愛おぼえていますか Tengai (KL650B) -since 1989-

テンガイ

「EXPAND YOUR HORIZONS」

リクエスト理由は間違いなく名前だなと思ったのでタイトルオチになってるんですが、真面目に話すとTengai/KL650B型は1989年に登場しました。

・水冷DOHC単気筒651ccエンジン
・セミダブルクレードルフレーム
・フロント21インチ/リア17インチ
・23Lのビッグタンク

などなど諸元からも察せるとおりオンロードもオフロードも走れるビッグシングルのデュアルパーパス。ただ日本では正規販売されていません。

テンガイのロゴ

ちなみにこの天涯/Tengaiという名前の由来ですが最初に書いたキャッチコピーから見てもおそらく

『遠く離れた地へ』

という意味かと。

英語圏のバイクメディアでは

「これは”The end of the sky”という意味だ」

と紹介されていましたが・・・なんかイメージ変わりますね。

そもそもこのモデルの狙いが何かと言えば一つ前のDR-BIGでも話した通りダカールラリー(通称パリダカ)ブームがフランスやイタリアを中心に欧州で起こっていたからです。

テンガイの壁紙

ただしKL650”B”となっている通りTengaiはいきなり造られたわけではなく、1987年に発売されたKLR650/KL650Aがベース。こっちは日本でも販売されました。

KLR650A

これにフルカウルを付けてフロントブレーキを2ポット化など強化を図り長距離向きにしたのがTENGAI/KL650Bというわけでなんですが、このA型はTengai/B型とは違い海外において非常に人気があり2007年まで販売された大ベストセラー車だったります。欧州向けに14Lタンクなどで軽量化をし走破性を高めたC型もありました。

2008年にはKLR650/KL650Eへフルモデルチェンジされ2020年時点でまだ絶賛販売中。つまりTENGAIの系譜は途絶えていないんですね。

KLR650E

「Oh・・・Ninja250R」

あとKLR650というとディーゼルエンジンを積んだM1030M1という軍用モデルも有名ですね。

M1030M1

ただこれはカワサキではなくイギリスのクランフィールド大学が開発しHDT(Hayes Diversified Technology)というディーゼル屋が生産しているモデル。

D650Aとして市販化される計画もあったんですが米軍海兵隊やNATO諸国からの需要が増加したことで取りやめ。現在はジェット燃料タイプのM1030M2などマルチ燃料モデルも造っているんだとか。

それで話をTengaiに戻しますが、このモデルについて知りたい事があるとするならば

『ダカールラリーとの関係性』

かと思います。

テンガイのイラスト

カワサキはペリメーターフレームやユニトラックサスなどモトクロス方面ではパイオニア的な存在なんですが、これがラリーとなると皆無といっていいほど話を聞きませんよね。

それもそのはずカワサキは国内メーカーで唯一、ダカールラリー用のファクトリーマシン開発もワークス参戦もした事が無いんです・・・が

「じゃあカワサキ車がラリーに出た事は無いのか」

というと、それも違う。

ファクトリーマシンを開発してワークス参戦という対応はしませんでしたがカワサキのバイクでダカールラリーに挑む人たちはいました。

ダカールラリー公式のリザルト資料によると本格的にカワサキのバイクがダカールラリーに出場し始めたのは第九回となる1987年から。

KLR650ダカール

TengaiのベースにもなっているKLR650のラリー仕様で6台ほど出場したようです。

これらはラリー人気が爆発していたフランスやイタリアなど現地カワサキによる活動。要するにサテライトチーム(俗に言うセミワークス)だった模様。

もっと遡ると第七回の1985年。

DKV750

アウディの前身に当たるDKVが製作したDKV750というバイクなんですが、これオリジナルフレームにGPz750のエンジンを積んでる・・・四気筒で挑戦という無謀な行為をしたのはヤマハ(FZ750のラリーマシン)だけじゃなかったんですね。

でも更に驚き、一番古くまで遡ると1979年つまり第一回にカワサキ車で挑んだ人も居た。

KL250

車種はこのKL250。KLX250/D-TRACERの始まりとなるバイクです。

当時はKLR650がまだ無いどころか、オフロードを走れる高性能4stビッグバイクって高級外車を除けばSR400のご先祖様であるXT500くらいでしたからね。

「それでTengaiはいつ出てくるんだ」

って話ですがTengaiが出てきたのは現地カワサキが参戦し始めてから三年後、第十二回となる1990年から。

1990年ダカールラリーエントリーリスト

それまでのKLR650から代わるように総勢6台のTENGAIがエントリーしました。しかも一人は山村雅康さんというその道では有名な日本人国際ラリースト。

そしてその時のマシンがこれ。

KLR650TENGAI ダカールラリー

名前の通りどこからどうみてもTengaiですね。

50Lのガソリンタンクを積んでいた事くらいしか情報が無いのですが#85Charbonnierという方が12位という好成績を収めています。

ここで改めて時系列を振り返ってみたいんですがTengai/KL650Bが発売されたのは1989年。でも実際にダカールラリーにTengaiが出走したのは1990年。

KL650B

当時ダカールラリーはファクトリーマシン(市販車じゃない純レーサー)が禁止されていない時代だったにも関わらずTengaiは市販モデルが先でした。加えてTengaiのデザインは伊カワサキ。

あくまで憶測ですがこれらから思うに

・ダカールラリーに予算を割けないカワサキ本社

・とにかくラリーだった仏伊カワサキ

この両社の妥協点として形になったのがTengaiなんだろうと思います。

テンガイ500

ちなみにあまり知られていませんが500cc以上の輸入車に高い関税を敷いていたイタリアなど向けに500ccモデルもありました。

それにしても四輪でラリーといえばミツビシやスバルなど重工系メーカーというイメージがあるのに、我らが川崎重工は何故そうもラリーに興味が無いんだろうかと少し悲しくなりますよね。

でもカワサキも最初から興味が無かったわけじゃないんです。ほんの少しだけ、運命の悪戯のような事がなければカワサキは日本のどのメーカーよりもダカールラリーに邁進するメーカーになっていたかもしれない過去があるんです。

それはカワサキがまだ世界進出に成功していなかった1960年代末の話。この頃カワサキは後に発売され世界的ヒットとなるZ1(900Super4)の企画が進んでいたんですが、これとは別にもう一つ企画されていたバイクがありました・・・それがこれ。

ロブスター

『コードネーム:LOBSTER』

カワサキはダカールラリーすら生まれていない時代に初の4stビッグバイクとしてZだけではなくビッグオフローダーを出す計画も進めていたんです。Z1の開発責任者だった種子島さんもZことステーキよりもロブスター推しだった。

しかしターゲットだった北米地域マネージャーが

「アメリカで求められているのはステーキだ、ロブスターじゃない」

と折れなかったためZ1を優先することに。当時のカワサキにはロブスターもステーキもどっちもやるほどの力は無かったんですね。

しかもそのステーキがアメリカ人に大ウケしたことで次もステーキ、その次もステーキとステーキ推しになりLOBSTERは開発打ち切り。

KLR600のカタログ

結局カワサキがビッグオフローダーを出したのはZ1から10年後となる1982年KL500/KL500Aと1984年KLR600/KL600Aでした。

これがKLR650そしてTengaiに続くんですが、何故これを出したかといえばLOBSTERを諦めていなかったから・・・じゃないんです。

カワサキがロブスターを諦め必死にステーキを焼いていた1976年にヤマハから出たあるバイクが人気でした。そのバイクはありそうでなかった4stビッグオフのパイオニア的な存在として、そして新たに始まったダカールラリーにもうってつけだった事から初回から三連覇という異形を成し遂げた。

そのバイクの名はXT500・・・そうSR400のご先祖様。KL500はこの対抗馬として出された背景があるんです。

西ドイツカワサキの責任者になっていた種子島さんはXT500のヒットに悔しい思いをすると同時に、ロブスターの経緯を知らない販売サイドから

「カワサキはいつになったらビッグシングルを出すんだ」

と突き上げまで食らい閉口してしまったそう。

テンガイのカタログ

もちろんカワサキがZというステーキを選んだ事が正解だったのは歴史が証明しているし、KLRも最初に説明したように海の向こうでは認められロングセラー車になっている・・・ただ

「ステーキかロブスターか」

この究極の二択を迫られた時もしもカワサキがロブスターを選んでいたらTengaiを始めとしたラリーに対する姿勢、そして未来つまり現代のブランドイメージも大きく変わっていただろうなと。

主要諸元
全長/幅/高 2175/920/1300mm
シート高 870mm
車軸距離 1480mm
車体重量 159kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 23.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC単気筒
総排気量 651cc
最高出力 48ps/6500rpm
最高トルク 5.6kg-m/5500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前90/90-21(54S)
後130/80-17(65S)
バッテリー YB14L-A2
プラグ DP8EA-9
または
X24EP-U9
推奨オイル SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量2.5L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ 前15|後43
チェーン サイズ520|リンク106
車体価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

爪痕を残し飛び去った怪鳥 DR750S/DR800S (SK43A/SR43A) -since 1988-

DR-BIG

「DESERT EXPRESS」

クチバシの発祥であり怪鳥というアダ名でもおなじみDR-BIGまたはDR750SのSK43A型。B型もありましたがシグナルリレーが2極か3極など仕様地による些細な違いのみです。

ちなみにこのクチバシは異物からライトを守るためで正しくは”ダブルフェンダー”または”ライトフェンダー”と言いますが、海外でもクチバシと言われおり国によってはダックビル(カモノハシ)とも。

DRビッグ

もうこの佇まいだけで十分特徴的というか異質な感じがあるんですが、更に驚くべきはシングルエンジンだと言うこと。

80年代にしてボアが常識範囲とされる100mmを超えた105mmでストロークは90mm。これで727ccもある量販車としては最大となる超ビッグボアシングルエンジンなんですね。

当然ながらこんなものをバランサーなしで乗ったら振動だけで怪我をするレベルなのでバランサーが贅沢にも二本(二軸バランサー)付いており振動を抑えています。

エンジン

そのせいでスペースが無くなったのかヘッドバルブを動かすカムチェーンが斜めに入っているという面白い形に。

更にはスズキが得意としてた油冷方式も採用。

油冷方式

もう色濃いデザインに色濃いエンジンという中も外もパンチ効きすぎなモデルでした。しかも鬼のシート高890mmと遠慮知らずな29Lビッグタンクで興味を持った人もノックアウトっていう。

ファラオの怪鳥という異名は伊達じゃない・・・という話なんですが

ファラオの怪鳥

「そもそも何でファラオの怪鳥なの」

という話をすると、これはまあ見て分かる通りラリーに由来します。

1980年代に入るとご存知パリダカを契機に欧州でラリーレースが爆発的な人気となりました。そのため最初はアマチュア中心のレースだったもののブランドイメージや販売台数に直結する事からNXRやTÉNÉRÉやR100G/Sなど各メーカーもワークス参戦しメーカー同士のガチンコバトルの場に。

それはスズキも例外ではなく仏スズキ主導でデザートプロジェクトが始動。そうして開発され1987年から参戦したのが異質なワークスラリーマシン

『DR-Zeta(ゼータ)』

というモデル。

1987DR-Z

どうして異質なのかというと当時のラリーマシンは多少重くなってもトップスピードが稼げる二気筒800cc前後が絶対と言えるほど当たり前だった中で単気筒だったから。

ホンダNXR→Vツイン
ヤマハTENERE→パラツイン
BMW R100G/S→フラットツイン
カジバ エレファント→Lツイン

という状況の中でスズキだけ

『単気筒SOHC830cc』

挑戦者の立場なのにこれではフザケてる言われても仕方が無い話。

ライバルと被らない為にシングルにしたのか・・・それにしたってシングルのそれも超特大なものというのは当時としては考えられない選択。

ちなみに独モトラッド誌(1987/6)によるとエンジン設計の森滝さんいわく設計当初は楕円ピストンの6バルブシングルで進めていたそう。

DR600S

だからハッキリ言うとパリダカに次ぐ人気レースだったファラオラリーで初お披露目となった時は注目の的でした。

ただその注目というのは説明してきたことからも分かる通り期待から来る注目ではなく

『変なクチバシが付いた時代錯誤ラリーマシン』

というどちらかというと懐疑的な注目だった。

この事からスズキのラリーマシンはファラオの怪鳥と呼ばれるようになった・・・わけじゃないんですねこれが。

DR-ZETA

なんと二年目の1988年に見事勝っちゃったんです。

つまりファラオラリーに突如として現れ、下馬評を覆し勝利したクチバシ付きの変なバイクだったから

『ファラオの怪鳥』

と呼ばれるようになったという話。

そしてそれをオーバーラップさせるように(レースと同時進行で開発され)出されたのが1988年の怪鳥レプリカDR750Sというわけなんですね。

DR750S

ただし少し残念な事に目立った勝利はこれ一回でパリダカで勝利を上げることは出来ませんでした。ラリーの話でスズキやDR-Zが出てこないのはこれが理由。

そんなもんだからDR-BIGは人気が出なかった・・・かというと実はそうでもない。最近になってV-STROMが再びDRデザインになった事から見ても分かるように意外と人気はあった。

登場して2年後となる1990年には

・ストロークを上げて779cc化

・リアブレーキをディスク化

などの変更が加えられたDR800Sにモデルチェンジ。

DR800S前期

量販シングル最大排気量を自ら更新という一体何処を目指しているのかよく分からないモデルチェンジをし、翌1991年(写真下)にはタンクを24Lにして外装を含めスリム化。

DR800Sカタログ

これで欧州を中心に1997年まで販売されました。

約10年も販売されたんですよこの時代錯誤ラリーレプリカ。ラリーは1992年を持って撤退したにも関わらずです。

海外フォーラムいわく計6000台ほど生産されたという記述もありました。

ただその数字が本当だったとしてもベストセラーとは言えないし、一部に根強い人気があったからといってこのモデルの評価が高かったわけでもありません。

DR-BIGの諸元

「重心も車重も高くアタック出来ない」

「シングルだから長距離も辛い」

「回すとリッター9しか走らない」

「足付き悪くて意外と遅い」

などなどマルチパーパスとして結構致命的な批評の声も散見される。

でもですね、これは愛されてるが故にそう言われてる面が強い。

だってラリー文化が根付いておらず正規販売すらされなかった日本でも話に上がるバイクが、ラリー人気がある海の向こうの人たちが忘れるわけがない。実際いまでも情報のやり取りやショップやオーナーズクラブがあったり、V-STROM1050でのDRデザイン復活に湧いていたりしているんですから。

DR-BIG

もうこのモデルが忘れ去られる事は未来永劫ないでしょうね。

成績もセールスも決して優秀だったとは言えない。でもたった一回の勝利で絶対に消えない爪痕を残したファラオの怪鳥。

記録には残らないけど記憶には残る異質なラリーマシンでした。

主要諸元
全長/幅/高 2255/945/1295mm
[2230/865/1325mm]
シート高 890mm
車軸距離 1475mm
[1520mm]
車体重量 179kg(乾)
[185kg(乾)]
<194kg(乾)>
燃料消費率
燃料容量 29.0L
[29.0L]
<24.0L>
エンジン 油冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 727cc
[779cc]
最高出力 52ps/6600rpm
[54.4ps/6600rpm]
最高トルク 5.9kg-m/5500rpm
[6.32kg-m/5400rpm]
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前80/100-21(51P)
後120/90-18(65P)
[前90/90-21(54S)
後130/80-17(54S)]
バッテリー YB14L-B2
[YTX14-BS]
<92~ YB14L-B2>
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR9EA-9
推奨オイル SAE10W-40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.4L
交換時2.6L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前15|後48
[前15|後47]
チェーン サイズ520|リンク116
[サイズ520|リンク116]
<サイズ525|リンク116>
車体価格
※[]内はDR800S
※<>内は92~DR800S
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

二度ある事は三度ある V-STROM250 (DS11A) -since 2017-

V-STROM250

「さあ、踏み出そう。」

Vストロームシリーズの末弟として登場したV-STROM250/DS11A型。

GSX250Rと同じエンジンなのでGSX250R/GSR250の系譜に載せてもよかったんですが・・・コレがまあ何とも良く出来ているのでコチラへ。

ブイストローム250

主な特徴としてはアップライトなポジションにシート高800mmと足つきを考えたシート周り。

更にフロント周りも見直されていて、ハンドルの切れ角+2度に加えトレール変更でハンドリングを安定志向に。

ヘッドライト

ちなみに怪鳥ことDRからの伝統であるV-STROMらしいダブルフェンダー(ライトフェンダー)のクチバシなんですが、250だけはDJEBELを彷彿とさせる大きな丸目。

知らない人も居るかもしれないので説明するとDJEBELというのはコイツです。

ジェベル250

大きなお目々のオフ車で人気でした。スズキ唯一のオフ成功車と言っていいんじゃないかと。

V-STROM250だけ丸目になったのはアジア(というか日本)が主要市場なのが大きいんでしょう。

Vストローム

別メーカーのデザイナーが話されていた事なんですが、欧州と日本ってデザインの好みが全く違うから割り切りが大事なんだとか。

実際オンロード重視の17インチやアドベンチャーとしては絞ってあるポジションや車格などを見ても明らかにアジア向けですもんね。

話を戻しますがV-STROM250は最初タイトルをスズキの奇跡と掛けてスズキセキにしようかと思ったほど本当によく出来ています。

何がよく出来るのかって話ですが、先ず第一にアドベンチャーとしての装備がデザインに負けないほど高いレベルで纏まっている点。

Vストローム250ディティール

・ウィンドスクリーン

・多機能液晶メーター

・サイドケースアタッチメント

・大型アルミリアキャリア

・ナックルカバー

・センタースタンド

・ABS(2018から標準)

ほぼ完備に近い形でオプションのケースをつければ完成する。

Vストローム250オプション

そしてこれほどの装備を誇っているにも関わらずABSモデルで税込み602,640円という決して高くない車体価格も凄い。

あんまり大きい声では言えないのですがスズキは値引くのでコレがほぼ乗り出し価格っていう。

なんでこんな安いのかといえばGSR250というバイクが既にあったから。

Vストローム250エンジン

正確に言うとGSR250の為に造られたボアよりストロークが大きい今時珍しいロングストロークエンジンがあったから。

パワーを絞り出す高速型ではなく下からモリモリ来る中低速型なので疲労感もなく、燃焼効率も良いから実測で30km/L切らないという低燃費性。

Vストローム250

そんな正にアドベンチャーの為に造られた様なエンジンを使っているから見直して低速トルクを稼ぐなどのコストが掛からず装備も特性もコスパも優れたモデルに出来た。

恐らくこれを超える250アドベンチャーは簡単には出ない・・・というか出せないと思います。

何故ならこのロングストロークエンジンというのはなかなか造れないから。

DS11Aエンジン

エンジンというのは開発や製造に億単位のお金が掛かるので使い回す事が基本。

そうなった時に最大馬力が稼げないロングストロークエンジンというのはアピールポイントとしては弱く、使える車種が限られて流用し辛いから。

じゃあなんでスズキだけ造れたのかというと、このエンジンは元々は中国向けのバイクに造られた

『荷物や人を載せて長距離を燃費良く走る』

という事をアピールポイントに造られた物だから。

だから用途が親しいアドベンチャーにバッチリ嵌ったというわけ。

V-STROMって本当に面白いんですよ。

Vストロームシリーズ

シリーズには1000と650もあるんですが、一番最初に出たのは2002年の1000でエンジンの元はTL1000S/Rというスーパースポーツの物。

TL1000S/Rが思ったほど伸びず、そのエンジンを使って新たに造られたのがV-STROM1000なんです。

TL1000SとVストローム1000

それがSS由来の元気でパルス感もあるVツインエンジンとアドベンチャースタイルがワインディングから長旅までマルチに使えるとして欧州で人気になり、そしていつしかV-STROM1000だけに。

これはV-STROM650も同じで、積まれているエンジンはSV650というストリートスポーツの為に造られたエンジン。

SV650はロングセラーだったんですが、モデルライフの長さからセールスが落ちて来た事と1000の人気から2004年に派生として造られたのが始まり。

SV650とVストローム650

そしたらこれまた1000とは違って街乗りですら使えるマルチパーパスとして本家SV650を押しのける程の人気になった。

そしてそしてこのV-STROM250も先に話した通り。

Vストローム250

GSR250として日本にも入ってきたものの今ひとつ理解されず、エンジンを活かせる別モデルとして造られたのがV-STROM250。

兄たちと同じ様に評判もかなり良く、既に国内でもGSRやGSXを超える販売台数(2018上半期1120台)を記録。

面白いというのはこの事。

V-STROMシリーズって生い立ちが全部一緒なんですよ。

専用設計の鳴り物入りで登場したわけでも、当初から予定されていたモデルでもない。既にある資産を活用する形で誕生した分家でありながら、出来の良さから本家を押し退けてしまう程の人気を獲得する。

ds11a

250も気付けばV-STROM250だけになるでしょう・・・まさに托卵する怪鳥。

『V字回復のV-STROM』と言えますけどね。というかそっちのほうが正しいか。

主要諸元
全長/幅/高 2150/880/1295mm
シート高 800mm
車軸距離 1425mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装)]
燃料消費率 31.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC二気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8000rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 528,000円(税別)
[558,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

マルチパーパス系

マルチパーパスとは

近年日本でも人気のジャンル。

マルチパーパス、デュアルパーパス、アルプスローダー、アドベンチャーなどと色んな呼び方をされて違いが分からず混乱してる人も多いかと。

【特徴】

街乗り、ツーリング、林道など公道なら比較的なんでも熟せる万能車。

オフロードバイクとオンロードツアラーを足して二で割った二輪版SUV(スポーツユーティリティビーグル)的なモデル。

【歴史】

このマルチパーパス系というかクロスカントリー文化が何処から始まったのかといえば1978年に年越しレースとして始まった有名な

『ダカールラリー(旧名オアシスラリー)』

が大きな起点かと思います。

1979オアシスラリー

パリダカの愛称でおなじみクロスカントリーの極致であり、世界一過酷なレースとして今も有名ですね。

ここが始まりと言える根拠は、このダカールラリー人気が爆発した事で

「メーカーがクロスカントリー用バイクを本気で造るようになったから」

です。

大会が始まった頃はエンデューロ(オフ版耐久レース)をベースに大容量燃料タンクを積むのがクロスカントリーの定説でした。

しかし第三回となる1981年のオアシスラリーで革命を起こしたモデルが登場したんです。

R80G/S

『1980 R80G/S』

ご存知BMWの大人気シリーズGSの始祖モデル。このバイクはエンデューロ系ファクトリーレーサーが元なんですが、これの何が革命だったかというとズバリ二気筒エンジン。

「軽くて厚い低速トルクで故障に強いビッグシングル」

というクロスカントリーの常識に囚われない

「少し重くなってもツイン化して最高速重視」

という新しい考えを持ち込んだわけです。

1981年の優勝マシン

これが見事に成功し1981年優勝という快挙を成し遂げた事でモトクロスともエンデューロとも違う二気筒マシン”ラリー”という新しい形として発展する契機になりました。

そして更にそれがフィードバックされた市販車R80G/Sが

「道を選ばず長距離走行出来るバイク」

として爆発的なヒットを飛ばした事で各メーカーともラリーへ本格参戦し、同じようにその流れを受け継いだ市販車ラリーレプリカを

『アドベンチャーモデル』

として市販化するようになりジャンルが確立したという話。

R1200GS壁紙

余談ですがBMWはこのバイクを生み出せていなかったら無くなっていた可能性大だったりします。

【最後に(というか本題)】

最初に触れましたが

・マルチパーパス

・アドベンチャー

・アルプスローダー

・ビッグオフ

などなど、このクラスには色んな呼び方があって混乱している人も多いと思いますが、これらの言葉の意味は深く考えなくていいです。

トランザルプ400

何故ならそれらの謳い文句や宣伝イメージなどで選ぶと失敗するからです。

というのもオンロード性能とオフロード性能というのは基本的に両立が難しく反比例するという話をオフロードバイクでもしたんですが、このマルチパーパス系ではその振れ幅が大きいんです。

分かりやすい例を一つ上げると1980年代後半に発売されたホンダAX-1とヤマハTDR250というバイク。

トランザルプ600V

この二台はどちらも同じマルチパーパス250といえるモデルですが、同時に正反対とも言えるバイク。

オフロード重視(AX-1)とオンロード重視(TDR250)という違いがあるからです。

この二台は極端なので何となく分かる人も多いかと思いますが、一般的なモデルでこの差を見抜くのはなかなか難しい。

色んなアドベンチャー

ベテランはカタログシートを見るまでもなくおおよそのバランスを見抜くんですが初心者には無理ですよね・・・でも大丈夫。初心者でも簡単に見分ける方法があります。

『フロントホイールのサイズ』

です。

フロントホイールのサイズを見ればメーカーがオンとオフの割合をどれくらいにしているのかおおよそ分かります。

例えば250アドベンチャーを並び替えるとこんな感じ。

フロントホイールサイズ

何となく分かるかと思います。

この理由はフロントホイールが大きいほどオフロードにとって最も大事な走破性/安定性が向上するから。

「じゃあ何故みんな21インチにしないのか」

というとそれが両立出来ないところで、オンロードスポーツバイクが全部17インチなのを見れば分かるようにフロントホイールを大きくしてしまうと、なかなか倒れてくれないゆっくりなハンドリングになる。

フロントホイールサイズ大型バイク

フラフラせず安定性することがオフロードではメリットになる一方で、フラフラ(パタンパタン)させないと曲がれないオンロードではデメリットになってしまうんですね。

キャストホイールとスポークホイールの違いも同じ様な理由です。

キャストホイールとスポークホイール

オンとオフは反比例する関係だから両方を100にすることは出来ず100をどう分配しているかが大事。そしてそれが一番分かりやすく現れているのがフロントホイールという話。

だからマルチパーパスに乗ってみたいとか、気になるマルチパーパスがあったらフロントホイールを見比べてみると失敗しないし、メーカーやそのモデルの意図が見えてきて面白いのでオススメです。

これに加えてちょっとした小話を一つ。

歴史のところで発端はダカールラリーにあるという話をしたんですが、実はダカールラリーではこういうマルチパーパスはもう走ってません。

『4st/450cc※2011年から』

というモトクロスに準ずるレギュレーションに変わったからです。

現在のダカールマシン

そのため現在のラリーマシンはシングルエンジンが基本でマルチパーパス系というよりエンデューロ系に近い形。

つまりいま売ってるマルチパーパスっていうのは全く規格に沿ってないモデルなんです。

でもだからといって

「(特に大型の)マルチパーパスはラリーと無関係なのか」

というとそれも違う。

火付け役となったBMWのGSはもちろん、ホンダのアフリカツインやヤマハのテネレ、それにスズキの怪鳥DRもそうなんですが、メーカーにとってマルチパーパスは

現在のダカールマシン

「自分たち(メーカー)が輝いてた頃のラリーレプリカ」

という復刻に近いレプリカなんです。KTMはラリーに全力なので現在進行系といえますけどね。

もちろん中にはカワサキのヴェルシスやドゥカティのムルティストラーダ、トライアンフのタイガーなど違うアプローチのモデルもあります。※ちなみにカワサキはKLE/アネーロがラリー系

KTM1190adventure

マルチパーパスだのアルプスローダーだの色んな呼び方があって、色んな振れ幅がある百花繚乱状態なのは

「レースありきではなくブランドありき」

という背景もあるから。ある意味ではメーカー色を最も表現してるとも言えるジャンルなんです。

該当車種

CRF1000LNC750の系譜

SUPER TÉNÉRÉの系譜

V-STROM1000V-STROM650の系譜

VERSYS1000VERSYS-Xの系譜

R1200GSの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

R1200GS  -since 2013-

2015年モデル

2013年からのR1200GS。

これまたエンジンが大幅に変更。

まずなんといってもエンジンが水冷化されました。厳密に言うとヘッドは水冷でシリンダー周りは空冷。

更にRシリーズ初となるバランサーを装着し吸排気のポートが前後から上下に変わりました。

2014エンジン

それまでのボクサーは吸排気ポートが前後だったのでインテーク(吸気側)がステップ側にあり邪魔でした。だから吸排気を上下にすることで解決。簡単に書いてますがこれ凄く大変なことです。

他にも電子制御サスだったり前後連動ブレーキABS(これは前から)だったり、出力モードセレクターだったり、可変式スクリーンだったり・・・

ネイキッド

ただ多分こういう構造的な事を言った所でピンと来ないと思うんですよ。もはやそんなの付いてて当たり前な時代でGSだけ特別ってわけじゃないですし。

これは乗ってみないとわからないし、乗ってみるとわかる。

R1200GS壁紙

「転ける気がしない」

R1200GSに乗ったら絶対にみんなこう言うと思う。間違いなく自分のオフロードスキルがソコソコあるかのような錯覚を覚えます。

そして痛い目を見る。オフロードあるある。

2014年モデル

GSが懐が広く安定しているのはテレレバーやパラレバー、そして伝統のボクサーといったBMWの独自技術によるものだったりするんだけど、だからといって”コレがこうだからGSは凄い”っていうのはちょっと違うかと思ってあんまりウダウダと書きませんでした。面倒くさいわけじゃありません。

こっちはビッグタンクのアドベンチャーモデル。スポークとキャストを選べるようになりました。

R1200GS アドベンチャー

系譜を最初から読んでもらえると分かる通りGSは1980の初代、もっというと1970年代の開発時代から会社が傾こうと止まること無く改良進化を続けてたという歴史。ただGSのあるべき姿を追い求める。これを30年以上です。年次改良なんて何回入ってるのかBMW本社ですら正確に把握できてないんじゃないかな。

こう言うとS1000RRの人に怒られるかもしれませんが、S1000RRが売れてるのはBMWだからという理由が少なからずありますが、このR1200GSはBMWだから売れているわけではなくGSだから売れているんです。

R1200GS壁紙

BMWといったらGS。こんな道を走ってみたいですね・・・日本はなぜ島国なんだ。

もしかしたら中にはRTやRSだと言う人も居るかもしれませんが販売台数はGSがトップ。そしてBMWのこれまでのロードマップを見れば分かる通り先進技術もまずGSです。

最後になりましたが、BMWはもっと多くの人にオフロードを楽しんで貰えるようにと2006年から「BMW Motorrad GS TROPHY」というイベントを世界中で行っています。

GSトロフィージャパン

決められたコースと試験に挑戦し順位を争うコース。

優勝すると”日本一のGS乗り”の称号と世界大会への切符を手に入れることが出来ます。

【4バルブGS】【2バルブGS】【HP2 Enduro】【BMW F&G】【BMW以外】【レディースクラス】のクラス分け。

GSトロフィー

他にも初心者向けやスキルアップを目指すコース、自然を楽しむ事を第一としたツーリングコースなど様々なので興味を持たれた方はお近くのBMWディーラーやホームページなどで確認してみてください。

ちなみにどれも泊まり込み合宿で鍛えられる間違いなしです。

エンジン:水冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1170cc
最高出力:
125ps/7750rpm
最大トルク:
12.7kg-m/6500rpm
車両重量:260kg(装)

【関連車種】

Africa Twinの系譜SUPER TÉNÉRÉの系譜V-STROM1000の系譜VERSYS1000の系譜

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R1200GS  -since 2004-

R1200GS

更に排気量が上がった現在進行形R1200GSの五代目モデル。

歴代で最も大幅に生まれ変わったGSであり最も成功したGSでもあります。

エンジン

もう欧米では「とりあえずBMWのR1200GS買っとけ」っていうレベル。

この時点でエンデューロ部門25年間連続トップセールスです。

2007R1200GS

2007年には販売台数10万台を突破という快挙を成し遂げました。GSが人気の主な国はドイツ、アメリカ、フランス、イタリアなど・・・200万のバイクが10万台って。

その中でもドイツがトップセールスなのはまあ母国ですし言うまでもないんですが、ドイツはBMWが25%以上の販売シェアを占めています。これは日本でいうとヤマハ並のシェアなんですが、そのうちの30%強がR1200GS/ADVという事実。ドイツ人は金持ちですね。

でね、このGSで評価されたのは何といってもコンパクトさと軽さ。全面維新で先代が250kgだったのに対して225kgという大幅な軽量化となりました。

アドベンチャーモデル

こちらは後から発売された人気のアドベンチャーモデル。

容量33Lというビッグタンクを積み航続可能距離は脅威の700kmオーバー。東京から本州最北端の青森まで無給油でいけます。

R1200GS

「なんて素晴らしい一日だろう。朝早く起き出し夕方まで走り続けられるとは」

エンジン:空油冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1170cc
最高出力:
98ps/7000rpm
最大トルク:
11.7kg-m/5500rpm
車両重量:225kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R1150GS  -since 1999-

R1150GS

基本的には先代のブラッシュアップモデルになってて空油冷モデルとしてはこれが最後。

エンジンにボアアップと改良が加わり1150(1130cc)となりました。

R1150GSエンジン

更にミッションの6速化もされ、高速巡航性も向上し盤石の体制となったR1150GS。

いまではお馴染みの異型ヘッドライトを始めたのもこれが最初。

ヘッドライト

片眉を上げてるみたいで可愛いですね。実車はまさに戦車ですが。

この頃既にBMWの一番人気車となってたR1150GSだけど、GSの凄いところは代を重ね続けているにも関わらず販売台数が落ちていかないこと。

新しいのが成功すれば成功するほど次期型のハードルというのは上がってしまうんですが、この代も、そして次の代も、そしてそして次の次の代までもBMWは期待を裏切ってない。

アドベンチャー

こちらは後に追加されたアドベンチャーモデル。ブロックタイヤとビッグタンクを積んだモデル。

エンジン:空油冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1130cc
最高出力:
85ps/6750rpm
最大トルク:
10.0kg-m/5250rpm
車両重量:249kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R1100GS  -since 1994-

R1100GS

ここまで来ると当時を知らない人でも見た事あるような気がするのではないでしょうか。

先代までで「GSは人気があった」とか「凄かった」とか言ってましたが、それはオフロード界での話。

あまりオフに精通してない一般ライダーにとってGSというのはBMWのパリダカバイク程度の認知でした。(あくまでも今と比べたらね)

そんな層にまでGSの魅力を知らしめ認知度を大きく押し上げたのがこのR1100GS。

R1100GSエンジン

それまでのOHV空冷エンジンからOHC空油冷4バルブエンジンへ変更。ほかにも先代から改良が加えられたクロススポークにパラレバー、そして新しくテレレバーも採用。そして今ではGSのトレードマークとなった二重フェンダー。

DR800

最初にこれやったのスズキなんですけどね。キョエーって感じでスズキ自身が怪鳥って言ってます。いい加減このネタもしつこいか。

話を戻してパラレバーの話は先代でお話しましたので、今回はこの1100から採用されたテレレバーについて少し。

テレレバー

これはフロントサスペンションの話で上の写真を見てもらうと分かる通り三角形のアームが伸びてフレームとアンダーブラケットを結んでますよね。これがテレレバーです。

一般的というかみんなが知ってるのはテレスコピック方式。アウターチューブとインナーチューブという2つの筒を使う方式。望遠鏡で風景を見るテレスコープから名前を取ってます。

テレスコピック

意外と知られてないんですがこのテレスコピック方式を1番最初に作ったのもBMWなんですよ。そんなBMWがテレスコピック方式と別れを遂げるなんて面白い話ですね。でもそれだけBMWは足に対する研究やこだわりが凄いということ。

R1100GSネイキッド

さてそれに対してテレレバー方式っていうのはテレスコピックとマクファーソンストラット方式の二輪バージョンみたいなもの。車を知ってる人なら聞いたことがあると思いますが要するにサスペンションとダンパーを別体にしている。

ストラット方式

さて何でこんな方式を取っているかというと、みなさん体感してるので知ってると思いますが一般的なテレスコピック方式はブレーキングをするとサスペンションが縮んで前のめりになりますよね。ノーズダイブってやつですが、そうすると実質的にキャスターが立ってホイールベースが短くなり旋回性が上がります。

「コーナー手前でしっかり荷重を前に移して~・・・」

S1000RRフロントフォーク

とか聞きませんか?

それはそういうことなんですがこれには問題もあって、フロントが沈んでいるノーズダイブ状態っていうのはキャスター角(フロントフォークの角度)が立つので旋回性が増すぶん安定性に乏しくなるんです。

これは減速による力にサスペンションの働きが全て取られて緩衝する余力がなくなるから。原理がよくわからない人でもフルブレーキングで路面のギャップを拾ったらガツンと突き上げられ危ないというのは想像がつくと思います。

んでそれをBMWは何とかしようして生み出したのがこのテレレバー方式。上で言った様にノーズダイブする状況を想像してみてください。

テレレバーの動き

こうするとこでブレーキングでのフロントサスの沈み込みを抑えているんです。イヤ本当はこんな単純な動きじゃないんですけどね。ビーマー(死語)は怒らないでね。

terelever

ただもちろんこのテレレバー方式にも弱点があります。

まず第一にアームが増えるので重くなります。さらにアームがタイヤの上を通るので大きいホイールが履けません。オフロードにおいて大きいタイヤが履けないというのは結構致命的(それでも19インチ履いてるんだけどね)です。

じゃあ何でR1100GSはこのテレレバーを採用したのかって話だけど、1100GSはそれまでのGSとは全く異なるバイク。それまでのGSは未舗装をガンガン走るというマルチパーパスというよりビッグオフに近い感じだったんだけど、このR1100GSは未舗装から峠からツーリングから何でもござれの本当の意味でマルチパーパスになった。

R1100gS

これが今までオフロード車に興味のなかったツアラー層にまでウケて評価されました。

このおかげでGSは今では買って間違いない何でも熟せる旅バイクという地位を確立するに至ったわけです。

エンジン:空油冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:1084cc
最高出力:
80ps/6750rpm
最大トルク:
9.9kg-m/5250rpm
車両重量:240kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R100/80GS  -since 1987-

R100GS

二代目にあたるR80GSとR100GS。スラッシュが取れて今では馴染み深いGSという名前になりました。先代に比べタンクを大きくすることでラリーレイド感を演出。

当時BMWのパリダカマシンは市販車のR80GSではなくR100GSという特別な車両でした。そして今回そのパリダカモデルと同じ100GSが市販車となって登場というわけ。

この時BMWは既に83~85年三連覇を快挙を成し遂げてました。そんな三連覇マシンと同じバイクが出たんだからラリー好きが飛び跳ねて喜んだのは簡単に想像がつくと思います。

そしてそのR100GSで取り上げる部分があるとするならば他車に先駆けて装着されたこれまた今ではお馴染みのパラレバーでしょうね。

パラレバー

シャフトの下に平行して付いているリンクロッドがそうです。

シャフトドライブっていうのはメンテナンスフリーというメリットがあるんだけどコスト増はもちろんの事トルクリアクションというデメリットもあります。

シャフトドライブは遊びのあるチェーンドライブと違ってアクセルを開けると前ではなく後ろが起きてしまうんです。これをトルクリアクションといいます。

そしてそれを何とかしようとして編み出されたのがこのパラレバー。難しい話になるので割愛しますが、要するにリンクを追加しその力をフレームに逃してる。

「アクセルを開けるとリアが起きるなんて、開けるとリアが沈むチェーンとは逆で面白いな~。」

S1000RR

なんて思ってませんか?それよくある勘違いです。

チェーンドライブはアクセル開けたからといってリアは沈みません。あれはリアが沈んでるんじゃなくてフロントが起きてるんです。前が起きるのをリアが沈んでいると勘違いしちゃってるんですね。

そもそも加速でリアサスが縮んじゃうと転けちゃいます。だからスポーツバイクなんかはアンチスクワット効果を狙った設計をしてます。まあアンチスクワットはコーナリングの話だけどね。>>バイク豆知識:アンチスクワット

R100/80GS 
-since 1990-

1990R100GS

一緒に紹介しちゃうけど1990年にもモデルチェンジが入ってる。このモデルが80/100GSシリーズ最後でもありOHV最後でもある世代。後に再販されるほどの人気でした。

大まかな変更点としてはフレームマウントの角度調整機能付きのスクリーン、大型フェアリング、パイプガード、ダウンタイプのフロントフェンダー。そしてスポークながらチューブレスタイヤを装着可能としたクロススポークホイール。

もちろんパリダカモデルも登場。

R100GS PD

でも実はこの時BMWは既にパリダカから撤退してました。

じゃあなんでこんなバイクを出したのかというと、パリダカを連覇したR100GSに乗りたいという人と、パリダカで勝ちたいから売ってくれというプライベーターがいっぱい居たから。

GSの信頼性がどれだけ高かったかが伺える話ですね。

エンジン:空冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:980cc
最高出力:
60ps/6500rpm
最大トルク:
7.7kg-m/6500rpm
車両重量:210kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS

R80G/S  -since 1980-

R80G/S

BMWベストセラーバイクであるGSの原点とも呼べるバイクがこのR80G/S。

最初はGSではなくG/Sと文字が分かれていました。GSというのはドイツ語でGelände Sport(ゲレンデシュポルト)の頭文字から取っていて、まあ要するに野山をスポーツって意味。

ちなみにRはRad(バイク)の意味。BMW Motorradって言いますよね。Rシリーズは伝統の水平対向二気筒でBMWの歴史とも言えるシリーズです。

このGSですが非常にリクエストが多かった車種でもあります。まあ当たり前ですけどね。BMWといったらまずこの世界で愛され続けるR1200GSです・・・だから正直いうと書きたくない。

まず最初に話は初代が出る少し前から始まります。

この初代GSが出るちょっと前の1970年代後半、実はBMWは瀕死状態でした。当時BMWの主要市場はアメリカだったのですがドル安によって販売面で大苦戦。

アメリカ貿易委員会

更にアメリカは追い打ちをかけるように1983年にはハーレー救済の一環として700cc以上の輸入二輪車に対し高い関税(45%)を課する事まで始めます。

だからもし80G/Sが生まれヒットしていなかったらBMWは間違いなく破綻していたでしょうね。イギリスの名門トライアンフはこのドル安&関税のダブルパンチに耐え切れずに破綻してしまいました。

R80GSプロトタイプ

ただBMWもこの80G/Sのヒットは偶然ではなく狙っていたようで、1970年代から入念に研究を重ね大事に作っていたようです。上の写真はプロトタイプ。

当時のBMWは日本でいえばメグロの様なメーカーで、官公向けやお金持ち相手の保守的なメーカーでした・・・今もあんま変わらないか?

R

そんなBMWが泥が似合う直線的な無骨バイクを出してきたから世間は少し騒ぎました。

でもこれにもちゃんとワケがあります。突拍子もなく出したわけじゃありません。

R80G/Sカタログ

この頃のBMWはISDEで活躍していたんです。

※ISDEというのはInternational 6 days Enduroの事で文字通り6日間にも及ぶ過酷なラリー。一般的にはシックスデイズと呼ばれています。

ISDT BMW

そんなシックスデイズで活躍していたBMWのワンオフチューニングモデルの市販バージョンがこの80G/Sというわけ。当時ビッグオフといえばXT500を始めとした500cc前後が基本だった中で二気筒797ccは相当なパワーオフ。圧倒的な速さを誇っていました。

1980R80

ただこのG/Sが世界から認められたのはISDE直系レプリカでハイスペックながら車重が186kgしかなかった事が大きい。

ちなみにラリーを知らない人でも知ってるラリーであるパリダカでも勿論優勝しました。

パリダカモデル

その記念に発売された32LビッグタンクのR80G/S PARIS DAKAR。

このバイクの登場によってパリダカも多気筒化が進みました。それくらい速かった。

エンジン:空冷4サイクル水平対向2気筒
排気量:797cc
最高出力:
50ps/6500rpm
最大トルク:
5.8kg-m/5000rpm
車両重量:186kg(装)

種類一覧
R80G/S1980年
R80G/S
R100GSパリダカ1988年
R100/80GS
R1100GS1994年
R1100GS
R1150GS1999年
R1150GS
2004R1200GS2004年
R1200GS
R1200GS2013年
R1200GS