DIO110(JF31)-since 2011-

JF31

「ニュー スタイリッシュ コミューター」

原付二種になった新世代のDIO110/JF31型。

・空冷107ccエンジン
・前後14インチホイール
・コンビブレーキ
・メンテナンスフリーのFI
・18Lのメットインとフロントインナーラック

などを標準的な装備。

JF31メットイン

排気量が上がったことからも分かる通りディオは生産拠点を中国に移しグローバルモデルになったわけですが、ネタバレするとこのモデルはタイで造っていたSCOOPY110iというモデルがベース。

くまモンスクーピー

上の写真は現行モデルなんですが、くまモンってアジアでも人気なんですね。でも熊本工場で製造されてるからくまモンなんじゃなかっ・・・

ちなみにDIOは中国製ですが先代の新大洲本田ではなく五羊本田という別の合併会社。新大洲がほぼ輸出なのに対して五羊本田は中国国内向け。

ラフスケッチ

そもそもなんでグローバルモデルになったのかというと廉価なコミューターが世界から求められたからです。

だからハッキリ言いますがDIO110/JF31は快適装備が付いていませんし、お高い125ccと遜色ない走りをするとは言い切れない部分もある。

今どきメットインの鍵がメインキーシリンダーに付いておらずシート下にある鍵穴で開ける必要があったりするし、パワーもそれなりでトルクの谷があるしシガーソケットなんかも付いてない。

でもその分だけ安くて20万円を切る破格の値段でした。

JF31壁紙

そんなDIO110なんですがこれが出た時、そして今もそうですが

「典型的なアジア向けスクーターだな」

って思った人も多いかと。

確かに本来ならばそうなんですが、DIO110の場合そうとも言い切れない部分があります。というのもDIO110が開発される事になった理由はアジアだけじゃないからです。

確かにカブ一辺倒だった東南アジアや中国で生まれ始めていたAT需要の受け皿という狙いもありました。しかし一方で日欧でも不況で廉価な物を求めるようになった事に応える狙いもあった。

だから

「日本で20万円切るとともに欧州初の2000ユーロ切りコミューター ※Honda DESIGN」

という目標の元に開発された背景があるんです。

ディオ110の値段

そしてグローバル展開というスケールメリットのおかげで見事に20万円切り。かつてホンダの原付二種でこれほど安いバイクがあっただろうかと思えるコストパフォーマンスになった。

そこにもう一つ付け加えたいのが

「DIO110は欧州を重視していたのでは」

ということ。

これは2000ユーロを切るという目標もそうなんですが、デザインで見ても欧州で爆発的な人気を誇ったSHモードという石畳を物ともせず走れる大径ホイールのスクーターに通ずる部分があるから。

BIZスタイル

加えて言えるのがDIO110は国によって名前が違って

中国『Breeze』

欧州&ベトナム『VISION』

インドネシア&タイ『Spacy』

とバラバラなんですがアジアでこのデザインが受け入れられなかったのか実はもう売ってない国が多い。向こうはベトナムくらいでホンダの110といえばスクーピーという状態。対して欧州ではまだ現役。

JF31カタログ

つまりDIO110は確かにアジアも睨んでいたんだけど、どちらかというと欧州寄りなコミューターなんですね。

主要諸元
全長/幅/高 1845/670/1090mm
シート高 755mm
車軸距離 1255mm
車体重量 103kg(装)
燃料消費率 52.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 5.5L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 107cc
最高出力 8.4ps/8250rpm
最高トルク 0.89kg-m/6500rpm
変速機 無段階変速機(Vマチック)
タイヤサイズ 前80/90-14(40P)
後90/90-14(46P)
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR8EA-9
または
U24EPR9
推奨オイル Honda純正ウルトラE1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
交換時0.7L
Vベルト 23100-KZL-931
車体価格 190,000円(税別)
系譜図
DJ-11985年
DJ-1/R/L/RR
(AF12/AF19)
AF181988年
DIO/SR
(AF18/AF25)
Gダッシュ1989年
G’
(AF23)
AF271990年
DIO/SR/ZX
(AF27/28)
AF341994年
DIO/SR/ZX/J/S
(AF34/AF35)
AF562001年
DIO/Z4/DX
(AF56/AF57/AF63)
AF622003年
DIO
(AF62/AF68)
JF312011年
DIO110
(JF31)
JF582015年
DIO
(JF58)

スーパーカブ50/110(AA09/JA44) -since 2017-

AA09

再び熊本工場での生産&丸目という原点回帰したスーパーカブ/プロのAA09/AA07とスーパーカブ110/PROのJA44/JA42。

累計生産台数一億台達成が大きく話題になりました。

2017スーパーカブ50

若干リトルカブの面影があるファッショナブルな見た目になっていますね。

ちなみに125で最も多様性があるとして人気だった派生のクロスカブも少し遅れてJA45へモデルチェンジ。

2018クロスカブ110

そして更にこの代から50cc版となるクロスカブ50(AA06)も登場しました。

クロスカブ50

110との違いはPROと同じ小回りに優れる14インチホイールを履いています。なんか凄くオシャレな郵政カブみたい。

ちなみにC125という派生と言うよりメモリアル的なモデルも出る予定。

C125

これは系譜を見てもらえると分かる通り、スーパーカブの125版というより初代スーパーカブC100のリボーン的なモデルでしょう。

キャストホイールとディスクブレーキが斬新ですが。

まあこれは出たら改めて書くとして話を戻すと、この代のスーパーカブは見た目だけでなくエンジンも大きく変わっています。

いわゆるフリクションロスという抵抗を減らしてパワーと燃費を稼ぐ改良が加わっているんですが、中でも特徴的なのがスパイニースリーブというやつ。

燃焼室を形成している筒であるスリーブは熱膨張しにくい鉄で出来ているのに対し、エンジンの外枠を担っているブロックは熱膨張しやすいアルミで出来ている。

つまり熱膨張性が違うので熱くなってくると円に歪みが生まれ燃焼に悪影響がある。

スパイニースリーブ

その歪みを抑えるために内側の鉄にアンカーを仕込んでアルミ側に食い込ませる事で、アルミが膨らみ始めると内側の鉄も引っ張られて膨らみ円の形が崩れないというわけ。

これに合わせてモリブデンコートスカートや窒化ピストンリングなどピストンやピストンリングも最先端の物になっています。

まあこういう小難しい話は前置きで、大事なのは今まで実質オイルフィルターレスだったのがスクーターと同じ交換式オイルフィルターになったこと。

オイルフィルター

オイル内にあるゴミをキャッチして綺麗にするフィルターがカブとしては初めて付きました。

結局なにが言いたいのかというと、いま説明してきたフリクションロス軽減の為のエンジン一新によってコンディションが少しだけどシビアになったという事。

一番影響を受けるクランクの軸受は変わっていないようなので本当にほんの少しだけど、性能が良くなった分だけ乗りっぱなしは駄目よという話です。

JA44

良い方に捉えると、ちゃんと交換していれば今まで以上に持つ様になったとも言えるんだけどね。

スーパーカブというとカブ伝説が有名だと思います。

「サラダ油でも走る」

とか

「水没しても走る」

とか聞いたことあるかと。

発端はディスカバリーチャンネルだと思いますが、サラダ油でも走るのは別にカブに限った話じゃないです。

例えばレース用のオイルは植物油でサラダ油に毛が生えた程度の物を使ったりしている。ただ市販車でそれをすると潤滑不足で最初は良くてもしばらくすると焼き付く。

水没も同じで、万が一エンジンに水が入った状態からエンジンを掛けるとウォーターハンマー現象で(コンロッドが曲がって)廃車の恐れがあります。

だからあんまり鵜呑みにしないようにね・・・無粋な話ですが。

2017スーパーカブ110

ただし

「スーパーカブはとっても頑丈」

というイメージが定着しているのは本当に頑丈だったからなのも事実。

これはホンダがプライドを持って作っているからです。

最後に少し前までホンダの二輪事業責任者だった梨本さんの小話を。

自動車が好調だったある日、本田宗一郎の一番弟子で最初期からエンジニアとしてホンダを支えた二代目社長の河島さんに

2017スーパーカブ110

「バイクにおけるホンダらしさって何だ?そこらへんをしっかり決めておけよ。」

と言われた事があると仰っていました。

そして梨本さんは色々と考えた結果

「信頼性の高いモノづくりこそホンダらしさ」

という結論に至り、それをこう言い表しました。

C100

「ホンダらしさとはスーパーカブだ」

主要諸元
全長/幅/高 1860/695/1040mm
シート高 735mm
車軸距離 1210mm
[1205mm]
車体重量 95kg(装)
[98kg(装) ]
燃料消費率 69.4km/L
[67.0km/L]
※WMTCモード値
燃料容量 4.3L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
[109cc]
最高出力 3.7ps/7500rpm
[8.0ps/7500rpm]
最高トルク 0.39kg-m/5500rpm
[0.87kg-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式四速リターン
※停止中のみロータリー
タイヤサイズ 前60/100-17(33P)
後60/100-17(33P)
[前70/90-17(38P)
後80/90-17(44P)]
バッテリー GTZ4V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
スプロケ 前13|後46
[前14|後35]
チェーン サイズ420|リンク106
[サイズ420|リンク100]
車体価格 232,200円
[275,400円]
※[]内は110
系譜図
カブ号F型1952年
Cub F号
初代C1001958年~
SuperCub
C100
1964年式1966年~
SuperCub
C50/65/70/90
1971年式~1971年~
SuperCub
C50/70/90
1980年式~1980年~
SuperCub
50/70/90
2000年式1997年~
SuperCub
50/90
2008年式2008年~
SuperCub
(AA01/JA07)
2012年式50/1102012年~
SuperCub
(AA04/JA10)
2017年式50/1102017年~
SuperCub
(AA09/JA44)

スーパーカブ50/110(AA04/JA10) -since 2012-

スーパーカブ110

それまでのタイから部品を取り寄せて熊本で作っていた流れから、中国での一括生産になった50のAA04型と110のJA10型。

どうして中国製になったのかというとこれにはワケがあります。

というのもスーパーカブというのは国内外問わずコピー商品に悩まされ続けた歴史でもある。

国内では2014年にスーパーカブの形が特許として認められた事で解決しましたが、それが通用しない巨大マーケット中国でのコピーカブ対策はモグラ叩き状態だった。

そこでホンダ取った行動が実に独創的な方法。

それはコピーカブを作って売っていた中でも最大手だった会社との合同会社を設立するというもの。

「コピーを差し止めるのではなく、コピーを本家にしてしまう」

という発想の転換。

新大洲本田

それで誕生したのが

「新大洲本田摩托有限公司」

という主に組立と輸出を行う合同会社です。

コピーを抑えられる上に、低コストな部品供給まで獲得できるホンダ。公式のお墨付きを貰ったコピー会社。

正にWin-Win。

それで誕生したのがこのスーパーカブなんですが、このデラックスの角目とも違う顔には賛否両論・・・というか否定的な声が多かったですね。

JA10顔

カブといえばライト、ウィンカー、フェンダー全てが丸というのが日本人のカブに対するイメージを持っている人が大半かと。

確かにどちらかというとタイカブ系のデザイン。

2012スーパーカブ

一体どうして丸目を止めたのかというと”スーパーカブ”というモデルがグローバルモデルになったからです。

丸目だった先代カブから本格的なグローバルモデルとしてアジアでも売り出したけど総スカン状態だった。

思わぬ躓きに現地でアンケートと取ってみると理由は単純明快。

「代わり映えしない」

という理由から。

アジアでカブが(というかバイクが)根付き出したのは80年代頃。要するに日本ほどまだ歴史を築いていない事が理由。

でもこれは良い意味で捉えると、アジアにとってカブというのは今も当たり前にある日常の下駄であり、日本のようにファッション性が強くなってきた乗り物ではないという事でもある。

インドネシア

「新しさがないなら高いホンダ製じゃなくコピーカブでいい」

この結果にホンダもかなり悩んだそうです。

しかし最終的にアジアの要望を優先しました。まあ日本とは比べ物にならないほどに売れるビッグマーケットを優先するのは当然といえば当然な話。

というか言ってしまうと日本ではもうみんなスクーターばっかりでスーパーカブ買ってくれないし。

でもだからと言ってもう日本のスーパーカブじゃなくなったというとそれは違います。

ちゃんとスーパーカブである根拠はあります。

C100に始まり数々の変更が行われて50年以上経ったけどこの代になっても変わっていない所がある・・・それは荷台の高さ。

荷台

初代のC100が695mmだったんですが、これは歴代どの型も695mmになっています。

これは机の高さと同じで、日本人が屈まずに物を置ける高さ。この高さを1mmでも変えると積み下ろしに違和感や支障が出るためだそう。

しかしこのスーパーカブはそれまでのカブとはフレーム自体が変わったので本当は695mmじゃない。

でもこの695mmというのはスーパーカブのポリシー。

そこでこのスーパーカブは日本仕様だけわざわざ専用のシートフレームに変えて695mmを確保している。売れない日本のためだけにわざわざですよ。

どれだけ日本のためのスーパーカブなんだって話。

そしてこの代でまた別の新たな派生モデルが誕生しました。

クロスカブ(JA10)

クロスカブ

ポップな見た目が特徴的なモデルですが、単にデザインを変更しただけでなくワイドアップハンドルに大径ドラムブレーキ、専用17インチホイールで最低地上高も20mmアップ。

正に文字通りクロスオーバー仕様でハンターカブともリトルカブともプロとも違う全く新しいカブ。

ちなみにリトルカブの方ですが・・・

AA01

一度は生産終了となったのですが、国産カブの系譜を途絶えさせてはいけないと熊本工場での再販化。

国産ということでセル付きモデルで23万円と110と変わらない値段になってしまいましたが、それでも造り続けたのは国産カブの系譜を途絶えさせてはいけないという意地からでしょうね。

熊本製作所

最後に・・・

このカブを担当された今田さんがインタビューでこう仰っていました。

「エンジニアというのは『自分のアイデンティティを出したい、他人のものは使いたくない、変えたい』と思っちゃうんですよね。なのに今まで変えられなかった。スーパーカブを作った開発者の人たちは凄かったと思います。」

と。

更に同じような事をホンダの六代目社長でありNS500などを作った豪腕エンジニアでもあった福井社長も退任会見で言われていました。

C100

「心残りがあるとすればスーパーカブを超えるスーパーカブを造れなかった事。まあ、これは永遠のテーマかもしれません。」

”新しいスーパーカブ”って本当に難しいんでしょうね。

主要諸元
全長/幅/高 1915/700/1050mm
シート高 735mm
車軸距離 1175mm
[1210mm]
車体重量 95kg(装)
[98kg(装) ]
燃料消費率 110km/L
[63.5km/L]
※定地走行テスト値
燃料容量 4.3L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
[109cc]
最高出力 3.7ps/7500rpm
[8.0ps/7500rpm]
最高トルク 0.39kg-m/5500rpm
[0.87kg-m/5500rpm]
変速機 常時噛合式四速リターン
※停止中のみロータリー
タイヤサイズ 前60/100-17(33P)
後60/100-17(33P)
[前70/90-17(38P)
後80/90-17(44P)]
バッテリー YTX4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR6EA-9S
または
U20EPR9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.0L
交換時0.8L
スプロケ 前13|後46
[前14|後35]
チェーン サイズ420|リンク106
[サイズ420|リンク100]
車体価格 187,950円
[249,900円]
※[]内は110
系譜図
カブ号F型1952年
Cub F号
初代C1001958年~
SuperCub
C100
1964年式1966年~
SuperCub
C50/65/70/90
1971年式~1971年~
SuperCub
C50/70/90
1980年式~1980年~
SuperCub
50/70/90
2000年式1997年~
SuperCub
50/90
2008年式2008年~
SuperCub
(AA01/JA07)
2012年式50/1102012年~
SuperCub
(AA04/JA10)
2017年式50/1102017年~
SuperCub
(AA09/JA44)

CRF1100L Africa Twin(SD10) -since 2019-

CRF1100L

「FORGED THROUGH ADVENTURE」

2019年に登場したCRF1100LのSD10型。

最初に変更点を上げると

・防風性能を上げた新型フェアリング
・エンジンを見直し1082ccにしつつ-2.5kg(DCT:-2.2kg)軽量化
・出力特性およびDCTの見直し
・排気デバイスを搭載した新開発マフラー
・クロスパイプを廃止した新設計フレーム
・リアサスペンションレイアウトを変更
・ハンドルポジションを22.5mmアップ
・6軸IMUによる電子制御
・Apple CarPlay対応6.5インチTFTメーター

以下はASモデル
・手動5段階可変スクリーン
・コーナリングライト
・電子制御サスERRA※OP

などなど排気量を上げただけかと思いきや実はほぼ全面的に変わってるフルモデルチェンジになっています。

いくつかピックアップするとまずエンジン。

CRF1100Lのエンジン

ストロークを6.4mm伸ばす事で1083ccとしているんですが、単純に伸ばしただけではなくピストンを20%軽量化することで往復部の耐久性も先代と変わらず確保。

さらにバランサギアのノイズ(遊び)対策として一歯少ないギアをスプリングで重ね、相手を挟み付けるように噛み合わせることで解消していたサブギア機構も交差(精度)を上げることで廃止。

CRF1100Lサブギア

これにより排気量を上げたにも関わらずエンジン単体で-2.5kg(DCT:-2.2kg)の軽量化に成功。

合わせてマフラーもEURO6に対応しつつ小型化し、音の変化を楽しめるCBR1000RR譲りの排気デバイスも装備。

CRF1100Lマフラー

お次はフレームなんですがコッチもすごい。

メインパイプの幅を20mm狭めると同時にクロスパイプを廃止というこれまた大胆な変更を敢行しました。

CRF1100Lフレーム

これは軽量化と同時にフレームに靭やかさをもたせ、マシンの挙動を穏やかにすると同時に安定した旋回特性にするため。

「アドベンチャーでこれって強度とか大丈夫なの」

と不安に思ってしまうところですが、代わりにヘッドパイプ周りとピボット周りそれにエンジンハンガーを見直すことで同等の強度を確保。

CRF1100Lリアフレーム

合わせてリアアームとスイングアームも鋳造と鍛造を連結させたものにしボディ全体で2.3kgの軽量化を実現しています。

ただ恐らく一番分かりやすく感じるであろう変更点は足付きじゃないかと思います。

というのもこの代の日本仕様はサスのストローク量を40mmほど減らす事で足付きを改善した先代でいうLD(Low Down)モデルが標準になりました。

CRF1100L

これは日本国内では環境の関係も相まってASのLD(Low Down)モデルが人気というかほぼそっちばかり売れた事が理由。

だからモデル数を絞ることによるコスト削減でLDのみになったんですが、砂漠の女王レプリカ(詳しくはNXR750参照)というバックボーンも相まって足長モデルを欲する要望がユーザーから出た事で欧州と同じ標準サス仕様のSモデルも限定受注ながら販売。

CRF1100LタイプS

まあSモデルは相当な物好きかスキルを持った玄人向けモデルなので除いたとしてもCRF1100Lは

【ノーマルモデル】
・CRF1100L
・CRF1100L DCT(DUAL Clutch Transmission)

【AdventureSportsモデル】
・CRF1100L AS(Adventure Sports)
・CRF1100L AS DCT
・CRF1100L AS ES(Electric Suspension)
・CRF1100L AS ES DCT

と6パターンもあって

「色々あってよく分からん」

と感じている方も多いかと思います。しかし今回の開発の狙いを知ればそれが明確になると思うので少しご紹介。

CRF1100Lへのモデルチェンジンの狙いがなんだったのかというと大きく分けて三つあり、一つはパワーを上げること。

CRF1100Lパワーカーブ

これは既存のCRF1000Lに対するアンケートを取った所

「もう少しパワーが欲しい」

という声が多く聞かれたから。だから排気量を上げる事になったんですが重くなることを何としても避けたいという事で最初に話したようストロークを上げるだけではなくほぼ全面的に作り直されることになった。

そしてもう一つがよく分からんっていう人へのヒントになる開発の狙い。

CRF1100LとAS

「ノーマルモデルとアドベンチャースポーツの区別化」

です。

先代でASが追加されたもののビッグタンクか否か程度の違いでコンセプトが立っていないという事からCRF1100Lではそれをより鮮明に出そうとなった。

AdventureSportsにのみ

・コーナリングヘッドライト
・可変式スクリーン
・チューブレスタイヤ
・SHOWAの電子制御サスペンションEERA

などが用意されているのは

アドベンチャースポーツのコンセプト

「どこまでも行けるアフリカツイン」

というツアラーというかトラベルエンデューロ色を明確化に分かりやすく打ち出す狙いがあり、反対に無印の方はリアキャリアなどの装備を極力省くことで装備重量の軽さを優先することで

ノーマルモデルのコンセプト

「どこでも行けるアフリカツイン」

というビッグオフ色を明確に打ち出す形にした。

CRF1100Lポジションマップ

つまりどっちが上位でどっちが下位とかではなく方向性が違う別のモデルであり、あとは好みに合わせてMT/AT(DCT)を選んでねっていう話。

先代の開発の狙いも含めたうえでチャートを作ればもう少し分かりやすいかなと思ったんです・・・が、思ったほど分かりやすくなかった。

CRF1100Lのグレード選び

まあ参考程度に。ちなみに上下対応のクイックシフターやDCT用シフトペダルがOPで用意されています。

ところでアフリカツインは2016年に登場し2018年にASモデルが追加・・・と思ったら2019年にフルモデルチェンジ。

「モデルチェンジ早くないか」

と感じている方も多いかと思います。

CRF1100Lの年表

こうやって並べてみるとなんと毎年何かしらのモデルチェンジをしている。

これ何故かというと森田プロジェクトリーダー曰く

「アフリカツインを今度こそ本気で育てる」

という思いがあるから。

CRF1100Lの壁紙

系譜を見てもらえるとわかる通りアフリカツイン(XRV)は知名度のわりに一度生産を終了しています。累計7.3万台以上を売るほどの人気だったんですが、もともと限定販売が前提だったためか2001年に生産終了。

それ以降ずっと再販の声があったにも関わらず応えられずにいたことをホンダも相当心苦しく思っていたようで、今度こそアフリカツインというブランドを途切れさせずまた育て上げるという意思の現れがこのモデルチェンジラッシュなわけですね。

ホンダCRF1100L

もちろん意気込みだけでなんとかなるほど甘い世界ではないんですが、幸いにもアフリカツイン日本はもちろんビッグアドベンチャーの本場欧州でも向こうでも

「本当に道を選ばずオフロードもしっかり走れる」

としてかなり評判が良く、難攻不落の絶対王者GSが君臨するドイツですら地元誌MOTORRAD(Beliebteste Honda-Modelle im vergangen Jahrzehnt)によると登場から4年ほどで既に1万台も売れ

「ここ10年で最も成功したホンダ車」

と称されたりしています。これはもしかすると・・・もしかするかも知れない。

参照:CRF1100L AfricaTwin|HONDA

主要諸元
  CRF1100L CRF1100L
Adventure Sports
全長/幅/高 2310/960/1350
S:2330/960/1395
2310/960/1520~1580
S:2330/960/1560~1620
シート高 810~830mm
S:850~870mm
車軸距離 1505mm
S:1575mm
車体重量 226kg(装)
S:226kg(装)
DCT+10kg
ES+2kg
238kg(装)
S:240kg(装)
DCT+10kg
ES+2kg
燃料消費率※WMTCモード値 21.3km/L
燃料容量 18.0L 24.0L
エンジン 水冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 1082cc
最高出力 102ps/7500rpm
最高トルク 10.7kg-m/6250rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90R21(54H)
後150/70R18(70H)
前90/90R21-54H
後150/70R18-70H
(チューブ)
バッテリー HY110
プラグ SILMAR8A9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.8L
交換時3.9L
フィルター交換時4.0L
DCT:全容量5.2L
交換時4.2L(フィルター交換時)
交換時4.2L(クラッチ交換時)]
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク124
車体価格 1,470,000円(税別)
DCT+100,000円(税別)
1,640,000円(税別)
DCT+100,000円(税別)
ES+300,000円(税別)
系譜図
XL5001979年
XL500S/R
(PD01)
XL600Rファラオ1985年
XL600R PHARAOH
(PD03)
XLV750R1983年
XLV750R
(RD01)
RS750D1983年
RS750D/NS750
NXR7501986年
NXR750
トランザルプ1987年
TRANSALP
(PD06)
(RD10/11/13/15)
XRV600アフリカツイン1988年
Africa Twin
(RD03/04/07)
バラデロ1999年
VARADERO
(SD01/02)
CRF1000L2016年

CRF1000L
Africa Twin
(SD04)

CRF1000L2019年

CRF1100L
Africa Twin
(SD10)

【関連車種】
SUPER TÉNÉRÉの系譜V-STROM1000の系譜VERSYS1000の系譜R1200GSの系譜

CRF1000L Africa Twin(SD04) -since 2016-

SD04

「True Adventure」

実に15年ぶりの復活となったアフリカツインのCRF1000L/SD04型。

CRF1000Lのエンジン

最大の特徴は52°Vツイン742ccから270°クランク並列二気筒998ccのエンジンになっていること。

これは車体のコンパクト化とマスの集中化を図る狙いがあり、これのおかげでリッターとは思えないほどコンパクトになっています。

CRF1000LとXRV750

もちろん最低地上高を考慮したドライサンプな上に、二軸一次バランサーが付いているので疲労に直結する振動はほぼありません。

そんなCRF1000Lで面白い試みなのがDCTを採用したグレードがあること。

DCT

「アドベンチャーでDCTって・・・」

と思った方も多いかと思います。

悪路になるとどうやっても滑るから意図的に引っ張って地面を掻いたり、半クラやギアチェンを使うシーンも多々あるわけですからね。

これについてはホンダも最初はお試し程度の半信半疑でテストしたんですが、やってみると意外と良い事がわかったから採用する事になりました。

2016アフリカツイン

クラッチレスは良く捉えるとエンジンストールの恐れが無いわけです。

つまりどんなに神経を使う道でもアクセルワークに集中出来る。このメリットが想像よりも大きかった。

ベースとなっているのはVFR-Xの物ですが、もちろんそのままではなくオン/オフどちらも熟せるアフリカツインに合わせてチューニングされた物です。

ABSスイッチ

それに加えアフリカツインは”G(グラベル)モード”というシステムがあります。

DCTは実質ATなので、ギアチェンやアクセルのON/OFF時にはギクシャクしないように半クラ制御が入ります。

この半クラ制御がアクセルで物言わせて走る場合が多い未舗装路では違和感として現れる場合がある。

といってもコンマ何秒の世界なんですが、このGモードはそのコンマ何秒の半クラ状態を更に縮める為の制御。よりアクセルワークをダイレクトに地面に伝える為のモードというわけ。

アフリカツインのカタログ写真

もちろんギアチェンを自動にしないMTモード、引っ張るSモードLv1~3、自動のDモードなど自分でチョイス出来るようにもなっています。

それに走行モードとABSのON/OFFとTCSのモードを組み合わせると・・・

Dモード

全部で80通りの走行モードが・・・ホンダのDCTアドベンチャーへの本気度が見て取れますね。

もちろん従来どおりのMTモデルもあります。

開発責任者の飯塚さんのニュアンスから察するにDCTモデルは本気アタックするような人に向けた機能ではなく、気軽に楽しめるようにした初~中級者向けの機能。

「そんなの要らない」

って上級者の方はMTモデルをどうぞという話。

シルバーアフリカツイン

さて、そもそも何故いまになってアフリカツインが復活したのかというと

・アフリカツインの再販を望む声が多かった

・欧州を中心にアドベンチャーブームが再燃した

・ホンダがダカールラリーに再参戦した

などなど様々な理由がありますが、恐らく一番大きいのはマーケットからの要望と思います。

ちなみに現在はパリダカではなくダカールラリー。

これは治安や政治的な問題で舞台が南米になったから。ちなみにレギュレーションは二気筒450ccまでとなってます。

話を戻すと、アフリカツインはアドベンチャーの中でもかなりオフロード寄りな造り。

フレーム

分かりやすい所で言えばクラストップの21インチFホイールや、クラストップの45mmフロントフォークなど。

明らかにオマケではなく”本気で”オフを走れる様に造ってある。

CRF1000Lスケッチ

メディア向けの試乗会でもわざわざモトクロスコースを用意して走らせてる事を見ても明らか。

その意気込みというか思い切りの良さが伝わったのか、このCRF1000Lは発売一週間で年間販売目標の1000台を超えてしまうほどの人気となりました。

MTとDCTの割合は半々で購入層は40~50代がメインとのこと。

新型タイヤ

やっぱりNXRや旧アフリカツインの世代に人気なんでしょうね。

翌2017年に排ガス規制に対応させ約3馬力アップし、2018年にはマイナーチェンジ。

2018年CRF1000L

・電子制御スロットル
・オートウィンカーキャンセラー
・急ブレーキを後続に知らせるエマージェンシーブレーキランプ
・HSTC(電子制御)の設定幅向上
・リチウムイオンイオンバッテリー
・グリップヒーターとACC電源の標準装備
・上下対応クイックシフター※OP

などのマイナーチェンジが実施され、それと同時に

・大型ワイドスクリーン
・24Lのシームレスビッグタンク
・ステンレス専用キャリア
・フロントガード
・フロントユーティリティポケット
・ストローク量を増やした専用サス

が備えられたCRF1000L AS(Adventure Sports)というグレードが追加。

CRF1000Lアドベンチャースポーツ

専用サスペンションの関係でただでさえ常人には厳しい足つきだったのに、更にシート高が60mm上がるというガチンコ仕様なんですが流石にそこら辺はホンダも考慮しており、ASモデルにはサスストロークを縮めてシート高を60mmつまりノーマルと同じシート高にしたLD(Low Down)モデルが用意されました。

こちらが非常に人気だったみたいですね。

最後に・・・

アフリカツインは非常に高い評価と人気を獲得しています。

2016アフリカツイン

その理由は

『NXR~アフリカツインというブランド』

『ダカールラリーからのフィードバック』

といった事もあるでしょうが、一番の理由は車体設計を担当された山倉(写真中央)さんにあると思います。

開発メンバー

山倉さんは子供の頃にパリダカを見てラリーに目覚め、そして砂漠の女王NXRの快進撃に感動し、旧アフリカツインを購入し、ホンダに入社することを決意された方。

そして希望通りホンダに入社してからも

「アフリカツインの設計がしたい。現代技術のアフリカツイン造りたい。」

と、ずーっと言い続けていた。

もうアフリカツインを造るためだけにホンダに入社した様な方で、念願のアフリカツイン復活プロジェクトがスタートした瞬間からヤル気が炎に。

コンセプトスケッチ

自身が担当する事となった車体設計はもちろん、エンジンも妥協したくないとHRCでMotoGPにも携わっていたスペシャリストの飯田さんを呼び寄せ、デザイナーの小松さんにはアフリカツインらしさを力説。

そしてオフに明るくないメンバーと意思疎通するために、自己所有の旧アフリカツインを持ち出し社内のエンデューロ大会に出場。

エンデューロ大会

その活動を始めたおかげでメンバー全員がアフリカツインがどういうバイクなのか、アフリカツインの魅力が何なのか、エンデューロが如何に楽しいかを共有することが出来た。

それどころか山倉さんの熱にやられてアフリカツインを自費で購入するメンバーが6人も出る始末。

誰よりもアフリカツインに思い入れがある山倉さん、そしてその思いを共有したメンバーによって開発されたCRF1000L Africa Twin。

2016アフリカツイン広告

アフリカツイン愛溢れる人達が造ったら、そりゃ良いアフリカツインが出来るわって話。

※2019年:ETC2.0を標準装備化

主要諸元
全長/幅/高 2335/930/1475mm
{2330/930/1475mm}
シート高 870~850mm
車軸距離 1505mm
車体重量 232kg(装)
[242kg]
{230/240kg(装)}
燃料消費率 21.6km/L
{21.1km/L}
※WMTCモード値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 998cc
最高出力 92ps/7500rpm
{95ps/7500rpm}
最高トルク 9.7kg-m/6000rpm
{10.1kg-m/6000rpm}
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前90/90R21(54H)
後150/70R18(70H)
バッテリー YTZ14S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SILMAR8A9S
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.9L
交換時3.9L
フィルター交換時4.1L
[全容量5.2L
交換時4.2L(フィルター交換時)
交換時4.2L(クラッチ交換時)]
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ525|リンク124
車体価格 1,250,000円(税別)
[1,350,000円(税別)]
※[]内はDCTモデル
※{}内は2019年モデル
※ASは+10kg
系譜図
XL5001979年
XL500S/R
(PD01)
XL600Rファラオ1985年
XL600R PHARAOH
(PD03)
XLV750R1983年
XLV750R
(RD01)
RS750D1983年
RS750D/NS750
NXR7501986年
NXR750
トランザルプ1987年
TRANSALP
(PD06)
(RD10/11/13/15)
XRV600アフリカツイン1988年
Africa Twin
(RD03/04/07)
バラデロ1999年
VARADERO
(SD01/02)
CRF1000L2016年

CRF1000L
Africa Twin
(SD04)

CRF1000L2019年

CRF1100L
Africa Twin
(SD10)

CRF250L/M/RALLY(MD44) -since 2017-

2017CRF250L

ユーロ4規制(排ガス規制)に伴いエンジンに改良が入りMD44となりました。

少し驚きなのは単純に触媒盛ってガスを薄くして対応しただけではなくスロットルボディとエキパイの大径化で抜けを良くして1kw(1.36馬力)アップしたこと。

2017CRF250

しかもただ抜けを良くしただけでなく流石ホンダというか自分たちで作ってるだけあって、その分エアクリーナーとスロットルボディを繋いでるコネクティングチューブを長くして吸気圧を確保。

馬力のピーク回転数をキープするだけでなく、最大トルクを0.1上げつつピーク回転数は250rpm下げるっていう流体力学分かってます感を見せつけてます。

CRF250LとCRF450R

見た目もモトクロッサーのCRF450Rに更に近づきました。メーターも改良されてタコが付いたみたいですね。

ちなみにABSはアフリカツインと同じようにコンビではなく前後独立式でリアは切れる2チャンネルになってるとの事。

まあしかし一番の話題はやっぱり追加されたRALLYモデルでしょう。

CRF250RALLY

CRF250Lをベースにラリーレイド感(CRF450RALLYレプリカ感)を出したツーリングモデル。CRF250Lと何が違うのか挙げていきましょう。

まず何と言ってもタンク量が増えたこと。ただでさえ燃費良いのに更にタンク容量を2.4L増やし総容量10.1Lとした事で航続距離が300km超え。リアシート脇には小物入れまで付いてます。

CRF250RALLYタンク

そしてツーリングにありがたいカウルやハンドルガードやスクリーンなんだけど、アンダーカウルが付いたことで最低地上高が更に下がったかと思いきやキャスター角(フロントフォーク角度)を1°立てることでハイリフト化。最低地上高は+15mmで270mmとなりました。まあそれに伴ってシート高もアンダーカウルの取り分である5mmを足して20mm上がってるですが。

このハイリフト化をCRF250Lでしなかったのはシート高895mmに気が引ける人が多いと読んだからでしょうね。同じシート高のWR250Rも短足泣かせとして有名ですし・・・ただRALLYもLと同じようにローダウン仕様もあります。しかも-65mmとCRF250Lの-45mmより下げ幅が大きい。

CRF250RALLYシート高

でもオフ車全般に言える事けどシート細いし軽いからいうほど気にしなくてもいいと思うんですけどね。

オフ車の傷は勲章と言われるわけですし。立ちゴケ傷も立派な勲章ですよ。凄く他人事ですけど。

その他の目立った装備差としては、ビッグタンクやカウルといった装備が加えられCRF250L比で+12kgとなった事からディスクローターも一回り大きい物に変更されてます。

CRF250RALLYヘッドライト

いやしかしBAJAに負けずとも劣らないインパクト大な顔ですね。

この異型二眼LEDヘッドライトは大きい方がLOWでHIGHは両目点灯なんですが、これはホンダのラリー競技車であるCRF450RALLY(CRF450Xベースのファクトリーマシン)のモチーフだったヘッドライトから来てます。ちょっと並べてみましょうか。

CRF250RALLYヘッドライト

兄であるCRF1000LアフリカツインもCRF450RALLYの市販という立ち位置だったんですが、CRF250RALLYは異型ヘッドライトからカウルまで寄せてきていて瓜二つ。

アフリカツインもそうですがホンダは2013年から再びダカールラリーに挑戦している事もあってか結構オフに強く振ってますよね。

CRF250RALLY広告

CRF250Lに+15万円で65万円との事ですが、先に出た大型で手の出しにくいアフリカツインですら発売一ヶ月で年間目標の1000台を達成したらしいので、コンセプトの頃から反響が大きく維持費も易く手の出しやすいCRF250RALLYなら尚のこと売れるでしょう。

CRF250RALLY壁紙

多目的に使えるマルチパーパスまたはデュアルパーパスの人気が国内でも広がりを見せつつあるような・・・無いような。

主要諸元
全長/幅/高 2195/815/1195mm
[2125/815/1150mm]
{2210/900/1425mm}
シート高 875mm
[855mm]
{895mm}
車軸距離 1445mm
車体重量 143kg(装)
[145kg(装)]
{155kg(装)}
燃料消費率 44.3km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.8L
{10L}
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 24ps/8500rpm
最高トルク 2.3kg-m/6750rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)
[前110/70-17(54S)
後130/70-17(62S)]
{前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)}
バッテリー YTZ8V
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SIMR8A9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.4L
フィルター交換時1.5L
スプロケ 前14|後40
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 497,880円(税別)
[538,920円(税別)]
{648,000円(税別)}
※[]内はCRF250M
※{}内はCRF250RALLY
※ABS仕様は+3kg
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

【関連車種】
WR250R/Xの系譜SEROW250の系譜KLX250/D-TRACER Xの系譜

CRF250L/M(MD38) -since 2012-

CRF250L

「On(日常)を便利に、Off(週末)を楽しむ “ちょうどいい相棒 New On & Off Gear ! ” 」

ホンダの250オフだったXR250が2007年モデルで生産終了となってから4年が経とうとしていた頃、外からは

「XR250の後継はどうなっているんだ」

との声が日増しに大きくなっただけでなく、社内からも

「このままだとホンダのオフロードの未来はない」

と言われるまでに。

CRF250Lデザイン

そんな声に危機感を抱いたホンダが作ったのが実に5年ぶりのオフロード車となる水冷250オフロード車のCRF250Lです。

XRからレーサーと同じCRFになったのはアジアなど海外へのブランド力をアピールするため。CBRとかと同じですね。

重い腰を上げて作ったCRF250Lの主要コンセプトを挙げてみると

・オンロードもオフロードも扱いやすく、楽しい走りを実現するエンジン特性
・ランニングコストを抑えられる燃費性能
・市街地からオフロードまで気軽に扱える、取り回し性に優れた車体サイズとディメンション
・オンロードとオフロード走行の楽しさを両立する本格的な足回り
・トップエンドモデルを凌駕する存在感ある最新のモトクロッサースタイリング

CRF250

XR250の後継ということでフルサイズ&シート高875mm。さすがに腰が引けちゃう人が多いとホンダも思ったのか最初から45mmもシート高を下げるローダウンキットも発売されました。

CRF250Lエンジン

このモデルからタイで作られていてエンジンはCBR250Rにも使われているローラーロッカーアームで超低燃費な水冷249cc単気筒。でも流用ってわけじゃなくて共同使用前提開発のエンジン。CBR250Rの方が先に出たからそっちが先行しちゃうけどCBR250チームとCRF250チームで話し合って作ったエンジンだそう。

もちろんそのままじゃなくて吸気ポートをストレート構造にして吸気慣性力を強める事で低速寄りにしてる。

設計案の一つとしてメインフレームのアルミ化も検討したようなんだけど費用対効果が悪いと見送りに。その代わり完全新設計のツインチューブフレームを造りスイングアームをアルミ化。

CRF骨格

そしてサスペンションもフロント倒立サスでしかも前後SHOWA製っていう贅沢さ。

ココまで奢ったのは主に市街地での使い勝手を考慮したからで、舗装路でのコーナーリングに寄与しているそう。要するに剛性を上げるのが狙いですね。CRF250はよく剛性が褒められるけどそれはこういった所から。

贅沢なSHOWAの倒立サスなんだけど、手の届きやすい価格にする事も大事なコンセプトだったハズなのに何でまたこんな費用対効果が大きいとは言い切れない倒立サスを採用したのかというと面白いエピソードがあります。

CRFデザイン

CRFのデザイナーの松岡さんが

「オフロードバイクといえば何?」

という社内アンケートを実施した所

「オフロードバイクといえば倒立サスでしょ!」

という答えが一番多かったんだそう。その声があったからCRF250Lはコストを抑えながらも倒立サスペンションを採用することになった。

ホンダって倒立嫌うイメージがあったんだけど意外だね。悪くない正立だったXR250が後期で倒立になったのも同じ理由なのかもしれない。

モタードバージョンのCRF250Mは翌年2013年に登場。

CRF250M

前後17インチホイールを履いた事でシート高は20mm低い855mmになり、ディスクローターは一回り大きい296mmを装備して制動性アップ。フロントフォークはブラックアルマイト加工までされています。

ホンダっていつもモタードは数年遅れですよね。初期需要の分散が狙いなんだろうか。

ただまあいくらモタードが認知されたジャンルとはいえマイナーなのは否めないようで、ホンダの販売計画を見るに割合的には【L:7|M:3】とオフのLの方が需要があるみたい。

CRF250L/M

エントリーユーザーの事を考えてオフとしては珍しくフューエルメーターまで装備されてます。警告灯でもまあ不自由は無いんだけどあったほうが安心出来るのは間違いない。

そして何と言っても449,400円(税込)とかなりの安さだった・・・安いといえば開発責任者の塚本さんも言ってたんですが、みなさんもし同じエンジンを使ったオンロード車とオフロード車があったどっちが車体価格高いと思いますか。

オンロードの方が高くてオフロードの方が安いという漠然としたイメージを持たれてる方が大多数ではないでしょうか。CRF250Lも正にその消費者心理から価格を抑える事が重要視されたようです。

だからCRF250L/Mはアルミスイングアームに倒立SHOWAサスなのに兄弟車CBR250Rより安い。これ実はかなりのバーゲンセール価格ではないかと。

CRF250Lタイホンダ

恐らく耳にした事があると思いますが、批判的な意見としてよく言われているようにCRF250Lはオフ車にしては少し重い車重や最低地上高の低さからジャンプやスタックを起こすモトクロスのようなコースや、岩だらけなガレ場などをアタックできる走破性は持っていません。腕次第ではありますがあくまでも多目的に使えるデュアルパーパスです。

じゃあどういう人たちがターゲットなのかというと、初代NSX開発メンバーの一人で試作バイクには必ず自らが乗って確かめ、稀にCB1100で出勤していた根っからのバイク馬鹿・・・じゃなくてバイク好きで有名な七代目ホンダ社長の伊藤さんみたいな人。

CRF250M

この人はカブに始まりSL250S→XL250→バハとCRF250の系譜というかホンダ250オフに乗り継いでる大のシングルオフ車好き。

そんなバイク歴に対しインタビューで

「何故オフ車にばっかり乗っているのか?」

と聞かれてこう答えていました。

ホンダCRF

「実際はほとんどオンしか走らない。でも行きたいと思えば道を選ばず行けるのを選んでしまう。」

CRF250の狙いはこういう人達です。

実際CRF250L/Mの販売台数を見るに思い当たる節のある人は多かったようですね・・・このバイクが作られたのって社長の差し金ではなかろうか。

主要諸元
全長/幅/高 2195/815/1195mm
[2125/815/1150mm]
シート高 875mm
[855mm]
車軸距離 1445mm
車体重量 143kg(装)
[145kg(装)]
燃料消費率 44.3km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.7L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 23ps/8500rpm
最高トルク 2.2kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21(51P)
後120/80-18(62P)
[前110/70-17(54S)
後130/70-17(62S)]
バッテリー YTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
SIMR8A9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.8L
交換時1.4L
フィルター交換時1.5L
スプロケ 前14|後40
[前14|後39]
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格 428,000円(税別)
[466,000円(税別)]
※[]内はCRF250M
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

CBR600RR(PC40後期) -since 2013-

PC40後期

「躍動のスーパースポーツ。」

逆スラントノーズに変貌したCBR600RRのPC40後期。

最初に変更点をあげると

・先代比-6.5%のDS値(空気抵抗係数)
・ラムエアダクト変更による高域トルク向上
・ビッグピストンフォーク
・12本スポークホイール

などなど。

メインで6年ぶりのモデルチェンジとしては比較的小規模で車重は+2kgとなりました。

2017CBR600RRデザイン

「Stoic & Dynamic Form」

というコンセプトによって造られたデザインによりオマケ程度しかカウルがついてなかった前中期から全体を覆うレーサーライクな物に変更。水平に切られたセクシーなサイドカウルの合わせ目は1000RRを思い出しますね。

ちなみにこのデザインの最大の理由は空気抵抗をへらすことで今回のモデルチェンジの最大の売りは、カッコいい12本スポークでもビッグピストンフォークでも上から見るとライトが無いように見える逆スラントライトでもなくこのエアロダイナミクス。

CBR600RRエアロダイナミクス

今までCBR600RRはエアロダイナミクスを一切公開してなかったんだけど、今回に限ってはコレでもかというほどアピールしててRC212Vを引っ張りだしてまで比較。何故ならあのRC212Vに匹敵するほど優秀だから。

画像を見るとベタ伏せのレーシングポジションでの比較で一般ライダーは関係ないと思うかも知れませんが、一般的なポジションでも

『先代比-6.5%』

を達成してる。

このCD値(空気抵抗係数)っていうのは結構軽く見られがちなんだけど、サーキットにおけるトップスピード向上はもちろん一般用途においても燃費や加速そして風による疲労が軽減されるので実は凄く性能に直結する部分だったりします。

逆スラントですがこうなったのもこれが関係していて、一つはいま話した空気抵抗を減らす事。

チンスポイラー

アッパーカウルの裏側に整流用のスポイラーを付けることで空気抵抗を減らし、リフト量(車体を持ち上げようとする風の力)も抑える事でフロント荷重の改善化している。

ただこの顔にはもう一つ大きな特徴がある。それはラムエアダクト内にある防水プレートを2重スポイラーにしたこと。

逆スラント化で導風性を上げたんだけど、すると今度はスラントでは問題にならなかったエアクリーナー内で気圧の乱れという問題が起きた。

ラムエアインテークシステム

エアクリーナーボックス内の気圧が乱れるのは当然ながら吸気によろしくない。

そこでダクトから入ってくる空気の圧を二回に渡って捌き、スロットルボディボディまでに均等に慣らしてるというわけ。

つまりこの後期型は

『超エアロフォルム』

っていうわけですね。

最後にちょっと小話。

Moto2へのエンジン供給そしてレースベースこそ2017年も発売しWSS(市販車600レース)への出場もするものの、市販車CBR600RRはEURO4規制に準拠していないアメリカを除き販売終了。

レプソル600RR

つまり規制によって生産終了するわけですが

「規制に対応出来ない」

ではなく

「規制に対応しない」

というのが実情でしょう。理由はズバリ600SSブームが去ったからなんですが、じゃあブームの頃はどれだけ売れてたのか・・・少し調べてみました。

先ずホンダの年間販売目標(国内仕様)で比べてみると、ピークだった2007年のPC40前期は1500台/年。それに対してこのPC40後期は300台/年。単純計算で1/5にまで縮小している。

では肝心の実売はどうだったのか2016年の販売台数を調べてみるとCBR600RR(13~)はランク外で正確な数字は分からず・・・少なくとも300台未満なのか確実。

レプソル

数々の600レースを総ナメにしたCBR600RRですらこれほど厳しいのが現実。

まあでもこれは全体を見た話で、オーナー目線で見ると最も被らないCBR600RRって事で所有感は一番満たされるモデルでもある。

主要諸元
全長/幅/高 2030/685/1115mm
シート高 820mm
車軸距離 1380mm
車体重量 189kg(装)
{199kg(装)}
燃料消費率 29.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 599cc
最高出力 78ps/12000rpm
[119ps/12600rpm]
最高トルク 5.3kg-m/10000rpm
[6.2kg-m/11250rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
VUH24D
[IMR9E-9HES]
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.7L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前16|後40
[前16|後41]
チェーン サイズ530|リンク112
[サイズ525|リンク112]
車体価格 1,098,300円(税込)
※{}内はABSモデル
※ABSは+168,000円
※[]内は逆輸入モデル
系譜図
CBR600RR(PC37前期)

2003年
CBR600RR
(PC37前期)

CBR600RR(PC37後期)2005年
CBR600RR
(PC37後期)
CBR600RR(PC40前期)2007年
CBR600RR
(PC40前期)
CBR600RR(PC40中期)2009年
CBR600RR
(PC40中期)
CBR600RR後期2013年
CBR600RR
(PC40後期)
CBR600RR最終2020年
CBR600RR
(PC40最終)

CBR650R/CB650R(RH03)-since 2019-

RH03

「The Future of the Modern Sportbike」

650Fの後継となるCB650RとCBR650Rで型式はどちらもRH03型。

Rという末尾からも分かる通り先代よりも軽量化と足回りの強化でスポーツ志向なモデルとなりました。

CB650RとCBR650R

最初に主な変更点を上げると

・フレームの形状及び製法の変更

・ホイールの変更

・ボトムブリッジのアルミ化

・倒立フロントフォーク

・ラジアルマウントキャリパー

・エンジンの見直し

・給排気系の見直し

・トラコン&ABS

・フルLED化

※クイックシフター(UPのみ)

※グリップヒーター

※ETC2.0

※アクセサリー電源

などなど。※はオプション

CBもCBRもステップとハンドルを下げてかなりヤル気なポジションになってますね。

CB650R/CBR650Rポジション

ハンドリングも倒立フォークとボトムブリッジのアルミ化などでフロント剛性をかなり上げているのでSSの様なキビキビ系にされています。

ただその一方でメインフレームは綺麗なスチールフレームからは大きく変えずサスもダイレクト感重視のリンクレス。

CB650R/CBR650Rフレーム

「あくまで主戦場はストリート」

という事を主軸においているのが分かりますね。

そういえばCB250Rやcbr600fで説明し忘れていたんですがネイキッド版のCB650Rの方はシリーズの例に漏れず特別塗装の赤を採用したモデルが用意されています。

CB650R赤

『キャンディークロモスフィアレッド』

という色です。

光の透過率を格段に向上させ見る角度によって豊かな立体感を実現した三層構造の塗装。

キャンディークロモスフィアレッド

なんでもこれは一層目に赤顔料と反射率の高い『高輝度着色アルミフレーク』と呼ばれるものを『配向制御』といって重ならず平らに敷き詰める様に塗り、その上から透明度と彩度の高い赤顔料を塗ることで可能にした色との事。

車も知る人は

ソウルレッド

「マツダのソウルレッドじゃん」

と思うかもしれないですね、人気ですし。

ただ実はこの『配向制御』を一番最初にやった日本メーカーは他ならぬホンダなんです。

スーパープラチナメタリック

2005年に発売されたシビックの『スーパープラチナメタリック』という色が国産初。

実はホンダの方が先にやってたんですね・・・この時マシーンシルバーとかソウルシルバーとか銘打ってアピールしていれば。

話がズレてきたので戻しますがCB-Rシリーズの中でも650はCBRとの兼ね合いもあってか比較的スタンダード・・・というか250と1000が突き抜け過ぎてるので良識あるCB-Rと言ったほうが良いかと。

CB650Rネイキッド

ただCB650Rが兄弟車より突き抜けてる部分も勿論あります。

今どき珍しい中低速重視の直四な事から直四を気軽に楽しめる事もあるんですが、何よりエキゾーストパイプですね。

CB650R壁紙

CB400FOURを彷彿とさせる集合管。

先代からの物がベースで排気の音質をアップさせたものなんですが、まるで外装をエキパイに合わせるかの様に変更した事でシリーズで一番ネオレトロ感が強いモデルになりました。

そしてもう一つのフルカウルバージョンであるCBR650R。

CBR650R/RH03

CBR1000RRと区別がつかないほどの戦闘的なルックスになったというか、サイズから見ても存在感はこっちのほうが大きかったりします。

CB650Rとの主な違いとしてはセパハンによる前傾ポジションもそうなんですが大きいのはエアクリーナーボックス。

CBR650R吸気

前後から吸う形にして安定性を取り低速重視にしているCB650Rに対し、CBR650Rはラム圧を稼げるように前方からストレートに吸えるスーパースポーツ系と同じ形にして高速重視に。

だから実はレスポンスが結構変わっています。

ところで少し小言を言わせてもらうとCBR650Rってアレですね・・・

CBR650RとCBR600F4i

CBR600F4iの再来ですよね。

F4iを知る人ならCBR650Rは

「F4iにABSとトラコンが付いたモデル」

といえばこれ以上の説明は要らないかと思いますが詳しく知らない人に説明すると、系譜を辿ると分かるように元々このクラスはCBR600Fがオールラウンダー直四スポーツとして人気が出たことで確立されたクラスです。

そこから人気とともに性能競争が激化した事でCBR600Fもスポーツ性を上げるモデルチェンジを繰り返し最終的にCBR600RRへとなりました。

CBR600の歴史

その中でCBR600F4iはあくまでストリートバイクだったCBR600Fをベースにスポーツ性を高めた最終モデル。

だからスポーツなのかスーパースポーツなのか非常に微妙な立ち位置でした。でもその微妙な立ち位置のおかげで街乗りからツーリングはもちろんの事、サーキットからジムカーナから果てはエクストリームまで色んな部門で重宝される本当にオールラウンダースポーツでした。

そしてこのCBR650R。

CBR650Rイギリス仕様

ストリート重視のオールラウンダーCBR650Fのスポーツ性能を高めたモデル・・・そうF4iと全く一緒なんです。

・厳し過ぎないポジション

・低域からトルクフルな直四

・100万円を切るコストパフォーマンス

などの特徴、そしてスポーツなのかスーパースポーツなのか非常に微妙な立ち位置まで一緒・・・でもだからこそ同じ様に何でも出来るし、何でも楽しむ事が出来る。

CBR600R壁紙

これはスペックが求められたSSブームが去った今だからこそ許されたモデルでしょうね。

FでもRRでもなく『シングルR』という名が本当によく似合ってる。

主要諸元
全長/幅/高 2130/750/1150mm
[2130/780/1075mm]
シート高 810mm
車軸距離 1450mm
車体重量 207kg(装)
[202kg(装)]
燃料消費率 21.3km/L
※WMTCモード値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 648cc
最高出力 95ps/12000rpm
最高トルク 6.5kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
または
U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 923,400円(税込)
[999,000円(税込)]
※[]内はCBR650R
系譜図
CBR600F Hurricane1987年
CBR600F Hurricane
(PC19/23)
CBR600F2(PC25)

1991年
CBR600F2
(PC25前期)

CBR600F3(PC25)1995年
CBR600F3
(PC25後期)
ホーネット6001998年
HORNET600
(PC34)
CBR600F4(PC35)1999年
CBR600F4
(PC35)
CBR600F4i(PC35)2001年
CBR600F4i
(PC35)
CB600F HORNET(PC36)2003年
CB600F HORNET
(PC36)
ホーネット600(PC41)2007年
CB600F HORNET
(PC41前期)
CB600F HORNET(PC41)2011年
CBR600F
CB600F HORNET
(PC41後期)
2014CBR600F(RC83)2014年
CBR650F
CB650F
(RC83)
2017CBR600F(RC83)2017年
CBR650F
CB650F
(RC83後期)
CBR650R2019年
CBR650R
CB650R
(RH03)

【関連車種】
MT-07の系譜GSX-S750の系譜Ninja650/Z650の系譜空冷MONSTERの系譜

CBR650F(RC83後期) -since 2017-

2017CBR650F

EURO4への対応を機にマイナーに近いモデルチェンジした新型のCB650FとCBR650F。

主な変更点としてはヘッドライトのLED化を始めとした外装の変更、フロントフォークのデュアルベンディングバルブ(SDBV)化など細部のグレードアップ的なもの。

ディアルベンディングバルブ

NC750Xにも採用されて向こうで説明したけどこのSDBVっていうのは簡単にいうと既存のフロントフォークのままコンフォート性能を向上させることが出来るサスペンション。ハーレーの一部の車種も採用していたりします。

他にも吸排気の見直しで3kW(4馬力)ほどアップしている模様。

CB650F
(RC83後期)
-since 2017-

2017CB650F

相変わらずエキゾーストパイプが綺麗ですが、エンジンカバーが色分けされた事で600RR譲りの主要三軸のトライアングル配置アピールも効いてますね。

さてさて・・・もう先代で言いたいことは言ってしまったので書くことも無いのですが、改めて650Fについて調べてわかったこと。それはデザインです。

2017CB650F/CBR650Fフロント

語るほどのデザインじゃないとお思いでしょう・・・正直同感です。

このデザインの流れを作った先々代のCBR600F(PC41)いわゆる第二世代600Fのデザイナーはメイン市場がイタリアということでイタリアの・・・イタリアホンダの・・・・すいません名前を失念してしまいました。

2017CB650Fリア

まあとにかくイタリアの方なんですが、デザインコンセプトとしたのは

「10年後にもっと好きになるデザイン」

だったそうです。

このコンセプトを見た時、コレほどまでにこのバイクを表す表現は無いのではなかろうかと、掴みどころがないと言った事を恥じるほど感心しました。

2017年式CB650F|CBR650F

見た目もそれほど美味しそうではなく、少し噛んだくらいでは味がない。もういいやとアゴが疲れてきた頃になって濃厚な味が出てくるスルメみたいなバイク。

それが30年以上も系譜が続いているCBR650FそしてCB650Fの武器であり魅力ではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2110/780/1075mm
[2110/755//1145mm]
シート高 810mm
車軸距離 1450mm
車体重量 208kg(装)
[213kg(装)]
燃料消費率 21.4km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 649cc
最高出力 90ps/11000rpm
最高トルク 6.5kg-m/8000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後180/55ZR17(73W)
バッテリー YTZ10S
または
FTZ10S
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
または
U27FER9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.6L
フィルター交換時2.9L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク118
車体価格 923,400円(税込)
[999,000円(税込)]
※[]内はCBR650F
系譜図
CBR600F Hurricane1987年
CBR600F Hurricane
(PC19/23)
CBR600F2(PC25)

1991年
CBR600F2
(PC25前期)

CBR600F3(PC25)1995年
CBR600F3
(PC25後期)
ホーネット6001998年
HORNET600
(PC34)
CBR600F4(PC35)1999年
CBR600F4
(PC35)
CBR600F4i(PC35)2001年
CBR600F4i
(PC35)
CB600F HORNET(PC36)2003年
CB600F HORNET
(PC36)
ホーネット600(PC41)2007年
CB600F HORNET
(PC41前期)
CB600F HORNET(PC41)2011年
CBR600F
CB600F HORNET
(PC41後期)
2014CBR600F(RC83)2014年
CBR650F
CB650F
(RC83)
2017CBR600F(RC83)2017年
CBR650F
CB650F
(RC83後期)
CBR650R2019年
CBR650R
CB650R
(RH03)