XLV750R(RD01) -since 1983-

RD01

「キング・オブ・ランドスポーツ」

2年ほど遡って紹介となるXLV750R/RD01型。

先に話したようにフランスホンダはパリダカにおいて連敗続きでした。

そこで

「二気筒勢に対抗できるバイクが欲しい」

オブラートに包まずストレートに言うと

「BMW(R100GS)に勝てるバイクを造れ」

という要望というより悲痛な叫びが日本のホンダ、そしてHRCに届いたわけです。

XLV750R北米仕様

その声に応えるべきだとして目をつけられたのが、ハイスピードデュアルパーパスとして発売されていた狭角VツインのXLV750R。

NV750

ベースとなっているのはクルーザーのNV750Customです。

XLの頃に書きそびれたんですがこのシリーズはフレーム内にオイルを溜めることで、フレームにヒートシンクの役割も持たせる面白い構造を持っています。

だからオイル温度が上がるとモロに熱さが伝わるとか何とか。

xlv750カタログ写真

そしてこのXLV750Rは更に面白いことに水冷だったのをわざわざ空冷に戻すという先祖返りの様なことをしています。

これは水冷だとダート走行時にラジエーターが詰まってしまう恐れがあったから。

ちなみに世界限定1000台で日本へは300台が割り当てられました。

RD01

当初はこのXLV750Rをベースにパリダカマシンを造る予定だったのですが、リア側のシリンダーの放熱問題などにより参戦は見送りに。

販売時期も台数も少ない上に色形が独特なので色物XL的なイメージを抱きがちですが、このバイクから偉大なレーサーが二台も誕生する事になります。

主要諸元
全長/幅/高 2235/890/1230mm
シート高 835mm
車軸距離 1480mm
車体重量 213kg(装)
燃料消費率 35.0km/L
※定地走行燃費
燃料容量 19.4L
エンジン 空冷4サイクルSOHC二気筒
総排気量 749cc
最高出力 55ps/7000rpm
最高トルク 6.0kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー FB14-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA-9/DPR9EA-9
または
X24EPR-U9/X27EPR-U9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
※交換時3.0L
エンジン側1.5L
フレーム側1.5L
スプロケ
チェーン
車体価格 750,000円(税別)
系譜図
XL5001979年
XL500S/R
(PD01)
XL600Rファラオ1985年
XL600R PHARAOH
(PD03)
XLV750R1983年
XLV750R
(RD01)
RS750D1983年
RS750D/NS750
NXR7501986年
NXR750
トランザルプ1987年
TRANSALP
(PD06)
(RD10/11/13/15)
XRV600アフリカツイン1988年
Africa Twin
(RD03/04/07)
バラデロ1999年
VARADERO
(SD01/02)
CRF1000L2016年

CRF1000L
Africa Twin
(SD04)

CRF1000L2019年

CRF1100L
Africa Twin
(SD10)

XLR250R/BAJA(MD16/20/22) -since 1985-

XLR250R

こだわりすぎて失敗したXLXの反省からRFVCエンジンはそのままにシングルキャブ化されたXLR250。それでもXLXから2馬力アップと5kgの軽量化を果たしています。ツインキャブはなんだったのかってなりますよね。

ただXLR250Rは出て僅か一年半ほどでモデルチェンジされ型式もMD16からMD20へと変わっています。

1985年モデル

初期型はエンジンまで真っ赤。赤エンジンと黄金に輝くアルミスイングアームとホイールが特徴的ですね。だからこのモデルだけは特別にXLR250Rfと正式名称で呼ばれていたりします。

ちなみにブラックアウト化された渋いモデルもありました。

そして1986年にモデルチェンジされMD20型に。

MD20

エンジンを若干ロングストロークにし加速ポンプ付キャブレターなどで中低速に厚みも持たせリアを18インチにアップさせたモデル。車重も2kgほど減っています。

最終となるのが1989年に出たMD22型。

XLR250R MD22

リアブレーキのディスク化や整備性のアップなど痒かった部分を改良したモデル。翌90年からはスイングアームに付いてたタンデムステップをフレームマウントに変更されています。

そして忘れてはいけないのが1987年に出た派生モデルとなるXLR250BAJA(バハ)

XLR250Rバハ

オイルクーラー、大光量デュアルヘッドライトなどBAJAと名付けるだけあってXLR-Rよりも更にエンデューロ色が強いモデル。シートバッグも専用に大容量の物にされてます。

今更ですがエンデューロとかモトクロッサーとか分からない人は「オフロード|モタード系の特徴と歴史」をどうぞ。

ちなみにBAJA(バハ)というのはメキシコのバハ・カリフォルニア半島で開かれるレースBAJA1000から。

バハ1000

不眠不休で半島の端から端まで約1000マイル(1600km)を走り抜きタイムを競う下手をすると命を落としかねない過酷な世界最長のデザートレース。オフロードの耐久レースみたいなものです。

BAJAはインパクトのある顔からオフを知らない人でも覚えてる人は多いのではないでしょうか。

XLRバハカタログ

ただ何処かで見かけたのですが

「BAJAってこんな顔だったっけ?」

って思ってる人もいるかもしれませんね。恐らくそう思うのは次のBAJA(XR-BAJA)のイメージが強いからかと。XLR250BAJAも1987年と今となってはかなり昔のバイクですもんね。

ただ当時はその癖になる顔付きとエンデューロライクな造りから既に成功していたXLR250Rの上位モデル的な立ち位置で息の長いモデルとなりました。

XLR250SP

XLR250R/BAJAは評判もセールスも申し分なく、XL系最終に相応しい有終の美を飾ったオフ車です。

主要諸元
全長/幅/高 2125/860/1210mm
[2165/860/1210mm]
『2165/860/1210〈1190〉mm』
シート高 850mm
[860mm]
『860mm』
車軸距離 1385mm
[1430mm]
『1430mm』
車体重量 123kg(装)
[121(装)]
『125〈126〉kg(装)』
燃料消費率 53.0km/L
『[50.3km/L]』
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
『[9L]』
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 28ps/8500rpm
最高トルク 2.5kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
[前3.00-21-4PR
後4.60-18-4PR]
『前3.00-21(51P)
後4.60-18(63P)』
バッテリー YB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8Z
[DP7Z]
『DPR7Z』
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時1.6L
交換時1.4L
スプロケ 前16|後50
チェーン サイズ428|リンク130
車体価格 358,000円(税別)
[389,000円(税別)]
『419000円(税別)』
「439,000円(税別)」
※[]内はMD20
※『』内はMD22
※〈〉内はBAJA-MD22
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

XLX250R(MD08) -since 1983-

XLX250R

大成功を収めたXL250シリーズの後継になるXLX250R

最大の特徴はRFVC(Radial Four Valve Combustion Chamber)という新しいエンジンになったこと。放射状4バルブといって燃焼室(燃焼時の形)を理想と言われる半球型にすることが狙い。

XLX250R

右下に分かりやすいイラストが付いているのでそれで分かっていただきたんですが、すべてのバルブが燃焼室の中心を向くように付いています。バルブ駆動もSOHCながらユニカムバルブトレインといってカムシャフト一本で4つのバルブを動かすタイプ。

RFVC半球型

ちなみにこのRFVCじゃないエンジンはどんな形になっているのかというとペントルーフ型といって三角形の燃焼室になる形をしています。自動車もバイクも4バルブは基本的にこれです。

XLX250R

これはCBR250Rの系譜で使ったバルブ挟み角で使った画像なので色々書いてますが、燃焼室が三角形になってるのがわかると思います。吸気バルブ二本と排気バルブ二本が屋根のようになってると言えばわかりやすいでしょうか。

話が少し反れますが、なんで流体力学でみると理想といわれる半球型ではなくペントルーフ型がメジャーなのか簡単に言うと、半球型は乱流がない・・・要するに空気の流れが落ち着いてる事から燃焼伝播(燃え広がる速度)が遅いんです。燃焼伝播が遅いとトルクが落ちます。対してペントルーフ型ってのは燃焼室が三角形で混合気の流れが綺麗ではなく四方八方へ暴れるから燃え広がる燃焼伝播も早いというわけ。

他にも半球型は燃焼室が必然的に広く高くなるから圧縮比を上げ辛かったり。何よりも綺麗な半球の形をバルブで作るのが難しいという問題が。まあ素人に体感できるかといえば間違いなく出来ないでしょうけど。

理想的な燃焼室である半球型エンジンとしてホンダはしばらくシングルはこのRFVCエンジンを推してXR250まで続くわけですが、XLX250Rの場合RFVCエンジンだけでなくキャブレターも二つ付けるという贅沢装備で26馬力とパワーが大幅アップ。

XLX-R

ただ残念な事にXL250の後継にありながらXLX250Rは人気は出ず・・・というか本当に人気が無かった。

理由の一つはそのデュアルキャブで、要するにただでさえ面倒くさいキャブセッティングを二個もしないといけない気難しさや煩わしさが、初心者はもちろん自分で整備するエキスパートそしてバイク屋にまで敬遠されてしまったというわけ。

XLX250Rカタログ写真

こだわり過ぎて失敗っていうホンダらしい不人気車。

主要諸元
全長/幅/高 2175/840/1225mm
シート高 840mm
車軸距離 1415mm
車体重量 128kg(装)
燃料消費率 55.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 10L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 249cc
最高出力 26ps/7500rpm
最高トルク 2.2kg-m/7500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.00-21-4PR
後4.60-17-4PR
バッテリー FB3L-A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DP8EA-9
推奨オイル Honda純正ウルトラG1(10W-30)
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
分解時2.0L
交換時1.8L
スプロケ 前14|後40
チェーン サイズ520|リンク102
車体価格 358,000円(税別)
系譜図
ホンダドリームSL250S1972年
DREAM SL250S
(SL250)
MD031975年
XL250/S/R
(MD03)
MD081983年
XLX250
(MD08)
MD16/20/221985年
XLR250R/BAJA
(MD16/20/22)
MD261991年
XL Degree
(MD26/MD31)
MD301995年
XR250/BAJA
(MD30)
MD30後期2003年
XR250/BAJA/Motard
(MD30後期)
MD362005年
XR230/Motard
(MD36)
MD382013年
CRF250L/M
(MD38)
ラリー2017年
CRF250RALLY/L/M
(MD44)

CBR600F(PC19/23) -since 1987-

honda cbr600f hurricane

初代CBR600FことPC19/23は北米では「Hurricane」というペットネームが付けられて発売されていました。

弟分のCBR400と見た目はソックリだけど中身は全然違います。

400がアルミフレームだったのに対して600はスチール、更にカム駆動もカムギアではなくセンターカムチェーンと至って普通というか寧ろ少し時代遅れ感もある造り。

これは欧米に向けたコストパフォーマンス車として生み出されたから。その事もあってか日本では売っていません。

CBR600F(PC19)カタログ

とはいうものの、まだ600のスーパースポーツなんて市場は愚か存在すらなかった時代に85馬力/182kgというのはかなりハイスペックで、速くて扱いやすくて安い(当時3698ドル)として好評を博し一躍売れ筋モデルへ。

勢いそのままに二年後の1989年には早々にPC23へとモデルチェンジ。エンジン周りを中心とした改良を行い93馬力と戦闘力に磨きをかけました。

CBR600F(PC23)カタログ

ただどうも北米でも”ハリケーン”というペットネームは不評だったようでこのPC23からは無くなりCBR600Fに統一。

あとこのPC19/23は欧米でのバイク事情の違いが鮮明に表れてる部分があります。それはグラブバー。

CBR600F(PC23)カタログ

欧州向けにはグラブバーが付いているのに対し、北米アメリカ向けにはグラブバーが付いていません。

これはスプリンター的な走行がウェイトを占める北米に対し、欧州ではスプリンター的な用途だけでなく二人乗りから長旅までマルチに使うから。

同じバイクでもココまで用途に違いが出るなんて面白いですよね。日本はどちらかと言えば・・・・欧州よりかな。

主要諸元
全長/幅/高 2130/685/1115mm
[2020/685/1115mm]
シート高 770mm
車軸距離 1410mm
車体重量 201kg(装)
[205kg(装)]
燃料消費率 30.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 599cc
最高出力 85ps/11000rpm
[93ps/11000rpm]
最高トルク 6.0kg-m/8500rpm
[6.5kg-m/10500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17
後130/80-17
[前120/60-17
後160/60-17]
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
※[]内はPC23
系譜図
CBR600F Hurricane1987年
CBR600F Hurricane
(PC19/23)
CBR600F2(PC25)

1991年
CBR600F2
(PC25前期)

CBR600F3(PC25)1995年
CBR600F3
(PC25後期)
ホーネット6001998年
HORNET600
(PC34)
CBR600F4(PC35)1999年
CBR600F4
(PC35)
CBR600F4i(PC35)2001年
CBR600F4i
(PC35)
CB600F HORNET(PC36)2003年
CB600F HORNET
(PC36)
ホーネット600(PC41)2007年
CB600F HORNET
(PC41前期)
CB600F HORNET(PC41)2011年
CBR600F
CB600F HORNET
(PC41後期)
2014CBR600F(RC83)2014年
CBR650F
CB650F
(RC83)
2017CBR600F(RC83)2017年
CBR650F
CB650F
(RC83後期)
CBR650R2019年
CBR650R
CB650R
(RH03)

CBR400RR(NC23) -since 1987-

1988CBR400RR

「DIRECTOR RR」

復刻して欲しいバイクとして今も人気なヨンダボことCBR400RRの前期であるNC23型。

直打式バルブ駆動のエンジンヘッドへ変更しコンパクトに収めたのに加え、フレームを五角目の字断面化による剛性アップ。

更にホイールはもちろんマフラーもアルミ(量販車初)とアルミだらけの贅沢な一台。

NC23諸元

ちなみにRRの元祖といえばCBR900RRというイメージがありますが、一番最初にRRと銘打たれて出たCBRはこのモデルです。

これはFireBladeの生みの親である馬場さんいわく開発は900が先だったんだけど、セールスの関係で400を先に発売する事になったからなんだそう。

CBR400RR/NC23

先代のフルカバードカウルからレーサーレプリカチックなフルカウルになった事で大きな反響を生み、また人気も爆発。

鈴鹿四耐でデビュー・トゥ・ウィンを飾った事も人気の一因でした。

しかしながら先代でも話しましたが

「レースはV4(VFR)じゃなかったの」

と思われている方も多いと思います。

NC23カタログ

一体なぜCBR400RRが登場したのかと言うと、一番はホンダの直四レーサーレプリカを市場が求めたから。

他にもモリワキを始めとしたホンダ車で戦う非ワークス勢がずっとやってきてノウハウがある直四を好んだことも関係しています。

しかしCBR400RRの誕生にはもう一つ理由があります。

それはホンダ社内で

「直四を蔑ろにしてはいけない」

という声がRVFの活躍とともに大きくなっていった事。

V4推しのホンダと言えどCB750やRCB1000やCBX400など直四で一世を風靡した時代があったから、直四をレースと無縁な存在にすることに不満を持つ人達が社内にも多くいた。

CBR400RRカタログ

CBR400RRが造られた理由、VFRとの二大看板となった理由はここにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2020/690/1110mm
シート高 765mm
車軸距離 1370mm
車体重量 179kg(装)
燃料消費率 38.1km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 4.0kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/60-17(55H)
後150/60-18(67H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.8L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 699,000円(税込)
系譜図
NC171983年
CBR400F
/ENDURANCE
/FORMULA-3
(NC17)
NC23前期1986年
CBR400R
(NC23)
NC23後期1988年
CBFR40RR
(NC23)
NC291990年
CBR400RR
(NC29)
/CB400F/400X2013年
CBR400R
CB400F
400X
(NC47)
/CB400F/400X2016年
CBR400R
400X
(NC47後期)
/400X(NC56)2019年
CBR400R
400X
(NC56)

CBR400R(NC23) -since 1986-

CBR400R

「MAN & MACHINE INTERACTION」

フルカウルブーム及びレーサーレプリカブームに伴いFからRへとモデルチェンジされたCBR400RのNC23型。

カムギアトレーンの水冷エンジンという非常に贅沢な専用エンジンを奢られ、フレームもアルミツインチューブで乾燥重量165kgという10kg近い軽量化。

NC23エンジン

走行性能に更に磨きがかった・・・んですが見て分かるようにとてもレーサーに見えませんよね。

当時ホンダが推していたフルカバードエアロとよばれるフレームまでも覆うカウルでどちらかというとツアラーっぽい。

NC23カタログ写真

でもこれにはわけがあるんです・・・というのもちょうどこの頃にホンダは

「サーキットはV4、ストリートはL4」

という方針を打ち出したから。

だから今でこそCBRといったらレーサーだけど、当時はストリートスポーツの代名詞にする狙いがあったんです。

NC23

だから性能に反して安定的な乗り味とともに快適なアクセサリーも充実。

先代よりこっちの方がCBR400Fと言ったほうがシックリ来ますよね。

ただ重ねて言いますが当時は如何にレーサーに近いかが大事だった時代だったので、万能というメリットが理解される事はなくわずか数年でモデルチェンジとなりました。

主要諸元
全長/幅/高 2015/685/1095mm
シート高 765mm
車軸距離 1380mm
車体重量 184kg(装)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 399cc
最高出力 59ps/12500rpm
最高トルク 3.8kg-m/10000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52H)
後130/70-18(63H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C9EH-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.5L
交換時2.9L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前15|後44
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 669,000円(税込)
系譜図
NC171983年
CBR400F
/ENDURANCE
/FORMULA-3
(NC17)
NC23前期1986年
CBR400R
(NC23)
NC23後期1988年
CBFR40RR
(NC23)
NC291990年
CBR400RR
(NC29)
/CB400F/400X2013年
CBR400R
CB400F
400X
(NC47)
/CB400F/400X2016年
CBR400R
400X
(NC47後期)
/400X(NC56)2019年
CBR400R
400X
(NC56)

CBR400F/ENDURANCE/FORMULA-3(NC17) -since 1983-

NC17

「TUNE-UP WITH CIRCUIT SPIRIT」

盛り上がりを見せていた400ccレースの次世代を担うバイクとして造られたCBR400F。

実質的にCBX400Fの後継モデルでCBX400Fのエンジンをベースにオイルクーラーを装備し、回転数に応じて2バルブと4バルブ切り替え機能。

REVシステム

『REV(Revolution Modulated Valve Control)』

この可変バルブというかバルブ休止システムは今でもHYPER VTECとして受け継がれていますね。

REVのメカニズム

ただCB400の直打式VTECと違ってコッチはロッカーアーム式で二つのバルブを連結させることで4バルブするタイプ。

CBのVTECについてはコッチをどうぞ

この童心をくすぐる機能により空冷ながらクラストップとなる58馬力を叩き出すエンジンになった事で、1984年には年間販売台数24,728台という今では考えられない爆発的な人気となりました。

CBR400Fエンデュランス

ちなみにこれはカウルが解禁になった事から半年遅れで登場した耐久レーサーをイメージさせるCBR400F ENDURANCEというモデル。

更には数ヶ月遅れでカウルが完全解禁となった事を機にフルカウルモデルを限定4,000台で発売。

CBR400FエンデュランスF3

ここで一つ注意しないといけないのが、このモデルは『F-3』とサイドに入っているんですがF3ではありません。

「CBR400FのF3」

と呼ばれるモデルは別にあります。

発売から二年半が経った頃にCBR400F/エンデュランスは

・アルミキャストホイール

・アルミスイングアーム

・一本出し集合管マフラー

・REVのリセッティング

・2kgの軽量化

という大掛かりなマイナーチェンジを行いました。

CBR400Fエンデュランス

その際に、限定5,000台で発売されたのが俗言うF-3こと

「CBR400F FORMULA-3」

と呼ばれるスペシャルモデル。

CBR400Fフォーミュラ3

シングルシートに樹脂レンズ、専用設計のハンドルとジュラルミン製バックステップを採用したモデル。

ただ読まれてる方の中には

「そもそもF3って何」

と思われている方も多いので説明させてもらうと、この頃からTT-F3という全国規模の市販車レースが始まったんです。

レギュレーションは4st400ccか2st250cc。

CBR400FENDURANCE

つまりこのCBR400Fというのはそんな市販車レースに勝つために造られた面が大きいバイクなんです。

主要諸元
全長/幅/高 2035/710/1075mm
[2035/720/1200mm]
{2045/700/1200mm}
シート高 790mm
[790mm]
{780mm}
車軸距離 1390mm
車体重量 191kg(装)
[198]kg(装)
{195}kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 399cc
最高出力 58ps/12300rpm
最高トルク 3.6kg-m/11000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後110/90-18(61H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
交換時2.2L
フィルター交換時2.3L
スプロケ 前15|後42
チェーン サイズ525|リンク106
車体価格 539,000円(税込)
[598,000円(税込)]
{615,000円(税込)}
※[]内はエンデュランス
※{}内はフォーミュラ3
※後期モデルは-2kg
系譜図
NC171983年
CBR400F
/ENDURANCE
/FORMULA-3
(NC17)
NC23前期1986年
CBR400R
(NC23)
NC23後期1988年
CBFR40RR
(NC23)
NC291990年
CBR400RR
(NC29)
/CB400F/400X2013年
CBR400R
CB400F
400X
(NC47)
/CB400F/400X2016年
CBR400R
400X
(NC47後期)
/400X(NC56)2019年
CBR400R
400X
(NC56)

CBR250R(MC19) -since 1988-

CBR250R

CBR250の中で恐らく一番不遇だったハリケーン二号ことCBR250RのMC19。

というのもフロントディスクがシングルに変更されたから。先代で話した通り、250もトリプルディスクがステータスどころかもはや当たり前になっていた中でのシングル化。

CBR250Rカタログ写真

ホンダから言わせればパワーと車重のバランスから見てもシングルで十二分な動作性能があり、逆にダブルだとバネ下重量増加のデメリットが大きいからというんだろうけど、ライダーにとっては気持ちの良いものではなかったんだね。

とはいうものの、エアロフォルムだった一号からレプリカ(スーパースポーツ)なデザインへ変わったことでハートを射抜かれた人が多いのも事実。

MC19

ただ少し悲しいことに二年後のモデルチェンジで今でも語られるニダボでお馴染みCBR250RR(MC22)が登場。

見た目はほぼ変わらないまま目立つ変更点といえばさっき言ったトリプルディスク化。こうなってしまうとMC19の立場は無いも同然。年間販売台数2万台という記録を樹立した87年のCBR250R(MC17)、今でも語られるほどの人気を誇った90年のCBR250RR(MC22)。MC19はその狭間に埋もれてしまったちょっと可哀想なCBR250R。

MC19カタログ写真

※注意 1988~89のCBR250R(MC19)は発火の危険性があります

MC19は燃料ホースとホースのジョイントが経年劣化に弱くガソリンが漏れて(エンジン熱で気化し燃料ポンプの接点火花で)発火しやすいという問題を抱えています。

一度対策品「フューエルチューブセット:16955-KY1-315」が発売されましたが現在は欠品。

それらの問題を知らずに乗り続け全焼させてしまうという事故が今も跡を絶ちません。その事を重々頭に入れておいて下さい。

またオーナーの方も乗り出したときにガソリンの匂いがしたら高確率で漏れてるので絶対にそのまま乗らない事。貴重なハリケーンがファイヤーストームになってしまうのでご注意を。

主要諸元
全長/幅/高 2020/685/1075mm
シート高 720mm
車軸距離 1365mm
車体重量 154kg(装)
燃料消費率 41.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 13L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/15000rpm
最高トルク 2.6kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80R17(52H)
後140/70R17(66H)
バッテリー YTX7L
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラGP
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前17|後54
チェーン サイズ428|リンク136
車体価格 589,000円(税別)
系譜図
MC141986年
CBR250FOUR
(MC14)
MC171987年
CBR250R
(MC17)
MC191988年
CBR250R
(MC19)
MC221990年
CBR250RR
(MC22)
MC231991年
JADE
(MC23)
MC311996年
HONET
(MC31)
MC412011年
CBR250R
(MC41)
MC41後期2014年
CBR250R
(MC41後期)
MC432014年
CB250F
(MC43)
2017CBR250RR2017年
CBR250RR
(MC51)
CB250R/MC522018年
CB250R
(MC52)

CBR250R(MC17) -since 1987-

MC17

時代はレプリカ全盛期なので当然というか必然というか、僅か一年でモデルチェンジというか追加されたRモデルのCBR250R
具体的にはHurricaneというペットネームが付き、フルカウルにセパレートシート、エンジンにも手直しが入っている。

ホンダはこの頃CBRに”ハリケーン”というペットネームを付けてました。結局は定着せず僅か数年で無くなりました。定着してたら今頃はCBR-RR SUPER HURRICANEとかになってたのかな・・・

そんなハリケーンですが一番反響があったのはリアのディスク化。

MC17カタログ

何故このリアのディスク化が大事かというとCBR250FOURに対し
「何でリアがドラムなんだ!リアがドラムなんてスポーツバイクじゃない!」
って声が相次いだから。

当時はバイクブームもあって毎年のように装備が豪華になっていってて、この頃は前後ディスクブレーキ(リアと合わせてトリプルディスク)がスポーツバイクのステータスになっていたからドラムは受け入れられなかったですね。

CBR250R

ついでに車名もFからRにしてスポーツ色を強める戦略に。

CBR250Rという車名はこれが最初になります。結果としてこれが年間販売台数二万台を超える大ヒットとなり、並み居る強豪を抑え販売台数トップに輝きました。

250で年間販売台数二万台という記録を持つ車種は2000年代半ばにピークを迎えたビッグスクーターブームを巻き起こしたフォルツァとマジェスティとこのハリケーンだけです。

主要諸元
全長/幅/高 2000/680/1120mm
シート高 720mm
車軸距離 1365mm
車体重量 155kg(装)
燃料消費率 48.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/15000rpm
最高トルク 2.6kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80R17(52H)
後130/70R17(62H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C8EH9
推奨オイル Honda純正ウルトラGP
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後44
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 549,000円(税別)
系譜図
MC141986年
CBR250FOUR
(MC14)
MC171987年
CBR250R
(MC17)
MC191988年
CBR250R
(MC19)
MC221990年
CBR250RR
(MC22)
MC231991年
JADE
(MC23)
MC311996年
HONET
(MC31)
MC412011年
CBR250R
(MC41)
MC41後期2014年
CBR250R
(MC41後期)
MC432014年
CB250F
(MC43)
2017CBR250RR2017年
CBR250RR
(MC51)
CB250R/MC522018年
CB250R
(MC52)

CBR250FOUR(MC14) -since 1986-

MC14

「メカマックス」
ホンダの市販250としては初の四気筒モデルとして登場したCBR250FOURは初っ端からアルミツインチューブフレームにフロントダブルディスクブレーキと四気筒250の第一号にも関わらずフル装備状態。

カタログで”メカマックス”または”呼吸する精密機械”と謳っているのはこういうことから。

いきなり話が脱線するけど市販車の括りを取っ払うとホンダが初めて作った250四気筒はマン島レース250部門に出るために作られたレーサーRC160。

RC160

CBR250FOURが生まれる20年以上前の1959年に作られた空冷DOHCで35ps/13000rpm・・・ハイすいません。

話を戻して・・・この頃のホンダの250といえば「2stに勝てる4st」としてお馴染みのVT250F(VTRのご先祖様)でした。250部門で年間販売台数トップを取るほどの人気で名実ともに文句なしの250。

それなのに何故こんなバイクを出したのかというと、1985年に市販車初の250四気筒として出てたスズキGS250FW、そしてその後に出て大ヒットとなったヤマハFZ250PHAZERの存在です。

fz250

それが本田宗一郎の耳に入り、自社の技術者達に対し

「ヤマハに先を超されてるじゃないか!」

と大激怒したのがことの発端。まあ要するに後追いですね。

CBR250FOUR

つまりもう既にライバル達が居る状況だったからいきなりフル装備、そしてコスト高な事から今ではRC213V-Sという2000万円バイクでしか味わえないホンダの十八番カムギアトレーンを積んだというわけ。

カムギアトレーンっていうのはエンジンのカムバルブ(吸排気のドア)をチェーンではなく歯車で回す方式のこと。

凄くお金かかっただけにMC14Eエンジンは、このあと20年間脈々と継がれていくことになるわけです。

CBR250FOURスペシャルエディション

ただ思ったほど販売台数が伸びなかったのか僅か三ヶ月で専用色とオプションだったアンダーカウルを装備したスペシャルエディションを追加しました。

その名もスペシャルメカマックス・・・ってそのまんまですね。

主要諸元
全長/幅/高 2000/685/1120mm
シート高 750mm
車軸距離 1370mm
車体重量 153kg(装)
燃料消費率 48.2km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4バルブ四気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/15000rpm
最高トルク 2.6kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80R17(52H)
後130/70R17(62H)
バッテリー FTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C9EH-9
推奨オイル Honda純正ウルトラGP
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.7L
交換時2.2L
フィルター交換時2.4L
スプロケ 前14|後43
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 549,000円(税別)
系譜図
MC141986年
CBR250FOUR
(MC14)
MC171987年
CBR250R
(MC17)
MC191988年
CBR250R
(MC19)
MC221990年
CBR250RR
(MC22)
MC231991年
JADE
(MC23)
MC311996年
HONET
(MC31)
MC412011年
CBR250R
(MC41)
MC41後期2014年
CBR250R
(MC41後期)
MC432014年
CB250F
(MC43)
2017CBR250RR2017年
CBR250RR
(MC51)
CB250R/MC522018年
CB250R
(MC52)
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