単気筒 X4 (SC38) -since 1997-

X4

「トルクアート」

ホンダが1997年に発売した未知なる四気筒をX4(エックスフォー)/SC38型。

ローロングなボディにショートデッキシートなど見ても分かるようにワルキューレの流れを組んだアメリカン・・・ではなくドラッガー。

コンセプトスケッチ

このX4のプロジェクトリーダーはBIG-1ことCB1000SFを造った原さんという方なんですが、最初はリアタイヤを230にしようとしたんだとか。

ただこの頃はそんなサイズ無かったから当時としては最大となる190をチョイスした経緯があります。

まあこれのおかげでX4はドラッガーなんだけどワインディングもソコソコ楽しめるバイクになったと考えるとそれで良かったと思いますが。

X4が誕生するキッカケはCB1000SFが大きな理由です。

コンセプトスケッチ

世間を大きく賑わせたCB1000SFだったんですが、絵に書いたようなビッグバイクだった事もあり非常にシートが高く(シート高800mm)乗りたくても乗れない人たちがいるという声が販売店から多く上がってた。

X4ポジション

そういう声に応える大型バイクという事でプロジェクトがスタートした経緯があります。

だからシートが低い事が特徴であるドラッガースタイル(シート高730mm)になっているわけで、2000年からのX4Type LDでは足回りの強化に加え、更にローシート(シート高720mm)となりました。

X4タイプLD

X4にはそういう背景というか経緯があったわけです・・・が、じゃあ

「X4はシート高が低いBIG-1」

と言えるのかというとコレがまた違うんですよ。

ホンダのX4というと世間では決まって

「ホンダのVMAX」

または

「VMAXの直四版」

と言われますよね。

確かにパッケージングはドラッガーだから間違いではないです。

ZONE-X

でもこれ個人的に言わせてもらうとドラッガーじゃないんですよ・・・そこら辺を少し話させてもらいます。

このX4のエンジンはCB1000SFのエンジンを元にしつつも大きく変更したほぼ新設計のエンジン。

約300ccも排気量を上げたわけですが、その内約はボア1mmに対しストロークを13.6mmとほぼストロークに全振り。

これはプロジェクトリーダーだった原さんが

「12kg-mを3000rpmで発揮するエンジン」

という条件を課した事が理由。

パワーカーブ

どうして3000rpmなのかというと公道において一番使われる回転数だから。

つまり公道で最高の直四トルクを味わえるバイクにしたい狙いがあったんです。

でもこれだけだと加速を楽しむドラッガーですよね。

X4が本当に凄い理由、ドラッガーじゃないという理由はココから。

X4の直四エンジンにおいて大事にされたのは”アンチリニア”である事でした。

一般的に直四というとバランスの良さから何処までも回るモーターの様な印象がありますよね。でもX4はそうじゃない正反対の直四を目指した。

X4エンジン

具体的に言うとX4はCB1000SFに対してクランクを40%、フライホイールを30%も重くして慣性モーメントを”わざと”大きくしています。

簡単に言うと重くする事で回り辛くしているわけです。原さんいわく世界中の直四でも最高レベルなほどの重さにしたんだとか。

つまり例えるなら腰が重く回りたがらないエンジンを、ロングストロークの強大なトルクに物を言わせてゴリゴリと回すような形。

だからX4はアクセルを開けても直ぐには応えてくれず

「どっこいしょ」

とワンテンポ置いてグンッと来るマルチよりもシングルやツインに近い特性になっているんです。

SC38

何故こうしたのか・・・それは感じ取れる直四にしたかったからです。

軽く回らないからこそ感じ取れるエンジンの回転、日常域にピークがあるからこそ感じ取れる点火、強大なトルクで回すからこそ感じ取れるクランクの捻れ。

本来ならば分かりにくい直列四気筒の

『エンジンのフィーリング』

をハッキリと伝えるためにこうしてあるんです。

X4

だから直四というよりまるで単気筒が四つ付いているかの様なエンジン。

それを表す言葉がトルクアートであり、X4/SC38型の魅力というわけです。

文献:RIDERS CLUB (ライダースクラブ)1997年10月号 No.282

主要諸元
全長/幅/高 2330/745/1140mm
[2330/745/1130mm]
シート高 730mm
[720mm]
車軸距離 1650mm
[1645mm]
車体重量 270kg(装)
燃料消費率 21.6km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1284cc
最高出力 100ps/6500rpm
最高トルク 12.3kg-m/5000rpm
変速機 常時噛合式5段リターン
タイヤサイズ 前120/70-18(59W)
後190/60-17(78W)
バッテリー 6V-4Ah
プラグ DPR8EA9(標準)/DPR9EA9
または
X24EPR-U9(標準)/X27EPR-U9
推奨オイル ウルトラU(10W-30)
または
ウルトラスーパー8(10W-40)
オイル容量 全容量4.6L
交換時3.7L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前18|後41
チェーン サイズ530|リンク数122
車体価格 890,000円(税別)
※[]内はType LD(Low Down)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

小さく見えるか大きく見えるか Z650 (KZ650B) -since 1976-

Z650

「Z1ジュニア」

説明不要の名車Z1のジュニアというコンセプトで誕生したZ650。

最近になってZのリメイクともオマージュともいえるZ900RSが登場し、飛ぶように売れている事でZ熱が再び高まりつつ有るような・・・無いような。

しかしそういった場合の『Z』というのはZ1/Z2であって、このZ650ではないですよね。

ザッパー

でもですね・・・空冷Zの系譜というか国内におけるZ史を支えたのはZ1でもZ2でもなくこのZ650なんですよ。

そこら辺を掘り下げて書いていこうかと思います。

Z650が登場したのはZ1から4年後となる1976年の事。

Z1とZ650

カワサキのZ1は北米戦略車として造られた経緯があり、その狙い通りに成功を納め、後継も順調に出ていました。

しかしライバルだったCB750FOURに完全に勝っていたかと言うとそうでもなく、取り回しの軽快さなどはCB750FOURの方が優れている面があった。

だからそれに対抗できる車種

「ライトウェイトスポーツなZでZ1と挟撃をしよう」

と考え造られたのがZ650というわけです。

Z650カタログ写真

Z1がニューヨークステーキ作戦(開発コード103)と呼ばれていたのに対し、Z650はサーロインステーキ作戦(開発コード202)。

全体的にコンパクトに絞り、エンジンも最高速を狙ったものではなく軽い吹け上がりなどのレスポンス重視したもの。

そしてその狙いはメイン市場だった北米を中心に見事に当たり

「ナナハンより優れたロクハン」

と高い評価と人気を呼び、リアを16インチにしたF/SRやカスタムモデルなどバリエーションが展開されるまでに至りました。

ちなみにこれは余談なんですがZ650と並行する形でもう一つ開発を進めていたZがあります。

それは開発コード0280と呼ばれていたZで、なんと2stスクエア4エンジンを積んだモデル。

0280

しかしオイルショックなどの影響でお蔵入りとなり4stであるZ650で行くことに。

こんなのZでもザッパーでも無いですよね・・・説明し損ねましたがザッパーというのは

「風を切って軽快に走るカワサキのスポーツバイク」

という意味です。

正確に言うとZ650やその系譜を言い表す言葉ではないんですが、まあ細かい事はいいでしょう。

話を戻しますが、何故Z650の評判がこれほど良かったのかと言うと、見た目こそZ1の流れを組んでいるものの

”Z1の縮小版”

ではなくZ1の問題点を解消するために

”時代を先取りした設計”

だったからです。

KZ650BE

Z650がZ1/Z2と大きく違う部分はフレームもそうなんですが一番はエンジン、その中でも特筆すべきはクランクシャフトです。

Z650は現代の主流であるメインジャーナルやクランクピンなどが一体成されている一体型(一本物)と呼ばれるものになっています。

対してZ1/Z2は組立式といって一つ一つがバラバラでプラモデルのように組み立てて一本にするタイプでした。

Z1クランクシャフト

本当はZ650もこの組み立て式クランクで行く予定だったんです。

しかしZ1に引き続きエンジン設計担当となった稲村さんは組立式クランクの重量増とノイズを嫌い、一体型にしたいと考えていた。

上からはZ1で培った組立式で行くように再三に渡って言われるも、稲村さんが全く聞き入れず両方造って一体型の方が優れていることを実証することで一体型に決まったそう。

Z650が軽快で軽い吹け上がりを持つライトウェイトスポーツになれたのは、この擦った揉んだありつつも一体型クランクを採用できた事が大きいわけです。

Z650カタログ写真

そして最初にも言ったように一体型クランクというのは現代ではメジャーになっているものだから、この先見の明があったZ650エンジンはその後、排気量を上げてZ750FX-IIに積まれる事になったのを始め、Z750GPやGPz750、果ては750Turboにまで使われる事に。

750ターボ

ちなみにターボ化のキッカケも一体型クランクを譲らなかった稲村さん。

「ターボ積んでリッターと張り合えるナナハンにしたら面白いんじゃない」

と言い出したのが始まりなんだそう。

そんな名機として数々のナナハンZを生み出すことなったZ650の系譜の最後を飾ったのは、系譜の外側でも紹介しているZR-7と・・・

ゼファー750

これまた有名なZEPHYR750ですね。

実に30年にも渡りザッパーの系譜は時代に流される事なく続きました。

Z650の開発陣たちもまさかこれほど続くとは夢にも思ってなかったそう。

Z650シャツ

あまりの名機っぷりに海外ではエンジンがTシャツとして売ってる始末です。

最後に・・・

繰り返しになりますが、ここまで系譜を築くことが出来たのはZ650が単にZを縮小しただけだけのバイクではなく

『守る部分は守り、攻める所は攻めたZだったから』

KZ650B

知らない者には小さく迫力がないように見えるけど、知る者には大きく威風凛々として見えるZ。

それがZ650/KZ650Bというバイクなんです。

文献:別冊 MOTORCYCLIST (モーターサイクリスト) 2007年3月号

主要諸元
全長/幅/高 2170/850/1145mm
シート高
車軸距離 1420mm
車体重量 211kg(乾)
燃料消費率 48.5km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 16.8L
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 652cc
最高出力 64ps/8500rpm
最高トルク 5.8kg-m/7000rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H-19(4PR)
後4.00H-18(4PR)
バッテリー YB10L-A2
プラグ B7ES
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量3.5L
スプロケ 前16|後42
チェーン サイズ530|リンク102
車体価格 435,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

決めつけられたシングルの正解 Goose250/350 (NJ46A/NK42A) -since 1991-

グース

「SINGLE SUPER SPORTS」

スズキが1991年に出したGoose350/NK42Aと、その一ヶ月遅れの1992年に出したGoose250/NJ46A。

250と350の違い

倒立フォークやオイルクーラー、アルミサイドプレートの有無が250と350の分かりやすい見分け方です。

ちなみにガチョウ(Goose)という車名の由来は単にガチョウから取ったわけじゃありませんよ。

グースネック

マン島TTレースの名所、Rも勾配もキツく、ガチョウの首の様な事から”Gooseneck”と命名されたコーナーの形にサイドプレートが似ていた事からグースと名付けられています。

グースネックとグース

グースは単気筒ということからノスタルジーなバイクというイメージを持っている人が多いと思いますが、スズキが自負している様にスーパースポーツバイクです。

エンジンはオフロードモデルであるDR250/350の物がベースなんですが、油冷や三軸三角形レイアウトを見れば分かる通りGSX-R750の技術を盛り込んだ当時としては最先端エンジン。

グースのエンジン

つまりそのままでも十二分なエンジンなんだけど

ソコから更に

・吸気ポートとキャブの大径化

・吸気のハイカム化

・シリンダーヘッドの冷却フィン拡大

などなどヘッド周りに大きく手を加え、上を伸ばす改良が入っています。

グース350エンジンの線画

ちなみにこの変更点もGSX-R750技術の流用。

つまり上も下もGSX-R750直系のシングル版GSX-R750みたいなもの。

何故そう言い切れるのかというと、このエンジンを造ったのは清水さんという方なんですが、実はGSX-R750のエンジンも造った方だから。

「10000rpmまでストレスなく回せるようにした」

と自信満々に語っていました。

そしてそんなエンジンが積まれるフレームは綺麗な形をしたダイヤモンドトラス。

グース350

「マスプロダクションからの脱却」

というコンセプトを象徴する綺麗なフレームですが・・・ここでちょっと補足。

実はGooseには似ているバイクがあります。それはGooseが出る4年ほど前に出たイタリアジレラのサトゥルノというバイク。

ジレラ サトゥルノ

これは当時行われていたマン島TTシングルクラスを睨んで出されたバイク。

そしてこのサトゥルノを開発したのはアマチュアながらレースで活躍していた萩原さんという日本人。

彼がジレラのエンジンを欲した事を伊藤忠の人間が耳に挟んだことがキッカケで、サトゥルノの開発まで話が発展したわけです。

その後、再び日本国内でレース活動をしていた時に、今度は別の人が声をかけました。

POP吉村さんです。

マシンとエンジン音を聞いただけで萩原さんの技量を見抜き

「凄いやつが居るぞ」

とスズキに持ちかけたんです。

そして萩原さんの考えるシングルスポーツの考えと、サトゥルノと違い筑波を意識したコンセプトがスズキに入ってきた。

グースの始まりはここになります。

しかし・・・当時スズキはNZ250(1986~)というシングルスポーツを出して大コケしていました。

NZ250/S

この一件がトラウマとなりスズキは

「シングルスポーツの需要は無い」

と結論づけていたんです。

ところが萩原さんのコンセプトに対し

「こうしたらもっと良くなるんじゃないか」

と自分の考えを持ち寄るスズキ社員が後を絶たなかった。

そうやって社内で熱が高まって行き、遂には形となってしまい

NK42A

「これは絶対に出すべきだ」

という市場からの要求ではなく、社内からの要求で市販化という異例な経緯を遂げる事となったんです。

そんなスズキ社員達の熱意が分かりやすく現れている部分があります。

グースのフレーム

それはSマークが入ったアルミピボットプレート。

サーキットすらも走り切れる剛性と強度を持たせたいとして肉厚にし、またピボットアクスルを貫通式ではなく分割のボルトオンにすることでナットの飛び出しを抑えた。

もちろんメインフレームの高剛性化もそうだし、GSX-R750の流れを組む高回転型油冷エンジンも同じスズキの熱意の現れ。

じゃあスズキが訴えたかった事が何かと言えば

”シングルエンジンの可能性”

です。

グースのシリンダー

シングルのバイクといえば誰もが低回転からドコドコ回り、厚いトルクとゆったりポジションでのんびり走れる事が魅力だと勝手に決めつけている。

でもそうじゃない。

高回転エンジン&高剛性フレームでコーナーに臆することなく突っ込み、立ち上がりでは競走馬のように鞭を打って加速する魅力もシングルにはある。

スズキグース

「シングルの正解は一つじゃない」

スズキのエンジニア達はこの事を訴えたかったわけであり、それを形にしたのが

”単気筒スーパースポーツ Goose”

というわけです。

余談

グースの開発チームが発売と同時に手掛けた公式カスタムモデルがあります。

『Goose350R ※40馬力レース仕様』

グース350R

凄く弄っている様に見えますが、実はロケットカウルとカウルステー以外は流用が多いライトカスタム。

参考にしたい人がいるかも知れないので変更点を書くと

・エアクリーナーとファンネルの撤去

・メインジェット#125→#150

・ニードルジェットのブリードを塞ぐ

・250Γ-SP用とのニコイチ前後サス

・シリンダーヘッド0.4mm面研で圧縮比+0.5

・レーシングプラグR017-10

・放熱量を上げたオイルラジエター

・GSX-R750のKIT用バルブスプリング

・オリジナルイグナイターで+1000rpm

・トルクリンクとマフラーブラケットのアルミ化

・バッテリー小型化

・コブラのブレーキキャリパー

・ステンブレーキホース

・チタンエキゾースト

・R750のKIT用サイレンサー

・リアタイヤを150/60R17に

などなど。※全てではありません

ただ開発チームによるとエンジンを弄っても劇的な変化は無く、リアサスをGSX-R400やRG250Γ向けの社外品にするだけ(※要調整)でもかなりレベルアップするとの事。

反対にフロントフォークは下手に弄らない方がいいそうです。

ちなみにGoose350Rに乗ったバイクジャーナリスト達は

「これほど面白いシングルは無い」

と口を揃えて大絶賛しています。

そしてプロジェクトリーダーの松村さんの発言からしても、恐らくこのGoose350RがGoose350/250の理想形。

グースのカタログ写真

「モデルチェンジで更に走りに磨きを掛けたい」

と意気込んでいました・・・が、カタログ馬力で多気筒に引けを取ってしまう事や、決めつけられたシングルバイク像では無かった事などで人気は出ず、モデルチェンジの機会を与えられる事もなく生産終了。

開発チームの”訴え”も”願い”も聞き届けられる事はありませんでした。

主要諸元
全長/幅/高 1995/710/1350mm
シート高 770mm
車軸距離 1350mm
車体重量 139kg(乾)
[145kg(乾)]
燃料消費率 50.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 15.0L
エンジン 油冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 249cc
[348cc]
最高出力 30ps/9000rpm
[33ps/8000rpm]
最高トルク 2.6kg-m/7500rpm
[3.3kg-m/6500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70-17
後130/70-17
[前110/70-17
後140/70-17]
バッテリー YTX9-BS
[YTX12-BS]
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR8EK
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.2L
交換時1.7L
フィルター交換時1.9L
スプロケ 前14|後44
[前14|後36]
チェーン サイズ520|リンク106
[サイズ520|リンク102]
車体価格 499,000円(税別)
[569,000円(税別)]
※[]内はGOOSE350
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

聖地突貫ダブルレプリカ TDR250 (2YK) -since 1988-

TDR250

「ROUGH ROADER」

レーサーレプリカTZR250/1KTの45馬力エンジンを積んだデュアルパーパスのTDR250/2YK型。

何故こんなバイクを造ったのかというと、キッカケは前年に行われたファラオラリーにあります。

ファラオラリー

ファラオラリーとはアフリカ大陸の北端にあるエジプト砂漠を11日間4815.64km走る非常に過酷なデザートレースの事。

このラリーに

・冒険家で有名な風間深志さん

・俳優の根津甚八さん

・ミュージシャンの宇崎竜童さん

・YSP等々力の社長だった浅井明さん

この四方が主体となって結成されたMAC(Motorcycle Adventure Club)が参戦。

ファラオラリーTDR

その際に使われた車両がこれで、XT600Ténéréをベースに2st250cc(恐らくTZ250系)のエンジンを積んだ三菱マークが特徴的なTDR(Twin Dirt Racer)というバイク。

浅井TDR250

オンロードでは180km/h、オフロードでも140km/hという速さを誇り、クラス別で優勝する快挙を達成しました。

これを受けて市販化される事になったわけです。つまりTDR250はラリー生まれの成り上がり系。

ヤマハTDR250

とはいうものの、ラリーレイドマシンをそのまま出したワケではありません。

コンセプトこそ引き継いでいるものの、市販車として一般ユーザー向けに一から開発。

TDR250の内部

ダブルクレードルフレームと45馬力2st並列二気筒エンジンというオンロード構造をベースに

・フロントを18インチに上げアルミスポーク化

・最低地上高を稼ぐクロスアップマフラー

・ローギアード化

・オンオフ両対応のバリアブルタッチブレーキ

※マスターシリンダーとホースの間にピストンとバルブを仕込みブレーキのプログレッシブ化

・十二分なホイールトラベル

・ラリー譲りの防風カウルとポジション

TDR250パンフレット

などなどオフロード要素を詰め込んだ形。

ラリーレプリカボディにレーサーレプリカエンジンでWレプリカという面白いパッケージングなんですが、開発経緯もこれまた面白い。

ラフローダーTDR250

開発にあたりまずチームはバイパスやワインディングなどTZR250やRZ250Rが得意とする主要幹線を敢えて苦手なSEROWやDT200Rで走り込みました。

そして今度は逆にSEROWやDT200Rが得意とするダートや林道といった外れた道を敢えて苦手なTZR250やRZ250Rで走り込んだんです。

北海道

まるで罰ゲームのような行為ですが、これは苦手とするシチュエーションを楽しむには何が必要かを自ら体験するため。

そうやって実験を重ねた末に生み出されたのがオンロードベースにオフの要素を詰め込んだTDR250。山に籠もってSEROWを造ったメーカーだけの事はある体当たり開発ですね。

ただ、あまりにも北海道で走り込んだせいか開発者も当時のプレスリリースインタビューで

北海道の風景

「今もTDR250に乗ると北海道の広大さを思い出す・・・。」

とセールストークではなく北海道ロスな心情を語る始末。

そんな楽しんできただけの疑いがあるほどの熱で造られたもんだから、TDR250はバイク乗りの聖地である北海道において、道を選ばず気持ちよく走り抜けられる聖地突貫バイク。

TDR250/2YK

ただラリーレイドレプリカという事から宣伝ではオフ色が強めでした。

このせいで実際はオンロードの方が得意なんだけど、それが伝わらずオン派からは見向きもされず。

かといってオフ派からは

「こんなカッ飛びオフ何処で乗るんだ」

と言われる始末・・・誰もが北海道を走るわけじゃないですからね。

これがTDR250の残念ポイント。

もしも現代のTDR250に対する評価に沿った宣伝をしていたら、もう少し違った結果になったと思います。

TDR250カタログ写真

「楽で便利で速いマルチツールクオーター」

という評価です。

主要諸元
全長/幅/高 2080/785/1215mm
シート高 820mm
車軸距離 1385mm
車体重量 134kg(乾)
燃料消費率 43.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷2サイクル二気筒
総排気量 249cc
最高出力 45ps/9500rpm
最高トルク 3.6kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56H)
後120/80-17(56H)
バッテリー GM4A-3B
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BR9ES
推奨オイル オートルーブ
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量1.4L
スプロケ 前14|後45
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 479,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

こう見えて宗一郎のお墨付き モトコンポ (AB12) -since 1981-

モトコンポ/AB12

「ライヴに遊べるトラバイ(Trunk Bike)」

モトコというアダ名で根強く親しまれ再び人気急上昇中のような気がする全長わずか1185mm、車重も装備重量で45kgしかない原付一種のモトコンポ/AB12型。

大きさ

こうやってカブやモンキー50と並べてみるとモトコンポが如何に小さく、また背が低いかが分かりますね。

何故これほど小さいのかというと

「シティ(車)に積めるバイク」

というのがコンセプトだった事にあります。

シティとモトコンポ

キッカケは後に『HY戦争』と呼ばれるようになった原付を中心に巻き起こっていたホンダとヤマハの常軌を逸したシェア争い。

そこで

「車を買う人に原付も買ってもらって台数を稼ごう」

という算段だったわけです。

補足:HY戦争の系譜

ただ少し驚きだったのはモトコンポの開発を要請したのがHY戦争の陣頭指揮を取っていた二代目ホンダ社長の河島さん、つまり社長勅命プロジェクトだったということ。

もしかしたら河島さんは70年代に行われていた『ホンダアイディアコンテスト』を覚えていたのかもしれないですね。

原付に乗る本田宗一郎

これはホンダの若手技術者が枠にとらわれず自分のアイディアを形にしてプレゼンする大会。

そしてそこで出された一つが『携帯用オートバイ』という作品。

モトコンポ原案

どう見てもモトコンポですね。

しかも実はこの『携帯用オートバイ』はその斬新さから社長賞つまり本田宗一郎賞を取っています。

モトコンポ積載

それから10年、まるで掘り起こされる様な形で市販化となったという話。モトコンポが宗一郎のお墨付きというのはこの事から。

ただしこれには少し問題がありました。

というのも社長の勅命が下った時、もう既にシティは完成しており約半年後に控えた発売日を待つ状態だった。そんな差し迫った状況からモトコンポの開発は始まったんです。

しかも開発メンバーは僅か4人で突貫工事のようなスケジュール。メンバーの一人だったデザイナーの小泉さんいわく

コンセプトスケッチ

『箱』

というデザインコンセプトのもとスケッチをサクッと終わらせ、クレイモデル(検討/修正するモデル)をすっ飛ばしていきなりモックアップモデル(見本的なモデル)を造って開発開始。

設計も実質2人だけだったにも関わらずモックを忠実に再現しつつガソリンが溢れないように完全密閉タンクや逆止弁、そして折り畳み格納ハンドルなどでシティに積めるよう随所に創意工夫。

モトコンポ横積

そのため意外と知られていないんですがモトコンポは横積みも出来るようになっています。

シティに積むことを考えただけあってスッポリ収まる絶妙な固定ですね。ちなみにシティの荷台の幅は1270mmです。

モトコンポ説明文

ではこの圧倒的なコンパクトさをどうやって実現させているのかというと中身はこうなっています。

モトコンポの中身

牛の部位紹介みたいになっていますが、中でも注目してほしいのはメインフレーム(黒い横線)の上と下の境目。

パワーユニットを全てメインフレームの水平ラインより下に配置しているのが分かると思います。これがモトコンポ一番の特徴。

モトコンポはシティに積める事が絶対条件だったんですが、加えて開発チームが絶対に実現させたかったのが

モトコンポカタログ写真

「上面を平らに出来るようにする事」

でした。

そのためにこうやって下に全て詰めてハンドルやシートを収納出来るスペースを確保したわけですが、何故そこにこだわったのかというともちろん

モトコンポ折りたたみ時

「箱感を出すため」

です。

これが可能だったのは河島社長から出された勅命が

「シティに積めるバイクを造れ」

という条件”だけ”でコストについての言及が無かったから。

だからパワーユニットこそ開発が間に合わない事からロードパルから流用したものの、そのぶん車体回りへのコストをあまり気にせず箱にする事だけを考えて造ることが出来た。

シティとモトコンポ

ベースであるロードパルより1万円以上高い8万円という車体価格になったのはこれが理由。

加えて生産が大変だった事もあります。モトコンポの生産が始まると生産工場から

「なんてものを造ってくれたんだ」

とクレームが入ってきたんだそう。

これは車体全体を箱にするためプラスチックでキッチリ覆ったことで気温の変化による歪みから組み付けが難しくなってしまったから。

モトコンポの価格

加えてシティに合わせて豊富なカラーリングも用意と、実は結構バブリーというか大変なモデル。

デザイナーだった小泉さんも

「本当はこれ8万円で売るようなバイクじゃないんですよ」

と仰っています。※Honda Designより

NCZ50カタログ

そんなモトコンポですが市場でどうだったのかというと81年から85年までに約5万台売れました。

5万台と聞くと凄い数字と感じるかも知れませんが当時としてはそうでもない数字。タクトなんかは単年で18万台でした。

そもそもモトコンポはシティのオマケ的な立ち位置で、バイク層からすると一部のマニア向けだったことを考えると大健闘とも言えますが。

逮捕しちゃうぞのモトコンポ

ちなみにバイクマニアとして有名な漫画家の藤島さんが『逮捕しちゃうぞ』に登場させた事で人気が出たのですが、これは86年の漫画でモトコンポは既に生産終了してたっていう・・・アニメに至ってはもっと後の事。

原付層(当時で言えばファミリーバイク層)にウケなかった理由としては

「ファミリーバイクとしては少し厳しかったから」

といえるかと思います。

HONDAモトコンポ

まず一つ目としてパワーユニットがせいぜい40km/hがやっとな変速機のない2.5馬力という既に旧世代エンジンだった事に加えガソリンタンクも2.2Lしか入らず航続距離は50km未満だった事。

そしてもう一つは車に積むというコンセプトに少し無理があった事です。

皆さんモトコンポを車に積んで走っている人を見たことがあるでしょうか・・・恐らく無い人が大半かと思います。これが何故かというと車内が臭くなるからです。

モトコンポカタログ写真

これは蒸発ガソリンの大気放出が禁止となった2018年以前のバイク全てに言えることでモトコンポに限った話ではないんですが、車に積むとガソリンを積んでいる以上どうしても蒸発するガソリンが漏れ出てしまう。

つまり手軽に積めて邪魔にもならないけど、そうするとずっと車内がガソリン臭くなってしまうんですね。買ったはいいものの車に積まず庭やガレージに置きっぱなしにする人が多かったのもこれが理由。

要するにモトコンポは毎日の下駄的な使い方も、そして車に積んで現地で乗るという用途も少し難しい面があったから広く受け入れられる事がなかった。

トランクバイク

でもこれはあくまでもモトコンポを当時の下駄車として見た場合。

大衆の下駄車が原付から軽自動車に変わったいま改めてモトコンポを見ると、平面主体のプラ外装だから思い思いにデコったり着せ替えたり出来るし、走りがダメだからこそチューニングやカスタムのやりがいもある。

『盆栽4mini』

として高いポテンシャルを持っている事に改めて気付き、また実際に行動に移す人が急増しているから人気が出ている。

まあただこれは4mini沼にハマったマニアにおける話。

モトコンポが他と違って広く愛される最大の魅力はもう本当に見たまんま。

モトコンポ黄色

「バイクっぽくない」

という事からでしょう。

だからこそバイクに詳しくない人でも乗ったり弄ったり、そして飾ったり眺めたりする事に抵抗が生まれない。それが幅広い人気に繋がっている。

AB12

「必死に箱に擬態してる小さいやつ」

そんな愛らしい佇まいが多くの人を惹き付けるモトコンポの魅力ではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 1185/535/910mm
シート高
車軸距離 830mm
車体重量 45kg(装)
燃料消費率 70.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 2.2L
エンジン 空冷2サイクル単気筒
総排気量 49cc
最高出力 2.5ps/5000rpm
最高トルク 0.38kg-m/4500rpm
変速機 自動遠心クラッチ
タイヤサイズ 前後2.50-8-4PR
バッテリー 6V-4Ah
プラグ BP2HS/BP4HS(標準)/BP5HS
または
W9FP-L/W14FP-L(標準)/W16FP
推奨オイル ホンダウルトラ2スーパー
オイル容量 1.0L
スプロケ
チェーン
車体価格 80,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

名は体を現す ELIMINATOR750/900 (ZL750A/ZL900A) -since 1985-

エリミネーター900

「SUPER CRUISER FOR PURE MEN」

エリミネーターシリーズのトップエンドとなる輸出向けエリミネーター900と、国内向けのエリミネーター750。

僅か二年ほどしか発売されなかった事と、お世辞にも人気があったとは言えない車種なのに何故かリクエストが多数・・・まあ確かに強烈ですからね。

エリミネーター900カタログ写真

何が強烈かと言うとエンジンを見てもらうと分かります。

エリミネーター750/900は水冷直列四気筒を搭載しているわけですが、飛び抜けていたと言うか、開き直ったと言うべきか。

これただの水冷直列四気筒ではなく最速フラッグシップとして前年に登場した元祖NinjaことGPZ900/750の物なんです。

1985年エリミ900

現代で例えるなら世界最速ZX-14Rが登場した翌年に、そのエンジンをローロングボディに搭載した物が登場したようなもの。

「えぇ・・・」

と、思いますよね。

しかもわざわざエンジンを低回転寄りにチューニングし、シャフトドライブ化&ローギアード化までされている。

ZL750Aカタログ写真

だからスタートダッシュは世界最速のGPZより速い。完全な直線番長というかシグナルGPしか見てない様なバイク。

つまり(誤解している人が多いですが)エリミネーターはアメリカンでなくドラッガーです。

ZL900Aカタログ写真

低く構えるライディングポジションがそれをよく表しています。

ジャパニーズアメリカンのジャメリカンではなく、ジャパニーズドラッガーのジャラッガー・・・いやジャパッガーかな。

まあそれはさておき、何故これほどのインパクトを持ったエリミネーター750/900が不人気だったのかと言うとバッティングした事が大きいです。

後に『ヤマハの至宝』と言われるまでになった怒派手でVブーストによる怒涛の加速をする1200のアレ。

実はアレもエリミネーター900と同じ1985年なんです。しかも向こうが先に出ている。※1984年発表

ZL900A

いくら何でも分が悪いと言うか、ハッキリ言ってしまえば明らかに向こうの方がドラッガーバイクとしては一枚も二枚も上手だった。

エリミネーターも悪いバイクでは無かったんですよ。

ただちょっと飾りっ気や配慮が無いことや、燃費悪いのにタンク容量が11Lしかないという人によっては致命的とも言える部分があるだけ。

ELIMINATOR750

もう少し顧客や市場を鑑みる事が出来なかったのかと思うかも知れませんが、これが80年代カワサキなんです。

この頃のカワサキは本当に唯我独尊で

「コダワリがある」

とも言えるし

「配慮がない」

とも言える一か八かみたいなバイクだらけだった。

これはエンジニアが頑固者の集まりだった事があります。

「うちは技術主導で営業に口を挟ませない」

これはエリミネーター900の実質後継ZL1000にも使われる事となるエンジンを持ったGPZ1000RXでの開発者の発言。

他にも

「営業が市場リサーチを持って来るがそんな物は見ない。リサーチなんて集計した時点で過去の物だ。」

というBtoCにあるまじき発言まで。

ただそんな頑固とも硬派とも武骨とも言える姿勢を当時のカワサキユーザーが支持していたのも事実。

エリミ750カタログ写真

『男カワサキ』

っていうフレーズを見たり聞いたりした事はあると思います。

もうあまり聞かないうえに半分ネタのようなフレーズになっているけど、当時はメーカーもライダーもその事を心の底から誇っていました。

エリミ750カタログ写真

しかしそれで二輪事業が好調だったかというと必ずしもそうとは言えず、ついていけない人がほとんどだった。

だから当時の二輪事業は完全に川崎重工業のお荷物状態。そんな状況を何とかしないといけないと人事を始め組織が大きく変わり始めたのが1986年頃。

そしてZEPHYRの成功を皮切りに、W650やESTRELLAなど柔軟な姿勢に変わっていった。

エリミ750カタログ写真

『男カワサキ』

というフレーズを最近聞かなくなってきているのはカワサキが若者から非常に人気があるメーカーに生まれ変わったから。

ただしこれはエリミネーター750/900が出た後の話。

エリミネーターはそんな変革を迎える寸前の1985年に出されたバイク。だから当時の雑誌インタビューなどでもカワサキのベテラン開発ライダーの衣笠さんも当時こう仰っていました。

カワサキELIMINATOR900

「ウチはチャラチャラしたものは要らない」

その考えは少しチャラさが必要なドラッガーも例外ではなく”エリミネート(排除)”され誕生したのがエリミネーター750とエリミネーター900。

80年代の男カワサキを体現したような最初で最後のドラッガーです。

余談

エリミネーター900をはじめ多くの大型バイクの開発ライダーをしていた斎藤さんが個人的に好きだった、もっとやりたかったバイクはエリミネーター900との事。

※KBM1999/7より

主要諸元
全長/幅/高 2255/805/1085mm
[2240/810/1075mm]
シート高 755mm
[745mm]
車軸距離 1610mm
[1595mm]
車体重量 238kg(乾)
[238kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 11.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
[908cc]
最高出力 77ps/9000rpm
[105ps/9500rpm]
最高トルク 6.7kg-m/7000rpm
[8.7kg-m/8000rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-18(56H)
後160/80-15(74H)
バッテリー YB14L-A2
プラグ D8EA
または
X24ES-U
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量3.7L
スプロケ
チェーン
車体価格 745,000円(税別)
※[]内はエリミ900(ZL900A)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

エコの裏で蠢くエゴ BURGMAN FCS (DR11A) -since 2017-

バーグマン フューエルセルスクーター

「フューエルセルスクーター」

国内唯一の燃料電池二輪車として登場したバーグマンFCS。

既にナンバーを付けて公道での実験走行が始まっており、2020年頃の一般発売を目指しています。

白バイバーグマンFCS

イギリスでは既に白バイとしても試験的ながら活躍中。

一度の補給で120km走る事が可能で最高速度は75km/hとの事。

※今回はバイクの話というよりもEV&FCVや国や企業の話が中心です。

バイクではまだまだメジャーではないので、恐らく自分を含め多くの人がEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)の違いが今ひとつ理解出来ていないと思います。

と言うか興味ない人が大半か・・・モーターショーでこのバーグマンFCSも試乗できたんですが人気なかったようで。

構わずに話を進めますが、まずEVについてはヤマハが出したEVバイクEC-03を例に紹介。

EC-03

電動バイクはバッテリー(電池)に蓄えられている電気でモーターを回して走る・・・まあ普通ですよね。

ただし電気自動車がモーターからシャフトを通してタイヤを駆動させるのに対し、バイクの場合はインホイールモーターといって文字通りホイールの中に直接モーターを仕込む構造が一般的。

インホイールモーター

「EVはトランスミッションが不要」

と言われているのを聞いたことがあると思いますが、それはモーターの場合トルクカーブ(パワーバンド)が無いに等しく、また回転数の幅も広いことから変速が要らないから。上の写真にも載っている遊星減速機一つで事足りるわけです。

ただしこれは厳密にいうと

「トランスミッションは無くても大丈夫」

と言った方が正しいかもしれません。

NSKインホイールモーター

ベアリングでお馴染みNSKが変速機能(LOW/HIGH)付きを2017年に開発しました。

何故こんな物を作ったのかというと、ホイールに収まる小さいモーターでも動かせる様にするため。

クルマは大きなモーターで、バイクのはそこまでのトルクは要らないから今のところ不要ないのが現状。

クルマは重いからインホイールモーターになったら変速機が必要になるかもね。

もちろんインホイールモーターではないEVバイク、ガソリンエンジンのスペースがバッテリーと大きなモーターになっていてチェーン駆動するタイプも既にあります。

エネルジカ

これはイタリアメーカーENERGICA(エネルジカ)が作っているEVバイク。

145馬力/6000rpmで、上で言ったように開け始めから最大トルクが出るのでスタートダッシュは200馬力のリッターSSよりも速いです。

製造元のエネルジカは2019年から始まるMotoGPのEVクラスMoto-eにも車両(ワンメイク)を用意する予定。

そんなEV車にとって欠かせないメカニズムがあります。

「回生ブレーキ」

というやつです。

モーターでタイヤを回すのではなくタイヤ(駆動)でモーターを回す制御に切り替えて発電するシステム。

化学反応

そうする事でモーターが発電機となりバッテリー充電するというわけです。ガソリン車でいうエンジンブレーキと近いですね。

ではFCV(燃料電池車)は何なのかというと、水素を燃やして走る・・・と勘違いしている人が多いですね。それは燃料電池車ではなく水素燃料車です。

ハイドロジェンRE

マツダがやっている「ハイドロジェンRE」がそれです。

何故にマツダのしかもロータリーなのかというと、吸気・圧縮・燃焼・排気を全て同じ燃焼室でやるレシプロエンジンと違い、それぞれ別の部屋になるロータリーの方が自然発火(ノッキング)を起こしやすい水素と相性が良いから。

水素ロータリー

ただマツダの研究レポートを読むにパワーがガソリン車の半分ほどしか稼げず、光化学スモッグや酸性雨を引き起こす有害物質のNox(窒素酸化物)が出てしまう事に手を焼いているようです。

これが完成すればマツダが天下を取る日が来るかもしれませんが・・・そう簡単には行かないようですね。

いま話題になっているFCV(燃料電池車)というのは水素を燃やして走るのではなく、蓄えている水素と空気中の酸素で化学反応を起こし、生じた電力でモーターを回し走る車のこと。

化学反応

だからトヨタなんかがFCVと言っているけど、FCEV(フューエルセル エレクトリックビーグル)とも言われていて、大まかな括りで言うと電気自動車(EV:エレクトリックビーグル)と一緒。

バーグマンFCSの構造

そしてこれがこのページの主役である(ハズの)バーグマンFCSのチャート。燃料電池という所で水素と酸素の化学反応を起こし発電しています。

何故日本メーカーがこれほどまでにFCVに注力しているかというと、EVのデメリットを看過できないと判断したから。

「長い充電時間」

というデメリットです。

EV-NEO

スズキのEV原付であるe-Let’sは満充電に4時間かかります。

昨今の急速充電では30分前後で満充電に出来ますが、バッテリーに負担がかかるため寿命を縮めます。

しかも満充電で走れる距離はわずか30kmしかない。

水素充填

それが水素ならガソリンと変わらない充填速度。サッと入れてサッと出られる・・・と言うと

「バッテリーを交換式にすればいい」

と思う人も多いと思います。

e-Let'sのバッテリー

スズキもそう考えてe-Let’sは交換式バッテリーを採用しています・・・が、これはこれで問題がある。

脱着式にして手軽に交換可能にするには持てる重さにしないといけない。

電動アシスト自転車のバッテリー等を持ったことがある人なら分かると思いますが、リチウムイオン電池というのは意外と重い。

そして軽くするためには容量を減らすしか無い。でもそうすると今度は航続距離が伸びない。

リーフは400km

日産の電気自動車リーフは満充電でe-Let’sの約13倍となる400kmを走れます・・・が、これはe-Let’sの40倍近い約300kgものリチウムイオン電池を積んでいるから。

リーフのバッテリー

話題のテスラなどは600kg前後と更に倍近い量を積んでいます。おいそれと交換できる重さと量ではない。

問題はまだあります。

スマホやノートPCなど日常生活に欠かせない物になっている事から軽く考えている人が多いのですが、リチウムイオン電池というのは危険物です。

EV-NEO

衝撃や水が加わると簡単に、一瞬にして発火・爆発する危険性がある。伊達に空路輸送が制限されているわけではないです。

モバイルバッテリーのバッテリー

関係ないですが安物のモバイルバッテリーとかも危険ですよ。

そんな危険物とは知らずにコンクリートの上に誤って落とすなどの乱雑な扱いをしたり、走行中のクルマに踏まれて発火なんて洒落にならない。

簡単にアクセス出来るようにすればするほど、今度はそういった危険性が増す。だから電気自動車は一番安全なクルマの中心の底面に置くのが一般的。

リーフのバッテリーの場所

爆発起こしてメーカーに過失があるなんて言われたら会社が傾きます。

しかしEVで一番問題となるのは資源。

EVというのは今説明したようにリチウムイオン電池が大量に必要なので、リチウムやコバルトといったレアメタルを大量に使う。

ドライブバッテリー

もしも現在のガソリン車が全てEVになると枯渇すると言われており、そのため既に争奪戦が勃発中で価格は毎年上昇。

このレアメタルの代用品となりうる物が出来ない限りEVの普及には壁があるわけです。劣化もしますからね。

コバルト

だから今どのメーカーもリチウムイオンに変わる全固体などの新電池の開発に血眼です。

スマホやPCにとっても大きな躍進となるので、開発できたメーカーは世界一に上り詰める可能性だってある。

ではもしリチウムイオンに変わるバッテリーが誕生しレアメタル問題が解決したら大丈夫なのかというと・・・今度は電力不足問題が出る。

発電施設

全部がEV車になったら電力が全く足りない。

トヨタの人いわく、現在の電力では約20%ほどしか補えないそうです。

だから電力にもレアメタルにも依存しないFCVこそ新のクリーン・・・というのが日本の見解なわけですが、FCVにも大問題があります。

「水素ステーションを作らないといけない」

という問題です。

水素ステーション

ガソリンやガスが何十年も掛けて築いてきたインフラと同等の物を、電線から拝借するだけでいい充電ステーションと違い、水素ラインとして0から作っていかないといけない。

経済産業省主導で2020年度までに160か所、2025年度までに320か所の水素ステーション整備を目指すそうですが、それでもガソリンスタンドの3,500ヵ所には程遠い数。

ちなみに充電スタンドは既に20,000箇所にまで増えています。

水素ステーション協業

さて・・・恐らく多くの人が

「なぜ国はこれほど水素を推すのか」

と疑問に思っているハズ。

まずこれは最近トランプさんが脱退して話題となったパリ協定

「第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」

が根底にあります。

COP21

温室効果ガスを減らすための協定です。

最近になってEVやらFCVやらが話題になっているのは、ここでそういう取り決めが2015年に行われたから。

その中でのエネルギー政策の水素部門は・・・なんと日本が大幅リード。水素に賭けているんだから当たり前といえば当たり前ですが。

日本がなぜ水素に注力しているかというと

「化石エネルギーの依存度を下げたい」

と考えているから。

化石エネルギー依存度

日本が水素水素と言っている理由はこれ。

EVだと電力が必要になる。そして日本は発電にもガスや石油といった化石エネルギーを輸入してるのでEVでは依存度を下げられない。

かといって原発の増設は世論が許さない。

日本の企業もEVの充填時間に使用者が耐えられないと考えているので、水素推しに同調している。

せっかく手に入れた生活必需品という地位を利便性が下がる事で失いたくないですからね。

では他所の自動車先進国はどうかというと欧州はEVに全力です。

ヨーロッパ

これはEV先進国として主導権を取り、言葉が悪いですがEV利権を手に入れるため。

そのため2040年前後までにガソリン車の販売を禁止するという暴挙のような方針。あのドイツも最初は反対していたのに最後はEV派に・・・。

アメリカ

パリ協定脱退で揺れているアメリカはどっち付かず。

ただしアメリカの中でもカリフォルニア州はZEV規制というものを敷いています。

これは要するに

「EVやFCVを一定数売らないとガソリン車も一定数以上売っては駄目」

という厳しい規制。ただしこの規制にはもう一つ大事なルールがあります。

「ガソリン車枠は売買することが出来る」

というルール。これで利益を上げているメーカーがあります。

テスラモーターズ

いま話題のテスラモーターズです。

EVしか売っていないのでガソリン枠をすべてビッグ3やトヨタなどへ高値で売っている。

テスラモーターズはこの枠の売買で成り立っているとも言われています。

ちなみに意外に思うかもしれませんが、このCO2ゼロ車の急先鋒に居るのは自動車先進国の日欧米ではなく中国です。

中国

中国も2019年からNEV(ニューエナジービーグル)規制というカリフォルニア州と同じような規制を敷きます。

「なんで中国が」

と思うかもしれませんが、中国ももちろん日欧米と同じく環境保護だけが狙いでは無い。

中国には守るべき自国の自動車メーカーが居ない。だからEVという新たなスタートラインに強引にでもする事で自国の自動車産業を発展を促し、日欧米の自動車メーカーに対抗できうるメーカーを生み出すのが狙い。

ちなみに既に都市部ではガソリンバイクは走れません。インドも同じように考えこのNEV規制を導入する事が決まりました。

COP21

このようにエコについて手を携えている裏では、互いが互いを出し抜こうというエゴな思惑が蠢き合っているわけです。

人間という生き物はつくづくナントカカントカですね。

あんまり暗い話ばかりもアレなので、最後にスズキの話。

一体なぜホンダでもヤマハでもカワサキでもなくスズキが何処よりも早くFCVなんて次世代を担うかもしれないバイクを出したのかというと、スズキには苦い歴史があるから。

バーグマン125FCS

スズキは昔、車もバイクも2st一辺倒でした。

その為1980年頃に定められた排ガス規制のマスキー法をパスできるエンジンが無くなり、売れるものが無くなってしまった。

倒産の危機を迎えたスズキはトヨタに相談しダイハツからエンジンを供給してもらうことで一命を取り留めたという苦い過去があるんです。

詳しくは>>「トヨタも昔バイクを売っていた ~豊田家と鈴木家~」

この一件でスズキは開発体制を見直しました。

トヨタとスズキの技術提携

つまり最近スズキとトヨタが技術提供の道を進んでいる事、そしてこのバーグマンFCSが出てきた事は

「同じ過ちは二度としない」

というスズキの教訓が今もしっかり守られている事の現れというわけ。

HYDROGEN FUEL CELL BURGMAN

次世代の乗り物がどう進んでいくのかは誰も分からないのが現状。

でも一度失敗をして学んだスズキなら大丈夫でしょう。

それどころか、もしかしたら

クロスゲージ

「ワシらの頃はスズキと言ったら変なバイクばかりじゃった・・・」

なんて言っても信じてもらえないスズキの時代が来るかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2055/725/1240mm
シート高
車軸距離
車体重量 約199kg(装)
燃料消費率
燃料容量
エンジン 強制空冷式交流同期電動機
総排気量
最高出力 6.1ps/7650rpm
最高トルク 2.3kg-m/1870rpm
変速機
タイヤサイズ
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

7と1でWE/R1 YZF-R7 (5FL) -since 1999-

5FL

「OW-02」

一年前に登場したYZF-R1にソックリな見た目のYZF-R7(5FL)

R1やR6と同じ開発責任者(三輪さん)、そして同じGENESIS思想のスーパースポーツということから、デルタボックスフレームに加え、主要三軸の三角形レイアウトによるエンジンのコンパクト化とロングスイングアーム化など作り(設計)も基本的にR1と似ています。

5FL

ただし、YZF-R7はR1と違い
・バックトルクリミッター(ヤマハ初)
・デュアルFI
・前後オーリンズ
・シングルシート仕様
・チタン製バルブ&コンロッド
・イモビライザー
などなどYZF-R1ですら最近になって採用された豪華装備の数々を10年以上も前の時点で装備。

そのため限定400台で約400万円という有り得ない高額さでした。

YZF-R7

これはYZF-R7は世界市販車レースに出場し勝つためだけに作られたホモローゲーションモデルだから。

ZX-7Rの系譜でも言いましたがこういうグループのバイク。

ライバル車

YZF-R7は捺印だけ押された空白の請求書を手渡され

「WSB(市販車レース)に勝てるバイクを作れ」

と言われた事が始まりとされています。

だからYZF-R7はトラック特化な造り。

ハンドルのキレ角も全然ないし、ポジションもかなりキツい。

YZF-R7ポジション

R1ですらキツめなのに、それを上回るキツさでシートもペラペラ。

そんな中でも特徴的なのが、外せと言わんばかりのフェンダーとオマケ程度のテールライト。

YZF-R7テール

フェンダーを外せばウィンカーはもちろんテールライトまでも一緒に取れる完全割り切り仕様。

ところでYZF-R7はリクエストを幾つか頂いたので書いてるんですが、全てが

「YZF-R7について教えてください」

という内容でした・・・至って普通なんだけど、それがYZF-R7となると少しニュアンスが変わってくる。

YZF-R7

「R1となにが違うの」

恐らくこうでしょう。

これの答えはいま説明してきた通りWSB(世界市販車レース)で勝つために作られたホモローゲーションマシン。

でもこれだけで終わっては面白くないのでもう少し掘り下げてみます。

「何故R7だけ影が薄いのか」

という事について。

R125|R25|R3|R6|R1

ヤマハのスーパースポーツバイクとしてどれも有名なのに、R7だけは今ひとつ影が薄く話題に上がる事が少ない。何故でしょう。

YZF-R7八耐仕様

「結局世界チャンピオンを取れなかったから」

という事があります・・・が、R7の場合ドラマがあったので必ずしもそうとは言い切れない。

YZF-R7ワークス

芳賀さんが乗るYZF-R7は2000年にホンダ(VTR1000SP)と熾烈な優勝争いをしました。

最終ラウンドまで決着がつかないほどのデッドヒートだったんですが、よりにもよって最終ラウンドで風邪薬だか漢方薬だかに含まれていた成分がドーピングとして失格。

YZF-R7HAGA

雌雄を決すること無く世界チャンピオンを逃してしまうという出来事となりました。だからレースには勝てなかったけど強いイメージは残っているわけです。

ちなみに芳賀さんは以降も優勝まであと一歩という状況が続いたことから無冠の帝王と呼ばれるまでになりました。

じゃあ何故R7はこれほどまでに影が薄いのかと言えば答えは一つでしょう。

YZF-R1

「YZF-R1が居たから」

ですよ。

998cc/150馬力で約100万円だったR1、一方でチューニング前提という事から749cc/106馬力で約400万円だったR7。

国際レースするわけも無い多くの人がR1の方を向くのは自然なこと。実際R1は見た目も性能も懐の広さも凄かったですからね。

YZF-R71リア

でもこれは決して不幸なことじゃないんです。

ストリート向けSSであるYZF-R1が居たからこそトラック向けSSなR7が出せたわけであり、トラック向けSSのR7を出すからこそ、ストリート向けSSのR1が存在できた。

デザインも基本設計も同じながらストリートとトラックという両極端な二車。どちらも欠ける事を許されないGENESIS思想の陰と陽みたいな関係ということ。

ただそんな関係の転機が訪れたのが2004年。

YZF-R7

R7の舞台だった世界レースのルールが750ccから1000ccへ変更された事で両車は一つに。

神さまと融合してパワーアップしたピッコロみたい・・・古いか。そのためR7はモデルチェンジのされることなく生産終了となりました。

YZF-R7

でも今もYZF-R1のトラック面を担う半身としてあり続けている。

今のYZF-R1というバイクはR7が居た頃のR1とは違う。R7とR1の二つが一つになったのが今のYZF-R1。

そう考えると・・・ほら、R1と書いてあるのにR7と読めてくる。

R1のロゴ

R7と同じチタンコンロッドを採用し

「私達はR1」

と発したその言葉の意味は。

主要諸元
全長/幅/高 2060/720/1125mm
シート高 840mm
車軸距離 1400mm
車体重量 207kg(装)
燃料消費率
燃料容量 23.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 749cc
最高出力 106ps/11000rpm
最高トルク 7.4kg-m/9000rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-ZR17(58W)
後180/55-ZR17(73W)
バッテリー GT9B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
R0256R-10
推奨オイル ヤマルーブ
10W40~20W40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時2.6L
フィルター交換時2.8L
スプロケ 前17|後43
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

2190万円の妥協と志向 RC213V-S (SC75) -since 2016-

RC213V-S

「操る楽しさ(Fun to Ride)」

一言で表すなら公道を走れるMotoGPマシンRC213VであるRC213V-S。

税込みで2190万円ながら世界で約200台強(シリアルレス含む)が作られ発売された模様。正式な生産台数は明らかになっていません。

ちなみにカラーリングはトリコロールと全塗装向けカーボンモデルの二種類。

RC213V-Sカラーリング

開発メンバーはRC212VやCBR1000RRW(ワークスのW)の開発責任者を務められた宇貫さんをトップに、同じようにRCVに携わって来た人達ばかり。

目標は至ってシンプル。

RC213V

「公道を走れるRC213Vを作る」

ということ。

同じV4スーパースポーツという事でRC30/45と同列に語られていたりしますが、生い立ちは全く違うバイクです。

RC30/45は市販車レースで勝つために作られたホモロゲーションモデル。VTR-SPなんかもそう。

ホンダ360度V4

対してRC213V-Sは二年連続MotoGP三冠達成を記念して作られたメモリアルモデル。だからどちらかといえばNRの方が近い。

ちなみに市販車レースには車体価格がレギュレーション(40,000ユーロ)を余裕でオーバーしているので出場できません。

RC213V-Sサイド

ところでRC213V-Sについて少し検索してみると

「2190万円」

「公道MotoGPマシン」

といった話題性のある言葉だけで何が凄いのか(需要ないからか)書かれていないのでまず

「RC213V-Sの凄い所」

を少しだけ書いてみます。

まずはもちろんエンジンから。

RC213V-Sピストン

ホンダレーサーの証である360度クランクV4、そして十八番であるカムギアトレインをVTR-SP以来となる十数年ぶりの採用。

ホンダが一般的な市販車でカムギアトレインを止めたのは騒音の問題もありますが

「高耐久&高精度&小型」

な歯車が何個も必要でチェーンの比ではないコストだから。

RC213V-Sカムギアトレイン

予算もヘッタクレも無いRC213V-Sでは採用して当然ですね。

まあそこら辺は如何にもホンダのV4スーパースポーツという感じなので特に驚くような事では無いかと。

しかしエンジンの外見を見てみると何やらそれまでの市販車とは違う歪さがある。

RC213V-Sエンジン

オイルパン(オイルを溜めるエンジン底面)が面白い形をしているのが分かると思います。

これはRC213V-Sがセミドライサンプという方式を取っているから。

RC213V-SとVFRのエンジン

オイル室がエンジン(クランク)の底あるのがウェットサンプ方式、別の部分に溜めるのがドライサンプです。

人間で言えばウェットサンプは足湯~掛け湯で、ドライサンプはシャワーだけみたいな感じ。若干違いますが。

ではRC213V-Sのセミドライサンプが何なのかというと、オイルは先ほど言ったファラオの顎飾りの様な細長い部分に溜められています。

RC213V-Sオイルパン

「じゃあウェットサンプじゃないか」

と思いますが、実はそのプールがあるのはエンジン(クランク)の下ではないんです。

RC213V-Sクランク

一つ後ろにあるミッション室の下の深い所でクランク室はギチギチ。

これはクランクの動きをオイルに邪魔させないため。

クランクの下に溜めるウェットサンプはシンプル構造でエンジンをコンパクトに出来る反面、状況によってはオイルプールが偏り、回っているクランクが沈んで(叩いて)しまうんです。

RC213V-Sクランク

回っているクランクにとってはこれが抵抗(撹拌抵抗)となりレスポンスが悪くなってしまう。

「オイル量を減らすとレスポンスが上がる」

って聞いたことがあると思いますが、それもこの状況を防ぐため。下手したらエンジン壊れますけどね。

ちなみに0.1km/Lでも伸ばす事に血眼になっている最近の四輪エコカーが0w-20のサラサラオイルが標準となったのもこれが大きな理由です。

RC213V-Sオイルポンプ

その心配がドライサンプなら要らない。

何故ならクランクの下には最低限のオイルしか無いから。

オイルラインをわざわざ別に設けないといけなくなるのでコストは跳ね上がりますがRC213V-Sには関係ない話。

RC213V-Sオイル

更にセミドライサンプにはもう一つ狙いあります。それはクランク内圧というやつです。

クランク内圧

クランク室は真空ではなく空気が入ってます。

ここで問題となるのがピストンが膨張や吸気時など下がる時にクランク室を圧縮(圧迫)して高圧にしてしまう事。高圧になるとピストンの動きを妨げるのでロスになります。

そこでRC213V-Sはドライサンプを活かしたクランク内圧コントロールをしている。

RC213V-Sシリンダー

クランク室からのオイル回収ラインに一方通行のワンウェイリードバルブを設けているんです。

こうすることでクランク内圧を低く保つだけでなく、クランク底に落ちてきた回収待ちのオイルもピストンの圧を利用して効果的に回収できるという正に一石二鳥なシステム。

RC213V-Sエンジン

これらによってRC213V-Sは一般的な直四に対し、最大25%もポンピングロスを減らしています。

レスポンスが全然違うと言われているのはこれが大きな理由。ちなみにこれはロッシがブイブイ言わせていたV5時代のRC211Vによって生み出されたMotoGP技術。

お次はフレーム。

フレームの説明は至ってシンプル。

RC213V-Sフレーム

RC213Vとほぼ同じ材質を、同じ職人による手溶接(TIG)で作ったハンドメイド品。つまりRC213Vとほとんど同じ物ということ。

このスイングアーム(品番:52200-MJT-E00)だけでCBR1000RRが買えます。

RC213V-Sスイングアーム

約200万円です。

メインフレーム(品番:50010-MJT-E00)になると更に倍の約400万円です。

そういえばRC213V-Sが出た時には、このハンドルから生えているミラーも話題になりましたね。

RC213V-Sバックミラー

これは結局

「レーサーはカウルからミラーなんて生えていない」

という事からMotoGPで(接触による誤作動防止の為に)装備が義務付けられているレバーガードにミラー機能を持たせる事にしたわけ。

RC213Vレバーガード

MotoGPみたいでカッコ良いからこれだけ取り寄せようとするも・・・

RC213V-Sバックミラー

片方約25万円、両方で50万円という値段に閉口する人達・・・ミラーだけで50万もするなんて誰も思いませんよね。

でも驚く事はまだあります。

RC213V-Sカウリング

スペシャルモデルといえど消耗品は一般的なバイクと同じ。だけどやっぱり値段もスペシャル。

例えばエアフィルター

RC213V-Sエアフィルター

約4万円します・・・ただのフィルターが。

フィルターといえばもう一つ、オイル交換の二回に一回は交換するよう言われているオイルフィルターがありますね。

RC213V-Sは軽量化の為かカートリッジ式ではなくフィルター二層式を採用しています。

RC213V-Sオイルフィルター

2つ合わせて約8万円もする・・・しかもオイルクーラーとエキパイを外さないと交換できない整備性の悪さ。

RC213V-Sオイルエレメント

最後は点火プラグですが約3万円と良心的。

RC213V-S点火プラグ

・・・と思いきやV4なので×4で12万円。

恐らくNGKに作らせた専用のロングリーチレーシングプラグ。

RC213V-S公道

車体価格が桁違いだとランニングコストも桁違いということですね。

215馬力となるスポーツキット150万円がお買い得に思える。※価格はUSホンダより

スポーツキット

少し小話・・・というかやっと本題。

RC213V-SはRC213Vと同じかと言われると

RC213VとRC213V-S

「同じとも、全然違うとも言える」

が正直な所です。

というのも”肝心要の部分”がRC213V-SとRC213Vでは全く違うんです。MotoGPに詳しい方なら何が言いたいのか分かると思います。

RC213V-Sボディ

いい加減長くなりすぎているので巻き気味に説明しますが、違う部分は大きく分けて3つです。

一つ目は

「コイルスプリング式バルブ」

RC213V-Sエンジン透視図

バルブというのはバネの力で戻る(閉じる)構造になっています。これはカムチェーン方式でもカムギア方式でも同じ。

バルブスプリング

ではRC213Vがどういうバルブ駆動をしているのかというと

「ニューマチックバルブ」

というバルブ駆動方式を採用しています。簡単に言うとバネの力で戻すのではなく、気圧(窒素圧)でバルブを戻しているんです。

ニューマチックバルブ

これは回転数を上げていく中で、バルブを戻すバネがカムの速さに追いつけず正常に動作しなくなるバルブサージングという現象が問題となったから。

気圧(窒素圧)なら質量が無いに等しいのでそんな心配は要らない。硬さも自由自在です。

RC213V-Sエンジン

MotoGPでは当たり前の装備・・・でもそれがRC213V-Sには付いていない。

二つ目。

「ドッグクラッチ式ミッション」

RC213V-Sトランスミッション

ドッグクラッチ式というと聞きなれないかと思いますが、要するにRC213V-Sのミッションは普通のバイクと同じ常時噛合式ミッションです。常時噛合式の説明については>>VFR1200Xの系譜をどうぞ

常時噛合式

RC213Vはこれも違います。

RC213Vはシームレス式ミッションを積んでいます。

普通ギアチェンジをする時は、嵌っているドグを抜いて次のドグを嵌め込む。例えば下の図で言うと今は一速が入っている状態。

シームレス式の説明

ここから二速にしようと思ったら、先ず一速のドグ(黄色)を外して、二速(右下)のドグを入れるから

「1→N→2」

となる。

ところがシームレス式は一速のドグが噛んだまま、二速のドグも入れる。

シームレス式

普通のミッションでこれをやるとロックして吹っ飛んでしまうんだけど、シームレス式は先に入っていた方が空回りし始める仕組みになっている。

そうなってから一速側のドグを抜くから

「1→2」

とニュートラルを挟まなくなる。つまり駆動力が一切抜けないというわけ。

2015RC213V

詳しい仕組みは・・・知識不足とブラックボックスな事もあって分かりませんでしたスイマセン。

ちなみにDCTとは違います。シームレス式はMotoGPでDCTが禁止されていた事から生まれた技術です。

最後の三つ目。

「エンジンがセル始動」

RC213V-Sセルスイッチ

RC213Vはタイヤローラーという後輪を強制的に回す機械による押し掛けでしか始動出来ません。

対してRC213V-Sは重いセルモーターを付けてあるのでボタン一つで簡単に始動出来る・・・。

RC213V-Sリア

いやいやオフザケではなく真面目な話ですよ。

RC213V-SがRC213Vと肝心要の部分が違ってしまった理由はここにあるんです。

一つ目のニューマチックバルブは走行毎に窒素を充填しないと動きません。

二つ目のシームレス式ミッションは耐久性に難がある上にウン千万するユニットです。

三つ目のタイヤローラー始動は一人では出来ません。

RC213V-Sフェイス

「こんなのRC213Vのレプリカじゃない」

という声もよく分かります。

でもじゃあセル外して、ガラスのミッション載せて、充填が必要なバルブ駆動にした方が良かったのかというと、そうは思わないでしょう。

HRC RC213V

更に言うなればRC213Vはハンドルの切れ角が僅か15度しかないし、サイドスタンドもイグニッションキーも付いていない。細かい所を言えば他にもあります。

それで公道を走る事が出来るかと言えば絶対に出来ない。

レースに携わる人達が口を揃えて言う事があります。

RC213Vシリーズ

「市販車はレーサーになれないし、レーサーも市販車にはなれない」

SSやレプリカの資料でメーカー問わず何度も見聞しました。

少し前に書いたFZR400RRの開発者もYZRのレプリカを作る意気込みでワークスチームに相談したら、そう言い放たれショックを受けたと言っています。

ホンダRC213V-S

「じゃあRC213V-Sはただのプレミアバイクか」

というとそれは絶対に違います。

これ以上レーサーに近い市販車は存在しません。最もレーサーに近いバイクだからこそ敢えて厳しく現実を言っているんです。

RC213V-Sリアボディ

要するに我々の思うレーサーと本物のレーサーには大きな隔たりがあり、公道仕様にする以上は妥協しないといけない部分が必ず出る。

それはたとえ2190万円もするRC213V-Sとて例外ではないという話です。

RC213V-Sオーダー

「じゃあRC213V-Sは何を再現したのか」

って話ですが、もちろん再現したのはRC213Vです。

肝心要の構造は違う。でもなにも構造を真似る、模する事だけがレプリカではありません。

RC213V-Sへの系譜

「真に速いマシンは誰が乗っても扱いやすい」

これはホンダの、HRCの、RC213Vの考え。

実際RC213Vは拍子抜けするほど乗りやすいとよく言われている。

RC213V-Sが再現したかったのは見た目や構造ではなくこれです。

RC213V-Sコックピット

“真に速いマシンの極致であるRC213Vの操縦フィーリング”

です。

2190万円という高額になってしまったのも、挙げきれないほどの装備や技術も、それを再現する為。

RC213V-Sの壁紙

「操る楽しさ(Fun to Ride)」

この開発コンセプトの意味はそこにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/790/1120mm
[2100/770/1120mm]
シート高 830mm
車軸距離 1465mm
車体重量 170kg(乾)
[160kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 16.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 999cc
最高出力 70ps/6000rpm
{159ps/11000rpm}
[215ps以上/13000rpm]
最高トルク 8.8kg-m/5000rpm
{10.4kg-m/10500rpm}
[12.1kg-m以上/10500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後190/55-17
バッテリー YTX5L-BS
プラグ R0486A-9
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ520|リンク-
車体価格 21,900,000円(税込)
※{}内は欧州仕様
※[]内はレースKIT装着仕様
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

問題児レーサー ZX-7R/RR (ZX750P/N) -since 1996-

ZX750P

「レーステクノロジーの注入」

このバイクはZXR750(ZXR-7)の後継。要するに市販車レースの為のバイク、つまりSSです。

だから同じ立ち位置であるZX-10Rの系譜に付け加えても不思議じゃないんだけど何となくコチラへ。

NINJA ZX-7R

ショートストロークエンジンに新設計のアルミツインスパー(ペリメターフレーム)、ZXRの頃は片側だけだったラムエアダクトが両側に。

アーモンドアイ

そして可愛らしいアーモンドアイなのが特徴。

正確に言うとレース用のマシンはZX-7R(ZX750P)ではなく限定発売されたZX-7RR(ZX750N)の方。

ZX-7RR

ホイールベースを短縮した車体にシングルシート仕様、ステアやスイングアームのピボット軸位置も調節可能にしたもの。

ブレーキやサスペンションなどの足回りも違うし、キャブもビッグキャブを積んでる。ミッションもクロス化されています。

1999ZX-7R

・・・非常に言い難いのですが、ZX-7R/RRは恐らく同時期のスーパーバイク勢では知名度が低い方かと。

当時のライバル車としては

ライバル車

RVF/RC45、VTR1000SP、YZF-R7、GSX-R750、TL1000R、916/996などなど、どれも今でも話題になるバイクばかり。

何故ZX-7R/RRだけ知名度が低いのか。それはデザインや若干重いスペック等の個人差的な要素を除くと

カワサキZX-7R

“レースで結果を残せなかったから”

という事が大きいかと思われます。

最初に言いましたがZX-7R/RRは市販車世界レースであるSBKで勝つために出た経緯があります。

ZXR-7

同じ出生を持つ先代ZXR-7(ZXR750R)は1993年に世界チャンピオン&鈴鹿8耐初優勝という栄光をカワサキにもたらした輝かしいレースマシンです。

それに対しZX-7RRは残念ながらSBKでは最後まで結果を残せず、2002年からはこれをベースにMotoGPへシフト。SBKはZX-10Rに04年にバトンタッチする事で役目を終えました。

ZX-7RRチーム

少し擁護しておくと、全米では1996~1997年チャンピオン、2000年には全日本でもチャンピオンに輝いていますので、全く駄目だったというわけではありません。

それに当時の世界選手権は

「ホンダvsドゥカティ」

だったのも大きいです。

ZX-7Rカタログ写真

だからZX-7R/RRはレーサーの話ですらあまり話題に挙がらないし、情報も少ないから正直に言うと書くことが無くて辛い。

ちなみにリクエストが来たわけでもありません。

じゃあなんで書いているのかというと、一つ驚きな事があったから。

柳川さん

ご存知の方も多いと思いますミスターカワサキまたは鉄人ことTeam GREEN所属の柳川 明さん。

横におられるのが重美夫人でゼッケンナンバーは名字から取って#87。

知らない人の為に言うとSBKの海外サーキットで日本人として初めてトップチェッカーを受けた凄い方。ちなみにその時のバイクはもちろんZX-7RR。

ZX-7RRチーム

更にMotoGPマシンZX-RRやZX-10RRのテストライダーを担当し、今も全日本で活躍されています。

一方でそんな凄さを微塵も感じさせないユニークさも持ち合わせており、愛車はZX-12R(A型)とZRX1200DAEG。

柳川明

で、この人がどうかしたのかって話ですよね。

実は2012年の雑誌(RIDERS CLUB)企画で行われた宮城光さん(元ホンダワークスレーサー)との対談にて

「一番思い出深いレーサーはZX-7RR」

と答えていたんです。

数々のレーサーや開発に携わってきた中でのZX-7RR。

これだけでも驚きなんですが、更に驚きなのが自身が世界戦初勝利を挙げたバイクだからという理由”ではない事”です。

カワサキレーシングチーム

言葉を濁していましたが、ZX-7RRは完成度が高かったかというとお世辞にもそうは言えずトラブルだらけだった。

しかしその山積する問題に対し柳川さんを始めチーム全員が

「やりがいを感じていた」

と仰っていたんです。

ワールドスーパーバイクZX-7RR

「うちのチームは部品の寸法が違っても自分たちで工夫して付ける」

とも。

いやいや・・・と思いますが、恐らくこれはカワサキという事から他所よりも規模/予算が小さい事が関係していたと思います。

ニンジャZX-7Rカタログ

予算が無い規模の小さいチームというのは先ず人員が居ません。

人員が居ないということは一人あたりの仕事、責任が増える。でもそれは言い換えると権限が増える事でもある。

だから

「自分がしないといけない」

という強い責任感がチーム全員にあったんでしょう。他所から来た人ほどそう感じる傾向にあるそうです。

2013年SBKチャンピオン

カワサキは2013年にZX-7Rの後釜であるZX-10RにてSBK世界チャンピオンに返り咲きました。

ZX-7RRの先代である1993年のZXR-7以来となる20年ぶりの世界チャンピオンです。

1997ZX-7R

つまりZX-7R/RRは1993年から20年続く事となった暗黒期の始まりのバイク。

目立つ記録が無いから必然的にメディアに取り上げられる事も少なく、覚えている人や知っている人もあまり居ないNINJA。

NINJA ZX-7R

でもその分、携わったカワサキレーシングチームの人達にとっては今でも鮮明に覚えているNINJA。

問題児ほど可愛いというやつですね。

主要諸元
全長/幅/高 2090/740/1130mm
[2090/745/1130mm]
シート高 790mm
車軸距離 1420mm
車体重量 203kg(乾)
[200kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 18.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 748cc
最高出力 122ps/11800rpm
[122ps/12000rpm]
最高トルク 8.0kg-m/9300rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17
後190/50ZR17
バッテリー FTX9-BS
プラグ CR9E
または
U27ESR-N
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.1L
スプロケ 前16|後43
[前16|後42]
チェーン サイズ525|リンク110
[サイズ525|リンク108]
車体価格 ※[]内はZX-7RR(ZX750N)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)