CBXと聞くと誰もが大ヒットし今も伝説のように語り継がれるCBX400F、またはCB750FOURの次世代を担うフラッグシップとして登場したCBX1000を思い浮かべるでしょう。
このCBX400CUSTOMはCBX400Fの二年後、CBX400INTEGRAに次いで登場したCBX400ベースでハンドルとシート変えただけのナンチャッテアメリカン・・・かと思いきやそうでもない。
このCBX400Fは兄貴分でこの400CUSTOMに勝るとも劣らない不人気さを誇ったCBX650がベース。一部の国ではナイトホークという名で売られていました。
その650と基本的に同じだから背面ジェネレーター、油圧式バルブクリアランスオートアジャスタ、油圧クラッチ、シャフトドライブというCBX400Fとは名前こそ同じだけど造りは違うCUSTOM。そして驚きなのはCBX400Fよりもショートストロークという事。
だから馬力もFと同じ48馬力という申し分ないものを持ってるんだけど、スケールダウン版の宿命というべきか代償として非常に重くなった。CBX400Fに+11kgで大台の200kgに到達。更にルックスのためにティアドロップタンクにしたことでタンク容量も5L減って12Lしか入らない。
足も硬いしシートも足付きを良くするため非常に硬く薄い。まあコレは見た目を優先したと思えば許せないこともない話なんだけど、ここに書いてる事から察して欲しいんだけど人気は出なかった。
CBX400Fの方はCUSTOMが出た後もマイナーチェンジされたりしたんだけど、これは出たっきり。兄貴の650はまだ白バイや教習車に採用されたから救われてるんだけどね。
理由は言うまでもないけどクルーザーというよりネイキッドな腰高ショートフレームだったこと、そしてもう一つは他所だけでなく身内にもライバルがいた事。
Vツインを積んだNV400Custom。CBX400カスタムの二年後に登場したVツインアメリカン。CBXよりも(まだ)クルーザーらしい見た目。まあコレもヒュンヒュン回るアメリカンらしからぬスポーツ性でそれほど人気は出なかったんだけどね。
結局第二次クルーザーブームのきっかけとなった1988年のスティードを出すまでホンダはCBX400CUSTOMとNV400CUSTOMで食い合い、ヤマハのビラーゴとカワサキのエリミネーターによって共倒れする事に。
ちょっと不幸ですよね。でもCBX400CUSTOMが不幸なのはそんな不幸要素が一つじゃないということ。
なんでCBX400CUSTOMなんて出したのかと言えば、このナンチャッテアメリカンタイプは(ホンダに限った話じゃないけど)欧米向けの400オーバーモデルとの二台体制。
言葉が悪いけどフレームもエンジンも基本は同じで、日本でもクルーザー人気が高まりつつあったからスケールダウンしてついでに売ってしまえという感じ。つまりホンダにとっても本命モデルではない。
そして悲しい事にこのバイクのエンジンのベースとなった650は更にスケールアップしてCBX750(コッチも不人気っていう)と続いたのに対し、400の方はCBX400CUSTOMだけ。
理由は半年後にCBR400Fというド本命車が控えてたから。CBX400を10馬力も上回る58馬力を引き下げて登場したCBX400Fの後継車です。
こうなるともう”CBX”というネームバリューも無くなりホンダ400はCBR-Fの一色に。もう誰もCBXなんて気にも止めてませんでした。
今では考えられないけど当時はCBX400Fですら型落ち二束三文だったんですよ。
そしてもう一つの不幸要素はその”CBX”という名前。
CBX400Fが盗難率の高さ、車体価格の高騰により盗難保険への加入が大手保険会社において不可になったのは記憶に新しいと思いますが、何故かその加入不可車両の中にCBX400CUSTOMも含まれているんです。
現役時代には
「こんなのCBX400じゃない」
と言われ認められず
生産終了した今になって
「これもCBX400」
と認められた。
これほど不幸なバイクは珍しいかと。
主要諸元
全長/幅/高 | 2150/830/1160mm |
シート高 | 780mm |
車軸距離 | 1440mm |
車体重量 | 200kg(装) |
燃料消費率 | 40.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 12L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC四気筒 |
総排気量 | 398cc |
最高出力 | 48ps/10500rpm |
最高トルク | 3.4kg-m/8500rpm |
変速機 | 常時噛合式6速リターン |
タイヤサイズ | 前100/90-19(57S) 後130/90-16(67S) |
バッテリー | FB12AL-A |
プラグ | DP7EA-9/DP8EA-9/DP9EA-9 または X22EP-U9/X24EP-U9/X27EP-U9 |
推奨オイル | ウルトラ-U(10W-30) |
オイル容量 | 全容量3.2L 交換時2.2L フィルター交換時2.5L |
スプロケ | – |
チェーン | – |
車体価格 | 525,000円(税別) |
投稿に感謝です。
不遇のバイクでしたが、非常に乗りやすかったです。
シャフトドライブでメンテナンスフリーでしたしね。
2024年の中古価格が158万円!