「GO TO THE TOP」
水冷400オフロードではスズキ唯一の車種となるDR-Z400S(SK43A)
このモデルは2stモトクロッサーRM250の4st版というコンセプトで作られた経緯があります。
そしてもう一つ大事なのは保安部品やセルが無いエンデューロレーサーDR-Z400(写真下:DK42A)との共同開発だった事。
これは欧州を中心にして始まったエンデューロレースに合わせたもの。
・大口径バルブ
・鍛造ピストン
・メッキシリンダー
・マグエンジンカバー
を採用し40馬力を発揮する単気筒エンジンはもちろん、フレームもクロモリ鋼管製ダブルクレードルにアルミアーム。
他にも大径49mmで圧側14段・伸側18段調節可能な正立カートリッジタイプとアルミガードにアルミペダル等など本当に余念がない豪華な作り。
DR-Z400SはそんなDR-Zの公道版モデル。
だから400最速クラスであると同時に628,000円(税別)とクラス最高値の高級な部類でもありました。
DR-Z400Sは油断すると簡単にウィリーするほど明らかにとてつもないパワーを持っていました・・・が、だからこそ手に余ると考る人達が続出した。
これはエンデューロレーサーレプリカだったからです。
タンクが10Lだったり、一部で三角木馬と揶揄されるほど固く薄く細いシートだったのもそういう事から。
ただシートに関しては足つきを考えて日本仕様はローシートを標準にしたのもあります。
一方、オフロード大国でガタイがいいアメリカやオーストラリアの人はナンバー付きのエンデュランスとして大歓迎。
向こうでは2017年時点で継続販売されており、オーストラリアに至っては陸軍にも採用されるほど。
ちなみに日本では発売されていませんが、向こうでは緑バージョンも存在しました。
カワサキへOEM供給されたDR-Z400Sその名もKLX400。2002年から2年間ほど売っていた様です。
しかし驚くのはまだ早い。
これのお返しとして用意されたのがLT-Z400というバイク・・・じゃなくてATV。
若干傾斜していますが何処からどう見てもDR-Z400のエンジンですね。
ちなみにこっちはカワサキバージョンのKFX400。
GSX250FX/BALIUS2やD-TRACKER/250SBといった一時期やっていたOEM提携ですが、海外でもこういう事をやっていたわけです。
DR-Z400のエンジンがタフだと言われる事や、ヨシムラがフルチューンしたのも頷ける話。
これはヨシムラが手掛けたスーパーモタード仕様のM450R。
限定13台で198.8万円(SPEC3)という超高級DR-Z400Sです。
話を戻すと・・・日本ではあまりのスペックから躊躇されたDR-Zですが、2004年から発売されたDR-Z400SM(SK44A)の方は有名じゃないかと思います。
モトクロッサーRM用の大径倒立フォークに17インチスポークホイール。スイングアームも専用のアルミ製という相も変わらず贅沢な仕様。
DR-Z400Sがピカイチな速さを持っていた事は誰もが知っていたので、そのオンロード仕様ということで
「これなら自分でも乗れる」
と東京モーターショーで大反響を獲得しました。
これはブルーアルマイト加工されたホイールやハンドルバー、カシマコーティングされたフロントフォーク等を装備した限定300台の特別仕様DR-Z400SMzです。今となっては超希少・
言い忘れていましたがDR-Z400は水冷400エンデュランスとして、DR-Z400SMは水冷400モタードとして国産車初であり最後でもあるモデル。
一体なぜ続かなかったのかというとレギュレーション(クラス上限)が450ccにアップされたから。
上で紹介したM450Rが449cc化されているのもそのためで、要するに該当するクラスがすぐに無くなってしまった。
非常に残念な事でもあるんですが、これがDR-Z400S/SMを唯一無二に近い存在にしている事でもある。
DR-Z400S/SMはスペックが凄い・・・何故そうなのか。
「日本の免許事情に奇跡的にマッチしたフルスペック400だから凄い」
という話。
だから、ある人はレース用の450ccモトクロッサーとの勝負に用い、またある人は排気量の規格がない無差別級なジムカーナでストリートファイター達との勝負に用いる。
それだけのポテンシャルを持っていたからこんな飛び級のような事が出来た。
普通二輪で乗れるチャンピオンイエローに恥じぬ公道最速クラスの400。
「もう二度と出ないであろうフルスペック400」
それがDR-Z400/SMというモデルでした。
主要諸元
全長/幅/高 | 2310/875/1235mm [2225/870/1195mm] |
シート高 | 895mm [870mm] |
車軸距離 | 1475mm [1460mm] |
車体重量 | 129kg(乾) [133kg(乾)] |
燃料消費率 | 40.0km/L ※定地走行テスト値 |
燃料容量 | 10.0L |
エンジン | 水冷4サイクルDOHC単気筒 |
総排気量 | 398cc |
最高出力 | 40ps/7500rpm |
最高トルク | 4.0kg-m/6500rpm |
変速機 | 常時噛合式5速リターン |
タイヤサイズ | 前80/100-21(51P) 後120/90-18(65P) [前120/70-17(58H) 後140/70-17(66H)] |
バッテリー | YT7B-BS |
プラグ ※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価 |
CR8E |
推奨オイル | スズキ純正 エクスター |
オイル容量 ※ゲージ確認を忘れずに |
全容量1.9L 交換時1.7L フィルター交換時1.8L |
スプロケ | 前15|後43 [前15|後41] |
チェーン | サイズ520|リンク110 |
車体価格 | 628,000円(税別) [698,000円(税別)] ※[]内はDR-Z400SM |
01年:各種ガード追加と小変更
03年:カムチェーンテンショナー見直し
04年:Sモデルのスプロケやマフラー形状の変更
06年:イグニッションスイッチやキーの変更、レンサルファットバーとアクスルスライダーを装備(SMのみ)
07年:フューエルコックの負圧化
08年:モデルをもって排ガス規制により生産終了