「シンプルでありながら豪快、マッシブでありながら繊細」
カワサキのドラッガーであるエリミネーターシリーズで唯一売れたというか唯一広く認知されているであろうELIMINATOR250。
この頃というのはちょうどホンダのレブルを皮切りにアメリカン(カスタム)が流行り始めていた頃で、このエリミネーター250もそんな時代を代表する一車種だったりします。
エンジンは鳩サブレでおなじみGPZ250Rの物を中低速寄りにリセッティングしたもので、フレームもアンダーフレームを追加した物を使っています。
もともとスポーツエンジンだった事から40馬力の6速ミッションで車重も136kg。
・軽い
・速い
・シート低い(690mm)
と三拍子揃っていた事からカワサキとしては唯一といっていい成功アメリカンでした。いや正確に言うとアメリカンブーム黎明期に登場した何か違うドラッガーですけどね。
ちなみにこれは翌1988年から発売されたSE型。
・ビキニ&アンダーカウル
・キャストホイール
・リザーブタンク付きリアサス
などなどでこっちがA型です。
発売時期を入れ替えたのか型式が反対になっていますね。こっちが本筋だったんじゃないかと。
そして3年目にはスポークホイールを履いたLXがEL250C型として発売し、無印モデルは廃止。
自分で切った貼ったしてくださいと言わんばかりのカモノハシテールがいい味を出していますね。
これがエリミネーター250のモデルチェンジ歴になります・・・が、エリミネーター250はシリーズの中で唯一バルカン400並に大変貌をバイクでもあります。
ELIMINATOR250V
(VN250A/B/C)
-since 1998-
車名にVと加わっている事からも分かる通り、V型エンジンを搭載し足を前に投げるフォワードコントロールとなったクルーザースタイルへ大きく変更。
これは人気が高まっていたアメリカンブームに合わせる形となったのが大きな理由で、従来型からガラッと変わった事に対しては賛否両論でした。
しかしスタイリングの良さはもちろん
『35馬力/12500rpm』
というエリミネーターらしさ溢れるパワー系で評判は上々だった・・・んですが、もうこの頃はアメリカンブームも収束気味で少し出遅れたのが致命傷に。
ちなみに2000年からのB型は排ガス規制対策モデル(厳密にはA型後期から)で、2004年からのC型はメッキマフラーなどのモデルチェンジが入っています。
それにしてもなぜ今になってエリミ250なんて取り上げたのか・・・と思う方も多いかと。
これは元々リクエストがあった事もあるんですが何よりも80年代を共に戦ったホンダのレブルが復活した事にあります。
少し前にベイブレードという子供玩具の仕掛け人が成功の理由について
「ブームは一度で終わりではなく周期がある」
と仰っていたのを思い出しました。ベーゴマ人気の周期が来たというわけですね。
じゃあバイクの250がどういうブームを辿ってきたのかザックリ振り返ってみると・・・
・・・これは再びアメリカン(ストリート)ブームが来るに違いない。
幸いカワサキはベースとなったGPZ250Rの末裔であるNinja250が、アメリカンには不向きだけどエリミネーターというドラッガーにはピッタリなエンジンが既にある。
30年の歳月を経て周期再び。
「ナメた奴を返り討ちにするドラッガーELIMINATOR250」
復活するなら今しかない。
主要諸元
全長/幅/高 | 2140/745/1045mm [2140/745/1100mm] {2140/665/1045mm} |
シート高 | 690mm |
車軸距離 | 14900mm |
車体重量 | 136kg(乾) [143kg(乾)] {142kg(乾)} |
燃料消費率 | 47.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 11.0L {[12.0L]} |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC2気筒 |
総排気量 | 248cc |
最高出力 | 40ps/12500rpm |
最高トルク | 2.4kg-m/10000rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前100/90-17(55S) 後140/90-15(70S) |
バッテリー | YB9L-A2 |
プラグ | CR8HSA または U24FSR-U |
推奨オイル | カワサキ純正オイル または MA適合品SAE10W-40 |
オイル容量 | 全容量1.9L 交換時1.5L フィルター交換時1.9L |
スプロケ | 前14|後44 |
チェーン | サイズ520|リンク114 |
車体価格 | 389,000円(税別) [398,000円(税別)] {398,000円(税別)} ※[]内はSE ※{}内はLX |
「復活するなら今しかない」
復活しましたよね、本当に。
かつてのライバルの間隙を縫うかのように2気筒400で現れましたが、成熟したマーケティング視点の結果でしょうし、実際よく見かけるし売れているようです。
いずれ触れるであろう、新生エリミネーターの記事を楽しみにしています。