RSV4 Ver.2  -since 2011-

RSV4

RSV4は見た目がほとんど変わってないからずっと一緒と思ってる人も居るかもしれませんがちょこちょこモデルチェンジしてます。

本当は毎年変更入ってるから分けるべきなんだろうけど途方も無い数になるので大まかに分けてご紹介。

最初に大きな変更が入ったのは2年後の2011年。

説明が遅れちゃったんだけどRSV4は2009年に初代RSV4Rが、同年にオーリンズを装着した上位グレードのRSV4FACTORYが発売されました。2010年もこのまま。

そして2011年になるとRSV4R APRCとRSV4FACTORY APRCという名前に。

APRC

APRCってなんぞ?って話ですが

APRC(アプリリア・パフォーマンス・ライド・コントロール)の略で

aTC(アプリリア トラクション コントロール): 全域においてスリップコントロールするシステム

aWC(アプリリア ウイリー コントロール): ウィリーを抑制するシステム

aLC(アプリリア ローンチ コントロール): スタートダッシュをアシストするシステム

aQS(アプリリア クイック シフト):クイックシフター。

という要するにフル電子制御システムの事です。しかもこのAPRCの凄い所は学習能力が付いているということ。ちゃんと学ぶしライダーの好きなようにチューニングすることも可能なんです。

2010RSV4

本当はエンジン周りにもカムチェーンやシャフトといった大幅な見直しが入ってるんだけど、挙げだすとキリがないのでこの辺で。

あと2012年にはマフラー形状とリアのタイヤサイズが190から200に変更されました。

余談だけどRSV4は本当にSBKしか見てないんだよねこのバイク。

エンジン:水冷4サイクルDOHC四気筒
排気量:999cc
最高出力:
184ps/12500rpm
最大トルク:
11.7kg-m/10000rpm
車両重量:184kg(装)

系譜図
アプリリアの歴史

1968年~
アプリリアの歴史

RSV Mille前期

1998年
RSV mille(ME)

RSV Mille後期

2001年
RSV mille(RP)

rsv1000r

2004年
RSV 1000 R

第一世代RSV4

2009年
RSV4 Ver.1

第二世代RSV4

2011年
RSV4 Ver.2

第三世代RSV4

2013年
RSV4 Ver.3

第四世代RSV4

2015年
RSV4 Ver.4

1190RX/SX -since 2014-

1190RX

ニューモデルとして出して来たのが1190RXとネイキッドモデルとして1190SX・・・なんですが、2015年にHEROから見限られ再び経営破綻。

1190SX

オークションに掛けられた結果、レアメタル等を扱うAtlantic Metals(アトランティックメタル)のバイク好きCEOが落札し再び復活・・・かと思いきや期日内に資金を用意できず復活ならず。

2016EBR

その後グダグダありつつも三度目のオークションにてLAP(Liquid Asset Partners)というインディアンモーターサイクルも手掛けたコンサルティング会社に買収される事で今度こそ本当に復活。

開発どころではなかったのもあり、基本的には先代1190RSのブラッシュアップモデル。ただ流石エリックというべきかまた独創的な物が一つフロントに追加されています。

1190SX

これはディスクローターとキャリパーピストンへ走行風を積極的に当てることで冷却性を上げ熱ダレを防ぐ装備。

そして今EBRがどうなっているのかというと・・・実は2017年に想定を大幅に下回る経営だった事からまたまた破産し競売に掛けられる事に。

1190SX

しかも今までとは違い、手を差し伸べてくれる企業や投資家が現れなかった為、設備からパーツの一つに至るまでバラ売り。

つまり遂にEBR/Buellという会社は完全に消える事が決まりました。

最後に・・・。

エリックビューエル

「TRILOGY OF TECH(技術のトリオジー)」

マスの集中化×高剛性フレーム×バネ下重量の軽減

これはエリックがバイクを作るに辺りこだわり続けていた理論です。

エリックビューエル

エリックがこう考えるようになったのはまだBuellが発足する前、TZ750でレーサーとして走っていた時代。

エリックはこの時レース中の事故で友人を二人亡くしているんです。この出来事がキッカケでエリックの中にある考えが生まれました。

「バイクは何よりもコントローラブルじゃないといけない」

そして生まれたのが技術のトリオジー。エリックはその考えを、ワンマンと批判されようと、会社が何度破産しようと、結局最後まで貫き通しました。

最後の最後に・・・

XB2の時に

「ビューエルはアメリカよりも欧州の方で人気がある」

と言いましたが、実はアメリカでのビューエルの評価はそんなに高くないんです。

日本車に劣る信頼性、弄りにくい独自構造、度重なる破綻などで不甲斐ないバイクメーカーという認識。この2017年の完全消滅もそれほど話題になっていません。

1190RX

海外メーカーに負けないアメリカのスポーツバイクを作ることに死力を尽くしてきたエリック・ビューエルを惜しむ声が、復活を望む声が、肝心のアメリカから全く聞こえない。

こんな悲しい話は無いです・・・。

※2021年追伸

EBRは2019年から新会社となり2021年から再びビューエルブランドで1190シリーズを展開し始めています・・・が、エリックビューエルさんは関わっていません。

現在はクラウドファンディングで立ち上げたFUELLという電気自動車会社のCTO(最高技術責任者)を務めています。ちなみに2024年にエリックが造った電動バイクが発売予定。

参照:fuel.com(公式)

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:1190cc
最高出力:
185ps/10600rpm
最大トルク:
14kg-m/8200rpm
車両重量:173kg(乾)
※スペックは1190SX

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

1190RS -since 2011-

1190RS

「EBR:ERIC BUELL RACING」

インド最大の二輪メーカーのヒーローと提携・援助で復活したビューエル。会社の場所は勿論ビューエル時代と同じウィスコンシン州で今度は従業員13人からスタート。

先代1125でROTAXに作らせたエンジンの権利を購入しエリックがほぼ全て作り直したニューエンジンが積まれています。

ただこのバイクは100台限定&300万円という実質的にレースを走るためのホモロゲーションモデルだからまず見ることも無いし、正規で入ってきていないので買うことも無いと思います。一応国内でも4台ほど何処かの誰かかが購入したようですが。

エリックZTL

そういえばビューエルの特徴の一つであるZTL(ゼロ・トーション・ロード)について説明していませんでした。日本ではXB9が初出のブレーキシステム。

ZTL2

見れば分かりますがディスクローターがホイールのリムにマウントされているわけです。こうする事でディスクローターのインナーが不要になり軽く出来るというわけ。バネ下軽量が狙いで同クラス比-2kg以上だそうです。

ただキャリパーが一般的な外から差し込むタイプではなく中から差し込むタイプなので、ブレーキパッドを変えるだけでもホイールを外す必要があるというメンテナンス性の悪さがあったりします。一応外さないでも出来るように逃げが作られてはいますが・・・

1190RSリア

それにしても目につくのが懐かしきコムスターの様なリアホイールですね。

と言っても今の人はわからないので説明するとコムスターホイールっていうのはホンダが編み出したホイールでComposite(合成)とStar(星形)という意味。

1190RSリア

スポークプレートをリベットでリムに固定しているホイール。組み立て式キャストホイールみたいな感じ。キャストホイールが認可されていなかった時代の産物です。

重ねて言いますがこの1190RSはちゃんとキャストホイールですよ。ただ形がコムスターホイールに似ているというだけです。

小言。

恐らくビューエルに関心がある人の多くは

「空冷こそビューエルであり水冷はビューエルではない」

と思われてるかと。

実際X1ライトニングは11,228台。そしてXB9が合算で22,961台、XB12は45,929台も製造されてました。それに対し水冷化した1125Rは5,836台、CRモデルは3,099台とXBシリーズの半分以下。

EBR1190

もちろんこれはハーレーが取扱を止めた事や経営のゴタゴタもありますが、水冷化を望んでいない人が多かったのも大きな理由。

これは本当に難しかったと思います。

日本の空冷ビューエル乗りに怒られそうですが、Buellが成功したのは他の何処にもない唯一無二の味を持っていたスポーツ版ハーレーだったから。

しかしエリックが目指していたのは味があるスポーツバイクではなくMade in USAのスポーツバイク。本意とは別の形で世間に認められたわけです。

1190

つまりハーレーと手が切れ、水冷のコンパクトなDOHCエンジンを選んだという事は言い換えれば、この水冷モデルこそエリックが本当に作りたかったバイクとも言えるんじゃないかと。

エンジン:水冷4サイクルDOHC二気筒
排気量:1190cc
最高出力:
185ps/10600rpm
最大トルク:
14kg-m/8200rpm
車両重量:173kg(乾)
※スペックは1190SX

系譜図
エリックビューエル 創業者
Erik Buell
RR1000/1200 1986年
RR1000/1200
RS1200 1989年
RS1200
S2 1994年
S2 Thunderbolt
S1 1996年
S1 Lightning
S3 1996年
S3/T Thunderbolt
M2 1997年
M2 Cyclone
X1 1999年
X1 Lightning
BLAST 2000年
Blast
XB9シリーズ 2003年
XB9R Firerbolt
XB9S Lightning
XB12シリーズ 2004年
XB12R Firerbolt
XB12S Lightning
XB12X ULYSSES
1125シリーズ 2007年
1125R
1125CR
1125シリーズ 2011年
1190RS
1190シリーズ 2015年
1190SX
1190RX

690DUKE -since 2016-

三代目690DUKE

2016年にモデルチェンジしDUKE5となりました。

またまたフルモデルチェンジ。ホイールがRと同じものになりましたが、それよりエンジンがまた全面的に変わりました。

2016LC4

具体的に言うとただでさえビッグボアショートストロークなのを更にビッグボアショートストローク化。そしてヘッドカバーをマグ化しバルブを吸気直打、排気ローラーロッカーアームに変更。これらのおかげで馬力が更に上がって遂に74馬力に。もういいでしょと言いたくなりますね。

DUKE5ヘッド

でもヘッドにもバランサーが付いたことで馬力は上がってるんだけど過激になったというより更に調教された特性になりました。

サスのオフセットも減らしてトレール幅を増やしたしもう本当にネイキッドになりましたね。いやストファイかな。ここまで来るとビギナーが普通に乗っても超ライトウエイトスポーツとして楽しめるでしょう。マニアは690SMC(スーパーモトコンペティション)を買えって事かな。

DUKE5r

R仕様はお馴染みオレンジホイールにBremboモノブロックキャリパー、WPフルアジャスタブルサスペンションを装備。更にリーンアングル・センサー連動ABS、トラコン、スーパーモト・モードといったOPを標準装備。

DUKE5ボディ

まあ何度もいいますがあくまでもそれまでのDUKEシリーズに比べたら調教されたというわけで、他社と比べたらそれでもぶっ飛んだ特性を持っているのは相変わらず。

ちなみにこんなにピークパワーを追求して軽いLC4エンジンの耐久性を疑問視する人が居るかもしれないけど、これも元がエンデューロ用という事で非常にタフに作られてて、KTM自身も最低10万キロは持つように設計をしてる。

ダカール・ラリー ウィナーリスト

しかもそのLC4と同じ技術で作られているRALLYでKTMはダカール・ラリーにおいて無類の強さを発揮していたり。だから信頼性は証明されてます。

ただ軽量化の一環としてウォーターポンプのインペラがクランクと表裏一体で直結してるので劣化とともにエンジン内にクーラントが入っちゃうっていう持病というか問題点があります。

少し入ったくらいではなんともないタフさを持ってはいますが、放置しておくと大変なので買う人や買ったはラジエーター液の水位に注意してね。

2016duke

終わりに・・・

今シングルエンジンで最大排気量となってるのはこのKTMのDUKEを始めとしたLC4エンジンです。というかシングルエンジン、特に大型ロードスポーツはもう死滅状態です。

日本メーカーも過去にはホンダGBやヤマハSRXといったシングルスポーツはありましたがメーカーもそして消費者も多気筒化に流れ消えてしまいました。

KTMデューク

これは思うに

・カタログスペックで見た場合どうしてもマルチに引けを取る。

・シングル感(鼓動感)が騒音規制に引っ掛かってまうので出しにくい。

・軽さが絶対なシングルスポーツだが軽くするにはアルミやマグといったコスト増に直結する素材を多用しないといけない。

・割に合わない(シングル=安いという消費者の意識)

といった問題点を抱えてるからだと思うわけです。

ただそれでも地をはうように出し続け、今となってはシングルスポーツの代名詞とも言えるほどになったKTMのDUKEシリーズ。

SUPERDUKE1290R

最近ではRC8のVツインエンジンを積んだSUPER DUKEなるものを出し世界で絶賛されていますが

「DUKEと言えば690、DUKEと言えばシングルスポーツ」

DUKEシリーズ

このままビッグシングルスポーツの道を極めていって欲しいものです。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:690cc
最高出力:
73ps/8000rpm
最大トルク:
7.5kg-m/6550rpm
車両重量:148kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

690DUKE -since 2012-

690DUKE

690としては二代目となるDUKE4

R専用だった690ccエンジンが積まれて晴れて690になったのかと思ったら、Rをベースに更に改良を重ねてきた。

ダブルしかもダイレクトイグニッションシステム、それにフル・ライド・バイ・ワイヤー(完全電スロ)で馬力は遂に70馬力へ。690ccのシングルエンジンが70馬力とか。そりゃもう良くも悪くもビッグシングルとは思えないほど低回転域はスッカスカですよ。ピストンのペラペラっぷり見たらもう言葉ないです。

それまでのDUKEのトレードマークの縦目二眼をやめてオーソドックスになりましたね。

デューク3ファミリー

まあファミリー並べてみても明らかにデュークだけ浮いてたからコッチが正解なのか。

ただデザイン面でいうとライトだけじゃなくてボディデザイン全体がモタード調からネイキッド調に変わってますね。それを見ても分かる通り、これまでの蹴り飛ばされる様なDUKEは何だったのかと思えるほど調教され乗りやすく、また疲れにくくなっています。

エンジンも外見も手を加えたもんだから先代から90%近い部品が変わったそうで。

DUKE4R

こっちはRモデル。

アクラポビッチマフラーとマッピングの変更で無印より2馬力アップ。

他にもチューニングされたWPサスにBremboのM50、ホイールにガードやシングルシートなどのパワーパーツを装備。更にABSはZX-10Rやディアベルにも使われているBOSCHのGeneration9でSUPERMOTOモードが追加。当然ながらフレームも先代同様強化されるスペシャルモデル。

デューク4

重ねて言うけどDUKE690はこのモデルから先代以上に扱いやすく多目的に使えるネイキッドへと大変貌を遂げました。

まあそれでもひと度回せば元レース用エンジンという事を思い知らされる魅力は相変わらず持ち合わせてますけどね。690ccで70馬力もあるビッグシングルなんだから当たり前ですけど。

エンジン:水冷4サイクルSOHC単気筒
排気量:690cc
最高出力:
70ps/7500rpm
最大トルク:
7.1kg-m/6550rpm
車両重量:149kg(乾)

系譜図
デューク1

1994年
620DUKE

デューク2

1999年
640DUKE

デューク3

2008年
690DUKE/R

デューク4

2012年
690DUKE/R

デューク5

2016年
690DUKE/R

R1200GS  -since 2013-

2015年モデル

2013年からのR1200GS。

これまたエンジンが大幅に変更。

まずなんといってもエンジンが水冷化されました。厳密に言うとヘッドは水冷でシリンダー周りは空冷。

更にRシリーズ初となるバランサーを装着し吸排気のポートが前後から上下に変わりました。

2014エンジン

それまでのボクサーは吸排気ポートが前後だったのでインテーク(吸気側)がステップ側にあり邪魔でした。だから吸排気を上下にすることで解決。簡単に書いてますがこれ凄く大変なことです。

他にも電子制御サスだったり前後連動ブレーキABS(これは前から)だったり、出力モードセレクターだったり、可変式スクリーンだったり・・・

ネイキッド

ただ多分こういう構造的な事を言った所でピンと来ないと思うんですよ。もはやそんなの付いてて当たり前な時代でGSだけ特別ってわけじゃないですし。

これは乗ってみないとわからないし、乗ってみるとわかる。

R1200GS壁紙

「転ける気がしない」

R1200GSに乗ったら絶対にみんなこう言うと思う。間違いなく自分のオフロードスキルがソコソコあるかのような錯覚を覚えます。

そして痛い目を見る。オフロードあるある。

2014年モデル

GSが懐が広く安定しているのはテレレバーやパラレバー、そして伝統のボクサーといったBMWの独自技術によるものだったりするんだけど、だからといって”コレがこうだからGSは凄い”っていうのはちょっと違うかと思ってあんまりウダウダと書きませんでした。面倒くさいわけじゃありません。

こっちはビッグタンクのアドベンチャーモデル。スポークとキャストを選べるようになりました。

R1200GS アドベンチャー

系譜を最初から読んでもらえると分かる通りGSは1980の初代、もっというと1970年代の開発時代から会社が傾こうと止まること無く改良進化を続けてたという歴史。ただGSのあるべき姿を追い求める。これを30年以上です。年次改良なんて何回入ってるのかBMW本社ですら正確に把握できてないんじゃないかな。

こう言うとS1000RRの人に怒られるかもしれませんが、S1000RRが売れてるのはBMWだからという理由が少なからずありますが、このR1200GSはBMWだから売れているわけではなくGSだから売れているんです。

R1200GS壁紙

BMWといったらGS。こんな道を走ってみたいですね・・・日本はなぜ島国なんだ。

もしかしたら中にはRTやRSだと言う人も居るかもしれませんが販売台数はGSがトップ。そしてBMWのこれまでのロードマップを見れば分かる通り先進技術もまずGSです。

最後になりましたが、BMWはもっと多くの人にオフロードを楽しんで貰えるようにと2006年から「BMW Motorrad GS TROPHY」というイベントを世界中で行っています。

GSトロフィージャパン

決められたコースと試験に挑戦し順位を争うコース。

優勝すると”日本一のGS乗り”の称号と世界大会への切符を手に入れることが出来ます。

【4バルブGS】【2バルブGS】【HP2 Enduro】【BMW F&G】【BMW以外】【レディースクラス】のクラス分け。

GSトロフィー

他にも初心者向けやスキルアップを目指すコース、自然を楽しむ事を第一としたツーリングコースなど様々なので興味を持たれた方はお近くのBMWディーラーやホームページなどで確認してみてください。

ちなみにどれも泊まり込み合宿で鍛えられる間違いなしです。

エンジン:水冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1170cc
最高出力:
125ps/7750rpm
最大トルク:
12.7kg-m/6500rpm
車両重量:260kg(装)

【関連車種】

Africa Twinの系譜SUPER TÉNÉRÉの系譜V-STROM1000の系譜VERSYS1000の系譜

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

YZF-R25/3(B3P/B6P/B7P)-since 2019-

YZF-R25

「Ride the Excitement」

二代目となるYZF-R25とYZF-R3。

・YZF-R25/B3P型

・YZF-R25ABS/B6P型

・YZF-R3/B7P型※ABSのみ

となっています。

パッと見でも分かる通り見た目が大きく変わりましたがまず変更点を上げると

・LEDヘッドライトとテールライト

・倒立フロントフォーク

・ハンドルマウント周りの変更

・液晶メーター

・外装の一新

・ラジアルタイヤ(※R3のみ)

などなどがあります。

中でも特徴的なのが倒立フロントフォークによるハンドリングの向上ですね。倒立というのは外筒のアウターチューブと内筒のインナーチューブがひっくり返した形になっているフロントフォークの事。

YZF-R25ボディワーク

キャビテーションという安定性の問題に強い事や、太いアウターチューブを長く取って車体側にマウントすることで剛性を上げる事が出来るメリット。

簡単に言うと路面からのショックによる曲げに強くなるのでブレーキング時や旋回時の安定性を上げる事が出来るわけですが、ただ剛性を上げるという事は必ずしも良い事とは限らず切り返し時などで機敏すぎて(撓ってくれないので)不安定に感じたりもする。

そこでYZF-R25/R3が行ったのがステム周りの改良。それが分かりやすく現れているのがR1に倣うように採用されたトップブリッジ。

YZF-R25トップブリッジ

ガチガチになりすぎない様にフォークを挟んでいるトップブリッジの剛性を落としてメインフレームはそのままでも良い塩梅になるように調整。

これに伴いポジションも少し見直されていて、ハンドルがブリッジの上ではなくスーパースポーツらしく下に付くようになりました。

YZF-R25ポジション比較

とはいえそこまで前傾がキツいわけでもなく先代比で-22mmとの事。

そしてもう一つ上げたい特徴が外装。

YZF-R25赤

幾枚ものカウルが重なったように見えるレイヤードカウルデザインなんですが更に凝った形になりましたね。

ちなみに空気抵抗を減らす事を重視されたようで結果として最高速が8km/hほどアップ。更にはヤマハとしては珍しいダウンフォースを稼ぐウィングまで装着しています。

YZF-R25ウィング

『クロスレイヤード ウィング』

という名前だそうです。

それにしても

「ヤマハはレイヤードカウルが好きだな」

って話なんですが、ここでちょっと小話を。

YZF-R25黒

「レイヤードカウルの狙いは何か」

という事について少し話というか考察を。

2006年ごろから始まったレイヤードカウルの魅力はもちろんそのデザイン性なんですが、これ単なる飾りというわけではなく機能面を考慮した造形をしています。

それを理解するために見てほしいのが市販車とは決定的に異なるカウル造形をしているレーサー。

レーサーのカウル

レーサーのカウルはサイドダクト(サイドカウルの切れ込み)がほとんどありません。

これはレーサーは空気抵抗を抑える事が第一なので抵抗になるサイドダクトはラジエーター(フロント)を通った風を捌く最低限に収めるのがベターだから。

しかし一方で市販車はサイドダクトが必ず大きく設けられています・・・というか設けないといけない。何故なら市販車は信号待ちなど止まる事があるから。

YZF-R3エンジン

停車時というのは風がないのですぐ熱くなります。そして風が無いということはラジエーターで熱せられた熱風は後ろではなく横に広がる。

そんな熱風を車体内に留めておくのはエンジンにとって非常にマズいので外に逃がすために大きなサイドダクトを設ける必要があるんですね。

だからヤマハもレイヤードカウルを始める前はサイドダクトをアレンジして魅せる造形にしていました。

サイドカウルの切れ込み

これはこれでカッコ良いと思うんですが空気抵抗が上がるしレーサーとも少し外れてしまう・・・そこで登場した新世代のカウル造形がレイヤードカウル。

レイヤードカウル

サイドダクトを大きく設けつつもその上から覆い隠すようにカウルを敷くことで

「サイドダクトを確保しつつ、空気抵抗を下げつつ、サイドダクトの存在感も消す」

という一石三鳥の様な事をやっている。

これがレイヤードカウルの狙い。決して自己満足的な飾りではなく機能美でもあるという話。

YZF-R25倒立フロントフォーク

さすがデザインのヤマハと言えるわけですが、R25/R3ではもう取り上げておきたい一つある・・・んですがただこれ写真や言葉では言い表すのが非常に難しい。

このモデルが出た時に

「なんか頭でっかちでノッペリしてるな」

と思われた方も多いかと思います。

そう思われた方こそ是非とも実車を見て欲しい。何故なら印象がガラッと変わるから。

YZF-R25青

これ写真のアイポイントをよく見て欲しいんですが普通に見る高さじゃないんですよね。フェンダーくらいの高さから見た写真になってる。

だから実車を見る場合もっと上から見下ろすようになるから写真とは全く違うバイクに見える。

俯瞰で見た場合

この写真でもまだ低いので再現しきれてないんですが、要するに大きなヘッドライトで少しマヌケに思えてたイメージが、実車を前にすると先鋭なレーサーのイメージに一変する。

これはもちろん狙ってやっている事で

「俯瞰で見るとヘッドライトの存在感が消える」

という意匠を更に強くしているから。だからカタログの表紙でもサイドスタンド側から撮った珍しい構図になっています。

カタログ写真

つまり傾けている時が一番カッコいいバイクというわけ。

「ワインディング中が一番カッコよく見えるデザイン」

というYZF-Rシリーズの特徴を更に研ぎ澄ませたデザインになっているんですね。

ちなみにカタログスペック的な方は先代からほとんど変わっていません・・・最後に少し個人的な事を言わせてもらうと正直このモデルは意外でした。

というのもこのクラスは今ではレースと密接に関係していて、市場だけではなくレース界隈でも盛り上がりが見られる状態。

AP250

つまりもうスーパースポーツとしての道を歩み始めているわけですね。

※R25はAP250やJP250(250ccレース)

※R3はSSP300(世界スーパースポーツ選手権)

そして正直に言うとR25/R3はスペック的に(レースベースが無いことを含め)既にレースで少し引けを取ってる状態にあります。

JP250リザルト

ところが紹介してきた変更点からも分かる通り改良は足回りと装備に特化してきた。

そういう状況下にありながら

『絶対的な速さ』

ではなく

『ドラバビリティ』

を上げてきたわけです。しかもありがたい事に車体価格もそれほど上げてない。

YZF-R3イギリス仕様

要するに

「SSに片足突っ込んでるけど、体はストリートに残した」

ということが意外という話。

これは先代の

「毎日乗れるスーパースポーツ」

というコンセプトが非常に高評価だった事が影響しているのかも知れませんが、ここで思い出すのがYZF-Rシリーズの始まりとなる1998年のYZF-R1/4XV型。

YZF-R25

元々YZF-Rシリーズというのは

『ツイスティ(ワインディング)ロード最速』

という公道で楽しむことをコンセプトとしたモデルでした。

ただ時代と共に環境が変化したことでYZF-Rシリーズはサーキット志向なバイクになっていきました。

そんな中でのYZF-R25/R3だけ明らかに方向性が違う。

YZF-R的に言うと

B3P

「ツイスティロードがサーキットよりも前に来ている」

そう考えるとこのYZF-R25/R3っていうのはYZF-Rシリーズである事は間違いないんだけど、それは今ではなく黎明期のYZF-Rシリーズに近いと言えるのではないかと。

もちろんお世辞にもYZF-R1の様に

『ツイスティロード最速バイク』

とは言えないけども

YAMAHA YZF-R25

『ツイスティロード最高バイク』

とは言えるんじゃないかと。

まあ何にせよ騙されたと思って一度見に行ってください。

主要諸元
全長/幅/高2090/730/1140mm
シート高780mm
車軸距離1380mm
車体重量167kg(装)
<170kg(装)>
[170kg(装)]
燃料消費率27.2km/L
[27.6km/L]
※WMTCモード値
燃料容量14.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量249cc
最高出力35ps/12000rpm
[42ps/10750rpm]
最高トルク2.3kg-m/10000pm
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
バッテリーGTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR8A-9
推奨オイルヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ前14|リア43
チェーンサイズ520|リンク112
車体価格599,400円(税別)
<642,600円(税別)>
[675,000円(税別)]
※<>内はR25ABS/B6P型
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R3(B02/BR5)-since 2014-

YZF-R3

「YOUR WORLD STARTS, WHERE R WORLD BEGINS」

R25よりもピストンのボア(内径)が8mm大きくし320ccとしたYZF-R3。

基本的に造りはR25と同じで違う所はと何故かヒールガードの肉抜きがR3では無くなっており、ギア比とタイヤ銘柄も違います。

R25とR3の違い

「R25が日本とアジア向けなのは分かるけどR3は何処向けなのか」

という話をするとR3はどちらかというと250ccという区切りがない欧米向けです。

向こうではR3のみでR25は売られていません。

これは欧州ではボアだけ変更したバイクを同時に売ってはいけない決まりがあるから。簡単に載せ替えを行わせない為でしょうね。

それより話を戻すと

YZF-R3かYZF-R25か

「結局R25とR3どっちが良いの」

って話なんですが、一つ言えることはR3がR25の上位互換かと言えば必ずしもそうじゃないということ。

ハッキリ言ってパワーはR3の方がかなりあります。80ccも多いんだから当たり前なんですが、そのぶん回転数は抑えられています。

YZF-R25|3メーター

これは簡単に言うとピストン径が大きくなると重量や面積が上がる事で首振りやデトネーションといった問題が起こるから。

そのマージンの為に1500rpmほどレッドゾーンが下げられているんですね。

つまりザックリ言うと

「回してナンボなのがR25、全域パワーなのがR3」

という感じ。

どっちが速くて乗り易いかと言えば間違いなくR3の方だと思いますが、回してナンボな小排気量スポーツ特有の面白さがあるのはR25の方でしょう。

yamaha YZF-R3

まあトドのつまり車検が許せるならR3、許せないならR25って所かと。

主要諸元
全長/幅/高 2090/720/1135mm
シート高 780mm
車軸距離 1380mm
車体重量 169kg(装)
燃料消費率 24.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 320cc
最高出力 42ps/10750rpm
最高トルク 3.0kg-m/9000pm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17(54H)
後140/70-17(66H)
バッテリー GTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
{LMAR8A-9}
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ 前14|リア48
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 585,000円(税別)
※{}内は18年モデル/BR5型
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R25(1WD/2WD)-since 2014-

YZF-R25

「日常で乗れるスーパースポーツ」

ヤマハとして何年ぶりになるのか分からないくらい久しぶりに登場した250ccニューモデル。

最初に話題となったのは2013年の東京モーターショーへの出展だったと思いますが一時期はこのR25の話題で持ちきりでした。

YZF-R25コンセプト

そもそもヤマハは

「国内モデルはもう無理」

というアナウンスを2000年代後半にしていました。ではどうしてここに来て250ccのニューモデルを出したのかと言うと、実はこのクラスがグローバルモデルになったから。

YZF-R25コンセプトスケッチ

我々にとってはエントリークラスである一報で、いま一番熱いアジアにとっては実質トップクラスでもあるわけです。

だからこそ出すことが出来たというわけ。

YZF-R25メーター周り

主な特徴としては

・マルチファンクションメーター

・逆スラント二眼ヘッドライト

・LEDテール

・非対称スイングアーム

・ダイヤモンドフレーム

・並列二気筒180度クランク

などなど。

YZF-R25各部

中でもエンジンはYZF-Rシリーズらしく

『36ps/12000rpm|2.3kg-m/10000rpm』

というクラストップのパワー・・・なんですが、排気量から見ても分かる通りお世辞にも低速トルクがあるわけじゃないし、ハイギヤードだからギアチェンジの頻度もかなり上がる。

しかしR25の凄い所はそれが決して扱いづらさに直結していないという事。

2015YZF-R25

実はR25で一番煮詰められた部分はピークパワーではなくここ。

アクセル開度による空気流入量の変化による”もたつき”を徹底的に潰して扱いやすさを生み出してるわけです。

そしてもう一つ大事なのがそれに合わせられる車体。

YZF-R25フレーム

・スチール鋼管のトラスフレーム

・41mm径インナー正立フォーク

・リンクレスモノサス

などなどハッキリ言うと何か画期的な装備が付いているわけではなく非常にオーソドックスな造り。

でもそれはつまりヤマハが既に熟知している技術という事でもあり、ハンドリングとフィーリングを煮詰める事をより容易にした。

YZF-R25青

つまりYZF-R25というバイクは

『回しやすいエンジン』

とそれに合わせられる

『フィーリングの良い車体』

によってスポーツライディングが非常にしやすいバイクになっているという事。

YZF-R25スポーツ

「毎日乗れるスーパースポーツ」

というコンセプトはここにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高2090/720/1135mm
シート高780mm
車軸距離1380mm
車体重量166kg(装)
[168kg(装) ]
燃料消費率26.2km/L
※WMTCモード値
燃料容量14.0L
エンジン水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量249cc
最高出力36ps/12000rpm
最高トルク2.3kg-m/10000rpm
変速機常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ前110/70-17(54S)
後140/70-17(66S)
バッテリーGTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9E
[CR8E]
{LMAR8A-9}
推奨オイルヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時1.8L
フィルター交換時2.1L
スプロケ前14|リア43
チェーンサイズ520|リンク112
車体価格515,000円(税別)
[555,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
※{}内は18年モデル(BS8/B0E型)
系譜図
yzf-r252014年
YZF-R25
(1WD/2WD/BS8/B0E)
yzf-r32014年
YZF-R3
(B02)
mt-25|mt-032015年
MT-25|MT-03
(B04/B05)
2019年式YZF-R252019年
YZF-R25/R3
(B3P/B6P/B7P)
2020mt-25|mt-032020年
MT-25|MT-03
(B4W/B6W)

YZF-R6(BN6) -since 2017-

2017YZF-R6

「Respect R World」

規制に伴い9年ぶりのモデルチェンジとなり立ち位置が大きく変わった六代目YZF-R6のBN6型。

BN6黒

・ABS標準装備

・6段階トラクションコントロールシステム

・クイックシフター(UPのみ)

・3種類の出力モード切替

・R1と同型の大径フロントフォーク(φ43㎜)

・R1と同型のブレーキ(φ320mm)とフロントホイール

・アルミ化された新型燃料タンク

・新開発のMgシートフレームで約20㎜スリム化

などなど足回りと電子制御を中心とした強化が入っています。

2017YZF-R6フューチャーマップ

もともと電スロをいち早く採用していたからABSやトラコンはの採用はかなり遅かったと言っていいほどなんだけど、これはどうも市場の縮小もありますが先代がモデルチェンジせずともすこぶる好評だった事も関係していたようです。

カタログスペックとしてはEURO4(排ガス規制)の関係で118馬力と+2kgとなっているわけです・・・が、それ以上に注目したいのが相変わらずデザイン。

このYZF-R6は従来の路線とは真逆ともいえる方向へ大変貌しました。

2017YZF-R6サイド

YZF-R1と同系の新設計のカウルデザインによりCdA値(空気抵抗)がなんと8%も向上し最高速アップ。

ちなみにR1と同様に光ってる部分はポジションライトでアッパーカウルの下に付いてる丸いレンズが本体。左がロー、右がハイ。当然ながらヘッドライトのみならずウィンカーまでもがLEDとなってます。

2017YZF-R6ヘッドライト

睨んでいる様に見える顔ですが、これは『白面の者(うしおととら)』から取ったんだそう。

それでどうして真逆なのかって話ですが、系譜を見ると分かるように

「R6はR1の弟分ではない」

という事を誇示するように似ていないデザインだった。

壁紙

しかし今回それが大きく変更されR1に準ずる様なデザインに。特にリア周りは特にR1と区別が付きにくいほど。

リア周り

開発責任者の平野さんいわく

「R1に抜かれたと思ったらR6だった」

という思惑が込められているんだそう。やられた方はなかなか屈辱的ですね。

それでR6がR1と親しいデザインになった理由なんですが、これはR1とR6しか居なかった状況からYZF-R1~YZF-R25まで(海の向こうではR125まで)のYZF-Rファミリーになったから。

ヤマハ語でいう

『R-DNA(プラットフォーム化)』

で展開する様ために関連付ける必要があったからR1ともR25ともデザインから改められたという話。

2017YZF-R6メーター

これにはミドルスーパースポーツのブームが去ったことも影響しているかと思います。

R6は歴代累計16万台ほど生産したようなんですが、今やそれが嘘のように閑古鳥が鳴く始末でライバルたちもバタバタと倒れゆく時代。

そんな中で存続するだけでなくモデルチェンジに加え世界市販600レースへのワークス再参戦という逆張りに近い行為が出来たのもファミリーに一翼を担うようになったおかげでしょう。

WSS2017R6

そのおかげというべきか案の定というべきか600レースは国内外問わずYZF-R6が猛威を奮ってたりします。

『Furious Track Master(猛烈なサーキットの怪物)』

という開発コンセプト通りサーキットで傍若無人っぷりを発揮しているわけですね。

ただ残念ながらもうクラスが完全に下火というかもうレースでしか存続してない事もあり2020年モデルがEURO5規制の関係で最後な模様。後継の話もいまの所なし。

まあモデルチェンジした翌年の2018年ですら424台と大型一位だったバイクの1/10しか売れてないですからね。開発費が掛かる類のバイクなのにこれじゃ存続も無理な話。

そのため生産も期間を絞った受注生産に近い形なので欲しい人は店頭に並ぶのを待つのではなく今すぐ予約しましょう・・・と購入を煽りたい所ですが価値観の押し付けの様な話を批判覚悟で少し。

2017YZF-R6白

正直に言うと(先代含む)R6はオススメしません。

オーナーからの苦情を覚悟で言わせてもらいますが、もし周りでR6を

「言われるほどキツくない、乗り辛くない」

などと言ってる人が居たらそれは間違いなく納車されたてで浮かれている人か、サーキット沼にハマって頭のネジが2~3本取れてる人です。

LED

スーパースポーツというのはR6に限らず基本的にサーキット走行ありきなので日常的な走りは苦手です。

・キツいポジション

・高すぎる回転数

・硬いサスペンション

などなど。

ただメーカーも数を売らなければいけないので(一部のホモロゲや外車SSを除き)可能な限り一般ユーザーが使うであろう用途も考慮しているのが実情。

しかしR6の場合それがほとんど無い。

このスーパースポーツは外車も真っ青なくらい

「公道のための1を捨ててサーキットの0.1を取った」

といえるモデルなんです。ポジションやシート高などがよく言われていますね。

どうしてそうなのかといえばこれまでの系譜でも話した通り

LED

「走りで存在感を出す」

という事に重きを置いているから。

本当にトラックに全振りしているスーパースポーツしてるバイクだから

「ルックス買いなら止めといたほうがいいよ」

とアドバイスします。

ただ勘違いしてほしくないのは

「R6はピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事が言いたいわけではありません。

2020年式

むしろ反対でR6はライダーの入力に正確に応えてくれる本当にピュアなスーパースポーツ・・・だからこそレーサーでもなんでもない一般的なライダーには向いていない。

メーカーも一般ライダーに買ってもらうために街乗りしてる写真を出したりキャッチコピーでも

『場所を問わないエンターテイメント』

とかやってますがハッキリ言って無理がある。

もちろんツーリングや街乗りで使うのも盆栽するのも可能だし個人の自由なんだから大いに結構。でもそういう付き合い方だと長く付き合っていく事は難しいと思います。

BN6グレー

よく大型初心者の人が想像から

「公道でSSは難しいですよね」

なんて言ったりしていますが意外とそうでもなく乗れてる気になれる事は可能だったりする。

でもR6はちょっと例外で

『下スカスカで上スカスカで最上がドッカン』

だから公道でスポーツしようにもリッターSSより難しい・・・というか無理。そして気持ちよくスポーツ出来ないフラストレーションにクラスでも抜きん出たキツいポジションや足つきや排熱など公道ではネガでしかない部分ばかりが気になり始めて嫌になってくる。

早い話がバイクに乗らなくなる要因がこれでもかというほどあるからオススメしないって話なんですが、ここまで言われてもなお

「それでも一番カッコ良いR6が欲しい」

と思うなら買えばいいです。

2019年式BN6プライス

ただし一つだけどうしても聞いて欲しい事があります・・・それは

「長く付き合っていきたいと思うなら絶対に一度はR6でサーキットを走って」

ということ。

R6でサーキットを走れば自分が今どの程度のライディングスキルを持っているのか否が応でも分かります。全然乗れてない事に落胆すると思います。

ただそれと同時にほんの一瞬かもしれないけど公道の1を捨てサーキットの0.1を取った要素

『Furious Track Masterの片鱗』

を感じ取る事も出来る。

2017YZF-R6壁紙

それを知ってたとえ年に数回だろうとサーキットに行って少しずつでもR6の本領を発揮できるようになれば

「カッコいいミドルSS」

という表面的なR6の魅力だけでなく下手くそなら下手くそと、上手いなら上手いと誤魔化さず走りで応えてくれる

「正直者なミドルSS」

という内面の魅力にも気付ける。だからサーキットを走って欲しいんです。

BN6メーター

これはトラクションコントロールというアシスト機能が付いたこの代でもそう。

トラコンは”甘えの装備”とか言われるんですが、このR6にはIMU(慣性計測装置)が付いておらず6段階も細分化された”自分で設定する必要がある調整機能”になっている。

これがどういう事かと常に自動でベストな補正をしてくれるわけではないという事。

つまり

「いま自分がどれくらいの制御が必要なのか」

己で見極めて走る必要があるんです。

トラクションコントロール

要するにクラストップの速さを持つR6だけど、丸投げで速く走れるSSでも勘違いさせてくれるSSでもないという事。

公道ではあまり見ないのにサーキットにいくとよく居る理由、優しくないのに絶対に手放ない人がよく居る理由もここにある。

2019年式BN6壁紙

R6の魅力というのはカッコよさや超高回転という表面的なものではなく

『何処まででも切磋琢磨していける関係性を築ける内面』

が本当に素晴らしい魅力なんです。

その事を理解できれば5年でも10年でも20年でも付き合っていける関係になる。ポジションも足つきも排熱も嘘のように気にならなくなる。

もし仮に手放す事になったとしてもその時は

「YZF-R6ありがとう」

などというありきたりな感謝の念を抱くような事はない。

BN6壁紙

「YZF-R6には色々と教えてもらった」

と敬愛の念を抱くようになる。

【関連車種】

CBR600RRの系譜GSX-R600の系譜ZX-6Rの系譜DAYTONA675の系譜

主要諸元
全長/幅/高 2040/695/1150mm
シート高 850mm
車軸距離 1375mm
車体重量 190kg(装)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 599cc
最高出力 118ps/14500rpm
最高トルク 6.3kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ7S(F)
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR10EK
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.6L
スプロケ 前16|後45
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,450,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1985FZ600 1985年
FZ600
(2AX/2AY)
1989FZR600 1989年
FZR600
(3HE/4HJ)
1994YZF600R 1994年
YZF600R
(4WE)
1999YZF-R6 1999年
YZF-R6
(5EB)
2001YZF-R6 2001年
YZF-R6
(5MT)
2003YZF-R6 2003年
YZF-R6
(5SL)
2006YZF-R6 2006年
YZF-R6
(2C0)
2008YZF-R6 2008年
YZF-R6
(13S/1JS/2CX)
2017YZF-R6 2017年
YZF-R6
(BN6)