KLX250SR/ES(LX250E/F) -since 1993-

LX250E

「打倒2st!闘う4st!!」

高性能で人気を博していたKLRの後継となるKLX250SR

ぶっ飛んだ性能だったKLRの後継がどうなるかと思ったら更にぶっ飛んでた。

モトクロッサー(競技用)のKLR250Rと同時開発で30馬力を発生させる新設計の水冷DOHCエンジンを125cc並の軽量ボディに搭載。

KLX250SRカタログ写真

メッキシリンダーにペリメターフレームに日の字断面スイングアームにインナー43φの16段階減衰力調整機能付き倒立フォークで始動はキックのみ。

ライトもオマケ程度の物しか付いていないという徹底っぷり。

KLX250SR

水冷4stならではの高回転の伸びと乾燥重量109kgという軽さも相まって他を圧倒するほどの速さを持っていた。

現代の高性能オフの先駆車の様な存在。

その一年後に登場したのがKLX250ES

KLX250ES

スパルタン過ぎるSRに対し、こちらはセルと正立フロントフォークを装備した使い勝手を考慮したモデル。

それでも速さは圧倒的だった。オフロードブームだったからこそ出せたバイクだね。

ちなみにKLX250Rというモデルも同時発売された。

SRをベースに吸排気やサス変更をし、保安部品を取っ払ったバイク。

競技専用車両なので割愛します。

主要諸元
全長/幅/高 2135/885/1220mm
[2135/885/1210mm]
シート高 885mm
車軸距離 1435mm
車体重量 109kg(乾)
[119kg(乾)]
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 8.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 30ps/8500rpm
最高トルク 2.6kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)
バッテリー [YTX7L-BS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.5L
交換時1.3L
フィルター交換時1.4L
スプロケ 前14|後42
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 449,000円(税別)
[459,000円(税別)]
系譜図
KL250

1977年
KL250
(KL250A/C)

KLR

1984年
KL250R/KLR250
(KL250D)

ES|SR

1993年
KLX250ES/SR
(LX250E/F)

スーパーシェルパ

1997年
SUPER SHERPA
(KL250G/H)

H型、J型、M型

1998年
KLX250
D-TRACKER
(LX250H/J)

S/V型前期

2008年
KLX250
(LX250S)
D-TRACKER X
(LX250V)

ZZ-R250(EX250H) -since 1990-

1990ZZR250

「Fantasy Tourer」

ここで登場するのが名車との呼び声高いZZR250。

元祖メガスポとして有名なZZR1100の流れを組む外見だけど、こちらはメガスポーツというよりかは順当なツアラー。

エンジンは先代GPX250Rをベースに騒音規制に対応し中低速に厚みを持たせた為に40馬力と若干ダウン。

ただその分フレームがなんと専用設計のアルミツインスパーという何かの間違いじゃないのかと思う贅沢なものに。

ZZR250カタログ写真

スポーツ一辺倒だった時代に、長距離も難なく熟せる貴重な250ccツアラーとして手堅い人気を呼びました。

ちなみに

「ZZ-R or ZZR問題」

ですが、これはどちらでも正解です。

ZZRロゴ

左が前期モデルの中でも初期の2~3年モデル、一方右はそれ以降のモデル。

1990年頃はまだZZRブランドが発足したばかりで確立してなかったからこんなことになっている。

ただ今は「ZZR」が主流のようですね・・・って最近ではZZRの名前も消えそうな流れですが。

主要諸元
全長/幅/高 2050/700/1125mm
シート高 760mm
車軸距離 1405mm
車体重量 146kg(乾)
燃料消費率 42.0km/L
※定地走行テスト
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 248cc
最高出力 40ps/12500rpm
最高トルク 2.4kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52S)
後140/70-17(66S)
バッテリー YB9L-A2
{TYX7-BS※H5以降}
プラグ CR8HSA
または
U24FSR-U
推奨オイル カワサキ純正オイルR4/S4/T4
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量1.9L
交換時1.6L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 489,000円(税別)
系譜図
Z250FT1979年
Z250FT
(KZ250A)
GPZ250BeltDrive1983年
GPz250BeltDrive
(EX250C)
GPZ250R1986年
GPZ250R
(EX250E)
gpx250r

1988年
GPX250R/R2
(EX250F/G)

ZZR250前期1990年

ZZR250
(EX250H前期)

ZZR250後期

2002年
ZZR250
(EX250H後期)

Ninja250R

2008年
Ninja250R
(EX250K)

2013Ninja250

2013年
Ninja250
(EX250L/M)

Z250

2013年
Z250
(ER250C/D)

2018Ninja2502018年
Ninja250
(EX250P)

エストレヤカスタム/RSカスタム (BJ250C/D/E/G/H) -since 1995-

エストレヤBJ250D

二代目にあたるエストレヤ。

グレード分けが少しややこしくて、ノーマルとRSというグレード、そしてそれぞれにカスタムモデルが随時追加された。見た目の違いとしてはリアサスのリザーバータンクが無くなってよりシンプル化。

そしてRSモデルというのは簡単に言うとハンドルを少し下げてタンデムシートまで一体になったモデル。

思ってたより売れない事に対するテコ入れだったわけですが、これが成功しました。いやというか取り回しの良さやクオリティがジワジワと評価されて人気が出たのもあるんですけどね。

エストレヤRSカスタム

起死回生となったのは上のRSモデルで採用されたタンデムシートまで一体化されたロングシートが出たから。更に翌年の96年にはフォークブーツとドラムブレーキを採用したカスタムモデルがノーマルとRSどちらにも設定されたって更に人気が出たってわけ。

ディスクブレーキからドラムブレーキに退化といえばSRの専売特許だと思ってたけどエストレヤも同じ手法を使ってたんだね。

エストレヤカスタム

でもロングシートよりセパレートタイプの方が味があって良いと思うんだけど・・・無くなったって事は人気なかったんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2075/765/1035mm
[2075/755/1030mm]
{2075/775/1030mm}
シート高 770mm
車軸距離 1400mm
車体重量 142kg(乾)
[{148kg(乾)}]
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SG級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 450,000円(税別)
※[]内はRS
※{}内はカスタム

エストレヤ (BJ250B) -since 1992-

初代エストレヤBJ250B

「ベーシックで、気軽で、楽しいモーターサイクル」

正にメグロジュニアの再来と言っていいエストレヤの初代モデル。見た目が明らかにメグロジュニアシリーズをお手本にしているようなデザイン。

もちろんただジュニア風にしているだけなくてクラシカルをよく勉強した配慮が各所にありますがやっぱり凄いのはエンジン。

流石にOHVとはいかずOHCになってるけど、90年代に突入していた時代に既存のエンジンを改良するのではなく、60年代にあったようなロングストロークのバーチカルエンジンを新たに新設計とか気でも狂ったかと言えるレベル。しかもクランクケースはアルミというクラシックらしからぬお金のかけよう。

エストレヤ

更にエストレヤと言えば何と言ってもメッキです。これただのメッキじゃありません。カワサキの中でも最高級のバフ研磨仕上げだとか。

アルミクランクケースカバーもそうだしキャブトンマフラーもそう。

エストレアは今も昔も結構値段が高い方です。知らない人は何でこんなにするんだと口を揃えて言うんですが、こういう所にお金がかかってるからなんですね。

エストレヤ

様々なクラシカルな要素を取り入れ、妥協なく作ったクオーターネオクラシックのエストレアはカワサキの読み通り見事にヒット・・・・とはなりませんでした。

主要諸元
全長/幅/高 2075/765/1035mm
シート高 770mm
車軸距離 1400mm
車体重量 142kg(乾)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-18(51P)
後110/90-17(60P)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
SE~SF級SAE10W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.0L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前15|後38
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 450,000円(税別)
系譜図
BJ250B1950年
メグロ ジュニアシリーズ
BJ250B1992年
ESTRELLA
(BJ250B)
BJ250C1995年
ESTRELLA
CUSTOM/RS CUSTOM
(BJ250C/D/E/G/H)
BJ250F2002年
250TR
(BJ250F)
BJ250K2007年
250TR
(BJ250K)
BJ250J2007年
ESTRELLA
(BJ250J)
BJ250L2014年
ESTRELLA
(BJ250L)

MAJESTY250(5GM) -since 1999-

5GM

記憶に新しい一大ビッグスクーターブームを引き起こした二代目の通称SG03

全てが新設計でスポーツ性が向上し、メットインスペースも量販車初となるフルフェイスタイプが二個収容可能な大容量に。

ビッグスクーターといえばガラパゴス的な印象を持つ人も居るかもしれないけどそれは大間違いで欧州でも大好評。

ちなみに日本では「ビッグスクーター」ですが欧州では「MAXI SCOOTER」や「MAXI ROLLER」と呼ばれています。

主要諸元
全長/幅/高 2140/780/1350mm
シート高 700mm
車軸距離 1535mm
車体重量 168kg(装)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 21ps/6500rpm
最高トルク 2.4kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/90-12(64L)
後130/70-12(62L)
バッテリー GT7B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/ベーシック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
スプロケ
Vベルト 5CG-17641-00
車体価格 549,000円(税別)
[599,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜図
SG01J 1995年
マジェスティ
(4HC)
SG03J前期 2000年
マジェスティ
(5GM)
SG03J 2002年
マジェスティ/C/ABS
(5SJ)
SG15J 2004年
グランドマジェスティ
(5VG)
SG20J前期 2007年
マジェスティ
(4D9前期)
SG20J現行 2012年
マジェスティ
(4D9後期)
SG01J 1995年
マジェスティ
(4HC)
SG03J前期 2000年
マジェスティ
(5GM)
SG03J 2002年
マジェスティ/C/ABS
(5SJ)
SG15J 2004年
グランドマジェスティ
(5VG)
SG20J前期 2007年
マジェスティ
(4D9前期)
SG20J現行 2012年
マジェスティ
(4D9後期)

MAJESTY/SV/ABS(4HC)-since 1995-

初代マジェスティ250

マジェスティの初代モデルになる4HC型。

当時ビッグスクーターというカテゴリは存在せず、似たようなバイクといえば86年に出たユッタリマッタリがコンセプトのフュージョンくらいだった。

そんな中で出たマジェスティは高剛性フレームにハイパワーなエンジンという走りを意識したモデル。そしてそれを覆うエアロデザイン。

それまでのビッグスクーターのデカくて遅くて野暮ったいという概念を覆し、快適かつ快速なバイクとして国内軽二輪部門(~249cc)では売上第一位の年間一万台、世界累計では10万台という販売台数を記録。

4HCカタログ

ただ、このヒットを支えたのはヤマハの読み通り30歳オーバーのライダー達のセカンドバイク的な立ち位置で、後に訪れるビッグスクーターブームはまた別の話。

二年後には前後ディスクブレーキを採用したSV、さらにその一年後にはこのクラスとしては珍しくABS仕様のモデルが登場。

実は毎年のように細かいマイナーチェンジを繰り返していたんですよ。

主要諸元
全長/幅/高 2110/765/1330mm
シート高 700mm
車軸距離 1500mm
車体重量 147kg(乾)
燃料消費率 41.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 21ps/6500rpm
最高トルク 2.4kg-m/5500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/90-12
後130/90-12
バッテリー GT7B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/ベーシック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
スプロケ
Vベルト 4HC-17641-00
車体価格 479,000円(税別)
系譜図
SG01J1995年
マジェスティ(4HC)
SG03J前期2000年
マジェスティ(5GM)
SG03J2002年
マジェスティ/C/ABS(5SJ)
SG15J2004年
グランドマジェスティ(5VG)
SG20J前期2007年
マジェスティ(4D9前期)
SG20J現行2012年
マジェスティ(4D9後期)

FZS600FAZER(5DM/5RT) -since 1998-

FZS600FAZER

日本に限って言えばFZ400の方がピンとくる人が多いと思うFZS600FAZER(欧州名FZ-S600 FAZER)はFZ400の逆車的な存在の元祖FAZER
フェーザーの元祖は85年のFZ250フェーザーでは・・・と思うかもしれないけどアッチは「PHAZER」なんです。

エンジンは先代の物を引き継いだ物で、欧州ではこの位のミドルバイクが今も昔も非常に人気があった。

XJ900

日本ではあまり馴染みのない空冷のXJ600DまたはXJ900(ディバージョンモデル)が80年台後半からロングセラーの大ヒットを続けてて、その後釜を引き継ぐ意図もありました。

というのもFZS600果てはFZ6はヨーロッパヤマハの発案なんですよ。とはいってもこっちはよりスポーツ寄りで95馬力と性能は相当なモノ。

FZ-S600

2000年(5RT)にマイナーチェンジが入り現代的なフェーザー顔に。

残念ながらボディもエンジンも同じ国内向けのFZ400は続きませんでした。

何故欧州だけなのかといえばFZS600は欧州を中心に三年ほどで累計8.3万台も売れた大ヒット車だからです。

主要諸元
全長/幅/高 2080/710/1180mm
[2080/710/1170mm]
シート高 790mm
車軸距離 1415mm
車体重量 210kg(装)
[214kg(装) ]
燃料消費率
燃料容量 18.0L
[22.0L]
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 599cc
最高出力 78ps/10000rpm
最高トルク 6.1kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70ZR17(54W)
後160/60ZR17(69W)
バッテリー GT12B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E/CR8E/CR9E
または
U22ESR-N/U24ESR-N/U27ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
SAE 10W-30から20W-50まで
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|リア48
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格
※国内正規販売なしのため
※[]内は後期モデル(5RT)
系譜図
FZS6001998年
FZS600 FAZER
(5DM/5RT)
FZ62004年
FZ6-N/R
(1B3/5VX)
FZ6S22006年
FZ6-N S2
(13B/5S5)
FZ6FAZER S2
(5S2/4S8)
XJ6/FZ6R2009年
XJ6N/D/F
(20S/36B/36C/36D/1CW/1DG)
FZ8/FAZER82011年
FZ8
(39P/59P)
FAZER8
(42P/1BD)

DS4/DSC4(4TR)-since 1996-

初代ドラッグスター400

そんなスティードに全て掻っ攫われたヤマハだったけど直ぐ反撃とはならなかった。

今にして思うとそれはビラーゴの延長線上ではなく、全てをリファインした新しいオリジナルのクルーザー「ドラッグスター」の設計に取り掛かっていたからだと思う。

クルーザー層は結構細かい造形などを見る目が厳しい。それに応える為にはスティードを模しただけのアメリカンではなく自分たちが思うアメリカンを妥協無く作ったんだろう。
(歴史から見ても追っかけ車種というのは大体3年以内に出るが、DS4はスティード登場から8年も後だしね)

一新された空冷エンジンに専用のロー&ロングフレームで既に完成の域にあるルックス。
さらに目を引いたのが先代ビラーゴとは全く違う剥き出し状態のシャフトドライブとリジッドサスに見えるカンチレバー式スイングアーム(これはスティードが初出だけど)

DS4

勿論それだけでなく見た目も拘り、空冷Vツインの鼓動にも拘り、排気音にも拘った。その甲斐あってドラッグスターはデビューと同時に大ヒット。

晩年にはワイドタイヤや大型ヘッドライトなどを装備したクラシックが登場しました。

ちなみにドラッグスターの名前の由来はドラッグレースから来てます。でもドラッグが薬物を連想させるからと欧米では使われてません。

平和な日本だから付けれた名前なんだなあ。

主要諸元
全長/幅/高 2340/840/1060mm
[2450/930/1105mm]
シート高 660mm
[712mm]
車軸距離 1610mm
[1625mm]
車体重量 225kg(装)
[240kg(装) ]
燃料消費率 43.0km/L
[39.0km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 空冷4サイクルOHC2気筒
総排気量 399cc
最高出力 32ps/7500rpm
最高トルク 3.3kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後170/80-15(77S)
[前130/90-16(67S)
後170/80-15(77S)]
バッテリー GT12B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR7EA-9
推奨オイル ヤマルーブプレミアム
または
スポーツ
または
スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.6L
フィルター交換時2.8L
スプロケ
チェーン
車体価格 649,000円(税別)
[669,000円(税別)]
※[]内はクラシック
系譜図
XV400スペシャル1983年
XV400Special
(26M)
XV400ビラーゴ1987年
XV400Virago
(2NT)
4TR1996年
XVS400
DragStar/Classic
(4TR)
5KP2000年
XVS400
DragStar/Classic
(5KP)
35C2010年
XVS400
DragStar/Classic
(35C)

TL1000R(VT52A)-since 1998-

TL1000R

「Super V-Twin, Unleashed」

TL1000といえばコッチを思い浮かべる人が多いと思うTL1000R。

これは先に述べた通りレースに出場するために生み出されたスーパースポーツバージョン。

レース仕様

Sと違ってレース前提だから更に剛性を上げたツインスパーフレームにデュアルインジェクション、更に足回りを硬めに調整。

正にホモロゲという感じだけど、TL1000Sから一年の猶予があった事でSと比べるとこう見えて(Sよりは)乗りやすい。

だから一般用途でTL買うならストリート向けのSよりレース向けのRと言われる面白い逆転現象に。

ただこれまた残念なことに肝心のレースがどうだったかというと・・・散々な結果に終わってしまいました。

スズキTL1000R

原因は何と言っても「ロータリーダンパー」です。

日進月歩で改良は進んでいたんですが、結局FIの熟成が進んだとしてGSX-R750に取って代わられ2003年モデルをもってSと一緒に生産終了となりました。

TL1000R レース仕様

TL1000S/Rは本当に独創的でネタに事欠かないバイク。

それはいま話したロータリーダンパーも勿論そうだしセミカムギアトレインやオフセットシリンダーヘッドといった速さとコンパクトさを求めたどり着いた独創的なVツインエンジンなどもそう。

「とにかく馬力を出せばいいと思った。他所のVツインは一切見なかった。」

と開発陣も言っている通り、とにかく意欲に満ちたというか、意欲に満ちすぎているバイク。

TL1000Rカタログ写真

ただこれには実は初代GSX-R750などにも携わった田所さんが開発責任者だった大きく関わっています。

TL1000の当時インタビューで田所さんはこう言っていました。

田所秀敏

”TL1000の開発で幸運だったのは若手のトライアンドエラーに茶々を入れる年寄りが居なかった事。何故なら一番の年寄りがそれを許さない私だったからです。

バイク作りにおいて会社に入って何年目かなんて関係ない。大切なのはキャリアなどではなく他にない新しい物を作ろうという熱意です。

そういう熱意が込められたバイクこそが歴史に名を残すんです。”

TL1000SとR

お世辞にも成功したとは言えないにも関わらず20年以上が経った今もTL1000S/Rに魅了される人が耐えないのは、その熱意が余すことなく詰め込まれているからなんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/740/1120mm
シート高 825mm
車軸距離 1395mm
車体重量 192kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 996cc
最高出力 135ps/9500rpm
最高トルク 10.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
または
U24ETR
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後41
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格 1,199,000円(税別)
※モトマップ価格
系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)

TL1000S(VT51A)-since 1997-

スズキTL1000S

「The Creation of the SuperTwin」

スズキ初のリッターVツインスポーツとして登場したTL1000S。

そもそもスズキが何で突拍子もなくVツインのリッターバイクを出してきたかというと、当時の市販車レースでのレギュレーションの変更が起因。
四気筒:~750cc
三気筒:~900cc
二気筒:~1000cc

と二気筒有利なレギュレーションに変更されたためで、ホンダのVTR1000Fもその為に生み出されたホモロゲのベースみたいなバイク。

ちなみにヤマハとカワサキは直四で続投(YZF-R7とZX-7RR)。

面白いことにTL1000SはVTR1000Fとボアストローク比が寸分の違いもなく完全に一緒。

VTR1000Fの系譜の方でも説明してるので端折りますが、V型のツイン最大のデメリットは前後の幅があることからホイールベースが長くなってしまう事にある。

VTR100F

そこでホンダのVTR1000Fはピボットレスといってエンジン(クランクケース)に直接スイングアームを付け、更にラジエーターをサイド化で対処した。

それに対しTL1000Sはフロントカウルの下にラジエーター、そしてエキパイ内側にオイルクーラー、更にカムを斜めにオフセットという荒業の様な大変な事をやったわけです。

TL1000Sサイド

ただしそれだけではピボットプレート(スイングアームを付けるステップ部分のフレーム)がある以上は大して短くならない。

何か良い方法はないかと模索され生まれたのが世界初となるロータリーダンパーです。

ロータリーダンパー

これは簡単に言うとオイルが入っているダンパー部を伸縮式の筒ではなく回転式にすることでコンパクト化するという発想。

このおかげでTL1000Sはホイールベースが1415mmというVツインの中でもかなり短い250並のホイールベースにすることが出来た・・・んですが、まあ今でもネタにされてるから知ってると思うけどお世辞にも良いサスペンションとは言えなかった。

ロータリーダンパー解説

ロータリーダンパーの働きが渋すぎてキッチリ働かない。要するにダンパーが機能し難く凄くトリッキー。

ダンパーが働かない事とリアヘビーな事からフロントにお釣りが来てハンドルが取られる。ステアリングダンパー追加リコールという力技で対処しましたが、元の原因となるロータリーダンパーは結局最後までそのままでした。

TL1000カタログ

どうしてVツインの定番であるピボットレスにしなかったのかといえば剛性を稼げないからでしょう。

スズキはSも次に紹介するRも分け隔てないVツインスーパースポーツという考えだったから。126馬力187kgというクラストップのスペックを見てもそのことが伺えます。何が何でもスポーツなスズキらしい。

VT51A

色んな意味で有名なTL1000だけど有名なのはどちらかというとハーフカウルのSより次で紹介するフルカウルのRの方でしょう。

でもじゃじゃ馬っぷりだけで見ると一見ストリート向けに見えるコッチのSモデルの方が格段に上。

翌98年にはバルブタイミングや軽すぎたフライホイールなどが見直されたけど、それでもじゃじゃ馬っぷりは変わらず。

TL1000S

TL1000Sはその荒削りさからお世辞にも高評価を獲得したとは言えないんだけど、そのトリッキーさが一部の頭のネジの外れた人から”最も狂ったバイク”とまた違った評価を獲得しました。

ココらへんは日本と変わらないですね。

※追伸

商品企画担当の西本さんいわく、TL1000のプロジェクトは最初は並列二気筒エンジンで行く予定だったそう。

ちなみにこれが並列二気筒の案。

並列二気筒TL1000S案

ただし

「二気筒でスーパースポーツを造るならVツインだろう」

という事でVツインになり、Vツインという制約のみで片桐デザイナーが描かれたデザインコンセプトがこれ。

TL1000Sコンセプト

最初はVG1000という名前だったんですね・・・この頃からすでにSV要素が見え隠れしていて面白い。

主要諸元
全長/幅/高 2045/715/1175mm
シート高 815mm
車軸距離 1415mm
車体重量 187kg(乾)
燃料消費率 [29.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 995cc
最高出力 135ps/9500rpm
[93ps/8500rpm]
最高トルク 10.5kg-m/7500rpm
[8.8kg-m/7000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
または
U24ETR
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前17|後38
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格 [980,000円(税別)]
※[]内は国内仕様
系譜図
TL1000S 1997年
TL1000S
(VT51A)
TL1000R 1998年
TL1000R
(VT52A)
Vストロム1000 2002年
V-STROM1000
(VT53A)
SV1000 2003年
SV1000/S
(VT54A)
Vストロム1000 2014年
V-STROM1000ABS
(VU51A)
2017V-STROM1000 2017年
V-STROM1000ABS
(VU51A後期)
2020V-STROM1050 2020年
V-STROM1050/XT
(EF11M)