SX200R(SH41A) -since 1985-

SX200R

多分知ってる人ほとんど居ないのではなかろうかと思われるSX200R。

スズキのオフと言えばDRかDJEBELだもんね。

このSX200Rは1985年に出た空冷のDR250Sのエンジンを改良して200ccにしたものを積んでるオフ・・・と思っていましたが間違いでした。大変スイマセン。

このバイクのエンジンはDR250Sからの物ではなく、1982年に発売されたGN125Eから来るものでした。

GN125

これを200ccにまで拡大して載せたのがSX200R。

125の方は125の方でSX125Rやジェベル125といった方へ伸びてくことになります。

そしてこのSX200Rは空冷200ccなだけあってパワーはそこそこしかないんだけど、その分燃費も良くて軽くてタンク容量も15Lっていう使い勝手に特化したエントリー向けオフ車。

このSX200Rがバンバン200の始祖的な存在です。

主要諸元
全長/幅/高 2145/850/1195mm
シート高 810mm
車軸距離 1415mm
車体重量 118kg(装)
燃料消費率 60km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 199cc
最高出力 20ps/8500rpm
最高トルク 1.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/80-21(45P)
後110/80-18(58P)
バッテリー FB4L-B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
[DR8EA※88以降]
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.1L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 294,000円(税別)
系譜図
バンバン50 1972年
VanVan
RVシリーズ
SX200R 1985年
SX200R
(SH41A)
djebel200 1993年
DJEBEL200/DF200E
(SH42A)
先代バンバン200 2002年
VanVan200
(NH41A)
バンバン200 2007年
VanVan200
(NH42A)

GSX1100S KATANA(SAE/SBE)-since 1987-

1987年式GSX1100SAEカタログ

四型となるSAE型とSBE型。

一応建前としては海外向けなんだけど、実質的にほぼ国内向けに造られたと言っていいモデル。

というのもこのモデルはSBS(スズキディーラー)やセイワモータース(当時の逆輸入車取扱店)からの要望で作られたモデルだから。

上の初期型SZとほぼ同じシルバー基調のモデルがSAE型でSBS向けモデル。違う部分はタンデムステップがラバーステップではなくなった事くらい。

対してSBE型はセイワモータース(逆輸入車取扱店)に向けて作られた限定モデル。

GSX1100SBE

シートとフレームも赤く塗り、メーカー名が縁だけの白抜きになっているのが特徴です。

SBE型は

・タンデムシートベルト

・泥除けゴムプレート

・ステップ

などの違いがあるのですが、これはベースがオーストラリア仕様だから。

ちなみにSBEはKATANAの中でもちょっと波乱万丈なモデルです。

というのもSBE型はKATANAシリーズとしては唯一の赤フレームKATANAなんですが、同事に円高もあり80万円を切る最安値モデルでもありました。

しかしカタナが生産終了を迎え歴代モデルを振り返ってみるとSBE型は

・唯一の赤フレーム

・ファイナルより少ない(限定約200台)

ということで一転プレミアに。

最安で売られたのに今では最高値が付いたりする大どんでん返しの様なカタナなんですね。

まあただそれは今でこその話。

当時は販売台数の低迷からKATANAはこのモデルを最後に一度ラインナップから完全に姿を消すことになります。

理由はもうこの頃になるとカウル付きが全盛で性能面でも引けを取っていたからです。

主要諸元
全長/幅/高 2260/715/1205mm
シート高 775mm
車軸距離 1520mm
車体重量 232kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1075cc
最高出力 111ps/8500rpm
最高トルク 9.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19(57V)
後4.50-17(67V)
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.2L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格
系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

GSX1100S KATANA(SD)-since 1983-

1983年式GSX1100S

二型になるSDは青いストライプモデルと赤銀の2モデル。

それまでの星形から他のモデルと同じ6本スポークホイールになり、エンジン周りをブラック塗装に。

細かい所で言うと、シート材質の変更やエンジンハンガー、エンジンヘッドカバー等も変更されています。

更に後期モデルではオルタネーターを大型化。その為、同じSDでも前期と後期ではフィーリングが若干違う。まあ乗り比べてみない分からないレベルでしょうが。

ちなみに上の写真のシルバーに青のストライプが入ったモデルがEU仕様。

1983年式GSX1100S赤

こっちの赤ストライプが入ったのがUS仕様です。

フランス向けにはスポークホイール仕様もありました。

KATANA スポークホイールモデル

これは初年度モデルですけどね。

GSX1100S KATANA
(SE)
-since 1984-

SE型

合わせて紹介で申し訳ないですが、84年モデルのSE型。

SD型との違いはカラーリングのみ。

俗にいう赤カタナの定番カラーで人気だった為か84~86年の三年間はこの一色のみ。

ちなみにこの頃になると逆輸入が活発化した為か価格もだいぶ落ち着いてきて100万円ちょっと出せば買えるようになりました。まあそれでも当時としてはかなり高い方ですけどね。

ところでGSX1100S KATANAは欧州向けでは

『Space invader(宇宙人)』

というキャッチコピーが与えられていましたが・・・スペースインベーダーっていえばゲームのアレですよね。

偶然の一致かと思いきやどうもワザと被せていたよう。

GSX1100Sスペースインベーダー

当時イギリスを筆頭に社会現象になっていたからなのか、カタナにコスモを感じたのかは分かりません。

主要諸元
全長/幅/高 2260/715/1205mm
シート高 775mm
車軸距離 1520mm
車体重量 232kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1075cc
最高出力 111ps/8500rpm
最高トルク 9.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19(57V)
後4.50-17(67V)
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.2L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格
系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

GSX1100S KATANA(SZ)-since 1981-

1981GSX1100Sカタナ

カタナの初代にあたるSZ型。

本当の型式はGS110X~GU76AでSZというのはモデルイヤーコードなんですがこちらの方が普及していてシックリ来るのでそちらで通していきます。

プロトタイプの系譜でも話した様にモーターショーで鮮烈なデビューを飾ったカタナは約束されたように大ヒットを飛ばしました・・・ただし日本以外で。

というのも当時まだ日本では

『バイクは750ccまで』

というナナハン規制があったから。

だから買うなら一度海外に持っていかれたカタナを日本に再輸入して外車にして買うしかなかった。

初期型GSX1100S

今でいう逆輸入車ですが、実は逆輸入車という文化が広く知れ渡ったのはこのKATANAの影響が大きい。

しかし逆輸入車という手段が広く知れ渡ったとはいえ当時はまだモトマップもなく逆輸入を大々的にやっている企業なんてなかったから車体価格は200万以上もした。今で言えば400万円くらい。

もちろんスズキも国内向けにちゃんとナナハン版となるGSX750Sを造ったんですが、日本独自の規制の関係でスタイリングが変わってしまった事でGSX1100Sへの憧れは更に強まる結果に。

【GSX750Sの件についてはコチラ】

そんな羨望の眼差しを独り占めしていた初期型にあたるSZの特徴としては

・星型ホイール

・ANDF(アンチノーズダイブフォーク)

・各部をシルバーで統一

などがあります。

GSX1100SZ

斬新な外装だけでなくそれに負けないシルバー塗装が美しいエンジンやツルツルなパイプフレームなど初代にして完成形ですね。

さすがさすがハンスムート・・・と思うんですが、実はこの車体の意匠はハンスムートによるものじゃない。

これ開発責任者を務められた横内さんを始めとしたスズキの意匠なんです。

GSX1100Sの紹介面

というのも横内さんがCLUBMAN/241で暴露していたんですが、デザインに負けない性能をもたせる為にハンスムートと開発について詰めているとカウル造形には拘るものの車体側には何の関心も無いことがわかった。

しかし車体設計のプロフェッショナルである横内さんは

GSX1100Sの設計図

「GSX1100Eに外装被せるだけでは駄目だ」

と考えノーマークだった車体を自分たちで改良。

具体的に何処を手がけたのかと言うといま話したシルバー塗装が美しいエンジンやツルツルなパイプフレーム。

GSX1100Sアクセサリーカタログ

中でも力を入れたのがフレームです。

タンデムステップを始めとした各部を溶接痕を出さないようロストワックス法などで可能な限り鋳造に変更。

溶接が必須な箇所もスパッタ(溶接によって出来るカス)がなるべく出ない溶接方法を選び、どうしてもの場合はバフで削るという手段まで取った。

このため車体価格が当初の予定より1割ほど高くなってしまったんだそう。

どうしてそこまでしたのかというともちろん

GSX1100Sのパンフレット

「スズキの新時代を築くバイクになる」

と横内さんを始めスズキのメンバーが確信していたから。だから正にカタナを研ぐような意匠を施したわけです。

つまりカタナはハンスムートデザインと言われるけど実はそれは上半分の外装だけで、下半分は横内さんを始めとしたスズキによるもの。

1981GSX1100SZ

だから正直に言うとデザインを形にし磨き上げたスズキの功績が一番大きいんじゃないかと。

もはや意匠というより『刀匠』ですね。

主要諸元
全長/幅/高 2260/715/1205mm
シート高 775mm
車軸距離 1520mm
車体重量 232kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 22.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1075cc
最高出力 111ps/8500rpm
最高トルク 9.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.50-19(57V)
後4.50-17(67V)
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.2L
交換時3.2L
フィルター交換時3.6L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ630|リンク96
車体価格
系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

GSX1100S KATANAPrototype -since 1980-

GSX1100SX

「ケルンの衝撃」

ドイツのモーターショーであるケルンショーにてお披露目され、一躍話題となったGSX1100S KATANAのモーターショーモデル。

GSX1100SKATANAスケッチ

ハンス・ムート(とその仲間)というBMWに専属していた工業デザイン会社にデザインを要請。

こうなった経緯もまた面白くて、「バイク豆知識:ポルシェデザインのSRがある」にも書いてあるのですが、1979年にドイツのバイク誌が主催した

「Alternatives Motorrad Konzept(これからの二輪)」

というデザインコンペ大会がキッカケ。

スズキはRE-5のデザインを担当された巨匠ジウジアーロに依頼し挑んだわけですが、そこでMVアグスタから依頼され作られたターゲットデザインのバイクに衝撃を受けます。

ターゲットデザインMV750S

デザイン面で他社に遅れを取っていたスズキは、これこそ新しいデザインだとしてあの手この手でターゲットデザインに接触しデザインを依頼。これがカタナの始まりです。

そして互いに

「こちら(スズキ)はデザインの邪魔は極力しない。だから、そちら(ターゲット)もデザインが機能の邪魔をするのは極力やめて欲しい」

と言う約束の元にデザインされたのがカタナです。

GSX1100Sラフスケッチ

このショーモデルを発表した途端にスズキ本社に発売時期を問い合わせる電話が延々と掛かって来たらしく、この反応でスズキはイケると踏んだのか一年足らずで市販化という驚異的なスピードで発売。

本来ならハンス・ムートが所属するターゲットデザインの手柄となるハズだったんですが

GSX1100Sラフスケッチ

『ハンス・ムートデザイン』

を全面に押し出した為にハンス・ムートは会社での立場を失い追い出されるという・・・ちなみにショーモデルではビモータ製の4-1マフラーですが市販モデルは4-2-2になっています。

そんなGSX1100S KATANA誕生に関してちょっと面白いのが目指したバイクは

『イタリアンスーパースポーツ』

という事。

ハンス・ムート

ハンス・ムートさんはドイツ人、デザインはイタリアで設計開発は日本人・・・カタナは本当に化学反応のような形で生まれたバイクでした。

ちなみに鈴木修社長(現 会長)はこれを見て

「本当にこんなの売るのか」

と驚かれたそうですが、責任者だった横内さんは自信があったので説得。

GSX1100Sプロトタイプ

そしてこれが狙い通り大反響だった。

この出来事以降、鈴木社長はバイクのデザイン会議には足を踏み入れない様になったんだとか。

『権利は与えられるものではなく勝ち取るもの』

という考えの社長に初めて認められた(任せられた)出来事として横内さんは今も強く覚えているそうです。

系譜図
GSX1100E 1979年
GSX1100E
GSX1100SX 1981年
GSX1100S
KATANA Prototype
(SX)
GSX1100SZ

1982年
GSX1100S
KATANA
(SZ)

GSX1100SD

1983年
GSX1100S
KATANA
(SD/SE)

GSX1100SAE

1987年
GSX1100S
KATANA
(SAE/SBE)

GSX1100SL_SM 1990年
GSX1100S
KATANA/Anniversary
(SM/SL/SSL)
GSX1100SR

1994年
GSX1100S
KATANA
(SR)

GSX1100SY

2000年
GSX1100S
KATANA
FINAL EDITINON
(SY)

katana

2019年
GSX1000S
KATANA
(GT79B)

GSX-R1100(GV73A/K)-since1989-

GSX-R1100K

初のフルモデルチェンジでライバルに対抗するため排気量を1127ccにまでスケールアップされたGV73AのK型。

前後ホイールが17インチになった他、フレームも見直され馬力が143馬力まで向上。時速300kmが現実味を帯びてきたのもこの頃から。

GSX-R1100
(GV73A/L)
-since1990-

GSX-R1100

翌年のL型ではR750と同様に倒立サスとリザーバータンク別体式リアサスという贅沢な足回りに。

ちなみにこのモデルからメーターが普通になりました。普通になったがどういう事かといえば先代までのメーターを見ればわかる話。

GSX-R1100meter

タコメーターに3000rpm以下が無い。つまり3000rpm以下で走ってもタコメーターはピクリとも動かない。これはもともと80年代の2stレプリカであるガンマでやってたレーサー演出の一環。でもやり過ぎと思ったのか不評と思ったのか止めました。

GSX-Rメーター

ただ最近のSSでまたそういう演出が流行りだしてる。さすがに3000rpmが無いって事は無いけど。

1990GSX-R1100

あとこの年からリアタイヤのサイズが160から180と現代の主流となる主流のサイズにまでワイド化されました。

主要諸元
全長/幅/高 2050/755/1150mm
[2080/755/1150mm]
シート高 810mm
車軸距離 1440mm
[1465mm]
車体重量 210kg(乾)
[215kg(乾) ]
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1127cc
最高出力 138ps/9500rpm
[143ps/9500rpm]
最高トルク 11.4kg-m/7250rpm
[11.9kg-m/7250rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後160/60ZR17
[前130/60ZR17
後180/55ZR17]
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR9B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量5.1L
交換時4.0L
フィルター交換時4.2L
スプロケ 前15|後48
チェーン サイズ532|リンク118
車体価格 ※[]内は90年モデル
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R1100(GU74A)-since1986-

GSX-R1100G

「世界最速のロードスポーツ」

スズキの初代モンスターことGSX-R1100のGU74A型。

当時大型のスーパースポーツは

「流行らないし、危ない」

と、どのメーカーも作らなかった中でスズキだけがスーパースポーツといえるGSX-R750を出したんだから、それはそれは大変な騒ぎになった。

案の定これが大ヒットしたんだけどその一年後、R750の熱が冷めやまぬ内に登場したのがこのGSX-R1100。誰もがGSX-R750が本命と思っていたから誰もが度肝を抜かれた。

ナナハンスーパースポーツですら未開拓だった時代でリッターオーバーのスーパースポーツを出してきたんだから当然な話で、真打はR750じゃなくてR1100だったと話題沸騰でてんやわんや。

初代GSX-R1100

1052cc/130psで最高速度265km/h(当時トップ)というスペックを見てもモンスターバイクであることが分かりますね。

ただどちらかと言うとR1100はホイールベースが少し長くポジションも少しだけ起きている事からスーパースポーツというよりもメガスポーツに近い存在。

そして当時は空冷から水冷への過渡期。そんな中でスズキだけ油冷を次世代の冷却方式と推し進めていた時代。

初代GSX-R1100ディメンション

優れているのは”水冷”か”油冷”と大いに盛り上がりました。

この恐らく一番冷却フィンのピッチが狭いエンジンはコレだと思います。本当に細かくて写真では潰れてしまっていますね。

カウルで隠れているのが少々勿体無いですが。

ちなみに合わせて紹介で申し訳ないのですが、GSX-R1100は毎年のように年次改良が入っていて年度によって多少の違いがあります。

GSX-R1100
(GU74A/H)
-since1987-

GSX-R1100H

翌年の1987年のH型ではフレームとサスペンションが見直され、フロントフェンダーがR750と同じものへ変更。

GSX-R1100
(GU74A/J)
-since1988-

GSX-R1100J

更に1988年のJ型ではオイルクーラーの容量強化やホイールがよりスポーティな三本スポークが主な変更点。

リアタイヤが150/70から主流になりつつあった160/60に。ちなみに前後18インチなのはこのモデルまで。

主要諸元
全長/幅/高 2115/745/1215mm
シート高 810mm
車軸距離 1460mm
車体重量 197kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1052cc
最高出力 130ps/9500rpm
最高トルク 10.5kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/80R18
後140/70R18
[前110/80R18
後150/70R18]
{前110/80R18
後160/60R18}
バッテリー YB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR9B
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.7L
交換時3.4L
フィルター交換時3.7L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ532|リンク114
車体価格 ※[]内は87年モデル
※{}内は88年モデル
系譜図
GSX-R1100G1986年
GSX-R1100(GU74A)
GSX-R1100K1989年
GSX-R1100(GV73A前期)
GSX-R1100M/N1991年
GSX-R1100(GV73A後期)
GSX-R1100P/R1993年
GSX-R1100W(GU75A)
99GSX1300R 1999年
GSX1300R
(GW71A)
081300R2008年
HAYABUSA1300(GX72A前期)
2013HAYBUSA1300R2013年
HAYABUSA(GX72A後期)
2014HAYBUSA1300R2014年
隼 (GX72B)
2014HAYBUSA1300R2021年
HAYABUSA(EJ11A)

GSX-R750(J/K/RK)-since 1988-

88R750

「偉大なるディティールの集合体である。」

1988年にフルモデルチェンジされ二代目となったGSX-R750のJ/K型。

カウルデザインが新しくなったのは見て分かる通りで、他にも

・エンジンがショートストローク化

・ホイールベースの大幅な短縮

・前後17インチ化

・新型フレーム

などなど改良は多岐にわたっています。

1988GSX-R750カタログ写真

中でも一番凄いのはフレーム。

新しくなったわけですが、ただ新しくなったわけではありません。

初期型のフレームをベースに更に軽量化しようと試行錯誤を繰り返してる内にある名案が生まれました。

それは

「もういっそレーサー(TT-F1)のフレームを使う方が早いし確実」

というもの。

1989GSX-R750

元々ワークスマシン担当だったメンバーの提案。

それが結論となり、更には企画が通るっていう・・・つまりこのR750は多少の変更は加えつつもレーサー直系なんです。

そして翌年に出たのが一目置かれるR750の中でも更に一目置かれるGSX-R750R(通称RKまたはSP)というモデル。

GSX-R750RK

パッと見はあまり変わらないように見えますが中身はほぼ別物と言えるレース前提のホモロゲマシン。

Φ40スリングショットキャブに4to1マフラー、フレームやスイングアーム補強などなど。

でも一番凄いのはエンジン。

88年モデルがビッグボアショートストローク化(70*48.7から73*44.7)されたのはレース側から要望に応える為だったんだけど、いざレースが始まるとオーバヒートによるトルク低下を招いてしまった。

GSX-R750R

そのため新たにレースの為に70*48.7という初代と同じボアストローク比の新造エンジンをわざわざ造った。

当然ながら先代のエンジンそのままではなく、ピストン・コンロッド・クランクなど全てが専用品かつ選別品。

とってもゴージャスなGSX-R750というわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2055/730/1100mm
{2070/730/1110mm}
シート高 830mm
[785mm]
車軸距離 1405mm
{1400mm}
車体重量 195kg(乾)
{187kg(乾)}
燃料消費率
燃料容量 21.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 747cc
最高出力 77ps/9500rpm
[112ps/11000rpm]
最高トルク 6.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58H)
後160/60-17(69H)
{前130/60-17(58H)
後170/60-17(69H)}
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
JR9C
{CR9EK}
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量5.8L
交換時4.5L
フィルター交換時4.8L
スプロケ 前15|後45
チェーン サイズ530|リンク108
<サイズ530|リンク106>
車体価格 849,000円(税別)
{1,650,000円(税別)}
※[]内はEU仕様
※{}内はGSX-R750R
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX-R750(F/G/H)-since 1985-

初代R750

「Born to the Circuit, Back to the Circuit」

今も続くGSX-R750の始祖であり、大型スーパースポーツの始まりでもあり、油冷エンジンの始まりでもある初代GSX-R750。

それまではレーサーくらいしか使っていなかったアルミフレームをRG250Γ、GSX-R(400)に次いで採用したトップエンドモデルとして登場。

1986GSX-R750

先に出ていたガンマやGSX-R(400)と違い、GSX-R750は欧州をメインターゲットにした海外向け。

だから恐らく日本よりも向こうの人達の方が忘れられないモデルです。

何が衝撃的って乾燥重量で179kgしかなかった事。

現代ですら軽いと思えるわけですが、当時の750というのは乾燥重量で220kgオーバーが当たり前な時代。

当時のポスター

そんな時代にライバルより40kgも軽いバイクが出たらそりゃ話題になりますよね。

これはいま言ったアルミダブルクレードルフレームが最も大きく寄与しています。

カタログ2

しかし、もう一つ掘って紹介したいのが最初に挙げた油冷エンジンです。

GSX-R750が軽くてスリムだったのはこの油冷エンジンだったのも大きい。

実はGSX-R750のプロジェクトが始まった当初の方向は水冷でした。

しかし水冷にする場合、冷却水の通路(ウォータージャケット)が必要になるのでエンジンが大きく重くなってしまう。

そこで何かいい方法は無いかと考えていた企画責任者の横内さんの耳に入ってきたのがマスタングP-51という戦闘機。

P-51

「”液冷”の戦闘機」

という紹介をされていた。

液冷というのは要するに水冷なんですが、英語で書くと『Liquid cooling』なので液冷でも間違いじゃない。

それを聞いた横内さんが

「液であればいいのであって水である必要は無いんだ」

と閃き、なにか液となるものはないかとエンジンを眺めて目に止まったのがエンジンオイルだった。

オイルの比熱は水の1/10しか無いので普通ならば力不足。

しかしオイルだけにすればウォータージャケットを設ける事が難しい隅々まで行き渡らせる事もできる。

油冷エンジン

更にウォータージャケットが要らないので軽くコンパクトにできる。比熱の小ささは吹き付けて混ぜればいい。

そう考え油冷エンジンの開発が進んだわけです・・・が、なにせ初めて試み。

加えて従来モデルより20%も軽いバイクという目標があったので、既存のGSX750のエンジンをベースにボルト一本に至るまで贅肉と削ぎ落とす事からスタート。

最初は何処に問題が出るのかハッキリさせるためにも

「壊れるまで削る」

というコンセプトを掲げ、チーム総出で削る事に。

そうして完成した油冷一号機を全開100時間の耐久試験に掛けたところ・・・なんと壊れなかった。

SACS

エンジン担当だった桐生さんが

「すいません・・・壊れませんでした。」

と申し訳なさそうに報告してきたんだとか。

GSX-R750フレーム

計算では壊れるハズだったのに何故壊れなかったのか横内さんが調べた所、答えはJIS規格にありました。

鋼材強度を示すJIS規格値は最低値であって、鋼材メーカーがスズキに納入していたものはマージンを取ってそれよりも高い数値だったんです。

これが分かった事で正確な数値を元にした軽量化が大きく捗り、乾燥重量179kgという驚異的な軽さに繋がったというわけ。

初代GSX-R750R

「耐久性は大丈夫なのか」

と思われる方が居るかも知れませんが全く問題なし。

何故そう言い切れるのかと言うと、このGSX-R750はデビューと同時にル・マン24時間耐久レースで優勝したからです。

GSX-R750Rル・マン

ヨシムラとのタッグによるワンツーフィニッシュ。

向こうの人の方が忘れられないというのはこれもあったから。

日本ではあまりメジャーではない耐久レースですが、向こうの人にとってはただのレースではなく祭典みたいなもの。

だからデビュー&デビュートゥウィンでW衝撃なんです。

これはそんなル・マン優勝を記念して発売されたGSX-R750R。

GSX-R750R

市販車初の乾式クラッチ、シングルシート、タンク別体式リアショックなど豪華装備モデルであり、初の100万円超え国産車(税別105万円)でもあります。

“速いけど重い”というナナハンの常識を覆したGSX-R750。

『軽い・速い・壊れない』

と三拍子揃っていたためレース界では

「GSX-R750じゃないと勝てない」

という状況までに。

GSX-R750HB

そして世界中のレース場で活躍した事から、前代未聞だったアルミフレームの製造が追い付かない事態にまで陥りました。

その反響を誰よりも喜んだのはHY戦争で大赤字だったスズキ二輪の再興を任された企画責任者の横内さん・・・。GSX-R750の成功について上から呼び出され褒められると思って行ったら

1985gsx-r750カタログ写真

「なんでこんな凝ったものを造ったんだ」

と怒られたんだそう。

これが今も世界中に根強い人気があるGSX-R750の始まりになります。

主要諸元
全長/幅/高 2110/745/1205mm
{2120/745/1215mm※86年以降モデル}
シート高 765mm
車軸距離 1430mm
{1455mm}
車体重量 179kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 19.0L
エンジン 油冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 77ps/9500rpm
[107ps/10500rpm]
最高トルク 6.4kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-18(58H)
後140/70-18(66H)
<後150/70-18※87年モデル>
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR9EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量5.0L
交換時3.6L
フィルター交換時3.8L
スプロケ 前14|後42
チェーン サイズ530|リンク110
車体価格 780,000円(税別)
※[]内はEU仕様
系譜図
85 1985年
GSX-R750
(F/G/H)
88 1988年
GSX-R750
(J/K/RK)
90 1990年
GSX-R750
(L/M)
92 1992年
GSX-R750
(WN/WP/SPR)
96 1996年
GSX-R750
(T/V)
98 1998年
GSX-R750
(W)
00 2000年
GSX-R750
(Y)
04 2004年
GSX-R750
(K4/K5)
06 2006年
GSX-R750
(K6/K7)
08 2008年
GSX-R750
(K8/K9/L0)
11 2011年
GSX-R750
(L1~)

GSX250E KATANA(GJ51B)-since 1982-

GSX250Eカタナ

元祖250カタナことGSX250E KATANA

スズキのカタナといえば誰もがあの形を思い浮かべるけど実は250で最初に出たカタナはこのモデルです。

有名なあのカタナの250版GSX250S KATANAは10年後の91年発売。

「全然カタナっぽくない」

と思う人が大半でしょう。

それは恐らく最初に出たKATANAでありGS650Gの印象が無いから。

GS650G

本当にこのバイクをカタナとして売っていた事を信じられない人もいると思うので当時のGS650Gのカタログ表紙も載せてみます。

GS650Gカタナ

ちゃんとカタナって書いてあるでしょ。

もう恐らく殆どの人が忘れて話に出る事も無いでしょうが。

KATANA250E

とまあそんなこんなでカタナになったGSX250Eだけど、跨って上からタンクを見るとノッペリしてる様から「ザリ」から進化して「ゴキ」という愛称で親しまれました。

ゴキっていうのはみなさんご存知Gです。

ユーザーに愛称を付けられるって名誉な事だけど、こんな愛称だと素直に喜んで良いものか考えものですね。

GSX250Eビキニカウルモデル

翌年にはビキニカウルを付けたモデルも登場しました。

でもこのゴツい見た目や走行性能の良さに加え安かった事が災いしてか、暴走族にも人気が出てしまった。

スズキがこのモデルを最後に後継を出さなかったのはそういう経緯から生まれた三ない運動によるものが大きかったのかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2100/755/1115mm
シート高 755mm
車軸距離 1410mm
車体重量 157kg(乾)
燃料消費率 45.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 29ps/10000rpm
最高トルク 2.2kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.60S18-4PR
後4.10S18-4PR
バッテリー FB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D8EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.5L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク110
車体価格 359,000円(税別)
系譜図
GSX250E1980年
GSX250E(GJ51B)
GSX250T/L1981年
GSX250L/T(GJ51A)
GSX250Eカタナ1982年
GSX250E KATANA(GJ51B)
INAZUMA2502012年
GSR250(GJ55D)
GSR250s2014年
GSR250/S/F(GJ55D)
GSX250R2017年
GSX250R(DN11A)