本当の怪物は誰も求めていなかった GSX1300BK B-KING (GX71A) -since 2008-

B-KING

このバイクは売れなかったけど比較的新しく、よくネタにされる事もあって有名ですね。

簡単に言うとハヤブサのネイキッドバージョンにあたるバイクで、ハヤブサの系譜に追加しようと思っていたのですが何となくコチラに。

近年稀に見るほどのネタ扱い車ですが、ネタにされるあまり真面目な解説をほとんど見ないのでちょっと真剣に売れなかった理由を考察し書いてみようと思います。

このバイクが初めて世間に登場したのは2001年の東京モーターサイクルショー。

B-KING

このコンセプトモデルが出た時は凄く話題になりました。

日本では「トンデモなネイキッドが出た」と話題になり、欧州でも「スズキが公式で超COOLな事をやりやがった」とお祭りに。

というのも当時ヨーロッパではカスタムビルダーによるSSのネイキッド化、つまり今でいうストリートファイターのブームが巻き起ころうかとしている時代でした。そんな時代の中でスズキが出したB-KINGはいわば公式による隼ストファイカスタムだったわけです。

そしてもう一つ話題になった理由(それも何故か語られないのですが)それは”スーパーチャージャー”が付いていたという事。隼エンジンにスーパーチャージャーを積んだもはやストファイなのかドラッガーなのか分からない過激さでアメリカ人のハートも鷲掴み。

しかもコンセプトモデルの時点で現実的な形をしていたので市販化を望む声が世界中から挙がってきました。

GX71A

ここまで聞くと売れない要素は無いヒットを約束されたバイクの様に思えますよね。

アレほど反響があったにも関わらず何故売れなかったのか?

 

その1 市販化が遅くタイミングが最悪だった

GSX1300BK壁紙

2001年のコンセプトモデルの時点でいつ市販化されてもおかしくないほどの完成度を持っていたB-KINGでしたが、市販化されたのは約7年後の2008年(2007年にアナウンス)と非常に時間が空きました。

ホモロゲなどを除き、バイクの開発は通常1~2年(初代ハヤブサは4年以上だけど)といわれています。そんな中で7年はとてつもなく遅い。コンセプトモデルで生まれた熱も冷め、みな忘れてしまいます。恐らく大事に作っていたことやハヤブサ(のモデルチェンジ)との兼ね合いが関係しているのでしょうが、いくら何でも遅い。

もうこの頃は既にストリートファイターブームによって既に各社から色んなストファイが出ていましたしね。GSX-S1000もそうだけどスズキは出すのがいつも遅い。

そしてもう一つのタイミングが最悪というのはリーマンショックによる世界恐慌が起こったから。

リーマンショック

サブプライム住宅ローン危機から始まった米国バブル崩壊による世界恐慌。これによりバイク業界は壊滅的なダメージを受けました。

何故バイクが?と思うかもしれませんが、人は不況を感じると嗜好品を買い控えるようになるわけです。バイク、ことさら大型は嗜好の塊のような物なので影響が非常に多かった。

B-KINGは出てすぐに市場が壊滅的な状況に陥るという最悪なタイミングだったわけです。2年絶たずに正規逆輸入車がモトマップ(スズキ逆輸入取扱)から姿を消したのはこの件によるものが大きい。

その2 スーパーチャージャーじゃなかった

B-KINGマフラー

2001年のコンセプトモデル段階ではスーパーチャージャーが付いていました。

80年代に出たXN85ターボ以来となる過給器付きバイクに胸を踊らせた人も多かった。

コストの問題なのか、耐久性の問題なのか分かりませんがスーパーチャージャーは見送られNAエンジンに。結局カワサキのH2に持って行かれてしまいましたね。

まあハヤブサエンジンな時点で過給器はメリットよりもデメリットの方が大きいと思うので付けないほうが正解なんだろうけど、消費者心理としては難しい所だね。

その3 HAYABUSAという絶対車

ハヤブサとB-KING

B-KINGの登場はハヤブサのフルモデルチェンジと同時でした。

HAYABUSA1300は1,490,000円(税別)

それに対しB-KINGは1,580,000円(税別)

そう、B-KINGはハヤブサより高かったんです。何故カウルを剥いだだけのB-KINGの方が高くなるのかと声が多かった。

しかしハヤブサとB-KINGはエンジンこそ共通(手は加えられてる)だけどフレームもホイールもスイングアームも専用に違うアルミダイカスト製を用意していたりと更にお金を掛けているんです。サスもそうでキャスター角の変更(つまりフレームの変更)までしています。

B-KING横

でも消費者にとってはそんな違いは見ても乗っても分からない

「同じ金額出すなら名実ともメガスポの頂なハヤブサ買う」

って人が大半だった。B-KINGはハヤブサのネイキッド、ハヤブサの亜種、という枠を抜けだせなかったわけです。

最後の理由 本当の怪物は誰も求めていなかった

B-KING顔

色々と売れなかった理由を述べてきましたけど一番の理由はコレだと思います。

B-KINGはカタログ落ちした後、50万円引き等の投げ売り紛いな事までしたにも関わらず在庫はなかなか捌けませんでした。申し分のない性能にハヤブサに負けないインパクトのあるルックス、そして末期にはハヤブサよりかなり安くなった車体価格。

それなのに売れなかった。これは腰が引ける人が多かったからではないかと。

B-KING前後

どデカい車体、どデカい200タイヤ、どデカいヒートガード。まさにコンセプトモデルデザインそのまま。

あまりにも実用離れしたインパクトに自分が乗ってる姿を想像できない、取り回しや足付き等の不安から腰が引けた人が多かった。実際は思ったほどじゃないとしてもね。

メガスポやSSなどの明確な数字が求められるジャンルに属していない怪物バイクとして、限定などの付加価値を付けずとも成功し常駐できている車種といえば

マッスルクラス

ホンダのGLシリーズ、ヤマハのVMAX、ドゥカティのディアベル、ハーレーのVRSC、などがあります。

お気づきと思いますが奇しくも全てが、足付きが良好で、低重心で、引き起こしも楽なクルーザー。

「怪物だけど怪物らしい走りや扱いを強要しない」

という共通点。

つまりB-KINGを見て思うのは、怪物バイクを好むライダーの多くが求める”怪物”というのは”本当の怪物”ではなく

B-KING壁紙

「コレなら俺にも乗れそう」

と思われる”怪物(のような)バイク”だという事ではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2245/800/1085mm
シート高 805mm
車軸距離 1525mm
車体重量 235kg(乾)
[239g(乾)]
燃料消費率
燃料容量 16.5L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 1340cc
最高出力 183ps/9500rpm
最高トルク 14.8kg-m/7200rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後200/50ZR17(75W)
バッテリー FT12A-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CR9EIA-9
または
IU27D
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.1L
フィルター交換時3.3L
スプロケ 前18|後43
チェーン サイズ530|リンク118
車体価格 1,580,000円(税別)
[1,650,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

イタリア魂が生んだもう一つのMT BT1100 BULLDOG (5JN) -since 2001-

BT1100ブルドッグ

今ではFZに変わるヤマハのスポーツネイキッドとして定着したMTシリーズ。

そんな中でもMT-01を覚えてる人は多いとは言えませんが一定数は居ると思います。海外ではB-KINGと並んで日本でいう変態バイク扱いを受けてたりするわけですが、じゃあこのBT1100を覚えてる人は居るかといえばまあ居ないでしょう。

このバイクはドラッグスター1100のエンジンを積んだネイキッドで、発案も設計も生産もイタリアヤマハ(旧ベルガルダヤマハ)によるもの。

MT-03と同じようなものなのですが、コチラはプレストで正規取扱車として結構長く日本でも販売されました。

BT1100エンジン

見た目からしても

「ビューエルみたいなもんだろ?」

と思う方も居るかもしれませんが全然と言っていいほど違います。

BT1100リアビュー

確かにBT1100はクルーザーの空冷ビッグツインを積んだネイキッドなので鼓動感はあるけど性格は違う。

カタログを見れば分かりますがビューエル(ファイヤーボルトやサンダーボルト)ほどショートホイールベースではありませんし、かといってMT-01ほどのトルクオバケでもありません。BT1100はシャフトドライブですし。

bulldog

BT1100の狙いは何なのかって話ですが、これは

「本当に日常生活に根差したイタリアンネイキッドを作りたい」

というイタリアヤマハが作りたかっただけの様なバイク。

とはいうものの、ちゃんとコンセプトモデルを踏むほどイタリアヤマハも力を入れていました。

BT1100コンセプトモデル

では、なぜ売れず、なぜ誰も覚えていないのかといえばビューエルがハーレーから切られた事からも分かるように非常にニッチなカテゴリだという事もあるんですが、それに加えてブルドッグが発売された翌年に本家ヤマハがMT-01を発表したからです。

元々ヤマハは「鼓動コンセプト」としてMT-01コンセプトを1999年から出していました。

MT-01コンセプトモデル

しかし一向に市販化されずみんな忘れかけてた。

そしてたらまあBULLDOGが出た翌年に市販化を匂わすコンセプトモデルと発表をしたんだから驚き。

5JN

でも一番驚いたのはイタリアヤマハじゃないかな・・・このせいでBT1100は完全にMT-01の前座になってしまったわけですから。

結局MT-01が発売と同年にマイナーチェンジもしてるんだけど、どうしてもインパクトでMT-01に劣ってしまった。まあMT-01も売れてないんだけどね。

肝心のイタリアでも思ったほどの人気は出ず、排ガス規制を機にイタリアでは2006年、日本では2008年モデルをもって販売終了となりました。

5JN

・・・肝心のバイクに付いて大して何も話してませんでしたね。

BT1100がどんなバイクかといえば

少し回すだけですぐにゴフゴフと息を上げ

ボディもマッチョだけど速く走るのは得意じゃない

性格も見た目に反して急に牙を剥いたりしないフレンドリーさ

そして実物は想像を超える大きさと何より重さ

ブルドック

そう、まさにブルドッグ。

主要諸元
全長/幅/高 2200/800/1140mm
シート高 812mm
車軸距離 1530mm
車体重量 250kg(装)
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 空冷4サイクルSOHC二気筒
総排気量 1063cc
最高出力 65ps/5500rpm
最高トルク 9.0kg-m/4500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後170/60ZR17(72W)
バッテリー GT14B-4
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
BPR7ES
または
W22EPR-U
推奨オイル SAE 10W/30~20W/40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.6L
交換時3.0L
フィルター交換時3.1L
スプロケ
チェーン
車体価格 1,030,000円(税別)
※プレスト価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

30年経ってCBXと認められたアメリカン CBX400Custom (NC11) -since 1983-

YZF-R25

CBXと聞くと誰もが大ヒットし今も伝説のように語り継がれるCBX400F、またはCB750FOURの次世代を担うフラッグシップとして登場したCBX1000を思い浮かべるでしょう。

このCBX400CUSTOMはCBX400Fの二年後、CBX400INTEGRAに次いで登場したCBX400ベースでハンドルとシート変えただけのナンチャッテアメリカン・・・かと思いきやそうでもない。

CBX400Custom エンジン

このCBX400Fは兄貴分でこの400CUSTOMに勝るとも劣らない不人気さを誇ったCBX650がベース。一部の国ではナイトホークという名で売られていました。

CBX650

その650と基本的に同じだから背面ジェネレーター、油圧式バルブクリアランスオートアジャスタ、油圧クラッチ、シャフトドライブというCBX400Fとは名前こそ同じだけど造りは違うCUSTOM。そして驚きなのはCBX400Fよりもショートストロークという事。

だから馬力もFと同じ48馬力という申し分ないものを持ってるんだけど、スケールダウン版の宿命というべきか代償として非常に重くなった。CBX400Fに+11kgで大台の200kgに到達。更にルックスのためにティアドロップタンクにしたことでタンク容量も5L減って12Lしか入らない。

CBX400CUSTOMエンジン

足も硬いしシートも足付きを良くするため非常に硬く薄い。まあコレは見た目を優先したと思えば許せないこともない話なんだけど、ここに書いてる事から察して欲しいんだけど人気は出なかった。

CBX400カスタム

CBX400Fの方はCUSTOMが出た後もマイナーチェンジされたりしたんだけど、これは出たっきり。兄貴の650はまだ白バイや教習車に採用されたから救われてるんだけどね。

理由は言うまでもないけどクルーザーというよりネイキッドな腰高ショートフレームだったこと、そしてもう一つは他所だけでなく身内にもライバルがいた事。

NV400カスタム

Vツインを積んだNV400Custom。CBX400カスタムの二年後に登場したVツインアメリカン。CBXよりも(まだ)クルーザーらしい見た目。まあコレもヒュンヒュン回るアメリカンらしからぬスポーツ性でそれほど人気は出なかったんだけどね。

結局第二次クルーザーブームのきっかけとなった1988年のスティードを出すまでホンダはCBX400CUSTOMとNV400CUSTOMで食い合い、ヤマハのビラーゴとカワサキのエリミネーターによって共倒れする事に。

ちょっと不幸ですよね。でもCBX400CUSTOMが不幸なのはそんな不幸要素が一つじゃないということ。

なんでCBX400CUSTOMなんて出したのかと言えば、このナンチャッテアメリカンタイプは(ホンダに限った話じゃないけど)欧米向けの400オーバーモデルとの二台体制。

言葉が悪いけどフレームもエンジンも基本は同じで、日本でもクルーザー人気が高まりつつあったからスケールダウンしてついでに売ってしまえという感じ。つまりホンダにとっても本命モデルではない。

CBX400Fカタログ

そして悲しい事にこのバイクのエンジンのベースとなった650は更にスケールアップしてCBX750(コッチも不人気っていう)と続いたのに対し、400の方はCBX400CUSTOMだけ。

理由は半年後にCBR400Fというド本命車が控えてたから。CBX400を10馬力も上回る58馬力を引き下げて登場したCBX400Fの後継車です。

CBR400F

こうなるともう”CBX”というネームバリューも無くなりホンダ400はCBR-Fの一色に。もう誰もCBXなんて気にも止めてませんでした。

今では考えられないけど当時はCBX400Fですら型落ち二束三文だったんですよ。

そしてもう一つの不幸要素はその”CBX”という名前。CBX400Fカタログ

CBX400Fが盗難率の高さ、車体価格の高騰により盗難保険への加入が大手保険会社において不可になったのは記憶に新しいと思いますが、何故かその加入不可車両の中にCBX400CUSTOMも含まれているんです。

現役時代には

「こんなのCBX400じゃない」

と言われ認められず

生産終了した今になって

「これもCBX400」

と認められた。

CBX400カスタム

これほど不幸なバイクは珍しいかと。

主要諸元
全長/幅/高 2150/830/1160mm
シート高 780mm
車軸距離 1440mm
車体重量 200kg(装)
燃料消費率 40.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 12L
エンジン 水冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 398cc
最高出力 48ps/10500rpm
最高トルク 3.4kg-m/8500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前100/90-19(57S)
後130/90-16(67S)
バッテリー FB12AL-A
プラグ DP7EA-9/DP8EA-9/DP9EA-9
または
X22EP-U9/X24EP-U9/X27EP-U9
推奨オイル ウルトラ-U(10W-30)
オイル容量 全容量3.2L
交換時2.2L
フィルター交換時2.5L
スプロケ
チェーン
車体価格 525,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

Zの亡霊と戦ったZ XANTHUS (ZR400D) -since 1992-

ザンザス

「ニューマッハウェーブ」

カワサキが1992年に出した今では珍しくもなんともないストリートファイターなザンザス。

エンジンはZXR400の物をベースにカム角とバルブタイミング、そしてピストンヘッドを変更して更に低速寄りにリセッティングしたもの。

それでも上限の53ps/11500rpmを発生させるのを見れば分かる通り、ローギアード化も相まって下からとてつもなく速いネイキッド。

ザンザスのエンジンとフレーム

それもそのはずで何を隠そうザンザスは

「シグナルGPでワンクラス上に勝つ」

という目標の元に開発されたバイクだから。

少し話をザンザスが出る前まで遡ると、カワサキはザンザスを出す3年前の1989年に皆さんご存知『ZEPHYR』を造り出しました。

ゼファー

「肩肘張らずに付き合えるジャパニーズスタンダード」

という狙いが見事に的中し大ヒット。

旧来のZを髣髴とさせるその姿に惚れた人は非常に多いでしょう。

そんな状況だったからカワサキはこの路線で行くのかと思ったら、ザンザスなんていうゼファーの対極なバイクを出してきたんだから驚きなわけです。

そこで少し野暮な推測、それは

ZR400D

「現代版マッハと言われているけど本当はZを造ったのでは」

という事。

というのもZというのはカワサキのフラッグシップモデルだから・・・知らない人の為にも少しZの歴史を振り返ってみましょう。

Zの始まりは川崎重工業を世界のKAWASAKIにした1972年のZ1やZ2です。

Z1

「世界初のDOHC直列4気筒」

として登場し、圧倒的な速さを持っていたことで大ヒットしました。

そしてその流れは400においても同じで、400におけるZの始まりは1979年に出たZ400FX。

Z400FX

「クラス初のDOHC直列4気筒」

というZに通ずるものをもち、年間販売台数トップに躍り出るほどの大ヒットしました。

しかしいつ頃からか

「Z=オールドネイキッド」

という少し違った方向へとZブランドは進みました。

これは道を切り開いたZ1/Z2や400FXがデザインや性能があまりにもセンセーショナルだった。

しかしZというのは元々

『究極のZ』

もっとわかりやすく言うと

『世界最高のロードスポーツ』

というのが本来のコンセプトであって、空冷2バルブ直四のオールドネイキッドを表す意味では無い。

カワサキザンザス

そんな中で出たザンザスは400としては最高のロードスポーツと言っても遜色のないネイキッド。

だから

「これこそ本来あるべきZの道では」

と思うわけです。

※追記

当時のプレスリリースや資料諸々を手に入れて読んだところ、商品企画の吉田さん曰く

「ゼファーとは違う次世代のZがイメージ」

と明言されていました。やはりザンザスの狙いはソコにあった。

1992年ザンザス

ザンザスは周囲の反対を押し切り企画会議で猛プッシュした事でGOサインを貰い始まったプロジェクト。

贅肉を削ぎ落とし機能美に徹するというデザインテーマのスケッチ(特にマフラー)を見た時は、大変な仕事になると頭を抱えたエンジン担当の渡辺さん。

シグナルGPでワンクラス上に勝つという高すぎる目標に妥協なく挑み、予定には無かった新型ラジアルタイヤを強行採用した車体担当の本多さん。

「過激なほど皆が開発努力をしてくれたお陰で完成することが出来た」

と開発部門チーフの藤井さんも仰るほど、チームは”次世代のZ”を造ることに全力だった。

ザンザスの販促ポスター

「やはりザンザスはZだった」

という推測が当たった事を喜んだものの、同時に半分ハズレとなる少し悲しくなる事も分かりました。

過激なほどの努力によって造られたザンザスでしたが、オールドネイキッドブームの前には人気も出ず、4年余りで生産終了という冷ややかな市場反応だったのは周知の事実かと思います。

ザンザスリア

しかし、この冷ややかな反応は市場だけでなく社内でもそうだったんです。

当時カワサキはゼファーシリーズでイケイケだった事に加え、後にロングセラーとなるエストレヤも同時開発中だった。

だから社内の人間も皆そっちに夢中で、誰もザンザスのプロジェクトやコンセプトに興味を示さなかった。

ZR400Dカタログ

「みんな頑張っているのに誰も興味を示してくれないのが可哀想だった」

と藤井さんも漏らすほどチームと社内の温度差は大きかったんです。

市場からも身内からも理解されなかった可哀想なバイク・・・が、時代が少し進んで10年後の2003年。

カワサキが水冷Z1000を出したのはまだ記憶に新しいと思います。

水冷Z1000

新世代のZという事でしたが、開発段階ではザンザス900という名前で進んでいました。

Zの商標が切れそうだった事からZ1000と名前を改められたのは有名な話ですが、それだけの理由ではないと思います。

だって水冷モノサスのカッ飛び系なんてそれまでのZのイメージを覆す事になるんですから。

ZR1000A

どう見てもザンザスの系譜といえる造り。

そしてミソはそんなバイクをZにするというザンザス時代では考えられない事をやったということ。

これはひとえにザンザスが持っていた”次世代のZ”というコンセプトを身内が理解してくれた事、そしてザンザスが生産終了後に再評価される流れが出来た事からでしょう。

ザンザスカタログ写真

だからこそザンザス900改めZ1000はまだストファイブームとは言い難い中で成功を収めただけでなく、遺産であると同時に亡霊でもあったZのイメージを塗り替える事も出来たのではないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2030/745/1070mm
シート高 775mm
車軸距離 1380mm
車体重量 168kg(乾)
燃料消費率 44.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 14.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 398cc
最高出力 53ps/11500rpm
最高トルク 3.7kg-m/9500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/70R17(54H)
後160/60R17(69H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ CR9EK
または
X27ETR
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40
オイル容量 全容量3.0L
交換時2.8L
フィルター交換時3.0L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ520|リンク108
車体価格 629,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

カタナと名乗れなかったカタナ GSX750S (GS75X) -since 1982-

スズキGSX750S

「”KATANA” in Japan」

当時を知らない人でも知ってる”カタナ”というスズキの名車。

「スズキはカタナを出せ」
「バイクはカタナが一番かっこいい」
「カタナを超えるバイクは存在しない」

など復活を望む大合唱が起こっているのを誰しも一度は耳にしたことがあると思います。2019年に復活してからはあまり言われなくなりましたけどね。

ただしここで注意しなければならないのがこういう時のカタナは海外向けに作られた長男坊GSX1100Sの事で、決してGSX750Sではないという事。

何故そう言い切れるのか知ってる方も多いと思いますが改めてザックリ説明。

GSX750Sは自主規制により上限750ccだった日本国内市場に合わせて造られたナナハンカタナになります。Z1に対するZ2みたいな感じですね。

カタナプロトタイプ

プロトタイプのカタナがドイツのケルンモーターショーで発表された時の衝撃は凄まじく

「スズキは早くこれを出せ」

と待ち望む人たちも大勢居ました。そして満を持して国内市場向けに発売されたのがこれ。

GSX750Sカタナ

・・・なんか違う。

その理由はスクリーンが付いていないこともありますが、一番はハンドルがグイッと上に伸びてアップライトな物になっているからで何故こうなったのかというと運輸省が

「低いハンドルとスクリーンはレーサー(暴走)を連想させて危険」

として認可しなかったのが理由。

更に下のカタログ写真をよく見て欲しいんですがKATANAというペットネームも刃というサイドデカールも無い。

GSX750Sカタナ

これすらも過激で危険として許可されなかったんですね。苦肉の策として購入後にオーナーが自分で貼れるようデカールを用意することになりました。

当然ながら待ち望んでいた国内ユーザーからは落胆の声が聞かれ、無理やり上げられたハンドルは耕うん機ハンドルだと揶揄される始末。

「じゃあ1100の逆輸入車を買えばいいじゃない」

と現代なら言えるんですが当時はまだ逆輸入車という文化が根付いておらず並列輸入が基本。200万オーバーで保証なしが当たり前という世界だったので簡単に購入できる状況ではなかった。

GSX1100SZ

つまりカタナに乗りたいライダーが取れる選択肢は3つあった。

選択肢1:大枚をはたいてGSX1100Sを買う

選択肢2:GSX750Sで妥協する

選択肢3:諦める

この中で一番多かったのは・・・選択肢3の諦める。その根拠はある大ヒット商品を生んだから。

GSX1100Sのプラモデル

『タミヤのプラモデル版カタナ』

です。

タミヤが発売したプラモデル版カタナ(当然ながらGSX1100S)が大ヒットした。あまりの売れっぷりにタミヤ模型の田宮専務が鈴木修社長に直々にお礼を言いにいったほど。

ヒットの要因はもちろん本物が簡単に買えない状況だったから。※中免小僧の憧れも含む

次に多かったのが選択肢2のGSX750Sでの妥協案。

GSX750S 1型

ただし黙ってGSX750Sに乗るわけはなく、GSX1100S用やそれに通ずるスクリーンやセパレートハンドルを流用し本来のあるべき姿に戻すカタナ化が流行りました。

ちょっと前に流行った国内仕様をフルパワー化にする流れと親しい感じですが、カタナの場合は国が認可していない装備を付けて走るわけでトドのつまり分かりやすい不正改造車状態。

そりゃもうポジション見れば一目瞭然だったから簡単に警察に目をつけられてバシバシ切符を切られた。これがカタナ界で有名な『刀狩り』というやつで、その部品需要の高さから高確率で盗まれるという二次被害まで出る始末。場合によってはコチラを刀狩りと言って恐れるオーナーいたほど。

つまり当時のオーナーたちはいつ辻斬にあっても文句は言えない正にサムライみたいな覚悟で乗るしかなかった。

GSX750S2

さすがにスズキもまずいのは分かっており翌1983年には3馬力アップと共にハンドルやシートの変更し16インチを装備したGSX750S2(上の写真)を発売。

名目上メーターバイザーにすることで何とかスクリーンの認可も得ることに成功しカタナらしいルックスとなったものの、やはり低いセパハンとカタナという文字を入れることは許されず。

そんな中で1980年代半ばになると日本がバブル景気となり自動車業界も輸入車事業が拡大。それに合わせて逆輸入車も活性化しGSX1100Sが良心的な価格で入手できるようになり多くのライダーが1100に飛びつきました。

今でこそ当たり前な逆輸入車という言葉(抜け道)が広く認知されるようになったのはこのカタナによるものだったりします・・・が、しかしそうなると当然ながらGSX750Sは要らない子に。

1100と750

実際GSX750Sは累計1.7万台ほど出たんですがそのほとんどは1100が買えなかった頃の初年度モデルでした。

というのがGSX750Sについてよく語られるストーリーなんですが

「じゃあバイクとしてはどうだったの」

という話。実はここまで前置きでこれからが本題。

750カタナカタログ写真

その話をするには系譜を少し紹介する必要があるのですが、GSX-S750の系譜で書いているので大きく割愛すると

1976年GS750
※スズキ初の直4ナナハン

1980年GSX750E
※4バルブ化

1982年GSX750S
※カタナ

という流れでカタナが生まれたのは

「スズキは地味」

という評判であり課題を克服する狙いから。

GSのデザインの流れ

こうやってみるとカタナで激変したのがよく分かるかと思います。

ただし、ここからが重要なんですがGSX750Sにはカタナデザインとは別にもう一つ課題があった。

GSX750Sは既にかなりのスポーツだったGSX750Eを更に

・圧縮比アップ
・ピストンリング見直し
・カムを高回転型に

など手を加えることにより1100以上に極端な高回転化チューニングが施されました。これこそがその課題であり改題を解決するためにとった手段。

750カタナ

「鋭い見た目に負けない鋭い楽しさを持たせる」

GSX750Sにはカタナデザインを守ることと同時この課題があった。そして開発陣はそのために一丸となった。※ClubMan242の横内さんより

何故そんな課題が生まれたのか・・・それはスズキの空冷四発ナナハンの名車と聞いてもパッと名前が出ない人が多い事からも分かる通り当時スズキは

「スズキのナナハンは速い」

という評価は得られたものの

「スズキのナナハンは面白い」

という評価を得られずにいた。これは何よりも速さを追い求めた為に得意なロングストロークエンジンを採用していたから。確かにそのおかげで速かったんですがファンライドの側面でいうとメリハリが無いともいえるものだった。

GSX750Sではそれを克服するためカタナであると同時に

「このナナハン面白いじゃん」

と言ってもらうことを狙って開発されたモデルでもあるんです。

だから実はGSX1100SとGSX750Sっていうのは性格が全く違う。

1100はハイパワーのガッチリ系で当時のスズキらしいフラッグシップだったのに対し、750Sは回すことで初めて弾けるようにパワーが出るスーパースポーツタイプ。絵に描いたような直4スポーツで日本人好みな特性だった。

GSX750S1カタログ写真

しかし残念ながらそれを知るものはあまり居ない。

理由は前置きで話した通りカタナと名乗れず、まるで偽物かのような扱いが先行し誰もGSX750Sが持つエモーションに目を向けなかったから。これはモデルチェンジしたことで更に顕著になりました。

GSX750S3
(GR72A)
-since 1983-

GSX750S3

GSX750S3という機種名から三型と言われているモデルであり、初めてカタナを名乗る事が出来たGSX750S/GR72A型。

・リトラクタブルヘッドライト(二輪初)
・流体解析で生み出されたエアロボディ
・自主規制上限の77馬力
・角フレーム
・フロント16インチ
・対向2ポットキャリパー
・ポジティブダンピングフォーク
・リンク式モノサス
・10kgの軽量化

などなどスポーツバイクとしての鋭さと楽しさを更に増す改良が施されたんですが

GSX750S3カタログ

「ますますカタナじゃなくなったな」

と一蹴され、1985年のS4(シルバーフレーム)が出る頃には話題にすらならず750カタナはひっそりと姿を消すこととなりました。

S3カタログ写真

何故こんなことになったのか・・・それは何度も言いますがGSX750Sが鋭いナナハンスポーツだということを誰も知らなかったから。一方でカタナに成り損なったカタナという事は誰もが知っていた。

それは今もそう。750カタナといえばこのページの前半で書いたことしか言われない。これは本当に不幸だし不平だし不運。

GSX750Sカタナ

もしも最初からセパハンとスクリーンの認可が下りてカタナとして出ていたら絶対にこんな事にはならなかった。

見て笑うのではなく乗って笑う人がいっぱい生まれ・・・やがてそれが

「スズキはGSX750Sを出せ」

という大合唱を間違いなく起こしていただろうと。

主要諸元
全長/幅/高 2250/810/1105mm
[2210/830/1095mm]
{2190/760/1160mm}
シート高 770mm
車軸距離 1515mm
車体重量 223kg(乾)
[222kg(乾)]
{212kg(乾)}
燃料消費率 38.1km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 21.0L
エンジン 空冷4サイクルDOHC四気筒
総排気量 747cc
最高出力 69ps/8500rpm
[72ps/9000rpm]
{77ps/9000rpm}
最高トルク 6.2kg-m/7000rpm
[6.3kg-m/7000rpm]
{6.4kg-m/7500rpm}
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前3.25H19-4PR
後4.00H18-4PR
{[前100/90-16
後120/90-17]}
バッテリー FB14L-A2
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
D7EA
{[D8EA]}
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量4.0L
交換時3.2L
スプロケ 前16|後43
[前16|後42]
{前14|後43}
チェーン サイズ530|リンク110
{サイズ530|リンク114}
車体価格 598,000円(税別)
[647,000円(税別)]
{699,000円(税別)}
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

ネイキッド系

ネイキッドとは

最初にご紹介するのは皆さんご存知ネイキッド。

オートバイといえばこの形を思い浮かべる人も多いかと思います。

 

【特徴】

ハンドルが高く比較的楽なポジションながら比較的なんでも万能にこなせる優等生。

カウルなどの装飾も少なく作りもオーソドックスな物が多いためメンテナンス性も良好。

難点はネイキッド(剥き出し)というだけあってカウルレスな物が多く、ポジションが起きてることも相まって防風性がよろしくなく運転よりも風で疲れる。

【歴史】

ネイキッドの歴史がいつからかといえば

「最初から」

というのが正解だと思います。それこそ1885年に造られた世界初の二輪車リートワーゲンだってネイキッド。

リートワーゲン

でもこれじゃ釈然としませんよね。

「じゃあいつからネイキッドと呼ばれるようになったのか」

という話。

これ実はそんなに昔の話ではなく1980年代からなんです。それまではネイキッドなんて言葉は存在しませんでした。

CB400F

例えば今でこそ何処からどう見てもネイキッドな70年代を代表するこれらのバイクも当時は

『スーパースポーツ』

と言われていました。何故ならこれらはレースでも使われる、今で言えばCBR1000RRやZX-10Rのようなバイクだったからです。

それが大きく動いたのが1980年代に入ってから。

この頃レース界では空気抵抗を減らすための外装が付いているのが当たり前になっていた。

1980年代のレーサー

『フェアリング(カウル)』

という今では珍しくもなんとも無いカバーですが、当時は海外(逆輸入)は許されている一方で国内ではこれを付けることを国が許してなかった。

しかし1981年にホンダが出したVT250FというVTRの始祖にあたるバイクの登場で流れが変わります。

1981カウル

これがどうにかこうにか通った事を契機に制度が見直されカウル認可が下りる様になりました。

そんな規制緩和を見逃さなかったのがスズキで1983年のRG250Γを発売。カウルを始めとしたそれまでレーサーの特権だった装備を備えた形でヒットしました。

1983フェアリング

それに続けと全メーカーがスポーツバイクを次々とカウル付きにしていったわけですが、そうなるとこれまでスポーツを担っていたカウルの付いていないバイクはどうなるのって話ですよね。

その答えというか定義を出したのが1985年のヤマハ。

ヤマハはFZ400Rというカウル付きスポーツバイクを出したのですが、同時にカウルを取っ払った従来型のモデルも出しました。

1983フェアリング

『FZ400N(Naked)』

これがネイキッド誕生の瞬間です。

同時になぜネイキッド(剥き出し)という名前になったのかもこれで分かりますよね。

1983フェアリング

「カウルがない事を示す新しい名前を付ける必要が生まれたから」

ですね。

これがネイキッドの名前の由来・・・なんですが、一方でこういうモデルこそがネイキッドだと言われると抵抗がある人が多いかと。

レーサーレプリカネイキッド

実際こういうカウルを剥いた形のネイキッドは(オーナーには申し訳ないですが)当時もあまり人気ではありませんでした。

多く人が漠然と思い描くネイキッドはこういう形じゃないでしょうか。

ジャパニーズネイキッド

改めて見るとCB1300SFは本当にツボを完璧なまでに抑えてるなと感心するんですが、このページで言いたいことはそうじゃない。

重要なのは

「このスタイルはネイキッドというジャンルが生まれた時代には存在していなかった」

という事です。

このスタイルは1990年代に訪れるネイキッドブームにより人気が出てからの話で、その時にカウルを剥いだモデルという意味から

「カウルが無かった時代のスタイル」

をさす言葉に変化した。

これはネイキッドブームによるNKレースが開かれるようになった事も大きく寄与しているものと思われます。

ここで整理すると

・ネイキッドという言葉が生まれたのは1980年代

・我々が思うネイキッド像はそれ以前のスタイル

という事になる。

1983フェアリング

そう、実はネイキッドというのは

「定義の由来とスタイルの由来が別々」

という面白いジャンルなんですね。

じゃあスタイルの方の由来は何か、このデザインが何処から始まっているのか遡ると1972年に発売されたこれに辿り着く。

Z1

『900SUPER4(通称Z1)/750RS(通称Z2)』

我々が思うネイキッド像はココから来てる。1990年代から巻き起こったネイキッドブームの火付け役がゼファーだったのも市場から消えていたこのデザインを継いだ形だったから。

Z1

更に補足するとこの根拠はただポイントが当てはまる最初のモデルだからというだけではありません。

というのもこのZ1/Z2は毎年のように雑誌で特集を組まれる旧車のレジェンドになっているのはご存知だと思うんですが、一方で欧米ではそれほどでもなく国内外での温度差が結構ある。これが現代のネイキッド市場にそのまま繋がってるんです。

我々が思うネイキッドスタイルというのは日本ではウケるけど欧米ではウケない。向こうでは70年代のジャパニーズバイクという認識しか無いからです。

日本のためのネイキッド

でも日本にとってZを始めとした1970年代のバイクというのは世界に躍進した時代を象徴するバイクばかり。

そしてその事が漫画やアニメなどでも登場したりして語り継がれた事でソウルフードならぬソウルバイクになり色褪せないスタイルとして認知され不動の形になったという話。

【最後に】

ネイキッドは正にガラパゴスバイクと言えるんですが、これは別に悪い事でも恥じる事でもないですよ。むしろだからこそ選ぶ価値がある。

何故なら日本人しか好まない事からネイキッドというバイクは日本の人が日本で乗ることだけを考えたバイクになってるから。

日本のためのネイキッド

ガラパゴスであるはずのネイキッドが

『バランスの取れたスタンダードモデル』

として日本で何十年も定着している理由もここにあるわけです。

該当車種

CB1300SF/SBCB400SF/SBの系譜

XJR1300XJR400Rの系譜

Bandit1250GSR400の系譜

ZRX1200DAEGZEPHYRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ストリートファイター系

ストリートファイターデザイン

近年ネイキッドの座を奪いつつあるストリートファイター系。

端的に言うならばスーパースポーツのカウルを剥いでストリート最速志向にしたスタントやエクストリームが似合うバイク。

【特徴】

高回転型エンジンを搭載しているタイプが多くスピードレンジがネイキッドより高めで、足付きもそんなに良くない傾向。

ストリートファイターとは

本場(従来)の定番でいうと

・カウルレス
・小型ヘッドライト
・ダート用ワイドハンドル
・ショートテール

を備えたバイクがストリートファイターデザインと言われています。

【歴史】

ストリートファイターの始まりは1980年代後半のイギリス。なんと日本でネイキッドという言葉が生まれた時とほぼ同時期なんですね。しかも経緯も似ています。

この頃イギリスで何が起こっていたのかというと日本と同じようにフルカウルのスポーツバイクが高性能の象徴として全盛を迎えていたんですが、カウル付きゆえの問題も起きていた。

「転倒でカウルが割れてしまう」

という問題です。

カウルが割れたり欠けたりしているバイクはお世辞にも綺麗とは言えない、しかし新しいカウルを買おうと思っても躊躇してしまう値段だったりして(お金がない若者は特に)買えなかった。

カウル付きに乗ってる人はいま凄く頷いていると思うのですが

「ならもういっそ全部取ってしまえ」

というのがストリートファイターの始まり。

この経緯を聞くと

「ネイキッドとストリートファイターって同じでは」

と思いますよね。実際そういう見解もある。

ストリートファイターとネイキッド

確かにそれも一理あるんですが日本で売られていたネイキッドはほぼ国内向けモデルであった事に加え、少し厳しい基準でいうと向こうはただ剥いただけでなくイギリス伝統のストリートレーサー

『60年代カフェレーサーのインスピレーションを受けたカスタム』

である事が重要だった。

そういった背景から

・フェアリングレス=買うお金がないから

・小型ライト=フリーライドで邪魔にならないように

・オフ車のワイドハンドル=大きく振り回せるように

・ショートテール=ウィリーでこすらないように

などカフェレーサーをルーツに持ちつつハイスペックを公道で活かせる、後にストリートファイターと呼ばれるカスタムが誕生。

この流れが大きくなったのは性能が良いもののニューモデルラッシュで安くなっていた70年代の型落ち中古日本車(多気筒初期モデル)が安値で売られていた事も要因の一つ。

カウル付きバイクすら買えない若者もそういう中古を買って同じ様にカスタムという背景もあった。

『カウルを割ってしまった若者』

『安い中古の日本車を活用しようとした若者』

この両輪でストリートファイターカスタムが人気になったというわけ。

ちなみにこのストリートファイターのデザインにはルーツがあります・・・それがこれ。

ストリートファイターの始まり

1983年に英バイク誌にて掲載されたデザイナーのアンディスパロー氏が描いたバイクキャラ。

『HOOVER』

このキャラデザインが若者に多大な影響を与え、同じ様なバイクにしようとカスタムし始めたのがストリートファイターデザインの始まりと言われています。

なんと漫画が起点という嘘のような本当の話。

ストリートファイターの始まり

言われてみれば確かに・・・日本でいうアキラの金田バイクみたいな存在だったんでしょうね。

そしてこの数年後、同じくイギリスのバックストリートヒーローズというバイク雑誌がこの流れを受けたカスタム車を

『StreetFighter』

と銘打って紹介したことでジャンルが確立。フランスやドイツなどにも波及し広がっていきました。

これがストリートファイターの由来とされています・・・されていますと保険を打つのは

向こうのWikipediaやバイクメディアでも

「~だろう」

的な感じで書かれているから。

この原因はストリートファイターというジャンルがレース企画やメーカーの新しい提案というトップダウンで生み出されたものではなく、お金が無い若者達の間で生まれボトムアップする形で定着したものだから。ストリートファイターを生み出したのは同じライダーたちなんです。

しかし一方でストリートファイターを日本を含め世界的に広く認知させたのはやはりバイクメーカー。このストリートファイター文化をいち早く取り入れた量販車とされるのが1994年に発売されたこれ。

ストリートファイターの始まり

『SPEED TRIPLE/T309』

復活したトライアンフが打ち出した三気筒エンジンプラットフォームのネイキッドバージョン。

これが上げられる理由はストリートファイターの主流となっていた

『ハイスペック×カウルレス×カフェ』

という要素を強く取り入れていたモデルだったから。

ただ正確に言うとこのスピードトリプルが爆発的な人気となったのはデビューから3年後の1997年に出されたモデルです。

ストリートファイターブーム

『SPEED TRIPLE/T509』

今ではおなじみのスタイルですが、同時に先ほど紹介したバイクキャラのHOOVERにもソックリですよね。

トライアンフが何処まで意識したのかは分かりませんが、スピードトリプルはストリートファイターデザインのツボを完璧なまでに抑えたモデルとして人気を呼び、今ではトライアンフを代表するバイクの一台にまでなりました。

ちなみにスピードトリプルがT309からT509へ早々にモデルチェンジし、ガラッとイメージを変えた理由は強力なライバルが居たから・・・それがもう一台の量販型ストリートファイターの先駆けと言われているモデル。

初代ストリートファイター

『MONSTER 900』

日本でも有名なドゥカティモンスターの初代にあたる1993年発売M900です。ちなみにここに量販車ストリートファイターが広まった背景があります。

モンスターの系譜にも書いたんですが、当時欧州ではハイスペックになったフルカウルのスーパースポーツなどで事故を起こす輩が絶えなかった。その結果そういうバイクのVAT(付加価値税)や保険料がドカンと上がったんですね。

それを回避するためにドゥカティが出したのがスーパーバイクのエンジンを積んだネイキッドのモンスター。

「いやロードスポーツです全然スーパースポーツじゃない」

っていう。

そんな屁理屈が通るのかって話なんですが、これが通った事で2007年までに15万台を売る大ヒットでドゥカティ史上最も売れたシリーズに。

ストリートファイター1099

2009年登場のストリートファイター1099へバトンタッチするまで続きました。

メーカー謹製のストリートファイターが成功し定着したのはこの維持費の問題、そしてそれまでお金がない若者の無いなりの遊びを

「新車購入層に広めたから」

という背景がある。

実はストリートファイターを”生み出した層”と、ストリートファイターを”買う層”というのは被ってないんですね。だからこそ世界でヒットし今ではネイキッドに代わるストリートに特化したスポーツバイクとして定着するようになったという話。

この棲み分けのようなものは90年代以降も変わらず、生み出した層(自分で造る派)はメインフレームも変えるなど更にディープになっていきました。

ただここで一つ補足すると日本でいうストリートファイター像というのは実はイギリスよりも、イギリスに感化されて流行ったドイツ系だったりします。

ジャーマンストリートファイター

『ゲルマンストリートファイター』

と言われている系統で、外装はカチ上げたシートカウルとカウル付き小型ヘッドライトのみで原型を留めていないのが特徴。

イギリス系ストリートファイターとドイツ系ストリートファイター

どちらも同じGSX-R1100がベースなんですが、ドイツ系の方がストリートファイターっぽいと思う人が多いのではないかと。

ちなみにこの由来の話を読んで

「イギリスの若者はお金が無いなりに生み出してて凄いな」

と関心する人が多いと思うのですが、カウルをバキバキに割ってしまう様な公道バトルをする蘇ったカフェレーサーみたいな人たちですからね。

アメリカのジャーナリストがロンドンの公道で初めて見た時は、映画の撮影か何かかと勘違いしたとか何とか・・・もうそれだけで説明は十分かと思います。

しかしじゃあ

「カフェレーサーとストファイの違いは何」

と聞かれるとこれが泣き所というか突いてほしくない部分。

カフェレーサーとストリートファイターの違い

・攻撃的な見た目がストファイでクラシカルなのがカフェ

・一本サスがストファイで二本サスがカフェ

・三気筒以上がストファイでそれ以下はカフェ

・ハンドルが高いのがストファイで低いのがカフェ

などなど色んな基準が言われてたりしますよね。

CB1000Rカフェレーサー

でもこれ実は明確な定義は無いに等しく、向こうのコミュニティでも意見がバラバラで荒れてたりする。

つまりストリートファイターというのは明確な定義が無いんです。これはどのジャンルに言えることでもあるんですけど、特にストファイはこの幅が大きい。

ジグサー250

ストリートファイターって言ってしまえば現代解釈版カフェレーサーみたいなものなんです。

【最後に】

ボトムアップみたいな誕生の仕方だったために定義が曖昧なストリートファイターですが一つだけ確実に言えるのは

「欧州発祥である一方そこには日本車の存在が大きく関わっていた」

という点。

日本車にイギリスのカフェレーサーという要素を加えた創作和洋折衷がストリートファイターの始まり。

和の伝統で生まれたのがネイキッドなら、洋の伝統で生まれたのがストリートファイターという感じ。

ストリートトリプル

和洋お好みでどうぞ。

該当車種

MT-10MT-09MT-07の系譜

GSX-S1000/FGSX-S750の系譜

Z1000Z900の系譜

Buell|EBRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ストリート系

ストリートとは

おしゃれバイクの筆頭として上げられるジャンルのバイク。お店の脇に置かれるのが凄く似合うというかよく見るというか。

【特徴】

比較的排気量も抑え気味でまた軽く細いので足付きが非常に良く、ワイドハンドルなので操舵もしやすく街乗り向き。

逆に言うとこれで長距離を走るのはなかなか大変だが、ストリート系なだけありカスタムが豊富でスクランブラーに近い。

【歴史】

実はこのバイクとっても歴史が長いです。

というのもこれの元となっているのは1920年代から行われているアメリカで人気のレース

『フラットダート(フラットトラック)』

というオーバル上の砂や土や砂利などが敷かれたオーバル上のコースを集会して競うバイクが発端なんですね。

凄く分かりやすいのがホンダのFTRというバイク。

RS750DとFTR

アメリカのフラットトラック用ファクトリーマシンRS750D(別名サイドワインダー号)を強く意識しているのが分かるかと思います。

つまり得意分野はダートという話なんですが、しかしそれはアメリカの話であって日本はオートレース文化はあれどダートレース文化はほとんど無いため実用性を考慮したストリートトラッカーとして売られるようになった。

出回り始めたのは1980年代後半、これは当時国内でカスタムブームが起きていたから。なんでカスタムブームでフラットトラック系が出始めたのかと言うと、この系統のバイクは

「オリジナルカスタムしてナンボ」

っていうアメリカ発祥らしい文化が合ったから。

ただ結局その波に乗ることは出来なかったんですが、それからしばらくした2000年頃にドラマBeautiful Lifeで主人公を演じていた木村拓哉さんがTW200に乗っていたことで爆発的なヒットと共にブームに。

それはそれは本当に凄いブームでもう他のバイクブームは何だったのかっていうレベル。美容室に行けば必ず一台は停まってるんじゃないかってくらい。

この事で当時あまりの不人気さにカタログ落ち寸前だったTWが一躍ヤマハのトップセールス車にまで上り詰めるという珍事を招きました。

ストリート系

更に面白いのはそれを見ていた他メーカーから、FTR、グラストラッカー、VANVAN、250TRといった1970年代に生まれるも不人気過ぎて短命に終わってしまったバイク達がゾンビのように復活。しかもどれもヒットっていう。

この一件によりストリート系というジャンルが確立される事となったわけです。キムタク恐るべし。

【最後に】

日本で売られているフラットトラック系というのは日本人向けに造っている面が強く、価格も良心的なのでオシャレな下駄車であると同時に構造も比較的シンプルなのでカスタマイズ性も高い。

「自分だけのオリジナル(カスタム)を作りたい」

と考えている人にうってつけのバイクと言えるかと。

該当車種

APEの系譜

ST250/GRASSTRACKERの系譜

VanVan200の系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

クラシック系

クラシックとは

最も説明が難しく書きたくないジャンル。

要するにオールドルックなバイク。

【特徴】

使い勝手や性能などを追わず”意図的”な古いデザインで味を楽しむバイク。

デザイン的に言えば1950年頃のカフェレーサーバイクな物が多い。

本当に古いバイクはビンテージ、そのビンテージバイク風な新しいのがクラシック。

シングルクレードルフレームに空冷シングルやツインを積んだのがクラシック・・・説明が難しい。言葉足らずですいません。

【歴史】

正直クラシックの歴史と言われても説明しかねます。

どこまでがビンテージでどこからがクラシックなのか・・・そこでとりあえずクラシックと思われるものを挙げていこうと思います。

有名なメーカーとしてはノートンですかね。

クラシックとは

1898年設立されてから紆余曲折ありながらもやっていってるイギリスの老舗バイクメーカー。

代表的な車種は写真のコマンドー。といってもノートンも昔はマン島TTで優勝するほどのスポーツメーカーだったんですが。メグロの手本となったバイクでもあります。

もう一つ挙げるとするならロイヤル・エンフィールド。

クラシックとは

名前くらいなら聞いたことがある人も居るのではないでしょうか。

ノートンに次ぐイギリスの老舗バイクメーカー。バイクを始めるまでは自転車を作ってました。

見た目だけでなく造りも本当にクラシックなため

「本当のクラシックバイクを作ってるのはロイヤル・エンフィールドだけだ」

という声まであります。

今はインドの会社に買収されたためインドのメーカーの子会社となってます。

まあただここらへんのメーカーのバイクは高額だし日本では馴染みもないのですっ飛ばします。

ファンの方はすいません。。。

日本メーカーで言えばカワサキエストレヤやW800、スズキで言えばST250、ヤマハで言えばSR400辺りがそうでしょうか。

クラシックとは

ただWでもK2やW1なんかはクラシックどころか当時はハイスペックマシンだったし、今で言えばビンテージ。

何処でビンテージとクラシックを分ければいいのか微妙だけど、Wで言うなら恐らく復刻した1999年のW650からかと。それでももう15年以上前ですが。

クラシックとは

1992年に出たエストレヤの場合は最初から250cc版メグロとして出たので間違いなくクラシックでしょう。

クラシックとは

スズキのST250もボルディの後継とは言え十分クラシック。

んで問題は1978年に出たSR400。

クラシックとは

「SRこそクラシックの代表じゃん!」

って思われるかもしれませんが、SRも発売当初はクラシックというよりスクランブラー的な立ち位置でした。

スクランブラーっていうのは未舗装路もソコソコ走れるバイク。元となっているのがビッグトレールのXT500だから成せた技ならぬバイクです。こう見えてショートストロークエンジンなんですよ。

時代にだんだんついて行けなくなってSRX400が出たあたりからクラシックに方向転換し始めたんですが、ほとんど形変わってないっていう。

今どきキックスタートしかない市販車なんてこれくらいじゃなかろうか・・・

クラシックの説明は本当に難しいです。大きなブームや流行などはないものの、いつの時代も一定数の需要があるのも事実です。

本人が古き良き渋さがあると思えばそれはもうクラシックかと。

ネオレトロ

2010年頃からクラシックなバイクをメーカーが出していますが、アレは欧州で流行っているネオクラシックまたはネオレトロといいます。

すごく簡単に言うと、比較的新しいバイクをベースに性能や利便性はそのままにスタイルだけ古くしたバイクのことです。

該当車種

GB250の系譜SR400の系譜ST250の系譜Wの系譜ESTRELLAの系譜MOTO GUZZIの系譜 などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

KATANA1135R -since 2001-

カタナ1135R

ヨシムラによるコンプリートカタナことKATANA1135R。

1000台限定だったファイナルエディションをベースに95馬力から150馬力になり車重も250kgから197kgともはや別バイク状態。

台数は僅か5台で車体価格は358万円。更にお金さえ用意すれば買えるわけではなく購入するにはまずヨシムラからの質問やカタナに対する考えを書いた書類審査を勝ち抜く必要がありました。

ヨシムラジャパン

ちなみにアフターも面倒を見る代わりに転売不可という条件付きだったんですがそれでも応募者は30人ほど居たんだそう。

ただし現在は別オーナー(ショップ含む)の手に渡っており今でもワンオーナーで所有されているのは一台だけだったかと・・・自信ないですが。

カタナ1135R

話を戻すと1135Rは多方で取り上げられ伝説化しているので有名かと思いますが、実はこのモデル本当は造る予定ではなかった事をご存知でしょうか。

ソコらへんの話を経緯と共に書いていきます。

昔を知らない人の為に補足するとヨシムラはKATANA1135Rを出すに至るまでずっとカタナとの関係が続いていました。

AMAヨシムラKATANA

始まりはカタナが出た1982年のAMA(アメリカ市販車レース)で、同年には鈴鹿8耐などもカタナレーサーを用意し奮闘。

翌年からレギュレーション(ルール)が750ccに変更される事が決まっていたにも関わらずヨシムラはカタナに全力投球でしたわけです。

その後はスズキに沿ってGSX-R750に移行していったんですが、一方で1994年にビッグネイキッドブームの影響で

『NK1(750cc以上のネイキッド限定)』

というレースが鈴鹿で開催される事が決まるとヨシムラはこれに迷わず参戦・・・ベースはもちろんカタナ。

カタナレーサー

どう考えても分が悪い旧世代のカタナで互角に戦っていたんですが、その勇姿を目の当たりにしたカタナオーナー達から

「NK1と同じチューニングをしてくれ」

という依頼が飛び込んでくる様に。

理由はもちろんオーナーの誰もが諦めかけていた『世代の性能格差』を解消出来ると思ったから。そういう人たちにとってNK-1カタナは本当に希望の光だったんです。

GSX1100Sヨシムラカスタム

ここからヨシムラはレースで培った技術をストリートに応用する形でカタナとの関係が継続。

そんな中で2000年に飛び込んできたのがファイナルエディション発売の報。

FE

当然ながらヨシムラの耳にも入ったんですが当時ヨシムラは前年に発表した隼のコンプリートマシンX1で手一杯でカタナまで手が回らない状況だった。

しかしずっと付き合い続けていたカタナの最後なのに何も出来ないのは駄目だと当時の営業課長だった上野さんや開発課長だった村田さんは考えた。

FE

「いま買わないともう二度と手に入らない・・・」

そう考えた末なんと会社の承諾なしに無断でファイナルエディションを5台調達し、X1の生産が落ち着くまで工場の隅に隠しておくという手段に。

そしてX1が落ちついた頃になって引っ張り出した所、まんまとカタナに携わり続けてきたカタナ愛溢れるメンバーがホイホイと釣られる様に自然と集まりだし

「これまでの全てを投じたカタナを造りたいね」

という話になり自主的に開発がスタート。

これが1135Rが開発される事になった経緯。

発売がファイナルエディションの翌年だった事や、僅か5台だけだった事はこれが理由。

そして転売不可や書類審査という高い敷居が設けられたのは

1135Rエンジン

「自分たちと同じくらいカタナ愛を持ってる人に乗ってもらいたい」

という思いがあったから。

では出来上がった1135Rがどういうバイクだったのかというと開発コンセプトは

「公道を楽しめて長く愛されるKATANA」

・・・そう、意外に思うかもしれませんが1135Rはカリカリのレーサーではありません。

一般ユーザーが公道で楽しめる事を最重要視したモデルで、チューニングにありがちな耐久性の軽視などをしていない。

ここが1135Rの凄いこと。

性能が最重要視されるレースで培ったノウハウだけでなく、レースの反響で培ったストリートでの感性のノウハウまでカタナの全てを網羅していたヨシムラからこそ造れた

『世代を越える性能と感性を持ったカタナ』

である事が凄いんです。

ヨシムラ1135R

1982年のデビューからずっと付き合い続けたカタナ愛溢れるヨシムラカタナの集大成と呼ぶにふさわしいモデルでした。

主要諸元
全長/幅/高
シート高
車軸距離
車体重量 197.8kg(乾)
燃料消費率
燃料容量
エンジン 空冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1135cc
最高出力 150ps以上
最高トルク
変速機
タイヤサイズ 前120/70ZR17(58W)
後190/50ZR17(73W)
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格 3,580,000円(税別)

カスタム箇所

φ74ヨシムラピストンKIT
ST-1カムシャフト
スペシャルチタン手曲サイクロン
ヨシムラミクニTMR-MJNφ40A/SキャブレターKIT
スロットルホルダー&グリップラバー
カーボンヒートガード
デジタルシングルメーターKIT
スペシャルオイルクーラーKIT
Mgエンジンカバー
Mgシリンダーヘッドカバー
オイルキャッチタンク
強化クラッチスプリング
スペシャルジェネレーターカバー
ヘッドポーティング
面研
シリンダーボーリング
ヨシムラスペシャル加工フレーム(強化&ヒップUPタイプ)
カーボンフェンダー
スペシャルアルミ軽量タンクKIT
3次元削出トップブリッジ(シリアルNo、刻印)
削り出しオリジナルステップKIT
FFVSフロントフォーク&リアショック
スピードフローブレーキホース(フロント・リヤ)
カスタムシートJOYスペシャル
小型ウインカー
フロントキャリパー
ディスクブレーキ
リアキャリパー(軽量NISSIN)
サイドスタンド
小型軽量バッテリー
スペシャルスイングアーム
MAGTAN軽量ホイール
ファイナルRK520&チェーン
AFAMスプロケット
STACKレーシングメーターKIT
各部ボルト類変更
Magicalスペシャルカーボンミラー
ナンバープレートホルダー
ハイグリップタイヤ
フレーム補強
フレーム加工&塗装
FFVSサスペンションスペシャルセッティング(足廻り全体)
フロントフォークボトムケース(サンドブラスト・塗装)
各部軽量化
メーターステー製作取付
バッテリーBOX小型加工
スペシャルワイヤーハーネス加工取付
スピードセンサーステー製作取付
電装プレート製作・電装パーツ移設
サイドスタンド加工
シリアルNo、刻印

系譜図
POP吉村

1923年~
神の手を持つ男 吉村秀雄

トルネード1200ボンネビル

1987年
TORNADO1200BONNEVILLE

ハヤブサX1

2000年
HAYABUSA X1

カタナ1135R

2001年
KATANA1135R

トルネードS1

2002年
TORNADO S-1

M450R

2003年
M450R

トルネード3零50

2005年~
TORNADO3 零-50

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