MT-09TRACER(2SC) -since 2015-

MT-09TRACER

「Sport Multi Tool Bike」

一年遅れで登場した派生モデルのMT-09TRACER/2SC型。

MT-09と比較して

・燃料タンクの容量アップ(14L→18L)

・アドベンチャー向けに調整された出力特性

・専用セッティングされた前後サスペンション

・調節機能付きワイドハンドル

・レイヤードカウル

・LEDヘッドライト

・高さ調整機能付きのスクリーン&シート

・シガーソケット電源

・専用デジタルメーター

・ABS標準装備

・二段階トラクションコントロール(ON/OFF)

などなど装備から見て分かるよう利便性を上げアドベンチャーにしたモデル。

MT-09トレーサーの変更点

実はこのTRACERはMT-09の後ではなく同時開発されていたモデルだったりします。

そうやって共有することでコストを抑える自動車ではお馴染みのオートモーティブプラットフォームというやつで、MT-09が80万円を切る破格の値段で販売できたのはこのおかげ・・・なんですが、同時にTRACERが出るまでは

「MT-09に付いてる謎のステーやボルト穴は何だ」

という鋭い質問が多く寄せられて誤魔化すのが大変だったとか何とか。

トレーサーコンセプト

そんなTRACERは当初の予定ではFJR1300の様に電子制御サスやスクリーンそして防風性の高いカウルを付けてハイクラスなアドベンチャーモデルにするという計画でした。

しかしどうやってもMT-09の色が消えないことから

「ならばMT-09のパンチ力を活かそう」

となりカウルもスクリーンも最小限、パニアケースのステーも剥き出しで軽快さを優先したライトウェイトスポーツアドベンチャーになった。

ハンドルガード

もちろん最初にあげた変更点をハンドルやサスペンションや出力特性といった変更、それにパッと見では変わっているように見えないホイールなどもわざわざ再設計することで落ち着きを持たせるなどアドベンチャーらしくする変更も加えられている。

少し面白いのがハンドルカバーでアッパーカウルからの繋がりを利用することで整流効果を大きくしているものなんだとか。

フェイス

顔に至ってはLEDヘッドライトでさらにパンチが効いたものに強烈になりました。

こっちも別の意味でパンチが効いてる。

MT-09TRACER白バイ仕様

MT-09TRPというモデルで欧州向け白バイ仕様。残念ながら日本には入れていないみたいですが、日本の白バイ隊員たちも日本の道路事情を考えたらFJRよりコッチが嬉しいんじゃないかと思ったり。

話が逸れたので戻します・・・。

MT-09TRACER

要するにMT-09TRACERはMT-09のアドベンチャー版というよりも

『MT-09のフルオプションモデル』

と言った方がしっくり来るようなモデルじゃないかと。オンロードメインなアドベンチャーなのに装備重量210kgしかないですしね。

トレーサー

ただMT-09と決定的に違うのはCモードが活きる事。

本来Cはビギナーのために用意されたモードなんですがMT-09TRACERの場合、トコトコと景色を楽しみながらのんびり巡航モードになる。これはクルージングが出来るTRACERの特権かと。

主要諸元
全長/幅/高 2160/950/1345mm
シート高 845mm
車軸距離 1440mm
車体重量 210kg(装)
燃料消費率 19.3m/L
※WMTCモード値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC三気筒
総排気量 846cc
最高出力 110ps/9000rpm
最高トルク 9.0kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR9EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|リア45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 970,000円(税別)

年次改良

2017年
アシスト&スリッパークラッチ
トラコンに強弱機能が追加(切/弱/強)

系譜図
MT-09 2014年
MT-09/A
(1RC/2DR)
mt-09トレーサー 2015年
MT-09TRACER
(2SC)
XSR900 2016年
XSR900
(B09)
2017MT-09 2017年
MT-09/SP
(BS2/B6C)
TRACER900 2018年
TRACER/GT
(B5C/B1J)
2021mt-09 2021年
MT-09/SP
(B7N/BAM)
TRACER9GT 2021年
TRACER9GT
(BAP)

MT-09/A(1RC/2DR) -since 2014-

ヤマハMT-09

「Synchronized Performance Bike」

2014年にヤマハの新時代ロードスポーツとして登場したMT-09/1RCとMT-09ABS/2DR~B87型。

特徴は何と言ってもCP3(CrossPlane3cylinder)の名を持つ完全新設計の並列三気筒エンジン。1976年に出したGX750以来ですね。

実際にGX750の開発者からもアドバイスを頂いたりして開発されたとの話なんですが、当時モーターショーでエンジンだけ先に発表されるなどヤマハの肝煎り感がありました。

MT-09エンジン

実際このエンジンはお世辞でも何でもなく非常に良く出来た(面白い)エンジンだという声が四方八方から現在進行形で聞かれているんですが理由は最後に話すとして、これに合わせられる車体も特徴的。

MT-09サイド

・アルミダイキャストフレーム

・テーパーハンドル

・立ってて近いステム

・装備重量で181kg

というモタードのような形をしているのが特徴。

実際これはモタードというかヤマハ的にいうとトレール要素を強く意識して取り入れており、その狙いについて開発責任者の山本さん曰く

「ライダーとバイクの動きが一対一になるようにするため」

という話。

MT-09コンセプト

具体的に話すと時速300km近く出る大型バイクが分かりやすいステータスとして当たり前な世の中になった一方で、じゃあそのパワーを発揮出来る環境があるかというと無い。

それでも最初は町中をダラダラ走るだけでも楽しい。自分にとって最高だと思うバイクに乗るという所有感補正があるから。しかし見慣れてきて所有感が薄れると、今度はそのバイク本来の扱い方で楽しさを得ようとする。

しかし時速300km出るバイクの本領を発揮させるなんて一般人には到底出来ない・・・そしてどんどん乗らなくなり車庫の肥やしになる。

という大型バイクあるあるなんですが、こうならない大型バイクを造ろうとして開発されたのがこれ。

「毎日乗って楽しめる大型バイク」

というコンセプトのMT-09なんです。

MT-09の狙い

そしてそのコンセプトを実現させる際にヒントになったのがヤマハ社内の駐輪場。駐輪場を覗くとトレール車で通勤している人が多いことに気づいたわけです。

どうしてトレールが人気なのかといえば

・軽くて細い

・低速からパンチがある

・キビキビなハンドリング

・振り回しやすい

などの要素を兼ね備えているから。

ならばこれを兼ね備えた大型バイクを造れば町中を走るだけでも楽しい毎日乗れるんじゃないか、という発想の元に開発されこの形になった。

ヤマハMT-09

スリムさを優先した為に14Lしか入らない燃料タンクにお世辞にも優しいとはいえないシート。キャスター角が立ってる上にライダーに近い事から節操のないハンドリング。

一見するとネガティブにしか思えないトレール譲りのこれら要素は全てそれを実現するためにあり、またそれに最も合致したエンジンが三気筒という結論に至ったから既存の二気筒や四気筒を流用するのではなくわざわざ造った。

そうして完成したのがMT-09というネイキッドとトレールの異種混合バイクという話。

MT-09

ただ正直こう言ってもMT-09の魅力はまだ伝えられていないかと思います。

「あーはいはい乗りやすい大型バイクね」

くらいにしか思ってない人も居るかと・・・でもMT-09はそれだけじゃないから大ヒットした。

MT-09がヒットした理由にはもちろん80万円を切る車体価格の安さもあった。リーマンショックで不況に陥った事で高額バイクの時代じゃないといめておこうとなった背景があります。

でもそれ以上に評価さたのが説明してきたコンセプトで、MT-09が発売された時にヤマハの開発陣たちが

「いつもの道でご堪能下さい」

と自信満々に言った理由もここ。

わかりやすく言うと

「最高速を捨てた846ccの三気筒を積んでいる」

という事。

MT-09壁紙

気軽に振り回せますよという雰囲気を車体の方で醸し出しつつも、大排気量らしいブンブン回るパンチが効きすぎてるエンジンが載ってる。

つまり語弊を恐れずに言うならば

「大型バイクのスリルが日常で味わえる」

という感じで、これは走行モード切替機能が大いに貢献してる。

・STDモード(標準モード)

・Aモード(元気モード)

・Bモード(穏やかモード)

の3つのモードが付いているんですが、恐らくモード切替が無かったから実現していなかったんじゃないかと思います。なぜならAモードをナメてかかると間違いなく吹っ飛ぶから。

MT-09はエキスパート層までを満足させる狙いがありAモードはそのためにあるものなんですが、本当に凄いというか凄いを通り越して

「よくこれで出したな」

と思うレベルで、モード切替が無かったら間違いなく実現していない。

2016 MT-09

このバイクはそんなAモードを怖いと思うか、それとも”楽しいと思ってしまうか”が全て。

両者を分けるのは・・・頭のネジの本数ですかね。

主要諸元
全長/幅/高 2075/815/1135mm
シート高 815mm
車軸距離 1440mm
車体重量 188kg(装)
[191kg(装)]
燃料消費率 19.4m/L
※WMTCモード値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC三気筒
総排気量 846cc
最高出力 110ps/9000rpm
最高トルク 8.9kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR9EA9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.4L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前16|リア45
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 787,000円(税別)
[833,000円(税別)]

年次改良

2016年:ABSと3段階のトラクションコントロールを標準装備

系譜図
MT-09 2014年
MT-09/A
(1RC/2DR)
mt-09トレーサー 2015年
MT-09TRACER
(2SC)
XSR900 2016年
XSR900
(B09)
2017MT-09 2017年
MT-09/SP
(BS2/B6C)
TRACER900 2018年
TRACER/GT
(B5C/B1J)
2021mt-09 2021年
MT-09/SP
(B7N/BAM)
TRACER9GT 2021年
TRACER9GT
(BAP)

SEROW250(DG31J)-since 2018-

DG31J

「きっと、ずっと、SEROWです。」

排気ガス規制に伴い一度は生産終了になったものの、見事に復活を果たした八代目セローのDG31J。通称型式はB7C1~です。

主な変更点はエアーインジェクション(二次エア)を廃止しO2センサー管理になった事と、蒸気ガソリンの外部放出を防ぐキャニスターを装備した事。

2018年型フューチャマップ

タンク容量が0.3L減り、車重も3kg増えたんですがセッティングの見直しで2馬力も上がり、燃費も+8km/Lの48.4km/Lになっているのでプラマイゼロというよりプラスですね。

外見としてはシートカウルがロングになりテールライトがLED化した程度の変更。

LEDテールライト

これは今はなきXT250Xの・・・もっと辿るとYZF-R6のもの。ちゃんとガードが付いてるのがありがたいですね。

もちろんツーリングセローも合わせて販売。

2018年型ツーリングセロー

ちなみに言い忘れていましたがツーセローの四種の神器(スクリーン、ハンドルガード、アンダーガード、リアキャリア)はワイズギアのOP扱いなので後からツーセローにする事も可能です。

さて・・・新しいセローが発表された際に

テールライト

「リアがXT250Xになっただけだな」

という声が多く聞かれ非常に悲しくなりました。

ちょっとよく聞いてほしいんですが、このDG31J型は本当に凄いんですよ。

何が凄いってABSを装備してないこと。

このセローの発売日は『2018年8月』、ABS義務化の施行日は『2018年10月』です。

つまり、どう考えても重くなるABSを嫌ってモデルチェンジしたとしか思えない。

ABSが義務化される2021年までの3年間しか売れないのに、また設計し直して再度型式認定を取得する必要が生まれるのに、わざわざABS無しでモデルチェンジしてきたわけです。

八代目セロー

空冷のまま通してきた事もそうですが、例え3年だけになろうとも

「軽く細く低い最良のマウンテントレールであり続けよう」

とする粋なモデルチェンジなんですよコレ。

車体価格が少し高くなってしまったのも3年しか売れないから、3年でこの開発費を回収しないといけないから。

もちろんこれは売れないのも大きな理由でしょう。

SEROWは30年以上の歴史を持つロングセラーモデルという事から順風満帆だと”勘違い”している人が多いかと思います。

全年式と全カラー

セローは確かに30年以上売っているロングセラー車ですが、実は過去一度も販売台数一位(250クラス)を取ったことが無いんです。

一番売れたのはセルスターターが付いた1990年型の9505台で、それ以降はオフロード人口の減少も相まって右肩下がり。

一番酷い年は2004年でたった1024台しか売れていない。2017年も全盛期の半分以下の3610台。

TZR250、FZR250、TW200、MAJESTY250、YZF-R25、一時代を築いた同胞たちと違いセローは

「生き残った33年」

というより

「生きながらえた33年」

なんです。

何故セローをヤマハが続けているのかといえば、SEROWがお手本としたDT1を始めヤマハは

オフロードのヤマハ

『オフロードで一世を風靡したメーカー』

という自負があるからでしょう。

そしてセローはそんなオフロードの魅力を誰でも気軽に楽しめるバイクだから造り続けている。

いいですか、セローが30年以上も続いているのは当たり前じゃないんです。

ヤマハセロー250

ガラパゴス空冷トレールという立ち位置である以上、いつ無くなってもおかしくない。

目前に迫っている2021年のABS義務化の影響も避けようがない。もしかしたらこのDG31Jでヤマハの意地が限界を迎える可能性だって十二分にある。

ここで一句。

「いつまでも、あると思うな、山とセロー」

少なくともABSやそれに伴う値上げが不要だと思っているならラストセローであるのは確定です。

もちろんそうじゃなくても山を走ってみたいと思ってるなら次期モデルがどうなるか分からないんだから善は急げですよ。

大丈夫セローなら怖くないです。

きっと、ずっと、SEROWです。

スタンディングハンドルがあるから楽しく転べばいい、セルがあるからエンストして笑えばいい、足つきが良いからペタペタと二輪二足でゆっくり進めばいい。

セローはそうやって生まれ育ったバイクなんですから。

※2019/12追伸

2020年モデルが最後との事

参考文献:別冊 MOTORCYCLIST (モーターサイクリスト) 2010年08月号

主要諸元
全長/幅/高 2100/805/1160mm
シート高 830mm
車軸距離 1360mm
車体重量 133kg(装)
燃料消費率 38.7km/L
※WMTCモード値
燃料容量 9.3L
エンジン 空冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 20ps/7500rpm
最高トルク 2.1kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前2.75-21(45P)
後120/80-18(62P)
バッテリー YTZ7S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DR8EA
推奨オイル ヤマルーブ プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
交換時1.2L
フィルター交換時1.3L
スプロケ 前15|リア48
チェーン サイズ428|リンク128
車体価格 523,000円(税別)
系譜図
XT2001982年
XT200
(23J/47J)
セロー225-1kh/1rf/2ln1985年
XT225SEROW
(1KH/1RF/2LN)
セロー2253RW1~41989年
XT225SEROW
(3RW)
セロー225-3RW5/4JG1~41993年
SEROW225W
(4JG)
セロー225-5MP2000年
SEROW225WE
(5MP)
セロー250-DG112005年
SEROW250
(DG11J)
セロー250-DG172008年
SEROW250
(DG17J)
セロー250-DG312018年
SEROW250
(DG31J)

【関連車種】
CRF250RALLY/L/Mの系譜WR250R/Xの系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

JOG CEH50/D(B3K)-since 2018-

CEH50

「NEW JOG」

九代目にあたるCEH50/B3K型。

ニュースでも大々的に取り上げられたのでご存知の方も多いと思いますが、このモデルからJOGはホンダ生産となりました。

タクトとジョグ

ハッキリ言ってしまえばタクトと共有。CEH50の”H”はホンダのHなんでしょうね。

だから基本的にはタクトと同じでエンジンも新世代のeSPエンジンです。

ESPエンジン

ホンダ一押しのコンビブレーキ(後輪ブレーキで前輪もかかる)や後輪ロックレバー(ブレーキ固定)も付いています。

ただアイデンティティであるフェンダーボディと鋭いヘッドライトはキープし、どう見てもJOGにしか見えないのは凄い。

カタログ写真

グレードは二つに絞られ、豪華版のデラックスはアイドリングストップ機能やステッチシートなどを装備。

デラックスとの違い

一方でノーマルは705mmとシート高を15mm抑えたモデルで先代のプチ的なモデルですね。

しかしながら80年代に正面衝突したホンダとヤマハが、タクトとジョグがまさか手を取り合う事になると誰が予想したでしょう。

当時そんな予言をしたら鼻で笑われるどころか病院に連れて行かれるレベルですよ。

ちなみにこうなった原因は数が出ること前提だったから安く販売できていた原付市場の大幅な縮小にあります。

もともと原付一種(以下:原付)は80年をピークに右肩下がりでした。それはHY戦争による飽和やヘルメットの義務化などもありますが、大きいのは有名な『3ない運動』ですね。

原付需要の低下

原付に乗ってるだけで不良の様な扱いを受けてしまう社会になってしまい2000年には1/4まで縮小。

メーカーも低価格を維持するために中国や台湾など海外生産に切り替えることでコストを抑えていたんですが、更に追い打ちをかける様な市場への冷や水があり限界を迎えた。

50cc市場

2006年からの駐禁取り締まりです。

これによりシティコミューターという地位を完全に剥奪され市場規模は全盛期の1/10にまで縮小。

そして2020年にはさらなる排ガス規制強化というコスト増要因が控えてる。

そんな首が回らない状況になったからホンダとヤマハが業務提携する事になったんです。

タクトとジョグ

これはもう本当に仕方がない。

自分達で造っても高くなるヤマハ、ヤマハの分も造れば更に安くできるホンダ。

両社の思惑が合致する形となったわけですが、これは結局ホンダもヤマハも原付に対する考えが一緒だったから提携が出来た話。

原付提携

「原付はもっとも身近な車」

という考えです。

一日一万円で免許が取れて、月収で買える行動範囲を大きく広げる乗り物なのが原付。

そんな原付を重宝している人、もっと言うと

「原付がないと生活できない人」

というのがどんなに市場が縮小しようと少なからず居る。

そういう人たちの為にも安価で高品質な原付を提供し続けるという『社会的責任』を果たす必要があると両社が考えていたから業務提携できた。

要するに撤退は有り得ないんです。

2018JOG

そしてそんな中でも

「下駄車といえど少しでもカッコイイのが良い」

という声に応えるように誕生し、いまも続いているのがジョグ。

ヤマハジョグ

だからジョグというのはヤマハの社会に対する責任感を示しているバイクでもあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 1675/670/1040mm
シート高 705mm
[720mm]
車軸距離 1115mm
[1125mm]
車体重量 78kg(装)
[79kg(装)]
燃料消費率 58.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 4.5L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 4.5ps/8000rpm
最高トルク 0.42kg-m/6000rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前後80/100-10(46J)
バッテリー GTZ5VS
[GTZ6V]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ レッドバージョンフォースクーター
MB規格10W-30
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.7L
交換時0.65L
スプロケ
Vベルト 2JA-17641-00
車体価格 109,000円(税別)
[129,000円(税別)]
※[]内はジョグDX
系譜図
27V 1983年
CE50E/ES
(27V/48F/1KX/1RN/2EX)

CG50 1987年
CG50E/ED/ES/Z
(2JA/2TA/2TE/3CP)
CY50 1989年
CY50/D/H/HS/Z
(3KJ/3RY)
YG50 1991年
YG50/D/Z/ZS/EX
(3YJ/3YK)
YJ50 1994年
APRIO
YJ50/EX/S/R
(4JP/4LV/5AU)
YV50 1997年
YV50/C/Z/H
(5BM/5EM/5GD)
CV50 2001年
CV50/A/R/ZR
(5KN/5PT/5SU/5SW)
CE50 2007年
CE50/D/P/ZR
(3P3)
CEH50 2018年
CEH50/D
(B3K)

MT-10/SP(B67/BW8) -since 2016-

MT-10

「The king of MT.」

そのコンセプト通りMT-01以降不在となっていたMTシリーズの長男坊として登場したMT-10(B67)とMT-10SP(BW8)。

元がR1なだけあってトラクションコントロールシステムやクイックシフター、スリッパークラッチや出力モード切り替えといった電子制御の成せる装備はそのまま標準装備し、更にはR1になかったクルーズコントロールシステムまで採用。ポジションや足付きも改善されています。

MT-10SP

2017年に追加されたSPモデルはR1Mと同様に電子制御サスペンションやフルカラー液晶などを搭載してるんだけど面白いのがYZF-R1Mと同様に積まれたYRC(ヤマハ・ライド・コントロール)という装備。

「PWR(出力モード)」「TCS(トラコン)」「QSS(クイックシフター)」「ERS(前後サスのセッティング)」を自分なりにセッティング出来る。しかもハンドルスイッチだけでなくスマホ(専用アプリ)でも。

MT-10

スマホ世代を狙い撃ちとは・・・まあSPは200万円しますけどね。YZF-R1Mより100万円も安い事を考えると結構お買い得な気がしないでもないですが。

なんて冗談はさておき

「MT-10はYZF-R1をネイキッドスタイルにしたバイク」

と簡単に片付けてはつまらないので少し掘り下げてみます。

MT-10UK仕様

MT-10のエンジンのベースとなっているYZF-R1のCP4エンジンというのはご存知の通りクロスプレーンの不等間隔燃焼エンジンです。

クロスプレーン直四のメリットは一般的な直四が起こす慣性トルク(トルクの波)と二次振動(微振動)を起こさないこと。

※クロスプレーンについては「クロスプレーン(不等間隔燃焼)だと何が良いのか」をどうぞ

クロスプレーン

当然ながら微振動やトルクの波は無い方が扱いやすいし疲れないから、性能的に言えばクロスプレーンの方が優れていると言えるんだけど・・・官能的かといえば意見が別れるのが現実。

一般的な直四好きが思う直四(フラットプレーン)の魅力は

「アクセルを捻れば何処までも突き抜ける疾走感」

でしょう。

これは回転数に応じて等間隔な点火タイミングから来るモーターのような排気サウンドと微振動が起こるから。よく漫画で跨ってエンジン捻った途端に鳥肌が立ったように描画されたりするアレです。

MT-10ヘッドライト

それがMT-10(クロスプレーン直四)は無い。だからエンジンサウンドに違和感があるとか、気付いたら凄いスピードが出ていたとか言われますね。

何よりも速さが大事なYZF-R1という半レーサーにおいてそんなタイムを縮める事に一切関係のない要素は必要ないのは当然だけど、これがストリートユースまして猛々しさが必要なストリートファイターとなると話が変わってくる。

MT-10欧州壁紙

そこでヤマハは吸排気系を絞ってギア比を落とすという低速寄りチューニングのメジャーな方法だけでなく、MTシリーズ共通のコンセプトである”トルク&アジャイル”を実現するためクランク周りの動力部分の重量(慣性モーメント)も上げました。

「トルク&アジャイル」とか「慣性モーメント」とか言われてもナンノコッチャですよね。ヤマハの開発者の人には申し訳ないけどザックリ言って、一つ一つの動きが重くなるので体感トルク(トルクフィーリング)が増します。実トルクも増しますが。

ちなみにフレームもスピードレンジが変わることから剛性を最適化するため60%も作り変えられたとのこと。何だかんだで結構大掛かりな変更が加わってますね。

MT-10カウルレス

何となく分かると思いますが低回転寄りにするということは即ち高回転を捨てるということになるわけですが、クロスプレーンでソレをした事で面白い変化を生んでいます。

YZF-R1は低回転域では”デロデロ”または”ドコドコ”という二気筒のようなフィーリングな一方で、美味しい回転数である10000rpm以上になると一般的な直四と大差ないフィーリングになる。

ところがMT-10の場合はレッドも11500rpmとR1よりも低速寄りにしているので、結果として美味しい部分がデロデロのまま。怖い顔でデロデロいわせながらグイグイ引っ張って行くわけです。

つまりMT-10というのは悪く言うと

「四気筒らしさがほとんど無いバイク」

MT-10カタログ

と言えるんだけど、反対に良く言うと

「物凄く回る二気筒っぽいバイク」

欧州仕様

と言えるわけです。四気筒は四気筒なんだけど四気筒×1じゃなくて二気筒×2みたいなバイク。

一般的な四気筒が好きな人はこれに乗っても今ひとつピンと来ないかもしれないけど、反対に直四が好きじゃない人はコレに乗ったらビンビン来るかもね。

主要諸元
全長/幅/高 2095/800/1110mm
シート高 825mm
車軸距離 1400mm
車体重量 210kg(装)
[212kg(装)]
燃料消費率 14.0km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 997cc
最高出力 160ps/11500rpm
最高トルク 11.3kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17(58W)
後190/55-17(75W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
LMAR9E-J
推奨オイル ヤマルーブ プレミアムシンセティック
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
スプロケ 前16|リア43
チェーン サイズ525|リンク114
車体価格 1,550,000円(税別)
[1,850,000円(税別)]
※[]内はSPモデル
系譜図
MT-01 2005年
MT-01/S
(5YU)
MT-03 2006年
MT-03
(5YK/29D)
MT-10 2017年
MT-10/SP
(B67/BW8)

シグナスX SR(1YP後期)-since 2015-

七代目シグナス

モデル整理でSRモデルへ一本化されたシグナスX SRの1YP後期モデル。

てっきり次こそフルモデルチェンジだと思ったら先に紹介した2013年モデルの1YP前期と同様にまた外見の変更がメインのマイナーチェンジ・・・と思ったら違った。というか見落としてましたゴメンナサイ。

2015シグナスX SR

実はこれ生産国でもあり、メイン市場でもある台湾では既に行われていたモデルチェンジだったりするわけで、それが日本仕様にも適用されたというわけ。

主な変更はまず外見から言うと特に顔とテールのLEDが変更されてる。

シグナスXテールライト

相変わらずヤマハは近未来感を出すデザインが上手いな。

まあでも今回一番の目玉はやっぱりブレーキかと。

ディスクブレーキ なんとリアまでディスク化されました。125cc以下のスクーターにおいてリアのディスク化ってコスト増な事から、特に日本メーカーにおいては消極的だったんですけど採用して来たってことはこれからは原二も前後ディスクブレーキが当たり前になっていくんですかね。

着眼点の鋭い人は「タイヤMAXXISかよ!」って思うかもしれませんが今どきの海外生産のバイクでは仕方ない話です。

アジアンタイヤが標準なのはもう当たり前になっちゃいましたね・・・そこのコストは削ってほしくない様な。まあシグナスに限った話じゃないですけど。

2015シグナスSR

今回はホイールとスイングアームが見直されてなんと4kgもの軽量化に成功してるとの事です。更に吸排気も見直されてシグナス唯一の欠点だった燃費がカタログ燃費で3.3kmほど伸びました。

しかもお値段あまり変わらず税別285000円也。これは先代というか前期モデルの時に言った狙いと同じかと。

でもまさか二段階テコ入れをしてくるとは思わなかったですね。というか随分とブルーコアエンジンを出し渋りますね。

NMAX日本仕様

なんて言ってたらどうも先のシグナスXで紹介したブルーコアエンジン搭載のNMAXを日本でも売るみたいです。

ちなみにNMAX(ブルーコアエンジン)はインドネシアでシグナスは台湾だからシグナスも同じブルーコアエンジンにってのが簡単に出来ないんだろうね。

でもヤマハさんはどうするんだろう。空冷バージョンのブルーコアエンジンを台湾で作るのかな。

というかシグナスって何かいっつも味方に後ろから撃たれてるイメージが・・・

主要諸元
全長/幅/高 1870/685/1135mm
シート高 785mm
車軸距離 1295mm
車体重量 122kg(装)
燃料消費率 39.1km/L
※WMTCモード値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8500rpm
最高トルク 0.93kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー GT7B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
スタンダードプラス(10W-40)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 2JS-E7641-10
車体価格 270,000円(税別)
※スペックは2015年モデル
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

【関連車種】
PCXの系譜LEADの系譜TRICITYの系譜Addressの系譜

シグナスX/SR(1YP)-since 2013-

六代目シグナス

「URBAN SPORTY × SHOW OFF SPORTY」

何だかんだで初代以来となる10年選手となったシグナスXだったけど遂にモデルチェンジ。

基本的な構造はそのままに造形をLED主体の今風にした感じ。っていうか中身は何一つ変わってない。

エンジンは愚か寸法も変わらずって(まあペタルディスクに変わりましたが)

六代目シグナス

そんな馬鹿な・・・って思ったら安くなってるんですね。先代から三万円安で30万円を切るお値段に。

ちなみに下の写真はインド向けシグナスのシグナスRAY。

シグナスRAY

なんとインドのデザイン賞を取りました。

えぇ何かちょっと・・・正直日本のシグナスの方が・・・

話を戻して個人的な考えを悪乗りしつつ言わせてもらえば

シグナスXといえばネーミングからしてお高く止まってる原二って認識だったから値段を抑えるモデルチェンジしてきたのが意外。てっきり水冷化して性能アップしてくるものだとばかり・・・

というのも皆さんもご記憶に新しいと思いますが、2010年にホンダがPCXという
「超低燃費」「走り良好」「原二らしからぬ造形」「29万9250円」
という出る前から原二王者を約束されたような世界戦略車を出してきました。

PCX

もうアレよアレよという間もなく原二界はPCX一色に。しかもタイからベトナム工場への移転に伴ってモデルチェンジしちゃったから勢いは増すばかり。

ホンダに真正面からぶつかれるのはヤマハしか居ないのは紛れも無い事実なわけで、ヤマハの対PCXを待ってた人は結構いると思うわけですよ。

シグナスの主戦場は台湾で、ホンダは台湾で原付を売ってないからってアグラかいて・・・ってまあそんなわけは無いか。

って思ったらこんなバイクを出してきました。

PCX

「Next Generation Fun to Ride Commuter」

マジェスティSです。155ccの水冷エンジンを積んだ新しい小型スクーターでPCX150を超える売れ行き。

ここで思い出して欲しいのは二代目シグナスの事。二代目シグナスもマジェスティという上位互換が生まれたことでお株を奪われた。その悪夢再びです・・・ヤマハはシグナスを亡き物にしたいんだろうか。

という悪乗りはここまでにして。

真面目な話をすると言い方は悪いですが、このシグナスXのモデルチェンジは思うに延命的なもの。その根拠となっているのはヤマハの次世代小排気量エンジンの完成がすぐそこまで迫っているから。

ブルーコアエンジンという燃費が従来のエンジンに対し50%も向上という嘘みたいなエコエンジン。

ブルーコアエンジン

なんでも原二のエンジニアは勿論のこと、トヨタのエンジンを担当しているエンジニアやマリン部門のエンジニア、果てはMotoGPの担当をしているエンジニアまで、とにかくヤマハ発動機のエンジニアを総動員して作り上げたと言われています

んでこのエンジンなんですけど実は既に導入されているバイクが海外向けに出ています。

ブルーコアエンジン

NMAXというTMAXシリーズの末っ子的な存在のスクーターでPCXと同じく125と150があります。

となると当然ながらPCXと比べられるわけで、実際どうなのかって話ですが

イギリスのカタログ燃費を見る限りPCX125がMPG133.9(56.9km/L)に対しNMAXはMPG129(54.8km/L)で若干PCXが勝っています。

ブルーコアvva

ただPCXが2バルブなのに対しNMAXは4バルブで可変バルブ式なため0.5馬力ほど上。可変バルブなので体感差は数値以上に感じると思います。というか原ニも可変バルブの時代なのか。

これは3つあるブルーコアエンジンの水冷バージョンの話であってシグナスXにもこれと同じものが乗るのかは分かりませんが、少なくともブルーコアエンジンへのモデルチェンジがそう遠くないのは間違いないと思います。

なんかシグナスの話じゃなくてブルーコアエンジンの話になってしまいましたね。

ただし

「じゃあ今シグナスを買うのは時期が悪いのか」

っていうと考え方によってはちょっと違う。

何故なら今のこの装備のシグナスXにブルーコアエンジンを積んだら間違いなく30万円じゃ収まらないから。

ヤマハ シグナスX

設計が2003年と古く、次世代が控えてるという事をヤマハが考慮したからこその品質アップしつつ値下げという一風変わったモデルチェンジでありSRの一本化なわけですね。

いやーよく考えてる。

主要諸元
全長/幅/高 1870/685/1135mm
シート高 785mm
車軸距離 1295mm
車体重量 122kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.1L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 124cc
最高出力 11ps/8500rpm
最高トルク 0.93kg-m/7500rpm
変速機 Vベルト式
タイヤサイズ 前110/70-12(47L)
後120/70-12(51L)
バッテリー YT7B-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR7E
推奨オイル ヤマルーブ
スポーツ(10W-40)
または
スタンダードプラス(10W-40)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
交換時0.9L
スプロケ
Vベルト 5ML-E7641-00
車体価格 270,000円(税別)
※スペックはSR
系譜図
XC1801982年
CYGNUS180
(25G)
XC1251984年
CYGNUS125
(2YM)
XC125D1995年
CYGNUS125
(4KP/4TG/5CY/5NN)
2003XC1252003年
CYGNUS X/SR
(5UA)
2007XC125X2007年
CYGNUS X/SR
(28S)
2013XC125X2013年
CYGNUS X/SR
(1YP)
2015XC125X2015年
CYGNUS X SR
(1YP後期)

FJR1300A/AS(B88/B95) -since 2016-

四代目FJR1300

「ダイナミックツーリング」

五代目にあたるFJR1300。ここまで来といて申し訳ないんだけどFJRは本当はもっと刻んでモデルチェンジ(というかマイナーチェンジ)しています。大体二年ごと。でもソコまで書く気力が無かったので大まかに世代ごとに分けて書いてますゴメンナサイ。

このモデル最大の特徴はなんといってもミッションが5速から6速になった事。これによってミッションガチャガチャと忙しなくシフトチェンジして走るスポーツ走行と回転数を抑えたジェントルな走りが可能になりました。

ミッション

他にも最近のモデルチェンジの定番として定着しつつあるヘッドライトのLED化。

でもただのLEDヘッドライトではありません。ASモデルでは更にFRONT ADAPTIVE CORNERING LIGHTSという物が備わってます。

アダプティブコーナリングライト

これはまあ要するにコーナーの先を照らしてくる補助ライトの事でヘッドライトの上に付いてます。

アダプティブヘッドライト

車では標準装備になりつつある装備ですが、バイクでもコレからは標準装備が増えていくんだろうか。これあったら便利ですよね。

二輪で最初にやったのはBMWのK1600だったかな。アッチはヘッドライトと鏡を傾ける事で実現してるみたい。まだコレっていう方法が確立されてないんでしょうね。バイクはスペースに限りがあるし。

テールライト

テールもLED化されたんですが、ブレーキランプだけじゃなくてウィンカーまでLEDになってますね。昨今はLEDブレーキランプは珍しくないけどLEDウィンカーはまだまだ普及してないからドヤ顔出来ますね。

さてさて、FJR1300は欧州とは対照的に日本ではあまり売れてません。

「車格のツアラー日本向きじゃない」

って思ってる人が多いからだと思います。私自身そう思ってました・・・思ってましたというのはある意見を聞いて考えが少し変わったからです。

実はこのFJR1300に惚れ込んで日常の足としても使ってるバイクジャーナリストの方が居ます。

丸山浩

それは丸山浩さん。バイク雑誌を読んだことがある方なら一度は目にしたことがあると思うので説明不要な気もしますが、モータージャーナリスト&WITH ME代表&プロライダーの方です。

しかもただ持ってるわけじゃありません。初代乗ってて二代目に乗り換えるほどのFJRに惚れ込んでる。

そんな丸山さんがFJRに乗る理由として明らかに新型バイクのインプレを語る時よりウキウキと饒舌に

「大きいミラーに加えて大容量パニアケースで仕事道具全部詰めて出張るのにピッタリ」

と語ってたんです。

スポーツツアラーと聞くと、週末に凄く遠くに旅に出るためのバイクという固着観念を持っていた身としては青天の霹靂といいますか寝耳に水といいますか、とにかく衝撃でした。

今さらFJRのツーリング性能をとやかくいう必要は無いと思いますし、こういうことを言うと本末転倒と突っ込まれそうですが、別にツアラーだからって遠くに行かなくてもいいし、旅をしなきゃいけないわけじゃない。なにも自ら用途を絞る必要はないわけで。

2016FJR1300壁紙

普段なら車で行くような遠出とまでは行かないショッピングや散策に使ったっていいわけですよ。パニアケースがあれば荷物乗るし、連れが居たってこのシートを嫌う人は居ないでしょう。

週末のホームセンター巡りをFJRでしてもいいじゃない。FJRは街乗りしかしない白バイに世界中で採用されるほど懐が広いんだから。

お高いバイクだからってお高く止まる必要はない。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1325~1455mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 289kg(装)
[296kg(装)]
燃料消費率 16.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 147ps/8000rpm
最高トルク 14.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,400,000円(税別)
[1,700,000円(税別)]
※[]内はFJR1300AS(B95)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

【関連車種】
CBR1100XXの系譜HAYABUSAの系譜ZX-14R/GTRの系譜

FJR1300A/AS(1MC/1MD) -since 2013-

三代目FJR1300

「ダイナミックツーリング」

FJRとしては初めての外装デザインが大幅に変わった四代目。

ジャンピングムーブメント

大きく変わりましたね。

デザインテーマはマシンが前に飛び出すように見える“ジャンピングムーブメント”。

ラフデザイン

大きな第一歩を踏み出そうとするライダーの背中を押せるようなデザインとの事。

内部的な事をいうとYCC-S(クラッチレス)のASモデルとAモデルの2モデル展開はそのままにトラクションコントロールやDモード(モード切替)が採用。

更にASモデルには倒立サス(しかも電子制御)にクルーズコントロールシステム、STOP MODEを搭載。更にクラッチ制御がよりナチュラルになるように改良されています。

ハンドル周り

もはや何が何のスイッチだか説明する気も失せる多さですし、バイクでクルーズコントロールなんて恐ろしいような試してみたい様な魅力ですが、このモデルチェンジで間違いなく重宝するのはSTOP MODEでしょう。

ASは先に言った通りシフトチェンジを自分でしなきゃいけないという特性なんですが、止まった時や止まる時に自分でガチャガチャ一速に入れないといけないという少し煩わしい点があります。

このSTOP MODEはそんな煩わしさを解消するために、止まった時は自動で一速に入れてくれるモード。これでガチャガチャともおさらば出来るわけです。

FJR1300壁紙

さて、FJRは先代までの時点で世界販売台数10万台を突破する大ベストセラーで今ではスポーツツアラーの定番と化してるわけですが、欧州との規制統一化によって今までプレスト扱いだった日本でもヤマハ直々に取扱いとなりました。このおかげで前よりも身近になりましたね。

唐突ですが、書くこともないので少し話を脱線。

FJR1300は2001年の初代と早い段階から電動スクリーンを採用しています。今となっては電動スクリーンなんてツアラーじゃ当たり前でソレ自体は珍しくもなんともないわけですが、果たして皆さんは電動スクリーンの恩恵をちゃんと理解しているでしょうか。

ウインドプロテクション

電動で高さを変えられる事で防風性能を気軽に変えられる・・・半分正解です。

電動スクリーンのメリットは確かに高さを手軽に変えられる事。でもそれは闇雲に風を防ぐ為だけにあるわけじゃないんです。それなら最初から背の高いスクリーンをつければ良いだけでしょ?

正しく言うなら電動スクリーンのメリットはウインドプロテクションをコントロール出来る事。

言ってること一緒じゃんと言われそうですが違います。

バイクで走っている時、スクリーンのあるバイクは風を受け流してライダーに当たらない様にしてるわけですが、そうすると一つ問題が出てくる。

CFD

注目して欲しいのはスクリーンの裏側にあたるハンドル付近の青くなってる部分。これは前に進むバイクが風を掻き上げる事でスクリーン裏が負圧になってるわけです。極端に言えば真空状態しかも慢性的な。

すると圧力差から周りの空気が流れ込み、入り乱れたトルネードの様になる。写真のバイクはスクリーンがそれほど大きくないのでアレですが、もしコレが頭まですっぽり隠れる程のスクリーンだったらどうなるでしょう。ライダーはその入り乱れたトルネードのすぐ後ろに身体を置かないといけなくなるわけです。

そうなってしまうと負圧で身体を引っ張られるわ、トルネードの轟音に晒されてしまうわ、疲れないためにあるはずのスクリーンという名の風防が疲れを誘発させる風防に早変わってしまう。

ちなみにトップブリッジにカメラやスマホをマウントして撮影しても轟音で音が全く拾えなかったりするのもこのトルネードのせい。

スクリーン

要するにスクリーンというのは高すぎても駄目なんです。

でも座高の高さなんて千差万別で誰が乗っても完璧なエアロダイナミクスなんて不可能。だから自分にピッタリのエアロダイナミクスを可能にする電動スクリーンはとっても理に適ったありがたい装備であり、今となってはツアラーの必需品になってるわけですね。

・・・バイクトリビアの方に書けばよかったな。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1325~1455mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 289kg(装)
[296kg(装)]
燃料消費率 16.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 147ps/8000rpm
最高トルク 14.1kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,350,000円(税別)
[1,650,000円(税別)]
※[]内はFJR1300AS(B95)
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)

FJR1300A/AS(1CY/1DA) -since 2010-

三代目FJR1300

マイナーチェンジに近いモデルチェンジが入った三代目FJR1300。

各部が見直されているわけですが・・・ここでちょっと目についた物。それはキャリパー。

ニッシンキャリパー

NISSINのキャリパーが付いてる・・・ナンテコッタイ。

ヤマハ通の人ならこの事に違和感を覚えると思いますが、分からない人に説明すると

Nissin(日信工業)はホンダ系列のブレーキメーカーで、ホンダを筆頭にスズキやカワサキに供給していますが、ヤマハはせいぜいマスターシリンダーのみでフロントキャリパーまでニッシンなヤマハバイクはほとんどありません。

何故ならヤマハはアドヴィックス(旧住友でトヨタ系)というブレーキメーカー側の企業だから。MOSキャリパーやヤマンボ(OEMブレンボ)がいい例ですね。

アドヴィックス

そんなヤマハがどうして(FJRは昔からだけど)NISSINキャリパーを使ってるんだろうと思い調べてみるとFJR1300のABSブレーキは前後連動式。つまりニッシンの前後連動ABSシステムを採用しているという事ですね。(先代も)

もしかしたらアドヴィックスのABSが遅かった事と関係しているかもしれません。というかニッシンが凄いのか。

ニッシン

ニッシンは二輪におけるブレーキ関係でハード面もソフト面も担える世界で唯一のメーカーですからね。世界シェア1位ですし。

ハンドリングを大事にするヤマハは前後連動を一番嫌ってるメーカーだから余計に意外だけど、まあ車重が車重なので安全性を取ったんでしょう。

主要諸元
全長/幅/高 2230/750/1450mm
シート高 805~825mm
車軸距離 1545mm
車体重量 291kg(装)
燃料消費率
燃料容量 25L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1297cc
最高出力 143.5ps/8000rpm
最高トルク 13.7kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58WW)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
または
U24ESR-N
推奨オイル ヤマルーブ
プレミアム/スポーツ/スタンダードプラス
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.8L
フィルター交換時4.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,430,000円(税別)
※プレスト価格
系譜図
1984FJR11001984年
FJ1100
(36Y)
1991FJR12001986年
FJ1200/A
(4CC)
20012001年
FJR1300 /A
(5JW/5VS)
20062006年
FJR1300A/AS
(3P6/2D2)
20102010年
FJR1300A/AS
(1CY/1DA)
2014as2013年
FJR1300A/AS
(1MC/1MD)
20162016年
FJR1300A/AS
(B88/B95)