「The pride of JAPAN」
ネイキッドブームを巻き起こしたZEPHYRの後継モデルとなるZEPHYR χ(カイ)。
大ヒットにより予算を大きく取れた事で、2→4バルブ化に加えピストンもクランクも新設計というエンジンの大改造を行い7馬力アップの53馬力になり、外見もブラックアウト化。
更には給排気系やサスペンション、更にはハンドルなどまで変更と、ほぼ新型と言っていいほどの改良が加わっています。
先にマイナーチェンジ歴を紹介すると
翌93年にはフロントフォークの大径化に加え、フロントキャリパーの対抗4POT化。更にホイールの三本スポーク化と前後17インチ化(旧型はリアが18)&ラジアルタイヤ化など、二年目にしてビッグマイナーチェンジ。
98年には盗難防止キー、03年にはフロントキャリパーが異型4POT化と騒音規制に対応するためマフラーの内部構造を変更。
上のZEPHYRχは2005年のイエローボールカラー。
そして排ガス規制の関係でイボ無しシートレザーと特別色を纏ったファイナルエディションを2009年に発売し生産終了となりました。
さて・・・このゼファーχはいわゆるカワサキの空冷Z界にとって非常に異端な存在となっています。
それは
「空冷DOHC2バルブ」
というZの原則を破った唯一の4バルブ車だから。
だからこのZEPHYRχはアチコチで、それこそ先代ゼファーや兄弟車の750/1100(これらは2バルブ)との間ですら波紋を”今でも”巻き起こしています。
テールカウルが切れ上がっている事も物議を醸していますね。
「何故χなんて出したのか、何をもってこうしたのか」
という話なんですが、色々と調べてみると明確な答えこそ無いもののヒントがありました。
まず一つ、それは初代ゼファー登場時に開発の方が仰っていた事。
「やり残したのは4バルブくらい」
という発言です。
思わぬヒットで予算を大きく取れたから、やり残していた4バルブ化をする事が出来たんだろうと思います。
ちなみに開発チームはGPZ400Rにも携わった人達が大半。
そしてもう一つのデザインについてですが、これについてはゼファーが生まれるずっと前の開発最初期モック(試作機)に隠されていました。
三本スポークに切れ上がったシートカウル・・・明らかにゼファーよりもゼファーχに近い。
初代ゼファーがこの切り上がったシートカウルを止めた理由はチーム内で意見が二分化したから。
デザイナーはこの切り上がったシートカウルに拘ったんだけど、結局お流れとなってしまった。
つまりこれらの事を纏めると、ゼファーχというのは、やり残した事をやった
「もう一つの形のゼファー」
トラディショナルなゼファー、イノベーションのχと言えるのではないかと。
まあ、そもそもですね・・・ZEPHYR1100の系譜(系譜の外側)でも口を酸っぱくして言っていますが
「ZEPHYRはZEPHYRであってZではない」
という事を覚えておかなくてはいけません。
これは名前がそうだからでも、商用的な意味でも、系譜的な意味でもなく、ZEPHYRを造った開発チームの考えがそうだから。
「Z2でもFXでもない、ZEPHYRという新しいバイクを提案したかった」
これがZEPHYRを造った開発チームの考え。
売れるか分からないにも関わらず、肩身が狭かったにも関わらず、ZEPHYRという名前に強く拘った理由。
それはこのZEPHYRに込めた思いにピッタリな言葉だったからというワケですね。
【関連車種】
CB400の系譜|XJR400Rの系譜|GSR400の系譜|ZRX/ZZR400の系譜
主要諸元
全長/幅/高 | 2085/745/1110mm |
シート高 | 775mm |
車軸距離 | 1450mm |
車体重量 | 185kg(乾) |
燃料消費率 | 40.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 15.0L |
エンジン | 空冷4サイクルDOHC4気筒 |
総排気量 | 399cc |
最高出力 | 53ps/11000rpm |
最高トルク | 3.6kg-m/9500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前120/70ZR17(58W) 後150/70ZR17(69W) [前110/80-17(54H) 後140/70-18(67H)] |
バッテリー | YTX12-BS |
プラグ | CR9E または U27ESR-N |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量3.0L 交換時2.5L フィルター交換時2.7L |
スプロケ | 前16|後42 [前16|後43] |
チェーン | サイズ520|リンク108 [サイズ520|リンク110] |
車体価格 | 580,000円(税別) ※[]内は96年初期型 |