バンディット400/V/LTD(GK75A)-since 1989-

バンディット400前期

ここで登場するのがバンディット400

1250の方が現役だから聞いたことはある人が多いかと思いますが、Banditという名前の初出はこの400です。

エンジンはGSX400Xと同様にGSX-R400の物を低速寄りにリセッティングしたもの。
400Xとの大きな違いはオーソドックスになったルックスもそうだけどフレームがダブルクレードルからパイプダイヤモンドフレームへと変わったこと。

bandit400

数年後に登場するGSF1200のフレーム(あっちはダブルクレードル)を考えると奇跡に近い纏まりを見せている。

GSX-R400Rのエンジンだからフィンもそのままだけど水冷でSATCSの明記もありません。

余談ですが海の向こうではGSF400の名で売られていました。更に言うと向こうでは油空冷と明記・・・日本では水冷・・・まあ細かいことは突っ込まないでおきましょう。

実はあのネイキッドブームの火付け役であるゼファーの二ヶ月遅れで出ているですが、初年度はソコソコな販売台数を記録したものの年を追う毎にゼファーに引き離され、後続にも抜かれる始末。

テコ入れとして大きなロケットカウルを付けたリミテッドモデルも登場。

Bandit400Limited

(上の写真は後期モデル)。

更に翌年には可変バルブタイミング機能を付けたVモデルが登場。

バンディット400V

これは吸排気のバルブタイミングを切り替えるシステム。よくVTECと同じように思われるけど別物。あっちはバルブ休止。詳しく知りたい方はbandit250の系譜の方をどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2055/705/1060mm
<2060/735/1060mm>
シート高 750mm
車軸距離 1430mm
車体重量 168kg(乾)
[172kg(乾)]
燃料消費率 36.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.9kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後150/70R17(69H)
バッテリー YTX7A-BS
[YTX9-BS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8E
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.3L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前14|後44
チェーン サイズ525|リンク112
車体価格 595,000円(税別)
<579,000円(税別)>
[636,000円(税別)]
※<>内はコンチハンドル仕様
※[]内はVモデル
系譜図
GSX400F 1981年
GSX400F/F2/FW/FSインパルス
(GK71A/GK72A)
GSX400インパルス 1986年
GSX400XS/Xインパルス
(GK71E)
バンディット400 1989年
バンディット400/V
(GK75A)
GSX400Sカタナ 1992年
GSX400S KATANA
(GK77A)
GSX400インパルス 1994年
GSX400インパルス
(GK79A)
bandit400V 1995年
バンディット400/V/VZ/リミテッド
(GK7AA)
イナズマ400 1997年
イナズマ400
(GK7BA)
impulse400 2004年
インパルス400
(GK7CA)
前期 2006年
GSR400前期
(GK7DA)
後期 2009年
GSR400後期
(GK7EA)

GSX400X/XSインパルス(GK71E)-since 1986-

GSX400X

ネタ車両として扱われ、最近になって漫画で取り上げられたこともありGPZ250Rと並んで一躍有名になった・・・不人気車。

KATANAをデザインしたハンス・ムートさんによる作品でイメージは東京タワー・・・と思っていたが正確には違いました。正確に言うと若者の街である六本木がテーマなんだそうです。

いま見ても強烈なスタイリングだけど、当時はそんな比じゃないほどの強烈で批判も起きないほどのインパクトだった。

GSX400Xインパルス

・・・売れてない。まあ当時はレプリカブームでネイキッド氷河期だったからね。

それでも出し続けたスズキは偉いというか無謀というか。
もしあと数年後、90年初頭から来るネイキッドブームに合わせて発売していたら売れて・・・ないよなあ。

GSX400XSインパルス

あとネタになる時はいつもXモデルだけどXSというハーフカウルを纏ったモデルがあることも忘れないで下さい。

流石のスズキもGSX400Xを見た時「求めてるモノと違う・・・」と思ったのか定かじゃないけど
ハンス・ムートさんの作った400Xをベースに自社デザインのハーフカウルを付けインパクトを少し和らげたモデルを同年に出しました。

GSX400XS

それも巷では「カタナの成り損ない」とか酷い言われようだった。

とまあネタ話だけで終わるのもアレだしちょっと可哀想なので技術的な話を少し。

GSX-R400のエンジンをスチールフレームに積んだネイキッドなんだけどそれでも当時ではクラス最軽量の153kg。さらに59馬力もクラストップ。更に更にセパハン&モノサスと性能面では申し分のないスペック。

こうやって書いてみるとGSRと共通点が多いですね。

広く捉えるならGSR400の始祖はこのGSX400Xとも言えなくもない・・・GSRオーナーは拒否するかもしれないけど。

GSX-R400譲りのエンジンなので冷却システムも同じSATCS(Suzuki Advanced Three-way Cooling System)方式。

これは何かと言うと、熱くなりがちなヘッドは水冷、シリンダーはフィンによる空冷、クランク~ピストンは油冷というトリプル冷却システム。

スズキはこのシステムによっぽど自信があったのか

水油空冷システム

「冷却システム論争にピリオドを打つ!」

と出始めの頃は自信満々。(当時は空冷・水冷・油冷どれが優れているのか答えが出てなかった)

・・・が結局のところこのGSX400Xを最後に廃れる事に。

GSX400XとGSX400XS

中を見ても外を見てもこれほどネタが豊富なバイクはなかなか無いですね。

主要諸元
全長/幅/高 2100/715/1115mm
[2100/715/1120mm]
シート高 745mm
車軸距離 1390mm
車体重量 153kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 空油冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 59ps/12000rpm
最高トルク 3.8kg-m/10500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後130/80-17(65H)
バッテリー FB10L-B2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
L8A
または
U24FSC
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.0L
スプロケ 前14|後46
チェーン サイズ525|リンク110
車体価格 569,000円(税別)
[595,000円(税別)]
※[]内はXS
系譜図
GSX400F 1981年
GSX400F/F2/FW/FSインパルス
(GK71A/GK72A)
GSX400インパルス 1986年
GSX400XS/Xインパルス
(GK71E)
バンディット400 1989年
バンディット400/V
(GK75A)
GSX400Sカタナ 1992年
GSX400S KATANA
(GK77A)
GSX400インパルス 1994年
GSX400インパルス
(GK79A)
bandit400V 1995年
バンディット400/V/VZ/リミテッド
(GK7AA)
イナズマ400 1997年
イナズマ400
(GK7BA)
impulse400 2004年
インパルス400
(GK7CA)
前期 2006年
GSR400前期
(GK7DA)
後期 2009年
GSR400後期
(GK7EA)

GSX400F/F2/FW/FS(GK71A/GK72A)-since 1981-

GK74A

スズキ初となる直四400ccバイクなのに加えクラス初となるDOHC16バルブで登場したGSX400F

そのかいあって空冷ながら45馬力を発揮するエンジンは当時トップクラス。

驚くべきはなんとギアポジションインジケーターが付いている。現代のバイクでさえ付いているのは限られてるのに。

翌82年にはツートンカラーのF2モデルを発売。(上の写真のモデル)

そして話題となったのがそれと同年に発売となったSモデルのGSX400FSインパルス。

GSX400FSインパルス

ヨシムラとのコラボモデルでF2をベースにヨシムラ管と調整機能付きサスなどの足廻り強化、そしてヨシムラカラーを纏ったタイプ。馬力も3馬力アップ(Fモデル比)。

GSX400FS IMPULSE

「インパルス」という名の始まりはこのモデルからになります。

さらに翌年には水冷エンジンとハーフカウルを備えたFWモデルが登場。最初は50馬力だったけど翌年に59馬力まで一気にアップしました。

GSX400FW

でも当時はフルカウル車ブームの真っ最中で、ネイキッドの方も人気もCBX400FとZ400FXの二強だったから思ったほど販売台数は伸びなかった。

主要諸元
全長/幅/高 2105/750/1140mm
シート高 775mm
車軸距離 1415mm
車体重量 175kg(乾)
燃料消費率 38km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 399cc
最高出力 45ps/10000rpm
最高トルク 3.5kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前3.25S-19-4PR
後3.75S-18-4PR
バッテリー FB10L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C7EA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ530|リンク104
車体価格 430,000円(税別)
※スペックはGSX400F
系譜図
GSX400F 1981年
GSX400F/F2/FW/FSインパルス
(GK71A/GK72A)
GSX400インパルス 1986年
GSX400XS/Xインパルス
(GK71E)
バンディット400 1989年
バンディット400/V
(GK75A)
GSX400Sカタナ 1992年
GSX400S KATANA
(GK77A)
GSX400インパルス 1994年
GSX400インパルス
(GK79A)
bandit400V 1995年
バンディット400/V/VZ/リミテッド
(GK7AA)
イナズマ400 1997年
イナズマ400
(GK7BA)
impulse400 2004年
インパルス400
(GK7CA)
前期 2006年
GSR400前期
(GK7DA)
後期 2009年
GSR400後期
(GK7EA)

Address50/チューン/EX/WAY(CA1CA/B)-since 1987-

アドレス50

スズキ初のメットインスクーターとなるAddress50
キャッチコピーは「僕らのアドレス」

Addressという名前の由来は「Address(住所)」そのままの意味じゃなくて「add(加える)」と「dress(ドレス)」でアドレス。(スズキにしては遊び心がある洒落た名前だね)

この頃は既にホンダTACTやヤマハのJOGという王道スクーターが居たんだけど、それでもアドレスも負けず劣らずなヒットを飛ばした。
その理由はタクト5.8馬力、ジョグ6馬力に対し6.5馬力というクラストップのスペックを持ってたから。

アドレスTUNE

更に一年後にはアドレスチューンという7馬力にまでチューニングされたスポーツモデルまで発売。
当時、大手二社のスクーターに比べお世辞にもカッコイイとはいえないスクーターと不評だったけど速さはピカイチだった。

スクーターという実用性重視のバイクにおいてですら何よりも速さに重点を置いたのはスズキらしいね。

ちなみにEXはノーマルの上位グレードでWAYはローシートモデル。

主要諸元
全長/幅/高 1675/635/1015mm
シート高
車軸距離 1190mm
車体重量 69kg(装)
燃料消費率
燃料容量 3.7L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 7.0ps/7000rpm
最高トルク 0.75kg-m/6500rpm
変速機 Vベルト
タイヤサイズ 前80/90-10
後90/90-10
バッテリー FT4L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR5HS
推奨オイル スズキ純正オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
ベルト 27601-25E00
車体価格
系譜図
アドレス501987年
Address50/チューン(CA1CA/B)
アドレスV501990年
Address V50/Vチューン(CA1FA)
アドレスV1001991年
Address V100/S(CE11A/CE13A)
アドレス110

1998年
Address110(CF11A)

アドレスV125/G規制前モデル2005年
Address V125/G(CF46A K5~K7)
アドレスV125規制後モデル2009年
Address V125/G(CF4EA K9~)
アドレスV125S2010年
Address V125/S/SS(CF4EA/CF4MA L0~)
2015アドレス1102015年
Address110(CE47A)
2017アドレス1252017年
Address125(DT11A)

GPZ400S(EX400A) -since 1986-

GPZ400S

「昨日が都市派!」

元祖ハーフニンジャことGPZ400S。

二気筒ながら50馬力という侮れないスペックを発生する新設計のスポーツバイクですが、果たしてこのバイクを覚えている人がどれくらい居るでしょうか。

このバイクがハーフニンジャと言われていたのは名前からだけではありません。エンジンが元祖ニンジャとして登場したGPZ900Rのエンジンを半分にしたエンジンだったからです。正確に言うとピストンなどを流用。

EX400A

そのためツインとは思えないビュンビュン系のツイン・・・なんだけど、既にこの時GPZ400Rというカワサキの400史を代表するほどの四気筒の名車が既に居た。

GPZ400R|59馬力
GPZ400S|50馬力

どっちを選ぶかと言われたら四気筒を選ぶのが普通ですよね。

そのため僅か三年余りでカタログ落ちしました。通年で1000台も出なかった模様。

なぜ四気筒が既にあったのに出したのかと

「ミドルは二気筒が最適解」

という考えをカワサキはこの時から既に持っていたからです。

主要諸元
全長/幅/高 2070/675/1165mm
シート高 770mm
車軸距離 1440mm
車体重量 174kg(乾)
燃料消費率 39.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 50ps/10500rpm
最高トルク 3.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-16(54H)
後120/90-16(63H)
バッテリー FB14L-A2
プラグ DR8ES
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ520|リンク104
車体価格 459,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

EN400ツイン/バルカン(EN400A/B/C) -since 1985-

バルカン400

「Live Sports」

厳密に言うとZ400LTDの後継として登場したバルカン400で年号で言えば本当はGPZ400Sより前に出ています。

エンジンはGPZ400Sと同じくGPZ900Rのエンジンを流用したハーフニンジャと呼ばれるもので

『45ps/9500rpm|最高時速145km/h』

というアメリカンにあるまじきというか、エリミネーターの要素が見え隠れするほどのスペックを持っています。

EN400ツインカタログ写真

もちろんプルバックハンドルやティアドロップタンク、それに駆動ノイズを抑えるベルトドライブなどアメリカンのツボは抑えていますけどね。

ところで先程からハーフニンジャと言っていますが

EN400エンジン

「いや400は倍にしても800じゃん」

って思われている人も多いかと。実はこのEN400は国内向けにショートストローク化したモデルで、それとは別に輸出向けに

『454Ltd|EN454』

というモデルがあったんです。

名前の時点で察せるかと思いますが元ネタはそこから。

EN400カタログ

もう一つ補足するとご覧の通りバルカンっていう名前になってないですよね。

これは1985年に出た最初のモデルはEN400TWINというモデルだったから。バルカンという名前になったには5年後にあたる1990年からなんです。

1985:EN400(EN400A)

1990:バルカン400(EN400B)

1994:バルカン400(EN400C)/スポークホイール

※当初この流れを誤解していましたすいません

EN400Bカタログ

そんなEN400/バルカンなんですが、これが出た当時というのはアップハンにしたネイキッドが主体だったアメリカンブームが落ち着いた頃でした。

そんな時代に出たもんだからEN400はあまり見向きされなかったんだけど、1990年代に入ると再びアメリカンが人気に。

しかし今度の人気はVツインエンジンを積んだローロングボディの本格派アメリカンだった。

バルカン400

そのためカワサキも新設計のVツインを積んだバルカン400(VN400A/B)を開発し1995年から発売。

初代バルカンことEN400はお役御免っていう少しかわいそうなモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高 2195/835/1225mm
シート高 745mm
車軸距離 1490mm
車体重量 184kg(乾)
燃料消費率 -km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 398cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.4kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(54S)
後140/90-15(70S)
バッテリー YB12A-A
プラグ DR8ES
または
X27ESR-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.4L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 508,000円(税別)
系譜図
GPZ400S1986年
GPZ400S
(EX400A)
EN4001985年
EN400-TWIN
(EN400A/B/C)
KLE4001991年
KLE400
(LE400A)
EX-41994年
EX-4
(EX400B)
R2010年
Ninja400R
(EX400C/D)
ER-4n
(ER400B/C)
2014年
Ninja400
(EX400E/F)
2018ニンジャ4002018年
Ninja400
(EX400G)

KS-1/2(MX050A/080A)-since 1987-

KS-1

ARシリーズの後継としてデビューしたミニモタードのKS-IとKS-II。

当時は原付&原二はGAGやYSR50をキッカケにレプリカに火が付いた頃でホンダからもNSR50が登場。そしてカワサキからも遂にニューモデルが登場・・・と思ったらレプリカじゃなくてモタードで肩透かしを食らった人は多いかと。

エンジンはARの物をそのまま流用したもので既にルックスはKSRと通ずる所があるが、KSRと違ってあまり人気は出ず三年しか発売されませんでした。

TDR50

というのもモタードというニッチなカテゴリなのに加え、翌年にヤマハからTDR50/80というこれまたRZ50ベースの水冷エンジンを積んだ本格的原付デュアルパーパスが出ちゃったから勝負にならなかった。

二代続けてヤマハに潰されちゃったカワサキは相当悔しかったと思う。

TDR50

でも諦めなかったから今があるんですよね。

主要諸元
全長/幅/高 1560/730/890mm
シート高
車軸距離 1110mm
車体重量 66.5kg(乾)
燃料消費率 -km/L
※定地走行テスト
燃料容量 9.0L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
[78cc]
最高出力 7.2ps/8500rpm
[9.2ps/8000rpm]
最高トルク 0.62kg-m/8000rpm
[0.85kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前後100/90-12(49J)
バッテリー FTH4L-BS
プラグ BR8ES
[BPR8ES]
推奨オイル カワサキ純正2サイクルオイル
オイル容量 全容量1.0L
スプロケ 前14|後40
[前15|後30]
チェーン サイズ420|リンク106
[サイズ420|リンク100]
車体価格 183,000円(税別)
[195,000円(税別)]
※[]内はKS-II
系譜図
90SS/S1968年
90S/SS
(G8)
KH901977年
KH90
(KH90C)
AR50-801981年
AR50/80
(AR50/AR80)
KS-1/21987年
KS-1/2
(MX50A/80A)
KSR-1/21990年
KSR-1/2
(MX50B/80B)
KSR110国内モデル2002年
KSR110
(KL110A)
KSR110後期モデル2012年
KSR110
(KL110D)
KSR110プロ2014年
KSR PRO
(KL110E)
2016年
Z125/PRO
(BR125H)

AR50/80(AR050/080) -since 1981-

KR50

細身のスリムボディに90Sから続くエンジンを搭載したARシリーズ。50と80の他にも125があったけどちょっと志向も系譜も違うので今回は除外しますゴメンナサイ。

50の方はなんとカワサキとしては10年ぶりの原付。高まりつつあった50市場にカワサキが参入すると話題になった。そして蓋を開けてみたら期待を裏切らない本格スポーツの50。

カワサキはこれをKR50(KRというのはカワサキのロードレース用バイク)の様なバイクだと銘打った。

でもイマイチ波に乗れなかったAR・・・というのも火付け役となったRG50が居たのを始め、時を同じくしてホンダからは原付版CBXと言われたMBX50、そしてヤマハからAR同様の7.2馬力に加え水冷のRZ50が発売されたから。

原付スポーツ

この過熱化により原付で時速100超えが当たり前となり事故が多発。
結果として「原付は60km/hまで」とする悲しい自主規制が生まれることになる。

主要諸元
全長/幅/高 1830/625/970mm
シート高 790mm
車軸距離 1195mm
車体重量 81kg(装)
[84kg(装)]
燃料消費率 69.0km/L
[34.0km/L]
※定地走行テスト
燃料容量 9.6L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
[78cc]
最高出力 7.2ps/9000rpm
[10.0ps/8000rpm]
最高トルク 0.62kg-m/8000rpm
[0.89kg-m/7500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前後2.50-18-4PR
[前2.50-18-4PR
後2.75-18-4PR]
バッテリー 6N6-1C
プラグ B8ES
[BP8ES]
推奨オイル カワサキ純正2サイクルオイル
オイル容量
スプロケ 前13|後49
[前15|後41]
チェーン サイズ420|リンク116
[サイズ420|リンク114]
車体価格 153,000円(税別)
[158,000円(税別)]
※[]内はAR80
系譜図
90SS/S1968年
90S/SS
(G8)
KH901977年
KH90
(KH90C)
AR50-801981年
AR50/80
(AR50/AR80)
KS-1/21987年
KS-1/2
(MX50A/80A)
KSR-1/21990年
KSR-1/2
(MX50B/80B)
KSR110国内モデル2002年
KSR110
(KL110A)
KSR110後期モデル2012年
KSR110
(KL110D)
KSR110プロ2014年
KSR PRO
(KL110E)
2016年
Z125/PRO
(BR125H)

VTR1000Prototype-since 1986-

VTR1000プロトタイプ

VTR1000Fが誕生するキッカケとなったのは・・・なんと発売の10年前となる1986年の事。

欧州ホンダがVT1100の狭角エンジンを利用したものを造り

「これ(Vツインスポーツ)を出してくれ」

と提案してきたのが始まり。

ただし、この頃はまだVツインのイメージがホンダにはないとしてお蔵入り。

それから時は流れて1994年。

今度は北米ホンダから同じ様に

VR980

「これ(Vツインスポーツ)を出してくれ」

と、ブロス650のフレームにロングストローク化したアフリカツインのエンジン。

そして足回りはCBR900RRというサンコイチ車VR980を造り、日本に提案だけでなく車体ごと送りつけてきた。

「欧州も北米もVツインスポーツを欲してる」

と理解したホンダはプロジェクトをスタート。

この様に始まり方が普通じゃなかった為に、企画の進め方も普通じゃありませんでした。

というのも

「欧州も北米も欲しているのは分かったが方向性が全然違う」

という問題があったから。

そこでとった方法は日欧米対抗のVツインコンペ大会でした。

第一回は

「各々が思うVツインスポーツ」

第一回コンペ大会

日欧米のVツインスポーツに対する考えが鮮明に出ていて面白いですね。

スポーツとは”味”だと考える欧州、スポーツとは”過激さ”だと考える北米、その間中を取り持つような日本。

更に数ヶ月に行われた第二回は、前回のコンペを見た開発チームからの要望

「スポーツ走行可能な剛性を持たせる」

という条件を設けられました。

第二回コンペ大会

味を捨てたくない欧州は最低限のツインチューブとなり、過激にしたい北米はbimotaかと思うほどドストレートなツインチューブに。

そして日本は相変わらず両者の間中というかバランスを取った形に。

そして第三回は上記に加え

「バンク角90°の水冷Vツイン」

という条件が追加。

第三回コンペ大会

意思疎通が出来つつも小ぶりなハーフカウルで魅せる事を大事にしている欧州に対し、北米は全く譲らず・・・後に紹介するSPが北米で人気だった理由がわかった気がしますね。

そして相変わらず両者の間中を取り持つ日本。

最終の第四回。

「ピボットレスフレーム」

が更に追加。

最終コンペEU案

欧州の最終案は第三回とほぼ変わらず。

ちなみにTHUNDER998という名前でした・・・もしかしたら一年先に出たサンダーエースとサンダーキャットに名前を取られた形なのかな。

話を戻して次は北米。

最終コンペUS案

ツインチューブこそ諦めたものの相変わらず直線基調の高剛性フレームを堅持し、またフレームとVツインをアピールするハーフカウル。

エキゾーストパイプがクロスさせ、真上にカチ上げる事で過激さをアピール。

そして最後は日本。

最終コンペEU案

エンジンをスッポリと覆い隠すようなフレームと、大きく長いハーフカウルが付いているのが特徴的。そして何故かBrembo。

三案とも左右のマフラーの高さを揃えていないのが面白いですね。

これらの案をチーフエンジニアの齋藤さんを始めとした開発メンバーが技術的な検証をし、擦り合わせて一本化したのがこれ。

最終コンペ

これを元に開発に取り掛かる事となりました。

VTR1000Fはデザインだけで実に一年も掛けたわけですね。

主要諸元

※プロトタイプのため不明

系譜図
VTR1000F前期1986年
VTR1000F
Prototype
VTR1000F前期1997年
VTR1000F
(SC36前期)
VTR1000F後期2001年
VTR1000F
(SC36後期)

VTR1000SP-12000年
VTR1000SP-1
(SC45前期)
VTR1000SP-22003年
VTR1000SP-2
(SC45後期)

VT250SPADA(MC20) -since 1988-

VT250スパーダ

「イタリアンVツインスポーツ」

出る時代を間違えてしまった可哀想なVTとして有名なVT250スパーダ。ちなみにSPADAはイタリア語で『剣』という意味。

VTZ250のエンジンをベースにインテーク/エキゾーストバルブの大径化とバルブタイミングを見直し、敢えて馬力を捨て(-3ps)中低速を強化。

そんなVT250SPADA最大の特徴が刻印までされているCASTECフレームです。

世界初となる一体成型アルミ鋳造フレーム。グラビティ鋳造と呼ばれるアルミホイールなどでよく使われる製法で、強度に優れるんだけど歩留まりが悪いっていう弱点がある。

そんな製法でメインフレームを造るなんて無謀とも言える話で、山中さんいわく量産の目処を立てるのが本当に大変だったそう。ただこの一体型キャステックフレームのおかげでスパーダは乾燥重量で140kgとかなり軽量。

spada

何故ここまで拘ったのかといえばスパーダのコンセプトが

「街乗りでも本当の意味での楽しめるバイクを作りたい」

というもので、そのためには軽さが何より大事だったから。

MC20

スーパースポーツを辞め、街中をVツインパルスを刻みつつキビキビ走って楽しめるロードスポーツに焦点を合わせたVツイン。

それがVT250SPADAというバイクでした・・・が、残念ながらそのコンセプトを理解してくれる人はあまり多くは居らず。。。

ちなみに宣伝に伝説のF1ドライバーであるアイルトン・セナを起用したのは有名ですが、実はこれには面白いエピソードがあります。

VT250SPADA

このSPADAをデザインされた小濱さんが、広報からSPADAをどう宣伝しようか尋ねられた際に

「イタリアン・カジュアルがテーマなんでセナがいいっすね!」

と冗談で言ったら広報が真に受けてしまい、しかも本当にその意見が通って急遽イタリアまでSPADAを抱えて飛ぶハメになったんだとか。

VT250SPADAカタログ写真

セナ起用に一番驚いたのは我々ではなくSPADAのデザイナーだったっていうオチ。

主要諸元
全長/幅/高 2010/715/1020mm
シート高 740mm
車軸距離 1380mm
車体重量 153kg(装)
燃料消費率 49.7km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルDOHC2気筒
総排気量 249cc
最高出力 40ps/12000rpm
最高トルク 2.6kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/80-17(52S)
後140/70-17(66S)
バッテリー FTX7L-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EH-9
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量2.5L
交換時1.8L
フィルター交換時2.0L
スプロケ 前17|後54
チェーン サイズ428|リンク132
車体価格 498,000円(税別)
系譜図
VT250F1982年
VT250F
(MC08前期)
MC08後期1984年
VT250F/Z
(MC08後期)
MC151986年
VT250F/Z
(MC15)
MC201988年
VT250SPADA
(MC20)
MC251991年
XELVIS
(MC25)
BA-MC33前期1997年
VTR
(BA-MC33前期)
BA-MC33後期2002年
VTR
(BA-MC33後期)
JBK-MC33前期2009年
VTR
(JBK-MC33前期)
JBK-MC33後期2013年
VTR
(JBK-MC33後期)