し馬力を135馬力にまでアップ。

そしてこのモデルから国内仕様は廃止され逆輸入車のみになりました。

カタログ

少し話を巻き戻すとGSX-R750は92年モデルで水冷エンジンとなり、一つ前の96年モデルでセンターカムチェーンからサイドカムチェーンと、二段ジャンプのような改良を遂げました。

ここで少し疑問なのが

「なぜ最初からサイドではなく、センターなんて回り道をしたのか」

って事。

この頃は既にサイドカムチェーンなんて珍しくも時代です。

分からない人のために補足するとカムチェーンというのは上の赤い部分で文字通りカム(バルブ)を動かすチェーン。

カムチェーン

四輪ではベルトが主流でタイミングベルトとか言われてますね。最近は四輪の方も技術向上でチェーン採用が増えているようですが。

四輪が再びチェーンを採用にするようになったのはずっとチェーンが主流だった二輪による技術向上の恩恵なんじゃないかと思ったり・・ってそんな話はどうでもいいですね。

サイドカムチェーン

センターカムチェーンよりサイドカムチェーンが優れている部分はまず軸受を減らせる事にあります。

軽量&コンパクトに出来て、フリクションロスも減らせるメリットがあるんですね。

そして吸気をストレートに出来るので吸気効率も上がる。

センターカムチェーンとサイドカムチェーン

SSがサイドカムチェーンなのはこういう理由があるわけです。

GSX-R750はパワーを取るために水冷化した。なのにカムチェーンはセンターを取った。

何故かのか理由を調べてみると・・・

「センターカムチェーンの方がエンジンが美しいから」

というSSらしからぬ理由でした。

サイドカムチェーンというのは文字通りカムチェーンを通すトンネルがサイドに来るわけです。

サイドカムチェーン

カムチェーンのトンネル分だけ手前が盛り上がってるのが分かるでしょうか。

サイドカムチェーン方式の場合こうなって当たり前なんですが、このためエンジンの造形がアシンメトリー(左右非対称)になる。

これが気に食わなかったそう。

対してセンターカムチェーンの場合はトンネルが真ん中に来るのでシンメトリー(左右対称)になる。

センターカムチェーン

「随分と小さい事にこだわるな」

と思うわけですが、実はこの

「サイドカムチェーンの造形が好きではない」

という声はこのGSX-R750に限った話じゃなく、ホンダやヤマハから(何の車種か失念)も聞いた記憶があります。

1998GSX-R750カタログ写真

一般人からしたら些細な事と思うわけですが、クラフトマンシップを持ったエンジニア達からすると些細な事ではないんでしょう。

にしたってGSX-R750はフルカウルでエンジンはそれほど見えないのに・・・油冷エンジンの細かすぎるフィン造形といい、機能美に一番うるさいのは実はスズキだったりするのかもしれませんね。

主要諸元
全長/幅/高 2055/720/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1395mm
車体重量 179kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/10000rpm
[130ps/11500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/7500rpm
[8.3kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58W)
後190/50R17(69W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 1,028,000円(税別)
※[]内はEU仕様
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(T/V)-since 1996-

1996GSX-R750

「Built to Win」

遂にツインスパーフレームとなった五代目GSX-R750のT/V型。

それまでほぼ二年毎だったモデルチェンジではなく、四年ぶりとだった事もあり大きく生まれ変わりました。

サイドカムチェーン化に加え、三分割クランクレイアウトなどで更にコンパクトになった新設計エンジン。

そしてフレームもワークスマシンRGV-Γのディメンションを参考に作られたツインスパーフレーム。

GSX-R750T/V

レースや市場の人気に陰りが見えてきた状況を何とか打破するため白紙から設計されただけの事はある大変貌。

遂に油冷でもダブルクレードルフレームでもない、それまでのGSX-R750ブランドと完全に決別する事に。

しかしそのおかげで初代と同じ乾燥重量179kgという圧倒的な軽さ。そしてその軽さから来るハンドリングと速さが非常に高く評価されました。

96GSX-R750カタログ写真

初代と決別する事で初代のインパクトを取り戻した五代目。

新世代とも原点回帰とも取れるモデルですね。

主要諸元
全長/幅/高 2055/720/1135mm
シート高 830mm
車軸距離 1400mm
車体重量 179kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/10000rpm
[130ps/11500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/7500rpm
[8.1kg-m/10000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70R17(58W)
後190/50R17(69W)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前16|後43
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 988,000円(税別)
※[]内はEU仕様
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(WN/WP/WR/WS/SP)-since 1992-

92R750

「継承される魂」

第二世代の始まりにあたる水冷化された四代目GSX-R750のWN/WP/WR/WS/SP型。

水冷化でW(Water)という文字が追加されたモデルですが、このWは四代目だけで以降のモデルでは付いてなかったりします。

ただこのエンジンはオイルジェットといった油冷によって生まれた機構も合わさっている水冷というより水油冷みたいなエンジン。

92R750

写真がなくて申し訳ないのですが、カウルを向くとそこには油冷としか思えない造形のエンジンが鎮座しています。

さて、このモデルでもう一つ挙げたいのが最後のダブルクレードルフレームということ。

皆さんご存知のようにSSといえばエンジンを挟む様に伸びるツインスパーフレームが一般的で、ダブルクレードルフレームと言えばネイキッドなどの比較的性能を追わないバイクに採用されているタイプですよね。

ツインチューブフレーム

写真はSSではなくメガスポのHAYABUSAですが、まあGSX-R1300みたいな物なんで突っ込まないでください。

実はGSX-R750も早々にツインスパーを検討していました。しかし中々ダブルクレードルフレームを変える事が出来なかったんです。

これが何故かというと

『油冷エンジン×アルミダブルクレードル』

がGSX-R750のアイデンティティだったから。

水冷化を敢行する際に営業サイドから

「ダブルクレードルフレームだけは変えないでくれ」

と懇願されていたんです。

1992GSX-R750

だから簡単にフレームまで変えることは出来なかった。ブランド車にありがちな悩みですね。

その結果がこの水油冷エンジンにダブルクレードルフレームという進化途上の様なGSX-R750というわけ。

R750SPR

94年からはレギュレーションの変更に合わせるために乾式クラッチや大径キャブ、クロスミッションなど予め装備したSPモデルが登場しました。

主要諸元
全長/幅/高 2070/735/1140mm
シート高 830mm
車軸距離 1435mm
車体重量 210kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/9500rpm
[118ps/11500rpm]
最高トルク 6.8kg-m/7000rpm
[7.4kg-m/8500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58H)
後170/60-17(72H)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EK
または
U27ETR
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.9L
交換時3.0L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 898,000円(税別)
※[]内はEU仕様
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(L/M)-since 1990-

90R750

「Direct Access Racing Technology」

三代目となるGSX-R750のL/M型。

ここまでが一般的に第一世代と言われています。

変更点としては

・B/S比の見直し(ロングストローク化)

・マフラーの4to1化

・キャブレターの大径化

・リアタイヤのワイド化

などなど、先に紹介した限定ホモロゲGSX-R750Rに準ずる変更。

GSX-R750M

さらに先代にはなかった倒立フロントフォークを国産750としては初の採用しているのが特徴です。

さて・・・ここまでが第一世代と言われています。

それは油冷エンジンがこのモデルまでだから。

R750油冷ファイナル

正確に言うとこのスラントノーズ一枚レンズになったこの91年M型が最終モデルです。

当時スズキといえば油冷、油冷といえばスズキと言われていました。

GSX-R750M

にも関わらず何故油冷を諦めたのかといえば、レースにおいて限界を迎えたから。

馬力がどんどん上がって発熱量が増えていった事で、オイル高温化による急速な劣化を起こしパワーロスを生じるようになったんです。

SACS

しかしパワーを上げれば上げるほど熱は増える一方・・・だから水冷に舵を切る事となった。

ただしコレはあくまでも夏の耐久レースでの話であって、公道ではあまり関係のない話なんだけどGSX-R750はあくまでもレーサー。

GSX-R750カタログ写真

何よりも速さを取る事は必然だったわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2065/725/1125mm
<2065/725/1145mm>
シート高 790mm
車軸距離 1420mm
車体重量 193kg(乾)
<208kg(乾)>
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 747cc
最高出力 77ps/9500rpm
[115ps/11000rpm]
最高トルク 6.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後170/60-17
<前120/60-17>
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量5.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ530|リンク108
車体価格 839,000円(税別)
※[]内はEU仕様
※<>内は89年式
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R400R/SP/SP2(GK76A) -since 1990-

GK76A

「REVOLUTION」

GSX-R400Rの最終型となるGK76型

アルミダブルクレードルフレームに倒立サスペンション、水冷オイルクーラーなど、もう出し惜しみ無しな作りになりました。スラントシートライト(一枚レンズ)が特徴的ですね。

GK76Aフレーム

もちろんエンジンも新作で、お値段さらに上がって73万9000円。

このGK76型の特徴を端的に表すとすれば”極限までレーサーレプリカな作り”かと。

例えば最初に言ったアルミダブルクレードルフレーム。時代は既に今でも使われるアルミツインスパーフレームに移ってたんだけども、GSX-R400Rは”敢えて”アルミダブルクレードルフレームを選んだ。

それは1989年世界耐久レースで見事勝利したGSX-R750Rがアルミダブルクレードルフレームだったから。

89GSX-R750R

さらに言うとGSX-R400は水冷エンジンなんだけど冷却フィンが付いてる。これもGSX-R750Rが油冷エンジンでフィンが付いていたから。見えない部分までも可能な限りレプリカ。

そして有名なのはポジション。
R400は元々ポジションがライバル車と比較しても結構キツめだったんだけど、このGK76型はそのキツい先代から更に7cm近くハンドルが下がってる(シート高参照)

GSX-R400黒

タンクが長いこともあって窮屈ではないけど、ハンドルが遠くて低いっていう一昔前のポジションを突き詰めた形。そのキツさは全バイクの中でもトップレベルで昨今のSSを鼻で笑えるほど。

足回りも想定域を上に絞ってるから、本気で身体入れて走らないと曲がらない。

要するに完全に割りきった作りをしている。いくらレーサーレプリカと言えどここまで公道走行を考慮してないバイクはそうそうないです。

GSX-R400R SP

しかしいま改めて振り返ってみると、この頃のスズキは本当に凄かった。

HY戦争に否が応にも巻き込まれ致命傷を負ってしまい二輪撤退まで囁かれていた中で

ギャグ

GAGという遊び心の溢れるバイクを出して起死回生のヒットを飛ばしたと思ったら

NSR50|YSR50

ホンダやヤマハに後出しジャンケンでボコボコにされ

RG250

RG250Γという2st250ccレーサーレプリカを出してヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

またホンダやヤマハにボコボコに

GSX-R

そしてこのGSX-Rという4st400レーサーレプリカを出してヒットしたかと思えば

CBR400RR|FZR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにもボコボコに。

これは今も続いています。

昨今の市販スーパースポーツの始祖と言えば

CBR900RR|YZF-R1

「CBR900RR(1992年)だ!」「いやYZF-R1(1998年)だ!」

と言われることはあっても

GSX-R750

「GSX-R750(1985年)だろ!」

と言われる事はめったに無い。どれも正解なんだけど何故かGSX-R750だけは言われない。

バイク業界も勝てば官軍か。

話をGSX-R400Rに戻しましょう。

1993年には400ccの馬力規制が59馬力からさらに強化され53馬力になりました。当然GSX-R400Rも例外ではなく1993年モデルからは53馬力に。

これが去りつつあったレーサーレプリカブームのトドメとなりGSX-R400Rも1995年モデルを最後に生産終了となりました。

GSX-R400Rファイナル

決して大人気といえるレーサーレプリカではなかったけど、ガンマと共に時代を開き、最後まで時代に抗ったレーサーレプリカでした。

主要諸元
全長/幅/高1995/710/1060mm
シート高750mm
車軸距離1375mm
車体重量167kg(乾)
燃料消費率36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量16.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量398cc
最高出力59ps/12500rpm
<53ps/12000rpm>
最高トルク4.0kg-m/10000rpm
<3.5kg-m/9500rpm>
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前120/60R17(55H)
後160/60R17(69H)
バッテリーFTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイルスズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.7L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ前14|後44
チェーンサイズ525|リンク108
車体価格739,000円(税別)
[787,000円(税別)]
{797,000円(税別)}
※[]内はSP
※{}内はSP2
※<>内は92年以降モデル
系譜図
GSX-R 1984年
GSX-R
(GK71B)
GSX-R400 1986年
GSX-R400
(GK71F)
GK73A 1988年
GSX-R400/R/SP
(GK73A)
GK76A 1990年
GSX-R400R/SP/SP2
(GK76A)

INAZUMA1200(GV76A)-since 1998-

GV76A

「心、解き放つモノ。」

GSF1200とのWラインナップで登場したコテコテなジャパニーズネイキッドスタイルのINAZUMA1200/GV76A型。

このモデルもGSF1200と同じ様に400-750-1200で車体を共有化していたわけですが、こちらの場合は逆にビッグネイキッドらしい大型が基軸。

INAZUMA1200

エンジンもベースこそGSF1200と共有なものの、点火タイミングを制御するスロットルポジションセンサーとキャブレーターの変更で非常にマイルドな仕様。

二本サスでシート高もベタベタの780mmと、何もかもがGSF1200とは真逆なビッグネイキッド。

イナズマ1200カタログ写真

さあ行くぞと意気込むGSFと違って、気軽に乗れるビッグネイキッドというのがコンセプトでした。

ちなみにこのINAZUMA1200はスズキとしては非常に珍しいオーソドックスな油冷ネイキッドだった事と、新車でも89万円という安さだった為か、本来とは別の需要で人気が出ました。

別の人気・・・それはKATANA化のベース車両として。

主要諸元
全長/幅/高 2140/780/1100mm
シート高 780mm
車軸距離 1465mm
車体重量 208kg(乾)
燃料消費率 28.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 100ps/8500rpm
最高トルク 10.0kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後170/60-17(72W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ230|リンク112
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

GSF1200/S(GV75A/GV75B)-since 1995-

1995年式GSF1200

「SPORT EVOLUZIONISMO」

スズキが出したビッグネイキッド第一弾であるGSF1200のGV75A型とハーフカウルモデルのGV75B型。

GSF1200ハーフカウルバージョン

これを出した理由は1990年の750自主規制撤廃、そして1995年の大型二輪制定などで1970年代以来となるビッグネイキッドブームが到来したから。

数々のモデルが登場し人気を博していた中で、最後発となったスズキが出したビッグネイキッドの答えは非常にスズキらしいものでした。

まず何を隠そう伝統の油冷エンジン。

gsf1200カタログ写真

GSX-R1100の物をベースにボアを1mm拡大することで1156ccとし、カム周りはGSX1100Gの物を搭載。

キャブレターもGSX-R1100から少し絞った物に変えられ中低速重視に。

ここでちょっと補足しておくとGSX1100GというのはこのGSF1200が出る少し前に出された何故かシャフトドライブのビッグネイキッド。

GSX1100G

欧州向けでしたが一応日本にも入ってきています。

ちなみに知らない人は知らないけど、知っている人はよく知っているバイクです・・・というのも実はこのGSX1100Gなんと矢沢永吉さんが実際に所持したバイク。

話を戻しますが、GSF1200が実にスズキらしいといえる部分は車体にもあります。

明らかにヨーロッパのセンスを強く取り入れてる独創的なダブルクレードルフレームと薄いタンクが特徴的ですが、このボディは先に出ていた弟である600と共有しているもの。

GSF1200S

つまりこのGSF1200はミドルかと思うほどコンパクトなんです。

そしてもう一つ重要というか凄いのが1435mmという驚異的なショートホイールベースであること。これはライバルより100mm以上短く400cc並、ちょうどGSR400と同じ長さ。

GSF1200リア

それに加えて中低速重視で

『9.8kg-m/4000rpm』

を叩き出す油冷エンジン・・・そりゃもう簡単にひっくり返る。

なんでこんな極端な事をしたのかというと、企画の西本さんいわく開発チームがGSF1200では

GSF1200黒

「ネイキッドじゃなくてスポーツカーを造ろう」

という目標があったから。

ミソなのはレプリカではなくスポーツカー。

スズキGSF1200

つまり公道でその性能を楽しめるバイクを目指した結果。

この極端なショートホイールベースとコンパクトボディ、だけどキツくないポジションという組み合わせはそのためなんです。

GSF1200サイド

ちなみに車体設計の松本さんが言うに、開発段階ではキャンバー角(フロントフォーク角)はもう少し立てていて更に過激になる予定だった。

しかし先に出ていた600が欧州で

「過激すぎて危ない」

という声が多く寄せられた事で1200では1°寝かせられ26°になったんだそう。

※バイカーズステーション1994-8 インタビューより

主要諸元
全長/幅/高 2105/785/1095mm
シート高 835mm
車軸距離 1435mm
車体重量 208kg(乾)
燃料消費率 27.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 19.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1156cc
最高出力 97ps/8500rpm
最高トルク 9.8kg-m/4000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後180/55-17(73W)
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR8B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.6L
交換時3.3L
フィルター交換時3.5L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 798,000円(税別)
系譜図
GSF12001995年
GSF1200/S
(GV75A/B)
イナズマ12001998年
INAZUMA1200
(GV76A)
Bandit1200/S2000年
Bandit1200
(GV77A)
2006Bandit1200/S2006年
Bandit1200/S
(GV79A)
Bandit1250/S2007年
Bandit1250/S/F
(GW72A)
Bandit1250後期2015年
Bandit1250/S/F
(GW72A後期)

Bandit250/V/VZ(GJ77A)-since 1995-

バンディット250後期

「Artistic Modern」

バンディット250の後期モデルとなるGJ77A型。

あまり代わり映えしないものの何気に10kgもの大幅なダイエットに成功していたりするわけですが、一番の話題はやはり可変バルブを機能を備えたVCエンジン搭載のBANDIT250V/VZでしょう。

Bandit400VCエンジン

CB400SFのHYPER VTECとは違います。アッチはバルブ休止システム。コッチはバルブの開閉の動きを変える機能のこと。車の方でVTECとかVVTとか聞いたことがあると思いますが、大体アレと一緒です。

どうやってバルブの動きに変化を持たせているのかというと、バルブを押すおにぎりの形をしたカムを中低速用の背の低い(浅くゆっくり開く)やつと、高速用の背の高い(深く速く開く)やつの2つを併せ持ったカムを積んでいる。

可変バルブのカム

そしてバルブを押すロッカーアームもそのカムに合わせて中低速用と高速用を備えてるわけなんですが、回転数が一定以上になるとECUがソレノイドバルブという装置を作動させ油圧でピストンを押し広げます。ここまではホンダのHYPER VTECと同じですね。

VCエンジンシステム

スズキのVCの場合は押されたピストンが先に噛むように付いてるロッカーアームシャフトを回します。

するとシャフトに付いているバルブを押す高速用のロッカーアームが回ることで迫り上がり、低速カムの上から覆うような形になる。

VCエンジンシステム

これで高速用のカム&ロッカーアームが当たるようになって作動するというわけ。

どうしてこんな事をやるのかっていうと、ザックリ言って中低速域における効率的な吸気と、高回転域における効率的な吸気は相反するから。四輪の方では低・中・高と三段階のカムを用意している3ステージなんかもあったりします。

まあそんな話はどうでもいいか。

bandit250VZ

上の写真はその可変バルブを搭載した赤ヘッドVCエンジンに加え、ビキニカウルを装着したBandit250VZ。

バンディット250はそれなりに人気は出たんですが、直四エンジンとコダワリのダイヤモンドパイプフレームというコストを400との二台体制だけでペイできるほど台数が出なかったためコスト高を理由に2000年をもって生産終了となりました。

スズキとしては(失礼ながら)珍しく綺麗にまとまっている250だったにも関わらず台数がそれほど出なかった理由は

「独創的・癖があるデザイン」

と思った人が多かったからでしょう。

そう思われるのはトレードマークであるダイヤモンドパイプフレームがウェイトを占めてると思います。最近はそうでもないですが当時はあまり馴染みのないフレームでしたし。

しかし基本的に250ccの四気筒エンジンましてレーサーレプリカの物というのは、いくら4-2-1マフラーや可変バルブなどで低速を厚くしようが限界はあり、下がスカスカで軽々と上まで回るエンジンなのは変わらない。

そんな無駄に回って無駄に速いエンジンで味のある走りやドッシリした走りは無理がある。

bandit250フレーム

じゃあどうするかといえば”エンジンを活かそう”となる。

ダイヤモンドフレームというのはエンジンを積極的に剛性メンバーとして活用するフレーム形式。

そうすることでフレームを軽く出来るし操舵性にも有利に働くからレプリカエンジンを活かすなら当たり前な選択。それに合わせられるサスペンションも追従性に優れるモノサスになるのも当たり前。

つまりBandit250の形というのは直四ネイキッドとしては独創的どころか至って普通というか合理的な形をしているんです。

bandit250V

ただその合理性が250というエントリークラスの王道であるネイキッド層には伝わらなかった。

まあ・・・無理もない話ですけどね。念願のバイクという夢を買いに来たエントリー層に

「この変なフレームこそ合理美」

と説いたところで分かるわけがないし、何より無粋な話。

主要諸元
全長/幅/高 2050/730/1160mm
シート高 750mm
車軸距離 1435mm
車体重量 144kg(乾)
[146]kg(乾)
{147}kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/14000rpm
最高トルク 2.5kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX7A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.7L
フィルター3.0L
スプロケ 前13|後47
チェーン サイズ520|リンク114
車体価格 499,000円(税別)
[538,000円(税別)]
{558,000円(税別)}
※[]内はV
※{}内はVZ
系譜図
GS250FW1983年
GS250FW
(GJ71A/B)
GF2501986年
GF250/S
(GJ71C)
GSX-R2501987年
GSX-R250/R/SP
(GJ72A/GJ73A)
コブラ1989年
COBRA
(GJ73A)
バンディット250前期1989年
Bandit250/LTD
(GJ74A)
アクロス1990年
ACROSS
(GJ75A)
GSX250S カタナ1991年
GSX250S KATANA
(GJ76A)
Bandit250後期1995年
Bandit250/V/VZ
(GJ77A)

【関連車種】
CBR250RR/CB250の系譜FZR250Rの系譜ZXR250/BALIUSの系譜